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2021年2月26日 (金)

山路敬介氏寄稿 海保法改正、シン尖閣密約の事など その1

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                                           海保法改正、シン尖閣密約の事など
                                                                                   山路敬介

 

ここのところ何日かコメント欄の入力で常にはねられてしまい、数日間の記事に関連した事項をお願いして書かせて頂く次第です。どうも中国関連の話題についてはAIが特に過敏になるようで、いろいろ試しても何のワードが引っ掛かったものか、皆目見当がつきません。おそるべし中華帝国!とでも言っておきましょう。(笑) 

日本の尊厳と国益を守る会(通称「守る会」は、この二月初旬に中国の海警法施行にともなう提言書を菅首相に提出したそうです。

しかし、その中には海保法改正の必要性は全くふれられていません。

代表の青山繫晴氏によれば、「守る会」の主旨として「実現可能性のあるものだけを提言している」そうで、海保法改正についても「討議はあった」としていますから、実現可能性がないと判断されたのかも知れません。

また、青山氏が現場を含めた海上保安庁各部署へした聞き取りによると、①海警局が侵入して来る箇所が限定的である事、②海保の船に向かってくる気配はなく、民間漁船を負い廻すのみだと言う事、③現状の海保の火力で充分対抗できる事、④たとえば海警が導入した12000トン級の船では漁船を追い廻す事はできず、実際には現場で見せるだけの目的に過ぎないと考えられる事、等々から「余計な法改正をするとワケが分からなくなってしまうので、今のままで良い」(ママ)との意見だったそうです。(YouTubeチャンネル 【ぼくらの国会・第108回】ニュースの尻尾「中国海警法の本当の狙い」より) 

こうした守る会の「海保法改正不要」との判断は、中国の海警法改正の真のねらいを読み解く事から至ったものです。
しかし、あいかわらず漁業者は尖閣に近づく事さえできず、本来の漁果は長年あがっていません。むしろ海保により作り上げられたこの「安全のための禁止」の状況は、「海保によって漁業を阻まれている」と言っても同義だと思えます。

また、上記の海保の見解は庁行政本来の法的立場かぎりのものであって、それを逸脱した意見など余程の改革派公務員でない限り言えるはずがありません。公務員は自らの意思でグレーゾーンを打破する行動に出る事はありません。

「守る会」は安倍前総理以来、自民党内で国防案件について重要な役割を果たして来たと見ていますが、今回は目的を失した省庁縦割り行政の壁にぶつかってしまっていて、海保庁の役割増大からの省昇格や9条改正と紐づける事もできず、その事に気づきもしないようです。
青山さんらが「実現可能性のある提言」とする自然海洋調査、船溜まりや観測機器の設置、現地慰霊祭の実施、等々が実現できるならまだしも良いでしょう。しかし、法の在りようの変化こそが公務員の意識・行動を変えるという重要な視点を欠いています。

そうしたなか、中谷元氏とリベラル派の山尾志桜里氏がつくる超党派の「中国政策に関する国会議員連盟」(JPAC)は存在感を増しています。ウイグル問題を「ジェノサイド」認定すべく活動は超党派であるだけに自民党親中派の縛りを受けづらく、外務省批判にも手をこまねいていません。
ハフポストあたりにも取り上げられるなど、今後、日本の政治家には数少ない本物のリベラル方面にも強くうったえる活動が広がることを期待します。

話がそれました。
ところで、あまり知られていませんが、海保は漁業組合を通じて漁業者に不明船舶や違法漁船のリサーチをさせています。
私にはこうした政策に特別な意味があるとは思えず、税金からの体の良い「魚業補償」のようなものだと思っています。そうであれば、海保は農水省管轄を侵した措置をとっている事になります。
不審船の有り無しに関わらず報告内容の形式だけ整っていればいいので、二人乗船で日当3万円の手当ては漁業者にとってうま味があるものです。

しかし、先の日台漁業水域妥結のさいに台湾側に譲歩した件にともなう補償金などもあり、これではハッキリ言って漁業者本来の就労意欲を削ぎ続ける「補助金行政」そのものです。
国民の権利を金員に換算する場合のある事も仕方ありませんが、地域の産業を台無しにしないで貰いたいです。

                                                                                                                                             (次回完結)

 

2021年2月25日 (木)

韓国による「竹島密約」の一方的廃棄

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毎度のことですが、韓国が島根県の「竹島の日」式典に抗議したそうです。

「ソウル聯合ニュース】韓国外交部の金丁漢(キム・ジョンハン)アジア太平洋局長は22日、島根県が「竹島の日」の式典を開催したことを受け、在韓日本大使館の相馬弘尚総括公使を同部庁舎に呼び出して抗議した。
 相馬氏は、式典の開催を続ける理由などを問う報道陣の質問に答えずに庁舎に入った。
 韓国の独島を巡って、島根県は2月22日を条例で竹島の日と定め、2006年から毎年式典を開催している。日本政府は今年の式典にも内閣府政務官を派遣した。
加藤勝信官房長官はこの日の会見で、「竹島は日本固有の領土だ」と改めて主張した」(韓国聯合2月22日)

「竹島」は国民の脳裏から忘れ去られようとしています。
「竹島の日」は、1905年1月28日に、当時の日本政府が竹島を島根県への編入に関する閣議決定を行い、同年2月22日に島根県が所属所管を告示したことに由来して制定されたものです。
本来は島根県が条例でやるものではありません。1905年の政府決定に根拠があるのですから、とうぜん政府式典で実施すべきです。

ところが、今年も政府は首相以下の閣僚は参列せず、派遣されたのは内閣府政務官の和田義明氏でした。
なにも竹島を奪還するぞなんて勇ましいことを言えというのではなく、こういう領土問題に対しては原則的な態度を貫くべきです。
メディアに至っては、朝日、毎日はとうぜんスルー、読売も知らんぷり、唯一報じたのは産経だけだったようです。

韓国のようにエキセントリックなナショナリズムを鼓吹しろ、と言っているのではなく、最低限のポテンシャルくらい維持しないとダメです。
韓国はわが国にとって一種の不良資産のようなもので、今までどれだけのコストをかけてきたのかということをいったん度外視してかんがえねばなりません。
はっきりいって、サンクコスト(回収不能なコスト)の項目に入れてしまったほうがいいような地域です。
といっても、慰安婦がどーた、徴用工がどーしたのとエキセントリックに騒ぎ立てるでしょうが、それは残務処理のようなものだと割り切りましょう。

だからこそ、残務処理はキチンとしないと禍根を残してしまいます。
原則は譲らず、譲れないことを国として表明していくだけのことです。
まぁ、そのしっかりノーという事が日本人のメンタリティですとけっこう大変なんですが、それが出来ねばいっぱしの国家とはいえません。 

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歴史的な「日中共同声明」調印の知られざる舞台裏 |

昨日見た尖閣密約は大きな禍根を残しました。
手柄に走った田中角栄という野心家によって、自由主義社会の橋頭堡であった台湾を切り捨て、中華帝国に門戸を開いてしまったからです。
いまなお角栄の日中国交回復は戦後外交の金字塔なんて言われているようですが、とんでもありません。
あれほど国益を棄損し、後の世代にツケを回した外交はありませんでした。
そもそも領土を確定しない平和条約などありえませんからね。
それを「後にすんべぇ」ですからね、角栄さんときたひにゃ。あんた一国の首相だろう、村会議員か。

後述する竹島密約もそうですが、オールド自民党の先生方、こういう阿吽の合意は同じ民族の間だけにしてください。
こういう言外に含みを持たせてとりまとめてしまうのは日本民族同士ならなんとかなりますが、約束自体に対する価値観がまったく異なる中韓相手にそれをすると大火傷を負います。

そもそも日中国交正常化自体が誤りでしたが、どうせやるにしてもやりようがあったはずです。
当時の圧倒的に日本が強かった力関係なら、充分に尖閣を日本固有の領土と認めさせることができたのに、絶好の機会を自分から逃して阿吽の呼吸に任せるから、後に約束は破られるわ、破ったほうが正義を振りかざしてくるわ、とエライことになります。

さて、情けないことに、尖閣と同じことをその7年前に日本は竹島でもやってしまっています。
というか、角栄の頭にはこの竹島密約が踏襲すべき前例としてどこかにあったのでしょうね。
当時の事情を知る人は少なくなりましたが、故三宅久之氏が書き残しておられるので参考にさせていただきました。
竹島密約考 

竹島は1905年の日本政府の領土編入によって日本領となりましたが、1951年9月、敗戦を経てサンフランシスコ平和条約で独立した際、返還すべき領土と、しなくてよい日本周辺の固有の領土に分けられました。
この返還される領土の中に竹島が入っていなかったために、狂信的反日運動家であった李承晩大統領が、勝手に李承晩ラインと称する国境線を引いてしまい、その中に竹島を強引に入れてしまったのです。

以後、竹島を巡って今に至る領有権争いが開始されてしまいましたが、この李承晩の蛮行がきっかけで始まったことをお忘れなく。
日本が軍事占領から立ち直ったばかりを狙って竹島を韓国領土としてしまったんですから、まったく性格の悪いことです。
ご注意いただきたいのは、この李承晩ラインこそ、今なお韓国が主張する国境線だということです。
国境線の一方的変更は、国際法違反なのはいうまでもありません。

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半島有事 起こりうる危機(下)】対馬海峡波高し…「李承晩ライン

それから10年後、日本は短期間で国力を回復させますが、一方の韓国は同族の金日成に攻め込まれて亡国の淵に追い込まれるなどして疲弊の極みにありました。
ちなみにこの時、国民を置き去りにして真っ先に逃げだしたのが、いままで日本にだけ威勢がよかったこの李承晩でした。
これを復興させたのが、1961年5月の軍事クーデターによって政権を掌握した朴正熙でした。
朴が最優先に置いたのは韓国の近代化でした。
朴は経済近代化資金を日本から取り出そうとします。
そのために始まったのが、後に日韓基本条約として結実する長期の日韓交渉だったのです。

