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2026年6月 9日 (火)

習近平の訪朝

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習近平が北朝鮮を訪問しています。
表面的には、ロシアとの軍事同盟に邁進する北を牽制し、中国へとたぐり寄せる意図だと報じられています。

「中国の習近平国家主席と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党総書記は8日の首脳会談で、一時冷え込んでいた中朝関係の「完全回復」を国際社会に誇示した。北朝鮮を自陣営につなぎ留め、対米交渉のカードにしたい習氏と、中国からの経済援助などを期待する金氏の思惑が一致した。一方、焦点だった北朝鮮の非核化については前回会談に続いて言及しなかったとみられ、中国が北朝鮮を核保有国だと事実上認める方向にかじを切りつつあるとの観測も出ている」
(北海道新聞6月8日)
中朝首脳、関係「完全回復」誇示 対米交渉優位狙う中国、北朝鮮は援助を期待:北海道新聞デジタル

正恩が本気かどうかはもう少し見ねばなりませんが、 とまれ中朝関係が、とりあえず元の鞘におさまったように見えます。
元の鞘とは、華夷秩序の体系の頂点に位置づけられる中華皇帝を、「兄」とも慕う臣下の「王」の位置に、正恩が形式的には復帰したということです。
ただしあくまでも見た目にはにすぎず、今回の首脳会談はなんと驚いたことに習近平のほうが北に出向いています。
皇帝が臣下に出向くなんて中華秩序はありません。
これはトランプとプーチンが中華皇帝たる自分を慕って北京に詣でたという構図の反対です。

元来、北朝鮮は中国に根深い警戒心を抱いています。
やや極端な表現をすれば、北の「隠れた主敵」は米国ではなく中国です。
かれらが金科玉条にしている主体思想は、元々中国の大国主義に対する嫌悪から生まれた側面があり、一方中国からすれば、北などはしょせん大陸の辺境にある東方野蛮国という蔑視は根深くあるはずです。
だから従って当然、それがノーマルくらいに思って、中国の勢力を北内部に扶植することを続けました。

初代金日成の時の延安派粛清から始まり、北京派との暗闘が続けられてきました。
それが火を吹いたのが、張成沢(
チャン・ソンテク)事件です。

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張は正恩の父親である正日の義弟で、実質的にナンバー2として朝鮮労働党行政部長などを務め、経済政策や対外関係を一手に握っていましたが、クーデターを起こそうとしていたとして逮捕され、高射砲で処刑されたと伝えられています。
なぜ殺されたのか、それは張が親北京派であって、経済を開放改革路線に導き、それに抵抗する正恩をクーデターで抹殺しようとしたからです。
北が頑として開放経済に以降しようとしないのも、すれば中国の経済圏にいやがおうでも吸収されて属国化することを警戒しています。

よくある素朴な誤解に、中朝は同じ「共産主義国家」なのだし、中国は朝鮮戦争で100万もの義勇軍を派遣した同盟関係ではないか、今だって原油をパイプラインで送って助けているじゃないか、というものがあります。
まぁ、表面的にはそうですが、この見方は北朝鮮の側から見たもので、ではなぜ、そんなことを中国がしているのか、という疑問には答えていません。 

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中国にとって、北朝鮮は不愉快、かつ不安定な隣国です。 さらに強い表現を使えば、いつ核攻撃をしかけてくるかもわからない潜在的な「敵」だと考えているはずです。
北の核は、現時点でも北京や経済の中心部である沿岸部を射程内に納めており、軍事的脅威度は韓国などよりはるかに高いはずです。

これらの弾道ミサイルは、大部分は通常弾頭ですが、そのいくつかには核兵器が搭載されていると考えられています。
保有数は、やや古いのですが、米国防総省が2013年5月に提出した「北朝鮮の軍事力2012」年次報告にはこのようにあります。
今は当然格段に増えているはずで、核兵器の小型化、戦力化も完成しているはずです。

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(出典 Military and Security Developments Involving the Democratic People’s Republic of Korea 2012 - U.S. Depertment of Defense
邦訳 http://obiekt.seesaa.net/article/358829852.html

すべての弾道ミサイルが中国を射程内に捉えています。
その気になれば北京を破壊し尽くすことも充分可能です。ただし、そんなまねをすれば北朝鮮という国もなくなるからしないだけのことです。

また忘れてならないのは、北朝鮮から見れば、地上軍を大量に即座に投入できる唯一の国が、中国です。
地政を見れば分かりやすいと思います。 

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上の中朝国境付近の地図をみると、中国と北朝鮮の国境は、鴨緑江という一本の河で隔てられているにすぎません。 
鴨緑江は自然国境としては大変に危うい壁でしかないことがわかるでしょう。
河の中央でも水深は浅く、夏にはじゃぶじゃぶと歩いて横断している庶民が見られますし、冬には凍結して渡れますので、脱北者は全員このルートで逃げています。
歴史的にも、「中国義勇軍」という名の正規軍は、朝鮮戦争時に大挙してここを渡河しています。

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今はこの中国軍が渡河した地点に中北をむすぶ原油パイプラインが走っています。

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かつては援軍で来ましたが、これからもそうとは限りません。
援軍に来たということは、軍事制圧にも簡単に来られるということを意味しますから。 

では、北はなんのために核兵器で国力すり減らし、民を飢えさせてやってきたのでしょうか。
よくある答えに「米国と対等に」というのは間違いではありませんが、半分間違っています。
あんな世界最貧国が「米国と対等」になんて、いかなる意味でもなれっこありませんから。

あえてあるとすれば、陸続きの隣国・中国に飲み込まれないためです。
決して表だってはそうは言わないでしょうが、北に取っての脅威は中国が主で、米国はむしろ従です。

正恩が父親の正日時代と違うのは、核兵器開発と弾道ミサイルを本気で習得し、実戦配備する意志が堅いことです。
彼はいままでのように核兵器開発を、ただの国内向け国威発揚ショーや対外交渉のハッタリと考えずに、実戦を想定した技術開発の完成に重きを置きました。
その意味で、この北の弾道ミサイル実験を米国を振り向かせることが目的ではなく、中国に対する核の抑止力を持つことが目的のはずです。

あくまでも金王家の権力確立の文脈で核が出てくるのであって、「大国と対等になりたい」なんて願望一般ではありません。
つまり、むしろ核兵器は金王朝独裁の背骨であって、独裁体制そのものなのです。
だから彼らは北の独裁体制を守るために3代かけて核開発をし、他の大量破壊兵器と共に密輸することで資金源にもしてきたのです。

そしてその中で作られた北朝鮮特有のメンタリティは、「核ミサイルこそ力の根源である」という一種の核信仰でした。
彼らは核を手放すくらいなら、国が滅んでもいいとすら思っているのです。
国民は飢えてもかまわないと思っています。

社民党の選挙ポスターに「ミサイルよりコメを」みたいな珍スローガンがありましたが、それは正恩にいいなさい。

この核に対する思いとでもいうことの重さが理解できないと、北の核を論じられません。
こここそがリビアのカダフィと北が決定的に違う点ですし、カダフィは核を奪われると、後にCIAが画策した「アラブの春」で抹殺されてしまいました。
正日や正恩はこのカダフィの顛末をよく知っていて、その二の舞はしないと決心しています。
結論を言えば、北は核を絶対に手放さないでしょう、仮に国が滅びても、です。

