北電薄氷の電力供給 電力なき地方創生はありえない

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北電が苫東厚真火力発電所1号機を前倒しして再稼働するそうです。 

「18日にも苫東厚真火力発電所1号機(北海道厚真町)が再稼働すれば、北海道電力の供給力が需要を下回りかねない異常事態はひとまず解消される。
ただ、寒くなるにつれて
暖房需要が大幅に増える一方、当初の危機感の薄れに伴い、道内の節電ムードは緩み気味。40年の耐用年数を超えて稼働させる老朽化火力も半数を超えており、綱渡りの状況は続く。 北電が同1号機を当初予定より半月近く前倒しして復旧させるのは、供給力が地震前日の5日に記録したピーク需要の383万キロワットに満たず、水力発電などをフル稼働させても安定供給を期待できないためだ」(毎日9月17日)
https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0918m040098/

この毎日の記事でも触れていますが、これから急速に冬に向かう北海道において薄氷の電力供給体制が続くのは目に見えています。 

現在、北電が目標としているのは地震前日の9月8日のピーク需要の383万キロワットですので、ブラックアウト直前時にまで復旧するにすぎません。 

それすら現状ではままならないのが現状です。

 

Photo北電HP 本日の電力使用状況http://denkiyoho.hepco.co.jp/area_forecast.html 

問題はその先です。秋から冬にかけての北電管内の最大需要電力量(2017年10月〜12月)を見てみます。 

北電H P北海道エリアの需給実績http://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/fixedprice_purchase/supply_demand_results.html 
・400万キロワット超が発生した期間・・・10月6日間
                                                     11月14日間
                                                     12月4日間
・450万キロワット超                      ・・・11月5日間
                                                     12月25日間
・500万キロワット超                           12月2日間

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10月から12月にかけて、一気に北海道は寒冷期に突入するわけですが、去年実績では10月に連日300万キロワット超を推移し、6日間は400万kキロワットを超える需要がありました。 

本格的冬季の11月、12月を待たずして10月で既に供給力はパンクしています。 

つまり、「復旧した」というのは、あくまでも地震前の状態にかろうじて戻したにすぎないわけです。 

その需給ギャップを毎日新聞(9月15日)がグラフにまとめていますので、引用させていただきます。 

2毎日新聞9月15日https://mainichi.jp/articles/20180915/ddm/002/040/119000c 

ではどうするのかといえば、苫東厚真火力の復旧を急がせながら、老朽化した火力をフル稼働するしかありません。

ところが、この老朽火力があてにならないのです。いままで止めていたのを再稼働させていたために、電力マンの必死の努力にかかわらず稼働が不安定です。

先日の9月11日に、音別火力2号機が緊急停止しました。それ以前に1号機も故障して、修理して再稼働しています。 

ひとつを直しながら、ひとつを動かしているわけで、まさに綱渡りです。

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「北海道電力は11日、音別火力発電所2号機(釧路市、出力7.4万キロワット)で、ガスタービンが激しく振動するトラブルがあり、緊急停止したと明らかにした。不具合で停止していた同発電所1号機(7.4万キロワット)が修理を終えて同日に再稼働しており、節電目標や検討中の計画停電への影響はないという」(毎日9月11日)
https://mainichi.jp/articles/20180912/k00/00m/020/054000c

熱中症で多くの人が亡くなった夏期と並んで、厳冬期における電気はライフラインの中で最重要に位置づけられます。

説明はいらないでしょうが、厳冬期の電力喪失は即凍死につながりかねないからです。 

失礼ながら、凍死の危険性を押してまで北海道観光をする人はいないでしょうし、たびたひ停電するような土地に進出する企業も稀だと思われます。 

ところが北海道はニセコなどが典型的ですが、冬季こそがかき入れ時で、外国人のスキー客があふれかえる時期なのです。 

すでに日本旅館協会北海道支部連合会によると、50万人の宿泊キャンセルによる影響額は100億円に達しているそうです。 

このまま電力供給が薄氷状態ならば、考えたくもない経済損失、いや生命の損失すら招きかねません。 

よくメディアは、今こそ北海道観光に行こうと正論を吐いていますが、ならばなぜこのような深刻な構造的電力不足が生じたのか、その原因にまで遡って考えるべきです。 

今たけなわの総裁選において、地方創生を安倍氏が熱心でないと石破氏が批判していましたが、一面当たっています。 

安倍氏は、北海道の電力供給の主力であった泊原発を停止させたまま、電力自由化を進めるという愚作を進めてしまいました。 

よく安倍氏を原発推進派と言う人がいますが、まったくの間違いです。

彼は原発について明確な意志を表明したことはありません。規制委員会に丸投げしたきりです。

したがって、安倍氏はこと原発問題においては、臆病すぎるほど臆病に民主党が作ったムード的反原発路線の上を走っていただけのことなのです。 

結果、「規制委員会による判断」を優先させ、全原発停止後7年もたってもわずかの再稼働しか許されない状況を作ってしまいました。 

その上に、構造改革しなくてもいい電力分野に手を入れ、発送電分離を進めました。 

規制緩和のメニューには、やって当然の獣医学部新設などがある一方で、しなくていい電力改革も同居しています。

北電においては、原子力の依存率が関西電力に次いで高い44%だったために、この泊原発停止の影響をまともに受けました。

何回か書いてきているように、今回の大停電の原因は、泊が停止して苫東厚真火力の一本足打法になっていたところに、地震で苫東厚真がダウンしたために発生しました。

泊がいつ動くか分かりませんが、この構造的電力不足が解決されないまま、2020年には北電などの大手電力会社は発送電分離を開始します。

電力は常に、発電所の停止や需要の急増に備えて予備率を充分に持っていなければなりません。 

そのことを「冗長性」と呼びますが、電力自由化以前にはそれは電力会社の義務でした。 

冗長性とは、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように、予備装置を平常時からバックアップしておくことです。
※参考資料 千田卓二など「電力システムのレジリエンスに関する一考察」https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsjc/2013/0/2013_175/_pdf

