• 20241013-133034
  • 20241013-134702
  • 20241013-140031
  • 20241014-045945
  • S3-004_20241012032201
  • S3-005_20241012032201
  • Ss3-007
  • S3-036_20241012032303
  • S3-041_20241012032101
  • 20241011-022642

2024年10月14日 (月)

琉球新報というゾンビ企業を助ける政府融資

S-075

おもわず笑ってしまうようなことが発覚しました。
琉球新報が、政府系融資機関から8億5千3百万の無利子融資をもらっていることが発覚しました。

「沖縄県の日刊紙「琉球新報社」の印刷設備の更新費用として、県が約8億5000万円を無利子で融資する補正予算案を巡り、保守系県議から「県からの融資は、偏りのある報道につながらないか」(自民党県連幹部)と懸念する声が出ている。
県によると、地域振興に資する民間投資を支援する「ふるさと融資」制度を活用し、同社の新聞輪転機など印刷設備更新費の一部を無利子で長期貸し付ける。総事業費26億8200万円のうち、8億5300万円について地域総合整備財団(通称・ふるさと財団)を通じて融資する。制度の償還期間は20年以内だ」
(産経10月7日)
沖縄県が琉球新報社に無利子で8億5000万円融資 県議「偏りのある報道」懸念 - 産経ニュース (sankei.com)

これは「ふるさと融資」からの融資で、償還は無利子で20年以上という長期貸し付けで、地方自治体の依頼受けて融資しています。
無利子融資で20年ですから、もらったようなものです。

「地域振興に資する民間投資を支援する「ふるさと融資」制度を活用し、同社の新聞輪転機など印刷設備更新費の一部を無利子で長期貸し付ける。総事業費26億8200万円のうち、8億5300万円について地域総合整備財団(通称・ふるさと財団)を通じて融資する。制度の償還期間は20年以内だ」
(産経10月7日)
沖縄県が琉球新報社に無利子で8億5000万円融資 県議「偏りのある報道」懸念 - 産経ニュース (sankei.com)

融資を受けて琉新が購入したのは、新聞社としての心臓部に当たる輪転機です。
もうすでに稼働しています。

20241013-133034

新輪転機始動 カラー豊富に 琉球新報社 - 琉球新報デジタル (ryukyushimpo.jp)

「早速刷られた特別紙面が、集まった関係者らに配られた。これまで最大16ページだったカラー印刷が、24ページまで拡大し、機能が1・5倍となる。二つの媒体を同時に印刷でき、1時間に16万部の印刷速度を備える。
輪転機は新聞発行にとって、休刊日を除けば止まることが許されない心臓部分だ。輪転機の更新は25年ぶりとなる。普久原社長は「紙の新聞が主力商品であることに変わりはない。県民の皆さまに良い紙面を届けていきたい」と話した」
(琉球新報8月1日)
琉球新報デジタル (ryukyushimpo.jp)

25年ぶりに輪転機を更新したのはめでたいことですが、この会社の経営陣は輪転機のような「心臓部」の法定償却年数15年を越えてナニをしていたのでしょうか。
実は「株式会社琉球新報」は惨憺たる経営状況です。まさにこの4年間、赤字へと直滑降です。

20241013-140031

HUB沖縄

「株式会社琉球新報」の経営状況です。

「6月24日の株主総会で琉球新報社(玻名城泰山社長)の決算が報告された。それによると、2021年3月期の売上高66億300万円に対し、経常損益が4億5100万円の赤字となった。20年3月期の経常損益も3億2200万円の赤字であり、二期連続での大幅赤字である。
ここ4年間の経常損益を見ると、18年3月期には4億5200万円の黒字を確保していたが、19年3月期には黒字が6700万円まで減り、20年3月期に3億2200万円の赤字、そして21年3月期に4億5100万円の赤字と、経営状態は悪化の一途を辿っている。
この状況のなか、琉球新報社は昨年、役員報酬や管理職手当の削減に踏み切ったばかりか、社員のボーナスも夏に3割、冬には5割もカットし、聖域なき経費削減を掲げて残業代や旅費、交通費、そして交際費に至るまで大幅に圧縮。さらに早期希望退職まで募り、6人がこれに応じたという。この早期希望退職に応じた社員を含め、昨年度は16人が退職した」
琉球新報社、二期連続の大幅赤字 タイムス社と明暗分かれる - 沖縄HUB(つながる沖縄ニュースネット) (hubokinawa.jp)

20241013-134702

会社案内

琉新は株式会社ですが、未上場なので詳しいことはわかりませんが、2019年3月期には赤字転落し、人件費を大幅カットしてコスト削減し、早期退職まで募っているようです。
仮に粗利益率を楽観的に見て25%だったとすれば(たぶん甘すぎますが)売上総利益は15億円、ここから255人の従業員への給与などを引くと2億残るか残らないかです。

そこからさらに諸経費が差し引かれれば最終利益段階でたぶん残るとしても数千万円、それも各種返済に充てられて赤字でしょう。

このような経営状況の琉新は、本来はゾンビ企業に分類され整理されるべきです。
ゾンビ企業とは、ほんとうは倒産しているべきなのに、政府融資だけで生きている顔をする企業のことです。

「業績不振によって経営が破綻し、利益が債務の利払いを下回っている状態が続いているにもかかわらず、金融機関や政府機関などの支援に頼ることで存続している企業のこと。 ゾンビ企業の増加は市場機能の健全性を損ない、経済の成長を阻害する可能性があるともいわれている」
ゾンビ企業|証券用語解説集|野村證券 (nomura.co.jp)

こんなゾンビ企業の琉新に、事業総額8億5000万も融資するのは、政府金融としての融資の健全性が疑われます。
焼けついて不良債権化するに決まっているではありませんか。
本来ならば融資を断り、いさぎよく社業を縮小整理して、最低限の電子版発行の方向へ指導すべきだったのです。

別に琉新に限らず、米国でも電子版のみの新聞は多くありますし、わが国でも大手紙が今後電子版のみとなるのは必定だと見られています。
タブロイド紙は、既に夕刊フジと日刊ゲンダイが電子版も残さずに消滅すると噂されています。
全国紙の激減ぶりに歯止めはかからず、これで推移すれば15年後には消滅する勢いです。
つまりこの「ふるさと融資」の償還が始まる前に、新聞自体がなくなっているかもしれないということになります。

20241014-045945

亀松太郎

「日本新聞協会がこのほど公表した最新データで、一般紙の総発行部数が3000万部を大きく割り込み、2800万部台まで落ち込んだことが明らかになった。この5年間で失われた部数は1000万部。平均すると、毎年200万部ずつ減っている計算だ。もし今後もこのペースが続けば、15年後に紙の新聞は日本から消えてしまう勢いだ。
日本新聞協会は2022年12月後半、同年10月時点の新聞の発行部数を公表した。それによると、スポーツ紙を除く一般紙の総発行部数は、前年に比べて約196万部(6.4%)減少の2869万4915部だった。10年前の2012年は約4372万部だったが、年々減少が続き、当時の3分の2以下の規模まで落ち込んだ」
1年で200万部減「新聞離れ」は止まらず 「一般紙」は15年後に消える勢い(亀松太郎) - エキスパート - Yahoo!ニュース

宅配の固定読者を持ちなん百万部売り上げて世論をリードした時代はとうに過ぎ、いまやすべてでSNSに負けています。
今残っているのは紙から離れられない高齢者層が支持しているからで、この層とともに消える運命です。
にもかかわらず、業態自体が滅亡産業にもかかわらず、100万規模しかない県に大型地方紙が2つもあることのほうが異常なのです。
しかも双方とも、これ以上ヒダリはないというサヨク紙で、沖縄の言論空間を支配してきました。

ゾンビ企業を生かしたのが「ふるさと融資」制度です。
「ふるさと融資」制度とはこのようなものです。

「ふるさと融資制度は、地域振興に資する民間投資を支援するために都道府県又は市町村が長期の無利子資金を融資する制度で、ふるさと財団は地方公共団体の依頼を受け事業の総合的な調査・検討や貸付実行から最終償還に至るまでの事務を行っています
ふるさと融資を行う場合、地方公共団体は資金調達のために地方債を発行し、その利子負担分の一部(75%)が地方交付税措置されます。
ふるさと融資の申込先は、事業地の都道府県又は市町村となります」
ふるさと融資とは【制度融資、無利子・無利息融資】 - ふるさと財団 (furusato-zaidan.or.jp)

正式名称「地域総合整備財団ふるさと財団」はもちろん天下り団体で、末宗徹郎理事長は総務官僚出身です。

「末宗徹郎  旧自治省(現在の総務省)出身。総務省財政局財政課長、内閣府地方創生推進室次長、復興庁事務次官などを経て、2022年から地域総整備財団理事長を務める」
「地方自治のいま」(7) 末宗徹郎・地域総合整備財団理事長 | 日本記者クラブ JapanNationalPressClub (JNPC)

この団体自体が総務省閥が天下りのために作った団体で、石破氏が「地方創生」の号令をかけたので、今頃張り切ってカネをばらまいているはずです。
「地方創生」、「地方興し」といえば聞こえはいいですが、要は地方へのカネのバラ撒き以外の意味はありませんから不思議でもなんでもありません。

むしろ問題は「ふるさと融資」は「地方公共団体の依頼を受け」ねばならないところです。
つまりデニー県政からお墨付きをもらわねばカネが借りられないということです。
琉新はデニー県政の宣伝紙です。デニー氏をオール沖縄と持ち上げて政権に送り込み、その言い分を忠実に伝えて、県の広報紙では言えない政府批判を繰り返し、県政批判派を封じこめるための宣伝紙です。

失礼ですが、これが「社会の公器」でしょうか。よくイソコ女史などは、新聞の社会的任務は「「社会の木鐸(ぼくたく)」「権力の監視者」と自己陶酔的に言っています。
では経営の根幹を権力に握られておきながら同じことをいえるのかどうか、そういうのをサヨクの人たちは権力と癒着する「御用新聞」と呼んだのではなかったでしょうか。
いずれにしても、デニー県政とメディアが持ちつ持たれつで政府の融資利権を食いついているのがわかりました。

「ふるさと融資」はゾンビ企業に巨額融資をすることが仕事だとは思えません。
こんな経営再建も難しい企業に融資するくらいなら、もっと資金がショートしている地場産業がいくらでもありそうなものです。


 

2024年10月13日 (日)

日曜写真館 初秋やふちどり雲の出るもやう

S3-041_20241012032101

ひえびえと闇のさだまる初秋かな 飯田蛇笏

Ss3-007

初秋と思ふはるかだとも思ふ 野見山朱鳥

S3-005_20241012032201

ひとの声うしほに浸り秋はじめ 飯田龍太

S3-004_20241012032201

初秋や一雲運ぶ風の空 石塚友二

S3-036_20241012032303

飛ぶもののみな新秋のひかり負ふ 石塚友二

 

 

2024年10月12日 (土)