日本側交渉のの窓口は大野伴睦自民党副総裁、韓国側は朴の側近である金鐘秘中央情報部長が当たり、1962年にはいったん交渉がまとまりかけ「大平-金合意メモ」が作成されましたが、窓口の金と大野の死去で御破算になっています。
この大野の後任に池田首相が指名したのが河野一郎、今の河野太郎の祖父です。
ちなみに一郎も外相、洋平も外相、太郎も外相経験者ですから、外相一族。首相をだすのが悲願だとか。ま、どうでもいいですが。

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半島有事 起こりうる危機(下)】対馬海峡波高し…「李承晩ライン

足かけ14年間もすったもんだで、ご承知のように経済協力総額5億ドル(無償3億ドル、有償2億ドル)で妥結しましたが、ここでも最後に喉に刺さったトゲが竹島でした。
これを「解決しないことを解決とする」というわけのわからないことを言って、ゴニョゴニョととりまとめてしまったのが竹島密約でした。

「竹島(独島)の領有権問題は両国の主張が平行線で対立、最後まで残った。そこで宇野、金鐘珞両氏は最終的に竹島問題を棚上げすることで合意、「両国は相互に領有権の主張を認め合い、互いに反論する場合には異議を唱えない」との密約を交わし、この密約内容を日本側は河野国務相を経て佐藤栄作首相(池田首相が病気のため64年の東京オリンピック後退陣、同年11月佐藤内閣が発足)に、韓国側は丁一権国務総理を経て朴大統領に報告され、それぞれ了承を得たという」(三宅前掲)

これが尖閣密約の原型である「竹島棚上げ」密約です。
ここで両国は、竹島の領有権問題を「事実上棚上げし、互いに領有権の主張を認め合う」という密約を結び、双方の政府に引き継がれました。
表だって公表はせずに、互いの領土主張は非難しないというよく言えば紳士協定、有体に言えばなぁなぁ取り決めです。
こういういい加減なことをすると、当事者が現役でいるうちはなんとかその線に納まっていますが、いったん退くともういけません。

それでも日本側は生真面目に密約を守っていましたか、韓国側は1993年の金泳三政権で豹変しました。
金はただ引き継がなかったばかりか、竹島に接岸施設を設け、軍隊を常駐させ、対空兵器などを装備する要塞化を開始してしまったのですから、おいおいです。
そればかりか、竹島を韓国反日ナショナリズムの燃料にして利用しまくったのですから悪質です。

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今さらいうまでもありませんが、この韓国の対応は合意の一方的廃棄であり、軍事的実効支配に至っては一方的国境線の変更ですからとうぜん国際法違反です。
ただし、なんどか私は書いてきていますが、いったんこの実効支配の形に持ち込まれると、そう簡単に覆りません。

この竹島密約は 角栄の尖閣密約と異なり文書化されて双方が保管していたようですが、韓国側の密約文書は金鐘珞が自宅に保管していた80年頃に廃棄してしまい、日本側はこの密約文書の存在を否定しています。
また公式に日本政府は、2007年3月の鈴木宗男氏の質問趣意書に対して、正式に「合意があったとは理解していない」と回答しているようです。

 

2021年2月24日 (水)

尖閣密約はあったか?

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それにしてもわが国の尖閣での対応はピリっとしませんね。
気がついたら、中国はどんどんとエスカレートを繰り返し、「公船」なんて中国語であいまいにしてきましたが、いまや海警はれっきとした準軍隊に成長し、尖閣水域は「施政権」だから武器の使用もありえるなんて言って日本漁船を追い回しているんですから、よー言ってくれますわ。

ところでデニーさん、政府に県の漁船保護を要請するなら、手紙でやんなさんな。やるきなさ見え見え。
そして東京に行ったら、中国大使に面会して抗議のひとつくらいしたらどうです。
うちの県民をこれ以上いじめるな、怒るぞ、くらいタンカ切って来なさい。少しは見直すから。

一方、竹島ときたら、日本はまともな返還要求ひとつするわけでもなく、完全にアチラの国に差しあげたも同然となっています。
先だっての「竹島の日」などは本来は国がやるべきものを、島根県任せにしたうえに、いまや式典に政府は顔すら出しません。
このような無意味な妥協は、相手方の増長を生むのは当然で、竹島を自衛隊が奪還に来ると言って、対日戦争目的の空母や戦略原潜の保有を計画する始末です。
なんでもコリアが言うには、自衛隊が実力で奪還にくるから防備を固めねばならないそうで、そんな事、誰がするかって(笑)。

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日本の海保に測量中止を警告する韓国海上警察
海上で睨み合う海上保安庁VS韓国海洋警察庁 憂慮されるのは一触即発

このように軍事的エスカレーションの階段を登り始めた韓国は、今度はいままでまったく係争水域にすらなっていなかった五島列島におけるEEZで、海保の測量船にイチャモンづけをし始めました。

「海上保安庁は11日、長崎県五島市の女島沖139キロの排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査をしていた測量船「昭洋」(3千トン)が、韓国海洋警察庁の船から調査を中止するよう要求されたと発表した。日韓の地理的中間線より日本側で、昭洋は「EEZ内での正当な調査」と回答し、調査を続けた」(朝日1月11日)

この水域は今までいちどとしてもめていなかった場所で、突然相手国のコーストガードにこういう警告をすることを、世界では領土的野心があると言います。
初めは竹島、そして五島列島水域、そしてやがては対馬でしょうかね、やれやれです。
私はかの国を友好国だなんてこれっぽっちも思っていませんから、怒る気にもなれないのですが、これがわが国の国境を囲む実情です。

では、なぜここまでこの両国は増長するのでしょうか。
理由はいろいろあるでしょうが、そのひとつに「密約」の存在があります。今日はこの角度から考えてみましょう。
密約というのは、政府間が条約の裏で決めた秘密の取り決めのことです。
密約は、国民に知らせないで行われた合意、ないしては了解事項のことです。
これ自体は古今東西よくあることで、かつての帝国主義や冷戦期にはしばしば秘密協定がなされて、そのほうが表の条約よりも重要だった時代がありました。これを「狭義の密約」と呼びます。

一方、このように文言で文書化はしないものの、あえてあいまいにしたままにして交渉を終結させることを「広義の密約」と呼ぶ場合があります。
契約概念が希薄なアジアでは、このようないいかげんな決着法が「賢人の知恵」だなんて呼ばれた時代もあったのです。
わが国も例外ではありません。
それが尖閣と竹島の「密約」問題です。

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田中角栄×周恩来「尖閣密約」はあったのか | 外交・国際政治 | 東洋経済

まず尖閣ですが、1972年9月、日中平和条約を締結した田中角栄政権時にそれはなされました。
この時、中国側は文革時の混乱から立ち直るために、なにはともあれ喉から手が出るほど日本の経済支援が欲しかった時期でした。
文革と四人組による内乱によって、極度の国際的孤立と国力の疲弊をきたしていたからです。

そこで訪中した田中に周は、「小異を捨てて大同につく」という甘いささやきをします。
周は戦時賠償を放棄し、日米安保について触れないという妥協を示し、太っ腹ぶりを示して国交を結ぶことを優先しようと誘ったのです。
しかし喉に刺さった最後の刺が尖閣領有権問題だったわけです。

これについて元中国大使だった丹羽宙一郎がこんなことを書いています。
『田中角栄×周恩来「尖閣密約」はあったのか日中問題は45年前の智慧に学べ』
https://toyokeizai.net/articles/-/190196

「しかし、最後の最後になって田中首相より尖閣諸島の領有権問題が出た。尖閣諸島は日中どちらの領土なのか。領有権を主張し合えば、国交正常化交渉は暗礁に乗り上げ、まとまらないだろう。
このとき周首相が、「これ(尖閣問題)を言い出したら、双方とも言うことがいっぱいあって、首脳会談はとてもじゃないが終わりませんよ。だから今回はこれは触れないでおきましょう」と言うと、田中首相も「それはそうだ。じゃ、これは別の機会に」と応じ、交渉はすべて終わり日中共同声明が実現したといわれている〔横浜市立大学名誉教授の矢吹晋(すすむ)氏による〕

仰天するほどの村政治です。
こんな阿吽の呼吸で、領土問題という国家間の重大事が決まってしまうことに驚きを感じます。
日本側には国交回復を焦る必要はなかったはずです。まとまらなかったらマラソン協議をすればいいだけのことです。
それを自分の手柄にしたいばっかりに田中は焦ったのです。

領土問題という重大事を棚上げにしていい道理はありません。
むしろ同じ年の2月に日本の頭越しに 共産国と国交を結び台湾切り捨てた米国に対して、東アジア情勢を不安定にしてどうするのだと抗議してもいいくらいだったはずです。
しかも、周と田中の2人が密室で裏取引してしまい、それがわかったのは田中が後に身内の野中広務に漏らしたからでした。

「元官房長官の野中広務氏は2013年の訪中の際に、「双方で棚上げして、そのまま波静かにやっていく」ことで合意が結ばれたと、田中角栄元総理から直接聞いた話として語った。野中氏は当事を知る「生き証人」の責任として真実を語ったのだと述べている」(丹羽前掲)

これがいわゆる「尖閣棚上げ論」です。
日本政府はいまだ公式には否定していますが、あったのかもしれません。
しかし問題はむしろ、どうしてこの「棚上げ論」がゴミ箱に投げ捨てられたのかです。
その理由は拙劣な旧民主党政権の国有化が原因だったと丹羽は述べています。

