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2026年3月10日 (火)

イラン、ハメネイの息子を「最高指導者」に選出

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モジタパというハメネイの伜がイランの「最高指導者」になったそうです。やれやれ。
イランがどうしてこんな余裕のない選択をしてしまったのか、ヒトゴトながらため息がでてきます。
これでイランの選択肢は極めて狭まりました。
空海軍の軍事力は破壊され、地下のミサイル基地もしらみ潰しされ、残るは革命防衛隊だけといった状況で、和平を拒んで徹底抗戦しようということのようです。愚かな。

「イラン国営メディアは9日、殺害された最高指導者アリ・ハメネイ師の後継者として、息子のモジタバ・ハメネイ師(56)が「専門家会議」によって選出されたと報じた。
アリ・ハメネイ師は、アメリカとイスラエルによる2月28日の最初の攻撃で、首都テヘランの自宅敷地内で殺害された。それを受け、宗教指導者らで構成する「専門家会議」が後継者選びを進めていた。イラン国営テレビは9日、司会者が専門家会議の声明を朗読。「厳しい戦時環境と、敵がこの国民的機関を直接脅し、専門家会議の事務局事務所への爆撃で数人の職員と警備隊員が殉教したにもかかわらず、イスラム体制の指導者を選出し公表するプロセスは一瞬たりとも中断しなかった」とした。
司会者は続けて、「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)、アッラーフ・アクバル、ハメネイ師が指導者だ」と大声で唱えた」
(BBC3月9日)
イラン最高指導者にモジタバ師、専門家会議が選出 父ハメネイ師の後継者に  - BBCニュース
モジタパ以外にも有力な候補はいたはずです。
治安機関を握っていたからといって、なにもハメネイの伜を持って来る必要はなかったはずです。
エルサレムポストはこう評しています。

「もしイスラム共和国が以前の軌跡をたどっていたら、元聖職者大統領の一人を選ぶことが予想されていたかもしれない。最も妥当なのは、ここ数か月でその役割を担うために自らを位置づけているように見えるハッサン・ロウハニだろう。
モジタバを選んだことで、イスラム共和国は事実上一線を越えた。かつては世襲支配に反対していた体制は、今やそれを容認し、イデオロギーの一貫性よりも継続性と統制を優先しているように見える」
(エルサレユポスト3月10日)
The ascendency of Khamenei Jr was a long-planned improvisation | Iran International

エルサレムポストは伝統あるイスラエルの新聞ですが、情報こそ命としてまるで兎のように長い耳を養ってきたイスラエルらしく冷徹な情報を載せます。
いまでも革命防衛隊を「精鋭」と呼んだり、あろうことかイランを「親日国」と呼んで憚らないどこぞの国のメディアとは大違いです。
ここでエルサレムポストが「一線を超えた」と書いたのは、イラン・イスラム共和国は前体制のパーレビー王朝の世襲を強く批判する革命によって樹立されたはずだったからです。
つまり世襲禁止は国是でした。
なぜなら、これは単なる国の指導者選びではなく、「預言者ムハンマドの後継者」選びだからです。
「予言者の後継者」!こんな選択基準を持つ国はイラン以外にないはずです。
「モジタバの選出は、これらの考慮が今やはるかに軽いものであることを示唆している。彼が昇格したのは宗教的地位や行政経験、公的地位ではなく、主に治安機関との繋がりによるものだ。
もしイスラム共和国が以前の軌跡をたどっていたら、元聖職者大統領の一人を選ぶことが予想されていたかもしれない」
(エルサレムポスト前掲)
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実際、ハメネイは 2024 年に開催された専門家会議において、モジタバを後継者とすることを否定していますし、初代ホメイニは自身の家族が政治的な権力争いに参加すること自体を禁じました。
それがわずか三代で覆ったわけで、国民の人気もなければ、実績は治安機関の元締めていどの経歴しかないモジタパを据えざるをえなかったということは、血筋による求心力を求めたということになります。
言い換えれば、ここまで弱体化が進んでしまったということでしょうか。

モジタバには悲しいくらいたいした経歴はありません。
ただの中級幹部で、親がハメネイでなければ実直な中級文官として生涯を終えたような人物です。
1969年、イラン北東部のマシュハドで、前最高指導者のアリ・ハメネイの息子に生まれたのですから、血筋としては「ハヘネイ王朝の王子」です。

高校卒業後、イスラム革命防衛隊に入隊し、イラン・イラク戦争に従軍しましたが、どのような軍歴があったのかはよく分かっていません。
あの戦争時、ろくな装備もなく大量に前線に送られて屍の山をさらした世代です。
「イラン・イラク戦争(1980~88年)に出征し、革命防衛隊のハビーブ大隊に所属、この部隊は後にイスマイル・コウサリをはじめとする多くの上級司令官を輩出したことで、モジュタバの革命防衛隊コネの強化につながりました。モジュタバは革命防衛隊の情報機関の元長官ホセイン・タイエブとも特に親密な関係にあり、同組織の活動に影響力を持っているとも言われています」
(飯山陽note)
この時代に同世代だった革命防衛隊の現幹部層とコネクションを結んだようで、これは今に活きています。
革命防衛隊は打てば響くように「かつての占有」にして今のボスであるモジタバ選出に歓迎と忠誠を表明しました。

「3月9日 AFP】イラン革命防衛隊(IRGC)は8日、モジタバ・ハメネイ師が最高指導者に選出されたことを歓迎し、「完全な服従と自己犠牲の準備ができている」と述べた。
IRGCは声明で、モジタバ師が今後下す「神聖な命令を遂行するために、完全な服従と自己犠牲の準備ができている」と述べた」
(AFP3月9日)
イラン革命防衛隊、モジタバ師の最高指導者選出を歓迎 「完全な」忠誠を誓う 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

それはさてはき、モジタバはシーア派の聖地コムで神学を学び、神学校の教職にも就きましたが、教えていたのはムジュタヒドの地位を得るのに必要な最高レベルのイスラム法学の授業を教えていました。
ムジュタヒドとは、イスラム神学・法学において、イジュティハード教義決定および立法を行う者を指す言葉だそうで、今回モジタバを選出した「専門家会議」88名はすべてムジュタヒドで構成されています。
ここまで書いて来たらお分かりでしょうが、反米強硬派、超保守派、超強硬派で、超反イスラエルです。
いいんですか、下手すりゃ国を滅ぼしますよ。




 

2026年3月 9日 (月)

イラン大統領が謝罪だそうです

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ナニを言っていやがるというようなことをイランが言い出し始めました。
各種ありますが、まずこれ。

驚くべきことに、ペゼシュキアン大統領は中東諸国に対しては謝罪さえ口にしています。
国軍司令部はホルムズ海峡は封鎖しないと言い出しました。

「イラン軍報道官は6日、国営テレビのインタビューで、海上輸送の要衝ホルムズ海峡について「封鎖しておらず、するつもりもない」と述べ、米国とイスラエルに関係しない船舶の通過を認めることを明らかにした。産油国が多いペルシャ湾岸諸国との関係を意識した発言とみられる。
報道官は「海峡を通過したい船舶は航行が許される。米国とイスラエル関係の船は攻撃する」と説明し、船籍次第で異なる対応をとる方針を示した。これまで精鋭軍事組織「革命防衛隊」の関係者はホルムズ海峡を封鎖したと発言しており、態度を軟化させた。

イランは米イスラエルの攻撃に対する報復として、米軍基地のある近隣諸国を攻撃してきたが、マスード・ペゼシュキアン大統領が7日に中止を発表。報道官の発言は、近隣諸国との関係改善を試みる政策が反映されている可能性がある」
(読売3月7日)
イラン軍、ホルムズ海峡を「封鎖しておらずするつもりもない」…産油国との関係意識し船籍次第で通過認める方針(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