石破さん大丈夫、苦悩はそんなに長引かないよ

001_20190728023701

被団協がノーベル平和賞を受賞しました。おめでとうございます。
ノーベル平和賞委員会は、いままでにもICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン )なんて団体にも賞をやったところですからね。
この団体は、なぜか核武装なんかまったく話題になっていない日本に押しかけて、核兵器禁止条約に署名しないのはけしからんと大騒ぎを演じました。
突撃するなら北京かモスクワに行きなさいといつも思うんですが、よほど叩きやすい国とみくびられているようで、必ずウチの国が的になります。ほんと迷惑。
その時に日本側の受皿になっていたのが、旧社会党系の被団協です。
石破首相も祝辞を述べたそうですが、ニュークリアシェアリングを唱え「持ち込ます」というのが持論だったはずですから、また豹変と言われますよ。

ところで石破氏が外遊をしています。
李強に会ってもらってよかったですね。

20241012-024521

李強総理、日本の石破茂首相と会談 (news.cn)

中国はさすが大国、メンツを立ててくれたというのに、ASEANときたひにはハナから話にならないとばかりに、こうです。
ASEAN)事務総長でカンボジア出身のカオ・キムホン氏の弁。

「なぜ、アジアにNATOのようなものが必要なのですか? 私たちにはすでにASEAN関連の様々な既存の枠組みがあり、それを優先させるべきです。さらに新たな枠組みをつくることは、地域の国々から支持を得られないでしょう」
(朝日10月10日)
アジア版NATO「支持得られないだろう」 ASEAN事務総長会見:朝日新聞デジタル (asahi.com)

向こうさんの立場では当然すぎるほど当然です。
今月中に選挙があり、そこで負けるかもしれない超々短命首相がナニ言ってもまともに聞いてくれるわけがありません。
安倍氏の外交がすごかったのは、当人の能力もさることながら、長期政権、選挙にはめちゃ強いことが内外に知れ渡っていたからです。
だから諸外国は「聞く耳」を持ってのであって、フロックで首相になったようなゲル氏の言うことをまともに聞く国など今はないでしょう。

ところで、今回の選挙への興味は、「どれだけ自民党が負けるのか」に絞られています。
実際、これほどまでにどーでもいいと思える選挙はなかったような気がします。
石破氏は、総裁選でなんと仰せでしたでしょうか。
「国民が判断する材料を提供するのは政府、新しい総理の責任だ」「(与野党の)本当のやりとりは予算委員会だ」「(解散を)自民党の都合だけで勝手に決めてはいけない」、イマニしておもえばよくもまぁ口からでまかせを。

まぁかつては、解散を内閣がすべきではない、天皇の名で党利党略で解散するなどもってのほかだ、とえらくカッコイイことを言っていた御方です。
その時は、解散するのは不信任を出された時のみだとまで言い切って、首相の解散権そのものを否定してえらく歯切れがよかったのですが、今回の解散の弁では、党の都合でしたとまで言ってしまいました。
かくも短い期間に、いままで培ってきたリベラルメディア信頼を壊した政治家はいなかったでしょう。
そしてメディアと野党は口を揃えて「イシバさんは変わってしまった」と言い、保守サイドの人たちは「この裏切り者め」と唾を吐いたわけです。

かくして右からも左からも等しく嫌悪されるという、まことに珍しい首相になってしまいました。
しかし幸いにも、石破氏の苦悩もそう長くは続かないようです。
早ければこの選挙の選挙戦後、長く見ても来年度予算を通してオシマイです。

各方面の選挙予想がチラホラ出始めました。
産経系のZAKZAKでは、選挙プランナーの松田馨氏が予想を出しています。

20241011-022642

ZAKZAK

その結果は、さほどの驚きはありませんが、単独過半数割れ、ゲル内閣大打撃と出ました。

「石破首相は9日、自民党選挙対策本部会議に出席し、衆院選を前にこう語ったが、自民党の情勢は厳しそうだ。松田氏は、投票率を前回2021年衆院選の55・93%を下回り、51~52%程度と想定して分析した。
自民党は、現有256議席から30議席減、「小選挙区165、比例61の226議席」という予測だ。衆院定数(465議席)の単独過半数(233議席)を割り込み、今後の展開次第でさらに減らすという」
(ZAKZAK10月9日)
石破首相が「戦後最短の就任8日後」に解散強行 自公過半数割れも 2024年秋衆院選・政党別議席予測、松田馨氏が分析(1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

松田氏の予想では30議席減、単独過半数割れだそうです。
立憲は微増です。

もうひとつ選挙予想は、ニュースポストセブンで政治ジャーナリストの野上忠興氏が出しているもので、こちらはもっとドラスティックな惨敗です。

「野上氏の協力で全選挙区の情勢を緊急調査し、当落を予測した。結論は、野党の候補者調整ができない場合でも、自民党は「53議席減」の202議席。公明党も25議席へと減らし、自公合わせて「227議席」で過半数割れという衝撃的なものだった。
総理が交代しても、有権者の裏金問題や旧統一教会問題への批判は消えていません。自民党の裏金議員たちは小選挙区で厳しい審判を受けることになる。自民党支持層が自民離れを起こしているため、自公両党ともに比例代表でも票を大きく減らすことが予想されます」(野上氏)
さらに野党の選挙協力がなされ、自民党への対立候補が一本化されれば野党が逆転勝利可能な選挙区が53あり、自民大惨敗となる」
(ニュースポストセブン10月9日)
【10.27総選挙289全選挙区緊急予測】自民党が「53議席減」、自公でも過半数割れの衝撃シミュレーション結果 新閣僚3人も落選危機(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース

野上氏は53議席減で227議席、公明も減らすために自公で合わせても過半数割れです。
こういう選挙関係者というのはだれでもお得意先があるので、バイアスがかかることを瀬ン低に見なければなりません。
おそらく来週にかけて新たな世論調査の支持率や各紙の選挙予想も出るはずですから、それを見て改めて考えたいのですが、いい目は出そうに内ですね。

とまれ、石破内閣が選挙後に安穏と勝利をかみしめる余裕がないことは確かなようです。
だって、いかに負けるのを少なくするのかだけがテーマの選挙ですから。
激減の場合はハッキリしています。石破降ろし爆発です。
これだけ恨みつらみと憎悪を振りまく公認をしたら、敗軍の将に容赦はありません。
いままでゲル氏の得意とした、後ろから弾丸をビュンビュン撃って来るのです。

本来、こういう時は幹事長の手腕の見せ所ですが、森山氏といえばたった8人の泡沫派閥の主で党内を取りまとめる能力は皆無です。
石破氏が安倍派一掃などといいだしたら、まぁまぁ殿、ここは党内融和を大事にしていただかないとと言うべき立場なのに、率先して党を分裂させたのですから重罪です。
いままで選挙を質にとられて言いたいことも言えず頭を抑えられてきた議員は、再選したらメにものを見せてくれると誓っていますからどうなりますことやら。

だから言ったでしょう(言わなかったかな)、高市さんや小林さん、そして安倍派も取り込んだ人事にしないとエライことになるって。
そもそも石破氏が年中「元自民党幹事長」の肩書でメディアに出られたのは、任命権者が安倍さんだったからです。
二階氏を幹事長にしたのもおなじく安倍氏。
総理に自信があれば、幹事長ポストには意見が対立する人を持ってきてバランスをとるほうが党は安定するのです。
官房長官に菅氏を据えたのだって、この両人かならずしも政治的意見が一緒ではなかったからです。
菅さんは安倍氏と一心同体だと思っていましたが、今回の総裁選でよくわかりましたでしょう。

つまり安倍政権が長期政権であったのは、石破、菅、二階、岸田など政治的には対立する勢力を政権内部に取り込んだことで党内融和が図れたからです。

それを党内融和もあろうことか、二重処分を課し、議員にとって死活問題の公認までしない、重複立候補は許さないとなるともうアウチです。
された方は二度と金輪際石破氏を許そうとは思わないはずです。
負ければ、この憎悪がまともに来ます。

ところで、ひとつ面白いのは、今回毀誉褒貶が激しい保守党が初めて本格的に登場して、国民の審判を受けることです。
前掲の松田氏はこう述べています。

「ベストセラー作家の百田尚樹氏と、ジャーナリストの有本香氏が立ち上げた政治団体「日本保守党」は今回、河村たかし名古屋市長を小選挙区の愛知1区に擁立する。百田氏と有本氏も比例で出馬する。
「小選挙区1、比例1で2議席」獲得の可能性があるという。
松田氏は「衆院東京15区補選などで、一定の票を獲得してきた。ユーチューブなどインターネットメディアを中心に関心が高く、保守系の票をさらに取り込めるかがカギだろう」と指摘する」
(ZAKZAK前掲)

なるほどね。百田さんと河村さんか。
それなりに応援している部分もないわけではないのですが、この党で心配なのは実務体制が欠落しているようにみえることです。
東京5区での飯山氏への支援、特に選対すらなかったと聞いています。
また小説家が作った党のために、志はひと一倍あると思いますが、政策立案能力があるのかといわれれば、はなはだ怪しいと思います。
特に経済政策プロパーが不在なのは致命的です。

もう少し立党まで力をつけて財政・金融のわかる経済専門家を集めていただきたかったと思います。
外交・安全保障を推進するプロパーも欲しい。島田氏だけでは不安です。

言い出したらキリがないし、初めからすべてを望むつもりはありませんので、長い眼で見させていただきます。
今回のあまりに早い総選挙は彼らには気の毒でした。
といっても百田氏は高市氏にならなくてよかったと堂々と言っています。
そりゃ高市自民だったら保守党なんかいりませんもんね。しかし了見が狭いな。
というわけで、保守党に関しては判断保留です。



2024年10月11日 (金)

中東戦争になるでしょうか

Dsc_4545

イスラエルがイランに対する報復攻撃の目標を決めたそうです。
おそらくは核関連施設か石油施設でしょう。
米国との調整中のようですが、今週中に実施されるかもしれません。
これによって中東戦争が起きる、世界大戦が始まるぅと騒ぐ者がいますが、ありえません。
イランを過大評価しすぎています。

今のイランにはそんな大事にする力はありません。
イランは、前回の180発の弾道ミサイル攻撃で備蓄している多くを使ってしまったと思われます。
もちろん残ってはいるでしょうが、短期間に補充するのは困難です。
ですから、いま攻撃を受けても前のような大規模なミサイル攻撃で反撃するのは難しいでしょう。

また、中東テロ工作のためのコッズ部隊指揮官級は全員討ち取られています。
これ以上戦闘を激化させると、イスラエルがお宝の完成寸前といわれる原子力施設を狙ってくるのはわかりきっていますから、ここでエスカレーション競争から降りたいはずです。

中東諸国にとって、ペルシャ人の国イランは異物である上に、永年に渡って王政を打倒しようと画策してきた不倶戴天の敵です。
ペルシャ人の国に「アラブの大義」を説教されるのは片腹痛いうえに、コッズ部隊を使ってテロ組織を養成していることに腹をたてています。
ですから、イランに乗って対イスラエル戦争に参加することはあり得ませんし、現にイランのミサイルの迎撃には米軍のみならず、ヨルダン、サウジまで協力しています。

