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2024年7月21日 (日)

日曜写真館 ふり止みて再びはげし蓼の雨

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雨あがりつゝ風あらき新樹かな 高濱年尾

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雨止んでもとの青空龍の玉 児玉輝代

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雨上がりたる緑蔭の匂ひかな 行方克己

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雨上がり生命の限り蝉鳴けり 長田一男

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雨上り撒き散らすごと新樹光 松田ひとみ

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山椒の実匂ふとすれば父の国 加藤秋邨 

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顔も膝も蔦の羅漢や夏近き 渡辺水巴

 

 

 

2024年7月20日 (土)

モディの一突き

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1週間前に書いたのですが、暗殺未遂事件がおきてお蔵入りになっていました。
あまり遅くなると間が抜けるので、アップしておきます。


こういうのをうまいと評していいのか迷うところですが、巧みであることは間違いないでしょう。

インドのモディ首相がロシアを訪問し、プーチンと会談しました。
プーチンはニカニカしていますが、そこは狡猾なモディはちゃんとこういうことを言っています。

「ロ印首脳会談 中立を維持するインド、軍の装備品などをロシアに依存し、一方で西側との軍事協力を拡大しているインド、米国や西側社会ともロシアとも微妙な距離感覚を保っている。(略)
また、経済的にも経済制裁の効果が明確化しており、さらに追い込まれている状態にある。これは真綿で首を絞められているようなものであり、協力という名目であるがインドはロシアの持つ技術(原子力など)を買いたたく形になっている」
(ロイター7月10日)
ロ印首脳会談、緊密協力で合意 モディ氏、人命損失を公然と批判 | ロイター (reuters.com)

オモチャの兵隊がしゃっちょこばって迎える中で穏やかに会談は始まっているようですが、プーチンは数少ない「友好国」から真綿に針をつつむようにしてグサリと刺されています。

「今回の首脳会談では、ウクライナ問題による人命損失を批判 これまで友好国に公然と批判されたことがなかったプーチンにとっては痛手となる。記者会見でもモディに完全に主導権を奪われた形となった。戦争が長期化する中で、軍人と装備品の消耗が進んでいる」
(ロイター前掲)

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ロイター

こはれはキーウをプーチンがミサイル攻撃したことに対する批判です。

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BBC


「ウクライナ各地で8日、ロシア軍のミサイル攻撃があり、少なくとも41人が死亡、166人がけがを負った。首都キーウでは小児病院がミサイルの直撃を受けた。ウクライナ最大の小児科施設であるキーウのオーマトディト小児病院は、爆発で大きな被害を受け、2人が死亡した。
レシア・リシッツァ医師はBBCに対し、ミサイルが落ちた瞬間は「ものすごい光と恐ろしい音」で「まるで映画のようだった」と語った。
「病院の一部は破壊され、別の場所では火災が起きた。本当にひどい損傷を受けた。病院の60~70%が被害を受けたと思う」
(BBC7月9日)
キーウの小児病院にミサイル ロシア軍がウクライナ各地を攻撃、死者40人超 - BBCニュース

さすが鋼鉄製の顔面皮膚を持つ独裁者は、あれは「民間目標を意図的に攻撃したというキーウ政権の声明は虚偽だ。小児科病院に落下したのは防空システムから発射された迎撃ミサイルだ」と言っていますが、もちろんウソです。
どうしてすぐにバレるようなことを言うかね、小児科病院からは多数のロシアの巡航ミサイルの部品が見つかっているのです。

「ロシア軍のKh-101(Х-101)巡航ミサイルのジェットエンジンの一部が発見されています。ジェットエンジンという時点で巡航ミサイルであることは確定します。地対空ミサイルは固体燃料ロケットモーターで推進するため、このような部品を持ちません」
(JSF7月11日)
ウクライナ保安庁が小児病院の破壊痕からロシア軍Kh-101巡航ミサイルのエンジン部品などを新たに回収(JSF) 

現場にいた証人たちはキーンというジェット音を聞いた後、物体が病院に突入するのを目撃しています。
超音速で落下してくる迎撃ミサイルはジェット音を出しませんし、目では見えません。
平気で「友好国」首脳にウソを言うとはさすがです。
モディさんはこんな言い訳の裏側を知りながら、あえてこういうことを言って、プーチンに下写真のような顔をさせています。
視線を逸らしてすっとぼけようとしているのでしょうが、きっと内心はこのクソジジィ、厭味垂れやがってナローと思っているんでしょうね。

「戦争やテロ攻撃で無実の子供が死ぬことは心が痛む」とも語った。具体的な攻撃の主体には言及しなかったが、露軍の8日のミサイル攻撃がキーウの小児病院などに着弾し、多数の死傷者が出たことに懸念を示した」
(読売7月10日)
インドのモディ首相、プーチン氏と会談「爆弾と銃ではなく対話で解決すべきだ」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp) 

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ロイター

いまや、明確なロシア支援を示しているのは北朝鮮一国くらいで、戦争資源は枯渇して砲弾やミサイルすら北朝鮮の粗悪品を緊急輸入して凌いでいるありさまです。
それを贖う外貨の調達も非常に難しくなっていて、いままで中国の人民元を利用し、第三国を通じて経済制裁逃れをしてきました。
しかし米国は人民元決済に協力する中国の銀行に警告を発し、これを行ってきた第三国支店などを2次的経済制裁(セカンダリー・サンクション)の対象にしました。
これにより、第三国を通じた貿易決済も難しくなり始めています。
ただし、ロシアは原油・LNGなどの資源国であり、世界有数の武器輸出国であるため、バーター取引は未だ可能です。

2022年、ロシア中銀総裁は、このまま推移すればロシアではモノが作れなくなると発言しました。

「ロシアで製造されるすべての製品は輸入部品に依存する」とし、西側の輸出制裁でロシア企業はサプライチェーンを移すか、自ら部品を調達するなどの対策を講じなければならないと述べ、また、西側の制裁で6000億ドル(約77兆円)に達する外貨保有高と金の半分が凍結された状態であることを認めた。
NYTはプーチン大統領の楽観的予想とは相反する予測が方々から出ているとし、国際金融機関らは今年のロシア経済が10~15%縮小すると予想していると伝え、ロシア中央銀行は、消費財価格が昨年より16.7%上昇したと述べた」
(ニューヨークタイムス2022年4月18日)
ロシア経済の厳しい評価はプーチンのバラ色の主張と矛盾する-ニューヨークタイムズ (nytimes.com)

ロシア経済がこれだけ経済制裁をかけられながらも、なんとかもっているのは、発展途上国タイプのモノカルサャー経済だからです。
国家経済は、原油、LNG、木材、金属などの資源の輸出によって成り立っており、唯一世界と対等の競争力を持つ製造業は軍需産業です。
軍需産業はそこそこの性能のものを西側より格安で売って世界第2位に上り詰めた、ワン&オンリーの輸出産業です。
ミグとスホーイのブランドを持つユナイテッド・エアクラフト社、戦車ならロスティック社、通信機器のバイカルエレクロニクス社などがそうです。

戦車や戦闘機産業は、ロシアの唯一の輸出工業製品であり、かつ世界の大国としての威信はこの軍事力に依存していました。
世界に大量の武器類を輸出することで、その国を政治的に従属させる力にしていました。
カネ儲けできるうえに世界の大国ヅラできるて、一粒で二度おいしい、これが武器輸出なのです。
ところが戦車と航空機というふたつの翼のうち、戦車は自分が引き起こした戦争で大蔵浚えをしてポンコツを直して戦場に送り出しているありさまです。
航空機だけは防空ミサイルが怖くてまともに戦場上空を飛ばしていないので温存されているというありさまです。
ここで「唯一の友好国」のインドに航空機を売って外貨を稼がないでどうする、これが切なる本音だったはずです。

モディはそんなプーチンの下心を読み切って人道的非難をやんわりと言ってみせたのでしょう。
インドはソ連時代からロシア製戦闘機を大量に買っていました。

しかしいまやそのロシア製戦闘機を使って、日本の空自と共同訓練するまでになっています。
今年1月10日、インド空軍のSu-30MKI戦闘機が空自の百里基地に訪問し、日印戦闘機共同訓練「ヴィーア・ガーディアン23」を実施しました。

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インド空軍Su-30MKI、百里基地に到着 日本初飛来、空自と共同訓練 (aviationwire.jp)

