snsn氏寄稿 加計問題を俯瞰して その1 3層に切り分けみよう

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snsnさんから論考を頂戴いたしましたので掲載いたします。3回に分割いたしました。

snsnさんの論考に飛びたい方は、中段波線から下に飛んで下さい。

加計問題をただの応酬に終わらせず、いったん引いて多層的に切り分ける試みに挑戦されていて、意欲的な論考に仕上がっています。

日頃起きることに眼を奪われがちな私などが、腰を落ち着けて考えねばならないことを提示頂いて感謝しつつ読まして頂きました。

さて、おつきあい頂いている皆さんはご承知だと思いますが、このブログは「開かれた言論プラットホーム」を目指しています。

こう書くと必ず「アゴラみたいなものをめざすのか。おこがましい」と言われますが、とんでもありません。

あのようなプロ、あるいはセミプロのライターと、私たち市井に生きる一般ピープルとは自ずと次元が違ったものになって当然です。

言論が衰退する国のひとつの特徴は、モノトーン化することです。

方や黒なら、方や白。分かりやすくていいのですが、膨らみと距離がありません。

ですから問題がフェードすると、皆、忘却の彼方にと忘れ去られるものばかりです。

これは既に多くの人が忘れ掛かっている森友問題などを思い出すと、多少お分かりいただけるかもしれません。

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国民に忘れられたことに焦ったのか、「国策捜査」と戦っているつもりの(笑)籠池氏の再登場など、失礼ながら、まるでピエロでした。

籠池氏をさんざん利用して「正義の告発者」に持ち上げたメディア、助けてやんなさいよ。

このようになるのは、テーマの切り取り方の浅さと恣意性に起因します。

思索の探査針がテーマの奥深い部分に刺さっていないから、ツルツルと上滑りしているのです。

ひとつのテーマをあちらから見たり、こちらから透かしてみようとは思わず、自らの政治的立場、というより多くは好悪ていどの感覚でわかった気になります。

俗にいうアベノセイダーズの人たちなどが戯画的にやっていることをみれば、ご理解いただけるかもしれません。

彼らの多くは長きにわたって、官僚悪玉論を唱え、政治主導を絶賛してきました。

ところが加計問題では一転して、安倍憎しのあまり官僚規制と既得権との癒着は見えません見えませんとなり、「正義の告発者」が天下りの組織的斡旋で免職になりかかったとなると、これまた見えません見えません、という有り様です。

前川氏の買春疑惑ですら、説明責任と女性の人権をことのほか重視してきたこの人たちが、むしろ今回に限っては「国家権力の謀略」だから無条件擁護ということのようです。

笑えるほどのご都合主義なことよ。

これでは常日頃この人たちが言っている主張が、ただの看板の飾りでしかないことを暴露しています。

政治結論があらかじめあって、ゴールから逆走しようとするからこうなるのです。

よく左翼陣営は自らを「革新」、つまりプログレッシブと自称していますが、とんでもありません。真逆です。

彼らは言葉の正しい意味での、既得権益の守旧者たちです。

彼ら「革新」勢力の中心は、官僚主導によって守られた下級官僚による労組である官公労であり、はたまた労組の政治部である民進党であり、そしてメディアの独占構造によって手厚く保護されたマスコミなどであるのは偶然ではありません。

皮肉にも、「保守」政府はそれを「革新」しようとしています。

今回加計事件は、まさにその既得権構造を変えようとする「革新政権」と、変えさせてなるものかと抵抗する「守旧」勢力との戦いとなってしまいました。

私はこのような二分法的見方は好きではないのですが、今回この構図を意図的に作りだしたのは、自称「革新」の皆さんですので致し方ありませんね。

それはさておき、私もできるだけ多角的にみようという努力は心がけていますが、なにぶん力不足です。

多くの「集合知」が必要なのです。それもツイッターのようにぶつ切りの短文ではなく(それにはそれの良さがありますが)、大きく論理展開できるだけの分量を保障できる言論空間の存在です。

私のブログではコメント欄が、その役割を果たしてきました。

しかし、これでもなお展開が不足と思われる方は多くおられるでしょう。

snsnさんは、この政治的に正しければ何を言っても許されるという言論状況から、いったん身を引き剥がして、空飛ぶ鳥の眼からの俯瞰でこの問題を眺めようとしています。

本日掲載したsnsnさんの3ツの階層(レイヤー)論は、素晴らしい切り分け手法です。

このように切り分ければ、目先の政治的価値観に踊らされず、なにが本質なのかという軸芯を自分の内に持っていられるでしょう。

現状、多くの国民はメディアの濁流のような印象報道に押し流されています。

そのような時に、snsnさんのように鳥のように空から見下ろす視野が大切になるのではないでしょうか。

なおタイトルは、私がつけさせていただきました。

snsnさんごめん、また長くなってしまった。

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           ■加計問題を俯瞰して その1
                                             snsn

加計問題について全体を俯瞰した記事を書きたいと思います。

この問題は一獣医学校設置の問題だけでなく日本のメディア、官僚の問題点をあぶり出す事例だと考えています。

(1)3つのレイヤー(階層)の議論
加計問題で議論になっているのは3つのレイヤー(階層)であることがわかります。

*第一階層(個別論)
・加計学園に決定したプロセスの問題

*第二階層(業界論)
・日本に獣医は足りているのかどうか
・文科省の獣医学部や医学部規制のあり方

*第三階層(政治論)
・規制緩和方針の是非(特区という制度)
・政治主導か官僚主導か(内閣人事局という制度)

本件は当初第一階層(個別論)から議論がスタートしましたがここに問題がないことは議事録等ですでに明らかでありここでは繰り返しません。
 

              

僕が今回問題視しているのは、メディア、野党の論調が一気に第二階層(業界論)、第三階層(政治論)まで進んでしまっている点です。 

本来論理的には、加計学園決定プロセスと獣医不足問題、あるいは政治主導問題は別次元の話だと思います。 

仮に加計決定プロセスに問題があったとしましょう、しかしその時でも獣医は不足している(質量ともに)わけであり、(→唐木教授見解参照)
http://president.jp/articles/-/22413 <http://president.jp/articles/-/22413>
また官僚主導から政治主導への取り組みは実行されるべきです。

しかしながら、メディア、野党は第一階層(個別論)をきっかけに、第二階層(業界論)、第三階層(政治論)まで全階層を崩しにかかっています、全階層で安倍内閣の行うことにNOを突きつけています。
 

わかりやすくいえば、安倍さんがやっているから全部ダメという理屈にもならない理屈なのです。 

よく考えて欲しいのですが、 

・2010年の口蹄疫流行の時に初動対応の遅さ、獣医不足の問題が言われていました。
・国家戦略特区構想は小泉内閣から形を変え民主党政権に引き継がれ16年3月に安倍内閣特区が閣議決定されました。
・内閣人事局は、第一次安倍政権で検討開始され、その後は自民党がモタモタしていましたが、民進党の江田けんじ氏は内閣人事局を早く設置しろと2009年に進言しています。

http://www.eda-k.net/column/week/2009/09/20090928.html <http://www.eda-k.net/column/week/2009/09/20090928.html> 

その後安倍政権で14年4月に閣議決定されています。

この歴史的な流れの中で、メディア、野党は今回のような特大反対キャンペーンをやったでしょうか?
 

もし反対なのであれば、当時から猛然と反対すればよかったはずですよね。 

思い出して見ると当時はむしろ、政治主導すべし、族議員排除すべし、官僚の天下り反対、岩盤規制を突破すべしとメディア、野党は自民党を責めていたはずです。 

それが今回180度手のひら返しのポジションになっている。 

あまつさえ民進党は特区停止法案まで提出する始末。 

これは明らかに安倍政権を倒すことだけが自己目的化した醜悪な政局争いです。 

しかもその影響は日本の食の安全や教育水準、経済成長を毀損するものであり実害があります。

僕は小泉内閣も民主党政権も多くの問題があり支持できませんが、政治主導、規制緩和の流れについては党派を超えて政治家としての大義、国益を考えて引き継いできた良心をかろうじて感じます。
 

それをたった一校の新設の問題だけで、第二階層(業界論)、第三階層(政治論)のレベルで全体政策を破棄しようとしている。

言い方は悪いですが安倍を倒すためであれば、パンデミック防衛など日本の安全を無視しても構わないという破壊思想であり、源流はマルクスの暴力革命論に見ることができるでしょう。 

1968年のパリ5月革命で左翼学生活動家は労働者が豊かになることを心良く思っていませんでした。 

なぜなら豊かになった労働者は自分の勤務先の工場の破壊をしないからです。暴力革命論においては安心安全な社会になると全てを破壊する革命エネルギーが削がれるため困るというわけです、破壊すること自体が自己目的化しているのです。

