今回の米中首脳会談で妙な悲観マウントをする人が出ているようですが、違うでしょうね。
トランプは「勝った」と思いますよ。
なぜなら、余計なことを言わなかったから。
あのおしゃべりはペラペラと品性のないことを言ってしくじるのですから、それを封じていれば「勝ち」です。
黙っていれば堂々とした合衆国大統領に見えるよ、トランプさん。
心配していたG2についても、台湾についてもあれだけ誘いを掛けられても言質を与えませんでした。
その意味でイニシャチブはトランプが一貫して握っていたといえます。
習近平はともかくトラ親方の言質を取りたい、得点を得たいとガツガツした印象でした。
冒頭から中国流歓迎責めでトランプを喜ばせて丸め込みたかったようです。
エアフォースワンが北京に到着したら、韓正国家副首席がお出迎えし、ダーっとレッドカーペットを敷かれた上を歩かされて、そのすぐ脇を中国の青少年が同じ服を着て同じパーフォーマンスで踊るといういかにも権威主義国家らしいお出迎えが待っていました。
人文字の世界ですな。自由主義国家でコレやる国なんか考えられません。
高市さんがやったらと思うと爆笑ものですが、習近平としてはこれが最大の歓迎の表現なんですから、あの人の価値観がモロに出ました。
さすがは文革下放組、さすがは根っからの毛沢東主義者。
トランプ氏、習氏と米中首脳会談へ 北京に到着し歓迎受ける - BBCニュース
私だったらこの時点で気持ち悪くなって帰りたくなりそうですが、案外トランプはいい気分だったようです。
一方習近平はこの間、粛清をしまくって不安定な権力基盤をさらけ出していました。
2025年10月に北京で開催された4中全会では、中央委員資格を持つ軍幹部やOB42人のうち、実に6割超にあたる27人が欠席し、うち8人はすでに「重大な規律違反」を理由に党籍と軍籍を剥奪されていた元軍人でした。
その中には側近中の側近であるはずの張又侠中央軍事委員会副主席まで含まれていました。
彼は福建省厦門(アモイ)市に駐屯する旧第31集団軍の出身者で、台湾方面を管轄する東部戦区やその前身の旧南京軍区に長く勤務していました。
つまり中国軍の戦略正面を任されていた軍人でしたが、これの首を斬ったわけです。
またトランプ訪中直前の5月7日、元国防相の魏鳳和と李尚福らを汚職、不忠誠などを理由に党籍、軍籍剥奪処分とし、さらに中国軍事法廷は収賄、贈収賄容疑で、執行猶予付きの死刑判決を言い渡しました。
死刑といっても2年後には終身刑に減刑されるようですが、その後の減刑はなく仮釈放もないために終身刑ということです。
個人財産は全部没収されて一家離散ですからスゴイね。
容疑は汚職ですが、高級軍人で汚職に手を染めない者はないのが中国軍ですから、習近平の恣意で誰でも粛清できます。
つまり習近平にとって、決していい時期に来られたわけではないということです。
そして誰もいなくなった: 農と島のありんくりん
さて、話を戻して首脳会談において習近平は台湾についてこう言っています。
「習近平は台湾問題が中米関係において最も重要な問題であると強調しました。 適切に対処されれば、両国の関係は概ね安定するでしょう。 適切に対処されなければ、両国は衝突または衝突し、中米関係全体を非常に危険な状況に追い込むことになる。 「台湾独立」と台湾海峡の平和は両立せず、台湾海峡の平和と安定の維持こそが中国とアメリカの最大の共通点である」
(新華網5月14日)
習近平、米国大統領トランプ氏と会談 - 新華網
この習近平の言い方はずいぶんと強硬な言い方で、台湾に手を出したら「両国は衝突し危険な状況になる」、つまり戦争になると言っています。
大歓迎のベールの下はコレです。
ここで下手な言質を与えれば、翌日の官製メディアのトップにデカデカと乗ったでしょうが、なにもないのでトランプはスルーしたようです。
トランプの返礼はこうです。
前段は空疎な外交辞令ですから読みとばしてくれてけっこうです。言いたかったのは後段。
「トランプ氏は中国を国賓訪問することは大変光栄だと述べました。米中関係は非常に良好であり、私は米中両国の国家元首間で史上最長かつ最良の関係を築き、友好的なコミュニケーションを維持し、多くの重要な問題を解決しました。習近平国家主席は偉大な指導者であり、中国は偉大な国であり、習近平国家主席と中国国民を深く敬意を表しています。本日の会談は世界的な注目を集める重要な会談です。
私は習主席と協力し、コミュニケーションと協力を強化し、意見の相違を適切に解決し、歴史上最高の米中関係を開拓し、両国のより良い未来を創り出したいと考えています。米国と中国は世界で最も重要かつ強力な国であり、米中協力は両国と世界に多くの偉大な成果をもたらす可能性があります。私の訪問には中国を尊重し評価するアメリカのビジネス界の優れた代表が集まり、彼らに中国との協力拡大を積極的に促します」