今までコッズ部隊が育成してきた眷属を使って報復をしようにも、ハマスは戦闘力を事実上喪失しており、頼みのヒズボラは指導者以下司令部が壊滅、前線部隊もイスラエルの1万5千もの侵攻部隊に制圧されて、再度のロケット弾攻撃などとうてい不可能ですから、イエメンのフーシー派に船舶テロを働かせるしか残っていません。
フーシー派は弾道ミサイルはほぼ保有しておらず、しょぼいロケット弾攻撃をする力しか持っていません。
得意の海賊攻撃も、すでに米英がフーシー派の拠点を爆撃しているように、紅海でこれ以上悪質な船舶攻撃を仕掛けると海賊対処とおなじような国際的な枠組みで反撃されるでしょう。

こうやって消去法で見ると、残るは自爆作戦でしょうか。
黒井文太郎氏によれば、「ハマスのハレド・メシャルが大きく出てきた」そうです。

この人物はハマスのカッサム旅団の自爆テロ路線を進めてきた当時の政治局長だったそうで、そちらの方にシフトするかもしれません。
Xユーザーの黒井文太郎さん

焦点は、むしろイスラエルの側にあって、これ以上レバノンにどこまで介入するのか、ガザからいつ兵を引くのか、あるいは常駐させる気なのか、泥沼化しつつある戦線をどのように整理するか、に移っていると思われます。

さて、イスラエルの凄まじいとしかいいようがない対ヒズボラ攻撃が続いています。

「[エルサレム 8日 ロイター] - イスラエルのネタニヤフ首相は8日、イスラエル軍が空爆により親イラン武装組織ヒズボラの後継候補の2人を殺害したと発表した。後継者候補の名前には言及しなかった。
ネタニヤフ首相はビデオメッセージで「われわれはヒズボラの能力を低下させた。(先月殺害されたヒズボラ最高指導者)ナスララ師と後継者、そして後継者の後継者を含む数千人のテロリストを排除した」とし、「ヒズボラはここ長年見られなかったほど弱体化している」と言明した。
ガラント国防相もこれに先立ち、ヒズボラの次期指導者と目されていたサフィエディン師が排除されたようだと述べた。
ガラント氏はイスラエル軍北部司令部の将校らに対し「ヒズボラは指導者のいない組織だ。ナスララ師は排除され、その後任もおそらく排除された。決定を下す者も、行動する者もいない」と語った。それ以上の詳細は明らかにしなかった」
(ロイター10月9日)
ヒズボラ指導者の後継候補2人を排除=イスラエル首相 | ロイター (reuters.com)

20241010-030229

ロイター

またヒズボラ幹部で先だって死亡した指導者ナスララの後継者と目されていたハシェム・サフィディンも死亡した可能性が高いと言われています。

(CNN) イスラエル当局者はCNNに対し、レバノンの首都ベイルートで現地時間3日深夜から4日未明にかけて実施した攻撃について、イスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部ハシェム・サフィディン氏を狙ったものだと明らかにした。
サフィディン氏はヒズボラの最高指導者だった故ナスララ師の後継候補の一人として取り沙汰されている。ナスララ師はイスラエルによる先週の攻撃で死亡した。
今回の攻撃でサフィディン氏が死亡したかどうかは不明」
(CNN10月4日)
イスラエルのベイルート攻撃、ヒズボラ指導者の後継候補が狙いか 当局者 - CNN.co.jp

イスラエルはヒズボラの指導部を根絶やしにする気のようです。
サフィディンは、故ナスララ党首のいとこであり、娘は、イランの暗殺されたソレイマニに嫁いでいたという、ヒズボラ最高指導者の後継者と見られていた人物です。
このように、イランコッズ部隊とレバノンのヒズボラは閨閥でもつながっています。

ヒズボラだけではなく、同時期にイランのコッズ部隊司令官のイスマイル・ガーニも死亡したという情報もありますが、イランは生存していると発表しています。

「ロイター通信は6日、イラン革命防衛隊の精鋭、コッズ部隊のガアニ司令官が訪問先のレバノンの首都ベイルート南部で3~4日にあったイスラエル軍の空爆後に行方が分からなくなっていると報じた。
ガアニ氏は2020年1月にイラクの首都バグダッドで米軍に殺害されたソレイマニ司令官の後任。対外工作を取り仕切る重要人物がイスラエル軍の空爆で死亡していれば、イランが報復する可能性もある 」
(産経10月7日)
イランのガアニ司令官、レバノンで行方不明か 空爆で死亡なら報復可能性も ロイター報道 - 産経ニュース (sankei.com)

ガアニはコッズ部隊(イラン対外工作部隊)の最強硬派で、米国に暗殺されたソレイマニの後任でした。
イスマル・ガアニは、壊滅的打撃を受けているハマスとヒズボラの建て直しのためにレバノンにいたと言われていました。
この人物がいなくなると、イランの対外工作は困難になってきます。
死亡説を否定するイランの発表です。

20241010-025842

ガアニ司令官
ロイター

[ドバイ 7日 ロイター] - レバノンで消息不明になっていると報じられているイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のガアニ司令官について、同部隊の副司令官は7日、司令官の「健康状態は良好で、活動を継続している」と語った。イラン国営メディアが報じた。
イラン学生通信は、ガアニ司令官が7日にテヘランで開催されたイベント向けにメッセージを送ったとし、同氏が「別の重要な会議に参加しているため」出席できなかったと報じた。
イラン治安筋はロイターに対し、レバノンを訪問していたガアニ司令官がイスラエルによる先週のベイルート空爆以降、消息を絶っていると明らかにした」
(ロイター10月8日)
イラン有力司令官は「元気」と軍幹部、レバノンで消息不明と報道 | ロイター (reuters.com)

ヒズボラは戦闘力の大部分を失い、指導部も壊滅しました。
残った唯一の副党首ナイム・カセムは停戦を呼びかけています。

「指導者たちが皆暗殺された今、ヒズボラを代表して声明を出しているのが、副党首であったナイム・カセムである。
カセムは、8日、国民にむけて30分のテレビ演説を行った。
その中で、カセムは、ナビフ・ベリ議会議長が、“停戦”という概念の元で、ベリ議長の活動を支持すると述べた。
回りくどいが、“停戦”を支持するかのような言い方である。
またヒズボラはこれまで、イスラエルとの停戦は、イスラエルがガザへの攻撃を停止することが条件だと言っていたのだが、それを言わずに、停戦を示唆していたということである」
(オリーブ山通信10月9日)
ヒズボラ弱体化進む:ネタニヤフ首相がレバノン市民へヒズボラ打倒呼びかけ 2024.10.9 – オリーブ山通信 (mtolive.net)

これに対してイスラエルが応じるかどうかは未定です。

一方、米国はいつもどおりの中間的スタンスで、イスラエルを支援しつつ自制を求めていますが、ここに来てハリス陣営に揺らぎが出始めています。
ハリスはバイデンに輪をかけてあいまいです。
ハリスの中東政策はバイデンよりもパレスチナ寄りだと目されています。

「イスラエルの安全保障に対するアメリカの関与は揺るがないと強調しているほか、イスラエルとパレスチナの「2国家共存」による和平の実現を目指すとしています。
ただ、アメリカのメディアは、バイデン大統領よりもイスラエル軍の攻撃に批判的な見方を持っていると伝えています。
ハリス氏は、早い段階からガザ地区への人道支援を重視すべきだという姿勢を示し、8月の民主党の全国党大会では「この10か月の間にガザで起きたことは壊滅的なことだ」と述べ、即時停戦を訴えました」
(NHK9月12日)
中東情勢の政策比較 ハリス副大統領、トランプ前大統領、当選したらどうなる?|アメリカ大統領選挙2024|NHK

ハリスにはトランプのようなハッキリしたキャンペーンがありません。
あえていえば女性初の大統領、黒人大統領というくらいが売り物で、メディアの大応援団をいなければトランペンプには張り合えないのです。
しかしこれではスイングステートき白人労働者層には訴える力が弱すぎます。
トランプは、激戦州の貧しい白人労働者(プワーホワイト)をターゲットにした自動車産業や鉄鋼生産の保護政策を打ち出し、不法移民が職を奪い、治安を悪化させているという彼らの不安に応えています。
そのためにハリスは、このスイングステート(激戦区)の中心的勢力である全米トラック労組や鉄鋼労組から愛想をつかされ、このままでは激戦区を落すかもしれません。

またハリスの政治的基盤は党内極左層であり、民主党主流の中間派と大きな隔たりがあります。
ハリスが中間派のバイデンと同じようにイスラエルを断固支持する姿勢を見せた場合、極左派はパレスチナ支持を叫んで離反するでしょう。
しかも極左の受皿の「緑の党」が誕生し、スタインを大統領候補に押し立てています。
そうなると歯切れがいい緑の党が、ハリス票を食う可能性すら出てきました。
もちろんこんな党派ほ泡沫ですが、1ポイントを争う激戦区では大きな意味を持ちかねません。

バイデンも先が1カ月しかないレームダックもいいところの存在でなにもできません。
ネタニヤフはその足元を見透かして、とことんやる気のようです。

 

 

2024年10月10日 (木)

出ました!立憲の低体温経済政策

016_20220115022701

立憲が新しい選挙公約を出しました。これがスゴイ。
これが実現した暁には石破ショックなんぞ軽い軽い。
ゲルより悪いノダ。

「立憲民主党は7日、次期衆院選の公約を発表した。自民党派閥の裏金事件を踏まえ、政治の信頼回復を最優先課題と位置付け、企業・団体献金の禁止や政策活動費の廃止など、政治資金規正法の再改正を打ち出した。
公約は「政権交代こそ、最大の政治改革」と題し、政治改革など7本柱で構成。国会議員の世襲を制限するため、親族間で政治資金の引き継ぎを禁じる措置などを提起した。
過去の国政選挙で主張した消費税減税は盛り込まず、給付と減税を組み合わせる「給付付き税額控除」導入を明記。日銀の物価安定目標を現在の「2%」から「0%超」に変更するなど金融政策の転換を強調した」
(時事10月7日)
立民、企業献金・政活費を禁止 物価目標「0%超」―衆院選公約:時事ドットコム (jiji.com) 

20241009-044011

時事

うっひゃー、わかって言っているのかな、「物価目標0%」って、今の物価上昇率が2%ですからゼロにするためには金利をさらに上げねばなりません。
金利を植田日銀がわずか0.25%上げただけで株価は暴落して植田ショックとまで騒がれたんですが、これでも足りないもっと上げてしまえ、というわけです。モンスター級タカ派です。
植田日銀ですら今年の初めにはこう言っていました。