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「ひるがえって尖閣問題が日中間のデリケートな問題であることを知りながら、安易に国内問題として国有化に舵を切った民主党政権の応用動作は田中角栄に較べ見劣りがする。胡錦濤主席(当時)と直接言葉を交わし、国有化反対の意思を聞いたにもかかわらず、国有化の手続きを継続した野田佳彦首相(当時)の一連の動きを見ると、あまりに反射神経が鈍かったと思わざるをえない。
中国大使として、尖閣の国有化は日中間に大きな影を落とすと、強く進言していた私としては残念でならないことだった 」(丹羽前掲)

丹羽に言わせると、(彼は「(外交的)反射神経の鈍い」民主党政権が抜擢した中国大使だったはずですが)、尖閣を係争地にし日中関係を悪くした最大の原因はこの尖閣国有化だったということのようです。
なるほど、この野田の2012年9月の尖閣国有化を待っていたかのように、中国海警は大規模な領海侵犯を開始して、いまに至ります。

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中国政府の船舶等による尖閣諸島近海での挑発行動 - 尖閣諸島|内閣

日本でも指折りの親中派である丹羽は、「先人の知恵に学べ」と述べて、こんなことを言っています。

「われわれは、尖閣諸島の領有権にあえて白黒をつけず、棚上げとしたまま国交を回復させた日本と中国の先輩たちの智慧(ちえ)に学ぶべきだ。それが、45年前に日中の国交が正常化した今日9月29日に、私が言いたいことである」(丹羽前掲)

なにを寝言を言っているのか。寝言は寝て言え。
周と田中が阿吽の呼吸で「じゃ、これは別の機会に」と収めた裏合意は公式文書には存在せず、しかもその性格からして賞味期限つきだったのは自明です。

当時の中国は、開放改革を掲げた鄧小平時代の韜光養晦((とうこうようかい)路線をとっていました。
聞き慣れない熟語ですが、光を韜 (つつ) み養 (やしな) い晦 (かく) すこと、才能や野心を隠して、周囲を油断させて、力を蓄えていくという中国流処世術ですが、転じて経済大国となるまで外交方針は抑制的にしていろ、という教えです。

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鄧小平の演技は実に巧妙で 上の写真でも彼は「井戸を掘った」角栄宅を訪れて、いかに中国人が恩義に報いることに厚いかをアピールしました。
当時の角栄は失脚していましたが、それを重々承知でこういう憎いことができたのが人たらしの鄧小平という人物です
子供に手をやる優しいしぐさは、いかにも古い大国の好々爺然としていて、日本人の中国ファンを激増させました。
当時の日本メディアなどこぞって、鄧という老賢人が発展途上の老大国を再興しようと奮闘努力しているのだから、日本人は日中戦争のお詫びに大いに協力せよ、という論調で報じました。
トヨタ、松下などの日本を代表する企業が、社運をかけて争うようにして中国に向かったのはこの時期からです。

しかし、この経済大国になるまで低姿勢でニコニコ外交をするという路線は、リーマンショック以後、中国が経済の世界の覇者となるに及んで、弊履のように捨てられました。
もう猫をかぶっている必要がなくなったと中国は見て取ったのです。
代わって登場したのが、習近平の「中華の夢」路線です。

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習近平皇帝。もちろんクソコラ

習は「中国の夢を実現しよう」「中華民族の偉大なる復興」という言葉を好んで使い、秦の始皇帝時代から清朝初期まで、ほとんどの期間世界の覇権国家だったことを強調しています。
過去の中華帝国の栄光を取り戻し、それを凌駕する世界に冠たる覇権国に返り咲くことが、習が掲げた国家目標でした。
中国の国家主席が世界帝国になることを堂々と宣言する時代になって、いまさら文革明けの韜光養晦の時代に戻れ、先人の知恵に学べと言われても、そんな時代に戻れもしないし、戻る気もない、ということをいちばんよくわかっているのが、当の中国のはずです。

客観的に見て、日中尖閣密約が仮に存在したとしても、今日棚上げ論が存在する余地はまったくありません。
中国は棚上げにするどころか、施政権すら求めて実効支配を進めています。
そんな相手に対して丹羽のように「先人の知恵に学べ」などときれいごとを言って、かんじんの聞く耳を中国が持っているでしょうか。

従ってわが国も、「そのような密約はなかった」の一言で一蹴するべきです。
双方の正式に外交文書に存在しない以上、ないものはないのです。
田中が言ったとされる「別の機会に」論は、外交用語で言うテイク・ノート(メモで書き残したような非公式記録)でしかありません。
丹羽が日本側がこの密約合意を一方的に廃棄したから、尖閣が紛争化したのだという言い方は、アチラの国の言い分にすぎません。
中国は手ぐすね引いて、東シナ海領有化のタイミングを狙っていたちょうどその時に、ノータリンの民主党政権が絶好の餌を投げてくれた、ただそれだけのことです。

長くなりましたので、竹島密約については次回に回します。、

 

2021年2月23日 (火)

ファイザーワクチン通常冷凍温度帯でも供給可能か

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新型コロナのワクチン接種ですが、ひとついいニュースがありました。
零下70度で供給せよ、なんて厳しすぎる条件が課せられていたファイザーワクチンは、マイナス15度~マイナス25度の温度帯での接種が可能なようです。
これは朗報です。
なぜならファイザーのワクチンは、現在世界で供給されているワクチンの主力ですし、日本も6千万人分の量を確保しているからです。


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「ファイザーワクチン、-25℃~-15℃で保管可能
アメリカのファイザー社は、日本でも使われているワクチンについて「マイナス25度からマイナス15度でも保管が可能」とする新たなデータを、規制当局に提出しました。
 ファイザー社は19日、ドイツのビオンテック社と共同開発したワクチンについて「マイナス25度からマイナス15度でも保管が可能」とする新たなデータをFDA=食品医薬品局に提出し、承認を求めました。これまではマイナス80度からマイナス60度という超低温での保管が必要とされ、輸送や管理が課題となっていました。
 承認されれば一般的な医薬品を保管する冷凍庫での対応が可能で、より迅速な普及につながる可能性があります」
(TBS2月25日)
またファイザーワクチンは、先行して供給されたためにもっとも有効性確認が進んでおり、95%という高い数値を出しています。
較べちゃ悪いですが、どこぞの国のバッチモンワクチンは国によって有効性確認に大きくばらつきが出るようなしろものですから、まじないていどの効果しか期待できません。

ただしこのファイザーワクチンの最大のネックは、供給温度がマイナス70度という超低温だったことです。
「ただこのワクチンは複雑な超低温保管設備が欠かせない。この点は米国で最も高度な医療体制を持つ病院にとってすら供給を受ける際のネックで、資金など資源が乏しい地方や貧困国ではワクチン入手の時期や範囲に影響が生じるかもしれない。
ファイザーらのワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)技術に基づいており、セ氏マイナス70度以下で保管する必要がある」(ロイター2020年11月10日)
米国は、世界でもっとも先行してワクチン接種を開始した国ですが(トランプの遺産で、バイデンの手柄じゃないからね)、超低温設備には限界があるために冷凍設備の奪い合いになリました。

「ジョンズ・ホプキンス大学ヘルス・セキュリティー・センターのアメシュ・アダルジャ氏は「このワクチンの供給面における最大の課題の1つが低温の維持だ」と述べた。「大都市の病院でさえ超低温でワクチンを保管する設備を備えておらず、あらゆる面で厄介だ」という。(略)
カリフォルニア州も、超低温設備の供給が制限されていると指摘。州の医療当局の半分程度が超低温設備の販売業者やリース業者を探している。
カリフォルニア州はワクチンが届きにくい地域向けに、移動式のワクチンクリニックを配備するなど、超低温設備による供給網を構築することを提案している。超低温設備を持たない機関にはワクチンを提供しないという」(ロイター前掲)

ここで問題になるのが、自治体や医療機関にワクチンを届ける配送網の構築です。
米国で輸送上の問題となったのは、超低温設備とドライアイスでした。

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日経

「ワクチンを運ぶ物流・航空各社も「コールドチェーン」(低温物流)の拡充を進める。UPSは、不足が懸念されていたドライアイスを1時間あたり1200ポンド(540キロ)分生産できる体制を整えた。保管や配送に活用し、病院や診療所などにも提供できるようにする。マイナス20~80度に対応する冷凍庫も確保した。フェデックスは5000以上の配送施設や8万の車両、670機の飛行機などを用意し、配送支援する」
(日経20年12月4日)

もはや国を上げての冷凍輸送大作戦ですが、もう待っておられんとばかりに巨大企業のフォードなどは自力で冷凍設備を作っているようです。
このようにコロナ禍前までは超低温流通は限られた需要しかなかったにもかかわらず、一気にファイザーワクチンで激増したわけですから、供給が決定的に不足します。

「ロイター通信によると、航空貨物団体などの調査でファイザー製ワクチンの超低温輸送に対応できるのは全体の15%にとどまり、輸送手段の不足懸念もある」(日経前掲)

これがファイザーワクチンが、発展途上国で普及せずに、イワシの頭ほどの効果しかない中国ワクチンに飛びついた大きな理由でした。
ブラジルなどの国では奪い合いや盗難が始まっています。

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ロイター

「ブラジルで新型コロナウイルスのワクチンの盗難被害が相次いでいる。ワクチンを打つふりをして実際に接種しない例も発覚しており、ワクチン不足が解消されない中、闇市場で流通しているとの懸念もある。
ブラジルは累計感染者数が1000万人を突破し、感染者数の拡大が現在も続いている。一方でワクチンの確保が間に合っておらず、現在接種できているのは先住民系の市民や高齢者など一部に限られる。こうした中、盗難されたワクチンが医療関係者の身内で使われたり、闇市場に流れたりしている可能性が指摘されている。世界的にワクチンの供給が限られる中、盗難は各国で問題になっている」(ロイター2月18日)