そりゃそうでしょうとも。
イランは全方向に戦いを挑んでしまいました。
すでに13カ国に登り、いまや中東域外のトルコまで含まれている始末です。
もっとも酷く攻撃を受けているUAEの場合、イランから発射されたミサイルやとドローンによる攻撃はこのようになっています。

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特に大きな被害を受けたのはUAEはドローンだけで千発を越え、弾道ミサイルも2百発に及んでいます。
攻撃も米軍基地のみならず、民間施設、石油関連施設にひろがっていて甚大な被害を出しています。
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UAE
ちなみにUAEは日本に対する原油輸出のサウジと並ぶ最大国のひとつです。
イランなどは経済制裁もあってものの数ではありません。
日本は世界有数の石油備蓄国ですから、直ちに原油不足にはつながることはありえませんが、わが国経済と直結しているということはあたまに置いて下さい。
日本もUAEになんらかの支援をするべき時です。
いままで原油を下さいとペコペコしておいて、窮地におちいったら懐手では済まされませんよ。
海賊対処で行っている哨戒機を直ちにホルムズ海峡空域に飛ばして下さい。
掃海艇も有効です。
それはさておきペゼシュキアンは謝罪をしています。

「イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は7日、アメリカとイスラエルによる攻撃を受けた自国が、湾岸諸国など周辺国を攻撃したことについて、「謝罪する」と表明した。一方で、無条件降伏を拒否し、イランは「最後まで戦う」と述べた。これに先立ちドナルド・トランプ米大統領は前日、イランの無条件降伏を要求していた。トランプ氏はイラン大統領によるこの演説を受けて、イランは周辺諸国に「謝罪し、降伏した」と強調した。しかし、周辺諸国はイランからの攻撃が続いていると報告している」
(BBC2026年3月8日)
イラン大統領、近隣諸国に謝罪するも降伏は拒否 イランからの攻撃続くと周辺国 - BBCニュース

ペゼシュキアン大統領は「攻撃された周辺国に謝罪する必要があると私は考える。我々は周辺国への侵略を意図していない」と述べています。
大統領がこのように言うというのは通常は和平を望むという意味ですが、どうやらそうではないようです。
残念ながら、ISW(国際戦争研究所)はペゼシュキアンは無力だと突き放しています。
イランは、マスード・ペゼシュキアン大統領がイラン領内からの攻撃を停止するよう命じたにもかかわらず、湾岸諸国に対するドローンおよび弾道ミサイル攻撃を継続した。
 2機のイラン製ドローンが3月6日午後3時(東部標準時)から3月7日午前8時(東部標準時)にかけてアラブ首長国連邦(UAE)領内を攻撃し、ドバイ国際空港への攻撃も含まれていました。
3月6日から7日にかけてのイランのドローンおよび弾道ミサイル攻撃は、サウジアラビアの米軍基地、サウジのエネルギーインフラ、民間インフラも標的としました。サウジ国防省は、イラン製ドローン8機と弾道ミサイル1発を迎撃したと発表した。[3] プリンススルタン空軍基地の米軍を標的とした別のミサイルが無人地帯に落下した」
(ISW3月7日 太字原文)
イラン・アップデート朝の特別報告、2026年3月7日 |ISW
大統領職とは元首のことですから、国家のトップかとおもいきや、イランでは中間管理職でしかありません。
だから選挙で国民が選ぶことが(あくまで形式的にはですが)可能なのです。
イランの全権を握る「最高指導者」は、わが国やヨーロッパ諸国のような国家統合の象徴ではなく文字通りの実力を持っています。

ここに座ったのはイスラム革命以降わずか2名。初代が悪名高きカリスマ指導者のホメイニ、二代目が今のハメネイで、いずれも高位のイスラム法学者でした。
3代目と目されていたのが、事故死したライシでした。

この「最高指導者」が、日欧の立憲君主制と根本的に違うのはふたつの「力」を持っているからです。
「最高指導者」は大統領選挙の候補者を選ぶことができます。
え、国民が投票で選ぶんじゃなかったのと思うのは甘い。

その候補の選定は「最高指導者」が行うのです。
こういうのを言葉の正しい意味で「選挙」とは呼ばないはずですが、大統領選挙に出るには、最高指導者の影響下に置かれた「監督者評議会」(専門家会議)の承認を得なければなりません。
この監督者評議会のメンバー12人のうち6人は最高指導者が任命し、残り6人は司法の長が指名します。

ライシが司法の長だった時代に指名した人間がこの6名の中には含まれています。
つまり、「最高指導者」のペット以外に立候補すらできないのです。

そして第2に、例の悪名高きコッズ部隊を擁する革命防衛隊の指揮権を持っています。
ですから、イスラエルに盛んにテロ攻撃を仕掛けているコッズ部隊は、直接に「最高指導者」が司令官を任命し、その命令で動いているということになります。
国軍は政府の統制が効きますが、革命防衛隊は「最高指導者」の直轄なので、なにをしているのかさえも政府が掌握してはいないようです。

イラン革命防衛隊(IRGC)は、軍隊のように見えますし、実際国軍並の軍事力を持っていますが、国軍とはまったく別系列の軍隊です。
この戦争で米軍に沈められた「空母」はなんと革命防衛隊が所有していました。
革命防衛隊は、国軍よりも優秀な装備と予算を優先的に配備され、しかもハメネイにしかコントロールできません。
もちろんペゼシュキアンごときには指一本動かす権限はないのです。

したがって、イラン戦争の今後の動向はこの革命防衛隊が握っているということになります。
これが独裁者であるハメネイを殺されて、てんでバラバラ、です。
ある者は逃亡し、ある者はヒジャブをかぶって病院に逃げ込み、ある者は徹底抗戦を叫んで地下濠に潜り、一般兵士は置き去りというありさまのようです。
まるで大戦末期のドイツか日本みたい。

エルサレムポストはこう伝えています。

「イスラエルと米国によるイラン政権への攻撃が続く中、イスラム政権の軍の一部将校は兵舎を放棄し、指揮下の兵士たちを警備任務に残したと、複数の徴兵兵がイラン反体制派メディア『イラン・インターナショナル』に語った。(略)
ある兵士は同メディアに対し、多くの指揮官がストライキを恐れて自らの陣地を放棄し、徴兵兵士を支援なしで置き去りにしたと語った。
また、アメリカやイスラエルの攻撃を恐れる一部の兵士は、空爆を受けることを恐れて基地外の開けた場所で夜を過ごしていると兵士は述べ、指導部が正規軍のニーズに十分に注意を払っていなかったと付け加えた」
(ミルサレムポスト3月6日)
Iranian officers abandoning posts, regular soldiers | The Jerusalem Post 

たまに徹底抗戦派がミサイルをぶっ放しますが、直ちに監視衛星が発見し、数分後にはパトロールしているF35に空爆をしかけられて潰されます。
そしてしばらくするとB1が飛んできて周囲をまんべんなく徹底的に空爆していくのですからたまらない。

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Xユーザーのトランプ氏 発言速報さん X

米軍からすれば地下に隠すよりむしろ撃ってほしいくらいなもので、撃っても確実に迎撃されます。
つまり軍事的にはもう決着がついているのです。
もうミサイルを打ちたくても撃てません、ジェラルド・フォード空母打撃群が海峡を通過して展開した以上、ホルムズ海峡の封鎖も不可能です。
原油価格の上昇などの余波は残り続けるでしょうが、時間の問題です。
あとはイラン国民が自分たちの国をどうするかにかかっています。

 

2026年3月 8日 (日)