(新華網前掲)
そしておもむろに習近平に紹介したのが米国籍の世界トップ企業30社のCEOでした。
AI、宇宙産業、半導体、航空機、半導体などで、いずれも米中が覇を競っているものばかりです。
これらの世界覇権はオレの国だぜ、どうだ買えやということです。
その他にも農産物もあったようですか、いままで中国は外交辞令で大豆や旅客機を大量に買うと約束しながらことごとく空手形でしたから、CEOを連れていって契約までさせてしまおうということのようです。
つまりトランプは商談に行ったので、イランで習近平がホルムズ海峡開放大賛成、武器売りません、核開発反対、なんて特に言ってもらわなくても困らなかったでしょう。
そんなことは決まりきったことですからね。
米中首脳会談が開かれていますが、ブルームバークが面白い一覧を作って対比しています。
米中首脳会談、双方の発表比較-台湾やホルムズ海峡にどう言及したか - Bloomberg
上図をみるとわかるのは、圧倒的に習近平がラブコールを送っていることで、一方トランプ側は「言及なし」に止まっています。
習はこの会談のテーマはひたすら「戦略的安定性を備えた建設的な関係」の構築」だったようで、競争関係ではなく協力関係だと盛んにアピールしたようです。
たとえば習の発言のこの部分。
「習近平は次のように指摘した。「現在、百年に一度の大変局が加速しており、国際情勢は変動と混乱が入り混じっている。米中両国は『トゥキディデスの罠』を乗り越え、大国間の関係の新たなパラダイムを切り開くことができるだろうか。
手を携えて地球規模の課題に取り組み、世界にさらなる安定をもたらすことができるだろうか。
両国国民の福祉と人類の未来・運命に目を向け、二国間関係の明るい未来を共に切り開くことができるだろうか。これらは歴史の問い、世界の問い、人民の問いであり、大国指導者が共に書き上げるべき時代の答案でもある。
私はトランプ大統領と共に、米中関係という大船の航路を正しく導き、舵取りをしっかりと行い、2026年を米中関係において過去を継承し未来を切り開く、歴史的かつ象徴的な年としたい」
(福島香織note5月14日)
ほー、柄にもなくなかなか知的なことを言うもんだわさ。
「トゥキディデスの罠」とは米国のグレアム・アリソンが提唱した概念です。
「トゥキュディデスの罠(トゥキュディデスのわな、英: Thucydides Trap)[注 1]は、アメリカ合衆国の政治科学者、グレアム・アリソンによる国際政治学上の用語で、新興国が既存の大国の地域的ないし国際的な覇権の地位を脅かそうとする際に、必然的に戦争に陥ってしまう傾向があるという主張を説明するものである」
トゥキュディデスの罠 - Wikipedia
まぁ諸説あって、アリソン説に対しては多くの異説が存在します。
「トゥキディデスの罠 」説をとると、台頭する新興国と既存の覇権大国が、相互不信や相手への恐怖心から戦争に至りやすいということになりますが、共産党トップがあえてこの説を持ち出したのは共存可能だというシグナルです。
一方米国側も今は米中覇権闘争をしたくはない。
国力がもたん、ということです。
だから日中間の対立を前にして、トランプ政権は介入しようとはせずに沈黙を守っています。
中国とのディールを同盟国との関係よりも優先させているようです。
これはヨーロッパについても同じで、いまやNATOは切り捨てられるかもしれません。
トランプの頭に米国と中国で世界を支配する「G2体制」がないといったら嘘になるでしょう。
しかしそれでは民主主義は守れないのですが。
今回も習はトランプとの「特別に親しい関係」をアピールし、G2への誘い水を出しまくったようです。
それに 答えて米国は「中国市場へのアクセス拡大と米国産業への投資拡大」が優先すると答えたようで、要は米国が儲かればいいんだということのようです。
だから巨大企業のCEOを1ダースも連れて行き、習にひとりひとり紹介するなんてことをしたのでしょう。
ある意味、トランプほど籠絡するのが簡単な奴はいないのです。
キンピカをちらつかせ、裏でトランプファミリーに利権をくれてやればよい。
トランプは精神不安定な政権で、1期目と2期めは大きく違っています。
1期めは国務長官にフリーダム・コーカスのマイク・ポンペオが座っており、安全保障補佐官にはボルトンがいました。
彼らは中国脅威論の立場に立ち、中国への高関税政策や先端技術の流出防止に注力しました。
軍事的にも主敵を中国に置き、想定戦場は西太平洋でした。
ところが2期目となってこの両人は切られ、替わって高関税政策となります。
ただし世界すべての国に対しての敵も味方もない無差別爆撃だったので、世界経済は大きく動揺しました。