核は金王家の力の源泉であって、かつ統治の象徴なのですから、核を手放す時は金王家が滅ぶ時です。
自らの領土内に「敵国・中国」の軍事拠点を作るなどとんでもないことだからです。
そんなものを認めたら、そこを足掛かりにしていくらでも軍事介入ができてしまいます。
このように見てくると、北は絶対に羅津(ラジン)港の中国海軍の使用を認めないはずです。

「4月に日本海でロシアとの共同訓練が行われたとの報道はないため、シンクタンク「国家基本問題研究所」の中川真紀研究員は「習氏訪朝時の議題として中国軍による(北朝鮮北東部の)羅津(ラジン)港使用が予定され、その事前調査のために日本海で活動していた可能性はある」と語る。
中国は自国の領土が日本海に直接面していないため、羅津港の利用権取得や、北朝鮮とロシアの国境を流れる豆満江河口からの海洋進出を望んできた。
5月20日の中露首脳会談後に出た共同声明でも豆満江問題に関し北朝鮮も加えた3か国で協議を進めると盛り込まれた」
(産経6月7日)
中国海軍、北朝鮮常駐の動き 日本海で艦船5隻が1カ月活動 中朝会談で港湾使用議題に - 産経ニュース

また非核化などは議題にすらならないでしょう。
習近平にとっても北の核は脇腹に突きつけられた銃のようなもので不愉快きわまりないものでしょうが、彼らが死んでも手放なさないことは分かっているはずです。
中華皇帝たる習近平のほうから北に出向いたのは核があったからだ、くらいに正恩が思ってもなんの不思議もありませんからね。

 

2026年6月 8日 (月)

ウクライナの「押し戻す」戦略が始まっている

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ゼレンスキーがプーチンに直接交渉を提案しました。
もちろんプーチンの答はノーです。

「ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領による首脳会談の呼びかけを退け、「意味がない」との見解を示した。
ゼレンスキー氏は4日に公開書簡を発表。プーチン氏に対し、両国間での4年に及ぶ戦争を終結させるよう求めた。この書簡はプーチン氏がサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで演説する準備を進めていたタイミングで公開された。
しかしプーチン氏はこの提案を冷淡に受け流し、書簡の内容を「無礼だ」と評するとともに、ゼレンスキー氏の真意について疑念を示した。クレムリン(ロシア大統領府)の報道官は、「話し合いたいのであれば、ウクライナ大統領はモスクワに来ればよい」と述べた」
(CNN6月6日)
プーチン氏、ゼレンスキー氏の直接会談呼びかけを拒否 「意味がない」と一蹴 - CNN.co.jp

ひとの国を軍靴で踏みにじっておきながら「無礼だ」もないもんですが、ゼレンスキーはあえて「北朝鮮の支援なくしては戦えない」などといった刺激的、かつそのものズバリの表現を使い、意図的にロシアの支持層とプーチンの分断を図ったようです。

「彼はまた、ロシアが「北朝鮮の助けがなくては持ちこたえられなかっただろう」と主張し、ロシアを同盟国、特に中国に依存する衰退する強大国と描写した。
ゼレンスキー大統領はロシア社会全般に広がっている戦争への疲労感も刺激しようとした。情報機関の資料を根拠に、プーチン大統領が「2027~2028年まで戦争を持続する計画」と主張する一方、ロシア軍の莫大な人命被害も強調した。
ロシアの独立メディア、ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパのキリル・マルティノフ編集長は「ゼレンスキーの手紙がエリート層と軍首脳部内部に少なくない動揺を起こすかもしれない」と評価した」
(中央日報6月7日)

この時期にゼレンスキーが会談を呼びかけたのには理由があります。
ウクライナ軍は今ようやく長い消耗な戦略的対置の時期を終了し、攻勢に打って出ようとしているからです。

「占領地奪還のための消耗戦からロシア領内への戦略打撃によって経戦能力を削ぐことに重点をシフトさせる、ウクライナの戦略が今春から奏功し始め、これに対しロシアは明らかに動揺して、戦争目的に関する説明振りなどを変え始めている」と指摘している」(Foreign Policy5月18日)

事実、書簡当日、プーチンがフォーラムを開いていた会場のサンクトペテルブルク周辺のクロンシュタット海軍基地などにもドローン攻撃が仕掛けられました。
プーチンの面子丸潰れです。対独戦勝利なんじゃら記念日についで二度目の面子潰しとなりました。当然わかってやっています。

実はゼレンスキーとプーチンは、侵攻3年前の2019年12月にパリで会議をしたことがあります。
その時のゼレンスキーにはまだ顔を覆う髭がなく若々しいスーツ姿でしたが、会議の途中に予告なくウクライナ語からロシア語に切り換えてこう語りました。

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朝日新聞GLOBE+

「19年12月9日、パリのエリゼ宮(大統領府)。ゼレンスキー氏は記者会見でドイツのメルケル首相(当時)とフランスのマクロン大統領を間に挟んでロシアのプーチン大統領と一つのテーブルに横並びに座り、記者団に向かって「ウクライナでは誰もロシア語で話すことを禁じていない。それをロシアの大統領にも伝えた」と話した。
そしてロシア語のまま「ロシア大統領と我々は全く逆の見解を持つが、対話で解決策を見つけたい」とも言った。
ゼレンスキー氏がロシア語を話し始めたとき、ロシア語を理解するメルケル氏がそのことに気づいたようで、マクロン氏に目配せして何かをささやき、2人は笑顔を見せた。2人とは対照的にプーチン氏は表情を変えず、下を向いたまま険しい顔でメモにペンを走らせ続けた」
(朝日gloveプラス2022年8月16日)
「タブー」破ってロシア語使ったゼレンスキー氏 侵攻前、プーチン氏とただ一度の対面:朝日新聞GLOBE+

この会議のテーマは、2014年から始まるウクライナ危機を収拾するために開かれました。
ロシアはクリミア半島で親露派を使って「独立」させた後に強引に併合し自国領土としました。
その後同じ手口で東部ドネツクにおいても親露派のゴロツキを蜂起させウクライナ軍と武力衝突させて「独立」させようとしました。
翌15年2月に停戦合意が結ばれましたが、この和平会議はその時ヨーロッパの肝入りで行われたものです。
その後はご承知のように、ロシアは侵略の本性をむき出しにして2022年2月24日に軍隊に国境を越えさせて、今に至ります。

さて、それから4年を越える長い戦いとなりました。
ロシア軍は勝利は見えず、実に50万人もの戦死者をだしていると英国情報機関は公表しました。

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「イギリス最大のスパイ機関によると、ロシアが2022年2月にウクライナへの全面侵攻を開始して以来、約50万人のロシア兵が死亡した。英政府通信本部(GCHQ)のアン・キースト=バトラー長官が27日、就任後の初の公開演説でそうした分析を明らかにした。
GCHQのキースト=バトラー長官はこの日、ロンドンの北西にあり、第2次世界大戦中のイギリスでナチス・ドイツの暗号通信を解読する拠点だった「ブレッチリー・パーク」で演説。「私たちがウクライナへの支持を堅持する中、プーチンは戦場で後退している」と強調した」
(BBC2026年5月28日)
ロシア兵約50万人がウクライナでの戦争で死亡と英情報当局 - BBCニュース

小泉悠氏は「プーチンは国民を消耗品だと思っている」と言っていますが、そのとおりでしょう。
しかし、多くのロシア国民(特にモスクワやサンクトペテルブルクなどの大都市住民)がわが身に跳ね返るものとして戦争を感じることが出来ないうちは、いかに戦死者の山を築こうと城内平和は保たれていました。
しかしいまや違います。ウクライナは戦争を前線から「押し戻し」て、ロシア国内に持ちこんだのです。