ところが電力会社は発送電分離によって、従来の厳しい供給義務から自由になります。

よく電力会社が独占企業だという人がいますが、それは発送電を単一企業に委託する代わりに、電力の安定供給義務を負わしたためです。

そのために電力会社は、通常の企業ならとっくに廃棄するような老朽火力も、いざという時のための予備電力としてキープし続けてきたわけですが、そのいざという時がほんとうに来てしまったのが、今回の事態でした。

このように電力供給の冗長性は安定供給のために必ず必要でしたが、今後ただの経営判断の問題にすり替わってしまうのかどうか、不透明です。 

となると冗長性の維持は厳しい経営を続けている北電にとって、経営負担を増すだけの存在となりかねません。 

たとえば、北電は電力供給の冗長性確保のために巨費を投じて石狩湾新港LNG 火力1号機を建設していますが、1号機だけは予定どおり2019年操業開始するとしても、2号機、3号機は企業の自由選択の対象となります。

音別火力などの老朽発電所はとっくに操業するだけで赤字なのですから、整理廃止の対象となるでしょう。 

北電がどのように判断するのかわかりませんが、それ以前に政府が地域の電力供給に全面的な支援を与えるべきです。

電力なき地域は滅びます。

企業が去り、人が散り、村が潰れ、街が寂れ、そのような地域には企業も観光客もやってきません。

地域の滅びのスパイラルの開始です。北海道はその負のらせん階段の淵に立っています。

北海道において、地方創生は単なる街興しではなく、すぐれて電力供給の問題なのです。

 

 

 

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トランプとナヴァロは米中経済戦争で何を目指しているのか?

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本格的な米中経済戦争が始まってしまいました。全面戦争に拡大する様相です。

「米、対中関税第3弾の正式表明17日にも 米報道
【ワシントン=鳳山太成】トランプ米政権が準備する中国への制裁関税の第3弾について早ければ17日にも正式表明する方針だ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が15日報じた。輸入品2千億ドル(約22兆円)分に関税を上乗せする方向で対象品目など詳細を詰めている。トランプ米大統領は関税の早期発動に意欲を示しており、近く最終判断する。
発動日は数週間後に設定する見通し。同紙によると、関税の税率は経済への影響を抑えるため10%に設定し、中国が譲歩する姿勢をみせなければ25%に引き上げる。米通商代表部(USTR)は7月に10%と公表したが、トランプ氏が8月に25%に引き上げるよう指示していた」(日経 9月16日)

https://anonymous-post.net/post-1670.html 

今回の経済戦争は、初めは貿易戦争と言われたように、表面的には米国の対中貿易赤字の削減が目的に見えます。 

たしかに米商務省の統計によれば、2018年2月の時点で、前年比で8.1%増加して約41兆円(3752億ドル)となり、過去最高額に達したことは事実です。 

しかし日米貿易摩擦も同じですが、中国対米輸出が好調なのは、ひとえに米国経済が好況だからであって、それはトランプの経済政策が成功しているからという逆説があるのです。 

その結果として、絶好調の経済を背景にして旺盛な米国の個人消費があるのであって、中国は盗みは働いても、押し売りはしていないのです。 

また考えてみれば、中国からの輸入品の多くも、米国・日本・EUのブランドのチャイナメイドにすぎないではありませんか。 

米国消費者は別に中国製品が好きだから買っているのではなく、ダイソンやソニーを買っているわけです。

ですから、トランプが言うとおり対中貿易赤字を削減したいのならば、一番手っとり早い手段は増税です。

消費税を上げ、関税を高くし、公定歩合を急激に上げれば、景気は減速し他結果,対中貿易赤字は確実に激減します。

馬鹿な話ですが、トランプ政権はこれに似たことをしようとしているのです。

既にトランプが中国製に高関税をかけたために、米国の消費財の値上がりが始まってしまいました。

対中輸出の主役だった農産物輸出を制限しようとしたために、トランプの票田の中西部農業地帯に打撃を与えてしまっています。 

経済的合理性の観点からは、米中経済戦争などやる意味がないどころか、やらないのが賢明なのです。

政治的にも、11月の中間選挙前にうまくいっている自分の経済政策に冷や水をかけてどうするんでしょうか。 

したがって自分の国の景気を冷やしかねない中国制裁は無意味である以上、貿易不均衡の是正がトランプの真の目的だとは思えません。

もしそうならば、トランプはレガシー・メディアの連中のいうとおりのただの経済オンチの馬鹿大統領です。

と、ここまで書いてきて、はて、ほんとうにそうなのか疑問が湧いてきました。

というのは、この米中経済戦争の指揮を執っているのが、他ならぬピーター・ナヴァロ(国家通商会議委員長・通商製造政策局長)だったことを思い出したからです。

ナヴァロを通商代表に据えた就任時から、この対中経済戦争は構想されていたと思われるからです。
ピーターナヴァロ - Wikipedia
 

Photoピーター・ナヴァロhttp://jp.wsj.com/articles/SB117717923834440744722

トランプの対外経済政策は彼が立案したものです。 

彼はNAFTAでカナダと大喧嘩を演じ、同時にEUとも経済戦争の戦端を開いてしまいました。 

ただし、今回の中国との経済戦争は、これらとは次元を異にします。 

私は彼の『米中もし戦わば』という本を読んだことがあるのですが、タイトルから想像できるようなシミュレーションものでもなく、大変にバランスのとれた冷静な分析が並んでいます。