日曜写真館 寒釣のこっちも見ずに釣れねェと

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夜が明けて釣人のゐし水葱の花 志賀青研

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星空のさむき夜明よ地に寝て 長谷川素逝

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釣り人雨晴るゝを知る 尾崎放哉

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寒釣をものまね鳥の囃すなり 太田 蓁樹

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波を食う巨人が歩く夜明けの浜  金子兜太

 

 

2026年3月 7日 (土)

イランを「世界一の親日国」と呼ぶ倒錯

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国際法違反糾弾というスタンスは、「イランは世界一の親日国だから助けよ」というドグマと対になっています。
たとえば昨日も紹介した朝日社説の結語はこうです。

「日本は米国の同盟国でありながら、イランとも長く友好関係を維持する独自の立場にある。トランプ政権1期目には、緊張緩和のため当時の安倍首相がハメネイ最高指導者と会談した。邦人保護に全力をあげるとともに、戦争を終わらせるための外交努力も怠ってはならない」
(朝日社説3月2日)
(社説)イラン最高指導者殺害 外交より武力頼みの危うさ:朝日新聞

橋下氏も朝日の論調とまったく同じことを言っていますし、共産党も声を揃えて同じことを言っています。
イラン攻撃 国連憲章違反は明白/米・イスラエルの「先制攻撃」 「自衛」といえず認められぬ | しんぶん赤旗|日本共産党

国際政治のリアリズムをまったく理解していない空論であり、そもそもイランが「親日」だったことなどパーレビの時代であって、今の神権支配になってからは、ありがたくも分け隔てなく平等にわが国のタンカーを攻撃して頂いています。
「親日国イラン」というのは、外務省アラブスクールと学界アラブ屋の妄想にすぎません。

そもそもイランとはどんな国だったたのでしょうか。
この37年間、イスラム坊主が率いる神権政権は国民を飢餓線上に置き続けました。

「イラン社会は久しく困窮下にある。ウィーン国際経済研究所(WIIW)のイラン経済専門家のマフディ・ゴドシ氏は1月17日、オーストリア国営放送(ORF)とのインタビューで「イラン経済全体、特に銀行部門は破綻している。猛烈なインフレ、通貨の切り下げ、投資資金の不足、汚職、そして操作によってのみ達成される国家予算という悪循環下にある。
その結果、人々は生活必需品を買う余裕がなくなり、食費を減らさざるを得なくなっている。国民の約3分の1が絶望的な貧困の中で生活している一方、イスラム政権トップの腐敗と汚職、縁故主義が拡散している」という」
(ウィーンコンフィデンシャル長谷川良3月2日)
ムッラー政権が過去行ってきた犯罪歴 : ウィーン発 『コンフィデンシャル

イランはある種の「社会主義国」で、イランの企業の8割は国有企業で、しかも政府とイスラム宗教組織、革命防衛隊などのコングロマリット(複合企業)によって支配されています。
いわば共産国家が共産党に連なる国有企業で独占されているように、イスラム原理主義団体が牛耳る社会です。
したがって民間企業はほとんど存在しません。
あるのはハメネイが管理するセタードだけです。

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ロイター

「-イランの最高指導者ハメネイ師が、同国の年間石油輸出額を上回る資産規模のビジネス帝国を築き上げていることがロイターの調査で明らかになった。
セタード(Setad)と呼ばれるこの組織は、金融、石油、通信、医薬品をはじめ農場に至るまで産業全般に影響を及ぼしており、ハメネイ師の権力を示すカギのひとつでもある。イラン国民や在外イラン人などの資産を体系的に接収することで成長してきた。また放棄されたとして法廷で土地の権利を主張して、多大な不動産も所有している。
組織の正式名称は「Setad EjraiyeFarmane HazrateEmam」。最高指導者だった故ホメイニ師が1989年に死亡する直前に発した布告では、1979年のイスラム革命の混乱により放棄された土地を管理する目的で機関を設立することになっていた。
設立者のひとりによると、貧困層や退役軍人を支援する目的で設立、2年間活動することになっていた。しかし四半世紀が過ぎ、不動産や企業などを保有する一大コングロマリットに成長した」
(ロイター2013年11月11日)
イラン最高指導者が築いたビジネス帝国、石油輸出上回る資産規模 | ロイター

いまや数十億ドル規模のコングロマリットに成長したセタードは、イマームの執行本部 (EIKO) によって運営され、宗教的少数派、実業家、追放されたイラン人などの財産を組織的に没収して、現在では石油産業から電気通信、金融、医療に至るまで、経済の他の多くの分野をその管理下に置いています。
このハメネイの経済帝国を軍事的に支えてきた勢力が、悪名高いイスラム革命防衛隊(IRGC)です。
彼らはハメネイ師に忠実な暴力装置であるだけではなく、石油とガス産業、建設と銀行を牛耳るコングロマリットでもあります。

またイラン革命防衛隊は、イラクやシリアですさまじいばかりの破壊テロ活動を行っており、中東の混乱の源泉となってきました。
黒井文太郎氏によれば、彼らは海外のイラン民主派勢力に対して国外であるにも関わらず容赦ない暗殺攻撃を続けました。

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「イラン人の暗殺は、欧州亡命組を中心に、1980年代から90年代にかけてかなり頻繁に行われ、少なくとも20か国以上で、計350人以上が殺害された。ただし暗殺作戦は、2000年代以降は比較的沈静化している。亡命反体制派の活動家たちが高齢化し、武力で体制を倒せるような存在ではなくなったからである」
(黒井文太郎2019年4月17日)
中東の最重要問題に浮上したイランの国家的テロ組織 ISよりも危険な存在、イラン「革命防衛隊」とは(後編)(1/4) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

この執拗な大量暗殺のために、国外亡命グループは壊滅しました。
イランで専制政治が続くひとつの理由は、イスラム原理主義政権にとって代わる民主派勢力に指導者がいないためです。
それは全員殺害されてしまったからです。

次に標的にされたのが、イスラエルとユダヤ人です。
イランは、彼らの支配下にあるレバノンのシーア派組織「ヒズボラ」に指令してイスラエルに対してロケット弾攻撃を仕掛けました。
このヒズボラは、元来は革命防衛隊が82年に作ったレバノンのシーア派テロ組織で、83年にはレバノン駐留の米仏軍に自爆テロを行い、80年代に欧米人30人以上を誘拐したりしています。
これらの活動は、革命防衛隊の指令に従っており、革命防衛隊を通じてイラン指導部と直接につながっています。

いまやヒズボラの活動は、中南米にも及び、麻薬売買にも関わっています。
これらのダーティな資金を基にして、革命防衛隊は多くの国々の反政府テロ組織を作り、育成してきました。

「(革命防衛隊)クドス部隊は、外国のテロ組織を育成する工作も行った。スーダン、パレスチナ、レバノン、イラク、ヨルダン、トルコ、アフガニスタン、タジキスタン、エジプト、アルジェリア、リビア、チュニジアなどの反政府ゲリラを訓練し、テロリストに育て上げる工作である。クドス部隊の軍事顧問がこれらの国々に派遣されて指導することもあったが、イラン国内の訓練所で指導することもあった 」
(黒井前掲)

特にこの浸透工作が成功した地域は、イラク、シリア、イエメン、そしてパレスチナで、この地におけるテロ流血事件のほぼすべてに、イランが関わっているといっても過言ではありません。
よく日本のメディアや「イスラム専門家」たちは安易に「パレスチナの大義」とか「ガザ住民の抵抗」と美名で呼んでいますが、内実はこのハマスやヒズボラなどのイラン傀儡集団にとって替わられています。
それが露になったのが、このハマスの虐殺事件だったのです。