こうした混乱の解消への第一歩がファイザーワクチンの供給温度帯問題の改善でしたが、-15度から-25度での供給可能になれば、一般企業の通常の冷凍庫でも保管可能となり、デリバリー問題が一気に解消されることでしょう。
この改訂はFDAが認可すれば、日本も追随するはずですから、コロナ関連でひさしぶりにいいニュースです。

一方、アストラゼネカのほうはしこっています。
というのは、臨床試験の杜撰さがわかってきたからです。
アストラゼネカは英国とブラジルでの臨床試験(フェーズ3)の暫定的分析結果として、最高で90%、最低でも62%、平均で70%の予防効果が見られたという報告をしていました。
ところがここで奇怪な現象がわかってしまいます。

「治験で90パーセントの予防効果が報告された被験者グループは、全部で2回に分けて接種されるワクチンの1回目で、本来、投与されるべき量の半分しか接種されていなかったからだ。一方、2回とも本来の量のワクチンを接種された被験者グループの場合、それによる予防効果は62パーセントだった」
(小林雅一20年12月3日)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/77954

わきゃないでしょう。1回しか接種していないグループが90%で、本来の用法どおり2回接種したグループが62%なんてありえません。
ならば1回接種でいいのかというより、なんでそもそもアストラゼネカの指定する2回接種で統一しなかったんだ、という問題になってしまいます。
https://www.nytimes.com/2020/11/25/business/coronavirus-vaccine-astrazeneca-oxford.html

この疑惑にアストラゼネカがまともに答えられないと、FDAは承認を与えない可能性がでてきました。
アストラゼネカのものは安価で、保管温度帯も2度から8度ですから、多くの国が飛びつきました。
わが国も6千万人分契約していますし、韓国などは確保したワクチン全量がアストラゼネカだけですからムン閣下真っ青なようです。

このようにワクチン接種を加速化するファイザーの温度帯改訂がある一方で、アストラゼネカに待ったがかかる、あるいはEUは領域内で製造されたワクチンは外国にだそうとせずに域内供給を優先させる自国優先主義がむき出しになるといった混沌ぶりです。
こんな各国の利害がむき出しになった混沌状態を演じながら、ワクチン接種大作戦は進むようです。

メディアに煽られて1カ月遅れたからどうのとワーワー騒がないこと。
うちの国は世界でも飛び抜けて死亡率が低い国なんですから。

 

2021年2月22日 (月)

9条の呪いがかかった海上保安庁法を改正せよ

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メディアと野党は、菅さんの息子がどーしたのこーしたという週刊誌ネタに熱中しているようです。
少しは事の軽重をわきまえるがいい。
コロナ禍の真っ最中で、これからワクチンの国民接種が開始されようとするこんな時期に、そんなネタで遊んでいる暇があるのか、ないのか。
いつもこのパターンの繰り返し。首相に縁故びいきがあったのないのと、モリカケ以来一貫して政府追及はこれだけ。
いい加減自分でやっていて飽きないのでしょうか。
ワイドショー民を除いて、国民の相当数は飽き飽きしていますがね。

ところで嬉しい見込み違いというは稀にあるもので、今は国民民主の軒を借りている前原氏がこんな国会質問をしているようです。

「「国際法違反だと明確にいうことが大事だ」 国民民主党の前原誠司元外相は17日の衆院予算委員会で、政府にこう迫った。首相は「わが国の強い懸念を中国にしっかり伝えたい」と述べるにとどめた。
 国連海洋法条約30条は、領海で沿岸国の法令を順守しない場合は「退去要請」を行うことができると規定する。一方、海警法22条は「武器使用を含むすべての必要な措置」が可能とし、対象も限定しない。前原氏はこうした点が国際法違反に当たると主張する」(産経2月21日)

パチパチ。まったくそのとおりです。おお、ひさしぶりにというか、初めて前原さんを褒めたぞ。
あんたらが政権握っていた時に、尖閣の国有化や漁船衝突事件での対処の失敗で一気に悪くしたんだろう、なんて言いません。
その時、外務大臣だったのはあんたやろ、などとも言いません。(言ってるだろが)

今、中国は、コロナ禍で自由主義陣営が半身不随と見て、一気に間合いを詰めようとしています。
そこで打ったのが海警法改訂です。

●中国海警法第22条
国家の主権、主権的権利、及び管轄権が海上において外国の組織、個人の不法な侵害を受けている、若しくは不法な侵害の切迫した危険に直面している場合、海警機構はこの法律及びその他の関連する法律、法規に従って武器の使用を含む必要な全ての措置を講じ、その場での侵害を阻止し、危険を排除する権利を有する。

スルっと読むと、うちの国の海保も「不法な侵害や危機に対して武器の使用を認めていますから、同じじゃんなんておもわないこと。
この海警法22条のコワイのは、ここに「国家の主権、主権的権利、及び管轄権が海上において 」という一項が前提として入っていることです。
これは市民語でいえば、尖閣水域はオレの施政権下にあるから、武力で排除するぞ、と言っていることになります。

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尖閣緊迫!中国公船が連続侵入

ところで、現実に尖閣水域は中国が押えています。
このように言うと、ええっと思われるかもしれませんが、実態として日本は島に公務員のひとりも、施設の一棟も建てておらず、その予定もありません。
強いていえば環境調査をするとかしないとか言っているようですが、進行しているとは聞きません。

つまり中国側からみれば、いや国際社会からみれば、日本が民主党政権時に国有化したのは紛争地域の一方的領土化と見えなくもないわけです。
こんなことをするくらいなら、灯台のひとつも建てればよかったのです。
あの時代なら海警がウロチョロしていなかったので簡単にできましたが、今同じことをしようと思ったら群れなす海警をかきわけ、そこでドンパチにでもなったら中国海軍がしゃしゃり出て来ることになりかねません。
へたすりゃ局地戦です。

領土領海を巡る紛争において、ありていにいえば、押えたものが勝ちです。
いったん実力で押えてしまえば、南シナ海のように実効支配は中国だと国際社会は理解します。
国際法上は無効でも、国際法に罰則規定がない以上、それは中国がいうように「紙屑にすぎない」のです。
そしていったん武力をもって領土化してしまえば、それを原状回復させるためには同じように武力をもってせねばならなくなります。
だから、南シナ海やクリミア半島、あるいは北方領土は、いったん武力で占領したので、原状復帰は極めて困難となります。

ですからいくら日本が「尖閣に領土問題はない」なんて言っても無駄。
問答無用で実力を用いる者に、理屈で勝負出来ません。
だから中国は、あえて施政権下に置いた証拠として海警を使ってパトロールさせて、「不法操業取り締まり」に勤しんでみせているのです。

去る12月に来日した王毅外相がなんと言っていたのか思いだして下さい。

「一部の真相が分かっていない日本漁船が釣魚島(尖閣諸島の中国名)周辺の敏感な水域に入る事態が発生しており、中国側としてはやむを得ず、非常的な反応をしなければならない」

「真相がわかっていない」、つまり尖閣水域が中国領海だと判っていない日本漁船が侵入するなら、「非常の反応」、つまり武力で追い払うゾ、と言っているわけです。
中国は、日本側が実力で現状変更をするなら、「やむをえず」海警を使って排除しますよ、と言っているのです。
このまま徒らに時間が経過すれば、尖閣は名実共に中国領に編入されるでしょう。

一方、日本の対応は旧来の当たらず触らずで、一切を海保に押しつけたままです。
漁船は海警によって接近することさえできず、かろうじて海保が間に入って衝突を回避させていますが、海保すら尖閣に向かう漁船を「政治活動」と見なしており、紛争回避を理由に国会議員などの乗船を拒んでいるようです。

先ほどの前原氏の質問に対しての政府の回答はこのような腰砕けぶりです。

「政府関係者は「海警法をただちに国際法違反と指摘するのは困難」と慎重な立場を崩さない」(産経前掲)

実行支配権という切り札を握った中国にとって、彼らの側から騒ぎを起こすメリットはありません。
民間漁船を使って騒ぎを起こすなら粛々と排除しようとするでしょうし、仮に自衛隊を入れてくるなら、待ってましたとばかりに中国海軍を投入してきます。
その時、国際社会が中国の実効支配を容認していれば、米軍の介入はできなくなります。

このところ知られてきましたが、海警が沿岸警備隊のように見えるのは見かけだけ、実態は中国共産党中央軍事委員会直系の準軍隊です。
日本の海保は文字通り「海の警察」ですが、中国は「警察の衣を着た軍隊」です。

海保は尖閣を防衛してはならないし、中国海警と違って海自と連携して行動してはならないと規定されています。
それが海上保安庁法第25条の存在です。

●海上保安庁法第25条
第二十五条  この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない

これは世界的にみても異常な規定で、米国沿岸警備隊などの諸外国のコーストガードは陸海空軍に並ぶ準軍隊として位置づけられ、有事には自動的に海軍の指揮下に入ります。
中国がフツーで、世界スタンダードは向こうのほうです。
日本は第9条が軍隊自体を認めていないために、海保は「準軍隊」でないとわざわざ25条に書き込んでしまいました。
ここにも9条の呪いが降りかかっています。
したがって、そもそも海保に領海防衛の任務はないのです。

さらに驚くべきことには、このていどはあるだろうと思っていた領海警備をする任務すら与えられていません。

●海上保安庁法第二条  
海上保安庁は、法令の海上における励行、海難救助、海洋汚染等の防止、海上における犯罪の予防及び鎮圧、海上における犯人の捜査及び逮捕、海上における船舶交通に関する規制、水路、航路標識に関する事務その他海上の安全の確保に関する事務並びにこれらに附帯する事項に関する事務を行うことにより、海上の安全及び治安の確保を図ることを任務とする

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中国海警局】 尖閣諸島沖、中国海警局の5000トン級と海上保安庁の1000