わ,はは、ロシアは自分が売った機体で、日印共同訓練をやられているのですからざまぁありません。
ちなみに、いままで秘密のベールに隠れていたこの最新鋭のSu-30MKI戦闘機に空自パイロットたちが同乗し、気前よく質問に答えてもらったそうです。
なんというインドのしたたかさ。


今回の印露首脳会談の裏でも、随行のインド商人とロシアの航空機製造会社がドンパチやりあったのでしょうが、どちらが有利かは考えなくてもわかります。

 

 

2024年7月19日 (金)

だれが米国を分断したのか

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トランプ暗殺未遂事件で、これでほぼ決着と私は感じていましたが、そうは思わない専門家諸氏は大勢いるようです。
アメリカ現代政治外交が専門だという前嶋和弘教授はこう述べています。

「「トランプ氏に同情票が流れるのでは?」とも推測されている選挙戦への影響について次のように述べた。
同情票についてはなんとも言えない。確かに、1981年3月にレーガン氏が現職の大統領の時にヒルトンホテルの前で撃たれて入院した際には支持率が20ポイントも上昇した。だが、その時はアメリカが“一つの世論”とでも言うべき状況だったが、今のアメリカには保守系とリベラル系の2つの世論がある。分断の時代において、大統領という1人に対する見方も保守とリベラルとでは大きく違う。そのため、このままトランプ氏が圧倒的に勝つとはちょっと考えにくい。
今回の襲撃を受け、SNSなどを通して団結を呼びかけるトランプ氏と、 襲撃に対して「標的」などの言葉を使ったことで周囲から追求されるバイデン氏。これを「これまでと構図が逆転している」と見る向きもあるが、これに対し前嶋氏は「短期的なものだ」と否定した」
(ABEMAタイムス7月18日)
専門家「襲撃でトランプ氏に“同情票”が流れる」に疑義 大統領選への影響は?(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース

う~ん、「短期的影響しかない」ですか、前嶋さん。
そもそも「同情論」ということで暗殺未遂事件を見ようとすること自体、そうとうにハズしています。
たぶんこの前嶋氏は大方の米国研究者がそうであるように、民主党サイドからモノを見ているのでこう見えます。
トランプは別に同情なんぞされたくないはずですよ。
民主党から「流れる」としたら同情ではなく、「暴力に屈せずにファイティングポーズを取り続けるというタフさに対する「賛辞」です。
多くの米国人は、じぶんの国が内部からガタガタになり、崩壊しようとしていることに漠然たる脅威を感じています。
少なくともこれはじぶんが育った祖国ではないと思い始めています。
しかしそれを形にして政治のテーマとし、さらに行政化したのは大統領としてのトランプただひとりでした。

暗殺未遂事件は、このようなアイコンを暴力で抹殺しようとした事件でした。
しかしトランプは奇跡的に死ななかった
銃撃されていったんは伏せたものの、直ちに護衛をはね除けるように立ち上がり、拳を天高く振り上げて星条旗を背景に聴衆に向かって「戦え!」と叫んだのです。

前嶋氏は「分断の時代」と言い、明示こそしませんでしたが、その責任はトランプにあると言いたいようです。
ほとんどすべてのメディアが、トランプが米国を分断したと無条件に決めつけて「米国の分断を深めたトランプ」という表現をあたりまえにしています。
果たしてそうでしょうか。
私の認識は真逆です。
米国を分断させたのは、民主党が支援したBLMやポリコレであり、トランプはそれを食い止めようとしたと思っています。
トランプはその粗野な態度で誤解されていますが、彼は力を抑止力として考えています。
ですから直接的な軍事行使は限定的であり、国内に対しても同様に抑止的です。

米国のBLMは、「黒人差別反対を叫ぶ我々に反対する者たちは反動的で、過去の黒人奴隷所有者は例外なくすべて糾弾されるべきだ」と言って、自国の歴史と文化を裁断しようとしました。
自国の歴史を当時を生きた人たちとは無関係に、今の価値観でバッサリと唐竹割りにできるものではないし、それを国民大衆に押しつけるのは止めて欲しいものです。

しかしこのての運動は言論の自由を口にしながら、その実、極めつきの統制主義です。
価値観を一般の国民にまで強制し、言葉狩りをするのを常とします。いわゆるポリコレです。
ことの発端は警官による黒人殺害事件でしたが、この事件によってBLM運動が爆発し、それはやがてアンティファ(アンチファシスト委員会)による暴動と、そして歴史的記念碑の暴力的破壊へとつながっていくことになります。

というのはBLMはこのような性格を持っていたからです。
米国在住の中国人ジャーナリストの何清漣はこう語っています。

「私は最近、自分の原稿の中に、この運動(BLM運動)と中国文革にはよく似たDNAがあると書いた。なにかって?みなさんご存じのように中国の文革の核心はマルクス主義であり、マルクス主義の核心理論は暴力革命。
既存の国家メカニズムを破壊し、新たな国家メカニズムを打ち立てること。これはなぜ民主党が首長の各州で警察機構がマヒしているかの理由でもあろう。
文革期の公安、検察、裁判所で同様の打ちこわしがあったことと同じだ。このようにして初めて、法執行機関の介入なしに、すべての“四旧”を好きなようにできるのだ」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ) NO.103  2020年6月28日)

BLMは米国版文革運動であり、アンティファは紅衛兵だ、そう考えると分かりやすいのではないでしょうか。
もちろんこの紅衛兵たちを仕掛けた者がいるのです。竹のカーテンの向こう側に。

当初は、歴史的記念碑の破壊運動は、南軍の将軍像を破壊することから始まりました。
なぜって?敗軍の将ならバッシングしやすいからにすぎません。
これは発端でしかなく、BLMはあっと言う間にエスカレートしていきます。

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AFP

「【6月5日 AFP】米バージニア州のラルフ・ノーサム知事は4日、州都リッチモンドにある南北戦争時の南軍司令官、ロバート・E・リー将軍の像を「できるだけ速やかに」撤去するよう指示したことを明らかにした。
リー将軍が率いた南部連合(Confederate States of America)は奴隷制度を擁護していたことから、将軍像の周辺のモニュメントアベニューでは連日、黒人男性ジョージ・フロイドさんが警官に拘束された際に死亡した事件に抗議するデモが続き、像への落書きも相次いでいる」AFP2020年6月5日)

このバージニア州知事は民主党員で、こののち猖獗をふるったBLMとその突撃隊のアンティファ暴動を幇助し続けたのもまたことごとく民主党系知事ばかりでした。
彼らの特色は、BLMの要求どおり、「反動的な銅像」を撤去し、商店が略奪されても州兵も出さず、むしろ警官にはてぬるい規制を命令し、果てはシアトル市長のようにアンティファが「解放区」を作れば「愛の夏が始まった」と歓喜の声を上げたほどです。
こうなるともうアンティファの共犯者です。

この後にBLMは、シアトルに銃による武装解放区をつくろうとしました。
この解放区の中にあった警察署の署長は黒人女性でしたが、撤収命令に強く抗議をしましたが、民主党系市長は握りつぶします。
トランプ陽性判定とシアトル自治区の「愛の夏」の結末: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

しかしこのコンミューンはわずか一カ月で内部崩壊を起こします。
お定まりの略奪・暴行、そして黒人少年が殺害される事件まで起きたからです。

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出典不明

しかし、彼らの共犯者であるシアトル市長と州知事(これも民主党)は、なにひとつ責任を問われることがありませんでした。
むしろ民主党系リベラルのメディアと政治家たちは、BLMとアンティファの暴走を支援しました。
たとえば2021年8月、ニューヨークタイムスは「1619プロジェクト」と称する12本のシリーズ特集を掲載しました。
これはリベラル左翼による米国建国史に対する修正要求でした。
ここに出てくる1619年とは、
黒人奴隷が独立前のバージニア植民地に初めて連れて来られた年で、そこを米国建国の年としようとする考えでした。

そして米国の民主党系メディアの代表であるニューヨークタイムスは、以後の米国史は、とりもなおさず黒人奴隷の迫害の悲劇の歴史であって、ここを軸に展開してきたとします。
そして実は1776年の米国の独立は汚辱にまみれたもので、その本当の動機は奴隷所有者である建国の父たちが奴隷制維持を企んだからだ、と主張します。
つまり建国の父たちは奴隷所有者であって、腹黒い差別主義者、悪人だというわけです。
この「1619プロジェクト」は、掲載中から多くの事実誤認を歴史学者に指摘されており、これにピューリツァ賞を与えてしまった際には、米国科学アカデミーは、そのようなことはメディアの仕事ではないと抗議しています。