ところで2023年、ノーベル平和賞はイランの女性人権活動家に与えられました。

「ノルウェー・ノーベル委員会は6日、2023年のノーベル平和賞をイランの人権活動家ナルゲス・モハンマディ氏(51)に授与すると発表した。イランでの女性への抑圧と闘ったことが評価された。
ノルウェー・ノーベル委員会のベリト・ライスアンデシェン委員長は、モハンマディ氏は「イランでの女性への抑圧と闘い、すべての人の人権と自由を推進するために闘った」と受賞理由を説明した。
また、モハンマディ氏の闘いには「多大な個人的犠牲」が伴ってきたと述べた。
モハンマディ氏は、2003年のノーベル平和賞受賞者、シリン・エバディ氏らが設立した人権団体「人権擁護センター」の副代表。女性やマイノリティー、死刑囚の人権擁護などのために活動してきた」
(BBC10月7日)
ノーベル平和賞、収監中のイラン女性人権活動家に イランは「偏った」受賞と非難 - BBCニュース

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BBC

ノーベル平和賞委員会は、モハンマディ氏の受賞理由についてイランの「神権的な政権による、女性を標的にした差別と抑圧の政策」に対して、この1年間にデモを行った何十万人ものイラン人を評価するものだと述べています。
モハンマディ氏はこの指導者です。

この1年間のデモとは、22歳のイラン女性マーサー・アミニさんが、テヘランでイスラム教の服装規則を遵守せずヒジャーブ(ヘッドスカーフ)を正しく着用していなかったというささいな理由で宗教警察に逮捕され、警察署内で尋問中に死去した事件から始まっています。

「一方、クルド系のRudawメディア・ネットワークは、「彼女はヘッドスカーフが原因で警察官に殴打された。彼女の父親は娘の体に拷問の痕跡があったと主張している。彼女が以前に病気を患っていたという情報についても、父親は『娘は完全に健康だった』と述べた」と報じた。また、彼女の治療にあたったクリニック関係者は、「彼女は13日に入院した時に既に脳死状態だった」と証言したという」
(ウィーン発 『コンフィデンシャル9月24日)
10年遅れで「イランの春」到来するか : ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog)

この虐殺に対して、イラン全土で激しい抗議行動が勃発しました。

「(CNN) イランで道徳警察に拘束された若い女性の死に対する抗議デモが続くなか、当局は24日までに、街路に平穏が戻るまでインターネット接続を制限すると明らかにした。
イランではマフサ・アミニさん(享年22)の先週の死をきっかけに、数千人が街頭に繰り出して抗議を行っている。
アミニさんは首都テヘランで逮捕され、「再教育センター」に連行された。逮捕理由は頭部を覆うヒジャーブを適切に着用していなかったことだとみられる。
16日以降、テヘランを含む少なくとも40都市でデモが行われた。デモ隊は女性に対する暴力や差別、ヒジャーブ着用義務の撤廃を求めている。
デモは治安部隊との衝突に発展し、数十人が死亡したとの情報もある」
(CNN9月24日)
イラン、ネット接続を制限 女性死亡へのデモで死者増加 - CNN.co.jp

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イランでスカーフ巡り女性死亡 警察暴行疑惑、抗議拡大: 日本経済新聞 (nikkei.com)

ヒジャーブは宗教支配の象徴なのです。
イランは国内に対してはヒジャーブから髪一筋はみ出すことすら許さない専制的宗教国家であり、国外に対しては世界最大のテロ輸出国家でした。

このようなイランと「世界一の親日国」と自称して、それを中東外交の基軸としていたのがわが国だったのです。

 

 

2026年3月 6日 (金)

トランプが選んだ国際法の枠外

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高市首相がメルツ独首相と電話会談し、日本政府の立場を伝えたそうです。

「高市総理は5日、ドイツのメルツ首相と電話会談をおこない、中東情勢をめぐりイランの行動を非難しました。
高市総理とドイツのメルツ首相の電話会談は5日、午後5時からおよそ20分間おこなわれました。
電話会談では中東情勢をめぐり、イランの攻撃がエネルギー施設を含む民間施設や外交施設などに及び民間人の死者が出ていることから、高市総理はこうしたイランの行動を非難するなど日本の立場を説明したということです」
(TBS3月5日)
【速報】高市総理がイランの行動を非難 日独首脳電話会談で(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース

あるいはこうも言っています。

高市早苗首相は2日午前の衆院予算委員会で、米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をめぐり、「イランによる核兵器開発は決して許されないというのが我が国の一貫した立場だ」と述べた。その上で「事態の早期沈静化に向けて国際社会とも連携しながら、引き続き必要なあらゆる外交努力を行う」と語った。攻撃の是非については言及しなかった。
首相は「米国・イラン間の協議は、イランの核問題解決のために極めて重要であり、我が国として強く支持してきた」と述べた。「イランに対し、核兵器開発や周辺国への攻撃を含む地域を不安定化させる行動をやめるとともに、交渉を含む外交的解決を強く求める」と答弁。「中東地域の平和と安定、国際的な核不拡散体制の維持は我が国にとっても極めて重要だ」と語った」
(朝日3月2日)
高市首相「イラン核開発は許されない」 米国の攻撃の是非は言及せず [アメリカとイスラエル、イランを攻撃 報復も][高市早苗首相 自民党総裁][高市早苗首相]:朝日新聞

私はこれ以上今の段階で言う必要もないし、言えないと思います。
しかし橋下氏は
こう思ったようです。

「橋下氏は2026年3月1日放送の「日曜報道 THE PRIME」(フジテレビ系)にレギュラーコメンテーターとして出演、こう語った。
「一部の報道なんですけども、ドイツ政府が事前に(イラン攻撃の)連絡を受けていたと発表してるんですよ。日本の高市さんは(攻撃開始の時に)金沢の方に知事選の応援に行っていたということで、事前の連絡はなかったと思うんですよね」
イスラエルのメディアはイランへの軍事攻撃について、ドイツ政府高官は事前に知らされていたと述べたと伝えている。
橋下氏は「(それに比べて)どうなんですか、(アメリカの)日本の政府の扱いというのは」と不満そうだ」
(jキャストニュース3月4日)
橋下徹「高市首相はトランプ大統領に軽視された」、イラン攻撃の事前連絡ドイツにあって日本にはない?(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

だからなんなんですか。米国が開戦前に事前通告するのは直接の軍事的利害が関わる国に対してだけです。
劈頭のハメイニ爆撃は極秘に進められていましたから、その機密漏洩を恐れて極端に事前通告の幅は狭かったはずです。
NATOにはミサイルが飛んで来る可能性があるので仁義を切っておく国もあったいうことだけです。
遠い域外であり、軍事的にはなんの関係も持たない、さらにはスパイ防止法もないようなわが国には事前通告などなくても当然です。
秘密作戦を事前通告してもらいたければ、ファイブアイズと同等の機密保持機構を持つしかないのです。
まぁ仮に横須賀のジョージ・ワシントン空母打撃群が派遣されていたらあったかもね、そのていどのことです。
現状の同盟の信頼を損ねるものじゃありません。なにを大げさな。

あるいは橋下氏はこうも言っています。

「日本の対応ですけどもね、自民党と維新の今の政権って、中国にはものすごい強気なのに、アメリカにはからっきし弱いというのはちょっと情けないと思います。
中国に対して『国際法違反するな』と言うんだったら、アメリカに対してもそれは言うべきだと思いますよ。
ただ、そういうスタンスは前提としながらでも、トランプさんを目の前にして直接批判なんてできないんだったら、それぐらいある意味、『弱っちい自民党・維新の政権なんだ』ということを前提に、中国(関係)、ロシアとウクライナ侵略のときにも、やっぱり最後は政治的な妥結で解決するしかない」
(FNN3月3日)
橋下徹氏「中国にはものすごく強気なのに、アメリカにはからっきし弱いというのは情けない政権だなと思う」米のイラン軍事作戦めぐり弱腰対応批判「日本は『国際法は国際法』のスタンスを絶対曲げちゃいけない」(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース

