山路敬介氏投稿 書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道 その1  

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山路敬介氏の投稿を掲載いたします。 

篠原章氏の新刊、『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』(飛鳥新社)の書評に止まらず、山路氏の鋭い分析が加わってたものになっています。 

優れた著作に、優れた書評に恵まれたことを心から感謝します。 

4回分割でお届けします。その間、私の通常記事は別途掲載といたします。

              ~~~~~~~~~~
 

書評 篠原章 『「外連(けれん)の島・沖縄――基地と補助金のタブー』への道  
              ~ 疎外される本土の納税者~      その1

                                    山路敬介

■はじめに
 

ベストセラーとなった前作「沖縄の不都合な真実」から2年半。 8/31篠原章氏の新著「外連の島・沖縄」(飛鳥新社)がようやく出版されました。 

概略のご紹介と私個人の持論も入れて、沖縄とは何なのか?、沖縄の何が問題か? 少々感じた事を論じたいと思います。 

 
篠原氏は「保守派」という括りのある言論人ではありません。
 

沖縄の問題を語る知識人として異例で、左右いずれにも後ろ盾となるような団体性はなく、権力的な方向に寄る傾きもありません。 

強いて言えば、他の人よりも思想的には個人・自由・民主主義的傾向を強く矜持としているように見る事が出来ますが、その書いたものから特段の「色付け」は伺えません。

かく言う私も保守派とは言えませんが、篠原氏の「米軍基地を(さらに本格的に)減らすためには~云々」との命題を掲げる発言を度々されるところから印象し察するところ、「SACO合意以上の米軍基地の削減はやるべきではない」と考える私とは根本的に意見の相違があるのだろうと考えています。

しかし本書での沖縄の深奥に迫る現状認識や歴史的経緯への洞察はきわめて深く、しかも完全に納得出来るものだし、かつ様々の理由から結論として「補助金は沖縄の為にならない」と言わざるを得ないのであって、そこも完全に一致します。

日本人は沖縄に多年にわたる特別の愛情を注ぎ込みながらも、彼我の違いを簡略化した一面的理解しか持つことはなく、要するに「自分好みの絵ヅラ」に当てはめて考えて来たのではないだろうか?
 

日本政府は沖縄の本質的問題を理解せず、あるいはそこをスルーして対峙して来なかったゆえ、今だに安全保障を一地方に人質として取られ続ける失態を補助金で糊塗し続けるが、もはや限界を越えているのではないか? 

沖縄県や沖縄の為政者の「外連」は明らかだが、主権者である沖縄県民自身が果たして民主主義の義務と責任を果たして来たと言えるのか?  

また、その結果として自主的・主体的な生き方を見いだせていないとすれば、それを阻害し縛り付けているものを歴史的要因の中からも正して行かなくてはならないのではないか?

これらの問いは非常に深刻な意味を含み、本書は多額の補助金の交付を中心とした従来型の中央の沖縄関与の方法が、「基地の問題」とはまったく別の次元で沖縄をダメにし、交付する金員の意味を曖昧にしてやればやるほど、結果的に日本と沖縄を「別個の意識下」に置く事になる構造を明らかにしたものです。

無理にでも本書の難点をあげるならば、著者は普通一般の沖縄県人よりも沖縄の事を深く理解して在りながら、自身が沖縄県人ではないだけにいわゆる被支配層一般へ向けた責任の言及が少なかった事になるかと思います。
 

なお、「外連」(けれん)とは、簡単にいえば「ごまかし」、「はったり」、「いかさま」と言う意味だそうで、私はこれを膝を打って得心するほどに「当を得た表現」であると思い、
ほぼ全編にわたりその事例が十二分に実証性をともなって行き届いている事が特筆される点と思います。
 

 
本書が、(これまでの沖縄関連本を見ればわかるように)公平に論じられた本格的な類書もなく、土台となる先行した研究や評論もほぼ皆無の中で、飛び級的に問題の核心に迫る事が出来たのは奇跡的です。

それは、多種多様の「ニセ沖縄愛」を表明する知識人・言論人・マスコミ人・本土からの運動家らとは違い、長年にわたり好悪を越えた深い地点から沖縄の「酸い甘い」に浸り切って来た著者の経験からの結果からによるのだろうと思います。
 

それだけでなく左右いずれにも属さない立ち位置も必須条件であったし、沖縄取材において特に重要な事は「嘘つきたちの言う建前」からでも、「本音」を的確に拾い上げる悟性が必要で、筆者にそれが備わっていた点が大きかったと言えます。