 ちなみに本書の原題は、"Crouching Tiger: What China's Militarism Means for the World "『うずくまる虎・中国の軍国主義が世界に意味するもの』ですから、内容に沿っています。 

出版社さん、真面目な学術書なのですから、イフ戦記みたいなタイトルつけないで下さいね。 

詳細な紹介は省きますが、この中で彼は中国は中長期的な軍事・経済分野における世界支配のプログラムを持っていて、着々と世界制覇を完成させているということを述べています。 

なんだか中国は007の「スペクター」団みたいですが、私もナヴァロが指摘する中国の世界支配の意志は否定できないと思っています。 

むしろ今、見逃してはならないのは、そのナヴァロの分析の妥当性そのものではなく、そのような中国に対する危機感を持つ人物が、この米中経済戦争の司令部に座っていることです。 

Photo_2https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/237634

ナヴァロとトランプが、中国に経済戦争を仕掛けた理由は一つです。

中国の外交力・軍事力の源泉に経済力があるからで、これを叩かなければ中国の意のままに世界は回ってしまうからです。 

中国共産党がいかにチベットやウィグルで暴虐の限りを尽くそうとも、普通選挙すら開かれたことのない一党独裁体制を敷こうとも、いささかも支配は揺ぎません。

それは百万の武装警察があるからだけではなく、経済成長が国民を豊かにしているという現実があるからです。 

3https://blog.goo.ne.jp/sig8492/e/3b2243de954a4c5e084b489fdca24c36

中国共産党はオウエルの「1984年」もどきの管理国家を作りあげましたが、経済さえよければ、中国が内部から民主主義国家に変わる可能性は限りなくゼロなのです。

そして国内統治のみならず、中国の19世紀的帝国主義の再来を思わす膨張政策もまた、この経済力なくしてはありえませんでした。 

中国はWTOに加盟しておきながら、自由で公正な貿易ルールを頭から無視し続けてきました。 

中国国内では外国企業の経済活動に多くの障壁が設けられている一方、中国企業は外国の知的財産を盗み、今や世界トップクラスの情報・通信・コンピュタ部門を有するまでになってしまいました。 

そしてこれらの先端科学技術は、惜しげもなく軍事・統治部門に投入されました。 

国内に向けては、全国民を顔認証で24時間監視し、持ち点制度で減点されれば国民として扱われないという驚くべき超管理社会を作り出しました。 

これは中国国内のみならず、国際社会にまで及んでおり、アジア・アフリカの独裁国家を裏で支え、国連も今や中国の強い影響下にあります。 

Photo_3完成した南シナ海の要塞島。既に艦船が寄港し、対空ミサイル陣地と爆撃機が離発着する軍事滑走路が完成している。

EUはドイツを先頭にして中国にひれ伏し、アジアにおいても日本を除けばその潜在的覇権下にあります。 

え、なぜ日本だけ中国の覇権に屈していないのかって。

わかりきった話です。それは強力な覇権国家である米国と、堅い同盟関係を持っているからです。

それはさておき、中国は米国に代わる理念が欠落しているとかねがね言われていました。

毛沢東時代はマオイズムという大義がありましたが、とうに色褪せています。いま、そんなものを信じるのは、どこかのゲリラの残党か、築地の新聞社くらいなものです。

いま中国が一帯一路構想に乗って世界に大中華共栄圏を作る野望を持てるのは、ひとえにチャイナ・マネーの力です。

このチャイナ・マネーで頬を叩いてひれ伏させるが如き手法は、国際社会に眉をひそめさせてきました。 

しかしマネーというソフトパワーに加えて、強大な軍事力というハードパワーが加われば、中国を盟主とした新たな大中華共栄圏秩序が誕生するでしょう。

そこには人権も民主主義もありません。暗黒支配の始まりです。

米国が民主主義という普遍的理念の保護者たらんとしたことに対して、中国はそのあからさまな破壊者なのです。 

したがって、トランプの仕掛けた経済戦争の目指すものは、経済外的な理由、すなわち中国の覇権阻止だと私は考えます。

トランプは、まだ中国の支配力が完成しない前の時期に、中国の覇権の力の源泉である経済力に打撃を与えようとしているかもしれません。

※お断り 文章の組み方を、私の思考の流れに沿って前段と後段で入れ換えました。いつもすいません。

 

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日曜写真館 秋桜の頃

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米朝2回目会談の意味

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どうやら2回目の米朝会談が開かれるようです。 

「【ワシントン時事】サンダース米大統領報道官は10日の記者会見で、トランプ大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から、2度目の首脳会談を提案する「非常に前向きな」書簡を受け取ったと発表した。「すでに調整のプロセスにある」と述べ、開催を検討していることを明らかにした。具体的な場所や時期については言及しなかった」
(時事9月11日)