中国やロシアと米国を同列に並べる前提自体話になりません。
高市氏は中国に「ものすごい強気」と仰せですが、あたりまえのことをあたりまえに言っているだけです。
今の橋下氏のスタンスがよく分かりますね。彼はどこかで昭和サヨクに逆戻りしていたようで、太田光といい勝負です。
というところで、さぁ出てきました。「国際法違法のトランプは許さんと言え」という朝日が好きな議論です。
朝日はこう述べています。

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イラン政府、デモの死者数約3千人と発表 人権団体は約5千人と報告:朝日新聞

「自分の意に沿わない国家元首は武力で排除する。こんな無法がまかり通れば、対等な主権国家が共存する国際社会の秩序は成り立たない。(略) 先制攻撃は自衛の範囲を超える予防戦争である。国連憲章は武力による紛争解決を、攻撃を受けた際の自衛か、安全保障理事会の承認を得た場合に限定している。今回の攻撃は、その要件をどちらも満たしていない。
 昨年6月のイスラエルによるイラン攻撃に続き、またも外交交渉の途中での武力行使となった。米国とイランを仲介したオマーンの外相が「大きな前進があった」と評価し、2日からは専門家による会合が予定されていた。
トランプ氏はイランに核兵器を持たせないための交渉だとしていたが、攻撃後にはイラン国民に「政権を奪い取れ」と体制転換を促した。協議は、米軍が中東に戦力を展開する時間稼ぎだったと見られても仕方ない」
(朝日社説3月2日)
(社説)イラン最高指導者殺害 外交より武力頼みの危うさ:朝日新聞

馬鹿だね。
なんでヨーロッパや中東諸国が国際法ウンヌンを理解しながら、表立った批判を差し控えているのか考えたことがあるのでしょうか。
まず、イランがいままで確信犯的に国際法の外でハマスやヒズボラを操り、中東各国の内政に干渉し続けてきたことを苦々しく思っているからです。
国連を信用できないのは、国連制裁を日常的にすり抜けて中国に原油輸出してきたことを知っているからです。
そしてその影でイラン核合意を骨抜きにして核兵器保有に邁進してきたからです。
そしてイランが核兵器完成に大手をかける寸前だったのは子供でも知っていることです。
また国内の民主化運動に残虐非道な弾圧をかけて万単位を殺戮し続けています。

ここで米国の攻撃を国際法違反だと批判してしまえば、では米国に国連制裁でもかけますかと問い返されることでしょう。
だからそんなことは言わないでぼやかすのです。

では、こんなイランを国際法が止めましたか?
国連憲章がストップをかけましたか?
国連安全保障理事会が機能しましたか?
まったく無力だった。態のいい時間稼ぎに使われるのがせいぜいでした。
つまりこういうことを「キレイゴト」というのです。

トランプは同じ土俵で戦おうとせずに、その枠組みの外を選んだ、ただそれだけです。
なぜならそれしか現実にイランの暴走を止める方法がなかったからにすぎません。
それをもう通用しなくなった「国際法と国連」の土俵から、違反だ違反だと叫んでも、トランプは馬耳東風でしょう。

そもそもイラン革命後、イスラム神権支配体制はいかなる国を作ってきたのかについてはあすに。

 

2026年3月 5日 (木)

ホルムズ海峡は封鎖されてなんかいない

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同時に様々なことが起きているのでアップアップしています。まぁ戦争とはこんなもんかもしれませんがね。
日本の株がドーンと落ちました。一気に57000円割れです。
原因はいうまでもなく、「ホルムズ海峡封鎖」に反応したのです。
株価は地政学的変動に猫のように敏感です。だからビクっと反応しますし、メディアはどこぞのエコノミストが日本のGDPがダダ下がりするぞ、というご託宣ばかりを流してあおりますのでご注意ください。
たとえばこんな調子。

「米国とイスラエルの対イラン軍事作戦に関連し、日本の実質国内総生産(GDP)が最大で0.65%下押しされるとの試算を、野村総合研究所木内登エグゼクティブ・エコノミストが1日、公表した。最も悲観的な想定では、日本が景気後退に陥る可能性があるとも指摘している。(略)イランに接するホルムズ海峡は、ペルシャ湾から原油を輸送する際の出口に当たる。木内氏は「日本は原油輸入の94%を中東地域に依存しており、それに用いられるタンカーの8割がホルムズ海峡を通るとされる」と指摘。海峡閉鎖は「日本への深刻な打撃になる」とした 」
(共同3月1日)
日本GDP最大0.65%下押し イラン作戦で、野村総研試算(共同通信) - Yahoo!ニュース

まぁね、これがイラク戦争のような泥沼になり、ホルムズ海峡が完全に封鎖されてしまって全くタンカーが通れなくなったなんてなればそうなるかもね。
ただこれは最悪中の最悪シナリオで、イランの力を過剰に評価する一方、米国や中東諸国の力をまったく視野の外に置いています。
メディアは日本滅亡が大好きですからそれを煽るのです

大前提がまちがっています。
事実として「ホルムズ海峡は封鎖」されていません。
イランは切り札として自滅覚悟でしたいのでしょうが、物理的に不可能です。
できたとしても一発二発ドローンをあてるくらいなもんで、そんなことでは船は沈みません。

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ホルムズ海峡

イランは元々海軍が貧弱な上に、今回の攻撃でほぼ壊滅状態です。
米軍は2月28日、イランの革命防衛隊の指揮統制施設、防空システム、ミサイルとドローンの発射基地、それに軍用飛行場、海軍基地を標的に攻撃しました。
特に念入りに叩いたのは防空施設でB‑2ステルス爆撃機は2000ポンド(約907㎏)の大型爆弾を用いて堅固に構築されたミサイルサイトを攻撃した。
これでほぼ完全にイランは航空優勢と海上優勢を失ったはずです。

このような状況で、残存する海軍ないしは革命防衛隊がとうやって機雷を敷設するのか、お聞きしたいもんです。
ホルムズ海峡を封鎖するために使えるのは、せいぜいがミサイルとまだ地下に大量に隠しているとイランが主張するドローンです。
侮ってはなりませんが、ドローンやミサイルだけでは海峡封鎖なんかまったく無理。

しかもタンカーには米海軍がエスコートをつけるとトランプは言っています。

「トランプ米大統領は3日、ホルムズ海峡を航行する石油タンカーやその他の船舶の安全を確保するため、米国が保険と海軍による護衛を提供すると明らかにした。イランとの軍事衝突によって懸念されるエネルギー危機を回避する狙いがある。
米国際開発金融公社(DFC)がペルシャ湾岸地域におけるエネルギーやその他の商業取引の流れを確保するため、「非常に妥当な価格」で保険を提供するとトランプ氏は説明。さらに、「必要であれば、米海軍は可能な限り早期にホルムズ海峡でタンカーの護衛を開始する」とコメントした。
「いかなる状況下でも、米国は世界へのエネルギーの自由な流れを確保する」とトランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿した」
(ブルームバーク3月4日)
トランプ氏、ホルムズ海峡航行で米海軍のタンカー護衛表明-保険も提供 - Bloomberg

2019年にも米国は有志連合を作って、この海域の自由航行を守りましたが、今回も同様のものを呼びかけるかもしれません。
今回英国やNATOは非協力的ですが、各国の利害が直接にかかわることだけにどうでるでしょうか。
日本も大部分の原油の通過する海域の安全を知らんとは言えないでしょう。

ところで、このように海上戦力でタンカーを守る以外にも、サウジやUAEにはホルムズ海峡を経ない陸上ルートが存在します。

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原油の陸上輸送4割増、サウジ検討 ホルムズ迂回へ - 日本経済新聞