そしてこの左翼メディアの煽動に乗るようにして、BLMは次の標的をとうとう建国の父たち、独立宣言署名者らに移していきます。

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像破壊訴追命じる大統領令 トランプ氏、奴隷制絡

「首都ワシントンでは22日夜、数十人の暴徒がホワイトハウス前の公園に建てられている第7代ジャクソン大統領の銅像をロープや鎖で引っ張って倒そうとしたが、駆け付けた警官隊に撃退された。トランプ氏は暴徒らの行為を「闇討ちだ」と非難した。 デモに参加している一部の黒人運動家や極左系の活動家は、ジャクソンや初代ワシントン大統領、第3代ジェファソン大統領について「生前に奴隷を所有していた」との理由で銅像や記念碑を破壊している。
 銅像などの破壊行為は当初、奴隷制を支持した南部連合政府に連なる政治家や軍人に集中していたが、最近はワシントンといった「建国の父」らを含め、標的が広範囲に拡大している。
有識者からは「現在の尺度で過去を一面的に断罪し、米国が積み重ねてきた歴史を否定する行為」として懸念の声も出ている」
(産経2020年6月24日)

そして当然の流れとして次に襲撃されたのは、「原住民虐殺のきっかけを作った」コロンブス、そして「奴隷制度を守るために独立した」初代大統領ワシントンでした。
うちの国では、ミセスグリーンアップルがコロンブスの格好をしたミュージックビデオが人種差別だと、一橋大の貴堂嘉之教授からこう罵倒されています。

「世界史の教科書作りに長年携わってきた一橋大の貴堂嘉之教授(米国史)は、コロンブスの評価について「2000年代以降は新大陸にたどり着いた航海者ではなく、植民地支配のきっかけになった人物としての位置付けが強まっている(略)
 明らかな人種差別的表現で、植民地支配を容認するように受け止められる。世界基準で判断すれば教養不足と評価されても仕方ない」と語る」
(東京2024年6月19日)
「コロンブス=侵略者」世界基準知らず…「不勉強」が生む過ちとは Mrs. GREEN APPLE炎上で考える:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

こういう米国リベラルの出涸らしみたいな人ばかりが日本の米国専門家のようです。
そしてミセスグリーンアップルに、ウィキくらい調べろと鼻持ちならないエリート主義を吹かせています。おおいやだ、虫酸が走る。

トランプは厳しくこれを批判し、像の破壊をやめるように訴えたのですが、反トランプの濁流にかき消されていきます。
そしてとうとうやり玉に上がったのは、なんとリンカーンでした。
リンカーン像が黒人を見下ろしているのがけしからんというのですから、理屈と膏薬はどこにでも着くとはよく言ったもんです。
どちらが「分断」の張本人なのでしょうか。誰が米国を破壊しているのか。

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AP

このような米国版文革に対して、トランプが出した答えが「1776委員会」を作ることでした。
ここで彼はこういう
大統領令をだします。その冒頭こうあります。
原文はリンク切れなので、高橋克己氏から引用いたします。
トランプの「1776委員会」は米国社会の分断に終止符を打てるか | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp)

「憲法とアメリカ合衆国の法律によって大統領としての私に与えられた権限によ、そしてこれから成長してゆく世代rising generation1776年にアメリカ合衆国建設の歴史と原則をよりよく理解、これを通じてより完全な連邦を作り上げるようにするため、ここに次のように命令る」

そして目的として、こうトランプはこのように述べています。

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「第1条「目的」には、自由と平等の権利を原則にして形成された共和国は、憲法制定、内戦、奴隷制廃止、一連の国内危機と世界紛争を経て歴史上稀な国家となったが、近年、このような歴史に反し、貧弱な学問に基づ一連の論争がが建国建国者中傷しているとある。
そして米国を救い難い組織的な人種差別国と見做すことでは、偉大な英雄の運動奴隷制と公民権に果たした役割を説明できないと述べ、現在、多くの学生自国を憎み、建国した男女英雄ではなく悪役であると信じるように学校で教えられこの歪んだ視点を修正しないと、我々の国と文化を結びつける絆が失われる可能性があるとする

常識的すぎて意外なくらいです。
しかしじぶんの国の建国の理念を守ろうということ自体がリベラルの目には「分断」を進めていると写るのです。
第1期トランプがしようとしたことは、汚泥の中に沈もうとするみずからの国を救助しようとしたことです。
それが故にリベラルの憎悪を一身に集めました。

そして彼がやろうと試みたことの多くは時間切れでした。この1776委員会も出来たのが大統領選前日だったのです。
トランプに2期めが与えられていたら第2条、第3条が具現化されたことでしょう。

「第2条「大統領諮問1776委員会」では、120日以内に教育長官は「1776委員会」を設立し、次の世代がその歴史と原則をよりよく理解できるようにすることが述べられ、会の構成や役割などが列挙される。以下、第3章は9月17日の「憲法記念日の祝い方について、また第4章は連邦資源の活用について述べられ、第5章の一般規定で締め括られる」

チムスターズのオブライエン会長は、わざわざ共和党大会に来て、組合としては個々の判断に任せるとしながらもこう言っています。

「13日の暗殺未遂事件を考えると、人々に好かれようが嫌われようが、トランプ氏は『タフな野郎』だと証明された。そのことに誰も異存はないと思う」
((ロイター7月17日)
バイデン氏に打撃 全米トラック運転手組合、「支持候補なし」へ(ロイター) - Yahoo!ニュース )

トランプは、なにに対して「タフ」なのか。
それはみずからの国の歴史と文化を取り戻すことに対して「タフ」なのです。

トランプを讃美しろとは思いません。
彼は欠点の多い男です。口汚いし、大統領としての品格には乏しく、態度も時に下品で粗野です。
それ故知識人には嫌悪されますが、その言葉は時として国民大衆の魂を鷲掴みにします。
この国民と直接に繋がることができるというのは、類まれな政治家としての能力ではないでしょうか。
それが遺憾なく発揮されたのが、あの暗殺未遂事件でした。

私たち日本人も、彼を頭からファシスト呼ばわりする民主党系インテリに倣う必要はありません。
逆に、トランプの一部支持者のようにまるで救世主のように頭から絶賛する必要もありません。
私はウクライナ政策は間違いだと思っていますから、政策ごとに是々非々を貫くつもりです。

 

 

2024年7月18日 (木)

始まったバンドワゴン効果

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昨日、トランプにはバンドワゴン効果が起きるだろうと書いたところ、さっそく起きました。
バンドワゴン効果とは、時流に乗る、勝ち馬に乗るという意味で、均衡していた情勢があることをきっかけにして雪崩をうって一方に傾くことを言います。
この現象が起きようとしています。

なんとバイデンの巨大票田で、前回大統領選でミシガン、ペンシルベニア、ネバダなど接戦州でバイデンに勝利をもたらした全米トラック運転手労組(チームスターズ)が、バイデン支持を止め、会長が共和党大会でトランプを称賛しました。

「全米トラック運転手組合(通称チームスターズ)の指導部が、11月の大統領選でいずれの候補者も支持しない方針を検討していることが、関係筋の話で明らかになった。チームスターズは130万人の組合員を抱え、2020年の大統領選ではバイデン氏を支持していた。主要労組からの支持を得られなければ、選挙戦からの撤退論が浮上しているバイデン氏には痛手。数週間以内に最終決定する見通しという。
バイデン氏が、大統領選を前に主要労組の支持を失う恐れがある。130万人が所属する全米トラック運転手組合(チームスターズ)は、どの候補者も支持しないことを検討している。最終決定は数週間以内に下される。
チームスターズは2020年の大統領選ではバイデン氏を支持。ミシガン、ペンシルベニア、ネバダなど接戦州で同氏を支えた。
だが関係者によると、バイデン陣営との関係はこの数カ月で悪化しているほか、チームスターズ幹部の一部がバイデン氏の政治的持続性を懸念している。
オブライエン会長は15日夜、共和党全国大会に出席。大統領候補に指名されたトランプ氏を称賛した。」
(ロイター7月17日)
バイデン氏に打撃 全米トラック運転手組合、「支持候補なし」へ(ロイター) - Yahoo!ニュース