「植田総裁は、物価の先行きについて、「来年度にかけて2%上回る水準で推移したあと、2025年度はプラス幅が縮小すると予想している。前回の展望レポートからの比較で見ると、来年度の見通しは下振れているが、これは、このところの原油価格下落の影響が主因だ」と述べました。
その上で、「この間、消費者物価の基調的な上昇率は、見通し期間終盤にかけて、2%の物価安定の目標に向けて、徐々に高まっていくと見ている。先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっていると考えている」と述べました」
(NHK1月23日)
【詳細】日銀 植田総裁会見 “2%の物価安定目標 少しずつ確度高まる” | NHK | 日本銀行(日銀) 

いいですか、植田総裁は「2%の物価安定目標に近づいている」という見込みを述べ、これがこの春闘で物価上昇に賃金がやっと追いつくのではないか、と楽観していました。
しかしまだ経済は充分に温まっていません。
コロナの低体温と凍傷からやや持ち直したものの、コロナ以降徐々に回復した個人消費の伸びはいまだ鈍化したままです。

その指標となるのが個人消費対GDP比の数字です。
個人消費は2024-06年に54.2 %を占めていますが、これが日本のGDPの背骨です。
しかしこれが回復しつつあるとはいえ、コロナ前に戻っていません。
2023年7~9月期の実質可処分所得は前期比-0.5%と4四半期連続で減少しており、これがデフレ脱却の足を引っ張っています。
こんな状況で利上げして、カネを借りにくくしたら企業はどうなるのでしょうか。

わかりきっています。設備投資を抑え、賃上げを我慢するのです。

20241009-050459

今月のグラフ(2024年2月)個人消費の今後のリスク要因 | 三菱UFJリサーチ&コンサルティング (murc.jp)

「2023年に入って家計の名目可処分所得の増加ペースが鈍化する中、物価上昇が続いており、2023年7~9月期の実質可処分所得は前期比-0.5%と4四半期連続で減少した。こうした所得環境の下、コロナ禍で落ち込んだ後、緩やかながらも回復傾向で推移してきた実質個人消費は、このところ伸び悩んでいる」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング (murc.jp)

こういうしこった時期に「物価目標0%」だ、なんてよく言えますね。
たぶん立憲の人らは、「物価目標ゼロ」といえば、庶民がああ、そうかスーパーの値上がりが止まるんだな、と喜ぶとでも思っているのでしょう。
ワイドショー民はこれに引っかかるかも知れませんが、今の諸物価の値上がりは政府が「物価上昇目標ゼロ」と宣言すればなんとかなるものではないのです。

確かに今の物価上昇率は、2022年10月に前年の同じ月と比べて3.6%上昇しました。
その原因は複雑です。昨今のさまざまな内外の要因が絡み合わさっています。
まず原材料の物価高騰があります。
たとえば新型コロナによる人手不足、サプライチェーンの混乱、そして外的要因としてはウクライナ戦争による穀物や資源価格の高騰、日米金利差による急激な円安の進行などです。
これらが複雑に絡まり合って企業の生産コスト増加に拍車をかけ、いわゆるコストプッシュインフレが起きています。
そして企業が今まででと違って、企業努力では耐えきれずに価格に転化し始めた時期に当たっています。

政府ができることは、景気を温めてデフレから抜け出し、民間のカネが足らない部分は国が財政出動をして埋めてやり、様々な税や社会保障の負担を減らして実質可処分所得を引き上げてあげることです。
そして景気に水を差す増税や日銀利上げは景気が加熱するまで凍結します。
しかし立憲は逆方向に行こうとしているようです。

立憲は本能的にデフレ社会が好きなようです。
リベラル左翼は好景気の中では存在感がなくなるために、いつも社会が暗く、格差が開き庶民が悲鳴を上げているほうが自分らの主張が受け入れられると思っているようです。
だって、「世直し」できますもんね。
だから朝日に集うベラル文化人の人たちって、昔から成長は人類の敵だ、資本主義は人類の敵だ、社会主義が理想なんだぁ、くらいに言っています。

立憲の直接の先祖である民主党は、政権を取った時のキャッチフレーズが「コンクリートから人へ」でした。う~んなかなカッコいいぞ。
そして事業仕分けをしてビシビシ財政投資を削りまくったのですよね。
その仕分けのボスが枝野氏であり、巫女役がレンホーさんでした。
彼らはまことに財務省の良き子でした。

その結果どうなったのでしょうか。具体的に見ておきましょう。
民主党が政権を取っていた時代、2009年から2012年の株価を見ておきましょう。
バブル崩壊後の最安値7054円という阿鼻叫喚の値をつけています。
この時期、経済が体温を失って失血状態になっているということを現しています。

20241009-122905

【図解】日経平均株価の長期推移(THE PAGE) - Yahoo!ファイナンス

次にインフレ率推移を見てみましょう。
同じく2009年から2012年の期間に注目してください。

20241009-045132

日本のインフレ率の推移 - 世界経済のネタ帳 (ecodb.net)

自民から民主党に政権交代した瞬間、今まで3%くらいいだったインフレ率が一気にマイナスに振れ、2013年に自民に戻った瞬間に上っているのがわかります。
この時期、中国の回し者とすら言われる白川日銀総裁の金利政策の失敗も重なって、日本のデフレを長引かせドロ泥沼化させたのです。

野田氏はまたここに戻したいようです。

そんなことをしたら景気は腰折れし、失業率は確実に増えます。
これも完全失業率の推移で抑えておきましょう。
民主党政権下2009年から12年をご注目ください。悲惨なもんですよ。
民主党が政権を取った瞬間、完全失業率は5%の大台を越え、2013年に自民がアベノミクスを経済に取り入れとたん、ストンと落ちています。
アベノミクスの最大の果実は、景気不要による失業者低下なのです。

20241009-052337

11月の全国の完全失業率2.9% 4か月ぶり2%台に|NHK

よくアベノミクスは富者のみ富んで貧者は飢えたということを言う者がいますが、そうではありません。
企業が富み、社会が富めば、勤労者たる国民も富むのです。
それがわかる幸福の指数が失業率低下です。
FOMC(連邦公開市場委員会 )の金利決定に際して、米国雇用統計などが大いに影響を与えているのはそのためです。

20241009-052845

昨年度の完全失業率 2.6% 前年度から横ばい | NHK | 雇用統計

日本は現況で2.6%で推移しています。
これは漠然とこの数値になっているのではなく、2%を物価上昇率を目 標とし、これを持続的・安定的に実現することを目 指して金融政策を運営しているからです。

そしてさらに、立憲は公約で最低賃金を1500円などと言い出しました。
そんなことをすれば、失業が増えるに決まっているでしょうになぜ分からない。
立憲には中小企業を経営した者はいないのですか。

最低賃金を上げれば国民は喜ぶ、そんな簡単なことではありません。

今年の賃上げは大きかったとよく言われますが、しかし悠々と賃上げができたのは大企業だけです。
なぜなら大企業の多くは円安の恩恵を被って業績が順調だからですが、一方その下請け孫請けの中小企業はどうかといえば元気がありません。
賃上げをせねばいい人材が来ない、だから大企業に賃上げに同調して上げた、しかしその経営実態は苦しいからです。

下図は濃い青色は業績が好調での賃上げした企業、青い斜線は業績の改善がないが賃上げした企業の割合です。

20241009-053632

労働政策研究・研修機構(JILPT)

「賃上げ実施予定企業(「業績が好調・改善しているため賃上げを実施(予定を含む)」もしくは、「業績の改善がみられないが賃上げを実施(予定を含む)」と回答した企業)を100とした場合の「前向きな賃上げ」と「防衛的な賃上げ」の割合をみると、「前向きな賃上げ」が40.9%なのに対し、「防衛的な賃上げ」は1月調査(60.3%)より1.2ポイント減少したものの59.1%と、6割近くにのぼった」
中小企業の7割超で賃上げを実施・予定、正社員で4%以上の賃上げを行う企業は3割台に(2024春闘における賃上げの状況:ビジネス・レーバー・トレンド 2024年7月号)|労働政策研究・研修機構(JILPT)

この業績が改善していないのに賃上げ」ということを防衛的賃上げと言いますが、この割合が6割です。
こんな状況で最低賃金を一気に1500円に上げたら、いったいどうなるのか子供でもわかりそうなものです。
大企業はすでにこんな最低賃金なんか軽くクリアしていますから、最低賃金上昇の負荷を中小企業がもろに被ることになります。
たぶん中小企業の倒産が激増するでしょう。

立憲は民主党時代の経済政策について反省と総括がない、だからこわいのです。

 

 

2024年10月 9日 (水)

準備がないまま首相になってしまった男

S-006_20220814063501

米国の雇用統計がよかったために、FRBは政府金利を下げないということになったようです。
日本もあれだけの石破ショックの後で、しかも植田総裁は金利上げるなよとゲル氏から厳命されていますから、当面は円安基調、かつ株高基調のはずです。
ゲル首相、なんていうラッキー。

「[ニューヨーク 4日 ロイター] - ニューヨーク外為市場ではドルが上昇し、対円で一時149円台に乗せた。9月の米雇用統計が予想を大きく上回ったことで、連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測が後退した。
ドル/円は一時149.02円に上昇し、8月16日以来の高値を更新。日米金利差が縮まりにくいとの観測からドルは対円で上昇しており、週間ベースの上昇率は2009年以来の大きさとなる見通し」
(ロイター10月5日)
NY外為市場=ドル一時149円台、雇用統計受け大幅利下げ観測後退 | ロイター (reuters.com)

東京市場もこれを好感して一気に39560円となり、1000円上げました。

そういえば、産経の看板記者のひとりである田村秀男氏が、こんなことを書いていました。
かつてゲル氏は、いくら田村氏がレクチャーしてもゲルの耳に念仏で、アベノミクス清算を頑なに主張していたそうですが、この夏くらいから風向きが少々変わったそうです。
田村氏はこんなことを書いています。

「そして、ことし8月下旬。筆者知り合いの石破さんのブレーンから突如、経済問題で助言を依頼された。石破さんは本欄など拙論に目を通しているとも聞かされた。ならば、とA4判で1枚程度のメモを送付した。要は脱デフレ、財政出動、実質可処分所得の引き上げ、家計消費の拡大、税収増の民間への全面還元、日銀利上げの凍結である。
ブレーンからは「石破さんはしっかりと読んでいます」との返事があったが、当方は半信半疑だ。
すると石破さんは9月に入ると、「財政出動なければ経済が持たない」「税増収分の防衛費や少子化対策への充当」「最低賃金の引き上げ」と言い出した。9月27日の総裁選勝利後の会見では「デフレからの脱却を完全なものにする」「物価上昇を上回る賃金上昇」「海外の生産拠点の国内回帰」を強調した。8月7日出版の「保守政治家 わが政策、わが天命」(講談社)での反アベノミクス色は薄れた。「君子豹変(ひょうへん)」、大いに結構だ」
(産経10月1日)
石破首相は「円安」を受け入れるのか 田村秀男 - 産経ニュース (sankei.com)