つまり海保の任務は、「海上の安全と治安の確保」であって、尖閣で民間漁船と中国海警との間に入って身を呈しているのは、領海警備ではなく、「海上の安全」を守る為にすぎないのです。
海保の名誉のためにつけ加えると、それはシーマンシップに根ざした心意気です。

つまり日中間の沿岸警備隊のあり方に関しては、日本の海保が異常なのであって、中国海警が正常な国家の有り様なのです。
しかし自衛隊と異なるのは、海保の任務に「領海警備」を付与するのは、憲法改正などする必要がないことです。
これは海上保安庁法から第25条を削除し、第2条の目的に領海警備の4文字を挿入すれば済むことです。
さらに今自民党国防部会で検討され始めている領海警備法を成立させることにも、憲法改正手続きは不要です。

外交は等価交換です。
やられたことはその分だけやり返す、やり返さないで黙っていれば殴られたことを認めることになるからです。
中国が海警に明確に武力行使を認めた以上、わが国も相応の措置をとるというだけのことで、この対応を誤れば中国は今まで以上に尖閣の実効支配を進めることでしょう。
それは従来の領海戦から、島を奪りにくる領土戦争に移行するということです。
そしてその時は、尖閣進行作戦はワンセットで宮古島侵攻と連動していることをお忘れなく。
この最悪事態に至らぬ前に、ここで止めておかねばなりません。

 

 

2021年2月21日 (日)

日曜写真館 春はそこまで

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梅が咲くのは冬の終りです。

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もう待ちきれない。

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村の郵便局も待っています。

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タローも待ってます。

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でも三寒四温。一直線に春は来ないんです。

 

2021年2月20日 (土)

ミャンマー軍事鎮圧か?板挟みになる中国

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ミャンマーが急速にキナ臭くなっています。
近い将来、第2次天安門事件が再演される可能性がでてきました。
連日の大規模デモに対して、軍部がゴム弾を発射して鎮静化を図ってきましたが、頭部に弾を受けた女性が死亡しました。

 ゴム弾は非致死性とはいうものの当たりどころが悪いと死に至ります。
今回、この気の毒な女性はヘルメットを貫通して死亡したそうです。
おそらくデモ隊に向けて水平発射したのでしょう。
非致死性をいいことにして、代用銃器として使うという悪質な使用方法です。
下写真のように香港でも大量に使用されて多くの重傷者を生みました。

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香港デモで片目を奪ったゴム弾の威力 - yasublog

なお軍部は次回からほんものの銃弾を使用すると警告しています。
軍部は地方から部隊をヤンゴンに集結し、軍に反対するすべてのデモを禁止し、重罪化すると宣言しました。
またすべてのSNSの遮断を開始しています。
軍の終結と通信手段の遮断、これは中国が武力弾圧する前段で必ずすることで、香港以上の血の武力鎮圧をするかもしれません。

「国連のトム・アンドリュース特別報告者は17日、声明を出し、「軍人が郊外からヤンゴンに移動しているという報告を受けた。過去にこのような動きは大規模な殺傷や拘束を引き起こし、大規模な暴力事態の発生が懸念される」と述べています。
軍政最高機構「国家行政評議会」は刑法を改正し、政府、軍、軍幹部に対する不満や嫌悪を誘発する行為を処罰できるようにして、懲役7年から20年という重い刑罰をかすようにしました」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.275 2021年2月19日)

 今のミャンマー軍は、かつてのように中国と一定の距離を開けていた土俗的存在から変質し、中国軍の直接の指導が入っていると言われています。
未確認情報ですが、中国軍人が既にミャンマー軍の中にいるという情報もあります。
ソースが怪しいので疑問符がついていますが、軍部の鎮圧する手法が中国がよくやる方法を踏襲しているため、ひょっとしたらありえるかもしれません。
あるいは、ミャンマー軍は中国製武器のいいお得意さんですから、その指導のために派遣されていたかもしれません。

それはさておき、似ていることは確かで、中国はSNSを危険視して常に監視下に置いて統制をかけようとします。
中国にとってSNSは支配のための道具でしかありませんから、それを使って反政府派が集会を呼びかけたりすることは許しません。
当局の盗聴にひっかかった者は、事前に反政府分子として令状無しで拘束されてしまいます。
それをよく知っている香港の民主派は、デモ呼びかけに一切SNSを利用せずにアナログに徹したほどです。

ミャンマー軍はSNSの統制を開始し、国内だけではなく外国との通信も遮断し始めました。 
そのためにヤンゴンから送られる映像は、下のように一気に不鮮明になっています。

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NHK 

「軍政は、サイバー保安法を制定するようで、インターネット・サービス・プロバイダーが個人のIPアドレス、電話番号、住民登録番号、住所、最近3年間の活動履歴を保管することを義務づけ、個人のソーシャルメディア情報にアクセスし、個人のメッセージを見ることができることも検討中とか。このネット統制のやり方は完全に中国です。
そしてネットにあふれる、ミャンマー各地での中国人兵士の目撃談(や写真)、大量のエンジニアを送り込んで、インターネット統制のためのグレートファイヤーウォールを創ってあげたという噂。在ミャンマーの中国大使館は、デマだと一蹴して、このクーデターへの中国が関与を完全否定しています」(福島前掲)

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ミャンマー、12日連続抗議デモ | カナロコ by 神奈川新聞

この国民の大規模な抵抗は軍部のみならず、その後ろ楯となっている中国にとっても意外な展開だったようです。
彼らは、クーデターを起こして強い統制下に社会を置き、スーチーらを拘束し、短期で選挙のやり直しを諮る心づもりだったようです。
軍部がおそれていたのは、軍部に一定の議席と閣僚ポストを与えていた憲法を、スーチー派が大勝することによって改憲してしまうのではないかということでした。
そこで、中国の了解の下に一気にクーデターを行い、短期の外科手術的行動て済ましてしまおうと図ったのですが、民主化に馴れた国民はそれを簡単に許さなかったことが最大の誤算でした。

結果として、軍部とそのバックにいる中国は非常に不利な立場になりました。
中国はすでに、オレは関知していないから、双方仲良くしてくれ、と言い始めています。

「ミャンマーでクーデターを起こした軍に対する市民のデモが続いていることについて、ミャンマーに駐在する中国大使は「中国は今のような状況を見たくはなかった」と述べ、アウン・サン・スー・チー氏が率いる政党側と軍側の双方に対話を呼びかけました。
ミャンマーに駐在する中国の陳海大使は、現地メディアのインタビューに応じ、16日、その内容を大使館のホームページで発表しました。
この中で陳大使は、中国はアウン・サン・スー・チー国家顧問が率いる政党、NLD=国民民主連盟と軍の双方とも友好な関係にあるとしたうえで、「中国は今のような状況を見たくはなかった」と述べ、双方が対話を通して適切に問題に対処するよう呼びかけました。
また、陳大使は、国連の安全保障理事会がアウン・サン・スー・チー氏の即時解放を求める報道機関向けの声明を発表したことについて「中国を含む国際社会の共通の立場だ」と述べ、中国としてもスー・チー氏の解放を求める姿勢を示しました」(NHK2月17日)

中国は、米国がコロナ禍と大統領選で自分の国のことだけで手一杯な隙を狙ったつもりだったのでしょう。
いまならへなちょこバイデンはあたふたするだけで、できることはせいぜいが経済制裁の復活くらいだろうから、そのへこんだ分はオレが支援してやるていどだったようです。
しかし、よもやかつて半世紀ちかくおとなしく軍政に服従してきた国民までもが、香港まがいの民主化デモに走るとは思いもしなかったようです。
スーチー派NLD政権の腐敗はつとに有名でしたし、彼女もろひ中国の属国化に動いていましたから、彼らを拘束してもかつてのようなスーチーを民主化のシンボル化することはあるまいと踏んでいたはずです。

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ところがこの甘い見込みは大ハズレで、反軍部デモは拡大する一方、もう手がつけられない状況となってしまいました。
軍部は長きに渡った軍政の経験から、スーチー派指導部を捕らえて監禁してしまえば、デモもおのずと静まると踏んでいたようです。
そこでスーチー派400名から500名を逮捕したのですが、これが裏目にでてしまい、いっそう民衆の怒りに火をつけてしまいました。

現在米国に亡命している鄧聿文(元中国共産党中央党校学習時報副編集長)はこう述べています。

「ミャンマーの軍人はやはり過去の軍人であるが、ミャンマー人民はもはや過去の人民ではない、ということだ。さらにSNS時代に育ったミャンマーの若者は、かつての軍による弾圧の記憶がなく、軍隊の統治に反抗しても、軍が、社会秩序の安定を要請するだけで、武力弾圧をするとは想像していない。
この局面が悪化すれば、軍も大弾圧を開始するかもしれないと、国際社会は心配している。国連の特別報告員のトム・アンドリュースはツイッターで「ミャンマー軍はまるで人民への戦争を布告しているようだ。夜襲、逮捕の増加、多くの民主的権利の取り消し、ネットを封鎖、軍の住宅街の進駐…これは非常に差し迫った兆候だ」と投稿し、ミャンマーの民間メディアも安全部隊がマンダレーで銃を発砲してデモを追い払っている様子を報じている。これで死傷者が出たかは不明だ」(福島前掲)

鄧聿文は、もう双方共に過去のそれではないと指摘しています。
軍部はかつてのような土着的集団ではなく、国民も軍政をあたりまえだと受け入れるような存在ではなくなっていた、ということです。
軍部は近代化の過程で大きく中国軍に依存しており、一方の国民も昔のように軍部を恐れず、SNSをあたりまえに使いこなす存在に変質したようです。