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018091100234&g=use

2回目をやる理由は、この膠着した状態の打開以外に考えられません。 

北朝鮮は分かりにくい国のようなことを言われていますが、たいへんに「分かりやすい」国でもあります。

北は先祖代々、一貫して中国の人民戦争戦術の良き弟子でした。 

敵が一歩前に出れば一歩下がり、敵が一歩下がるときには二歩前に出る、これが毛沢東が定理化した人民戦争戦術です。 

対応している側から見れば、押せば引っ込み、引っ込めばつけあがり、膠着すれば攪乱してくるのです。 

今回、北から書簡で2回目を申し込んだわけですが、これには二つの見方があります。 

ひとつは、北が6月12日以降も止めていない核と弾道ミサイル開発において、新たな展開を得た自信の現れとする説です。

シンガポール会談で負けたトランプが、さらに正恩によってボロボロにされるという構図です。 

もちろんいうまでもありませんが、北には非核化の意志など寸毫もありません。

正恩のひ弱な権力基盤は核ですから、自分で自分の基盤を解体する馬鹿はいません。 

しかも3代かけて国際社会を手玉にとって作った国宝の核です。

ですからシンガポール合意以降も、38ノースやIAEAなどの分析によれば、核物質製造プラントや弾道ミサイル工場は、解体されるどころか稼働し続け、むしろ増築されています。

軍事専門家の黒井文太郎氏はこう述べています。

「北朝鮮は非核化を言いながら、実際には核戦力を増強していることを示す情報もある。たとえば9月10日には、国際原子力機関(IAEA)会合で、北朝鮮が国連安保理決議に違反して、今なお核開発計画を進展させていることに「深刻な懸念」が指摘された。
また、同日に米NBCが伝えたところでは、米情報機関は、2018年中に北朝鮮が5~8発の核爆弾を新規に生産する可能性があると分析している。さらに米情報機関は、6月の米朝首脳会談以後、少なくとも1カ所の弾頭保管施設の入口を偽装する工事を行ったり、核弾頭や核関連機材を頻繁に移動したりするなど、核武装への活動の隠蔽を進めているとも分析している。」
(現代ビジネス9月13日)http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54098

38https://www.sankei.com/world/news/180821/wor180821...

その認識に立って黒井氏は、トランプがいまや正恩の手玉にとられていると見ています。

「金正恩委員長は、自分の判断をあくまで正当化するトランプ大統領の自尊心につけ込み、いわば味方に取り込むことに事実上、成功した。
「非核化への意思」を盛んに喧伝してトランプ大統領の自己正当化アピールと歩調を合わせつつ、具体的な非核化へは大きな条件を付けてそのプロセスを先送りしているわけだが、その間に、米朝対立の沈静化や、経済の回復という利益を手にしている」(同上)

なるほど具体的非核化のプロセスは明示されないままに、ムードだけ先行しています。

核プラントのみならず、長距離弾道道ミサイルは軍事パレードに出なかったというだけのことで、6月12日以降、部品ひとつ廃棄されたわけではありません。 

この説に従えば、正恩にとってトランプが「優しくて物分かりのいいおじさん」に変身してくれたので、そろそろちょっとだけ爪を出して、北がイニシャチブを握った形での開催を要請しました、といったところです。 

つまり先程の人民戦争戦術でいえば、「敵が一歩下がった」という判断ですから、更に二歩前進して戦果を拡大せよ、となるわけです。 

具体的には、シンガポール合意のさらなる曖昧化です。非核化のケツも切らない、具体的検証方法も問わないということです。

この説を唱えるのは、トランプ馬鹿説を唱える識者に多いように見受けられます。 

私はこの説には、疑問があります。

このような意見は軍事や外交の専門家に多いのですが、合理性をトランプが無視しているように見えるからです。

それゆえ、専門性をはみ出す異形の大統領の性格を読み間違っているように思えます。 

この傾向は米国内部でも同じで、暴露本にはバカアホ、シロートと罵りたい放題の元スタッフのぼやきが並んでいるようです。

日本のメディアは、これをそのまま無検証で受け取りますから、私のように,ちょっと待て、という者は圧倒的な少数派です。

さて非公式情報では、トランプが北の書簡を見て書いたツイッターの中身がモロに軍事力行使を示唆するものであったために、高官がびっくりして投稿を止めさせたという話もありました。 

この噂自体は見てきたような嘘の可能性が濃厚で、たぶん意識的に正恩に「聞かせる」ためにホワイトハウスがリークしたのだと思われます。 

トランプの発言、特にツイッターでの発言は7掛け、いや5掛けで受け取るべきです。 

Photohttps://www.businessinsider.jp/post-105453

トランプにはこんな逸話があります。

米韓のFTA交渉でトランプは、USTRのライトハイザーにこう言ったそうです。

トランプ「30日を与えよう。そこで譲歩を引き出せなければ、手を引く」
ライトハイザー「わかりました。では、韓国政府に30日あると伝えます」
トランプ「ノー、ノー、ノー。交渉はそんな風にするものじゃない。彼らに30日あるなんて言う必要はない。『大統領は本当にクレイジーだから、すぐにでも手を引くつもりだ』と言うんだ」
『すぐにでも』と言うんだ。実際、その可能性もある。君たちもそれを理解しておくべきだ。30日とは言うな。30日あると言えば、彼らは期限を引き延ばしてくる」(ビジネスインサイダー2017年10月2日)
https://www.businessinsider.jp/post-105453