さすが田村さんの指南は的確ですが、これって実はアベノミクスなんですがね。
ホンマでっか、という話ですが、本紙で記事化しているくらいなのでホントなのでしょう。
ここからわかるのは、ゲル氏に金融・財政がわかる政策ブレーンが総裁選直前までいなかったことです。
そしてもうひとつは、夏頃から、つまり総裁選が匂ってきたあたりからやっと本腰で政策を考え始めたようです。
つまり、当人も本当に首相になるとは思っていなかったので、経済政策などという地味なことには蓋をして派手な反安倍言動にうつつを抜かしていたようです。

あまりに遅すぎてヤッツケですが、増税、金融正常化などとやられるよりはるかにマシです、と言っておきましょう
ただし、高市氏のように近畿大学経済学部教授(産業政策論・中小企業論)のようなプロとは違ってヤッツケだけに、いつまた先祖返りするかはわかりませんが。
要は、ゲル氏の能力がいささか怪しいことも手伝って、最高権力者になる準備が足りないのです。
しかし痩せても枯れてもうちの国の首相ですから、頑張っていただかなくては民が迷惑します。

たとえばこの準備不足感が如実に示されているのが、例の腹だし老人会記念写真の一枚です。
まるで服を初めて着た3歳の子供のような写真です。

20241008-053153

組閣時の集合写真のドレスコードに対するささやかな疑義 - Togetter [トゥギャッター]

「だらし内閣」という言葉がトレンド入りして、さすがに官邸もあせったようでレタッチしておポンポンを隠してしまいました。
いままでこんなコトをいきなり仕出かした新首相は最初です。
たぶんゲル首相をサポートする官邸の態勢が充分整っていないのでしょう。

「首相」は個人ではなく日本を人格的に代表する「機関」ですから、多重でサポートされねばなりません。
内閣総理大臣補佐官は5人の政治家で構成され、内閣総理大臣秘書官は霞が関からのエリート官僚の出向です。
岸田内閣の時は秘書官は6人となり、下の写真のように岸田氏の後ろをゾロゾロ大名行列していました。
ちなみに財務省だけはなぜか他の省庁の倍の2人います。

20241008-054515

官邸の心臓部 首相秘書官に迫る! どんな仕事?誰がなる? | NHK政治マガジン

これがゲル内閣ではまともに機能していないようです。
政治秘書というのは独特の慣習に満ちた世界で、マニュアルがあるわけではなく先輩からの口伝です。
総理秘書官ともなれば、将軍のお側用人のような絶大な権勢を誇り、そこらのペイペイの平大臣などよりよほど大きな権力を持っているとされています。
安倍氏の今井秘書官、小泉総理の飯島秘書官、麻生総理の村松秘書官などです。どれも食えない顔をしているでしょう。

20241008-075357

日朝首脳会談20年 交渉舞台裏、飯島内閣官房参与に聞く | カナロコ by 神奈川新聞 (kanaloco.jp)

これらの秘書官は普通に派閥に属していれば、派閥内で融通されていくものですが、如何せんゲル氏はいままで孤高の言うだけスナイパーであったために、まともな秘書がついていなかったようです。
ですから、この認証式の写真一枚でも、ゲル氏に、あ、首相モーニングにベルトを使ったら裾が弛みます、こちらにショルダーストラップをご用意してありますから、なんてサポートをする者が誰もいません。
文書もチェックする者がいないようで、こんな官邸発の発信をしてしまいます。

「石破総理は能登の被災地を訪問し、お一人お一人と話され、困難な環境下にある人々のために力を尽くす決意を新たにされました」

わ、はは、自分のボスに丁寧語をつけるなって、社会人の常識だろって。
SNSで指摘されて、慌てて「表現の適正化」をしています。

20241008-060133

軽いんだよね。なにもかも。
準備をしてこなかった、言い換えれば自分がよもや首相になるなんて思っていなかった男が首相になると、上は経済政策から下はズボンの裾までわからないことだらけというわけです。

 

※岸田氏に関してクレームがきましたので全削除しました。

2024年10月 8日 (火)

ゲル閣下、自民党を敗北と分裂に追い込む

S-018_20241007135201

難破寸前のゲル号、またまたやってしまいましたね。

「石破茂首相(自民党総裁)が政治資金収支報告書に不記載が確認された自民党議員を次期衆院選で公認した場合でも、比例代表との重複立候補を認めない方針を固めた。重複立候補できない非公認の対象も従来より広がる。衆院選を前に有権者の不満を抑える狙いがある。ただ、当選の確率が下がるだけに自民議員の動揺は激しい。深刻な党勢後退を懸念する声も強まっている。
「(世論調査などで)地元から説明責任が評価されていないと判断された議員は非公認となる。厳しい判断だ」。自民幹部は首相の決断についてこう語った」
(産経10月6日)
自民に激震「比例重複認めず」 非公認対象広がる 党勢後退すれば首相の責任問題も - 産経ニュース (sankei.com

20241007-150515

日テレ

選挙選を前に悪手の極みです。どんなことになるか、誰にも想像がつくってもんです。
つい先日まで選挙戦の司令塔である森山幹事長は全員公認を打ち出していました。
そりゃ森山氏ならずとも当たり前の判断です。
後述しますが、もう党としての処分は下して、党からの追放が2人もでているのです。
ここで二重処分をすれば、死体に鞭打つようなもの。喜ぶのは野党とメディアくらいなもんです。

あれが「犯罪」なんかじゃないことは、自民党員なら誰でも知っているはずです。
そして目先のことを言えば、どこの党が衆院選直前になって党を分裂させて戦力ダウンをし、自党の候補を落選の憂き目に合わせるなんてしますか。
フツーしませんよね、非公認にしたりする不利益な扱いをした議員は落選の可能性が高いですから、確実に議席を減らすのは目に見えていますもんね。
必勝ならぬ必敗の布陣。石破さん、頭おかしくなったんじゃありませんか。

そもそも、メディアは「裏金」「裏金」と煽ってまるで汚職で私腹を肥やしていたような印象報道をしていますが、しょせん政治資金報告書の記載漏れにすぎません。
安倍政権の時のモリカケ騒動となんら変わらない、火のないところに煙を立てる類のイリージョンです。

自民党執行部が毅然と記載ミスではねつけてしまえば終了した案件にすぎませんでした。
しかしこれをこともあろうに党首の岸田氏が、安倍派潰しに使えると閃いてしまい、今の大事に仕立て上げました。
党首が党所属議員を率先して売るという卑劣な行為です。

20241008-022728

「とんでもない野郎だ」岸田文雄首相、能登訪問で「頑張りましょう」直後の大雨災害スルーし“卒業旅行”「永久に帰らなくていい」非難轟々(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース

そして自民党の派閥は諸悪の根源だとばかりに解体(ただし自分の派閥は裏でひもを握っていましたが)政治資金パーティも禁止、そして司法が立件できないにもかかわらず党独自の処分と追放。
当然、岸田氏に権力が集中します。
今までも自民党には他派閥の切り崩しくらいはありましたが、ここまで徹底した冷酷な他派閥解体、自分への権力集中をした総裁など見たことがありません。
小派閥が権力を独占するにはこれが近道だったからです。
この手管を引き継いだのが、岸田氏の後押しで総裁になれた泡沫派閥のゲル氏です。

ところで、国会でまたヘンを人が生まれました。「れいわ」の大石あきこ氏です。
大石あきこ氏は名にし負うバリバリのサヨクです。
大石晃子 - Wikipedia

大石氏は国会の壇の上で「裏金議員隠しの解散やめろ」とプラカードを掲げて衛視に排除された強者で、懲罰を受けました。
懲罰を受けると箔がつくのですから、まるでヤクザ屋さんの世界みたいです。
これを報じるのは赤旗よりアカい日刊ゲンダイです。

20241007-140953

日刊ゲンダイ

「大石氏が壇上で私利私欲の好き勝手な主張をしたのであれば懲罰は当然だろうが、「裏金隠しの解散やめろ」「能登の補正予算を」は、多くの国民の声を“代弁”したに過ぎない。(略)
本会議場で紙を掲げて国民の叫びを訴える行為と、常習的、組織的にカネをため込み、識者などから脱税とも指摘される“犯罪”に手を染めていた裏金議員の行為のどちらが悪質なのかは明々白々。
《正論を言うと罰せられるのか》《じゃあどうすればよかったのだ》《裏金議員の方が悪質だろ。こんなことで懲罰するな》
 ネット上では大石氏に対して批判的な意見よりも、擁護する声が目立つ」
(日刊ゲンダイ10月3日)
れいわ大石晃子氏は「正論」掲げ懲罰動議…かつて国会ではプラカード抗議で怒声など日常茶飯事(日刊ゲンダイDIGITAL) - Yahoo!ニュース

おお、喜べ、日刊ゲンダイ様より人民英雄勲章を授与されたゾ!
ところがこの「英雄」は、たちまち馬脚を露します。それも「裏金」だからというのですから抱腹絶倒です。
笑えることには、大石女史にも「裏金」が、2022年の政治資金報告書だけで450万円の不記載が発覚、慌てて報告書を訂正したようですが、一説、450万どころか、1280万円にものぼるとさえ言われています。自民党でもトップクラスです。
まさに絵に描いたような天に唾するですが、しかし大石女史はめげません。あたしのは「不記載=裏金」ではないという言い訳をしています。
20241007-140721

派閥から還流するのは、別に違法行為でもなんでもありません。
東京地検が半年もかけても立件できなかったのは、それが政治資金報告書に記載されていない報告義務違反にすぎなかったから会計責任者だけ起訴されたのです。

ですから大石女史が自民党の記載ミスを「裏金」と呼ぶなら、大石女史の裏金はなんて呼んだらいいのでしょうか。
「キレイな裏金」とでも呼びましょうかね。

そのうえゲル首相の足元でも地雷がチュドーン。

「神戸学院大の上脇博之教授が3日、東京地検に告発状を出した。告発状によると、石破氏らが代表を務めた水月会は、2019~21年に開いた政治資金パーティーで、収支報告書の収入に計80万円分少なく記載したとしている。
石破茂首相は7日、自身が代表を務めた政治団体「水月会」による政治資金パーティーを巡り、政治資金規正法違反容疑で告発されたことについて「事務的なミスがあったことは好ましくない。厳粛に受け止める」と述べた。官邸で記者団の質問に答えた。

水月会事務局で収入の記載誤りがあったと説明。「事務的なミスが起こることがないようにしたい」と強調し、今後、訂正されるとした」
(産経10月7日)
石破首相「事務的ミスあった」 旧派閥の政治資金パーティー巡り刑事告発 - 産経ニュース (sankei.com)

ゲル首相は、「ルールを守る政党に」なんて言って重罰を適用し、政治声明すらうばいかねない非公認に処しながらながら、じぶんの派閥となると手のひら返しで「事務的ミスが起きないようにする」でオシマイにしてしまうのですから、たいしタマです。