そして鄧は、このまま軍部が弾圧を強めれば必ず第2次天安門事件を引き起こすとみています。
そしてこのミャンマー版天安門事件が起きた場合、中国に跳ね返ってくるだろうとしています。
その理由をこうです。

「ミャンマー軍政の鎮圧行動が世界と中国人民に30年前に中国で発生した天安門事件を思いださせ、中国共産党政権が経済と国家台頭で打ち立てた合法性を弱めることになる。
天安門事件については、中国の多くの民衆も決して忘れてはいないが、しかし中共の隠蔽と、いわゆる大国化のおかげで、昔の出来事とされつつある。たとえ記憶にあっても、その痛みは当時ほどには残っていない。
だが、もしミャンマーで同様の大鎮圧による流血事件が起き、民衆が軍政の銃口のもと流血することになれば、世界の多くの人、特に中国人の記憶がよみがえり、中国でも民主人権と独裁統治の関係、経済と社会秩序が人権の代価となってよいのかどうかについての議論がおこるかもしれない。
実際、ミャンマーに軍の装甲車がヤンゴンに現れたときの写真が中国のネット上に流れたとき、天安門の暗喩のように使われた」(福島前掲)

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中国はミャンマーに関して中立的立場であり、内政干渉する意志はないと言い始めているようですが、そうは問屋がおろしません。
キレイな顔をして双方に和解のテーブルに乗るように言いたいのでしょうが、すでに国際社会はこのクーデターは中国政府の了承の下に実行されたことを知っています。
そもそも中国がこのクーデターを安易に許したこと自体が問題だったのです。

とどのつまり、中国はスーチー派をいやがおうでも西側に追いやることになってしまいました。
このままスーチー派NLDに政権を任せていたなら、中国風に腐敗した親中派政権が存続したものを、軍部の甘い見通しに耳を貸すからこういう板バサミに追いやられます。

さらに流血の事態になれば、もはや中間的立場はできません。
軍部の言うことを聞けば、国際社会からの強い非難を受けるでしょうし(それはすでに始まっていますが)、かといって軍事弾圧を非難すれば軍部は中国からかつてのように距離をあける結果となり、ミャンマーへの中国の影響力は大きく後退します。
そして再選挙になったら、更に前回選挙以上の大勝をNDLは勝ち取るでしょうし、しかもその政権は親中路線から西側寄りとなるはずです。

このように本心をいえば、中国は国軍にこれ以上の軍事鎮圧はしてほしくないはずです。
しかし福島氏は、ミャンマー軍部と中国軍が近親憎悪的感情があり、双方まったく信頼していないとも述べています。
だから国軍は、ここまで来たら中国の言うことなど聞かないだろうと福島氏は見ているようです。

ミャンマー国軍が武力鎮圧を行えば、中国は厳しい状況に追い込まれるし、仮に起きなかったとしてもスーチーを再び民主化の女神とするような空気が再燃し、かれらを自由主義陣営に走らせることになります。

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デモ中に頭撃たれた20歳女性が死亡 ミャンマー

いずれにしても、いったん自由主義vs全体主義という構図ができてしまえば、あとは価値観の戦いに単純化されていくことになります。
それこそもっとも中国が嫌う構図だったはずですが。

 

 

2021年2月19日 (金)

人類は中国に「平和の祭典」の冠を授けてはならない

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米国下院で、中国が北京五輪においてウィグル族にジェノサイドを働いたとして、開催地変更を求めた決議が可決され、追っつけ上院でも同様の決議がなされるでしょう。
誤解なきようにお断りしておきますが、あくまで「この決議は開催地変更」、つまりポンペオの表現を借りれば「五輪の理想を真の意味で掲げる国」への開催地の変更であって、ボイコット呼びかけそのものではありません。
ただし、この下院決議はボイコットの含みを持っていますので、中国の対応次第では直ちにボイコットへと方向転換するでしょう。

「一方、共和党のウォルツ下院議員(フロリダ州選出)は15日、IOCが北京に代わる開催地を見つけられなかった場合、米国オリンピック・パラリンピック委員会が北京五輪をボイコットするよう求める決議案を下院に提出した。
 決議案は、ウイグル自治区での人権抑圧に加え、中国当局による香港での民主派弾圧や新型コロナウイルス感染の情報隠蔽なども非難。また、他の参加国にもボイコットを求め、可決された場合はブリンケン国務長官に決議を各国に送付するよう要請した。
上院でも1月22日、共和党の7議員が開催地変更を求める決議案を提出した」(2月17日産経)

まず、ジェノサイドの概念から押えておきましょう。
というのは、プロパガンダ目的で安易に使われるべき概念ではないからです。
ジェノサイドの国際的解釈について、『集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約 』(1948年国連)、通称「ジェノサイド条約」が存在します。
ミネソタ大学人権図書館 http://hrlibrary.umn.edu/japanese/Jx1cppcg.htm

これは1949年という締結年をみればわかるように、ユダヤ人に対する民族絶滅(ホロコースト)に対して国際社会が二度とこのようなことは起こさせないという意志から生まれています。
このジェノサイド条約を批准したのは150カ国(2019年現在)で、批准していない国はアフリカや東南アジアを中心に多数あり、日本もそのひとつです。
わが国の場合、国内法の犯人処罰規定と食い違いが生じるために批准に至らないようです。
※ 衆議院:第185回国会 法務委員会 第4号

というのはジェノサイド条約は厳密に国際法上の犯罪であると規定して、ジェノサイドに関わった者が入国した場合、それを処罰をするように当該国に求めているからで、わが国はそこまで現状ではできないと考えているようです。

●集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約 1948年 国連
第一条
 締約国は、集団殺害が平時に行われるか戦時に行われるかを問わず、国際法上の犯罪であ ることを確認し、これを防止し処罰することを約束する。
第二条
 この条約では、集団殺害とは、国民的、人種的、民族的又は宗教的集団を全部又は一部破壊する意図をもつて行われた次の行為のいすれをも意味する。
(a) 集団構成員を殺すこと。
(b) 集団構成員に対して重大な肉体的又は精神的な危害を加えること。
(c) 全部又は一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること。
(d) 集団内における出生を防止することを意図する措置を課すること。
(e) 集団の児童を他の集団に強制的に移すこと。

第三条
 次の行為は、処罰する。
(a) 集団殺害 [ジェノサイド]
(b) 集団殺害を犯すための共同謀議
(c) 集団殺害を犯すことの直接且つ公然の教唆
(d) 集団殺害の未遂

このジェノサイド条約は国際法ですから、その所管は国際司法裁判所(ICJ)となります。
ICJがいままでジェノサイドと認定したのは以下です。
https://www.worldvision.jp/children/crisis_08.html

・1975年~79年までのカンボジアのポルポトによる大量虐殺
・1992~95年までのユーゴの崩壊に際して起きた民族対立による大量虐殺。
・1994年に起きた、ルアンダのツチ族大虐殺。
・審議中・2019年のミャンマーでのロヒャンギに対する虐殺。

 

2021年2月18日 (木)

世の中になくていいものデニー知事とWHO

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トランプについては随時取り上げるつもりですので、とりあえずこのくらいで。
北京五輪のほうも、米国下院で開催地変更の決議が通り、いよいよボイコットの動きに火がつきそうですが、ジジはどうするのでしょうかね。
まぁ、これも次回送りとして、今日は遅れ遅れになっていたWHOの自称「現地調査団」なるものをもう少し見てみましょう。

さてWHOの「現地調査団」が、中国になんちゃって「調査」をしたことはお伝えしましたが、シャンシャン大会なのは分かり切っていましたが、あれほど露骨な茶番をみせられたのもひさしぶりです。
※関連記事 『WHOの武漢「見学会」終わる』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2021/02/post-ab96a5.html
その前に科学者による調査団と言いたいならば、いくつか前提条件をクリアせねばなりません。
このWHO調査は、本来が不祥事を起こした企業のコンプライアンスを調べる第三者委員会みたいなもの、と思っていただければ、それに一番近いでしょう。
調査団に必要な条件はこのようなものになるでしょうか。
第1に、客観的な知見を持った者による第三者の人員構成であること。
第2に、自由に調査対象を選択し、無条件に調査に立ち入る権限を持つこと。
第3に、対象国があらかじめ用意したデータではなく、原データを収集し、分析できること。
第4に、記者会見場を対象国ではなく、第三国ですること。
まず第1に調査団の構成ですが、中立公正の担保するために、調査対象国以外からのメンバーで構成されねばなりません。
調べる側に調べられる側のメンバーが加わってしまっては、客観性など確保できないからです。
ところが今回は合同チームと称して、中国専門家17人、WHO、国際獣疫局からの専門家17人による34人の専門家が3チームで行っています。
実に半数を当事者であるはずの中国側が占めているわけです。
大事故を起こした企業を調べている調査団の半数がその企業の人間だったら、誰がそんなものを信じるでしょうか。
もうこれだけで、結果は初めから見えていました。
第2に、調査対象を相手国に選択させたら、そのようなものは「調査」ではなくただの「見学」にすぎません。
今回、共産党プロパガンダの宣伝会場に行ったことに象徴されるように、なにからなにまで中国政府が立てたスケジュールに乗って進行しています。
期間は28日間で、見たのは武漢市白沙洲貿易市場、華南海鮮市場、湖北省疾病予防コントロールセンター、武漢市疾病予防コントロールセンター、湖北省動物疫病予防コントロールセンター、中国科学院武漢ウイルス研究所などです。
すべて中国共産党ご指定の場所ばかりです。
さぞかしゴミひとつウィルスひとつなく、ピカピカツルツルだったことでしょう。
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第3に、おそらくここが最も問われたはずですが、原データを採集せねばこの調査自体の科学的価値がなくなります。
そもそも武漢の発生は公式には一昨年19年冬となっていますが、米国政府によれば19年夏の終りには初発が発生した可能性が濃厚です。
しかも武漢P4ラボの関係者で、ゼロ号患者は黄燕玲だと推定されています。