一方、中国は産出量で世界の約7割、精製で約9割を握るレアアース(希土類)の輸出規制に乗り出して対抗しました。
米国の成長産業はAIですので、厳しいツボを押さえられてしまったことになります。
結局、この不毛な関税戦争が終了したのはこの中国のレアアース輸出規制が効いたからです。
その流れの中で今回の訪中があったわけです。
非常に憂鬱ですが、このふたり放っておくとG2になりますね。
なにしに行ったのか知りませんが、トランプご一行大訪中団です。
日本のメディアは盛んに「イラン和平を中国に仲介してもらうんじゃないか」なんて邪推、いや憶測をしていましたが、わけないしょ。
対中イケイケを金看板にしているトランプが、9割方追い詰めたイランにここで水入りさせる道理がない。
中間選挙目前の今、そんなことをやったら共和党は大敗しますよ。
そもそも中国はイランの「親友」です。
イランが自分で言っているんだから間違いない。
「[北京 6日 ロイター] - イランのアラグチ外相は6日、北京で中国の王毅外相と会談した。トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の会談を控え、イランと中国の緊密な関係を強調した。
アラグチ氏の訪中は米国とイスラエルによるイラン攻撃開始以降初めて。中東紛争は世界的な石油供給ショックを引き起こし、中国のエネルギー安全保障も脅かしている。ケプラーのデータによると、中国は中東紛争勃発前、イランの海上輸出原油の80%超を購入していた。
イラン学生通信(ISNA)によると、アラグチ氏は王氏との会談で、中国はイランの親友であり、二国間の「協力は現状下でさらに強固になる」と述べた。また、紛争終結に向けた米国とイランの交渉について、「われわれは交渉において自国の正当な権利と利益を守るために最善を尽くす。受け入れるのは公正かつ包括的な合意のみだ」と語った」
(ロイター5月6日)
イラン・中国外相が会談、紛争開始後初めて 緊密な関係強調 | ロイター
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イランにおすがりすれば「国を動かして中東ルートの復活が叶う」だそうです。アホですか。
妨害している奴にすがってどうするの。
ホルムズ海峡はオレ様のものだと言い、航行する民間船を襲撃しているのはイランでしょうが、間違えてもらっちゃ困ります。
メディアや百田氏は感涙にむせいだようですが、かつての「日章丸」の時にホルムズ海峡を通さないと言っていたのは英国。
そして当時のイランはカルト宗教国家ではなく王政でした。
米国は今逆封鎖していますが、それはイラン船を阻止するためで、航行の自由を守る立場にいます。
つまりかつての「日章丸」と今の「出光丸」とは、なにからなにまで正反対の構図ですから、一緒にしちゃいけません。
それを「日本は世界一の友好国」だから通してくれたんだ、ありがたやと涙するのですからどうにかしています。
日本の唯一の同盟国である米国は、イランをかねてから「世界最悪のテロ支援国家」と認定して戦ってきました。
そして「世界最悪のテロ支援国家イラン」の手に核兵器を渡さないために今回の戦争を始めたのです。
そしていまが大詰めでトランプが訪中する直前を選んでアラグチが訪中したのは、支援の最後のお願いをするためだったのでしょう。
言っていることはメチャクチャで、態度は粗野そのものですがトランプは勝負勘ひとつで大統領になった男です。
まちがっても中国に借りを作るようなマネはしないでしょう。
どのような会談になるかはいずれ、(2日後くらい)にはわかるので、待つしかありません。
イランが回答を寄こしましたが、トランプが一蹴したことでわかるように到底折り合えるものではないようです。
(CNN) 米国の戦争終結に向けた計画に対してイランが示した提案には、封鎖されているホルムズ海峡の主権承認と賠償要求が含まれている。イラン国営メディアが伝えた。
国営イラン放送(IRIB)は11日、提案は凍結されているイラン資産の解放と制裁解除を求めていると報じた。
ロイター通信がイラン国営テレビの報道を引用して伝えたところによると、イランはレバノンを含むすべての戦線での戦闘終結も求めている。
イラン国営メディアのこれまでの報道によれば、対案はイランの核開発計画について一切触れていない。
トランプ米大統領は、パキスタン経由で提出されたイランの対案について「到底受け入れられない」と却下した。
ウォルツ米国連大使は10日、FOXニュースの番組で、米国は最新の提案で「非常に明確なレッドライン(越えてはならない一線)」を示したと述べた。「トランプ大統領は、イランが核兵器を保有することは決してなく、世界経済を人質に取ることもできないと明言している」
(CNN5月11日)