Foreign Policyはこのウクライナの「押し戻す」戦略をこのように指摘しています。

「2025年3月、ゼレンスキー大統領はこの戦争を「ロシアに押し戻す」戦略を表明した。これは、ロシア占領地奪還のための膨大な犠牲を伴う攻勢作戦に代えて、ロシア経済の弱体化、軍事生産の麻痺、市民の士気低下を目的とする長距離・非対称戦を採用したことを意味する。今春、この戦略が実を結び始め、激戦の戦況をも変える兆候が見え始めている」
(Foreign Policy前掲)

ウクライナは、長距離ミサイルと高精度ドローンによって、驚異的な射程距離からエネルギーインフラをしらみ潰しにし、さらには戦争継続に必須の兵器・爆発物工場を叩き、軍司令部と兵站拠点を攻撃しました。
これは数撃らゃ当たるとばかりにデタラメに撃ち込んで民間住宅にのみ損害を与えるロシアのそれとは異なり、精密にロシア経済と軍事兵站の心臓部に甚大な被害をもたらしています。

たとえば、ロシア各地の石油精製所の破壊は、ウクライナがロシアの経済生命線の締め付けに成功していることを示しています。
4月から5月にかけて、ウクライナ軍は20の石油精製所と輸出ターミナルを攻撃し、それに成功しています。

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(短報)ロシア領内の石油ガス施設に対する攻撃が増加。石油市場への新たなリスク要因に:石油・天然ガス資源情報 | JOGMEC JOURNAL 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]

  • 1月中下旬に入り、ウクライナによると見られるロシア領内の石油ガス施設をターゲットとした攻撃が頻発している。これまでもウクライナに隣接する州における石油施設(集積基地及び製油所)を対象とする攻撃が、2023年5月に6件、2024年1月にも6件発生した。港、製油所及びガス処理施設における攻撃が6件、内、5件がドローン等による攻撃を受けたものと見られている。
  • 今回の攻撃が注目されるのは、対象施設がウクライナ国境から1,000キロメートル以上離れた地域に及んでいることである。ウクライナから1,200キロメートル圏内には、ロシアの主要製油所が合計14カ所ある。原油の総処理能力は日量260万バレル(ロシア全体の3分2以上)あると考えられており、ロシア産原油輸出におけるバルト海及び黒海の主要石油港も含まれる。今やそれらがロシア・ウクライナ戦争においてロシアの収入を効果的に削ぎ、ロシア国内に混乱をもたらすターゲットとなりつつある兆候を示している。
    (JOGMEC JOURNAL2月6日)
    (短報)ロシア領内の石油ガス施設に対する攻撃が増加。石油市場への新たなリスク要因に:石油・天然ガス資源情報 | JOGMEC JOURNAL 独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構[JOGMEC]

いまやウクライナ軍の攻撃はウクライナ国境から最大1750キロメートル(km)離れた地点までに及び、4年前の射程距離の2.5倍に及んでいます。
これら攻撃により、ロシアは唯一の輸出商品である原油を輸出することが困難となり、イラン戦争による原油価格高騰の恩恵を受けられませんでした。

またまた、防空システムが破綻して上空からの襲撃を防ぎきれないために、飛行場、兵器工場などの軍事施設が撃たれたい放題になってしまっています。
兵站を切断されたロシアは、戦場で前進するどころか停滞から後退局面に陥っています。
毎日盛大に撃ち込んでいたミサイルやドローンは、半導体産業の中枢企業が被害を受けたために操業を呈ししつつあります。
結果、戦争研究所(ISW)によれば、ロシア軍はこの4月、24年8月以来初めて占領地を減らしました。

Foreign Policyは、「ウラジーミル・プーチンは弱体化している、今こそ彼に戦争を終わらせる時だ」と説いています。
トランプさん、いかがでしょうか、いままでさんざんプーチンを応援してきたのだから罪滅ぼしのひとつでもしてみたら。

 

■管理人から
コメント欄から弾かれるという苦情をいくつか戴いております。
これはニフティが勝手にやっているもので、私にはどうにもなりません。
なんせ執筆者の私のすら弾くという豪腕ぶりなのです。
ご辛抱くださるようにお願いいたします。

 

2026年6月 7日 (日)

日曜写真館 予後の子にいたく照る日や梅雨入前

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梅雨入前蝶が別れに来りけり 相生垣瓜人

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山鳩の声のくぐもり梅雨に入る 宮平静子

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山の彩戻して去りし梅雨の霧  吉村玲子

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いつくしま静かに寄する梅雨の波  水田壽子

 

 

 

2026年6月 6日 (土)

辺野古ダンプ飛び出し女性書類送検される

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政権が変わると政府機関が仕事をするようになります。
2年前にもなる辺野古工事におけるダンプ飛び出し女性が地検に書類送検されました。
ふー、やっとかい、このままうやむやでお蔵入りかと思っていました。

司法機関は悲しくやその時の為政者の顔色を伺います。
高江集落を部隊としたヘリパッド反対紛争時は、反対協議会はやりたい放題でしたが、県警は集落が封鎖されても知らん顔、警官のすぐ横で防衛局の職員が暴行されていても素知らぬ顔でした。
デニー県政の先も長くはないと見られたのでしょう。

「沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する工事に伴う土砂の運搬作業現場で2024年、男性警備員がダンプカーにはねられて死亡した事故で、県警は5日にも、現場で抗議活動を行っていた県内の女(70歳代)を重過失致死容疑で那覇地検に書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材でわかった」
(読売6月4日)
辺野古移設抗議巡り警備員はねられ死亡、ダンプカー前に飛び出した70代女を書類送検へ…重過失致死容疑 : 読売新聞 

このダンプ事故の時も基地反対派は、「危険な行為ではないという認識だ。現場では、牛歩で抗議者が道路を横断し終わると、警備員がダンプカーに合図を送り、1台だけ出すという『暗黙のルール』があった」「その『暗黙のルール』に従わず、安全確認もされないうちに2台続けてダンプカーが発進することもあった」と語っています。
つまり工事側が2台続けて出したから事故が起きたというリクツです。
「暗黙のルール」を一方的に破り、工期を早めようとして2台続けて出した「警備員の合図に問題があったのは明らか」ですか。
ダンプの前に飛び出しておいてひかれたら、それは工事側の責任とのこと。
では、工期を早めようとしたのは誰かといえば国でしょうから、この事故は「国の無謀な策謀が招いた死亡事故」ということになるようです。

あのね、こういうリクツが成立するなら、国道で事故れば、こんな国道を作ったのは国だから、国が悪い、補償を寄こせと提訴するのと一緒なのよ。
全部他人の責任、なにがあっても自分は悪くない、相手が悪い、国が悪い、社会が悪い、自分だけが正義だ、これがサヨクの皆さん共通の体質です。

当事者意識がないので、今回の辺野古転覆事故のように表向きは謝って見せても、あとから後からそれを否定する言い訳とも愚痴ともつかない言辞が漏れてきます。
謝罪会見でもサンダル履きで来て、一貫して口をヘの字に結んでふてくされ、なんでオレがこんな場所にに来なきゃなんのだとあたりを睥睨する。
こんなことを一般企業がやれば袋叩きで会社は倒産するでしょうが、「正義の運動団体」はメディアがスルーするから同情すら集めてしまうようです。

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女子高生が死亡した船転覆事故の会見 頭を下げず腕組みで臨む運行団体に「誠意感じられない」の声 – Sirabee

果ては自分たちは「被害者」だといわんばかりの振る舞いに及ぶ。
こういうのを他責体質と呼びます。人格のどこかが欠損しているようです。

このダンプ事故の女性は反対運動界隈では英雄視さえされました。
そして彼女は自らを「フェニックス」(不死鳥)と名乗り、「脚は折れても心は折れぬ」とイキみました。
おいおい、あんたの無謀な行為で人を殺しているのに、まるで殉教者のような心境です。
この亡くなった誘導員はこの女を助けようとしたのですよ。
これが人の所業か!