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ロイター

上写真はトランプ支持を演説するチムスターズ会長のオブライエンです。
チームスターズは米国民主党の最も大きな支持母体の一つであり、130万人の会員を持つ組織で、歴史的に民主党を支持団体でした。
オブライエン会長はやはり暗殺未遂事件を取り上げてこう言っています。

「ただはっきりしているのは、トランプ大統領は新しく、声高で、しばしば批判的な声にも恐れず耳を傾ける候補者だということだ。
13日の暗殺未遂事件を考えると、人々に好かれようが嫌われようが、トランプ氏は『タフな野郎』だと証明された。そのことに誰も異存はないと思う」
(ロイター前掲)

もう一方の巨大労組の全米自動車労組は、いまのところバイデン支持を崩していませんが、確実に揺らいでいるはずです。
フェインUAW会長はこう言っています。

「(ブルームバーグ): 全米自動車労働組合(UAW)のショーン・フェイン委員長は、11月の米大統領選挙でドナルド・トランプ氏がジョー・バイデン氏を破る勢いだとの認識を示唆し、民主党は「厳しい真実」に向き合わない限り、2016年の選挙の惨敗を繰り返すリスクがあると警告した。
フェイン氏は12日、メリーランド州ボルティモアで開催された会議で、「われわれは最も聞く必要のある人々に真実を話している。それは民主党だ」と発言。「2016年には現実を認めようとせずうまくいかなかった」と述べ、現実と向き合うよう呼び掛けた」
(ブルームバーグ7月13日)
全米自動車労組委員長、トランプ氏がバイデン氏を破る勢いと示唆(Bloomberg) - Yahoo!ニュース

つまりUAWは、バイデンに、というより民主党にいまやトランプに雪崩込もうとしている現実を見よ、なぜそうなったのか知れと言っているのです。
ここにトランプがラストベルト出身で、その悲哀を骨の髄まで知り尽くしているベンスを副大統領に抜擢した意味があります。
副大統領候補だったノースダコタ州知事のダグ・バーガム知事は最有力候補でしたが、トランプは中西部出身者ををあえてはずして、ラストベルト一本にかけたのです。
その理由はイーロン・マスクなどが「彼はエスタブリッシュメントの政治家だ」と批判したことを聞いて決断したと言われています。

ではいま、なにが米国政治地図で起きているのでしょうか。
本質的な地殻変動は、民主党が貧者と労働者の政党であることを止めて、東部の「左翼インテリ」だけの政党になってしまったことです。
米国政治地図は、トランプ以前と以後に分けられます。

かつての共和党は、白人の企業経営者を中心にした上流階級の政党とみなされていました。
彼らは経済のみならず政治も支配し、その既得権益を守ろうとするエリート集団でした。

対する民主党は、ラストベルトの労働者の側に立ち、その代弁者として見られていました。
この構図に従って、社会的弱者やマイノリテイーが民主党を支持し、既得権益者にあぐらをかく者たちが共和党を支持するという図式です。
しかしトランプはこの構図を逆転させました。
不法移民の激増で仕事を追われた労働者のやり場のない怒りを代表するのがトランプ共和党であり、脱炭素を謳い、BLMなどの過激な黒人運動やポリコレを推進するのが民主党というシフトチェンジが起きたのです。

グリーンニューディールを掲げて脱石油を唱え、ガソリンコストを高騰させ、コロナばらまきが嵩じてインフレを引き起こしてしまい国民衆を生活難に陥れたのが民主党した。
また、民主党は意識高い系特有の過度な環境保護政策に走りました。
その矛盾を押しつけられたのが、他でもない自動車産業と運輸産業です。
バイデンは脱炭素政策を強引に押し進め二酸化炭素排出量削減と称してEV車に優遇税制を与え、全米自動車産業の拠点とするガソリン車を作る自動車産業に打撃を与えました。
一部ではEVも作り始めているものの、EV車はガソリン車に比べ、いわばプラモデルのようなもので、高度の技術を必要とする熟練工は不必要となりました。
イーロン・マスクがトランプ支持の先駆けとなったのは皮肉ですが、おそらくマスクはEVの先行きを見通してそこから足抜きしようとしているようです。
このような労働者の現実に向き合わず、メディアの覚えめでたい「意識高い系」エリート運動家の党となってしまった民主党から支持者がなぜ逃げ出すのかバイデンよ知れ、というのがUAW会長のバイデンへの忠告なのでしょう。
バイデン、最大の失敗グリーンニューディール: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

こういった労働者階層の不満を受ける民主党はもはや問題解決能力がありません。
バイデン政権は左派に大幅に譲歩してできた政権です。
その担保で入っているのがカマラ・ハリス副大統領です。
ですから解決しようとすると、バイデン政権を全否定することになってしまいます。

したがってバイデンが負けると、ほぼすべての党員はわかっていても彼に代わろうという者は出ません。
勝てると思うなら、下克上でもなんでもしてオレがやると代わればよい。

一方、共和党はこれ以上ない形でまとまりました。
ニッキー・ヘイリーでさえトランプ支持に回帰しました。
ベンスですら反トランプだったのがいまや副大統領ですから、党内反トランプは蒸発したというべきでしょう。
第1期のように、共和党主流派のエスタブリッシュメントが、政権に力を及ぼすことはもうできません。

唯一なんとも憂鬱なのがトランプのウクライナ支援拒否問題ですが、国務長官に誰を持ってくるかでバランスをとるしかないでしょう。
これについてはもう少しかんがえさせて下さい。

 

 

 

2024年7月17日 (水)

トランプ、正式に共和党候補に

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ま、これで決まりでしょうな。

「11月の米大統領選に向けた共和党の全国大会が15日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで始まり、ドナルド・トランプ前大統領(78)を同党の大統領候補に正式指名した。副大統領候補にはJ・D・ヴァンス上院議員(39、オハイオ州選出)が選ばれた。
共和党大会初日のこの日、2429人の代議員による投票が行われ、トランプ前大統領が過半数を獲得して正式に同党の大統領候補に指名された。トランプ前大統領は予備選で指名獲得に十分な2265人の代議員を確保したため、今回の投票は形式的なものに過ぎなかった」
(BBC7月16日)
【米大統領選2024】 共和党大会、トランプ前大統領を大統領候補に正式指名 銃撃事件から初の公の場 - BBCニュース


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BBC

対立候補がいままでの予備選ですべて振るい落とされているのですから、当然すぎるほど当然の結果です。
改めて言う必要もないでしょうが、大統領候補暗殺未遂という試練をこれ以上ない形で乗り越えたトランプに阻む障壁はありません。
常に両手を震わせながらよちよち歩きを見せる現職と、撃たれても立ち上がり拳を天に突き出して「戦え!」と叫ぶ男とでは、政策ウンヌンの以前の問題です。

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トランプ前米大統領、演説中に撃たれ耳負傷 暗殺未遂事件と捜査当局 - BBCニュース

このファイティグポーズは、まさにトランプのキャッチコピーであるMake America Great Againそのままであり、ありとあらゆる不条理と戦い、うちのめされてもなお立ち上がる米国を取り戻すのだ、というトランプの気迫がこれ以上ない形で具現化しました。
支持者にとって不屈の米国を地で行くものであり、トランプの支離滅裂な百万の言葉よりも、この一枚は雄弁に彼の目指すものを現していました。

一時、トランプ包囲網のために枯渇を噂されていた選挙資金は、「もしトラ」の時期から増え始め、これを一気になだれ込み始めたようです。
なんせ財界までトランプ潰しに加担していましたかね。
しかしいまやイーロン・マスクなどの大物が続々と支持に回っています。

一方、バイデンはトランプの負傷を気づかう様子も見せながらも(このへんはさすがです)なすすべがありません。
仮にバイデンの老耄が治癒したとしても、銃撃を受けてなお戦う姿勢を保てるかと問われれば、ほとんどの人は首を振るでしょう。
トランプの銃撃直後の姿と比較されるだけです。
一切がトランプと比較され、新たにアピールすべきものもなにもないのです。

副大統領候補すら、バイデンには悪名高き無能政治家のカマラであるに対して、トランプは意表をつく人事をぶつけてきました。
下図は副大統領候補の一覧ですが、手堅くバーガム、あるいはルビオあたりかと思っていましたが、なんと作家という肩書を持つJDバンスでした。

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トランプ前大統領の副大統領選び、政治経験も重視 忠誠心競争 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