イラン、米国の提案に対しホルムズ海峡の主権承認と賠償を要求、核開発には言及せず 国営メディア - CNN.co.jp
イランは賠償金を出せとか、レバノンがどーしたこーしたなどとグダグダ言っていますが、交渉はあくまでも核保有の放棄をイランがするか否かにかかっています。
なにかホルムズ海峡封鎖が前面に押し出されたので勘違いする向きもあるようですが、イランがここはオレ様の主権だと言おうとどうしようと、封鎖する実効支配能力なんぞないのですから意味がありません。
イランの回答の詳細は明らかになっていないのですが、核開発問題について米国は60%の高濃度ウランはすべて引き渡し、今後20年間はウランの濃縮は行わない、そして核施設の解体も求めていたようです。
一方、イランは戦闘の完全な終結、つまり攻撃の停止が実現してから核協議に入るとすると答えたようです。
つまりは回答の先のばしです。
先のばしするというのはさんざんイランが使ってきた戦術で、日本のメディアが大好きな「話あい」というヤツです。
ホルムズ海峡封鎖でも、すぐにイランに土下座しないとナフサが止まって「日本経済は6月に詰む」という境野氏の風評がTBSから大量に流されました。
映画館で火事だぁと叫ぶような煽り行為で実に悪質です。
あるいは、保守を自称する識者の中にも、いきなりハメネイを殺してしまったのは失敗だ、これによって話し合いの相手がいなくなってしまった、ハメネイ親子がいたら革命防衛隊もなだめられたのに、と主張する人が出ました。
おいおい、ハメネイこそが「核合意」路線の下に、イランと米国の「話し合い」と「外交」「対話」を延々と続けて,結局その間に核濃縮を兵器級一歩手前まで進めてしまったのではありませんか。
ハメネイになにを期待しているのか知りませんが、それは「対話」という先のばし欺瞞戦術にまた戻ることを意味するだけのことです。
ですから、トランプが緒戦でハメネイの斬首作戦をしたのは、このようなあいまいな「話合い」には戻らないという強烈な意志表示でした。
核開発については、WSJが伝えたところによると、イランは高濃度ウランについて一部は希釈してイランが保有し、それ以外は第三国に移送するとしたらしいようです。
これもイランがよくやる便法です。IAEAはイランが60%濃縮ウランを440㎏持っているとしています。
このうち半分の200㎏はイスファハンの核施設に補完されているとされています。
つまりイランは、あと少し手を加えれば核兵器10発分の核物質を持っているわけです。
トランプ氏、米軍がイランの核施設3カ所を爆撃し破壊と発表 フォルドなど - BBCニュース
これも誤解されているようですが、イランの核の民間利用はかまわないのです。
どうぞ原発でもなんでも持つのは自由ですが、ただしそこから出てくるプルトニウムについてはIAEAの査察を受け入れなさい、ということにすぎません。
これは日本が淡々とやってきたことで、IAEAの査察官は日本に常駐していますし、世界中の原発保有国はこのルールに従っています。
IAEAは今回の戦争に際してこう言っています。
IAEA | 国連広報センター
「国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は3日、米イスラエルの攻撃を受けるイランについて「核兵器を製造している証拠はない」と述べた。米イスラエルが攻撃の理由として挙げるイランの核兵器保有阻止について、IAEAの従来の立場を改めて表明したとみられる。X(旧ツイッター)で明らかにした。
グロッシ氏は一方で、イランが高濃縮ウランを大量に貯蔵し、核施設への必要な査察を拒否してきたことに「深刻な懸念」を表明。査察に協力しない限り「イランの核開発が平和目的であることを保証する立場にない」と強調した」
(日経2026年3月4日 )
IAEA事務局長「イランが核兵器製造している証拠はない」 - 日本経済新聞
日経はこのグロッシ事務局長の発言に「IAEA事務局長「イランが核兵器製造している証拠はない」という見出しをつけましたが、ミスリードです。
グロッシ氏は、イランが核施設への必要な査察を拒否してきたことに「深刻な懸念」を表明し、査察に協力しない限り「イランの核開発が平和目的であることを保証する立場にない」と言ったのです。
査察をうけいれない限り核兵器を作っている証拠こそないが、受け入れ拒否する行為自体が平和目的であるということを自ら否定していますよ、平和目的ならすぐに査察を受け入れなさい、と言っているのです。
つまり、イランがIAEAの査察を受け入れますとさえ回答すれば、この交渉は9分どおり終わったのも同然なのです。
イランが自己破滅的回答をよこしましたが、内容的にはなんの進歩もないので、これについては明日にまわします。
さて、ロシアが突然一方的停戦をしました。