僕個人はここにおいてまず民進党への不信感が最大限に達しています。彼らは政治をやりたいのではなく政局をやりたいだけです。安倍さえ引き摺り下ろせれば自分たちの過去の大義すらかなぐり捨てるという愚挙です。
 

ここに政治の死を見ます。 

先日民進党の高井議員のブログから過去記事が削除されましたね、http://takaitakashi.com/category/tatakai-nikki <http://takaitakashi.com/category/tatakai-nikki> 

それもそのはずです高井議員ブログには加計設置のために岩盤突破の努力を行なってきた足取りが書いてあったからです。 

党内指示でしょうが高井議員も忸怩たる思いでしょう。(→ネット上にはスクショが残っています。この辺はネット社会の良さですね)

ただ、まだ民進党についてはアホだなあ〜程度の感想なのですが、もっと恐ろしいのは朝日新聞及び自民党内の財務省派(石破、麻生)です。

 

                                            (続く)

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日曜写真館 初夏の蘭

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代理話者の「文科省文学」

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昨日は沖縄慰霊の日でしたが、あいかわらず亡くなった戦没者に手を合わせるのではなく、政治運動をやりたくてたまらない人たちの群れが出たようです。http://www.sankei.com/politics/news/170623/plt1706230057-n1.html 

いいかげんにしなさい。ここはあなた方だけの時間ではありません。遺族たちが戦没者の霊と語らっているその時、「安倍は帰れ」などという雑音を大声でがなる神経がわかりません。 

多くの亡くなった県民たち、沖縄を守るために命を捧げた本土の人たち、さらには米軍兵士たちを悼む時間です。 

そんな慰霊のルールも守れない人が、この日、摩文仁の丘に来るべきではありません。 

Photo朝日新聞より引用

さて前川喜平氏が記者会見をしました。いくつか面白いことを言っていました。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00362246.html 

前川氏は、「安倍総理や菅官房長官や萩生田官房副長官から直接の指示を受けたことはない」と述べていました。

かなり決定的発言のように思えますが、大部分のメディアはスルーしてしまったようです。 

だって、「直接の指示がない」なら、前川氏がいう「行政が総理の意向で歪められた」という告発は立証不可能になってしまいますからね。 

直接証拠が欠落している以上、後はすべて「誰それがこう書いていた」「私はこう言っていた」という伝聞証拠にすぎていまま「告発」したのだ、ということを前川氏自身が認めたことになります。

つまり、前川氏はわざわざ記者会見までして、オレにはなんの証拠もないんだ、どうだざまぁみろ、と居直っているだけで、これではただのマヌケです。

後は意味不明な泣き言とも、居直りともつかない繰り言です。

「文科省のトップにいた時に何もできなかった事は反省しているんですが、私が行動を起こしても変わらなかったと思うんですね。文科省としては敗戦処理的な、それを加担と言えば加担した事になるんでしょうけど

前川さん、だからなんなのさ。自分は無能で怯懦だったと言っているだけじゃないですか。

あなたは「行政が歪められた」と言っているわけですから、諮問会議WGの民間委員に対してに、あなたがいう「歪められていない情報」を出す義務がありました。

前川氏は自ら「敗戦」と呼ぶ特区諮問会議WG会議について、こんなことを言っています。

「(民間議員の発言に対して)一点の曇もないというのは客観的事実ではなくて、民間議員の方々から見て、曇りが見えていなかったのではないか。見ないようにしていたのではないか、見せられていなかったのではないか」

見せる努力もせずに、「見せられなかった」はないんもんです。

というか、「見せる」べきだった筆頭の、獣医師の需給予測の宿題をしてこなかっただけですよね、前川さん。

後は例の風俗スキャンダルが暴露されたことへのドロドロした恨み節全開です。無関係の山口敬之氏まで登場する始末です。さぞ奥さんに絞られたんでしょうな。

「前川氏は出会い系バーへの出入りを報じた5月22日付読売新聞の記事について「私への個人攻撃。官邸の関与があったのだと思っている」と断じた上で、「背後には何があったのか、メディア関係者の中で検証されるべきだ」と主張した」(産経6月23日)http://www.sankei.com/life/news/170623/lif1706230056-n1.html

ちなみに朝日の加計疑惑の社説です。

「問われているのは、首相の友人が理事長を務める学園が特区の事業主体に選ばれる過程が、公平公正であったかだ。
そこに疑問を持たざるを得ない文書や証言が次々と出ているのだ。首相は率先して事実を明らかにする責任がある」(朝日6月21日社説)

朝日さん、同じことを前川さんにも問うてみませんか。テンプレートを作って差し上げましょう。

「問われているのは、『貧困調査』と称して前川氏が週に2、3回も出会いバーに行く過程が、公平公正であったかだ。
そこに疑問を持たざるを得ない文書や証言が次々と出ているのだ。前川氏は率先して事実を明らかにする責任がある」

前川さん、買春疑惑をもたれた者として、説明責任を果たしてください、よろしくお願いします。 

なにせメディアによれば、疑惑をもたれたら最後、疑惑をもたれた当人が無罪証明せねばならないというんだからオットロシイ。

それにしてもメディアはすごいね。「疑惑」を追及するほうに立証責任があるのにシラばくれ、追及された側がその「疑惑」を晴らす義務があるっていうんですから、これはもう弁護人ぬき裁判の理屈です。

警察が見込み逮捕して:も検事は被疑者に、「お前が無実だという証拠をだせぇ。出せなかったらお前は有罪だ」って言うんだから、もう文明国じゃありません。

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ところで、「当初、爆弾的破壊力をもった「牧野メモ」も、「総理の意向」の5行下には「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」なんて種明かしまで書いてありました。 

この一行を朝日は読ませたくなかったのは見え見えですね。

朝日が当然するべき全文起こを資料として添えておいたなら、この加計問題自体が不発に終わったことでしょう。 

いいですか、ここにはこう書いてあったわけです。「総理の指示に見えるのではないか」ですよ(苦笑)。

官僚が報告書に淡々とファクトを書かず「こう書けばこう読めるだろう」という、憶測ないしは主観誘導を書く「文科省文学」の異常さを朝日は国民に読ませたくなかったのです。

朝日はこの一官僚の書いた「空想文学」を、あたかもファクトとしてスクープしたわけですが、元朝日新聞記者であった烏谷陽弘氏はその著書、『フェークニュースの見分け方』でこのように述べています。

「根拠として書く事実を取材してとらえることができなかった時、記者は事実を書く代わりに、その媒体が言いたいことを発言する話者を探す」

烏谷氏はそれを「代理話者」と呼んでいますが、今回、その役割を果たしたのが前川氏と「牧野メモ」だったわけです。

そして続けて烏谷氏はこうも書いています。

「代理話者の発言が掲載されたことは、裏付けとなる事実が取材できなかった・足りなかったという、記者にとっては敗北だったのである」

ですから、朝日が前川氏という代理話者を登場させた時点で、私たち国民は、「おや、独自取材していないな。眉にツバつけて読もう」となるべきだったのです。

Photo_2http://bunshun.jp/articles/-/2587?page=3

また、今、萩生田氏が「広域的にと指示した」ということが騒がれています。

朝日は社説(6月21日)でこう述べています。
http://www.asahi.com/articles/DA3S12997034.html

加計学園の獣医学部新設をめぐり、萩生田光一・内閣官房副長官が昨年10月、文部科学省の局長に発言した内容とされる新たな文書が明らかになった。
 「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書には、「官邸は絶対やると言っている」などと記録されている。
 昨年10月といえば、特区での事業者が
加計学園に決まる約3カ月前だ。文書はこの時期に加計学園の具体名や立地にふれており、そのころから政府が加計学園ありきで調整を進めていたことがうかがわれる。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」と首相の意向に言及する記述もある」

だからなんなのです、朝日さん。

この萩生田氏発言があったのは、2016年10月だとされています。朝日の得意技、時系列無視です。

加計に決まったのは、何度も書いてきたとおり、2回目の特区諮問会議WG会議があった2015年6月8日です。

「昨年10月といえば、特区での事業者が加計学園に決まる約3カ月前」ですって?なに言ってるんですか。朝日はその1年前のWG会議を握りつぶしています。

この2015年6月時点で、規制改革を進める内閣府と文科省は合意をしています。文科省の完敗で決まりです。

前川氏は記者会見て「事務次官なんか反対しても決まる」みたいなことを愚痴っていましたが、2015年6月以降、文科省がグジグジとしていたために荻生田氏が「開校期日の尻を切るぞ」と言わざるを得なかったのでしょう。