ところで、副大統領候補は、トランプの後継になると目されていたので注目されていましたが、トランプは39歳という息子のような年齢の青年政治家を抜擢しました。心憎い人事です。
バンスを忠誠心だけで選んだとメディアは言っていますが、たぶん違うでしょう。
前の副大統領ペンスは有能な保守政治家で、米国の保守中間層を支持母体としていましたが、共和党主流派から押しつけられた人事だっために必ずしもかみ合う関係ではありませんでした。
その亀裂が極限化したのが、あの忌まわしい議事堂占拠事件でした。
ペンスはあの時、トランプを切りました。
間違った判断ではないにせよ、トランプとはそういう関係だったのです。

それに対してバンスはブルーカラー出身で、社会の底辺を舐めた思春期を送り、兵役にもつき、一念発起してエールに学んで投資会社を経営するまでになった立志伝中の男です。
娑婆で一度も飯を食ったことがないようなエリートのオチコボレ揃いの日本共産党の幹部とはそこから違います。

そのうえ彼はその経験を著作にしており、『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』はベストセラーとなっています。

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JDバンス『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』 

このなかで、バンスはラストベルトの労働者たちの救いのない生活を赤裸々に描き、母親は薬物中毒で自信もジャンキー転落一歩手前だったと正直に書いているそうです。
7年前にバンスを取材した朝日はこう書いています。めずらしく中立的な記事です。

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トランプ氏、共和副大統領候補にバンス上院議員指名 路線継承も視野 - 産経ニュース (sankei.com)

「バンス氏は17年の朝日新聞の取材に、米国の都市と地方には地理的、文化的な分断があり、低賃金労働、薬物依存などの問題を抱える地方の苦しみを、都市のメディアや政治家が気付いていなかったと指摘した。
 バンス氏は「トランプ氏は問題があることを少なくとも認識し、その解決を訴えてきた。その他の政治家は深刻さを知らなかった」と語った」
(朝日7月16日)
トランプ氏が副大統領候補にJ・D・バンス氏を指名 どんな人物? [アメリカ大統領選挙2024]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

「米国の都市と地方には地理的、文化的な分断」、「低賃金労働、薬物依存などの問題を抱える地方の苦しみ」そしてそれに「無関心な都市のメディアと政治家」、これがバンスを抜擢したトランプの意図でしょう。
銀のさじをくわえて生まれたようなエリート政治家には、まねしたくてもできません。

一方バンスにとっても、トランプには批判がありつつもこう述べています。

「バンス氏は「トランプ氏は問題があることを少なくとも認識し、その解決を訴えてきた。その他の政治家は深刻さを知らなかった」と語った」
(朝日前掲)

同時に、トランプが訴追されていた4件も棄却され、大統領選に向かって障害物はなくなりました。

「前大統領をめぐっては、党大会初日の15日、機密文書を違法に私邸で保管していた罪に問われていた裁判で、フロリダ州の連邦地方裁判所が検察側の起訴を棄却した。トランプ政権下で任命されたアイリーン・キャノン判事は、機密文書に関する捜査を主導するジャック・スミス氏は特別検察官に違法に指名され、起訴する権限はないと判断した。
4件の刑事事件で起訴されているトランプ前大統領は、今回の裁判所の判断について、「これが最初の一歩になるはずだ」と述べ、すべての起訴が取り下げられるべきだと主張した。
そして、司法省が「これらすべての政治的攻撃を、ジョー・バイデンの政敵である私に対する選挙妨害の共謀を調整した」のだと、トゥルース・ソーシャルに投稿した。
前大統領は党大会への出席を前に、「司法制度の武器化をすべて終わらせるために団結しよう」と支持者に呼びかけた」
(BBC前掲)


もはやバイデン陣営は、手のほどこしようもなく死に体です。
後は、11月までに米本土が攻撃をされるようなことが起きるくらいしか救いがありません。
それもおそらく非常事態においてはトランプのほうが有能なはずです。

一時取り沙汰された民主党最終兵器のミシェル・オバマですが、ムードだけが先行し、予備選にまったく参加していないために支持団体がありません。
これから選挙戦に向けて準備するとすれば、すべて資金面から構築せねばならず、すでに大口の民主党支援者は、バイデン陣営へ献金してしまっているために、もう一回ミシェル・オバマに献金し直さねばならなくなります。
そしてかんじんの勝てるかといえば、ここまで強力になってしまったトランプに勝てると断言できる献金者はいないでしょう。
ネガティブキャンペーンも時の「英雄」であり、かつ犠牲者に対しては手控えるしかありません。
かくしてもはやバイデンには、打つ手がありません。
11月に向けてバンドワゴン現象が見られるかもしれません。

 

2024年7月16日 (火)

やはり出てきた、「ブルーアノン」のトランプ暗殺未遂事件陰謀論

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一昨日のトランプ暗殺未遂事件を受けてやっぱり出てきたのが、自作自演インボー論です。
陰謀論とは、内藤陽介氏によればこのような傾きのことです。

「ある出来事について、広く知られている公の情報や、それに基づく社会の標準的な理解とは別に、確実な根拠もないまま、特定の組織や人物がみずからの利益のため秘密裏に策を弄した結果と考える主張」
(内藤陽介『みんな大好き陰謀論』)

今回のトランプ暗殺未遂事件においては、公的な音声つき映像資料が多く残されているにもかかわらず、それをムリクリの裏読みで、トランプがみずからの利害のために仕組んだ茶番だと見ています。
そもそも自分の頭の横数センチに数発(耳に1発、右頬横スレスレに2発?)を撃たせる「自作自演」がする奴が世の中どこにいるかと言う話です。

しかもトランプは、その瞬間左のグラフボードに振り向いたために頭の位置が変化して、この動作がなければたぶん3発を頭部に食らった可能性があります。
頭部に3発被弾して生きていることは100%不可能です。
普通はこのようなリスクを犯してまで茶番を演じる「勇気ある馬鹿」はいませんから、陰謀論などの出る余地はない思います。

百歩譲って、そういう陰謀を企んだら狙撃手にはプロを選び、7.62mmクラスの重い弾丸を発射できる狙撃銃を持たせるでしょうね。
AR-15のような5.56㎜の軽い弾では、精密射撃はむりです。

狙撃の訓練も受けたことのない素人のヒヨコに、親父のAR-15を持ち出させて、130メートル先の自分の頭に向かって8発も撃たせ、頭部スレスレで擦過させるなんて器用なまねはまかり間違ってもしないでしょう。自殺したいなら別ですが。

しかしそう思う奴がいるんだな、これが。
クーリエ誌が取り上げています。

「いわく、トランプの耳から流れた血は「演劇などで使われる赤いジェル」であり、この暗殺未遂は「偽旗作戦」であり、おそらくシークレットサービスがトランプ陣営と組んで「自作自演」したのだ、と。トランプが血を流しながら拳を突き上げるシーンは、「#staged」(やらせだ)とタグ付けされた」
(クーリエ7月15日)
トランプ銃撃事件は「自作自演」「あれはドラマ用の血のり」…リベラルの陰謀論がヤバすぎる(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース

現職大統領ならいざ知らず、単なる候補者のひとりにすぎないトランプが国家機関である財務省管轄のシークレットサービスとどうやったら「組める」のかお聞きしたいものです。
では、シークレットサービスがわざわざ手抜きをして、会場の外130メートルの倉庫の上にいたテロリストをあえて見逃したとでも。
そんなことをすれば、共和党はおろか民主党政府からも調査の手が伸びて存立の危機に合うことになります。
暗殺失敗してすら、強い非難の声が上がっています。

「共和党からはシークレットサービスの不備を指摘し、責任を追及すべきだとの声が多く上がった。クルックス容疑者は集会会場の外にある建物の屋根から銃でトランプ氏を狙ったとみられている。ホーリー上院議員は「なぜ屋根に登れたのか」として、警戒が甘かったのではないかと疑問視。マヨルカス国土安全保障長官や警護隊幹部に、議会で証言させるべきだと訴えた」
(ZAZAK7月15日)
暗殺未遂で負傷のトランプ氏「元気だ」 陣営予定変更せず共和党全国大会へ 容疑者は共和党員、過去が明らかに(2/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

またこんなものが、Xにはこんな投稿もあったそうです

「シークレットサービスはいつから大統領に『待て』と言われたら、その指示に従って彼を立ち上がらせ、彼の姿が群衆に見えるようにして拳を高々と上げることを許すようになったのか? これがフェイクだと思う私のほうがおかしいのだろうか?
攻撃を受けた際、シークレットサービスは保護対象者に覆いかぶさり、有無を言わさず避難させるのが任務である。にもかかわらず、あの状況下でいわゆる「シャッターチャンスを与えた」ことが腑に落ちないというわけだ」
(クーリエ前掲)