「世界最大級の産油国であるサウジの油田は東部州に集中する。この地域と紅海沿岸を結ぶ1ルートのパイプラインが稼働しているが、日量500万バレルの最大輸送能力のうち約4割しか活用していない。
ロイター通信によると、サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は25日、パイプラインを通じた原油輸送について「必要ならば最大能力まで輸送を増やす」と指摘した。さらに「拡張工事で輸送能力を日量700万バレルに引き上げたい」とも述べた。同国の原油輸出量は直近で日量680万バレル強とみられ、パイプラインを計画通りに拡張すれば全量を陸上で運べることになる5
(2019年7月29日)
原油の陸上輸送4割増、サウジ検討 ホルムズ迂回へ - 日本経済新聞

今回、サウジはパイプラインを通じた紅海側からの出荷を表明しました。
サウジの原油生産量は日量720万バレル、東西パイプラインを使えば計算上はほぼ全量出荷できることになります。
しかし、過去にはルート途上の治安問題や積み出し基地であるヤンブー原油ターミナルの能力が実証ささていないためにそこまでの実績はありません。
また、UAEもホルムズ海峡を通らない積み出し港への「アブダビ原油パイプライン(ADCOP)」を保有しており、日量150万バレルを輸送できるとされないます。

ただしすでに保険料は値上がりしているために、これを忌避してホルムズルートを回避する動きがひろまっていますから、早急に手を打つ必要があります。

  

 

 

2026年3月 4日 (水)

まんまとトランプの網にかかったイラン

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昨日の記事からの続きになります。
山路さんがご指摘のとおり、イランの全方向攻撃という悪手の原因は、かれらの最高指導部が完全に消滅してしまったからです。
独裁国家において唯一の頭脳の役割をしていた部分がなくなってしまったために、手足が勝手なことを始めました。
革命防衛隊はホルムズ海峡をを通過する船舶を攻撃してみたり、英軍基地のあるキプロスまでミサイルを発射する有り様です。
もう戦略もクソもない、ただの肉体的脊椎反応のようなもんです。
ま、イランという恐竜は頭を潰されても、腰にある小さい脳味噌、正確に言えば神経の塊は生き残ってヒクヒクやっているということです。
これを生命力といっていいものかどうかわかりませんが、米軍とイスラエルは丹念につぶしていくのでしょうな。

ハメネイ暗殺に関して、イスラエルからかなり詳細な情報がでてきました。
実行部隊はイスラエルのようで、数カ月前からモサドとCIAが共同で網を張ってハメネイを追っていました。

「数カ月にわたりイスラエルと米中央情報局(CIA)を含む米国の情報機関は、まさにその瞬間を狙ってイランの最高指導者ハメネイ師をひそかに監視していた。
事情に詳しい5人がCNNに語ったところによると、情報機関はハメネイ師の日々の行動パターン――どこに住み、誰と会い、どのように連絡を取り、攻撃の脅威があった場合どこに退避する可能性があるか――を監視していた。また、ハメネイ師と同じ場所に会することはまずなかった、イランの政治指導者や軍の高官らの動向も追っていた。
そして、ここ数日の間に好機を見いだした。ハメネイ師を含むイランの高官らは先月28日午前に首都テヘランでハメネイ師の執務室を備えた自宅のある敷地内の別々の場所で会合を予定していたのだ」
(CNN3月2日)
米CIA、極度に用心深かったハメネイ師をどのように殺害したのか(1/2) - CNN.co.jp

これは開戦一撃目でハメネイとその指導部を斬首するためでしたが、そのために米国は前段のジュネーブにおける2月26日の高官協議であえて最終提案をします。
米国がイランに示した提案は、イランのウラン濃縮水準を5%未満に引き下げ、核開発を民生用に転換することを主な内容としていました。
具体的には、核施設の解体とウラン備蓄の削減です。
この米国提案をイランは拒否し、代わりに核プログラムに関する「控えめな譲歩」を提案しました。
ただの時間稼ぎで、イランは妥結しようという気はまったくなかったはずで、たぶん多少の核施設を廃棄するか、核濃縮を止めるという口約束でお茶が濁せると踏んでいたのでしょう。
相手が悪かった。オバマならこの手が通用してイラン核合意2026年版でもぶちあげればなんとかなったんでしょう。
しかし相手は国際法を屁とも思わないマッドマンランプだったから始末が悪い。

時間稼ぎをしていたのは、実はトランプでした。
この男は、空母打撃群や空軍が完全に集結するまでおしゃべりをして引っ張ってたいただけでした。
そしてイランと水面下で協議して、徹底的にイランの軍事力を根こそぎする軍事オプションを練らせていました。
その第1撃がハメネイの抹殺です。
ベネズエラで予行演習したとおり、トランプは開戦劈頭で指導者を「斬首」します。
この方法は、たぶん北朝鮮や、あるいは米中戦争が勃発したばあいにも応用されることでしょう。
正恩は心底ゾっとしたことでし、来月会談予定の習近平もいやーな気分になったことでしょう。

さて、米国が最終提案を突きつけた目的は、このハルノートを受諾するか否かを最高指導部に持ちかえらすためです。
イランは米国の思惑どおりテヘランのハメイニ邸での会議に指導部全員を集めて会議をしようとしました。
これを待っていたのがモサドとCIAでした。

「イスラエル側の関係者によると、極度に用心深いハメネイ師は日中の方が攻撃されにくいと感じ、警戒を緩めていたという。
夜間に予定されていた攻撃計画は日中へと修正された。
イスラエル時間午前6時ごろ、イスラエル軍機が敷地に空爆を仕掛けた。これが米国とイスラエルが協調した一連の攻撃の口火となった。情報筋によると、イスラエル軍機は高精度弾薬と長距離ミサイルを装備していた。指導者らがいた三つの建物は同時に攻撃され、数時間後、トランプ米大統領はハメネイ師の死亡を発表した」
(CNN前掲)

そしてイスラエル軍が精密爆撃を実施しました。

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CNN.co.jp

まさに根こそぎというにふさわしい徹底した一撃でした。

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論評は控えます。
このような方法が国際法に準しているかどうかなどと、このマッドマンに聞いてもまったく無駄だというだけのことです。
これがトランプのニューノーマルなようです。

 

2026年3月 3日 (火)

イラン、自業自得で四面楚歌

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別にイランを応援する気などサラサラないんですが、それにしてもひどすぎます。
いったい勝つ気があるんですか、あんたら。
あんたらが面しているのは、おそらく世界最強の軍事資産を持つ米国と、中東最大の軍事マシーンを持つイスラエルです。
どちらかひとつでも勝つのは難しいのに、この二国が共同で作戦行動をとっているのです。

たとえば米国中央軍の軍事資産はこうです。

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U.S. Central Command(@CENTCOM)さん / X

これだけ米国は兵力の集中を完成してから開戦しています。
この上に、ジェラルド・フォード空母打撃群は、今イスラエルのハイファ沖にまで来ていますから参戦するのは間近です。
そうなったら、まぁ考えないでもわかりますね。

したがってイランに多少の勝機、あるいは正気があるとすれば、こうするしかなかったはずです。
まず、敵を団結させない、これが大原則です。
個々の思惑や利害を刺激して徹底して分断することです。
米国とイスラエルを分断する、G 7を分断する、中東諸国を分断すれば多少は楽になるはずです。

そのためにはどうするべきなのでしょうか。
まず主敵である米国には利権をたっぷりと嗅がせ、国内世論に反戦運動を起こし、議会をイラン戦争反対に導く。
イラク・アフガン
戦争の泥沼を思い出させるのはグッドです。
そのためのメディア工作を徹底してしかけることです。
そしていかにイランは平和を望んでいるのか、国内融和を追及してきたか嘘八百並べなさい。
実際、ベトナムはこれで戦闘では負けても戦争に勝ちました。