なんのことはない、トランプの言葉自体がポーカーのカードのようなもので、それを切るのは「マッドマン」だと思わせるのが、彼の手法なのです。

2http://www.afpbb.com/articles/-/3178131

この場合は、正恩に「優しいトランプオジさん」を演じてみせ握手しながら、北に非核化の約束を取り付けました。

え、韓国には板門店宣言でしているだろうって、何をおっしゃいます。お仲間みたいなムンとの約束なんかただの紙切れにすぎません。

ムンの最近の発言です。

「文大統領はさらに、「北朝鮮は米国に相当の措置を要求している」と北朝鮮の見解を詳しく紹介した。
そして、「自分たちは(北朝鮮は)これまでさまざまな措置を誠実に実践してきたのに、米国は韓米合同軍事演習中止以外に何もしていないではないか、北朝鮮がとった措置は一つ一つすべて不可逆的な措置だが、我々(韓国)の軍事演習中止はいつでも再開できるではないか、だから北朝鮮が追加的措置に出るには、米国が相応の措置を取ることが必要だというのが、今の米朝間膠着の原因のようだ」と語った」(朝鮮日報9月14日)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/09/14/2018091400906.html

すごいですね。もう恥も外聞なく、北の代弁者そのものです。

こんなムンが何を言おうと米国には関係ありません。世界の盟主たる米国が裏書きしてこそ、非核化に意味があるのです。

曖昧であろうとなんであろうと、正恩は非核化を「約束した」ということ自体が重要なので、ここに何を裏書きするのかは2回目以降にすればいいのです。

それまでシンガポール合意は白紙小切手のようなもので、それをトランプが預かっているわけです。

そして100日たったので、ホワイトハウスの金庫からおもむろにこの非核化の白紙小切手を出して、そろそろ一回目の決済をしますか、というのが今回の2回目会談です。

軍事専門家であるマティスにとっては、刃は抜いてしまったら抑止ではなくなるので、極力最後の最後まで軍事力を自制しつづけるでしょうが、トランプにとってその敷居ははるかに低いのです。 

それは彼はいい意味でも悪い意味でも大衆政治家だからであって、宮家邦彦氏が軽蔑的に言うように「トランプの頭には11月中間選挙しかない」のは一面で事実だからです。 

強いリーダーを演出するのに、「核を手放さない北を征伐する」以上のものはないのは確かですから、米朝会談をやるなら11月中間選挙の前の今しかないという判断があったとしてもおかしくはありません。 

しかし、6月12日の流れからいきなり軍事力行使に持ち込むのはいくらなんでも無理があります。

ですから、軍事力をスタンバイさせて(とっくに米軍は準備ができていますが)その圧力を背景にして、2回目の結果次第で決断するという流れでしょう。 

またこの時期は、中国が敗色濃厚な米中貿易戦争にかかずりあっていますから、北の保護者である中国の影響を最小限にできるという国際情勢もあるかもしれません。 

2番目の説が正しければ、第2回会談でトランプは北に対して軍事力行使か、さもなくば非核化を選ぶかという択一を迫ることになります。

となると、こんなところかもしれません。 

「もうたっぷり時間はやった。曖昧さは御免だ。非核化の期日を明確にしろ。できないなら、さらなる経済制裁と海上封鎖がお望みか、それともいきなり空爆をご所望か」

 

 
 

 

 

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デニー氏のスキャンダル報道でほんとうに批判されるべきは

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デニー氏がネット上に事実誤認のデマが拡散しているとして、名誉毀損の疑いで那覇署へ刑事告訴の手続きに入った、との報道がありましたが、どうもふたつあるようです。

ひとつは、週刊文春に出たデニー氏と佐喜真氏の両候補に「隠し子疑惑」がでたという件です。
 

ネタ元は週刊文春ですが、デニー氏のほうはRBCの女子アナとの一件で、告示直前の時期に取り上げた文春のエグサが光ります。 

そんなこと沖縄ウオッチャーの界隈ではかなり前から知られていたことで、だから何をいまさらナンなんです。 

いい歳をした男女になにがあろうと、それが法に抵触しないならば勝手にしたら、と思います。 

むしろ問題はデニー氏が文春の取材から逃げて訴えたことです。これでは佐喜真氏に塩を送ってしまうことになります。 

というのは、両者の対応があまりにも対照的だからです。

佐喜真氏側の「隠し子疑惑」は、大昔の仏留学中にフランス女性と事実婚をして男の子が出来て3人で同居していた、というものです。 

その後に、佐喜真氏はこの女性と別れて帰国したわけですが、いまでもこの子息とは親子の間柄で、毎年沖縄に遊びにくるそうです。 

佐喜真氏は文春の取材にもまったく隠す色はありませんし、記事からも誠実に子供と向き合っていると評していいでしょう。 

3日刊ゲンダイhttps://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/237359

※追記
横須賀ヨーコ氏から玉城氏の提訴は、文春ではなくBuzzFeedが取り上げたふたつの玉城氏誹謗サイトにたいするものだとわかりました。
ttps://www.buzzfeed.com/jp/kotahatachi/okinawa-fc1
ご指摘に感謝いたします。
お詫びして当該部分を全削除いたしました。

ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びいたします。

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デニー氏政治資金規制法違反と報じられる

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山路氏寄稿はもう一本のほうです。ぜひお読みください。

さて、情報としてアップしておきます。

今日告示の沖縄知事選の候補者玉城デニー氏に、政治資金規正法違反疑惑が持ち上がりました。

これについてデニー氏は現職の衆議院議員として公人ですから、とうぜん説明責任があります。

意地の悪い言い方をすれば、野党とメディアのモリカケ追及のひそみに倣えば、「疑惑が晴れたと追及者が納得するまで延々と説明せねばならない」ということになります。

私は、公人といえどそのような無限責任はない、と考えていますが、デニー氏は有権者に説明する義務があります。

政治資金規制法違反絡みでは、規模の違いはありますが、有名な事件としてデニー氏の「上司」である小澤一郎氏の資金管理団体陸山会事件があります。

「2009年11月、小沢の秘書3人に対して陸山会が東京都世田谷の土地を2004年に購入した際に政治収支報告書に虚偽記載した[2]として、市民団体が政治資金規正法違反容疑で告発。
東京地検特捜部は2010年1月、政治資金規正法違反容疑で
石川知裕衆議院議員や小沢の秘書である大久保隆規と小沢の秘書1人を逮捕。
また、秘書を告発した別の市民団体が小沢に対しても政治資金規正法違反容疑で告発した。2月に秘書3人が起訴され、起訴状では20億円を超す虚偽記載であり、政治資金規正法の虚偽記載罪では過去最大の金額となった。一方で、小沢は嫌疑不十分で不起訴処分となった」
陸山会事件 - Wikipedia

石川知裕議員は逮捕され、有罪判決を受けて辞任しました。
石川知裕 - Wikipedia 

この陸山会事件は、小澤氏の土地ころがしに深く関わっていましたが、小澤氏はキャンプシュワブのある宜野座村に豪邸を建てていたことが、最新号の週刊新潮に報じられています。
https://www.dailyshincho.jp/

新潮記事によれば、移設に伴う土地投機ではないかと指摘する見方もあるようです。

この件に関してはデニー氏が知事に当選した場合、小澤氏が院政政治をしく可能性もありますので、別記事でふれるかもしれません。

生花代として3万円を有権者に渡したことについては、島尻氏が09年に顔写真入りカレンダーを配布したとして野党から辞任要求が出たことがあります。

いずれにせよ、仮に事実なら選挙に出馬する資格そのものに疑問符がつくことになります。

                                         ~~~~~~~

以下引用 

「玉城デニー氏、寄付金120万円を不記載 政治資金規正法違反か 選挙区内に花代も 

沖縄県知事選(13日告示、30日投開票)への立候補を表明している自由党の玉城(たまき)デニー幹事長(58)=衆院沖縄3区=が代表を務めた政党支部が、平成26年に受けた寄付金120万円を同年の政治資金収支報告書に記載していないことが11日、分かった。政治資金規正法違反(不記載)に問われる可能性がある。 

 玉城氏の資金管理団体「城(ぐすく)の会」の収支報告書には、26年11月17日に100万円、同20日に20万円を玉城氏が代表を務めた「生活の党沖縄県第3区総支部」に寄付した記載がある。しかし、党名を変更しただけの同一の政党支部「生活の党と山本太郎となかまたち沖縄県第3区総支部」の26年の収支報告書には記載がなかった。 

 政治資金規正法では、報告書に不記載や虚偽記載をすると5年以下の禁錮または100万円以下の罰金が科せられる。過去には自由党の小沢一郎代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入事件で、購入代金などを報告書に記載しなかったとして小沢氏の元秘書が有罪判決を受けたことがある。 

 「城の会」の収支報告書では、25年1月22日に玉城氏の選挙区内にある沖縄市の生花店に「供花代」として3万円を支出した記載もあった。公職選挙法は政治家や後援団体が選挙区内で有権者に寄付することを禁じ、線香や葬儀の供花も該当する。 

 玉城氏の事務所は11日、産経新聞の取材に「当時の担当者(退職)に確認中だ。分かり次第回答する」とコメントした。」
(産経9月12日)

http://www.sankei.com/politics/news/180912/plt1809120002-n1.html

Photohttps://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180810-000100...

 なお、本件についてかわかりませんが(違うようですが)、玉城氏はこのような見解を述べています。

以下引用 

「30日投開票の沖縄県知事選に立候補を表明している玉城デニーさん(58)は10日、インターネット上を中心に自身に関する事実誤認のデマが拡散しているとして、名誉毀損(きそん)の疑いで那覇署へ刑事告訴の手続きに入った。署は「個別の告訴の取り扱いにいては回答できない」としている。
代理人の弁護士は「正式な告訴の受理に向けて署と協議していく」とし、デマの内容については明らかにしていない。

 また、告訴の理由について「有権者に正しい選択をしていただくためには、事実無根のデマには毅然(きぜん)と対応する必要がある。今後とも誹謗(ひぼう)中傷に対しては迅速に対応したい」と話した。 」
(沖タイ9月11日)

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山路敬介氏寄稿 県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その3

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山路氏寄稿の最終回です。見出しは編者のものです。

                                       ~~~~~~~~~

           ■県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その3                                                                                                    ~佐藤優氏の「詭弁的言辞」から

承前

辺野古移設の是非を問うての県知事選ではない

この「取り消し訴訟」の事実認定を誤判断であるとか、問題点が多々あるとの指摘する事は出来るでしょう。 

ですが、事情はどうあれ翁長県知事は太田元知事がしたように代執行される道を選択する事なく、自身のした「取り消し」の違法性を認め、自ら「取り消しの取り消し」を行ったのです。 