今、盛んに文科省の辺野古転覆報告について、「踏み込みすぎだ。教育を萎縮させる。浅い教育しかできなくなる」という批判がなされています。
どっちに向いて言っているんだという類の非難です。
文科省の報告は学校が行った研修で生徒の人命が失われたという事態の重さに則しています。
そもそも学校法人と抗議船運営団体が違法な運航をしたことから事故は発生しており、その後のずさんな対応が批判をいっそう問題をこじらせました。

では、「浅い教育」ではなく「深い教育」とはなんなのですか。
デモ行進に等しい抗議船に乗せて、敵である海保と戦って見せることなのでしょうか。
ならばいっそう生徒を反対協議会がやらせているダンプ前飛び込みを生徒にさせる「深い教育」をさせればよかった。

このような「平和運動」の過激な危険行為は沖縄では日常茶飯事で、枚挙に暇がありません。
反対運動が実効支配した地域は必ず無法地帯と化します。
高江や辺野古のように、警察が見て見ぬふりをしていたために反対運動はここを治外法権多と錯覚しているようです。

車の下に多数がもぐりこむのは常識。車で県道を封鎖することも朝飯前。
下写真は、当時の高江における反対運動を撮った写真です。
当時過激化した反対運動が高江地区を実力で「実効支配」していました。
「実効支配」はただの比喩ではなく、高江集落の生命線を反対派が握ってしまったからです。

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出典不明

当時、高江集落に続く県道は反対協議会の手によってことごとく封鎖されました。
これは反対派が車両を組織的に乗り捨てたからです。
これが「非暴力」?、笑わせないでください。
ひとつの僻村の喉頸を締め上げておいて、なにが非暴力だ、笑わせないでほしい。

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防衛局

外部に繋がる道路をすべて封鎖された高江集落は存亡の危機に陥りました。
生活物資は来ない、畑に行くこともなきない、学校にも行けないのですから。

高江で進む反対派の「ムラ殺し」: 農と島のありんくりん

こういう所業はすべて反対協議会がやってきたものです。
これが民主主義でしょうか。
こいうことを知っていて反対協議会が運営する抗議船に生徒を乗せたとしたら、同志社国際高校も同罪です。
違うというなら、教育と社会運動の次元の違いをわきまえてものを言いなさい。

 

 

2026年6月 5日 (金)

怪人トランプのネーミングのセンスと食生活

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まったくトランプ親方は素頓狂の帝王です。
イランとの戦争の真っ最中に巨額のカネをかけてしているのが、国防総省(United States Department of Defense、 USDOD) を「戦争省」(United States Department of War DOW )に改称するというどーでもいいこと。
あれだけの巨大組織だから、看板からレターヘッドに至るまで替えなければならず、その費用が1億2500万ドルというんですからアホですか。

「(CNN) トランプ米大統領が昨年9月に署名した大統領令に基づき、国防総省を「戦争省」に改称する費用は最大1億2500万ドル(約198億円)に上る可能性があることがわかった。議会予算局(CBO)が14日に公表した推計で明らかになった。
CBOが民主党上院議員2人に宛てた書簡によると、国防総省がどのように名称変更を実施するかによって費用は1000万ドルから1億2500万ドルの間で変動する可能性がある。議会が国防総省にならって法的名称変更を進めれば、「数億ドル」かかる可能性がある」
(CNN1月16日)
米国防総省、「戦争省」への改称費用は最大198億円 議会予算局推計 - CNN.co.jp

考えてみりゃわかりそうなもんですが、あれだけ巨大な組織ですから公式文書の数もハンパじゃありません。手間とカネがすさまじい。
それに改称するには議会承認がいるのです。
だから2025年9月にトランプが名前代えるぞぉと思いついてから今に至るまで正式に改称されたわけじゃなくて、「国防総省」は公式文書に使い、非公式には「戦争省」と使い分けています。頭がグルグルします。

「戦争省 (Department of War) へと恒久的かつ正式にへ改称することを目指す意図を発表したが、それには連邦議会の承認が必要なため、実際の改称が施行されるまで国防総省の補助的名称として戦争省の使用を認める大統領令に署名した。CNNによると、具体的には「国防長官・国防総省及び同省に配属された職員に対し、公式文書・公的発表・式典および行政府内の非法定文書において、「戦争省」「戦争(副)長官」といった称号を使用することを認める」というもの。当面は従来の「国防総省」に次ぐ補助的な名称として併用するとしたが、公式ウェブサイトも刷新され、URLは「Defense.gov」から「War.gov」へと変更された
アメリカ合衆国国防総省 - Wikipedia

それにしても「戦争省」ですか、趣味悪い。ヘグゼスなんか戦争省長官となって、これじゃあまるで戦争狂みたいです。
戦争省長官が出てきて、和平を説いてもウソ臭い。対外イメージ最悪ですが、いいんでしょうか。
それにしてもなんつうネーミングの趣味の悪さ。

さてトランプが大のジャンクフード好きだというのは有名で、安倍氏の頃に訪日した時はわざわざ「最高級ジャンクフード」(語義矛盾)を作ってもてなしたそうです。
いまでも片時もスナック菓子を手放さずボリボリ食いながら、食事はハンバーガーとコーラで済ますんだそうです。
冷えたコーラを直ちに持って来させるボタンまで執務室の机にはついているのだとか。
きっとトランプの大統領晩餐会もビッグマックだという話ですから(←真偽不明)、チャールズ国王にも食わしたのかな。
これをバラしたのは閣僚でした。

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「偉大なるアメリカの食べ物」トランプ大統領、ホワイトハウスでハンバーガーをふるまう

「ホワイトハウスのミラー大統領次席補佐官の妻、ケイティ・ミラー氏が司会を務めるポッドキャスト番組に出演したケネディ氏は、一番「とんでもない」食習慣の持ち主は誰かと問われ「大統領だ」と回答。ミラー氏の笑いを誘った。
ケネディ氏は続けて、「興味深いことだが、大統領は本当に悪い食べ物を口にしている」と指摘。具体的にはファストフードや菓子類、炭酸飲料などを挙げた。
特にダイエットコークについては四六時中飲んでおり、人間とは思えない「神のような体質」だと強調。「どうして生きていられるのか分からない」ほどだと語った」
(CNN2026年1月17日)
ケネディ米保健福祉長官、トランプ氏の「とんでもない」食習慣を暴露 「どうして生きられるのか分からない」 - CNN.co.jp

保健省長官のロバートケネディジュニアというのも笑いを誘います。
彼は例のケネディ兄弟の弟ロバートの息子で、キャサリン・ケネディ元駐日大使とは従姉妹にあたります。
彼女はバリバリの民主党リベラルですから、さぞかし仲が悪いでしょうね。
このロバートジュニアもそうとうにカルトが入っていて、反ワクチンの旗手で、就任するやいなやメッセンジャーワクチンのを進めてきた諮問委員全員を全員首にしてしまいました。
そのロバートジュニアが「神のような体質だ」と感嘆するのですから、トランプはそうとうなもんです。