次にG7の弱い環を狙うことです。
どこかってもちろん西側唯一の親イラン国である日本と、米国最大の同盟国である英国が狙い目です。
それをナニをトチ狂ったのか、戦争直前にNHKのテヘラン支局長を刑務所にぶち込んでしまいました。
取材中のジャーナリストを刑務所にぶち込むとは、ケンカ売っているんですか。正気を疑います。

Radio Free Europe/Radio Liberty
「イランが日本のNHKの支局長を逮捕し、テヘランにある悪名高いエビン刑務所に移送したと、2人の情報筋が明らかにした。支局長は、エビン刑務所第7区に収容されているとみられる」

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悪名高い“エビン刑務所”とは…NHK支局長イランで拘束か 緊迫続く国内情勢の影響か

ベタベタに親イランだった石破政権のときに起きたイスラエルの核施設空爆時の岩谷外相の発言はこうでした。

現地時間6月13日(日本時間同日)、イスラエルがイランの核関連施設等に対して攻撃を行いました。米・イラン間の協議を始め、イランの核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続している中、軍事的手段が用いられたことは到底許容できず、極めて遺憾であり、今回の行動を強く非難します。
イスラエルによるイランに対する攻撃を巡る情勢(外務大臣談話)|外務省

イランの核開発を棚に上げて、「イスラエルの攻撃は遺憾で容認できない」そうです。

一方、今回の茂木外相はこうです。

日本時間2月28日、米国及びイスラエルは、イランに対する攻撃を実施したと発表しました。政府として、関係国と緊密に連携して情報収集を含めた対応に努めています。また、(1)イラン周辺国を含む地域全体の邦人保護、及び、(2)海路・空路の状況把握と関係者への情報提供に、引き続き万全を期していきます。
イラン情勢について(外務大臣談話)|外務省

さらに茂木氏はこう記者会見で答えています。

国際的な核不拡散体制の維持のためにもイランによる核兵器開発は決して許されません。また、我が国としては、従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきました。その上で、我が国としてこれまで関係国等とも連携しつつ、イランの核問題の解決に向けた外交努力を行ってきたところであります。
 そして、米イラン間の協議は、イランの核問題の解決のために極めて重要であり、我が国としてこれを強く支持をしてきました。イランは核兵器開発及び地域を不安定化させる行動をやめるべきであります。
 エネルギー安全保障を含む中東地域の平和と安定、そして国際的な核不拡散体制の維持は、我が国にとっても極めて重要であり、事態の早期沈静化に向けて、国際社会とも連携し、引き続き必要なあらゆる外交努力を行ってまいります。 淡々と情勢を気辺手いるだけで、価値判断は口にしていません。
茂木外務大臣臨時会見記録|外務省

「イランは核兵器開発及び地域を不安定化させる行動をやめるべき」だとはっきり言っています。
政権が違うとここまで日本の対イランの温度が変化するのです。
つまり、日本が切り崩される可能性はないということです。

次に英国です。
当初、英国労働党政権はディエゴガルシア基地の使用を拒否していました。
かつての泥沼化したイラク戦争に懲りていたからです。

「英国政府は、イランへの攻撃の可能性がある場合に、米国がチャゴス諸島のディエゴガルシア軍事基地を使用することについて、許可を保留していると、Bloombergが事情に詳しい関係者の話として報じた。
この決定は、ドナルド・トランプ米大統領が中東に軍事資産を集結させ、イランの核開発計画をめぐる交渉中にテヘランへの圧力を強めている中で下された。水曜日、トランプ大統領はインド洋のディエゴガルシア基地と英国の飛行場が、仮定上の米国によるイラン攻撃において重要な役割を果たす可能性があると述べた。
木曜日、関係筋がBloombergに語ったところによると、英国は国際法への懸念やその他の考慮事項により、このような攻撃のためにこれらの基地を使用する許可を与えていない。ディエゴガルシアは6月の米国によるイラン攻撃では使用されなかった」
(Investing.com2月20日)
英国、イランへの攻撃でのディエゴガルシア基地使用を米国に許可せず 執筆: Investing.com

ところがなんとイランはなにを血迷ったのかキプロスにある英軍基地を攻撃しました。
これで英国は自衛戦闘にたたざるを得なくなりました。

「キプロス島の英空軍アクロティリ基地が2日未明、イランのドローン(無人機)の攻撃を受けた。英国防省とキプロス政府は2日、被害は限定的で死傷者はいないと説明した」
(ロイター3月2日)
キプロスの英軍基地にドローン、イランのシャヘド型 人的被害なし | ロイター 

その結果、当初は米国に対する支持をしていなかったスターマー首相は態度を変えます。

「スターマー英首相は1日のビデオ声明で、イランによる中東各地への報復攻撃を阻止する防衛的措置として、米国の要請に応じ、米軍に英軍基地の使用を認めたと表明した。攻撃には参加しないと強調したが、イランの攻撃が激化する中、英国を含む欧州主要国は関与へと傾斜しつつある。(略)
一方、イランによる攻撃で危険にさらされる中東地域の英国民を守る「責務」に言及し、英空軍の戦闘機が既に防衛目的の任務に従事していると述べた。その上で、「イランの脅威を取り除く唯一の方法は、ミサイル拠点を破壊することだ」と指摘した。

英紙ザ・タイムズなどによると、英国はインド洋ディエゴガルシア島にある米軍と共同使用する基地と、英国内の基地の使用を認める」
(読売3月2日)
イギリスがアメリカ軍の基地使用認める、スターマー首相表明…「攻撃には参加しない」と強調 : 読売新聞

たぶん英国は既に小規模の空軍を派遣しているようです。

そして近隣の中東諸国には、イランがいかに「アラブの大義」に対して献身してきたのかを訴えて、米国とイスラエルの攻撃に反対するか、最低でも中立の立場をとるように訴えるべきでした。
それがなんとまぁ、イランはほぼすべてのアラブ諸国を攻撃し始めたのですから話になりません。

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Xユーザーの@japan_indepthさん: 「ドバイの高級ホテル、ブルジュ・アル・アラブがイランのドローン攻撃を受け、炎上中

UAE自慢のドバイの象徴ブルジュ・アル・アラブをドローン攻撃して炎上させ、続いてドバイ国際空港を燃やし、サウジの首都リヤドや東部地域も攻撃し、この決して仲がよいとはいえない二国に米国支持に走らせてしまいました。
他にもバーレーン、カタール、クウェートなどが攻撃対象となりました。
この事態を受け、アラブの盟主サウジはイランへの反撃を表明しました。

「ムハンマドUAE大統領の上級外交顧問であるアンワル・ガルガシュ氏は、「正気に戻り、周囲の状況を直視すべきだろう。孤立とエスカレーションの輪が広がる前に、分別と責任をもって近隣諸国に向き合ってもらいたい」とX(旧ツイッター)で呼び掛けた。
「あなた方の戦争は近隣諸国とのものではない。このエスカレーションによって、イランを地域における最大の脅威と見る人々の主張を裏付けてしまっている」とガルガシュ氏は続けた。
サウジアラビア外務省は、2月28日に始まった米国とイスラエルの攻撃に対するイランの報復に「断固とした」国際的対応が必要だと主張。カタールは、オマーンのドゥクム港に対するイランの攻撃を「卑劣」と表現した。
イランは米国とイスラエルによる空爆に対抗して、イスラエルや近隣のアラブ諸国に報復攻撃を仕掛けているが、アラブ諸国の当局から出てきたこうした発表文は、イランの孤立が深まっていることを示す」
(ブルームバーク3月1日)
「正気に戻れ」、アラブ諸国がイラン批判強める-報復攻撃拡大で - Bloomberg