このような判決内容や経緯、それに対する翁長知事の判断を佐藤氏のような専門家が知らぬはずもありません。

そして、それゆえ県には上記のような主張はもはや出来ず、後発的事情により効力を失わせる「撤回」に踏み出さざるを得なく追い込まれたのが「現在の地点」なのです。
 

このコラムの佐藤氏の論旨は結論として、このようなことを書いています。 

「辺野古新基地を容認せざるを得ないという認識に立って立候補する人は、その事を正直に述べるべきだ。「辺野古新基地容認」を公約に掲げ、有権者の判断を仰ぐべきだ」 

これを言うことが佐藤氏の目的でしょうが、これもピントがずれています。

辺野古への移転や埋め立て行為について、県知事はもちろん名護市長や宜野座村長、地域住民や中城海上保安部長、県環境生活部長や農林水産部水産課長らとの合意や承認があり、地域漁協との補償問題も解決されています。

実質的に辺野古施設の代償である北部振興資金も実行されています。

そのような現実のなか、「辺野古移設の是非」などを問うて県知事選にのぞむ事の方にむしろ正当性がありません。

知事候補たる者は「一日も早い普天間の危険性の除去」を政府に促し、それを実現させるべく現実に即した公約を掲げる人こそが知事にふさわしいのです。

作家のファンタジーで沖縄世論を誤誘導するな

佐藤氏は本コラムの結びにおいて、「仮に中央政府が土砂の海中投棄を強行しても、民意に基づき自己決定権を回復した沖縄人を主体とした政府が、海から土砂を取り除き、50年、否、100年、200年かけても辺野古の青い海をとり戻す。」としています。

このような、「作家のファンタジー」にはケップが出ますが、佐藤氏にはせめて重要な知事選を前に、上等に出来ていて楽しめはするものの、言葉の外連芸を用いて県民を誤誘導する「詭弁的言辞」を用いる事は今は出来るだけ避けていただきたいとお願いしたい。

それと、中国ではないし米国のような連邦制でもないので日本国に「中央政府」などと言うものはなく、一県民として「沖縄人を主体とした政府」などと言うものも、例え冗談でも「悪しからず真っ平御免こうむりたい」所存です。

                                                                                                             了

                                                                                                                                                   文責 山路 敬介

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デニー氏は知事候補として具体的に普天間飛行場の移設方法を答えよ

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山路氏の論考のリードでしたが、悪い癖で例によって長すぎたのでこちらに移しました(汗)。

さて今回、山路氏がとりあげられたテーマは大変示唆に富んでいます。

保守系候補者として宜野湾市長である佐喜真淳氏が登場したことによって、移転問題で問われている根っこが改めて明確になりました。

佐喜真氏が普天間飛行場の所在地の当該市長であり、一貫して普天間飛行場の移転を主張してきた人物だということが重要です。

氏が別の地域なら、これほどデニー候補との対立軸は明瞭にならなかったはずです。

氏の主張には、宜野湾市長だった者として切実な、「今そこにある危険性の除去」という重みがあることに対して、オール沖縄」陣営はジュゴンを持ち出さざるをえないような空疎な観念論にすぎません。

「普天間の危険除去」と叫ぶなら、その解決法は移転しかないのは、誰にでも分かる論理です。

ところが移転することは「新基地建設」だから身体を張ってでも反対する、これでは永久に普天間飛行場はそこにあり続けることになります。

ジュゴンと人とどちらが大事なのでしょうか。

そもそも海を埋め立てない陸上案もあったのに、それを拒否したのは誰だったのでししょうか。

これでいいのですか、ほんとうにそれが県民の願いなのですか、と佐喜真氏は暗に問うています。

佐喜真氏は移設問題を争点に掲げませんでした。

それは逆説的にデニー陣営の根本矛盾に対する鋭い問いかけのように私には思えます。

デニー氏は知事候補として、明確かつ具体的に普天間飛行場の移設方法に答えるべきです。

出来ないならば、それは反対のための反対論であって、真の争点たりえないのです。

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山路敬介氏寄稿 県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その2

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山路氏寄稿の2回目です。見出しは編者のものです。

                                       ~~~~~~~~~

           ■県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その2                                                                                                    ~佐藤優氏の「詭弁的言辞」から

 

承前  

デニー氏は政府に「普天間飛行場の早期返還」のために何をさせたいのか明確にするべきだ 

佐藤優氏は、デニー氏の「辺野移設反対」と佐喜眞氏の「普天間飛行場の早期移転」が、「普天間の危険性の除去」という命題に対して「県民の総意」として争点だとしています。

ならば、デニー氏は「普天間飛行場の早期の危険性の除去」について、実効性があるプロセスや方法論、その時期についても県民に説明する責任があります。 

デニー陣営にある「いや、普天間の危険性の除去は政府がするものだから、それはいいのだ」と言った知的怠慢は通りません。

少なくも、「普天間飛行場の早期移転」のために知事としてデニー氏が政府に何をさせようとし、どのようにその実効性を担保できると考えて実現させ得るのか?