「WHO調査団は、中国が最初にコロナが確認されたとしている2019年12月初旬よりも前の段階で感染が広がっていなかったかを調べている。一段と早い段階でウイルスの存在を特定できていれば、世界的に大流行する前に封じ込められた可能性がある。コロナ感染による死者はこれまで、世界で230万人を超える。
 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は10日、WHO調査団の話として、武漢での感染拡大が確認される2カ月前の段階で、中国中部でコロナの症状を訴える患者およそ90人が入院していたと伝えた。
 中国当局はこれらの患者に1年以上経ってから抗体検査を実施した。結果はすべて陰性だったが、時間が経過しているため抗体が検知できない水準に低減していた可能性がある」
(WSJ 2021年2月13日)

そして「不思議な肺炎」が武漢で流行していると中国CDCならびにWHOに報告されたのが、昨年12月31日。
今年1月7日、新型コロナウイルスが分離され、1月13日に診断キットが開発されました。
その後、日に日に患者数が増え、1月20日に習が「重要指示」を出しています。

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中国は一党独裁国家とはいいつつ、各地方にミニ習近平がいて代理統治させているような国で、中央は直接に地方を統治していません。
ですから、共産党中央は2020年1月はじめまで、武漢がこんなスゴイことになっているとは夢にもおもわなかったようです。
ここで状況を知った習は、武漢市に直接介入して仕切るようになります。これが1月20日以降です。
といっても私権の制限をしたのは武漢と湖北省の封鎖に止まり、そのままズルズルと春節の民族大移動を許してしまい、全国と国際社会に感染を拡げます。

そして習が武漢に行って感染阻止宣言をだしたのが3月10日です。
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BBC

ですから現地調査というなら、中国が公式に武漢での大規模感染拡大を認めた去年の1月から遅くとも3月までに現地に立ち入って原データを押えねばなりませんでした。
この時期の立ち入り調査を逃してしまったどころか、WHOは国際緊急事態宣言すら出さず、のほほんと中国政府の言い分を鵜呑みにしていたのですから話になりません。
ちなみに、日本政府が批判され続けている中国人観光客を止めなかった問題は、WHOと中国政府に情報提供を依頼したためだと言われています。
猛省していただきたい。

それはさておき、中国は3月には感染を阻止したという宣言を行い、以後ひとりも発生していないということになっています。
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そんなわきゃないのですが、ならば習がクリーン宣言を出した2010年3月10日直後にWHOは現地調査団を出すべきだったのです。
それを武漢の発生から1年以上たって、隅々まで徹底的に掃き清め、ヤバイ文書やカルテは始末し、関係者の口裏合わせが済んだ今頃になってなにが「現地調査」だというのでしょうか。
中国はウィルスサンプルを国家が無条件で没収する指令を出しています。

ポンペオ前国務長官は去年5月6日の会見でこう指摘しています。

「中国は世界で数十万人の人々の死を防ぐことができたはずだった。世界が地球規模の経済低迷に転落するのを救えたはずだった。
かれらには選択の余地があった。ところが、しかし中国は武漢での感染大流行を隠蔽した」

この中国当局の意図的隠蔽は文書で確認されています。

「国家衛生健康委員会弁公庁 2020年1月3日
6 の通知が発出される以前に、すでに関連する医療衛生機構で関連する病例の生物サンプルを取得している機構及び個人は、そのサンプルを直ちに隠蔽、あるいは国家が指定する機構に送って保存保管し、関連する実験活動や実験結果を適切に保存する」
(正論2月『中国の隠蔽指示文書全文』)

この中国政府の意図は、ただの隠蔽だけに止まらず、新型コロナウィルスのサンプルを、国家が独占してしまうことを意味しています。
これはこの通知1にあるように、「死亡患者の死体組織・臓器等」まで含んでいる徹底さです。
ならば、「現地調査団」は、今どき武漢P4ラボに行っても無意味ですし、ましてや海鮮市場など見る価値もありません。
調べる価値があるのは、唯一、国家衛生健康委員会弁公庁にあると推測されるウィルスサンプルしかありません。

しかし国家衛生健康委員会どころか、武漢の病院レベルでも原カルテやデータ類を開示しなかったようです。


「中国当局は、新型コロナウイルスの起源を巡る調査で手掛かりになるとみられる初期の患者に関する個々の生データについて、世界保健機関(WHO)への提供を拒んでいる。詳細情報の欠如を巡り、双方は激しく口論を交わしたという。WHO調査団が明らかにした。
 中国当局は、武漢市でコロナが拡大し始めていた2019年12月に感染が確認された患者174人に関するデータについて、提供の要請を拒否した。コロナの起源特定を目的とするWHO調査団は今週、1カ月にわたる中国訪問を終えている」
(2月13日ウォールストリートジャーナル)
中国側はあらかじめコロナ患者や感染拡大のデータの要旨とその分析結果まで用意して、図々しくもこれでデータ提出を果たしたと言い張りました。

「WHO調査団のメンバーによると、中国当局や科学者は、コロナ患者のデータに関する広範な要旨や分析を提供。これに加え、武漢で感染拡大が特定される数カ月前の医療記録などを通じて過去にさかのぼって行った調査に関する集計データや分析についてもWHOに提示し、ウイルスの証拠は見つからなかったと説明した」(WSJ前掲)

こんなものをもらっても、科学的にはなんの意味もありません。
データ自体が改竄されていようと、勝手な分析を加えていようと、原データがない以上比較できないからです。
これでは科学的に無価値であるばかりか、隠蔽工作の手助けをしたことにさえなります。

「しかしながら、WHO調査団は過去にさかのぼった分析の元になった生データを見ることは認められなかった。仮に加工されていない元データを入手できれば、WHO側は中国でどのくらい早い段階から、どの程度の範囲に感染が広がっていたのかを独自に分析することができる。調査団のメンバーによると、加盟国は通常、WHOの調査にこうした情報を提供する。
WHO調査団のメンバーで、オーストラリア出身の微生物学者、ドミニク・ドーヤー氏は「中国側はいくつかの事例を見せたが、すべてを見せることとは異なる。それは疫学的調査では標準的なことだ」と話す。「中国側は十分だと考えているかもしれないが、データの入手が遮断されたことで、われわれの観点からは、そのデータの解釈は極めて限られたものになった」(WSJ前掲)

またオーストラリアの調査団員であるドワイヤー氏は、中国国内から発生したと明言していますが、調査団はこれすらあいまいにしたいようです。

「中国湖北省武漢市で新型コロナウイルスに関する現地調査を行った世界保健機関(WHO)国際調査団のメンバー、オーストラリア人研究者のドミニク・ドワイヤー氏は10日夜、豪放送局ナインニュースのインタビューに対し、「新型コロナは中国から始まったと思う」とする見解を述べた。
微生物学と感染症の専門家であるドワイヤー氏は「中国以外の地域から始まったとする証拠は極めて限られている」と指摘し、コウモリを媒介して感染した可能性が最も高いとの考えを述べた」(読売2月12日)

第4に、調査団の記者会見場の設定です。
こともあろうに中国国内でしてしまいました。

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梁万年と 握手するピーター・ベン・エンバーク

会見では中国側リーダーの中国CDの梁万年が、疫学調査的起源研究結果を説明。
2019年12月以前、武漢で感染が発生した証拠はない、と発言していますが、WHO側のリーダーのエンバークはニコニコと聞いていたようです。
また梁は、パンデミックを引き起こしたことから、このウイルスが高度に人類環境に適応した勢損能力を持っていると指摘しこの能力は偶然に得られたもので、徐々に変異しているが、その段階ごとの変異も自然淘汰によるものだと、説明しました。

一方WHO側リーダーであるエンバークは、関連する証拠はウイルスが自然由来であることを明らかにしているとし、人工由来説を頭から否定したうえで、武漢は蝙蝠が大量にいる地域ではないので、武漢ウイルスの起源は蝙蝠から人に直接感染した可能性はほとんどない、としました。
つまりその他動物、中間宿主を経由した可能性が高いが、詳細は不明だとしました。

「ピーター・ベン・エンバークは、新型コロナが人に感染するルートについて、四つの仮説、実験室漏洩、蝙蝠からの直接感染、輸入食品コールドチェーンなどモノから人への感染、人の生活に近い中間宿主の動物からの感染をあげて、このうち、実験室漏洩は極めてありえないとして、将来この方面の研究はしない、とした。WHOとしては実験室漏洩の可能性を完全に排除したかっこうだ」(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)

これに対して福島氏はこのような疑問を呈しています。

「本気で、実験室漏洩の可能性をつぶすならば、少なくとも、零号患者と噂された黄燕玲に接触すべきでしょう。中国科学院は黄燕玲が別の省で健康に仕事をしていると公式に発表していますが、本人は一向に表にあらわれていません。
石正麗と微信のグループチャットで論争した同業者の武小華や武漢市疾病コントロールセンターからの実験室漏洩を指摘した中国華南理工大学教授の蕭波濤からの聞き取りも、必要だと思われます。私は、彼らが無事なのかどうかも、ふくめてWHOの専門家たちにそこを確認してほしかったですね。
WHO側は彼らへの取材のリクエストを出したのでしょうか。出して断られたとしたら、どんな理由で断られたのでしょうか。記者会見で、記者たちはなぜそこを突っ込まないのでしょうか」(福島前掲)

そもそも中国国内で共同記者会見などすれば、こう言うことを言わねばならないのは火を見るより明らかでした。
ホスト国のメンツを丸つぶしにはできないからです。
おそらく今後まとめられる正式報告書でも、発生源を特定できなかったとしながらも、一番ありうるのが中間宿主経由の感染だとして、華南海鮮市場で売られている冷凍製品、海鮮、養殖動物などからもウイルスは検出されたので輸入食品がもっとも感染源だと推定されることでしょう。
そして当然のこととして、人工漏洩説は絶対にありえない、という結論を出すのでしょうね。
あー、ばかばかしい。世の中になくていいもの、デニー知事とWHO。