前川氏は記者会見で、「萩生田氏が文教族だったことから文科省が期待して文書を作った」と述べています。

たぶん省内には萩生田氏に、なんらかの「期待」があったのでしょうね。ところが逆に荻生田氏に尻を叩かれてしまったというお粗末の一席です。

朝日はこのWG会議決定を故意に報道せずに、あたかも萩生田氏が「総理の意向」を押しつけたという「絵」を書きたいだけです。

萩生田氏は文科省に対して、諮問会議で決まったことをさっさと実施しろ、いっているにすぎません。

またよく、萩生田氏が「広域的に」と言ったことが京都産業大学を意図的に落して、加計にする企みだったかのようにメディアは報じています。

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古賀茂明氏は朝日発行の『アエラ』(5月29日)で、「前川・前文科事務次官の乱は“平成の忠臣蔵” 大石内蔵助の登場は?」と題して、こう書いています。https://dot.asahi.com/dot/2017052800022.html

「仮に一つだけにするにしても、まず、両校に申請を出させて、正々堂々と国民の前で審査すればよかった。しかし、それだと、おそらく京都産業大に軍配が上がるのでまずいから、二つ目の仕掛けとして、応募要件に「広域的に」獣医師系養成大学が存在しない地域に「限り」認めるとして、大阪に獣医師養成コースがあるから京都産業大は資格がなくなるという要件設定がなされたのである。
 つまり、「規制緩和」という錦の御旗は単なる見せかけで、実態は、加計学園への利益誘導の手段として使われたに過ぎないということだ」

古賀氏は確か経産官僚だった時は、規制改革派だったと記憶していますが、どうやら宗旨替えして、「広域的」という意味も分からなくなってしまったようです。

それについて、財務官僚だった高橋洋一氏はこう説明しています。http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170622/soc1706220005-n2.html

「地方行政をやっている者なら知っているはずだが、『広域的に』とは、複数の市町村に、という意味合いである」

広域的は当然、京阪神地域も含みます。

当然、京都産業大学にも資格はあるわけでしたが、まだ手を上げて間もなくで、今治市・愛媛県の驚異的粘りを知っている京産大は「わしらまだ一回目や。そんな野暮はいわんで、次点固めといて、来年改めて申請しましょう」、と思って辞退したにすぎません。

そもそもこの「1校に限る」は、先日にも書きましたが、獣医師会は「1校も作らせるな」といい、文科省は政府の規制改革に逆らえず「1校くらいならなんとか」という談合によるものです。

そこから変えていかねばなりませんが、まだ特区を作り枠を限って「1校に限り」という既得権益とのせめぎ合いの真っ最中なのです。

これをメディアが、「意向」とか、「忖度」といったあいまい語で報道するからおかしくなります。 

本来、この日本語特有の「あいまいさ」を洗いだして、裏取りするのがメディアの仕事のはずでした。 

具体的に「総理の意向」が、どのようなプロセスで政策決定を「歪めた」のかを明らかにすることです。

※改題し、大幅加筆しました。また「萩生田」を「荻生田」と誤記しましたので、訂正いたしました。ご指摘ありがとうございます。

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さすが朝日!印象報道老舗の技

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日本の言論について、朝日新聞を例にとって議論してきました。貴重な論考を頂戴した山路氏には改めて感謝いたします。
 

今回の加計問題がなぜあれだけ拡がってしまったのか、なぜ官邸が政権運営に障害となるまで放置してしまったのかについて、コント欄で議論がなされました。 

snsnさんのご意見です。

1)元々民主党案件を引き継いだ上、プロセスは公開しているのでなんの問題も無いとたかを括りすぎた
2)野党が議事録のプロセスベースではなく内部文書の存在/非存在という論点すり替えをしてきた。それに乗っかってしまった
3)政治主導を堂々と主張すればいいのだが、そうすることで独裁ガーと言われる可能性があり躊躇してしまった
4)日本獣医師会短信「春夏秋冬」に、石破へのロビー活動報告によると石破が岩盤規制側に立ち4条件及び、1校に絞るような動きをしていると読めるため、官邸としては自民党内部の族議員問題に飛び火することを恐れた。

私もおそらくそうだと考えています。 

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官邸には初動において「みくびり」がありました。それを伝える朝日(5月18日)です。 

これは、その前日の17日付朝刊の1面トップ記事に朝日が、「新学部『総理の意向』」「文科省に記録文書」というスクープを出したことに答えたものです。

菅義偉官房長官は17日午後の記者会見で、「全く、怪文書みたいな文書じゃないか。出どころも明確になっていない」と言い切り、記録文書の信頼性自体も否定した。
文書は役所の正式な文書ではない、とすることで政権へのダメージを回避し、特区をめぐる判断にも問題がないとの姿勢を維持する狙いがある。
森友学園問題で首相が追及を受けても内閣支持率が大きく落ち込むことはなかった経緯も、強気の背景にありそうだ。」

朝日のほくそ笑む顔が浮かんできそうですが、こういうハネつけ方をすると朝日は見込んでいただろうと思います。 

ソフトに受け流して、「調査をして回答します」ていどにしておけばいいのに、硬質に「怪文書の」ひとことでハネつけてしまうのは、善きにつけ悪しきにつけ、それが菅氏の持ち味というものです。 

官邸としては山積した重要法案、特にテロ準備罪をなにがなんでも会期中に成立せねばならないという焦りがありました。 

そうでなくともやくたいもない森友騒動で審議時間を空費していましたから、なおさら、「いいかげんにしろ」という気分になったことでしょう。 

一方巧妙にもこの時点で朝日は、「内部告発者」が他ならぬ前文科省事務次官の前川喜平氏だというカードをまだ隠しています。 

このエースカードを朝日が切ったのは、充分に疑惑のガスが充満したと見た5月25日でした。 

朝日は政権が「調査しても見つからない」と言うだろうということを見込んで、社会に不審の毒ガスを充分に社会に行き渡らせてから、本命の前川喜平御大を登場させます。

これでチュドーンです。 

たいしたもんです。朝日は策士です。 

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「学校法人「加計学園」が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、「総理のご意向」を伝えたとされる文書の存在を認めた前川喜平・前文部科学事務次官が25日、東京都千代田区内で記者会見した。
改めて文書の存在を「間違いない」と認めたほか、特区での選定をめぐる経緯について「公正公平であるべき行政のあり方がゆがめられた」と問題視した。」
 

この前川氏の登場によって、官邸は背中から斬りつけられた格好になりました。 

いままでの日本の政治史で、つい先だってまで事務方トップをしていた高級官僚が「内部告発者」に変身して、政権批判をするなどというのは前代未聞ですからね。 

官僚のモラルとしてあってはならないことです。 

しかも前川氏は、この加計新学部で合意したその当事者だったのですから、官邸は呆れてものが言えないという状態だったのは想像に難くありません。 

まぁフツーいくら内心不満だったからとはいえ、元防衛省事務次官だった守屋氏のように、そうとうの期間たって政治的な影響が及ばない時期を見はからって詳細な回想録を公表するていどの良識はあるものです。 

ここから一気にすべてのメディアが、加計よさこい踊りの乱舞を開始します。

かくして、加計一色に日本社会を塗りつぶされたことは、ご承知のとおりです。 

前川カードを知り得なかったということはあるにしても、初動の失敗です。 

文科省官僚が調べたが「ない」と答えたのは、ただの自己保身にすぎません。 

もちろん相当数の官僚はこの「牧野メモ」を知っていました。なにせ類似のものまでふくめて複数枚あるのですから、かなりの数の役人が目にしたはずです。 

しかし、官僚は知らぬ存ぜぬを通しました。これは成り行きを見て決めようという役人特有の面従腹背の処世にすぎません。 

たぶん朝日は前川氏と相談して、このような省内の空気まで知っていたのかもしれません。 

ですからここでsnsnさんも指摘されているように、「官邸は文書がないといっているが、隠しているに違いない」という朝日の思う壺の「絵」に変化していきます。

つまりは文書の「あるなし」という、実に低次元の流れが作られてしまったわけです。

典型的な印象報道による世論の誘導です。

もちろんしょせん「印象」は実体にかないませんから、時間がたつに連れて整合性がないことがバレていきます。

まずは加計に決まった、2015年6月8日の国家戦略特区諮問会議WG会議の議事録が明らかになったことです。

このなかで文科省はコテンパンに論破されて、獣医の需給見通しすら出せないまま敗北している様が手にとるようにわかります。

この後に、当時内閣府に出向していた牧野課長補佐が、母体の文科省に送ったメモが、くだんの「牧野メモ」でした。

おそらく牧野氏が書いたのは2、016年9月から10月の期間です。

このメモには、朝日が当初は隠したかったに違いない重要な一行があります。

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阿比留瑠比氏はこんな指摘をしています。

「記事に添えられた「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題された文章の写真が不可解である。写真はなぜか下側が暗く文字がよく読めないが、文科省が15日に発表した同様の文書をみると、その部分にはこうある。
 「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」
 つまり、安倍首相の指示だと取り繕ってはどうかという話であり、逆に首相の指示などないことを示している。
 ところが、そこが朝日の写真では不自然に隠された形となっている。これでは「印象操作」と言われても仕方があるまい」(産経6月23日)
http://www.sankei.com/premium/news/170623/prm1706230005-n1.html