はい、あんたのほうがヘンです。
実際は、この演壇での音声は演説中だったために全部収録されていて、疑問の余地がありません。
トランプが言ったのは靴をくれという言葉と、すぐに車両に運び込もうとするシークレットサービスに対して「待て」と実に5回も口にしています。

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AP

「映像では右耳から出血もあり、銃撃されたとみられる。トランプ氏は、自身のSNSで演説を生配信していたが、退場を促す警備員に対して「待て!」と5回、口にしてから支持者に右拳を2度、突き上げた。その後、右拳を何度も振ってから退場する様子が映っていた」
(日刊スポーツ7月15日)
トランプ前大統領、銃撃後に右耳から出血も、警備担当に5回「待て!」 支持者に拳突き上げる(日刊スポーツ)|dメニューニュース(NTTドコモ) (docomo.ne.jp)

やらせで5回ももみ合ったんですって。
そして米国政治史上特筆されるべき下の1枚を与えてしまったというわけです。

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トランプ前米大統領、演説中に撃たれ耳負傷 暗殺未遂事件と捜査当局 - BBCニュース

このまま選挙ポスターになるくらい見事な一枚で、下の硫黄島のすり鉢山に星条旗を立てる米軍兵士の有名な写真くらい、米国民には訴求力があるはずです。
あまりによく撮れているので合成写真だなんてヨタが飛び交っていますが、撮影者はAP通信のチーフフォトグラファーでピューリッツァー賞 の受賞の経験もあるエヴァン・ヴッチ氏です。
「仕事は期待がすべて」:トランプ集会の銃撃の決定的な写真のレンズの裏側 |ドナルド・トランプペンシルベニア州集会銃撃 |ガーディアン紙 (theguardian.com)

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硫黄島の戦い - Wikipedia 

こういう脳ミソがたりない陰謀論者を米国では「ブルーアノン」と呼ぶのだとか。

 

2024年7月15日 (月)

トランプ暗殺未遂事件

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私は、大統領候補討論会以降、圧倒的にトランプに傾いた大統領選挙戦の勢いを変えるにはひとつしかないと思っていました。
それは暗殺です。
一報を聞いた時、たまたまプライムビデオでJFKの評伝ドラマ見ていたせいもあって、ああまた米国はやっちまったのかと暗澹たる気持ちになりました。

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CNN

「(CNN) 米東部ペンシルベニア州バトラーで13日、トランプ前大統領の演説中に銃撃が起き、同氏が耳と顔面から血を流しながら救出された。
トランプ氏は最初の衝撃音の後、地面に倒れた。周囲から叫び声が上がり、護衛チームが取り囲んで演台から避難させた。
同氏は群衆に向かって何か叫び、救出されながらこぶしを突き上げるジェスチャーを見せた。
シークレットサービス(大統領警護隊)の報道官は、トランプ氏の集会で異変が起きて防護措置を取ったが、本人は無事だと発表。詳しい調べを進めていると述べた。
複数の捜査当局者によると、銃撃犯は制圧された。会場に隣接する建物の屋上にいたとの情報もある。警護隊の情報筋は、隊員が銃撃犯を殺害したと述べた。
バトラー郡の地区検事によると、さらに観衆の1人が死亡、もう1人が重傷を負った」
(CNN7月14日)
トランプ氏が集会で撃たれ負傷、警護隊は「無事」と発表 - CNN.co.jp

犯人はその場でシークレットサービスの狙撃チームに射殺されました。
狙撃チームは演説する動画にも映り込んでおり、彼らが居た位置は演壇向かって左上の建物の上でした。
動画では彼らの狙撃銃が発射の反動で動くのも見えます。

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NHK

BBCは犯人の居た製造工場の屋根を特定し、トランプが撃たれた演壇まで130mであったことをつきとめています。

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【検証】 トランプ前米大統領銃撃、容疑者とステージの位置関係は - BBCニュース

犯人のマシュー・クルックスが130m離れた納屋の上に腹這いになってライフルを構えている動画も残っています。
観客のひとりはクルックスを目撃して警官に伝えましたが、なぜか無視されたようです。
130mという近距離まで近づけてしまい、ドローンなどを使った上空からの警備をしていなかったことに対して批判が起きています。

ただし、トランプの近辺にいたシークレットサービスは、直ちにトランプに抱きついて自分たちを楯にして守っていました。
これが正しい要人警備のやり方であって、安倍氏暗殺のように、SPまでもが犯人逮捕に走っていってしまうという歴史的大失態をしでかしたわが国とは対照的です。いまでも思い出すと腹が煮えます。

「現場を目撃したというグレッグさんは、BBCのギャリー・オドノヒュー記者の取材に対し、前大統領が演説を始める5分ほど前に、「クマのように」屋根の上をはう不審な人影を見かけたと話した。その人影について、グレッグさんは警察に指摘したという。
「男はライフルを持っていた。明らかにライフルを持っているのが見えた。自分たちはこの男を指でさしていて、警察は地面を走り回っていた。『屋根の上にライフルを持った男がいるぞ』と言っていたのに、警察は何がなんだかわかっていなかった」と、グレッグさんは話した」
(BBC7月14日)
「ライフルを持った男が屋根の上に」と目撃者がBBCに トランプ前米大統領の集会で発砲 - BBCニュース

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トランプ前米大統領銃撃の容疑者の映像 屋根の上で腹ばいに - BBCニュース

容疑者は共和党員として登録されているものの、実際は民主党行動委員会の献金者だったことがわかっています。
この男は車にも2個、自宅にも爆発物をもっていたと報じられています。

詳しい動機はわかっていませんが、おいおい判明すると思います。
といっても、背後に民主党がいたとは思えません。
民主党がなんらかの形で関わっていた場合、それが判明した場合立ち直ることが不可能な打撃を受けるからです。
いまのところローンウルフ型テロリストと考えたほうがよいでしょう。
なお、このようなクレージーなテロリストは民主党だけのものではなく、同等にトランプ陣営にも大量にいますので、念のため。

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XユーザーのThe Patriot Oasis™さん: 「Thomas Matthew Crooks "I hate trump. I hate republicans." https://t.co/dEwWOqdPyq」 / X

「容疑者の男性はシークレットサービスによって射殺された。FBIはペンシルヴェニア州のトマス・マシュー・クルックス容疑者(20)だと発表した。同州の有権者記録によると、同容疑者はトランプ前大統領と同じ共和党員として登録されていた。
一方、ロイター通信は、同容疑者が17歳のとき、左派や民主党の政治家のために資金を集める政治活動団体「アクトブルー」に15ドルを寄付していたと報じた」
(BBC7月14日)
トランプ前米大統領銃撃の容疑者の映像 屋根の上で腹ばいに - BBCニュース

発射された発砲数をABCテレビは、捜査関係者の話として8発と報じています。
犯人が使用したのはAR-15自動小銃だと伝わっています。
この自動小銃は今まで多くの米国の銃乱射事件で使われてきました。

「AR-15は、特に1994年に定められた攻撃用武器を禁止する連邦法が2004年に失効した後、アメリカで広く出回るようになった銃で、多くの乱射事件で使用されてきた。(略)
AR-15は、0.223口径(5.56mm)で秒速約3300フィート(約1000メートル)と、一般的なグロックの拳銃に比べ、その銃口速度は約3倍にもなる。

その有効射程は少なくとも1300フィート(約400メートル)以上と、グロックの160フィート(約50メートル)を大幅に上回る。
アメリカ司法省のアルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局の元 特別捜査官で、銃を使った暴力と戦うギフォーズ(Giffords)のシニア・アナリストでもあるデヴィッド・チップマン氏はBusiness Insiderに対し、 AR-15はその威力の大きさから、屋内での攻撃に持ち込むことは禁じられていたという。あまりにも弾が速いため、銃を向けた相手だけでなく、壁や部屋にいる別の人間までをも貫通してしまうからだ」
なぜアメリカの銃乱射事件では、AR-15が使用されるのか —— 専門家が指摘する2つの理由 | Business Insider Japan

したがって犯人とステージとの130mという距離は完全に狙撃可能な範囲でした。
弾丸はトランプの右耳たぶを貫通しましたが、もうわずかズレていれば頭部を貫通し即死したはずです。
命中した以外にも、最低でも1発が左頭部脇を通過しているのが写真で捉えられています。
下写真の白い航跡がそれです。