理由は、突然平和が好きになったのではなく、とうやら「戦勝記念日」に停戦しないとモスクワを爆撃されそうだからのようです。
「ロシアの首都モスクワで4日未明、高層集合住宅にウクライナのドローンが命中し、建物の外壁が大きく損傷した。死傷者はいなかった。高層住宅は、クレムリン(ロシア大統領府)や赤の広場のある首都中心部から南西約6キロの高級住宅地にある。他方、ロシア政府は4日、戦勝記念日の記念行事に合わせて8日と9日にはウクライナに対して停戦すると一方的に宣言した」
(BBC5月5日)
モスクワの高層住宅にドローン攻撃 赤の広場から数キロ - BBCニュース
かつては鉄壁を誇ったロシアの防空システムはいまやズタボロです。
イランやベネズエラでもわかったことですが、ロシア製防空システムはほとんど無効化されています。
これは恐ろしいことで、同じシステムを使っている中国やイラン、北朝鮮、キューバなどの空はガラ空きだということになります。
ですから、ウクライナは自由にドローンを侵入させてロシアの内懐を攻撃し続けていますが、まったく撃墜できていない状況です。
「これまで前線から遠く離れていたロシアの首都モスクワが、ウクライナの長距離攻撃能力の向上により、安全圏ではなくなりつつあります。数日前には、ウクライナによるとみられる無人機(ドローン)攻撃がモスクワ周辺で相次いで確認され、空港の一時閉鎖など、ロシアの首都機能にまで影響が及びました。ウクライナのキーウからモスクワまでは約800km、国境からも最短で450kmという距離にもかかわらず、ドローンが到達した事実は、ウクライナの長距離ドローン戦力の向上と、ロシアの防空システムの地理的・機能的な「穴」を露呈しました。この事態は、ロシア当局に前線だけでなく、国内、特に首都の防衛という新たな、かつ緊急性の高い課題を突きつけています。こうした首都への脅威を受け、ロシア当局は戦勝記念パレードの規模を大幅に縮小する判断を下しました」
(ミリレポ5月6日)
ロシアが突然の停戦…理由は「戦勝パレード」か モスクワ攻撃の影響も
一方、ロシアがやけっぱちのように撃ってくるドローンやミサイルは9割以上の確率で落されています。
たとえばロシアの弾道ミサイル「キンジャール」は、イスカンデルの空中発射型でマッハ10で飛翔し、米欧の防空ミサイルでは絶対に撃墜されない、と豪語していましたが、ウクライナの防空ミサイルで多くが撃墜されています。
たとえば直近の5月1日の迎撃戦闘のドローンとミサイルの阻止率を見てみましょう
5月1日:8時発表・宇空軍(前日17時45分~8時)
自爆無人機と囮無人機×210飛来190排除、20突破 ※阻止率90%
5月1日:15時30分発表・宇空軍(8時~5時30分)
自爆無人機と囮無人機×409飛来388排除、21突破 ※阻止率95%
2026年5月1日ウクライナ迎撃戦闘の合計
自爆無人機と囮無人機×619飛来578排除、41突破 ※阻止率93%
(JSF5月4日)
ロシア軍がウクライナを3日連続で夜と昼の絶え間ない空襲、1500機以上の長距離ドローンが飛来(JSF) - エキスパート - Yahoo!ニュース
ISWはこう述べています。
「クレムリンはここ数週間、防空資産を移動させたにもかかわらず、ウクライナの攻撃に対してほとんど防御に失敗し、パレード直前の数日間は脅威のエスカレートに訴えた。
クレムリンが歴史的に利用してきたこのようなイベントの短縮された形式は、4年間にわたる戦争がロシアに与えている負担の増大を反映している」
(国際戦争研究所5月9日)
ロシア攻勢作戦評価、2026年5月9日 |ISW
そしてそこまでしてやった戦勝記念日は実にシケたものでした。
ロシア人が大好きな戦車の大群は1台も登場せず、ロシア歩兵はショボついて行進し、主役は北朝鮮の傭兵軍団だけで、いつもがん首を並べる独裁国家のボスの姿もほとんど見えなかったいという薄味だったようです。
これでは国威発揚どころか、国威ダダ下がりです。
北朝鮮軍が戦勝節で初参加 ロシアと同盟強化示す - ChosunBiz
「今年の5月9日のパレードは規模が縮小されることになった。赤の広場では約20年ぶりに兵器が登場しない。戦車も弾道ミサイルも登場しない。兵士の行進があるだけだ。
過去を思い起こそうとするクレムリン(ロシア大統領府)のやり方は、現状を実に雄弁に物語っている。ロシアによるウクライナでの戦争が、計画通りに進んでいないことを表している。
「我々の戦車は今、手一杯だ」と、ロシア国会のエフゲニー・ポポフ議員は私に言った。「戦っている最中だ。赤の広場より戦場で(戦車を)必要としている」」
(BBC5月6日)
【解説】 ロシアの対独戦勝記念パレードに戦車なし、ウクライナでの戦争が計画通りでないこと示唆=ロシア編集長 - BBCニュース