そもそもこの「裏金」問題は、派閥事務局長だった会計責任者が、派閥所属議員に政治資金パーティでの余剰金はこうして処理するものだと教えてしまったことから生まれました。
だから旧安倍派はそれを慣習だと考えてやってしまったのです。
愚かではありますが、事務局長からこういうしきたりないんだ、と言われれば従ってしまう。
第一賄賂でもなんでもなく、自分らが開いた合法の派閥政治資金パーティーで得た資金ですしね。

額には大きな差があります。上は池田佳隆氏の3208万から下は藤原崇氏の10万までありますが、平均して100万単位です。
しかも4年間での合計ですから、1年ではあんがいショボイ。

上位2人は司法の取り調べを受けましたが、司法はどのように判断したのでしょうか。

「派閥から還流を受けた議員側でも、池田佳隆衆院議員が逮捕、起訴されたほか、大野泰正参院議員は在宅起訴、谷川弥一元衆院議員は略式起訴となった。一方で、塩谷立座長や派閥有力者の「5人組」らは立件を免れた」
(東京2月2日)
【一覧】安倍派「キックバック」所属99人のうち77人訂正 高額の議員は…収支訂正は3年分 裏金事件の全容は分からず:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

結局、この7月になって東京地検は告発されていた16人の議員は全員不起訴で、会計責任者のみが罰せたようです。
つまりこの「裏金事件」には賄賂性がなく、自分が集めたカネを自分らに還流しただけで、ただの記載漏れだと司法は判断したのです。

この司法判断が出る前の4月には、自民党が処分を出しています。

「処分対象となった39人は、2018~22年の政治資金収支報告書への不記載額が500万円以上の議員と元議員が中心。安倍派の幹部だった7人は500万円未満でも対象とし、比較的重い処分にした。
離党勧告は、安倍派座長を務めた塩谷立元文科相(不記載額は234万円)と、安倍派の参院トップだった世耕弘成前参院幹事長(不記載額は1542万円)。
この2人は、安倍派のパーティー券収入のキックバック(還流)の廃止や、その後の復活を協議した2022年の会合に出席していた。この会合に同席していた下村博文元政調会長(不記載額は476万円)と、西村康稔前経済産業相(不記載額は100万円)は、党の処分としては3番目に重い、期限付きの「党員資格停止」とした。期限は1年間」
(東京4月4日)
一覧表あり】安倍派幹部の塩谷、世耕両氏に離党勧告 裏金事件で自民党が39人処分:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

つまり、既に自民党自身が処分にかけ、塩谷氏と世耕氏は党籍剥奪となり、旧安倍派は屍累々で、事実上息の根を止められました。
そして今回の選挙の非公認です。
つまり既に2回に渡って「裏金議員」らは取り調べを受けて処罰されているわけです。
にもかかわらず、党は2回目の処分を課そうとしています。
これは近代刑法の一事不再理という理念に反する怨念むき出しの復讐政治です。
一事不再理とはこのような意味です。

「一事不再理とは、刑事裁判が確定した場合、当該事件について再び起訴することが許されなくなるという刑事裁判における基本原則のことです
憲法39条を見ると、「何人も、実行の時に適法であった行為またはすでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。また、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。」とあり、明文で一事不再理が定められています」
一事不再理とは何か。再審との違いなどを解説 (vbest.jp)

さすがに森山氏はそのおかしさに少しは気がついていたようで、全員公認しようとしていました。
これは二重処分を強行し、非公認とすれば選挙戦前に党がガタガタになり、当選者も減るのが目に見えていたからです。

「自民の森山裕幹事長は4日、派閥パーティー収入不記載事件で処分した衆院議員をめぐり、原則として公認する意向を示していた。すでに不記載事件への党の処分が下された中、非公認が「二重処分」にあたるとの指摘もあった。
非公認となればテレビの政見放送でアピールできず、配布ビラの枚数も減るなど厳しい選挙戦は避けられない。自民重鎮は「公認問題は決着済みだと聞いていたので総裁選で首相を応援した。話が違う」と語気を強めた。
自民内では27日投開票予定の衆院選を目前に、非公認とすれば地方組織などが混乱するとの懸念が強い。森山裕幹事長は党本部で記者団に「選挙は当選第一主義だ。政治資金問題は党で調査し処分も下してきた」と強調。7日までに行われる各都道府県連からの公認申請に基づき、「裏金議員」も公認する考えを示唆した」
(産経10月4日)
自民、地元申請あれば不記載議員も原則公認 森山裕幹事長「党の決まりに基づき対応」 - 産経ニュース (sankei.com)

ところが、その二日後、ゲル首相はこれを覆して二重処分に突き進んでしまいました。
なにがあったか知りませんが(というか知りたくもありませんが)おおかた安倍派狩りに狂奔した岸田某がゲル氏になんかいったんでしょうかね。
岸田氏がいまや石破政権の影のオーナーですから。

いずれにせよ、これで自民党には深い亀裂が生まれました。
来る選挙では大きく票を落すことでしょう。
旧安倍派の皆さん、ひとりで這い上がって来て、当選したらリベンジして下さい。

 

 

 

2024年10月 7日 (月)

石破茂、キレイゴトだよ、人生は

S-026_20241006091401

ひとことで言えば、石破氏は評論家です。
だから実現可能かどうかなどは斟酌なく、聞いたようなキレイゴトを言っていれば食っていけました。
それがこともあろうに総理になるという、たぶんこのウソだろうという展開にいちばんショックを受けているのはゲル氏当人ではないでしょうか。
あ、そうそう「ゲル」という名は石破氏が「広めてほしい」と言っているオフィシャル愛称ですので念のため。

下は認証式の後の有名な老人会の記念写真ですが、ゲル氏は腹出してモーニングのズボンはダヨーン。伊達メガネにはシール。
腹出している新首相なんて初めて見ました。
どうせ永田町の貸し服屋に持ってこさせたのでしょうが、サイズくらい合わせろよと思いますが、村上氏はあさっての天井見てホゲているし、岩屋氏もズボンがダヨーン、となかなかのもんです。

20241006-091911

画像・写真:記念撮影する石破首相と閣僚ら:時事ドットコム (jiji.com)

キレイゴトといえば、アジア版NATOの創設については、早くもインドと米国が即時に正式否定しました。
インドはFOIPが西側陣営による対中包囲網ととられるのを警戒しているのです。

「米国を訪問したインドのジャイシャンカル外相は1日、米カーネギー国際平和財団での対談行事で、石破茂首相が掲げる「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の創設について、「われわれはそのような戦略的な枠組みは考えていない」と述べ、支持しない考えを表明した。ジャイシャンカル氏は「われわれには異なる歴史があり、異なる取り組み方がある」と説明した」
(産経10月2日)
インド外相、石破首相の「アジア版NATO」創設支持せず 「重く受け止めなければ」との声も - 産経ニュース (sankei.com)  

少しでもインドの外交・安全保障政策を知っていれば、あまりにあたりまえの反応です。
インドは独立以来一貫して「非同盟」を外交の柱に掲げており、どちらかといえば東側に傾斜しつつも特定の同盟や大国によって自国の外交が左右されるべきではないという「戦略的自律性」の方針を堅持してきました。
だから、西側のウクライナ制裁には乗らず、かといってロシアを支援するわけでもないというアクロバティックな外交を演じました。

ですから、むしろFOIP(自由で開かれたインド太平洋)構想にインドが乗った時に世界は驚いたほどです。
これはマンモハン・シン首相の安倍氏への深い友情と信頼の賜物でした。
石破氏は仇敵アベの仕事にタダ乗りしてアジア版NATOなどと言っているだけのことで、相手にされるワケがありません。

 米国はすでに否定されているものを、なぜ蒸し返すのかと首を傾げているようです。

「米政府は、安保体制参加国が国家の安全を相互に保障する「集団安全保障」の議論は、アジア太平洋地域では「時期尚早だ」(クリテンブリンク国務次官補)との立場をとる。石破氏が主張する日米地位協定の見直しも、米側では必要性が十分認知されているとは言いがたく、まずは議論の土台作りが求められそうだ」
(毎日9月27日)
米政府、アジア版NATO議論は「時期尚早」 石破氏提唱で注目 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

そりゃ言われますよ。「議論の土台ができていない」、それに尽きますもん。
いままで米国との地位協定運用の協議には無関係を決め込み、集団的自衛権にもなにもしなかったような評論家が、いきなり首相になりそうだからと言い出しても、米国からすればWHO?のひとことです。

そもそも石破氏はFOIP(自由で開かれたインド太平洋)という枠組みを知っているのでしょうか。
自分では安全保障のプロという肩書をだいぶ使っていたので重々承知でしょうが、FOIPという枠組みに重ねて「アジア版NATO」を作るという意味がわかりません。

FOIPになくてNATOにあるのは、NATO第5条、つまり自動参戦条項です。
実例をあげましょう。
ドイツ連邦軍は、アフガニスタンに国際治安部隊(ISAF)として派遣されました。
さっそく朝日はNATOのドイツ軍人の犠牲者をデカデカと報じて、「後方支援でも犠牲者がでる。どこでも戦場だ」と書いています。
朝日はアベがやった集団的自衛権なんぞやったらドイツのように戦死者が多数出るんだぁ、いいのかぁと言いたいようです。
もちろん、集団的自衛権と集団安全保障体制の初歩的混同による誤報です。
安倍氏が使えるようにしたのは集団的自衛権、一方NATOは集団安保体制です。

「集団的自衛権は、憲法の解釈を拡大して、他国攻撃時に他国を守るために武力行使を許可する権利のことを指します。
一方、集団安全保障は、国際社会全体の平和と安全を確保するための取り組みであり、複数の国が協力して防衛や平和維持活動を行うことを指します。両者の違いは、集団的自衛権が国内法での枠組みであり、自国の防衛のために武力行使を認める権利であるのに対し、集団安全保障は国際的な取り組みであり、多国間での協力や連携を通じて平和と安全を守ることを目指す点にあります」
集団的自衛権と集団安全保障の相違点 | コラム | 東京都渋谷区のセミナーならバーチュー・クリエイティング株式会社|

下の写真はくだんのISAFに参加したドイツ連邦軍です。

Img_0朝日

なぜ、ドイツ連邦軍がアフガンというドイツの安全保障とは直接関係ないアフガンの辺境に投入されているのでしょうか。
それはNATOが、2001年9月1日の米国同時多発テロを受け、翌月の10月2日にこれはNATO条約第5条に該当すると決議したからです 。

●NATO条約第5条
「NATO締結国(1カ国でも複数国でも)に対する武力攻撃は全締結国に対する攻撃と見なし、そのような武力攻撃に対して全締結国は、北大西洋地域の安全保障を回復し維持するために必要と認められる、軍事力の使用を含んだ行動を直ちに取って被攻撃国を援助する」

NATOは、トランプが批判的な言動をするので、米国とは別枠の組織と勘違いされますが、もちろん米国はこの大黒柱のひとつです。
理由はシンプル。現実に仮想敵であるロシアとの軍事衝突になった場合、ヨーロッパ各国軍の力だけでは防ぎきれないから、ヨーロッパは自動参戦条項で米国を逃げないように縛っているのです。
よく米国は世界に米軍を無理やり置いている、けしからんという人がいますが、逆です。
ヨーロッパが恐れているのは、トランプのような大統領が極端化してNATOを脱退して北米大陸に籠もってしまうことです。
そんな勝手なことをさせないようにNATO条約第5条で縛り、米国に対する直接攻撃にはNATO軍を出して反テロ戦争に協力したのです。
これが集団安保体制です。