上の朝日の公表した写真をご覧ください。丸いハイライトの中央下に確かに『諮問会議決定』という形にすれば総理が(不明)に見えるのではないか」と読めます。

この部分はもう少しハイライトを大きくすれば、「「『国家戦略特区諮問会議決定』という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか」です。

ところが朝日はこの部分を、当初意識的に画像処理して見せなかったのです。

つまりはなんのことはない阿比留氏の指摘どおり、こう書けば「総理からの指示に見える」という官僚の方便が書いてあるだけの「メモ」にすぎないとわかってしまうからです。

牧野課長補佐は当時、出向先がよりによって「敵方」の内閣府だったために、母体の文科省に「こう書けば、一番エライ人が押しつけたって読めるでしょう」と書くきゃなかったのでしょうね。

ただし、これはあくまでも行間の「含み」、あるいは「伝聞」にすぎず、事実そのものだと言い張るほど、彼女は厚顔無恥ではなったと思います。

厚顔無恥なのはこの文書を、懲戒免職になるところをお情けで救ってもらい、退職金をもらって安全地帯に逃げ込んだ後になって、「牧野メモ」を利用した前川喜平氏です。

この部分を当初は隠して「総理の意向と聞いている」という部分にだけ焦点を当てて、そして、1週間後に前川カードを登場させて「あれは本物だ」と言わせたわけです。

もはやここまで来ると、さすが昭和前期から大衆操作を数限りなくやってきた、手脂で黒光りするような老舗フェークニュース卸元だけの凄味があります。

なお蛇足ですが、石破4条件なるものは、それ自体が石破氏がいかにだらしない政治家で、本気で地方創生も規制緩和もやる気がない政治家なのか暴露しただけのシロモノです。

あれは獣医師会と「1校だけね」という安易な妥協をした産物にすぎませんし、あんなバカな妥協をしなければ京都産業大学も一緒に新設できたというだけの話です。

加計に決まったのは、申請努力をした期間が京産大とはケタ違いだからだったにすぎません。

それにしても石破さんは、反アベノミクスのグループを作ったりして、規制緩和反対・増税・金融・財政緩和反対で対立軸を作りたいようですね。

この数日、菅さんが降ろされるという噂が永田町に駆けめぐっているようですが、もしそうなれば、安倍氏は党内で数少ないアベノミクスの同志を失うことになります。

そのように考えると、朝日のほんとうの目的は安倍降ろしではなく菅降ろしだったのかもしれません。

                                                 ーーーーーー

Photo_4毎日新聞より引用

■あまり笑えるので載せておきます。籠池氏が安倍氏宅にワザワザ返却するとして持参した100万円と称する札束です。

上下2枚以外、ぜんぶ白紙なのが見え見えです(爆)。こんな時くらいホンモノを用意しろよ、と。

最近籠池氏は、前川氏がスターになって自分が忘れられたことを嫉妬しているようで、耳目を引きたかったんでしょう。

しかし、こんな人の言っていた「昭恵夫人から100万振込の証拠」とやらを丸々真実だと言っていた皆さん、どうお考えでしょうか。

 

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朝日に騙されない為に!その3    山路敬介(宮古)

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山路敬介(宮古)氏の論考の3回目です。

今現在も、飽きることなく延々と加計騒動が続いています。

まるで国家の一大事のように「新たな文書が出た」と、「首相の友人の加計学園」という枕詞つきで報じられています。

そんなに重大なことなの、ということを私は一貫して言ってきました。

残念ながら、私のような意見は少数派のようですが、これが山路氏も述べられている<リテラシー>、すなわち読み解く能力です。

Photo_3

上の写真は週刊文春誌特集面ですが、本来、出版社系週刊誌は、新聞媒体の毒消しカウンターバランスの役割を持っていたはずですが、今や週刊誌も朝日と同盟を組んで「文春砲」を乱射するていたらくとなっています。

また電波媒体は新聞系列下なので、これで新聞-電波-週刊誌のメディアの3本の柱が揃ってモリカケ騒動をすることとなりました。

おそらく史上空前規模のメディアスクラムではないでしょうか。普通、これに耐える内閣はありませんがね。

さて私は、森友と加速計画は本質的にまったく別の次元の問題だと見ています。

加計問題は、結局、文科省の内部問題にすぎません。

特区諮問会議WG議事録の前に、あの「牧野メモ」が書かれていたのなら、ほーこりゃなにかあるねと思われるかもしれませんが、時系列に着目してください。

WGが開かれたのは2015年6月8日です。この時点で規制改革を進める内閣府と、文科省は合意をしています。http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/hearing_s/150608_gijiyoushi_02.pdf

手打ち終了です。文科省はいままで半世紀死守して来た認可権限の城壁の一部を壊されましたが、「1校に限る」という妥協を飲ませて、被害の極小化を図っています。

「牧野メモ」はこのWGの後になってその報告のために書かれたもので、「どうして負けたのか」という言い訳のためのメモにすぎません。

それも「総理の意向があると聞いた」みたいな内容で、なんのことはないただの「伝聞」です。

そりゃそうでしょうとも。課長補佐ていどのランクの小役人(失礼)が、首相に直接「おい、加計を通してやってくれ」なんて言われるはずもありません。

課長補佐ていどでは、首相臨席の会議には陪席すらできないんですからね。

今、メディアが大喜びしている「新文書」に至っては、WG会議にもでていない役人が書いたものです。そんなものになんの意味があるのでしょうか。

ただの伝言ゲームです。

だから前川文書とは、なんのことはない、「言い訳」と「伝聞」そして「伝言」で書いた妄想メモにすぎません。

いくらほじっても、ほじるだけ、文科省がいかに多くの利権を持っていたのか、本来は文部とは無縁の獣医師の数まで学校・学部許認可という武器で操ってきたのかがバレてしまいました。

そしてその見返りに、既得利権団体に大量の官僚を天下りをさせていたという醜悪な業界 癒着構造すら見えてきてしまいましたね。

それを天下り斡旋していたのが他ならぬ前川氏その人で、それが理由で辞めさせられました。

なんか誤解している人も多いようですが、前川氏は「反骨の正義漢」だから辞めさせられたのではありません。

Photo_5

在任中は音無しの構えで面従腹背(当人談)に徹し、加計でも事務次官として合意しておきながら、天下りが発覚して辞めさせられたにすぎません。

そしてこの勘違い男は、なぜかそれを逆恨みしたのです。あー、ばかばかしい私怨だ。

森友と一緒で、加計でも掘れば掘るほど隠したいことがズラズラと出てきちゃったわけです。

自爆テロを志願した前川さんも思わざる返り血を浴びそうですが、しっかりメディアは「報道しない自由」をしていますから大丈夫です。

まぁ、私は「新文書」が途切れた時が、終わりだと思っています。

国民は玉ネギの皮よろしく剥いて剥いても「疑惑」なんてなにもない、むしろ出てくるのは「告発者」の知られたくないことばかりということにそろそろ気がつくことでしょう。

国民はマスコミほど愚かではありませんから。

Photo_4https://dot.asahi.com/wa/2017031100005.html

一方、森友問題は要するに、「なぜあんなに巨額の値引きがあったか」が最大の焦点です。

籠池氏に昭恵氏から100万の寄付があろうとなかろうと、そんなものはどうでもいいことで、ただの籠池氏のフェイントにすぎません。

ところがそのフェイントに丸々とメディアが乗るのです。

というのは、「安倍がウルトラライトの学校建設に便宜を計った」という「絵」を書きたいからです。

ところが探っていくと、あの籠池氏が引っ掴んだ土地はたいへんに曰く因縁のある土地だと分かってきてしまいます。

中村地区という土地がやややこしいのですよ。ただし、たった一本補助線を引くとすっきり分かってきます。それは伊丹空港です。

航空記者だった高山正之氏によれば、あの森友建設用地付近は伊丹空港の離陸進入路に当った制限区域で、1970年代から騒音紛争が続いていた地域なのです。
※『WILL』2017年6月号による

Photo
よりによって籠池氏は、速く土地取得をしないと学校認可が取り消されるために、曰く因縁が充満するあの土地を高値で財務局につかまさてしまったようです。

籠池さん、セコそうですが肝心なことが慌てたあまり抜けていたんです。

そしてこの地域には在日朝鮮人が多く住んでいたこともあって、中村地域の住民が伊丹空港の航空会社カウンターで「鼻血がとまらないのは騒音のせいだ。この責任をとれや」と騒いで、血がついたティシュをぶちまけたそうです。