ニューズウィークはトランプの好みのブランドまで書いています。

「彼のファストフード好きは有名で、定番はマクドナルドのハンバーガーとケンタッキーフライドチキン。昨年の大統領選中の対話集会で、好きなマクドナルドのメニューを問われたトランプは「ビッグマックは素晴らしい。クォーターパウンダーもね。あれはうまいぞ」と熱弁をふるった。
トランプは塩辛く、脂っこく、見た目にもシンプルな食べ物を好むほか、調理法や衛生管理にもうるさい。トランプは前述の対話集会で「客に1個でも腐ったハンバーガーを出せば、店が潰れてしまう(から出さない)」と言った。「食材の出所もわからないような店で食べるより、ハンバーガーを食べるのが身のためだ」
(ニューズウィーク2017年05月19日)
初外遊の憂鬱、トランプはアメリカ料理しか食べられない! | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

安倍さんも凝った「最高級ハンバーカー」なんぞ出さないで、そこらのマックバーガーとケンタッキーだして上げればご満悦だったのにね。

 

 

2026年6月 4日 (木)

なぜイラン戦争和平交渉はわじわじとするのか

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うーん、ワジワジとする。
停戦発効は4月8日ですから、すでに2カ月余り。
戦闘期間以上に長い交渉をしているのにかかわらず、まったく着地しないのはなぜなんでしょうか。
トランプは最後の最後でイエスと言わず、イランはあいも変わらず周辺諸国を攻撃し続けています。
昨日はクウェートの空港施設を攻撃して大きな損害を与えています。

[ドバイ 3日 ロイター] - クウェート外務省は3日、国際空港や外交関係施​設などの民間施設を標的としたイランの攻撃‌で1人死亡したと発表した。損害を受けた具体的な外交関係施設は明らかにしていない。保健省は、空港職員や乗客を含​め、少なくとも63人が負傷したとしている。
国​営通信社によると、未明にクウェート国際⁠空港が攻撃を受け数人が負傷、空港第1ターミナル​の建物が「深刻な損傷」を受けた。クウェート航空​は、3日の運航スケジュールを変更すると発表したが、その後まもなく、民間航空局が運航を再開したと明らかにした。
バ​ーレーン軍は声明で、ミサイル3発とドローン数機​を迎撃したと発表した」
(ロイター2026年6月3日)
クウェート攻撃で1人死亡、60人余り負傷 米支援の代償とイラン | ロイター
たしかアラグチ外相は中東諸国はフレンドだ、攻撃はしないなんて抜かしていませんでしたっけね。
例によってイランの口約束は信頼できないということです。
クウェートは怒りにふるえてこんな外務省声明を出しています。めったに日本では報じられませんからアップしておきます。
「(クウェート)外務省はクウェート国を最も強い言葉で非難し、攻撃を表明します‎‎イランによる弾道ミサイルやドローンの残酷かつ継続的な使用は、最新のものが本日の夜明けに行われ、再びクウェート国際空港を含む民間および重要施設を標的にし、1名が死亡、他者が負傷、さらに外交使節団を含む重要施設にも損害を与えた。
同省は、イランによる露骨な攻撃を断固として拒否し、さらなるエスカレーション、緊張の激化、地域の安全保障と安定を損なうものであり、国際法の規則である国連憲章および2026年安全保障理事会決議2817号の明白な違反であることをクウェート国が断固として拒否する。
同省は、クウェート国家の安全、主権、安全および市民・住民の安全は手の届かないレッドラインであり、これらの攻撃の再発は攻撃的かつ組織的なアプローチであり、クウェート国はこれを容認しない」
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一方、米国は限定的ながらイランに報復攻撃を加えています。
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BBCニュース

「米ホワイトハウスは最新の発表で、双方の交渉団がさらなる協議を可能にするため、停戦を60日間延長させる枠組みで合意したと説明した。ただ、ドナルド・トランプ米大統領の承認がまだ必要だとした。イランはこれが正しいのか明らかにしていない。
停戦は4月8日に発効。その前の活発な戦闘期間よりも大幅に長く続いている。だがこの1週間、試練にさらされてきた。
米中央軍(CENTCOM)は、イラン南部の港湾都市バンダル・アッバスにある「地上管制施設」などを空爆したと発表。これに対しイランも、「攻撃が見過ごされることはない」などと警告した
その後、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は、米空軍基地を攻撃したと発表。どの基地なのかは明かさなかった。のちに米中央軍は、複数の米軍基地があるクウェートの上空で弾道ミサイルが迎撃されたと説明した」
(BBC2026年5月29日)
【解説】 米国とイランは和平に近づいているのか、再び戦争へ向かっているのか - BBCニュース

この交渉停滞の原因はイランが分裂しているからだと米国は見ています。
米国側はスッキリとトランプが最終的に意思決定する仕組みがありますが、イランは窓口が外相のアラグチなのか、革命防衛隊のボスのガリバフなのか、それとも他にいるのかさえも闇の中です。
おそらく焦点は核問題です。
国務長官のルビオはこう言っています。

「一方、ルビオ氏は公聴会で、イランがこれまで拒否してきた核問題に関する協議に応じる姿勢を示していると証言。詳細は明かさなかったものの、ルビオ氏は「1カ月前には話題にすることさえ拒んでいた問題だ」と述べ、交渉は進展していると強調した」
(産経6月3日)
米イラン交渉長期化の理由は「内部亀裂」 米国務長官が説明、回答に「3~5日かかる」 - 産経ニュース

たぶんすでに高濃縮された兵器級の核物質を国外に出すか、出すとしたら米国か第三国かあたりでスッタモンダしているのかもしません。
イランとしてはなんとか「勝った」形で終わらせたい、米国もなんとか「勝った」形にしたいというせめぎ合いなのかもしれません。
米国にすれば核物質を温存して手仕舞はありえない、それならトランプが口汚く罵っているオバマの核合意と変わらないわけです。
とりあえず和平合意して、延長交渉で交渉継続というのが交渉団の意向のようですが、ならばそもそもイラン戦争なんぞやらにゃよかった。

そしてもうひとつの交渉遅延は、米国があえてしているという説です。
ほんとうにトランプがこう言ったかどうかはわかりませんが、「ホルムズ海峡で動けない国は、台湾でも動けない」ということがあります。
これは言ったか、言わないかを別にして、反面の真実であることに間違いありません。
元西部方面総監部幕僚長福山隆氏は、これは米国があえてホルムズ海峡の打通を遅らせているのではないかという見方を示しています。

「空母打撃群と高い掃海能力を持つ米海軍にはホルムズ海峡の打通能力があると見られる一方、政治・戦略面では、(同盟国の負担分担や対中抑止の観点から)早期全面打通を急がないという判断が生じ得る。(略)
ホルムズ海峡が封鎖されても動けない国は、台湾有事の際にも動けない。米国は同盟国の「覚悟と実動能力」をここで測るはずだ。

ホルムズ海峡封鎖は、米国にとって中国への圧力装置であり、同盟国への忠誠テストと言っていい」
(福島隆3月8日)
ホルムズ海峡封鎖が日本の戦後を終わらせる可能性、高市訪米でトランプが突きつける同盟の最終試験とは(1/4) | JBpress (ジェイビープレス)

ほんとかな。いかにも自衛隊の将官が言いそうなことですが、トランプに西側盟主たる自覚なんかあるとは思えません。
彼には台湾を守る気はないし、中国と対抗してまで自由主義陣営を防衛する気もなさそうに見えますが。

 

2026年6月 3日 (水)

プーチン、財政当局からいいかげんにしろと言われる

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とうとうプーチンの財布がショートしたようです。
ブルームバークはこのように報じています。