そう、ポポフ議員が言うように戦場では戦車がたりないのです。
いやすべてが足りない。
プーチンの脳内ではソ連の大祖国戦争に連なるのがウクライナ戦争のはずでした。
軍事的政治的だけではなく、道徳的にも真正の「ソ連の末裔」はロシアであり、それを証明するための戦争だったはずでした。
しかし大祖国戦争より長い期間の戦争になってしまったにもかかわらず、すでに犠牲者はロシアの総人口の1割に達し、財政負担はきしみを上げてのしかかっています。
「ロシアの野党メディア、メドゥーザとメディアゾナは5月9日に、ロシア相続事件登録簿(RND)、連邦国家統計局(Rosstat)、ロシアの裁判所記録、そして死亡した兵士リストのデータによると、ロシアが2022年2月に全面侵攻を開始してから2025年末にかけて少なくとも35万2千人のロシア兵が死亡していると報じた。
メデューザとメディアゾナの更新された負傷者数には、初めて行方不明および死亡推定の軍人が含まれています。ロシアの裁判所は、2025年7月までに約9万人の軍人が行方不明で死亡したと宣言しています。実際のロシア軍人の戦死数(KIA)は、メドゥーザとメディアゾナの報告の制限から保守的な推定である可能性が高いため、はるかに多いと考えられます。2026年2月時点でのロシアの総死傷者(戦死および重傷者)は130万人と報告されています」
( 国際戦争研究所5月9日)
ロシア攻勢作戦評価、2026年5月9日 |ISW
プーチンは祖国の救世の英雄になるどころか、いまやクーデターを恐れて地下壕に逼塞する有り様です。
そしてモスクワですらウクライナの攻撃の射程に入ってしまったわけです。
戦勝記念日はロシアの敗北と衰退を告げる暗い戦勝記念日となったのです。
イランはホルムズ海峡を通過する船舶だけではなく、海底を走るインターネットケーブルにまで「課税」すると言い出しました。
革命防衛隊のメディアであるタスニム通信です。
「IRGC関連のメディアは、ホルムズ海峡を通過する海底インターネットケーブルからイランが収益を得るよう求め、この水路をエネルギーと輸送の要衝であるだけでなく、デジタルの圧力点としても位置づけた。
タスニムは「ホルムズ海峡インターネットケーブルから収益を生み出すための3つの実践的なステップ」と題した記事で、海峡を通過する海底光ファイバーケーブルが1日あたり10兆ドル以上の金融取引を運んでいると述べたが、イランはこの重要な通信インフラの経済的・主権的利益を、伝統的な海峡観のせいで奪われていると述べた」
IRGC関連メディアはホルムズの海底インターネットケーブルの料金要求 |イラン・インターナショナル
ホルムズ海峡には多くの回線が走っています。
「アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、サウジアラビア、イラク、さらにはイランの一部に至るまで、世界のインターネット網に接続するために、やむを得ずこの狭い入口を通過するケーブルに依存している。
イランよりも湾岸諸国の通信ネットワークの方がホルムズ海峡への依存度が高い。イランはインターネットの30〜40%のみがホルムズ海峡などの南部海底ケーブルを通じて接続されているのに対し、サウジアラビアやアラブ首長国連邦・カタールなどペルシャ湾南岸の国々は、最大90%をこれに依存しているという。
もし自然災害、船舶の錨の投下、海難事故、あるいは故意の行為など、いかなる理由であれ海峡の主要ケーブル数本が同時に切断されれば、湾岸アラブ諸国では『デジタル災害』が発生する。
インターネットは深刻な断絶や広範囲にわたる障害に見舞われ、1日あたりの経済損失は数億ドルから数十億ドルに達するだろう。
(イラン・インターナショナル前掲)
イランはこの「合法的富の戦略的中心地」から巨額のカネをとれると主張しています。
① 外国企業に初期ライセンス料と年間更新料を課すこと
② Meta、Amazon、Microsoftなどの主要テクノロジー企業にイランの法律の下で事業を行うことを義務付けること
③ イラン企業にケーブルの保守と修理に関する独占的な管理権を与えること
ホルムズ海峡を通過する海底ケーブルの多くは公海上の海底を通過しています。
海底ケーブルは大きく分けて海の中の区間と、陸に上がってくるごく近い沿岸・陸揚げ局周辺で扱いが変わります。
ホルムズ海峡の海底ケーブルは、国や個人が「土地を貸す」形ではないので、通常の地代・設置料のようなものは発生しません。
イランが仮に船舶を通すことに合意したとしても、次から次へと手を変え、品を変えてホルムズ海峡をネタに世界に揺さぶりをかけるだろうということです。
次はホルムズ海峡の空気吸ったらカネ取るなんてね。(笑)
いずれにしてもイランから回答が来たそうなので、中身はわかりませんが、ここ数日で米軍が「ブロジェクト・フリーダム」を再開するかどうかを決めるはずです。