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トランプ暗殺未遂に使われた「銃弾の軌跡」をカメラが捉えていた | クーリエ・ジャポン (courrier.jp)

また胸部にも1発被弾しており、防弾チョッキをしていたために事なきをえました。
犯人はこの8発の弾丸で1人を死亡させ、2名に重傷を与えました。銃撃で死亡したのは消防士のコーリー・コンペラトーレ氏で、一緒に集会に来ていた妻子をかばおうとして銃撃を受けたと、シャピロ知事は「コーリーはヒーローとして亡くなった」と死を悼みました。

まことに痛ましい犠牲で、民主主義の対価はかくも残酷なのです。

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トランプ前米大統領、演説中に撃たれ耳負傷 暗殺未遂事件と捜査当局 - BBCニュース

ところで、この暗殺未遂事件の影響ですが、かんがえるまでもなくトランプにとって決定的とでも言える追い風となることでしょう。
彼はシークレットサービスに守られて搬送されながらも腕を振り上げて「ファイト」と叫び、聴衆はUSA、USAで応えました。
こういうところがトランプらしい。
その後のメッセージです。

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Post | Truth Social

考えようによっては出来すぎなような事件で、昨日は狂言説まで唱える者が現れましたが、自分の頭を狙わす自作自演などありえません。
仮にもう数㎝ずれていて暗殺に成功した場合、いまごろはこの暗殺犯はうちの国の山上某のように英雄視されていたかもしれません。

いずれにしても、これがバイデンならばと思わない者はいなかったことでしょう。
バイデンとの差は、好むと好まざるとに関わらず天文学的に開いたと言えるでしょう。

 

2024年7月14日 (日)

日曜写真館 花臭木鋭き鉾立てゝ男神

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水懈く臭木の花を浮べをり 轡田 進

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つい霽れぬ空のにごりや花臭木 角田独峰

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遠くより臭木の花を見て通る 川原 程子

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炎天の香なり臭木の香にあらず 相生垣瓜人

 

ボタンクサギです。ひどい名をつけられていますが、そんなに臭いかな。
アゲハチョウが好んで、よく止まっています。

 

 

2024年7月12日 (金)

さっそく始まったマクロン闇鍋の正体

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よく浅はかな人たちが考えるのが、野党はまとまれば、自民に対抗できるんじゃないかという考えです。
たとえば都知事選で小池が291万票でトップでも、2位の石丸の165万と蓮舫の128万を足せば293万票だから勝てるじゃないか、というあれです。

この考え方はかなり前からヨーロッパにはあって、古くは小沢一郎がモデルとしたイタリアの「オリーブの木」や、今回のフランスの左翼連合と与党連合の選挙協力です。

というのは、自由主義社会では往々にして小政党がポコポコ沢山できてしまいます。
政党とは集団の利害を代表しする場所である以上、多言語国家や多民族国家では、彼らを代表する政党が数十あることはよくあります。
しかし日本ではどうでしょうか。
米国のような多民族国家ではありませんし、地域差といってもスペインのようなことはありません。
にもかかわらず、この20年来日本では、支持基盤の明確でない政党が乱立しました。

そのきっかけは、経世会を追い出された小沢一郎が二大政党制を唱えてからのものです。
なまじ元自民党幹事長というトップにいた男が言うことだけに迫力があったようです。
実際、いまの民主党系の諸派は、この小沢の動きの結果生まれたものです。
小沢は、自民党を倒すには野党連合をつくるしかないと考えました。 

あげくにできたのが「反自民」だけを拠り所にした民主党政権でした。
そして民主党が政権を握るや、小沢は幹事長に全権を集中させて支配しました。
その理由は、小沢の支配欲もありましたが、それ以上に民主党議員が致命的に能力不足だったことでした。
安全保障をなにも知らない防衛大臣、年金だけにしか興味がない厚労相、そしてほかの一切の課題を捨てて「最低でも県外」だけを言い募る首相。
野党の間の不勉強のツケがどっと出ました。そりゃ与党のスキャンダル追及だけしかしていなけりゃそうなりますよ。
民主党内ですらまとまりがなかったために、政権からころげ落ちるやいなや分裂を繰り返すことになりました。
いったん権力というタガがはずれると、個々の政治家の考え方の相違、人間関係の好き嫌いの関係で多数の政党ができてしまったのです。

結果、野党は個人商店ばかりとなりました。自分の唯一の当たり役を党名にした三流役者の党、NHKなんじゃらといいつつ掲示板詐欺を働らく党、といった具合です。
自民党がしっかり保守党として機能していれば救われたのですが、岸田氏は派閥解消の名の下に政敵潰しを行いました。
自民党は本来連合党であって、派閥が意見の違いや人間関係のきしみを吸収していたのですが、殿ご乱心の結果いまや内部分裂を抱えた党になっています。
たぶん政権与党から脱落したら、自民は分裂するかもしれません。

自民から政権を奪うには、唯一の分裂を知らない、というか、異見を言った瞬間即除名となる党である共産党と組むしかないというのが全野党共闘論者の主張です。
では、全野党共闘が政権をとればどうなるのか、今のフランスをケーススタディしてみましょう。

フランスは大統領のマクロンが、国民連合(RN )に勝たせたくないだけの一心で左翼連合との「悪魔の取引」に応じました。
その結果、確かに国民連合には地団駄踏ませましたが、与党第1党となったのが極左を含む左派連合でした。
本来、第1党とならねばならないマクロンの中道は第2党というお粗末です。

しかも笑えることには、第1党の「新人民戦線」も蓋をとればバラバラ。
新人民戦線という鍋の中には共産党もいれば、さらにその左もいる、社会党くずれもいる、環境左翼もいるというありさまです。
これが派閥ごとに分かれて、選挙ではとりあえず「新人民戦線」としてメランションの音頭に乗ったが、政権をとれば知ったこっちゃない、わが党大事。

そしてコレを見たマクロンが、左翼連合に密かに手を入れて引き込みを謀るんですからもうワヤです。
マクロンは、大嫌いなメランションの「不屈のフランス」を排除して中道派と連立しないかと画策しています。
もちろんメランションはそれを許すばずがなく、「不屈のフランス」は新人民戦線の政策合意とそれによる公約をすべて守るようにマクロンに要求しています。

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ロイター

「パリ 9日 ロイター  フランス国民議会(下院)選の決選投票で第1勢力となった左派連合「新人民戦線(NFP)」に参加する政党の代表は、多額の歳出を必要とする選挙公約を全て実現する意向を表明、NFP以外の勢力との連立政権樹立を拒否した。
一方、第2勢力となったマクロン大統領率いる中道連合は、過半数議席を確保していないNFPには中道連合との連携が必要だと訴えている。
NFPに参加する各政党の指導者は選挙結果判明後、複数回にわたって非公開の会合を開催。次期首相の人選や政権樹立について協議した。
NFP内で最多議席を獲得した極左「不屈のフランス」のジャン・リュック・メランション党首は8日夜、TF1テレビに対し、最低賃金引き上げ、定年退職年齢の引き下げ、燃料・電力・一部食料品価格の上限設定など、NFPの選挙公約を全て履行すべきだと主張。政策構想を「細切れにすることはできない」とし、NFP以外の勢力との連立を拒否した。
これに対し、中道連合はNFPの政権樹立には中道連合の協力が必要だとし、NFPを分割し、穏健派である中道左派政党、環境政党派、中道政党、中道右派政党で連立政権を樹立できるとの考えを示唆している」
(ロイター7月9日)
仏左派連合、中道連合との連携否定 公約実現に意欲 | ロイター (reuters.com)

特に左翼連合が実行を要求しているのが、公務員賃金のアップです。
ただしそれをやればただでさえ労組が強力なフランスは今でも財政危機なのですからとんでもないことになります。
強引に実行すれば、ユーロがもとめる財政赤字の範囲を抜け出してしまいます。
つまりユーロからの脱落です。そうなったらマクロンは真っ青ですが、左翼連合にはEU脱退かまわないんじゃないという連中もいて、彼らは皮肉にも国民連合とその点では息が合うのですから困ったもんです。
左翼連合の中でも穏健な社会党と中道派が組めればいいのですが、そのためには左翼連合からメランションを追い出さねばならないというジレンマを抱え込むことになりました。