「(ブルームバーグ):ロシア政府の高官らはプーチン大統領に対し、ウクライナ戦争への支出が財政的に維持できない軌道に乗っていると警告した。ウクライナ侵攻が始まって以来、最も深刻な亀裂がロシア政府内部で表面化した。
事情に詳しい関係者の発言と、ブルームバーグ・ニュースが確認した文書によると、ロシア財務省と中央銀行の当局者らは、現在計画されている国防支出の水準では政府の財政赤字が危険なほど拡大する恐れがあるとクレムリンに進言した。
関係者らによると、ここ数カ月でロシア経済と国家財政の状況に対する懸念を強めている当局者らは、国防支出の新たな削減を提案した。逼迫する財政を立て直すには、さらなる効率化が不可欠だと助言しているという」
プーチン大統領に異例の進言、戦費維持困難とロ財務省・中銀高官 - Bloomberg

ウクライナ侵略後、ロシアは軍事行動や占領地の維持のために大きな歳出を続けています。
軍事支出はいかなる財政支出項目よりも優先されており、軍や治安機関、軍需産業への支出が膨らみ続けてきました。
その結果、社会保障やインフラはおざなりとなり、一にも二にも軍事優先の予算配分になっていました。

「2025年度予算案では軍事費が今年度予算比25%増の13.5兆ルーブル、歳出全体の32.5%に達することが示された。
4年ほどで国防費は2.5倍となり、前線の戦況悪化で人件費が増大しており、軍備増強の動きも関連費用の膨張を招いている。
なお、国家安全保障関連費を併せると歳出の4割強に達するなど、軍への依存度が高まる動きもみられる」
(西濵徹 第1生命経済研究所2024年10月2日)
ロシアは経済を維持する観点から戦争を止められないのかも ~25年度予算案で軍事費は25%増、歳出全体の3割強を占めるなど、戦争が一大産業と化している~ | 西濵 徹 | 第一生命経済研究所

軍事支出が国家支出の実に4割強ですって!
うちの国が2%にすると野党や中国から「新軍国主義」だなんて言われるんですから、のどかなもんです。
これだけ戦争という非生産的分野に予算投入すれば、皮肉なことに現象としてはGDPは伸びますわな。
大砲の弾や戦車でも、道路などのインフラの補修でも、教育福祉だろうがカネが動けばGDPは増大しますからね。

戦争経済はいわばアドレナリン出っぱなしの経済状態ですから、身体に大きな負担をかけます。
その結果、たいへんな財政赤字を生み出します。
財政赤字を増やすまいとすれば、軍事支出以外の支出をカットするしかありません。
つまり戦争を止めること、それしか処方箋はないのです。

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「墜落」するロシア財政。過去最大の赤字にプーチンはどう向き合うか | Business Insider Japan

「関係者の一部によると、プーチン大統領は財務省当局者に対し、国防費に手を付ける前に他の分野で歳出を削減するよう求めた。懸念の内容や規模は公表されておらず、関係者はいずれも匿名を条件に話した」
(ブルームバーク前掲)

頼みは石油しかありません。ロシアはモノカルチャー国家ですから、石油以外に売るもんがありません。
一時的にイラン戦争で原油価格が上がったのは福音でしたが、まったく足りません。

「情報筋はブルームバーグに対し、中東戦争による石油収入だけでは不十分であり、ロシア経済を改善するためには少なくとも1年間は1バレルあたり100ドル以上を維持する必要があるとのことである。
情報筋は、このような持続的な高価格でも、ロシアの経済成長、インフレ、銀行セクターに影響を与える構造的問題は解決しないと指摘した。ロシア財務省は4月9日に、2026年の最初の3か月でロシアの財政赤字が4.58兆ルーブル(約635億ドル)に達し、2026年全体の計画赤字である3.79兆ルーブル(約525億ドル)をすでに超えていたことを認めた」
ロシア攻勢作戦評価、2026年6月1日 |ISW

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プーチンはバクチ打ちの心境に陥っているんでしょうな。
初めはチョロイと思って大バクチをかけたら失敗し、なんとかその失敗を埋め合わせるためにバクチを繰り返したが、とうとう胴元から、お客さんゼニがないと勝負はこれ以上できんよと宣告されたというわけです。

「プーチンが防衛費削減や戦争規模縮小を拒む姿勢は、プーチンが近中期で戦争に勝てると信じており、ロシア経済がそれまで持ちこたえられると考えていることを示唆しています。
ISWは最近、プーチンがロシア軍のウクライナでの成功について、ロシア軍の上層部からの大幅な誇張された主張に基づいて誤った認識を生み出している可能性が高いと評価しました。 プーチンの戦場状況の誤解は、戦争支出を高額に保つこと、そして軍事目標達成のために戦争を継続するという彼の姿勢に拍車をかけている可能性が高い」
ロシア攻勢作戦評価、2026年6月1日 |ISW

プーチンは全体主義国家の哀しさで取り巻きにはイエスマンしか置いていません。
だからゴマスリ共が「へぇ閣下、勝っておりますだ。もう一息でゼレンスキーは降伏を言ってきます」という甘言にとろかされていたのです。
だから財政当局に、もうしばらく我慢すれば勝って終わるから待て、と言っていたのでしょうね。

かくしてウクライナ戦争は完全に泥沼化してしまいました。
今年に入ってロシアはまったく支配地域を増やすどころか減少させています。
つまりプーチンの思惑どおり勝てるどころか、じり貧になっているのです。

「ウクライナ軍はこれまでのところ、ロシアの2026年春夏の攻勢をほぼ食い止めており、2026年5月のロシア軍は2025年5月の領土のごく一部にしか駐留していません。 ISWは、2025年12月から2026年5月の間にロシア軍が40.64平方キロメートルを掌握または浸透した証拠を観察しました。しかし、ロシア軍は同じ期間にロシア軍が支配する領土のみを考慮すると、281.1平方キロメートルを失いました」
ロシア攻勢作戦評価、2026年6月1日 |ISW

ロシアは侵攻の勢いをとうに喪失し、持久戦からいまや後退戦に移りつつあります。
いまや戦線を維持することも出来ず、ジリジリと支配地域を失っているようです。
プーチンのギャンブルも終わりは近いのかもしれません。

こんな状況のなか、ナチをトチ狂ったのかプーチンはルーマニアにドローン攻撃を仕掛けました。
こんな状況で自動参戦条項を持つNATO加盟国を攻撃するとは、もうこの男壊れてしまったのかもしれません。

 

 

2026年6月 2日 (火)

中国、シャングリアダイアログやっているさなかに尖閣侵犯

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アジア安全保障会議シャングリラダイアログが開かれました。
シャングリアダイナログと言うと、なんかヒマラヤにある神秘の秘境で清い会話でもやっているようですが、ただの開催ホテル名だというだけで、中身は実にエグイ。

アジアで安全保障の国際会議をやるっていうんですから、当然その中心には中国がいらしてくれねば話になりません。
それが安全保障対話なのに国防大臣が欠席というんですから、なめているというか、ハナから「対話」なんぞに関心がないかです。

アジア安全保障会議シャングリラ・ダイアローグ)が31日、閉幕した。中国は国防相を2年連続で派遣せず、中国の演説枠も直前でキャンセルとなった。軍事力を急速に拡大する一方で、閉鎖性が高まっている状況への懸念も出ている」
(朝日2026年5月31日)
アジア安保会議、2年連続で国防相欠席の中国 高まる閉鎖性に懸念も:朝日新聞