さて話を戻して、アジア版NATOという枠組みを作るとなると、なんのためにどの国を仮想敵として軍事同盟を組むのかという本質的問題が最初に出てきます。
このアジア地域で、国境変更の常習犯である中国が仮想敵となるのは必定です。
というかここがあいまいなまま軍事同盟を作ってどないするねん、というもんです。
石破氏がアジア版NATOに中国や北朝鮮の加入も呼びかけるという噂を聞きましたが、ちちろん「安保のプロ」がこんなことを言うはずがない、きっと悪い冗談でしょう。
では中国と対峙するために軍事同盟を作るといって、現実にどこの国が来るのでしょうか。

石破氏はアジア版NATOについて一文をしたためています。
提出した相手は政府とも関連の深いハドソン研究所に宛てで、石破氏はこう書いています。

「現在、日本は日米同盟の他、カナダ、オーストラリア、フィリピン、インド、フランス、イギリスと準同盟国関係にある。そこでは「2+2」も開催されるようになり戦略的パートナーシップの面として同盟の水平的展開がみられる。韓国とも日米は安全保障協力を深化させている。これらの同盟関係を格上げすれば、日米同盟を中核としたハブ・スポークスが成立し、さらにはアジア版NATOにまで将来は発展させることが可能となる」
ハドソン研究所 (hudson.org)

おいおい、今の各国とやっている「2+2」(外相+防衛相)会談や物品役務相互提供協定を積み重ねれるという「同盟の水平的展開」があれば自動的に軍事同盟に熟成し、さらにはアジア版NATOに至り着くとでも本気で思っているのでしょうか。
政権担当者の論文ではなく、まるで頭の悪い学生の作文のようです。

「最近では、ロシアと北朝鮮は軍事同盟を結び、ロシアから北朝鮮への核技術の移転が進んでいる。北朝鮮は核・ミサイル能力を強化し、これに中国の戦略核が加われば米国の当該地域への拡大抑止は機能しなくなっている。それを補うのはアジア版NATOであり、そこでは中国、ロシア、北朝鮮の核連合に対する抑止力を確保せねばならない。アジア版NATOにおいても米国の核シェアや核の持ち込みも具体的に検討せねばならない」
石破茂氏が語る日本の新安全保障時代:日本外交の未来 |ハドソン研究所 (hudson.org)

ここでも石破氏は拡大抑止、つまりいわゆる「核の傘」が中露北の核戦力強化で綻びが出ているから、核三原則の「持ち込ませない」を改定しろという主張をしています。
具体的には書いていませんが、おそらく中国を念頭に米軍が配備をしようとしている中距離弾道ミサイルとワンセットで核弾頭の持ち込みを可能としたい、それを補うのがアジア版NATOだと言いたいようです。
日本に核の持ち込みができないのは、戦後イデオロギーから来る非核幻想があったからです。
むしろ米国の側の問題ではなく、日本側の国内的な事情によっていままでできなかった以上、アジア版NATO以前にじぶんの国の事情を真剣に変えて行かねばならないはずです。

大前提として、いままでの「集団的自衛権の一部容認」というあいまいな中間形態から、本格的な国際的集団安保体制へと移行するための法整備をせねばなりません。
あたりまえですが、そうなるためには専守防衛などという寝言は言っておられなくなりますから、きちんと自衛隊を憲法に位置づけねばなりません。つまり改憲です。
石破氏はたしか9条2項といういちばんハードルが高い改憲を提唱して、自民の改憲案を攻撃してきました。
ならば首相となった今、9条2項の削除でおやりになるといい。
これらをやる覚悟があって、その先にやっと集団安保体制が見えてくるのです。

そもそもこの石破茂という人は、ここまで集団的自衛権の蓄積に一滴の汗もかいていません。
集団的自衛権の出発点であった安保法制時、防衛大臣就任を安倍氏から要請されれば拒否して安倍氏を失望させたのは有名な逸話でした。
以後、「安保のプロ」を自認しながら、一切の協力を拒み高見から苦闘する安倍氏の背中を撃っていたのはどこの誰だったのでしょうか。
妨害こそすれ協力はしなかった人に発言権はありません。
だからまるで自動的に集団安保体制への赤絨毯が敷かれた道がそこにあるようなお気楽なことを言えるのです。

今の「2+2を同盟に格上げする」ってどうやってやるのですか。そのメリットが相手国にあるのでしょうか。
現在は、相互に共同訓練をして信頼醸成期間にすぎないのに、いきなりこの文脈でアジア版NATOという大業を繰り出す神経がわかりません。
こんなことをすれば、わざわざ日本にまで戦闘機を飛来させて「友好」を確認し合ったインドなどはドン引きでしょう。
だから「石破構想」はインドからすげなく拒否されたのです。

では、「アジア版NATO」ができるでしょうか?
現状では不可能です。それも米国に要求うんぬんではなく、わが国の側の問題です。
この話に乗ってきそうなのは、楽観的に見てせいぜいがオージーくらいなもので、ほかの諸国はせいぜいが「友人」止まりです。
ましてや、扱いひとつで爆弾となる自動参戦条項などとんでもないというのがASEAN諸国の本音です。
今フィリピンはまたもや南シナ海に中国の侵攻を受けていますが、他のASEAN諸国は知らんぷりです。
なぜか、彼らは中国経済にがっちり組み込まれているために、フィリピン支援などして報復されたら元も子もないと思っているからです。
むり押しすれば、親中派のカンボジア、ラオス、インドネシアがASEANを割るでしょう。

ですから現実的には出来ても「NATO+」構想止まりです。
加盟するのは日本だけ。よくてオージーも来るか来ないか。
「NATO+」とは、「アジア版NATO」と正反対に、日本のほうがNATOに加盟して、これを軸に欧州のNATOとアジアにおける民主主義国家で連合を組もうという、いわゆる「グローバルNATO構想」です。
これはヨーロッパでも真剣に議論されていて、実現の可能性はないわけではありませんが、本格化しようとすると出て来るのは、フランスの反対と集団安保体制に参加できないというわが国独特の問題です。

日米地位協定も一緒です。双務的と石破氏はよくいいますが、双務的とは米国内に自衛隊の基地を作ったり、地位協定を改定させたりすることではありません。
米国とグローバルパートナーシップを結ぶことができて初めて可能なのです。
アフガンに兵員を出したドイツと同じことをやる気概が日本にあるのか、そこから問いなさい。
なんでも行き着くところは、わが国独特の歪んだ安全保障のあり方なのです。

仮にこれをクリアしたとして、具体的には米国の航行の自由作戦参加国(英仏独豪)と日比などが連携し、さらにはこの枠組みに台湾を入れたいという構想もあります。
安倍氏が存命していたならば、そこまで実現したことでしょうが、背中を撃つスナイパーとなっていたのは他ならぬ石破氏ではなかったのでしょうか。
米国政府が言うとおり、「議論の土台から作れ」ということです。ま、それにまったく尽力しなかったあなたに、それができますか。


ま、言っただけです。安倍氏と差別化したかったのでちょっとカッコウをつけただけ。やる気なんかありません。
事実、所信表明演説では封印し、岩屋外相はすでに「将来構想のひとつ」にまで格下げされてしまいました。
改憲も「将来構想のひとつ」にしないようにお願いします。

 

2024年10月 6日 (日)

日曜写真館 ひつじ田の畦の景色の彼岸花

S18008_20241006033201

お前さん どこへ行くんじや 彼岸花 伊丹三樹彦

101_20241004130701

夕焼の 遥か 彼岸について語れ 富澤赤黄男

035

悩みなど捨てよと咲けり彼岸花 中里カヨ

S-106

ふるさとの曼珠沙華今も同じ道 細見綾子

Dsc_5487

まんじゅしゃげ 墓地にて開ける法衣函 伊丹三樹彦

S-050_20241005174901

今生の闇凛々と曼珠沙華 飯島晴子

S22031q

仏達を笑ふてくらす彼岸哉 政岡子規

 

 

2024年10月 5日 (土)

ゲル号、いきなり難破してしまう

16-051_20241004125201

いきなり座礁です。ええ、もちろん石破政権のことです。
フツーは蜜月期間なんてシャレたもんがあるんですが、いきなりガラガラガッチャーン。

まず襲ったのは驚異的低支持率の大波です。

石破茂内閣の発足を受け、朝日新聞社は10月1、2日、全国世論調査(電話)を実施した。内閣支持率は46%で、不支持率は30%だった。現行方式で調査を始めた2001年の小泉純一郎内閣以降、発足直後の内閣支持率としては、岸田文雄内閣の45%に次いで、2番目に低かった。一方、不支持率は、麻生太郎内閣の36%に次ぎ、2番目に高かった。 」
(朝日10月2日)
石破新内閣「支持する」46% 組閣受け 朝日新聞世論調査:朝日新聞デジタル (asahi.com)

だいたい政権というのは、組閣当初は御祝儀で高支持率を得るのが当たり前です。
いままでの垂れ込めた雲が晴れたような気分になりますからね。
だいたい悪くても6割、時には7割なんて高支持率を国民から貰えるものです。
しかしいいのは初めだけ。飽きっぽい世論にたちまち見放され、政権末期には2割台で終了というのが通例です。
なのに出発点がいきなり5割では目も当てられません。
たぶん1年以内に(そこまで持てばですが)20%を切るか切らないか、というデンジャラスゾーンに転落するんでしょう。

20241004-040839

図録▽歴代内閣の内閣支持率推移 (honkawa2.sakura.ne.jp)

しかしそれにしてもいきなり5割とは、さすがに官邸のみならず永田町は震撼したようです。
おかしいじゃないか、マスコミ、いままでボクのことをあんなに褒めてくれてたのに。ボクがアベをやっつけたのにヒドイや、という声が官邸から聞こえてきそうです。
テレビはこんな解説をしています。

「支持率の低さについて、自民党議員からは「裏金問題が根強く影響している」との指摘が多く出ています。別のベテラン議員は石破総理の解散方針が「言行不一致だった」とした上で、「人事も評価されなかったのだろう」と分析しています。また、ある閣僚経験者は「派手に総裁選をやっても、政治とカネの問題には何も前進がなかった」と指摘しています。
こうした状況から、別の閣僚経験者は「支持率があがる要素がないから選挙は厳しい」と話すなど、自民党内では衆院選を不安視する声が出ています 」
(日テレ10月3日)
石破内閣支持率51% 「裏金問題が影響」との声も (2024年10月3日掲載)|日テレNEWS NNN (ntv.co.jp)