Na1154かつての中村地区。空港敷地内まで在日朝鮮人の居住区が入っていたために複雑になった。

本来運輸省に行くべきなのに、航空会社のほうが組みやすしというわけです。この強訴が実って、国から「騒音地域の手当て」として空港特別会計(空港特会)が支出されてしまいました。

このとき活躍したのは、共産党と当時の社会党で福島瑞穂党首の秘書をしていた木村真氏でした。

Photo_2中央が木村真氏 新社会党という親北朝鮮政党所属。関西生コン労組の元幹部

あれ、木村真?どこかで聞いた名ですね。そう、森友問題の最初の火付け役の豊中市議です。

共産党と旧社会党系議員が、伊丹空港周辺の空港特会に関わる11市協議会の窓口をしているわけです。

今回問題となった森友の建設用地も入っているし、同じようにすぐ隣の14億何千万円がたった2千万に値引きされた豊中市の公園や、豊中市の9億円値引きの給食センターもその絡みです。

その上、建設用地は阪神淡路大震災で近隣の住宅地が壊滅したために、その震災瓦礫処分用地に使われたというおまけまでついています。

ですから籠池氏は財務局に、「大幅値引きだなんて、よー言うわ。あそこはただでも誰も買わないでしゃっろ。隣地の公園のように2千万なら考えてもええわ」と言えばよろしかったのです。

このように見てくると、森友疑惑なんか、結局は、伊丹空港絡みの空港特会という利権がらみで、それを突ついていると、やがて辻本氏の名や関西生コンなんていう極左労組まで芋づる式にでてきてしまったのです。

辻本氏が浮かび上がった時点で、とんでもないものを突つき出してしまったというので、メディアは急に森友疑惑には関心を失ってしまいました。

そこで「総理の忖度」つながりで次なる獲物にしたのが、朝日の「スクープ」である前川文書だったというわけです。

やれやれ、いいかげんにせぇや、と思います。ほんと、フェーク・ニュースというのも厚かましい、フォールス・ニュース(虚報)ばかりです。

私たち国民は残念ですが、山路氏が言う<関心>まで提起できるほどの力はありません。

ですから、せめてネットや書籍からその背景を<情報収集>して、<なにが真実か>を見極める必要があります。山路さんが述べるように「知る労を惜しんではならない」のです。

これがリテラシー、すなわちメディアのフェークニュースを読み解く能力です。

すいません、前座が長くなってしまいましたので、このくらいに。すいません、山路さん。

                     ~~~~
 

          朝日に騙されない為に!その3    山路敬介(宮古) 

承前

 国民は、朝日から自分の身を守るにはどうしたら良いか。

 火の無い所にライターと油を持ってきて大火事にし、桜の枝に梅を接いで最後は「権力」にその責任を転化する度し難い「朝日新聞」に振り回されない為には、私たちの側でリテラシーを上げるより方法はありません。
 

それには、意見形成の過程を常に念頭に置くことが肝要です。 

 まずはじめに「関心」があります。 

 次はそれについて、出来るだけ多くの情報を集めます。 

 三番目は「何が真実か」を見る分析能力です。 

 四番目は、そこでようやく「最終的にどうすべきか」という判断を出します。 

 まぁ、一応こういうものでしょう。
 
 朝日の場合例えば「公害問題」の時、まず公害が発生してそこに国民の「関心が集まる」。
 

 でも、多様な情報を集めるとか的確な分析を試みるとか、そういう過程をすっとばして「これはやはり高度経済成長が悪かったのだ」、と自分の計画・好みに合致した短絡的結論を出します。 

 この馬鹿な短絡的結論の方が実は「早い」ゆえに国民にとっても好みのようで、それがセンセーショナリズムという形で現れて、だれも彼もプロセスを追う事をすっかり忘れてしまうのです。 

 それで「企業は悪だ」と流れ、経済成長を重視する政策を見直すべきと、矢継ぎ早にキャンペーンを張られることで、最初のプロセスの欠落はますます隠されボカされて行ってしまい、それがついに「国民の声」と認知され、政府も妥協点を見出すような中途半端な対策にせざるを得なくなるのです。 

 これは加計学園の問題にもピッタリ当てはまります。 

 しかし実は私たち読者の方にも、もちろん責任があります。 

 我々は「知る権利」などと始終口にしながら、実は「知る労」を免れたがっているのだろうと思うのです。 

 「知る労」を新聞あるいはテレビに負わせ、真に知ろうとする自主的精神に乏しいのかも知れません。 

 だから騙される。 それも何度も。 

 加計では時系列的に事実を追い、議事録を読み込めばそれだけでカンタンに問題の所在が分かるのです。 

 それなのに世論は今のところ「真実」と真逆に行っている。 

 本当のところ、たいがいの人は誰も知りたがってなどいず、ただ世間が知っている事を知らずにいるのが不安だったり、恥ずかしかったりするから知りたいだけの事かも知れないなぁ、という感慨を今回の「加計問題」で改めて思いました。 

                                             (了) 

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朝日に騙されない為に!その2    山路敬介(宮古)

018
山路敬介(宮古)氏の論考の2回目です。

この朝日の戦争責任というテーマは、かつて私も長い期間考え続けてきたもので、どこかで短い記事にした記憶もあります。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-10db.html

私にとって朝日はただの新聞一般ではなく、自己形成を語る上で避けては通れないほど染みついた価値観そのものでした。

中学生時代には文章修行のつもりで、天声人語と社説を毎日ノートに書き写していた時期すらあります。

「声」には何度も投稿し、採用された時には天にも登る気持ちでした(苦笑)。

Photo_5本多勝一「中国の旅」から、日本は永久に続く中国への謝罪の旅を始めねばならなくなった

高校時代などは、本多勝一の『中国の旅』の連載を毎日切り抜き、読書会をしたことすらあります。

この『中国の旅』は、本多記者が中国当局の紹介する「生き証人」を、なんの裏付け取材もすることなくそのまま事実として報じ、今に至る「南京大虐殺」論のルーツとなっています。

私は丸ごと真実だと疑ってもみませんでした。なにせ日本一のクォリティペーパーがおごそかに言っているんですからね。

かくて朝日は、中国の嘘八百、ないしは白髪三千丈を、無検証で丸ごと権威づけしてしまったことになります。

後に本多記者は裏付け取材をせずに書いたが、あれは「そのような証言をそのまま書いたノンフィクションだ」と居直ったものです。

おいおい、本多さん。当時の連載を読む読者の側に立ってごらんなさいよ。本多氏はひとこともこれが中国当局が提供した「証人」だとは書いていませんでした。

共産中国でそんな自由な取材なんか、ありませんもんね。

ですから、まるで『戦場の村』のように自分の足で書いたノンフィクションだと誰しもが思いこまされたわけです。

ところが違った。

あれは中国当局の「やらせ」であり、それをそのまま日本に報じてスクープにしたのです。

これこそが「朝日スタイル」です。

この本多記事は、証言をなにひとつ裏取をしないで祭壇に祭り上げました。

後の「従軍慰安婦」における吉田清治証言、福島事故における吉田所長調書、そして現在進行形の前川文書に至るまで、一貫した「朝日スタイル」の原型となっています。

そして、このことを外交カードに使う中韓に、わが国は苦しみぬくことになります。

その時、朝日はどちらについたかって?