そこを具体的に県民に語らないではお話になりません。

このように、デニー氏が「辺野古移設反対」を掲げる以上、その事から佐喜眞氏が「普天間飛行場の早期移転」を言う事は佐藤優氏が述べる事と正反対にカウンター的であり、ゆえに極めて争点的でもあるのは明白です。

かつ、佐喜眞氏の争点設定には、正当性も意義も十分に認められます。

■既に司法は普天間飛行場の危険性の除去は辺野古以外ないと判断を下している

今回佐藤氏の言論を「詭弁的」と申しましたが、これは言葉の正確な意味で使っております。

理由は以上で十分なものと考えますが、もう少し付け加えます。

先の「取り消し訴訟」の判決において、既に「普天間の危険性の除去のための辺野古施設建設である事」、「県外は不可能」で「普天間の代替え地は辺野古沖以外にない事」が明らかにされております。

「国防・外交に関する国の判断は、明らかに合理性を欠いていると認められない限り(沖縄県には埋め立て承認を)覆す事は出来ない」、「国の本来的事務である国防・外交について地方公共団体の判断が優越する事はない」のです。

これらは司法の事実認定として確定しています。

                                                                                                       (続く)

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山路敬介氏寄稿 県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その1

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山路敬介氏から寄稿を頂戴しました。ありがとうございます。

実は先週に頂いていたのですが、北海道地震があったために延び延びとなってしまいました。申し訳ありません。

なお、当初私の記事とカップリングになっていましたが、分離しました。

                                         ~~~~~~~

県知事選の重大な争点は「普天間飛行場の早期移設」である その1
                                 ~佐藤優氏の「詭弁的言辞」から                                        
                                                                                       山路 敬介 

 

佐藤優氏の「普天間移設」と「辺野古新基地反対」を意識的に混同させる詐術 

琉球新報紙で連載中のベストセラー作家にして外交専門家の佐藤優氏のコラム「ウチナー評論」(9月1日)の中で、氏の筆にあってはめずらしい事ではありませんが、かわらず「詭弁的言辞」を弄してい、今回は知事選に臨む特に重要な時期と考えたので指摘しておきます。

佐藤氏は「「普天間飛行場の早期移転」は県民の総意である。総意である事柄が争点にならないのは自明である」とし、そのような事は「偽装争点である」」とします。

氏がこのコラムを書いたのは、佐喜眞氏が県知事選の争点として「一日も早い普天間の返還」を掲げているゆえであり、それに対しての佐藤氏のこの部分の論説はきわめてシンプルで分かりやすい論理性を有しているので、だれしもが簡単に納得してしまうのではないでしょうか?

しかし、一見妥当に見える氏の論法はまさしく一種の詭弁術によるそれであり、論理的に「総意である事」が「争点でない事に」に必ず一直線に結びつくわけでもありません。

特に注意すべきなのは佐藤氏の記述が佐喜眞氏の「一日も早い普天間の返還」と、デニー氏が掲げる「辺野古新基地反対」を「普天間の早期返還」において、同じ「県民の総意である」として一括りにしてしまう事です。
 

氏は意図的に、「普天間飛行場の早期移転」という命題に対する方法論として両者の主張がまるで「同じもの」であるかの如く読む人を誤認・錯覚させてしまっています。 

その点についてと、むしろ私は「辺野古新基地反対」を掲げる事こそが逆に「普天間飛行場の早期移転」という大命題の実現を阻む、という点において「偽装争点」であると考えます。 

■「辺野古新基地反対」を先になれば「普天間基地移設」はいつになるのかわからなくなる

確かに佐藤氏の言われるように「普天間飛行場の早期移転」は県民のみならず、国民の総意であると言えます。
 

しかしながら、日・米・県・地元の了解のもとようやく進行している「普天間飛行場の移転」が、「辺野古への移設反対」を掲げる知事の誕生によって著しく遅れる可能性が生じると懸念するのが当然です。

「橋本=モンデール合意」以来20年近くの時間をかけて、地元や県の了承を取り付けて着工した辺野古移転が佐藤優氏やデニー氏の主張のように中止になったらどうなるでしょう?
 

「普天間の危険性の除去は政府の責務だ」と反対派は言いますが、そんな事は当たり前の事です。 

その当たり前の事をするために20年近くの時間がかかったのが現実であり、それが沖縄の現状です。

辺野古移設問題に関して、鳩山由紀夫の愚言以外は政府に手続き上の瑕疵は全くありません。
 

にもかかわらず20年の歳月がかかった意味をまじめに考えれば、一日も早い「普天間の危険性の除去」のためこそ、今この時点で政治家は「辺野古反対」などと軽々しく言うべきではありません。 

それを言うのであれば、「「普天間基地の危険性の除去」はさらに20年ほど先になるが良いか?」とでも県民に問うてからアジェンダ(計画)設定すべきです。

ですから、当該コラムの中で佐藤氏が本土の言説として批判する、「辺野古に基地を移転しないと、普天間基地が固定化され、住民を危険にさらし続ける」というコメンテーター氏の言説や、「辺野古移設に反対することは普天間飛行場の固定化を意味し、反対を主張する政治家が沖縄県民を危険にさらしている」とする全国紙の記者や大学教師の認識は、逆にすこぶる正しいものと言えます。

これらの本土の言説に対しての佐藤氏から反論らしい解説はありません。
 

ただ佐藤氏は、「(このような本土の言論は)本質において差別的だというのみです。 

たとえば、いわく「沖縄人の力を軽く見ている」、「日本人の大多数は沖縄の基地問題を遠ざけている」といういつもの差別論を展開し、「普天間基地の返還は、日本の中央政府として当然行わなくてはならない」としますが、それらは全て「論点のすり替え」です。 

上記の本土の諸氏の言説に対してだけでなく、佐藤氏が「県民の総意」であるとする「普天間基地の早期返還」という命題に対しても何の答えになっておりません。 

ちなみに私は「論点のすり替え」はあってもいいと考えている派ですが、それは先の論点より新たな論点の重要度が上回る場合のみです。 

佐藤氏の差別論に肯じるかどうかは別として、普天間基地の早期移転は県民の生命に関わることなので、あらゆる「差別論」よりも重要である事は言うまでもありません。

 

                                                                                        (続く)

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