とうとう前々から言われてきたイランのカーグ島原油貯蔵施設からの原油流出が衛星写真でとらえられています。
もう待ったなし、タイムアウトですね。
実はイランがカーグ島に中古タンカーを横付けして積み出していた時点で一杯だったのです。
「トランプ米政権による海上封鎖の影響でイラン産原油が行き場を失い始めた。イランは原油生産を続けるが貯蔵タンクが満杯になり、現役引退したタンカーをペルシャ湾に浮かべて洋上貯留でしのいでいるとみられる。再攻撃の圧力で譲歩を迫るトランプ政権に対し、イランが耐えられなくなるのは時間の問題だとの見方もある」
(日経5月2日)
イラン原油、日量180万バレル行き場失う ペルシャ湾を漂うタンカー - 日本経済新聞
これが4月末から5月頭ですから、もう1週間前にはカーグ島は一杯一杯だったということになります。
つまり革命防衛隊がイキって交渉を引き延ばすのは勝手ですが、それは油層に地下水の侵入を許したことになるので、イランの原油生産の未来そのものが断たれます。
それでいいのか、という判断をイランは求められているわけです。
イランはOPEC3位の産油国で、1日あたり330万バレルの原油を生産し、世界の石油供給の4・5%を占めています。
カーグ島には毎日、イランの各主要油田から数百万バレルの原油がパイプラインを通じて送り込まれて貯蔵されています。
カーグ島から9割の原油が輸出されていました。
この島の支配権は革命防衛隊であり、彼らがこの島のすべてを仕切っており、一般国民は島に行くことすらできません。
ロイター
そしてこのイラン原油の9割を買っているのが中国です。
戦争初期には通れたオマーン湾沿いのジャスクターミナルも、米海軍の逆封鎖で使用不可能となっています。
またイランは制裁されているために、米国が支配する国際決済システムであるSWIFTを使用することができません。
ですからイランと中国は原油決済をCIPSなどの人民元決済で処理してきましたが、これも米国のエコノミックフューリー作戦で潰されました。
米国は中国の5つの製油所に制裁をかけ、二次的制裁の可能性を通知して締め上げました。
当初、中国商務省は強気で米国の制裁なにするものぞと命じていましたが、とうとう先日折れて銀行にこの5つの精油所に新規融資はするなと命じました。
この前後から中国はパキスタンを使って和平調停に乗り出しています。
つまりイランは外堀を埋められ、本丸も炎上し始めたわけです。
したがって交渉もそろそろラストストレッチに入りました。
「米国は、トランプ大統領による戦争終結に向けた最新提案について、イランが近く回答するとの見通しを示した。一方で、衝突が発生しており、約1カ月続く停戦が揺らぐ恐れもある。
ルビオ米国務長官は8日、イランは同日に回答を示すはずだと記者団に話した。
イランは依然として、トランプ氏が6日に提示した停戦案を受け入れるかどうか明らかにしていない。この提案は、今後1カ月でイランがホルムズ海峡を再開し、米国はイランの港湾に対する封鎖を解除するという内容だ」
(ブルームバーク5月9日)
米国、イランの回答を8日に見込む-衝突発生で緊張一段と高まる - Bloomberg
海上封鎖をしていた米駆逐艦が攻撃を受けて軽い交戦をしたとの報道もありましたが、交渉そのものには影響はないはずです。
フィリピンにおいて、米国、フィリピンそして自衛隊による「バリカタン」合同軍事演習が行われました。
画期的なことです。
「米国とフィリピンによる定例の合同軍事演習「バリカタン」に自衛隊が初めて本格的に参加し、6日、比ルソン島北部パオアイの沿岸部で行われた実弾射撃などの様子が報道陣に公開された。
演習は4月20日~5月8日の予定で、陸海空3自衛隊からは約1400人が参加している。これまで日本は主にオブザーバー参加だったが、自衛隊とフィリピン軍が互いの国で活動しやすくなる「円滑化協定(RAA)」が昨年発効したことで、大規模な部隊派遣が可能となった。日米比の連携を示して中国をけん制する狙いがある」
(読売5月6日)
自衛隊、米国とフィリピンの合同軍事演習「バリカタン」に初の本格参加…3国の連携示し中国けん制する狙い(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
なにがスゴイと言って、自衛隊がここまで本腰を入れたのはアジアでは最初です。
自衛隊はお宝の88式地対艦誘導弾まで持ち込み、実際にフィリピンの退役軍艦「ケソン」に命中させたという力の入れようです。
陸上自衛隊
「6日には、沖合の標的に向け、陸上自衛隊が「88式地対艦誘導弾」を発射した。米軍の無人式地対艦ミサイルシステム「ネメシス」と防空統合システム「マディス」も展開された」