ご承知のとおりです。朝日は外国の側に立って、外国の国益に沿って、外国の目線で日本と日本人を断罪し、反省と謝罪を迫ったのです。

当時の私は「朝日少年」、戦後リベラルの申し子そのものでしたが、朝日は私のような少年少女を大量に作りだし、彼らを安保闘争という「戦争」に駆り立てていきました。

この光景は、まるでかつて国民を戦場に駆り立てていった、この新聞の姿と二重写しになっていきます。

今の私の対象を突き放して見ようとする姿勢は、この反省から生れたものです。

さて、朝日の罪は、単に戦争中に軍部のプロパガンダに協力したというレベルだったら軽いものでした。

戦争協力といえば今は大変な罪悪のように語られていますが、総力戦においてそれは「国民の義務」だったにすぎないからです。

むしろ問題は、大戦に至る昭和の時期の節目節目に登場し、かならず間違った方向に国民を誘導してきたことにあります。

満州事変、国際連盟脱退、三国同盟、日中戦争といった曲がり角ひとつひとつに、朝日はこの道を選べば日米戦争となるしかない道をに国民を導いてきました。

山路氏が述べられているように、朝日は偏った報道を続けて情報を与えず、軍部のプロパガンダを耳に吹き込み、国民を戦争に追い込んだのです。

戦後もまた同じことを、立場だけ正反対にして延々と再演しています。

そして今もなお、なにひとつ自らを省みることなく・・・。

                    ~~~~~
 

Photo
                 朝日に騙されない為に!その2
                                      山路敬介(宮古)

承前 

■ 日米開戦を寿いだ日本国民 

 
 少し話がかわります。
 先の日米開戦責任について、軍部の専横だとか陸軍の強硬派に専ら責任を帰す書物はあきれるほど読みましたし、なるほど詳細に知れば知るほど軍部の責任は軽いものではない事がわかります。

 しかし、国民はその「軍部」しか頼るすべはないと考え、したがって程度の差こそあれ国民の大部分が「支持」していたのもまた事実です。

 真珠湾攻撃をもって日米開戦の火蓋が切られた日、一般国民の感情は、「あぁ、これでやっと積年の憂いが終わった」、「光明が見えた」という、むしろ安堵に似た、ため息めいた感傷的なものだったといいます。

 これは初戦に大勝したからというだけのものでは決してなくて、「もう戦争しか残された道はない」という切羽詰まった意識が一般国民に強く感覚としてあったからです。

 その点、知識人も例外ではありませんでした。
 同様の開戦の日の心理描写は太宰治の小説他でも多数出てきますし、左右問わず例えば竹内好や斉藤茂吉、伊藤整などが書いたものにも多数残されています。

 あの高見順ですら、戦争反対・戦争憎悪の気持ちからでもない、戦争謳歌・開戦歓迎の気持ちでもないと前置きしつつ、「なんとも言えぬもの悲しい気持ち」と微妙な表現をしています。

 それでも一般人であれ知識人であれ、大勢は米国に「必ず勝てる」という確信があったわけでもなさそうで、私には、それなのになぜ多くの国民が「戦争への道」を肯定したのか?が、長らくの疑問だったし、そこにこそ隠された本当の「戦争責任」があるのだろうと思います。

 朝日は戦後、すでに通説となっている「多くの国民は戦争に反対していたが、軍部の強硬派が満州事変など様々な既成事実を作って日本を戦争に引きずり込んだ」と喧伝しましたが、国民が倦んでいた戦争は「日中戦争」であり、上述のように「日米開戦」は概ねその逆だっただろうと思うのです。 

 ここには講和のさいの戦争責任がからむ微妙な問題も存在するので、一口で非難しづらい部分ですが、このような誤謬は今では必要な憲法改正もせず、国家を敵するような人間を多く生む戦後の日本の潮流を作ってしまった一因になったと思え、嘘や誤謬から真実を生み、ある人々の「信念」に転化した悲惨な状況を今に生んだものと考えます。

Photo_21943年3月5日。朝日新聞が企画した35枚の100畳敷きの写真ポスターが有楽町の東京本社正面に掲げられ、10日には陸軍軍楽隊の演奏が行われた。朝日は一貫して一億火の玉をアジり続けたが、負けるやいなや、「あれは軍部に強いられたものだ」と述べた。


■朝日の戦争責任

 朝日新聞は戦後、自らの責任として「戦争を止められなかった事」を重畳反省する旨の論説を掲載した事があります。

 しかし朝日は外野席にいたのではなく、その責任は「戦争を止められなかった」などという一般論として濾過して語られては歴史を間違います。

 彼こそまさに陸軍と組んだ「主犯」であり、ともに国民を戦争の悲惨に引きずり込んだ重要な役割を果たしたと見るべきで、ある意味では陸軍以上に責任が重大であったと言わざるを得ません。

 当時はラジオ以外、少数の雑誌をのぞき新聞だけが国民の意見形成の手段でしたから、事実は新聞で拾うより方法がなく、俄然新聞の影響力は巨大だったのです。

 戦線を南方に展開させ、無謀な二正面作戦を実行させる契機となった昭和研究会や尾崎秀美に見るだけでなく、世界から離反せる決定的なナチスドイツとの同盟を「バスに乗り遅れるな」といって、大キャンペーンを張ったのは「朝日新聞」でした。

 戦争を煽った朝日ニュース映像は陸軍との合作でしたが、こんな事は陸軍の支持ではなく朝日が自から進んでやった事です。

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 なぜなら、海軍はヒトラーの有色人種差別を十分に理解しており猛反対でしたし、「わが闘争」がはっきりそれを示していた事も朝日は承知したうえで、それを一行も報じておりません。

 もし、それを報じたならば日本国民がヒトラーを受け入れるはずはありませんでした。
Photo_4
 「満州は日本の生命線」という、大キャンペーンもありました。

 朝日は満州堅持の歌や映画・劇まで作り、国民意識の高揚に努めた結果、世論ゆえに満州放棄という戦争回避の為の最終的決定的カードも切れなくなったと言っていいでしょう。

 このような例はそれこそ無数にあり、それも国家にとって決定的重要な意思決定局面で、必ず「朝日の弊害」が立ち現れるのです。

 この朝日の病気は戦後も同様で、それを一々書くのも疲れますので割愛しますが、今はもう「私たち国民は、いかに朝日から身を守るか」を考えたほうが賢明のようです。

                                                (続く)

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 朝日に騙されない為に!その1  山路敬介(宮古)

053
日本の新聞、TVなどのメディアが、まるでなかったかのように「ミンダナオIS戦争」をまったく伝えないのは、昨日書いたとおりです。

この時期「IS戦争」がアジアで勃発しているという逃れようもない事実は、テロ準備罪がこのような厳しい国際情勢の必要から生れていることを物語っています。

ミンダナオは、マンチェスターやパリとつながっています。ヨーロッパの昨日はミンダナオの今日であり、東京の明日なのです。

おそらくそう遠くない将来、我が国も国際テロに直面することになります。

そのための備えとしてテロ準備罪が提案されたのであって、不備があるのなら維新のようにどんどんと修正案を出して建設的審議をするべきでした。

しかし今回も安保法制時と寸分変わらぬ光景が展開されました。

深読みするまでもなく、メディアは「共謀罪」とそれを進める政権攻撃のために、不都合な事実は何も見せない、何も聞かせない、何も考えさせない報道を続けたわけです。

国の外からテロの嵐が迫って来ているのに、それを議論させない報道と政治とはいったいなんなのでしょうか。

メディアにとって、愚民たる我ら国民が知ってよいのは週刊誌的「総理の意向」とやらだけのようです。

メディアの社会的役割は、事実報道です。

メディアが選んだ素材を、メディアに料理してもらい、愚民教育されることではありません。

私は極めて単純なことを言っているにすぎません。

事実を伝えよ。解釈は社説欄でやれ。情報の取捨選択は国民がする。お前らが選ぶな、勝手に味付けするな、ただこれだけです。

このようなことは、かつて大戦に突入する時期にメディアがした犯罪行為と、本質においてまったく変わるところがありません。

さて、本日は山路敬介氏から寄稿いただいた論考を掲載します。

山路氏は表層のモリカケ騒動にとらわれず、この騒動の奥に隠れている問題を摘出されています。 

分量の都合上3分割いたしました。

なお、連載途中で状況次第で私の通常の記事が割り込むことがありえますので、山路ファンの皆さまにおかれましてはご勘弁のほどを。 

なお、原則無編集ですが、見やすくするために、一部長文節を分割し、難解な用語に関しては、注釈引用を付け加えました。

                                             ブログ主

                 ~~~~~~~
Photo_4

                  朝日に騙されない為に!
                                         山路敬介(宮古)

■はじめに 

 今回の加計学園騒動はどうみても籠池学園問題以下でしかなく、次々と出てくる個々の事実も、「問題」と言えるような種類のトピックはまったく見当たりません。

 このような大きなバカ騒ぎの原因は、「前川氏による印象操作によるもの」と結論づけてよいでしょう。

 既に獣医学部一校のみ、それも今治市にほぼ決定し文科省も含めた既定路線であったにもかかわらず、前川氏はあえてそこを話さず、あたかも白紙の状態からの「総理の御意向あった」との、会見での印象操作を行いました。

 その後、さらに菅官房長官発言やら萩生田メールなど、マスコミによるつまみ食い的な些事のクローズアップによる後方支援もあって「印象」は肥大化し、国民の判断を狂わせる事となったのが顛末です。

 このような仕業は前川氏だけでとても出来るものではなく、タイムリーな前後の報道やえげつなく自己の過去の主張を顧みない反転主張、その「火付けの手法」からしても朝日新聞が得意の「絵」を描いた合作の「詭計」だったと言っても良いと思います。

 朝日の体質は「吉田証言問題」、「吉田調書問題」を経てもいささかも変わるところがなく、むしろ巧妙さにおいてグレードアップしているようで、その「害悪性」も戦前から一貫しています。