「閉鎖性」もなにも、今まで中国が透明性のある「対話」なんかしたことがあるのですかね。
対話なんぞ実力行使までの時間稼ぎ、というのが中国の流儀でした。
今までこの会議では中国による南シナ海問題が何度も提起されてきました。
フィリピンは初期の頃から、中国の人工島問題に注意を喚起し続けていましたが、対中融和ベッタリだったオバマはハナもひっかけませんでした。
ですから、アジアの海洋安全保障に重大な危機を与えている南シナ海の軍事要塞化はすべてこのオバマ時代に完成しています。

2015年には、オバマ・習近平会談で、習は南シナ海の人工島に関して、軍事利用しないと国際社会に明言してていましたが、当然そんなことは空約束でしかなく、米中会談後に中国がやったのは領有権の主張と軍事要塞化でした。
怒ったフィリピンはこれを国際仲裁裁判所に訴え、2016年に勝訴したのですが、中国はこれをガン無視し、言った台詞が「中華人民共和国外交部は、その裁決が無効であり、拘束力を持たず、中国は受け入れず、認めないことを厳粛に声明する」だったのですから、もう止める者はいないやね。
中国外交部の報道官なんぞ「判決なんか紙屑だ」とまで言うんですから手に負えません。

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南シナ海紛争海域で中国とフィリピン間の緊張が続く中、ベトナムも紛争海域の暗礁を島にする作業に速度を上げていると伝えられた。25日(現地時間)、香港サウスチャイナ·モーニング·ポスト(SCMP)によると.. - MK

そして、その後も開発を進め、フィリピンに対する軍事的圧迫を強めています
上の写真はスプラトリー諸島ですが、小さな岩礁の上に海底の土砂を汲み上げてとうとうこんなリッパな要塞島を作ってしまいました。

そのうえに乗っているのは、戦略爆撃機が離発着できる大型滑走路と軍艦が寄港する軍港でした。
他人の国の領海に堂々と軍事基地を作るのですから、これを侵略といわずナニを侵略と呼べばいいのでしょうか。

これに対して、フィリピンは米国への救済を求めました。
真っ先にやったのは、1989年の冷戦終結後に返還を求めたクラーク空軍基地やスービック軍港の復活でした。
バカだね、この二つの基地があれば中国は南シナ海に手出しできなかったのにね。幼稚なナショナリズムのつけを支払わされたのです。
沖縄に基地があるから戦争に巻き込まれるなんていまでも言っている人たち、こういう例を見てから言いなさいね。

日本もレーダーや移動式ミサイル、巡視艇などの供与を行ってきましたが、今回のシャングリラダイアログでは、それを一歩進める形で、海事のあぶくま型護衛艦などの供与を開始します。
ほんとうにいいことです。具体的には大変でしょうが、ここでやらねば、次は日本に降りかかってくるのです。
尖閣がスープラトリーになってからでは遅いのです。 

また、もうひとつのテーマであるはずの核保有について「対話」はまったく無力でした。
中国の核武装が、他の常任理事国、別名「核クラブ」と本質的に異なるのは、いかなる軍縮条約にも加わらない無制限な核保有国だということです。
中国は世界で唯一いかなる核軍縮条約にも参加せずに、核軍拡を続けた国なのです。
世界の核保有国は、最大手の米露などは核軍縮条約で保有数を厳しく制限されています。
しかしこの核軍縮の枠組みに入ることを再三に渡って国際社会から要請されながら、中国は一貫して核軍縮に加わることを拒み続けています。

「複数のホワイトハウス当局者がCNNに語ったところによると、政権内部では新STARTの失効後、中ロと「すべての兵器、弾頭、ミサイル」を対象とした新協定を結ぶ案が検討されている。
トランプ氏は3日、すでにプーチン・ロシア大統領や中国政府と3カ国協定について協議したと述べ、「中国も参加を強く望んでいる」「実は貿易交渉の場でもその話になった」と主張していた。
しかし中国外務省の報道官は6日の定例会見で、「中国の軍縮問題をどの国が取り上げることにも反対する。3カ国間の核軍縮協定に向けたいかなる交渉にも参加しない」と明言。世界最大の核保有国である米ロの軍縮が先決だと強調した」
(CNN2019年6月7日)

核兵器禁止条約を進めるNGOは口を開けば、日本政府が締結しないのはおかしいと難癖をつけてきましたが、どっち向いてしゃべってんだか。
本気で彼らが「核なき世界」を作りたいならば、抗議行動は北京でするべきです。
なぜなら世界の核大国で唯一核軍縮には目もくれず、核の爆買いに走っているのは世界ひろしといえどこの国だけなのですから。
おっと違った、イランと北朝鮮もありましたっけね。みんなお仲間だ。

とまれ一切の核軍縮条約に縛られていないため中国はやりたい放題です。
新疆ウィグル自治区で、新たな核発射施設が110基も建造されていることが発見されましたが、こういうことを規制しないでなにが「対話」ですか。

そして口を開けば中国が言うのは、「アジアの被害国に対し日本から謝罪や反省の表明がなされていない。日本は新型軍国主義だ」という使い古された歴史認識カードです。
おいおい、あんたに言われたくはないね。
小泉氏が即座に反論しています。

「名指しを避けつつ、中国を念頭に「核兵器と戦略爆撃機を大量に保有している国が、そのいずれも持たない日本を『新型軍国主義』と呼ぶのはおかしい」と反論。「平和国家としての日本の歩みは地域と国際社会によって評価されている」と述べた。「不透明な軍備増強や意図の見えない行動は不信と誤算を招く」とも指摘した」
(産経5月31日)
「虚偽の主張」「不透明な軍備増強」小泉防衛相が中国非難 アジア安保会議で演説 - 産経ニュース

はい合格です。ジュニア、いつからこんなに賢くなったの。
こんなたわけた非難を聞き流してはダメ。直ちにその場でやり返さないと相手の暴論を容認したことになっちゃいますからね。 

なお、中国はこのシャングリアダイアログをやっている最中に、尖閣海域に海警を2隻侵入させてきました。

「第11管区海上保安本部(那覇市)によると、25日午後3時11~13分頃、沖縄県石垣市の尖閣諸島・南小島沖の領海に、中国海警局の船2隻が相次いで侵入した。2隻とも砲を搭載し、同日午後3時半現在、領海内を航行している。近くで日本漁船1隻が操業しており、海上保安庁の巡視船が警戒するとともに、海警船に対して領海からの退去を要求している。海警船の領海侵入は7日以来」
(読売5月26日)
尖閣諸島領海に中国海警局の船2隻が相次いで侵入…2隻とも砲搭載、近くで日本漁船1隻が操業(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

対話の催しの真っ最中に他国を侵犯する、これが中国という国の流儀です。

 

2026年6月 1日 (月)

小泉氏、ドローンに覚醒す

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いままでこの人物だけに首相はさせたくない政治家のトップに輝いていた小泉大臣ですが、高市政権でがぜん覚醒してしまいました。
いままでのようにお花畑に遊ぶ少年を辞めて、リアルな政治家に生まれ替わっています。
ま、環境大臣だった頃も、世界トップモードに対しては異常に敏感だったので、今回もそれかもしませんが、方向は決して間違っていません。
むしろ国防という堅牢な世界に風穴を開けるにはうってつけのキャラなのかもしれません。

防衛省は大胆に無人機を導入しようとしています。
公表されたのは3月のことですから、防衛省はその検討段階まで含むと1年以上前から練っていたのでしょう。
その名も「シールド」だそうです。
こういうネーミングに凝るのがいかにもジュニアらしい。あ、いかんまたくさしてしまった。