(読売前掲)
「バリカタン」合同演習はいままでも開催されていましたが、それは米比2カ国のものでした。
2024年の演習では、米比両軍のほか、オーストラリア軍とフランス軍が初めて正式参加し、日本(自衛隊)をはじめ、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国のマレーシアやベトナム、ブルネイなどを含む14か国がオブザーバー参加しています。
今回は日本が1400人という圧倒的ボリュームと最新鋭対艦ミサイルをもって参加したわけです。
また今回、自衛隊からは過去最大の人員に加え、多彩な装備が投入されます。
海自からは空母型護衛艦「いせ」や「いかづち」、輸送艦「しもきた」といった艦艇のほか、US-2救難飛行艇、空自からはC-130H輸送機、そして陸自は切り札の88式地対艦誘導弾などを派遣しました。
オブザーバーから一気に米比両軍に並ぶ主力に文字通り「バリカタン」(肩を並べた)しました。
これが可能となったのは日本がフィリピンと物品役務相互提供協定(ACSA)と円滑化協定(RAA)を締結したからです。
「茂木敏充外相は15日、訪問先のフィリピンでラザロ外相と会談し、自衛隊と比軍の間で物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA)に署名した。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との締結は初めて。日比両国はすでに自衛隊と比軍が共同訓練などで相互に訪問しやすくなる「円滑化協定(RAA)」を締結しており、東シナ海や南シナ海で軍事活動を活発化させる中国を念頭に、日比関係は「準同盟級」へと強化されつつある」
(朝日2026年1月15日)
日比外相、自衛隊と比軍で物資融通の協定締結 「準同盟級」へ強化:朝日新聞
「物品役務相互提供協定」は、日本の自衛隊と相手国の軍隊のあいだで、軍事活動に必要な物品やサービスをお互いに融通し合うためのルールを定めた協定です。
英語では Acquisition and Cross‑Servicing Agreement (ACSA )と呼ばれます。
この協定を締結していないと、その都度条約を作って締結せねばならなかったのですが、これがあればいつでも相互に軍隊を派遣することが可能となります。
日本は米国やオーストラリア、イギリス、インド、イタリア、オランダ、フィリピンなど、価値観や安全保障上の協力関係が深い国々と ACSA を締結しています。
これにより、共同訓練や有事・災害時の連携をスムーズにし、日本は同盟国や同志国から支援活動を受けることが可能で、また逆に相手国に対してスムーズな支援をを絶えることが可能となりました。
一方円滑化協定は、英語名を Reciprocal Access Agreement(RAA) と呼ばれ、「一方の国の部隊が他方の国を訪れて共同訓練などを行うときの手続きや法的地位などを定める協定」です。
要するに、相手国で自国軍が活動するときに「どの国の法律をどう適用するか」「どう出入りし、何を免除するか」といった細かいルールをあらかじめ決め、訓練や協力をスムーズに行うための枠組みです。
かくしてこれにてフィリピンは事実上の「同盟国」(準同盟国)となりました。
そしてそれに合わせて、日本は海上戦力が貧弱なフィリピンに対して大きなプレゼントをしました。
退役する「あぶくま」型護衛艦を供与するという太腹です。
「小泉防衛相は5日、フィリピンを訪問し、首都マニラでギルベルト・テオドロ国防相と会談した。海上自衛隊の中古護衛艦の輸出に向けた作業部会を設置し、具体的な協議に入ることで合意した。地域の平和と安定に向け、海洋安全保障分野での協力を拡大する。会談後に発表した共同声明では、中国を名指しし、日本周辺や南シナ海での威圧的な活動への「深刻な懸念」を明記した。
中古護衛艦の輸出が実現すれば、日本政府が4月21日に防衛装備移転3原則と運用指針を改定後、初のケースとなる見込みだ。装備品の輸出品目を救難・輸送・警戒・監視・掃海に限る「5類型」を撤廃し、殺傷能力がある護衛艦の輸出が原則可能となった」
(読売5月5日)
日フィリピン防衛相会談、中古護衛艦の輸出協議入りで合意…防衛装備移転3原則の改定後初 : 読売新聞
これで日本とフィリピンは共同の運用を加速し、中国への盾が何重にもなったというわけです。
このような取り組みが早くなされていたなら南シナ海がみすみす中国の支配下になることはなかったでしょうし、台湾有事においても極めてこころ強い味方を得ることができました。
公明党をデトックスした効用はここにも現れています。
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