 ただ、その原因として「朝日」は戦前から常に「ひも付き言論」の府であって、戦前は物心両面で「国家・軍」を主人とし、戦後すぐは自己保存的必要から「米軍」へ、そして精神的に「ソ連」から「共産主義国家」と次々と寄りかかる権力・権威を変えてきた事があげられます。

そして現代においては、311以降(あるいは「吉田調書」「吉田証言問題」以降)、「朝日の主人」が見えづらくなりました。

 それは「中国共産党」ではないか?とも巷間言われますが、そうとも言えないと思います。

A・ネグリの「マルチチュード」概念と「朝日新聞」

 
 A・ネグリの共著「帝国」は難解な本で、私など最初はその半分も理解出来ませんでした。

アントニオ・ネグリ - Wikipedia

 この本が理解出来ない原因は、よく解説などで見かける「反グローバリゼーションという立場からの書物」であるという意味に狭めて読むからで、その点あらゆる解説書は誤ってはいないとしても結局のところ、ネグリの言う「マルチチュード」が一体何を意味するのか、そこがわからないから全然意味が通じなかったのでした。

 ネグリは左派(リベラルではない)知識人の理論的支柱であり、私の考えでは「社会変革」をどう起こすか? その為にせっせと世界的な「悪党」として認知済みの「帝国」概念を極大解釈しつつ、つまるところ資本主義を「悪」とします。

 そして、現今の民主主義は資本に侵され尽くしているという考えから、選挙による民主的な手法以外の「運動による変革」を強力に提唱し、もって明らかに「革命への意思」を持つべく知識人層に植え付けて回る宣教師的人物であって、マルクス主義の亜種に過ぎないと言わざるをえません。

 私の知る限り、この「マルチチュード」概念をもっとも平明・適切に意味を明らかにしたのは篠原章博士ただ一人です。

 批評com『敵は一体だれなのか、ネグリのマルチチュード~』(※)の中で氏が述べているとおり、「マルチチュードは階級概念」であり、「知的労働に従事する人びとが主体」なのであり、現代におけるその知的労働者とはつまり、「横文字商売人+一部メディア人」なのです。
http://hi-hyou.com/archives/832
マルチチュード - Wikipedia ラテン語で「民衆」の意

 朝日新聞は比較的社内に求心力が強かった木村社長が「吉田調書問題」で辞任し、記者たちを抑えることの出来ない「弱い」渡邉社長に代わりましたが、発行部数が著しく減ったとはいえ、不動産収入が潤沢に推移しているゆえに経営基盤は磐石とみられます。

 このような状況下で朝日新聞社内で起こる変化は、さらなる「経営と編集の分離」です。

 それは記者個人レベルの言論の自由の紙面への反映をもたらし、それゆえ、過去記事との整合性もかなぐり捨てて資本の論理から切り離された記者の甘えと奔放です。

 ただに記者達の既定する「悪」であるところ無闇な「権力への反発」だけの、結果的に我々が対面する事になる「荒れた紙面」にあらわれる事になります。

 そして、ネグリと朝日新聞を結びつける線は、ネグリの招聘を念願し実現させた「学者の会」がその大元です。
安全保障関連法に反対する学者の会 - Wikipedia

 「学者の会」の反原発・反安保法制に見られた非常識な運動の礼賛、反GDPなどに見られる論説の完全な一致は、「ネグリ的革命を意識した行動」といっても、決してオーバーではないと考えます。

 くわえて、「学者の会」と前川前次官の近さは良く知られているとおりです。

 まぁ、朝日は今後この線で行くのだろう、という見当はつこうというものです。

                                                 (続く)

 

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ISのマラウィ占拠 フィリピンのシリア化始まる

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フィリピンのミンダナオ島がシリア化しています。

既にISはミンダナオ中部のマラウィ(Marawi)を占領し、市民を「人間の楯」にして実効支配を続けています。

このミンダナオにおいてISが勝利すると、フィリピン全土のIS拠点化が進行します。

そしてそれは海を超えてインドネシア、マレーシアへと拡大していくかもしれません。

いままでISは一部のアジア内陸部で影響力を持っているだけでしたが、ここでISの疑似国家建設を許せば、アジアにおける「シリア」、すなわち八方へと伸びるテロ拠点が完成することにてります。

その場合、はかりしれないテロの脅威がアジア全域に拡がるでしょう。

まずは、私たちになじみの少ないミンダナオ島の位置からいきましょう。

ミンダナオは、首都マニラがあるルソン島に次ぐ2番目に大きな島です。
ミンダナオ島 - Wikipedia

面積だけで97530平方kmもあり、驚いたことには韓国と同じくらいの面積です。人口も2200万人で、これも北朝鮮の2500万人といい勝負です。

島というと小さなイメージですが、北海道の83450平方kmより大きく、沖縄の(1207平方km)の8倍以上もあります。

平野にも恵まれていて農業・漁業が盛んなうえに、東海岸には2000m級の山岳さえあります。

Photo_4
宗教はカソリックが多いフィリピンでは珍しく、イスラム教が支配的です。14世紀には既に布教が盛んに行われ、イスラム教のスールー王国の版図の一部でした。
スールー王国 - Wikipedia

この「スールー王国軍」を名乗るフィリピン人テロリストは、2013年3月1日にマレーシア・ボルネオのサバ州ラハダトゥで、マレーシアの治安部隊の間で銃撃戦を行い、双方あわせて14人の死者が出す事件を発生させています。

スールー王国軍は分離独立を目指しています。

Sulu4スールー王国軍

現職のロドリゴ・ロア・ドゥテルテ大統領は、このミンダナオ・ダバオの出身です。彼はダバオ市長で名を馳せました。
ロドリゴ・ドゥテルテ - Wikipedia

ミンダナオを拡大します。今回ISに実効支配を許しているマラウィの位置を確認してください。MarawiGoogle Earth

このマラウィを巡って、激しい戦闘が繰り広げられています。

Photo_6ニューズウィークhttp://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/isis-116_1.php

「政府軍と「マウテグループ」などイスラム過激派との交戦が続くフィリピン南部のミンダナオ島情勢で、地元住民が戦闘現場から逃れる際、最大100体の遺体を目撃したと証言していることが17日までにわかった。(略)
政府軍と戦闘になっているのは、主にマウテグループで過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に忠誠を誓っている。また、地元のイスラム過激派「アブ・サヤフ」とも共闘しているとされる」(CNN6月17日)

https://www.cnn.co.jp/world/35102883.html

政府軍は戒厳令を布告し、陸上部隊以外に空軍も投入し、空爆をしています。

「フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は23日夜、南部ミンダナオ島全土とその周辺地域に戒厳令を布告した。同島南ラナオ州の州都マラウィ市で、ISIS(自称イスラム国)とつながりのあるイスラム系武装組織と政府軍の間で衝突が激化したからだ。
東南アジアにおけるISISの指導者と目されるイスニロン・ハピロンが潜伏するマラウィ市内でフィリピン軍が捕獲作戦を行った際、ISISに忠誠を誓うマウテグループの戦闘員らが政府軍に発砲して銃撃戦に発展。衝突により、周辺の住民に外出をやめるよう通達が出た。同市では27日以降、反政府勢力が病院や刑務所などを占拠している。
戒厳令の期間は60日。ドゥテルテは以前から、イスラム系武装組織との闘争が続くミンダナオ島に戒厳令を敷くと公約していた。フィリピンは国民の大多数がキリスト教徒だが、2016年以降は同国南部が実質的な「ウィラーヤ」(イスラム国の支配地域)になるのではと懸念されていた」(ニューズウィーク5月29日)

練度が高いとは決して思えないフィリピン空軍の空爆は、シリアの例を見ると、市民の多くを巻き添いにし、結果的にISの側に走らせる原因を作る危険がありますのでお勧めできません。

占拠を続けるのはイスニロン・ハピロンが幹部を務めるテロ組織アブ・サヤフ・グループです。

Photo_5イスロン・ハビロン

アブ・サヤフは単一のテログループではなく、ジェマー・イスラミヤ、アルカイダなど世界的なイスラム・テロリスト・ネットワークと連動して動いています。
.アブ・サヤフ - Wikipedia