誰に聞きに行ったか知りませんが、薄っペらいね。石破氏に入れた連中なら「政治とカネが未解決」といって、言外に「裏金議員は公認すんな」とつけ足したいのでしょう。
一方、「組閣の失敗」と言うに人らは、旧安倍派はおろか高市氏支持者が完全にオフリミットされた組閣に不満をたぎらせていることでしょう。

産経の看板政治記者である乾正人さんが「やっぱり石破さんは悪人じゃなかった」と感嘆の声を上げています。
「悪人」とは、「手練手管で権力中枢を握ろうとする者」だそうですが、ゲル氏が「悪人」ならば安倍憎しを抑えて敵を政権内部に取り込み真綿で首を締めるようにしてしまうそうです。
それをまぁやるに事欠いて、怨念全開。
怨敵安倍派一掃、政敵高市・小林排除、重臣村上・岩屋重用ですからね。
フツーは、派閥均衡人事とメディアにくさされながらも、もうちっとはバランスに配慮するもんです。

20241004-172833

産経

「新首相は、暗殺された元首相・安倍晋三を「国賊」呼ばわりして処分を食らった村上誠一郎を重要閣僚に据え、最盛時には100人を数えた旧安倍派からは誰一人として大臣にも党四役にも登用しなかった。絵にかいたような「報復人事」で、ここまで徹底するとかえって清々(すがすが)しい。(略)
彼らが、いま新総裁に就任したなら人気のある高市早苗を幹事長に、小林鷹之を重要閣僚に起用して総選挙と来年夏の参院選を戦い、終わったところでお役御免にしていたはずだ。あるいは、40歳代の小林だけ抜擢し、ライバルの高市を孤立させる策を採ったかもしれない」
(産経10月4日)
「自民大乱」の予兆が見えた! 「悪党政治家」ではなかった石破茂 大手町の片隅から 乾正人  - 産経ニュース (sankei.com)

こういう人事をしたら最後、党内に爆弾を抱えこんだようなものですから、干された連中は、高市・小林を中心に据えて、絶対に時限爆弾と化します。

続いて、石破氏が首相に就いた瞬間、株価は2000円の暴落をしました。
武者陵司氏に言わせれば、「市場の政策審判」だそうです。

たぶん冷や汗を一升もかいたはずの石破氏は、慌てて植田総裁に、「利上げ上げすんな」とプレスをかけました。
日銀は財務省の子会社みたいなものですから、政府が政府方針を伝えるのはいいんですが、直近の金利政策に介入するのはおいおいです。
まぁ、とりあえずこれで株価は持ち直しました。

それにしても、石破さん、「日銀は政府の子会社」と表現した安倍氏をあれだけ強く批判していたのはあなたですよ。
総理になったとたん手のひら返しですか、やりますなぁ。

20241004-043654

日経平均株価:リアルタイム推移・最新ニュース - 日本経済新聞 (nikkei.com)

石破茂首相は2日、日本銀行植田和男総裁と首相官邸で初めて会談した。首相は会談後、報道陣に「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と語り、日銀による利上げに慎重な姿勢を示した。その上で「緩和基調を維持しながら経済が持続的に発展し、デフレ脱却に向けて経済が推移することを期待していると総裁に申し上げた」と述べた」
(朝日10月2日)
石破首相「追加利上げの環境にない」 日銀・植田総裁と会談後に言及:朝日新聞デジタル (asahi.com) 

そもそも石破氏の経済スタンスは、一貫して反アベノミクス、異次元緩和反対、円安反対、日銀に対するプレス反対、金融正常化、財政緊縮、「金利のある国」がモットーだったはずですから、政権をとるやいきなり真逆に触れてあからさまに日銀をけん制するとは、なかなか並の人ではできないまねです。

このように正反対にブレると、為政者の意志がどこにあるのかわからなくなります。
これで石破氏の金融経済政策の基本がどこにあるのか、わからなくなりました。
しかもこの人らしく、言い切らないでこういう逃げた言い方をします。いかにもいかにもです。

「石破首相は、政策金利の引き上げに関して「政府としてあれこれ指図をする立場ではない」としながらも、「個人的には現在そのような環境にあるとは思っていない。追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と語った」
(ブルームバーク10月2日)
「現在、追加利上げするような環境にない」と石破首相-日銀と連携確認 - Bloomberg

なにが「個人的には」ですか、ゲル氏が自宅のお茶の間で言ったならともかく、一国の総理がテレビの前で言ったら最後、それはまがいもなく公的発言なのです。
こんな煮え切らない言い方をする最高権力者って初めて見ました。
この調子で米国大統領に、「日米地位協定を改正したい。米国内に基地作らせろ、と個人的には思っている」なんて言うんでしょうね。
そしてアチラから一蹴されたら、「国民的に議論を積み重ねていく」とすごすごと撤退。
こういう責任を取りきらないキレイゴト評論家体質は、雌伏していた時にメディアにおだてられてついたんでしょうが、治さないと致命傷になると「個人的には」思いますよ。

そしてその前にやらかしたゲル砲が、いま政界を揺るがせている解散発言です。
なんせフライングもいいところで、総理になる前に言っちゃったんですから困ったお人だ。

自民党の石破茂総裁は30日、党本部で記者会見し、次期衆院選を10月27日投開票の日程で行うと正式に表明した。まだ正式には首相に就任していない中で、異例ともいえる衆院解散・総選挙表明に踏み切った。
「明日国会の首班指名で内閣総理大臣に選出されれば直ちに組閣を行い政権を発足させたい」とした上で「新政権は、できるだけ早期に国民の審判を受けることが重要。諸条件が整えば、10月27日に解散総選挙を行いたいと考えています」と述べた。
選挙実施日まで1カ月を切る中、「全国の選挙管理委員会の準備の観点から、本日、表明させていただいた」と述べた」
(日刊スポーツ9月30日)
異例の表明 石破茂氏、解散権持つ首相就任前に10・27衆院選を正式発表「選管の準備のため」 - 社会 : 日刊スポーツ (nikkansports.com)

石破氏はかつてこう言っていました。

「石破氏は21日昼、岸田文雄政調会長らと都内で会食した後、記者団にこう語り、今秋にも安倍首相が踏み切るのではと臆測を呼んでいる衆院解散・総選挙に反対する考えを強調した。
憲法7条は、内閣の助言と承認により天皇が行う国事行為の一つに「衆議院を解散すること」と掲げており、これが首相による衆院解散の根拠とされる場合が多い。ただ、石破氏は2日の講演で「7条解散」について「憲法論から『すべきではない』との立場だ」と強調。内閣不信任決議案可決か信任決議案否決に伴う憲法69条による解散などに限定すべきだと主張する。
さらに、石破氏は首相になったときの記者会見では質問を無制限に受け付けると明言。2日の講演で「手が挙がらなくなるまで質問を受けたい。メディアを取捨選択するのは国民を取捨選択することだ。民主主義の在り方として私はとらない」と訴えた 」
(産経2020年7月24日)
石破氏「7条解散」封印宣言 首相就任なら足かせ懸念 - 産経ニュース (sankei.com)

7条解散という内閣の解散権の根拠を否定し、不信任案が出た時に解散に撃って出ることができる69条解散を主張し、「手が上がらなくなるまで質問を受けたい」と言っていた人が、突然の豹変です。
手が上がらなくなるまで議論をすると言っておきながら、森山幹事長とゴニョゴチョと密室で相談しただけで解散。
しかもまだただの「一政党の総理」にすぎない立場で解散宣言をしたのですから、野党が怒るまいことか。

「野田氏は、石破氏が国会で首相指名を受ける前日に衆院選「10月27日投開票」を発表したことに関し、「(首相就任前の)自民党総裁なのに(首相の専権事項である)伝家の宝刀を抜いた」と指摘。「フライングだ。違憲の可能性がある行為で信じられない」と反発した。国会内で記者団に語った。
石破政権は野党が求めた衆参両院の予算委員会の審議も拒否した。野田氏は「臭いものにふたをするとしか思えない」と断じた。日本維新の会の馬場伸幸代表は記者会見で「一度も(実質的な)議論をしないままに解散する。敵前逃亡内閣だ」と非難。玉木氏は、石破氏の愛称「ゲル」に引っ掛けて「議論から逃ゲル内閣だ」と訴えた」
(時事10月2日)
「違憲の疑い」「逃ゲル内閣」 野党、石破政権を一斉批判:時事ドットコム (jiji.com)

「逃ゲル内閣」ですか、座布団3枚(笑)。
今回は珍しくも野党の言う方が正しい。もちろん首相でもない人間が解散なんか宣言できるはずがありません。
予算委員会も開かない、一切の質疑には応じない、即刻解散だ、だって野党が選挙体制ができない奇襲だから勝つってモリヤマが言ってたもん、
かつてのリベラル評論家ゲル氏なら、「憲法から照らしていかがなものか、質問が出尽くすまで応えるべきだ。立憲政治を踏みにじった自民はまた独裁に近づいた」なんてヒトゴトのように言ったンでしょうがね。

いやかつてどころか、つい先だっての総裁戦でも「民の判断を厳粛に受けなければいけない。そのために判断してもらう材料を提供するのは政府の責任だ。選挙をすれば衆院議員がいなくなるんだ。世界情勢がどうなるかわからないのに、すぐ解散をしますという言い方を私はしません」なんてキッパリ言ってたんですからねぇ。
この人、なんでもキレイゴトを言っていられる評論家人生が長すぎました。
そのまま評論家やっていれば、令和の石橋湛山なんていわれそうで、幸せに暮らせたのにね、よしゃあいいのに総理になんかなるもんだから。
そのうち『石破・失敗の本質』なんて本を出されそうですね。

20241005-025450

しかし言ってしまった以上、先を考えねばなりません。
選択肢としてはいくつかしかありません。

①このまま解散して、27日に投票日を迎える。
②予算委員会を開いて質疑に応じる。

①のようにいま解散を強行しても、選挙戦は「憲法違反の豹変野郎」一色で、さすがの石破推しのメディアも露骨には応援できないはずです。
②のように、野党の要求に応じて予算委員会をやればやったらで、これまた「憲法違反で逃ゲルのか」の一色。
なんだどっちに転んでもカチカチ山で、選挙は負けとなるでしょう。
日経は世論調査で立憲躍進と打っています。

「日本経済新聞社とテレビ東京は1、2日の緊急世論調査で、次期衆院選で投票したい政党を聞いた。自民党と答えた割合は40%で、前回の9月調査に比べ2ポイント下がった。立憲民主党は3ポイント上昇の15%、日本維新の会は2ポイント上がり8%になった」
(日経10月4日)
次期衆院選の投票先、自民40%立民15% 首都圏、内閣不支持上回る/政治資金問題「自民、信頼取り戻す」28% 本社世論調査 - 日本経済新聞 (nikkei.com) 

彌縫策として森山幹事長をに因縁を含めて首を差し出すという手段もないではありませんが、そんなことをしたら内閣崩壊です。
もうすでに自民党議員らの、特に石破氏に入れた連中には動揺が走っているようです。

 

 

«イラン、イスラエルをミサイル攻撃