こうして中東諸国は団結して地域共通の脅威であるイランに反撃態勢をとろうとしています。
まさに四面楚歌。自業自得とはいえ、これで勝てたら奇跡です。

 

2026年3月 2日 (月)

米国とイスラエル、イランを攻撃

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米国とイスラエルのイラン攻撃が始まりました。一方で協議を継続しながらの開戦です。
そしていきなりベネズエラと同じようにイランの中枢中の中枢であるハメネイを殺害しました。典型的な斬首作戦です。
当初はまさかと思っていたのですが、イラン国営放送が死亡を正式に確認し、40日間の服喪すると報じています。
なお大都市では国民が街頭に繰り出して歓呼の声を上げているようです。


「アメリカとイスラエルは2月28日、イランへの攻撃を実施したと発表した。ドナルド・トランプ米大統領は同日、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師(86)が、アメリカとイスラエルの攻撃によって殺害されたと発表した。イラン国営テレビも現地時間3月1日早朝、ハメネイ師が死亡したと報じた。
イラン国営放送では、司会者が涙を流しながらハメネイ師の死亡を伝え、40日間の服喪期間に入るとした」
(BBC3月1日)
イラン国営テレビの司会者、最高指導者ハメネイ師の死去を発表 - BBCニュース

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BBC

ハメネイはテヘランの公邸で爆撃され死亡しました。
また軍高官も総参謀長、革命防衛隊司令官らも死亡したようです。

「イランの国営テレビは1日、イラン軍のアブドルラヒム・ムサビ参謀総長が、他の高官とともに米国とイスラエルによる攻撃で死亡したと報じた。
ムサビ氏に加え、アジズ・ナシルザデ国防軍需相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長で最高指導者アリ・ハメネイ師の顧問を務めたアリ・シャムハニ氏も2月28日の攻撃で亡くなった人物として挙げられた。報じられるところによると、高官らは「防衛評議会の会合中に」死亡したという」
(AFP3月1日)
イラン軍参謀総長ら死亡、会合中に攻撃受ける 国営テレビ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News

攻撃方法は発表されていませんが、ハメネイは地下の防護施設にいたはずですから地中貫通爆弾をつかったのかもしれません。
たぶん前回の核施設攻撃でも明らかになりましたが、イランのロシア製防空システムは無効化されていますからB-2には抗す術すらなかったはずです。
それ以上にハメネイや軍高官の居場所を特定出来る諜報能力のすさまじさに唖然となります。

イランは服喪期間の間に後継者を定めて新たな神権体制を作るはずです。
ハメネイはすでに86歳の高齢であり、前回の6月の米軍空爆以来、自身が死亡した場合に備えて後継者候補を複数名指名したとされています。

「最高国家安全保障評議会のアリ・ラリジャニ氏は1日、国営メディアを通じ、ペゼシュキアン大統領や護憲評議会の法学者などで構成する指導者会議を設置したと明らかにしました。
イランの憲法では、最高指導者が死亡したり退任した場合は88人のイスラム法学者で作る専門家会議が後継者を指名することになっています」
(テレ朝3月1日)
ハメネイ師の権限代行「指導者会議」設置 近く後継者決める専門家会議開催か(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース 

当分はこの「指導者会議」が合議制で対応し、国家の最高機関である「専門家会議」が後継者を指名する運びとなるでしょう。

イランはかねてから「攻撃されれば自衛する権利がある」と主張してきました。
イランはバーレーンやイラクなど米軍の駐留先の中東各国にミサイルと無人機を使い米兵3名が死亡したとされています。
このようなドローン攻撃には限界があります。

一方、本命の報復は、ホルムズ海峡を封鎖をすることですが、今回もまた船舶攻撃を仕掛けています。

「英国の海事機関「UKMTO」は2月28日、海上エネルギー輸送の要衝・ホルムズ海峡の封鎖に関する複数の報告を受けていると明らかにした。UKMTOは、報告が事実なのかどうかは確認できていないとした。
UKMTOの発表によると、ペルシャ湾を航行中の複数の船舶会社から、「無線を通じてホルムズ海峡が封鎖されたとの知らせを受けた」との報告があったという。UKMTOは「状況は極めて流動的であり、引き続き監視し、必要に応じて追加情報を更新する」とした」
(朝日3月1日)
ホルムズ海峡「封鎖に関する複数の報告」と英海事機関 確認はできず(朝日新聞) - Yahoo!ニュース

すでにイランは去年の段階で、ペルシャ湾で艦艇に機雷を積載したと報じられていますが、ホルムズ海峡の閉鎖は、世界の石油・ガス輸送の要衝であり、その準備だけで原油相場は高騰するでしょう。
日本はこの水域に原油の9割を依存していますし、G7諸国やインド、同盟国の中国にまで大きな影響を及ぼします。
しかしこれは自分の首を絞めることになります。

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時事

「バンス氏は産油国イランの経済全体がホルムズ海峡に依存していると指摘。「彼らが自国経済を破壊し、世界経済の混乱を招きたいなら、それは彼らの決断だ」と突き放した。
その上で、ホルムズ海峡封鎖が「イランにとっても、誰にとっても理にかなっていない」と話した。
バンス副大統領は、封鎖を「イランにとって自殺行為だ」と述べています。イランの経済全体はホルムズ海峡に依存しています」
(時事2025年6月23日)
イランにとって「自殺行為」 ホルムズ封鎖なら―米副大統領:時事ドットコム

しかしイランが封鎖行動に出たとしても、かつての米軍との衝突でイランは元々貧弱な海軍力の25%を喪失しており、上の写真のような海賊まがいボートで襲撃するかしかない状態です。

もちろんペルシャ湾は中東の原油輸送の大動脈で、仮に実施されるという情報が出ただけで、わが国も大きな影響を受けることになります。
ただし昨年6月に米・イスラエルと交えた「12日間戦争」ではイスラエルや中東の米軍基地を攻撃していますが軽微な損害しか与えられず、ペルシャ湾封鎖まではできませんでした。
その能力が欠落しているのです。

湾岸諸国に対する攻撃も始まっています。

「世界で最も利用者の多い空港の一つであるアラブ首長国連邦(UAE)ドバイの国際空港で1日、イランによる攻撃があったと伝えられる中、乗客が避難する出来事があった。イランが、米国と友好関係にある湾岸諸国の交通の拠点に対して攻撃を行った。
映像には、煙が充満したドバイ国際空港の通路から人々が逃げ出す様子が映っている。当局は職員4人が負傷したと確認した。
空港当局は避難のきっかけについて明らかにしていない。ロイター通信は、情報筋の話として、夜間のイランによる攻撃で空港のターミナルの一つが損傷したと伝えた」
(CNN3月1日)
イランが湾岸の主要渡航拠点を攻撃、煙が充満したドバイ空港で乗客避難 - CNN.co.jp

一方、米国は勝利宣言をしています。

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XユーザーのThe White Houseさん

あいかわらずの能天気ですが、今後のイラン情勢はイラン自身よりもどこまで米国が軍事力を行使するのか次第にかかっています。
作戦名は「大いなる怒り」(Operation Epic Fury )だとか。あいかわらず万能感に溢れたネーミングです。

 

 

2026年3月 1日 (日)

日曜写真館 夕焼けて朝焼けて田の出穂の日日

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大蜘蛛しづかに網張れり朝焼の中 種田山頭火

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帯なす朝焼黒人霊歌は女声高し 金子兜太

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朝焼けてただただきのふよりも勢ふ 三橋敏雄

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朝焼に鉄軌を打てりわれを打つ 西東三鬼

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朝焼ほのか藪ひたす水のあふれ落つ 種田山頭火

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