 

※春めいてきたので、もう炬燵でもないだろうと、今日から模様替えしました。

 

2021年2月17日 (水)

トランプが作り出した構図とNYTの誤報

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ふゆみさんは「四年後トランプの芽がほぼ無い前提で共和党の主力メンバーはリスタートするのが賢明かと思います」というご意見ですが、私は今回の弾劾訴追でいっそうはっきりしたのは「主役はトランプ」という構図だと考えています。
民主党はこの構図に恐怖して、弾劾訴追を無理筋承知でやったわけです。
しかしお気の毒にも、後述しますが、オールドメディアのフェークニュースの支援をもらいながら詰めきれずに、結局のところ気がついてみればスポットライトを浴び続けたのはトランプばかりと相成りました。

おっと待てよ、トランプは発言手段をビックテックによってすべて封じられて、鉄仮面をかぶされてフロリダに軟禁されているんじゃなかったのかな。
しかし彼の一挙手一投足は、国民注視の的となり、共和党支持者の間では受難の王の帰還を求める声はいっそう強くなってきています。
好きと嫌いにかかわらず、今後4年間、この一件はトランプだったらどうしただろうという形で、ジジに安眠の夜を与えないことでしょう。

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一方共和党内にも反トランプ派がうじゃうじゃいます。
共和党主流は財政規律で締め上げて、財政支出は最低限に、金融緩和は引き締めてという緊縮路線が彼ら保守本流の定番でした。
いわゆるティパーティの「小さな政府」路線がそれです。
しかしトランプは、それと真逆な大型財政支出・大規模金融緩和といういわゆるリフレ政策を実行し、米国経済に空前の繁栄をもたらしました。
これは本来、共和党本流が嫌ったリベラル経済路線そのものです。

また繁栄に取り残された中間層以下もケアする減税政策もまた、本来は民主党がせねばならないものだったはずでした。
トランプが民主党と一線を画するのは、減税によって経済全体を豊かにし、企業を国内に呼び戻して働く場所を増やすということを通じて行ったことです。
トランプのほうがエスニックに対するケアが厚かったし、失業率はFRBが驚嘆するほど低下しました。
一方、民主党リベラルは、この低所得層へのケアを、失業手当のバラ撒きという再分配政策でしようとして、徒に財政赤字を積み増ししていきます。
経済全体を豊かにしないで再分配だけに頼ろうとすれば、国民はやがて自ら働かずに糧を得ることを当たり前に思い、根っこから腐ってきます。

そうではないだろう、勤労こそ民主主義の礎じゃなかったのか、国に養ってもらうんじゃなくて、油が染みついた手で家族を養うことがアメリカ人の誇りじゃなかったのか、それが米国の建国の伝統だったことを忘れるな、とトランプは呼びかけたのです。
このあたりは、本来リベラルがやるべき経済政策を大胆に取り入れ、アベノミクスという新しい衣を着せた安倍氏と酷似しています。
保守本流を自認する麻生氏などと、実はまるで正反対の考え方なあたりもよく似ています。

安倍氏の強さは、本来は保守の異端でありながら、保守本流を自認する党内勢力を取り込めたことでした。
ただし保守本流と手を組んだことで、あれほど反対してきた消費増税をせざるをえなくなるという窮地に陥るのですが。
禍福はあざなえる縄の如しとはよく言ったもんです。

一方トランプは、ジジが選んだ財務長官の元FRB議長のイエレンと大変に相性が良かったように、共和党主流からは常に警戒され、色物扱いにされてきました。
だから、政権発足時に意にそぐわない国務長官を、お目付役のように次々に押しつけられて苦労したのです。
とまれ、トランプがやることなすこと気に食わない、これなら民主党大統領のほうがよほどましだとすら考えていた共和党メーンストリームも多かったことでしょう。
このトランプと共和本流との厳しい対立構図は政権末期までつきまといましたが、それを一転させたのが今回の弾劾訴追です。

トランプは、同じ大統領弾劾でも、クリントン亭主のような死ぬほど恥ずかしい下半身沙汰で訴追されたのではなく、BLMのようなポリコレ異端審問官に広場に引きずり出されて処刑されようとしたのです。

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クリントン大統領が犯した世紀の不倫スキャンダルの決め手とは?

同じ大統領弾劾訴追であっても、クリントンが守ったのは自分の下半身の不始末でしたが、トランプの場合、米国の民主主義とよき伝統をこれ以上破壊してよいのかという叫びそのものでした。
だから国民の半分がトランプに一票を投じ、1月6日にも全米から馳せ参じたのです。

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だから上院総務のマコーネルに象徴されるように、内心はトランプくたばれと思っていても、党内力学はそれを許さないほどトランプ防衛で固まってしまっていました。
つまり、民主-共和の別なく、その上に君臨する民衆的パワー、泥臭くも踏まれても簡単にはくたばらない勢力、これがトランプが作り出したかった構図です。

このように考えてくると、誰が24年の大統領候補になるにしても、トランプの支持なしに共和党は決められないし、一方民主党もトランプと戦える候補を選ばねばならないこととなったと私は考えますが、いかがでしょうか。

さて、山路さんが触れておられたNYTのフェークニュースの一件ですが、及川幸久氏のユーチューブにアップされています。
2021.02.16 国騒然!NYタイムズの大誤報とトランプ弾劾裁判の真相 ...
今のところ彼のチャンネルしか乗っていないようですので、簡単に紹介しておきます。
ちなみに、初めから期待していませんが、わが国のメディアは完全にスルーしています。

1月8日、ニューヨークタイムスは議事堂に乱入したトランプ支持者がブライアン・シクニック氏という警官を消火器で殴り殺したというニュースを流し、それにUSAツデイなど他のメディアもすべて追随しました。

これは衝撃的ニュースとして、動かぬトランプ派の暴力の象徴として扱われ、ワニババァは民主主義の英雄として議会名誉勲章をやれと騒ぎ、ジジは連邦議会の警官の柩に詣で、ホワイトハウス声明で顕彰したほどです。
つまりこの警官死亡事件は、弾劾裁判でトランプを吊るしたい者にとっての象徴的事件として祭り上げられたのです。

しかし、この時すでにシクニック氏の遺族は政治利用はしてほしくないとFOXニュースで語っていたのですが、モロに政治利用されたことはいうまでもありません。

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NHK

「アメリカの連邦議会にトランプ前大統領の支持者らが乱入した事件の対応にあたり死亡した警察官の遺灰が連邦議会議事堂に安置され、バイデン大統領がその死を悼みました。
1月、トランプ前大統領の支持者らが連邦議会議事堂に乱入した事件では、警察官のブライアン・シクニック氏が、支持者らを排除する対応にあたっていた際にけがをして、その翌日に死亡しました。(略)
連邦議会への乱入事件をめぐっては、支持者を扇動したとして弾劾訴追された、トランプ前大統領の弾劾裁判の審理が来週、始まることになっています」(NHK2月3日)

ここでNHKはまるで決定した真実のようにトランプ派暴徒によって殺されたと報じていますが、この時点では警察とFBIが捜査している段階で、最終報告は出ていませんでした。
ところが捜査してみると、シクニック氏に頭部外傷はなく、彼は事件翌日に兄に向けて体調はいい、というメールを送っていつもどおりの勤務をしていたのですが、その後、気の毒にも発作を起こして亡くなったことかわかりました。
この時点で捜査打ち切りで、警察は殺人事件として立件せずに、乱入事件とは無関係と断定しました。
これが事実です。

是れに気がついたのが、NYTに並ぶ反トランプの司令塔であるCNNだったのは皮肉です。
2月3日、CNNはシクニック氏の死亡事件は殺害された証拠はないという記事を配信しました。
CNNによれば、この事件を捜査した警察は議会突入事件とは無関係だと判断し、犯人探しをすることもしなかったし、死因は発作であったというのです。
ここでニューヨークタイムスは、まともな裏付け取材することなく、初めからトランプ支持派の仕業という予見に基づいて警官殴打死亡事件として報じてしまった、つまり誤報だった疑いが濃厚に出たわけです。

なるほど事件直後、警察関係が揉み合いとの関係をほのめかすことを言っていたのは確かですが、それは検視の結果を踏まえない速報にすぎず、NYTの記事のように警察が消火器による頭部殴打が原因だと断定したわけでもなんでもなかったのです。
それを想像たくましくトランプ支持派の暴行による殺人として書き立ててしまい、トランプを火刑にしている火に燃料を投下したのですから、罪が深い。

しかもこれにすべてのオールドメディアが相乗りし、トランプの敵失だと大喜びしたワニばばぁやジジまでもが、トランプ有罪の動かぬ証拠にしてしまいました。
実際、この弾劾裁判の検事役は、警官死亡事件をNYT 記事を根拠にしてトランプ支持派に殺されたと決めつけて、トランプの有罪を主張しました。
しかし翌日に弾劾投票を控えた前日の2月12日になって、NYTはあの記事は全部誤報でしたという訂正記事を出すはめになります。
しかしこの誤報に追随したメディアはこれを揃ってスルーします。
かくして捏造記事はいまや「真実」の仮面をかぶってひとり歩きを始め、NYTが訂正記事を出した翌日の13日にはジジはホワイトハウスの声明に同じことをくりかえす始末です。
どうやらジジとそのスタッフは、民主党機関紙のNYTをちゃんと読まなかったようです。

メディアの誤報や捏造記事の一人歩き、慰安婦や南京事件で私達日本人もうんざりするほど経験してきたことですが、ここでもまた再演されてしまったのです。

 

 

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