Photo_7IS旗を掲げるアブ・サヤフ

このハビロンは、2014年にISに加わり、シリアでの戦闘にも参加し、シリアのISの職業的戦闘員を100名ちかくミンダナオに連れて来ていると見られています。

そしてこの受け皿となったのが、地元のイスラム過激派です。

彼らは2016年1月には、ミンダナオにおいて、ISのカリフ制国家を樹立したと宣言しました。

これはフィリピンの4ツの過激派組織が手を組み、ISの指導者バグダディに忠誠を誓ったものです。

ドゥテルテはこう警告しています。

「ドゥテルテは戒厳令下のイリガン市で26日、政府軍の兵士を前に演説した。「ISISはすでにフィリピン国内にいる」「私からテロリストに告げるメッセージは、今ならまだ対話を通じて事態を打開できるということ。もしお前たちに停戦の覚悟ができないならそれまでだ。戦争になるぞ」(ニューズウィーク同)

おそらくマラウィ攻防戦は、かなりの長期戦になると思われます。

フィリピン軍は市民の人質をとられた状態ですので、力攻めをしにくいために長期戦を前提とした包囲戦と海上封鎖で対応すると思われます。

ミンダナオは回りが全部海で内陸が熱帯雨林ですので、非力なフィリピン海軍では完全な海上封鎖は不可能に等しいと思われます。

外国海軍の協力が必須ですが、問題はドゥテルテが誰に支援を要請するかです。

ドゥテルテがいままでのように中国を当て込んだ場合、中国海軍は喜んで南シナ海における海上封鎖・警備活動に協力するでしょう。

対IS戦は大義名分として、これ以上のものはないからです。

これがなされた場合、南シナ海の中国海軍の実効支配は完成します。

一方、いまでも既に米軍特殊部隊が軍事顧問としてマラウィにも従軍していますから、米国の支援を要請するという可能性も捨てきれません。

そもそも、ISの今回の攻勢は、ベトナム戦争直後のスービック・クラークの撤去要求と似た構図の下で発生しています。ドゥテルテは米軍との共同訓練すら拒み、反米親中を掲げました。

彼がどこまで本気かわかりませんが、米国に「信用できない同盟国」という強い印象を与えたことは間違いありません。

エドワード・ルトワックなどは゛フィリピンを信用するなと明快に言い切っているほどです。

米国の軍事力を追い出せば、そこに「軍事の真空」と呼ばれる危険な力の空白地帯が生じます。

現在進行形なのが、ひとつが中国の南シナ海の実効支配であり、いままたISがカリフ国の成立を宣言したわけです。

もしフィリピンにベトナム戦当時のような強力な米軍基地があった場合、ISは手をだせなかったことでしょう。

この原因を作った張本人が、今、ISに浸食されようとしているミンダナオを地盤とするドゥテルテだったのは皮肉なことです。

米国がどのていど真剣に対処してくれるかは未知数ですが、このまま推移すれば中国がなんらかの介入をする可能性もあるかもしれません。

それにしてもこんな状況は去年初めから続いていたのに、モリカケ祭りに没頭してまったく一行も報じない日本マスコミもそうとうなものです。

長くなりましたので、今日はこのくらいに。

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「フィッツジェラルド」の衝突事故

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現在分かっている情報の範囲で、米海軍「DDG-62 フィッツジェラルド」の衝突事故について速報します。
フィッツジェラルド (ミサイル駆逐艦) - Wikipedia

これを伝えるNHK6月17日 7時03分)です。

「17日午前2時半前、静岡県南伊豆町の石廊崎から、およそ20キロ沖合で、フィリピン船籍のコンテナ船から「アメリカ海軍の船と衝突した」と第3管区海上保安本部に通報がありました。
下田海上保安部やアメリカ海軍によりますと、衝突したと見られるのは長さ222.6メートル、総トン数2万9060トンのフィリピン船籍のコンテナ船と、長さ154メートル、総トン数8315トンのアメリカ海軍横須賀基地所属のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」だということです」

Photo時事

現時点では「フィッツジェラルド」は曳航されて、横須賀12バースに接岸しています。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170618/k10011021491000.html

「17日、静岡県南伊豆町の沖合でアメリカ海軍のイージス駆逐艦とコンテナ船が衝突し、イージス艦の艦長ら3人がけがをし乗組員7人が依然として行方不明になっています。第3管区海上保安本部はアメリカ海軍とともに乗組員の安否の確認を進めるとともに、アメリカ側と協議しながら事故の状況を詳しく調べることにしています」(NHK6月18日)

米海軍公式発表の写真です。
http://www.cpf.navy.mil/news.aspx/130153

Photo_2USS Fitzgerald (DDG 62) returns to Fleet Activities Yokosuka, June 17. (U.S. Navy/MC1 Peter Burghart)

まず、破損個所ですが、艦の中枢部分とも言えるブリッジ(艦橋)の真下の右舷側の前甲板と後甲板を結ぶトンネル通路周辺が潰されています。

同型のカーチス・ウィルバーの左舷側トンネルです。大変に暗く狭いのが分かります。
Dsc_4959
この一角はブリッジと、その直下にはCIC(戦闘指揮所)があります。

CICは、艦の中枢です。「現代の軍艦における戦闘情報中枢のことである。レーダーソナー通信などや、自艦の状態に関する情報が集約される部署であり、指揮発令もここから行う」(ウィキ)
戦闘指揮所 - Wikipedia

よりによって、イージス艦の脳神経を直撃してしまったことになります。

行方不明者が7名でているそうですが、おそらくこのCICか、近辺の無線室などの区画にいて閉じ込められていると見られます。無事の救助をお祈りします。

※追記 行方不明7名のご遺体が発見され、収容されました。居住区域の瞬時の浸水で亡くなられた模様です。ご冥福をお祈りします。
なお浸水した区域は米海軍の発表では居住区二つ、機械室、無線室とのことでした。

通常戦闘が開始されると艦長はCICに詰めます。艦長も負傷して病院に収容されましたが、交通量が多い海域の航行なのでブリッジにいたかもしれません。

また、コンテナ船はバルバス・バウという球状船首ですので、突き出した部分が喫水線の船腹を深くえぐって、そこから浸水した可能性があります。
バルバス・バウ - Wikipedia

ぶつかったコンテナ船「ACXクリスタル」は貨物船なので、容積トン数(載貨重量トン数)で4万トン、満載排水量で5~6万トンとなります。

一方ぶつけられた「フィッツジェラルド」は軍艦ですので、重量トン数8300tです。

ですから下のNHKのテロップは、意味がない比較です。

Photo_4

現実にはコンテナ船がどれだけ積んでいたのかわからない以上、比較はできません。

満載していたのなら、腰だめでイージス艦5倍から6倍の重量の船にぶつけられたことになります。乗用車とトラックの衝突を想像していただければ近いと思います。

Photo_7ACX Crystal

軍艦なのに簡単に潰れるのかと言っていた人がいましたが、第2次世界大戦時とは違って、現代の艦は機動性を重んじるために軽量に作られていて装甲は張られていません。

ですから、普通の民間艦と変わりません。

ちなみ、イージスレーダーを持ちながらなんで見つけられなかった、とバカを言っているコメンターもいましたが、イージスシステムは対空レーダーで、通常航行時に使っているのは民間船と同じ航海用レーダーです。

廃船にはならないでしょうか、大破です。

イージスの目玉であるSPYレーダーが組み込まれたブリッジ全体が歪んでしまって傾いているために、一回撤去して再構築となるかもしれません。

横須賀は世界屈指の艦船修理能力を持ちますが、修理するためのバース(埠頭)が開いているかどうかの問題があるために、こと次第では本国に送り返すことになるかもしれません。

おそらく修理は1年では効かないかもしれませんが、極度に緊張している朝鮮半島情勢を控えていますので、補充艦艇があてられるかもしれませんが、当然のこととして未定です。

その場合、この時期貴重なMD(ミサイル防衛)艦が一隻減る可能性が出てきました。

■追記 蛇足ですが、朝日の編集員の小滝ちひろという人物がツイッターで「戦場でもないところでなにやってんの、と」などと書き込んでいました。
https://mobile.twitter.com/chihiroktk?p=s

人としての常識を疑います。

あの海域は東京湾に向かう水路と、横須賀に向かう水路が交錯するところで、大変に交通量が多く、ただでさえ危険な水域です。

※「船乗り」さんから訂正を頂戴しました。ありがとうございます。
「東京湾に向かう水路と横須賀に向かう水路が交錯するとありますが誤りです。東京湾(東京・横浜・千葉)に向かう船も横須賀に向かう船もすべて幅1500mあまりの浦賀水道を通らなければなりません。」

しかも夜間で視界は悪かったと思われます。

事故原因が明確にならない前に、7名もの殉職者を出した米艦艇にむかって「なにやってんだ」はないでしょう。

軍隊に対してはなにを言ってもいい、どんなに侮辱してもそれが正義だ、それこそ反戦平和だから許されると勘違いしている朝日らしい言い草です。

※帰港したフィツジェラルドの動画
https://www.dvidshub.net/video/532916/uss-fitzgerald-pull-after-collision

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日曜写真館 6月の宝石

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