「日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、防衛省はドローン数千機を活用した沿岸防衛体制「シールド」の構築を目指している。運用には訓練環境や生産基盤など克服すべき課題も多く、自衛隊は世界的に進む「新しい戦い方」への対応を急ぐ。
 シールドは敵艦艇の迎撃や情報収集、レーダーサイト防衛などを担う10種類以上のドローンを組み合わせ、侵攻を試みる敵を多層的に食い止める構想。同省は2026年度予算案に約1000億円を計上し、27年度中の実現を目指す」
(時事3月13日)
大量ドローンで沿岸防衛 数千機導入、課題も―「新しい戦い方」へ対応急務・防衛省:時事ドットコム

防衛省の「シールド」構想はこうです。

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防衛省はこう説明しています。

無人アセットによる多層的沿岸防衛体制【SHIELD】の構築
近年、諸外国において無人アセットの導入及び技術革新が進展したことに伴い、戦闘様相も大きく変化。我が国においても、高価な有人アセットを含む侵攻部隊から我が国を防衛するため、有人アセットのみならず、安価かつ大量のUAV・USV・UUVを活用し、これらの組み合わせによる非対称的かつ多層的な防衛体制の早急な整備が、これまで以上の喫緊の課題。
これまでの各種実証試験の実施に加え、最新の技術を有する各種アセットの出現により、広範な無人アセットを短期間で大量に取得可能な状況が到来。
そのため、令和8年度概算要求においては、1,287億円を計上してこれらの取り組みを進め、令和9年度中に無人アセットによる多層的沿岸防衛体制【SHIELD】を構築。
また、これらの取り組みと並行し、各無人アセットを一元的に管制するシステムの早期導入も追求
(令和8年度概算要求~重点ポイント)

どうしてこうわかりにくく説明するんだろうと思いますが、従来の離島防衛の概念はこうです。
下図と上図とを較べてみて下さい。上図には無人機なんかぜんぜん姿がありませんね。

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防衛省・自衛隊|令和5年版防衛白書|1 島嶼部を含むわが国に対する侵攻への対応

従来のイメージは、押し寄せる中国上陸艦隊に対して、陸上からのスタンドオフミサイルで叩き、F-2で対艦ミサイルを食らわせ、水上戦闘艦や潜水艦からも対艦ミサイルをご馳走し、最後に水陸機動団で奪還するというのが歓迎プログラムでした。
まことにオーソドックスで、これはこれでいいのですが、盲点がありました。
相手が大量のドローンをウンカの如く投入してくる可能性があるのです。

だって中国は世界一のドローン大国だもん。
佃煮にするくらい軍事ドローン持ってるんだもん。使わないわけないじゃないですか。
中国国内には100以上のドローンメーカーが乱立、民間・軍用含めドローンにおいては先進国で世界のトップシェアは完全に中国企業が支配しています。
最近、宮古海峡を偵察しにきたBZK-005などは、100機以上軍が保有しています。
軍事利用が大好きなあの国はとっくの昔にドローンを実戦配備して、台湾や離島攻撃に組み込んでいるはずです。

ところで、日本が手本にしているウクライナは東欧随一のハイテク国で、製造基盤も分厚いものがありました。
対するロシアは黒海艦隊は事実上黒海から追い出され、冷戦の名残でミサイルは腐るほど持っていても、ドローンはイランからのもらいものが主力です。
だから非対称戦が組めたわけです。

ウクライナが今、やっている無人機戦争はこうです。

①上陸船団を連携して叩く
FPVドローンを満載したUSV(海洋ドローン)を侵攻ルート上にばらまいておき、上陸用の舟艇や揚陸艦(軽装甲で密集した、お高い標的)に対して、近くから大量のFPV(一人称ドローン)を同時にぶつけます。
②水際の陣地を潰す火力支援
サーモバリック・ロケット弾を発射するシュメーリが、海岸の軽装甲の車両や橋頭堡を叩く。
③対空ドローン
マグラV5などのUSVで、ヘリや対地攻撃機などを攻撃する。

①から③までが連携し、互いに補完しあって撃退するという仕組みです。
これまんま台湾やわが国離島の防衛に役だつじゃん、と誰しもが思ったのも故無しではありません。
実際に台湾は全力で無人機と取り組んでいます。

しかしヌカ喜びは早い。
相手が基本はたいした先端技術もなく、民生品製造では三流国でしかないロシアには効きました。
ところが、我々が相手とする中国は、世界一の民生品製造国なのです。
米国や日本の下請けをやっているうちに、技術を盗みまくり、技術者をリクルートし、いまや高度な技術を身につけてしまいました。
かくしていまや残念ですがドローン製造でも世界一です。

わが国で使っているドローンをひっくり返してご覧なさい。みんなメイドインチャイナですから。とほほです。

「中国は、年に数百万機の民生用ドローンを生産して輸出する、世界屈指のドローン大国です。大量生産を支える国内産業基盤の裾野も広く、ドローンに必要な部品やソフトウェアは全て自国内で生産しています。 
このような中国製ドローンは、世界市場シェアの8割前後を占めており、ドローン用バッテリーなどの中国製部品は、世界中のサプライチェーンを押さえてしまっています。 
つまり、中国以外の国がドローンを国内生産しようとすれば、「AIの目」で高度な自律飛行ができるドローンを産み出した米国でさえ、中国製部品の入手が必要不可欠になっているのです」
(澤田雅之)
中国は民生用ドローンを年間数百万機生産・・・ウクライナは軍用ドローンを年間数百万機生産|澤田雅之 

ここがロシアとは根本的に違う点です。
だから「弱者がハイテクで強者に勝つ」というウクライナとロシアの非対称の図式は、こと中国相手には通用しないのです。
むしろ先行する中国の水準にどう追いつくのかが現実のテーマなのです。

そこで防衛省が着目したのが、わが国あって中国にはないぶ厚い「町工場」層なのです。

「2026年5月20日、名古屋市にある産業用ドローン(無人機)メーカー「プロドローン」社の工場に、小泉進次郎防衛大臣の姿があった。目の前に並んでいたのは、物資輸送用の大型ドローンや、完成したばかりの「攻撃用ドローン」だ。社員から熱心に説明を受けた小泉氏は、視察後、力強くこう宣言した。
「無人機の生産・技術基盤が国内に存在することが不可欠だ。世界一、無人アセット(装備品)を駆使する組織に変革していく」
今、日本の防衛戦略が根底から覆ろうとしている。いや、劇的な「進化」を遂げようとしていると言っていいだろう。
かつて「防衛後進国」と揶揄されることもあった日本が、ここに来て、世界を驚かせるほどのスピードで「新しい戦い方」に適応し、さらに国産の最先端技術をもって、世界のトップランナーに躍り出ようとしているのだ」
(増田 剛)
ドローン大国の中国に「日本の町工場」が反撃開始…”純国産無人機”を生み出す、驚愕の「モノづくり力」とは

ここに予算を投じて、今まであった政府金融は防衛産業にはカネを貸さないという不文律を破って活性化させようと、しています。
まだ始まったばかりで形が見えるのはしばらくかかるでしょうが、日本の底力を見せて下さい。

 

2026年5月31日 (日)

日曜写真館 よき年のよき日生れたまひ菖蒲葺く

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女等に菖蒲むらさき尽したる 細見綾子

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夏きたるかの堀切の菖蒲も見む 安住敦

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乾坤に根引の菖蒲よこたはる 三橋敏雄

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女の手ひいて菖蒲の名どころに 山口青邨

 

«後はトランプの承認待ちだとか?