これを見てわかるのは、第2党と第3党が手を組むような裏技をしてはならないということです。
それは単に多数決制という民主主義を悪用した結果であり、その結果できあがったものはフランス人の大多数の考えとは違った奇怪なものが出来上がってしまいました。
マクロンの党にいれたら左翼連合だった、では有権者は詐欺に合ったようてものですもんね。
仮に一時的には成功しても、混乱を招いて必ず瓦解します。

わが国の全野党共闘論者の皆さん、フランスでいま進行している政治劇をよーく観察してくださいね。

 

 

 

2024年7月11日 (木)

負け方を知らない蓮舫氏

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蓮舫氏は常に噛みつくモノを求めています。
噛みつかないと、自分の存在理由がなくなるとでも思っている脅迫神経症みたいです。
選挙期間中も口から出るのは小池氏攻撃ばかりで、自分の都政の展望を対置できなかった時点で負けていることに、この人は気がつきません。
こういう無意味に攻撃的、かつ戦闘的スタイル、つまり左翼ポピュリスト特有の臭みが都民に支持されなかったって、まだわかんないのかな。

小池氏に在日イスラエル大使が祝福のメッセージを送ったことに、噛みつきました。
選挙直後だというのに、まぁお元気なこと。
ウソでもいいから祝辞のひとつも送れば、さすがはと言われたのに。

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この写真について蓮舫氏は「この外交はありません」だそうです。

「蓮舫氏は、イスラエルのギラッド・コーヘン駐日大使が、小池氏とのツーショット写真とともに当選を祝福する投稿を引用。まずは「敗者ですが言わせてください」と前置きし「当選直後にこの外交は私の考えではあり得ません」と指摘すると「都民の1人としても、とても残念です」と胸中を記した。イスラエルがイスラム組織ハマスと対立しガザ地区への攻撃を行っていることなどを念頭に置いたとみられる」
(日刊スポーツ7月10日)
蓮舫氏、小池知事とイスラエル大使ツーショットに疑念「あり得ない」→「抗議撤回を」→削除?(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

ええ、知事って「外交」をやる仕事だったんだ、そうなんだ、蓮舫氏はデニー知事みたいな独自自治体外交をしたかったんだと分かりました。
きっと勝っていたら、いまごろは中国やパレスチナ自治政府から祝電が大量に届いたことでしょうね(笑)。
そして就任後にはチャイナに行ってシューさんと面会したがって断られる。ま、そんなところか。

ツイートの写真は2022年のものだでただの再掲ではないか、と指摘されると、ムキになって「それならばこそ、きちんと抗議撤回を要請して欲しいです」と再投稿してブーメランしています。
たぶん、いま左翼業界の流行の反イスラエル運動に便乗したのでしょうが、都政とどう関係があるのでしょうか。
別に祝電に再掲写真を使うのはよくあること。

というか、選挙後の忙しい相手を慮って昔の写真を使うほうが常識的です。
それを仰々しく撤回要求ですか。

そもそもこのお人は、この都知事選が国政選挙だと勘違いして出馬しちゃったみたいです。
ですから国政選挙でもないのに、口を開けば反自民の連呼。

「7月7日投開票の東京都知事選で蓮舫前参院議員(56)が「反自民党」を前面に押し出した運動を展開している。小池百合子知事(71)は自民と「二人三脚」だと印象付け、派閥裏金事件を巡る自民への逆風を自身の浮揚力に変えるのが狙いだ。ただ、共産党との連携に古巣の立憲民主党から不満が漏れるなど、陣営は不協和音も抱える。
 「小池さんはトップダウン。私はボトムアップだ」。蓮舫氏は28日、JR大井町駅前で街頭演説し、小池氏への対抗意識をむき出しにした。応援に立った立民の長妻昭政調会長は「(小池氏には)自民が付いている。都庁を絶対に金権都政にしてはならない」と蓮舫氏の主張を代弁した」
(文春オンライン7月1日)
【東京都知事選】蓮舫氏「反自民党」を前面に 一方で共産党との連携には不協和音も | 文春オンライン (bunshun.jp)

都知事選という地方自治体選挙で、しかも自民党とはかねてから一線を画して自前の政党すら持っている小池氏をつかまえて「小池には自民がついている」はないものです。
そこまで言うなら蓮舫さん、自分で「蓮舫新党」でも作りなさい。

足で歩き回って具体的な声を都民から聞き、地方自治を学んで、自分自身のオリジナルな都政公約をつくったらよかったのです。
それをムード的に反自民、反金権政治と言っておけば勝てると思ってしまうところが、この人のハンチクなところです。

では当の共産党はどう言っているかといえば、今回の都知事選は「勝利」だ、と言いたげな共産党小池書記局長の「敗戦の弁」です。

「東京都知事選で7日、小池百合子氏が3選確実となったことを受け、共産党の小池書記局長は「選挙結果自体は、非常に残念なものだ。しかし、蓮舫氏が自民党政治と小池都政を変えると、旗を掲げて立ち上がって、都民の声に耳を傾けながら、政策を日々バージョンアップさせていった。多くの都民を励ますものとなった。この選挙からどういう教訓を引き出すかについては、都民の皆さんの声に耳を傾けていきたい。そして、蓮舫氏を共同で擁立した市民と野党の皆さんと、率直な議論を行っていきたい」
(読売7月7日)
都知事選、共産党の小池書記局長「選挙結果は非常に残念」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

こういう総括は何百回も聞きました。
アンポ闘争でも、基地反対闘争でも、結局アンポ条約は国会を通り、基地はできてしまう、しかし闘争は大爆発したぞよ、勝ったのは我々だ、こういうのを共産党的総括といいます。
自分が主導権を握って闘争ができれば勝ち、だって党勢拡大できたもん、という発想は共産党とその周辺にしかわからないロジックです。
一般社会では目標が達成できなければ負けと言うんですが、立憲の顔である蓮舫氏を共産党陣営に引き込み、1000万都民の前でまるで共産党候補のような選挙運動が出来た、野党共闘を実現してみせた、そのこと自体に意味があるようです。

愚かな立憲は指導部が総出で、共産党と同じ宣伝カーに乗っていましたから、かりそめでも全野党共闘ができたみたいです。
ほんとうはそうではないのに、そのムードが出来た、これだけで大勝利だというわけです。
でも、負けた、2位のぽっと出のスットコドッコイの候補にすら追いつけなかった、という現実を見ないのです。

ところで共産党だけではなく、蓮舫陣営には極左もどきの連中がくっつきました。
いくらなんでも蓮舫陣営がやったとは思いませんが、「蓮舫赤軍」という悪い冗談のような名前の団体までが勝手連したようです。
彼らは小池氏の演説中に妨害コールをして、逆に黙れとばかりにはるかに多い聴衆から百合子コールのしっペ返しをうけたようです。馬鹿だね。
選挙違反あたりまえ、なんでもありのアナーキーな場となった都知事選に対して、大部分の都民がうんざりしていることを知らないのでしょうか。
もっともイソコさん界隈ではこんな選挙妨害行為を歓迎していたようですがね。

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彼ら「蓮舫赤軍」と思われる輩は、「R」のステッカーを都内に貼りまくりました。まったく迷惑行為そのものです。

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「黒地に白抜きで「R」のロゴを書いたシールが渋谷や新宿といった繁華街の電柱や歩道用防護柵、道路標識などに多数貼られていることが分かった。7日投開票された東京都知事選で小池百合子都知事に敗れた前参院議員、蓮舫氏の支援者らが無許可で公共物に貼り付けた可能性が取り沙汰されている。蓮舫氏は無関係との立場だが、小池氏の陣営幹部らは早急に剥がすように求めている。
「蓮舫さん陣営は、街中に貼りまくった『R』のシールを早急に剥がしてください。やり口は暴走族やピンクチラシと同じですが、普通に犯罪だし笑えません。モラルが無さすぎる」
小池氏が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」幹事長を務める尾島紘平都議は5日、X(旧ツイッター)にこう投稿した」
渋谷や新宿に「R」シール多数 小池氏側は蓮舫氏側が都知事選で貼ったとみて「剥がして」 - 産経ニュース (sankei.com) 

もちろん蓮舫陣営は与り知らぬことだとは思いますが、こういった反社行為までして「応援」する輩に、「直ちに止めて下さい」といえないのが蓮舫陣営の悲しさだったようです。

政治家の評価は負けた後の姿で定まります。
蓮舫氏はここでも大いに点数を下げたようです。

 

 

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