 普天間基地跡地利用に関する経済効果評価書は「ウソのかたまり」
 

 
すでに良く知られるように沖縄県議会事務局が普天間跡地利用の経済効果を野村総研に依頼して、その結果の馬鹿げた数値を公表し日本中に恥を晒した事がありました。
 

そもそも一見して実にお粗末な代物で、県民なら誰もが「そんなハズはないだろう」と直感的に肌で感じられるものでした。

それでも議会が責任持って発出した数値だし、シンクタンクのネームバリューもあったのでしょう、この調査結果を根拠とした論説が本土でも多数出始めました。

しかし、財政学者でもある篠原氏が前作その他において徹底的にその問題点を指摘され、以来この調査結果を論拠に使う言論人は、イデオロギーに塗れた厚顔無恥の輩しかおらなくなりました。
 

 
このようなイカサマで恣意的な調査結果を得るために多額の税金が使われたのですから、県民は誰がどういう目的で、どういう前提を付して野村総研に依頼したか、その点を明らかにして責任を問うべきところでした。
 

しかし、そもそも県議会・県庁・知事・マスコミ総出の一丸となった「外連」だし、沖縄県ではこの手の「責任追及」は二紙が乗り出してこない限り望むべくもなく、そうした声はとうとう起こりませんでした。 

 
この例の場合、保守も革新もその垣根はなく、「公」はともかく「民」も同調するような「一体性」を見せたは事は特に留意が必要です。
 

県議会がこうした欺瞞的な調査・発表を行った理由は、表向き「普天間の早期返還を促すため」ですが、それだけでなく各人各派の思惑は様々でした。

ただ、そこに通底する「補助金獲得に資する」ための共通了解は暗黙のうちに確固としてあり、それが全県的にあのような「ウソ」を平然とまかり通らせた原因だと言えます。
 

何事につけ暗黙のうちに「金づるとしての日本政府」を横目で見た、要するに日本を対位的視点から見る事を離れられず物事を捉える事、それをそうは見えないように宣伝と嘘でくるみ、そうする事によって利益を得る「身についた体質」がこの「外連」を行わせしめたと思うのです。 

 
■ 沖縄は「優遇」されている
 

 
近年は本土の保守派を中心に「基地が在るからといって、沖縄県は優遇されすぎているのではないか?」という、きわめて健全で当然の疑念が発せられるようになりました。

こうした声を警戒する、反論となる沖縄県庁の公式見解はこうです。
 

≫「平成27年度決算ベースで、沖縄県の国庫支出金は全国10位。
 地方交付税まで含めた国からの財政移転は全国12位。
 また、人口ひとりあたりで比較すると5位で、復帰後一度も全国1位にはなっていない。」
 と、します。

本土の有識者やマスコミ関係者など一般のリベラルな人たちは、一部本土保守派の論調に対し、この沖縄県庁の見解を口を揃えてなぞります。
 

しかしそれは無知とはいえ、明らかに沖縄県による「事実の隠蔽」にまんまと引っかかり、もしくはそれに意図的に加担する行為です。

この事は本書第7章で詳しく論じられているとおり、県による「沖縄への批判をかわすため」の詭弁にすぎません。
 

合算する必要のない地方交付税を合算し、高率補助や一括交付金の存在に一切触れもせず「沖縄県は特に優遇されているとは言えない」と言い抜ける事で、問題を顕在化させないように隠蔽・糊塗する念入りに工夫された「操作された論述」です。 

 
沖縄県への優遇措置はそんなものだけでなく、酒税、揮発油税、航空機燃料税、石油石炭税、NHK受信料の軽減措置、別口の防衛省からの補助金事業等々、数え上げたらキリもありません。
 

しかし私はこれを「全て無くせ」などと言っているのではありません。 

必要で妥当な政策ももちろん多いし、「米軍基地が存在する事の対価」である事が明瞭となり、そのうえで数量的な妥当性が国民的に認識される限りこれを容認する立場です。 

しかし、こうした事実を隠して物事を運ぼうとする県の姿勢が「外連だ」という事は言わなくてはなりません。

本書によれば同種の沖縄県庁による統計上のトリックは、沖縄経済の基地依存度を5%とした点にも現れています。
 

これも事実上、基地が存在するがゆえ支払われている振興予算をすっかり除外する事による「意図的に操作された数値」だと言えます。

翁長県政の目玉、法廷闘争

なお本書は第2章から約100P分にわたりこの2年半の翁長県政のイカサマぶりを克明に追っており、その解説としても記録としても秀逸です。
 

これにくらべて、これまで私が「ありんくりん」で度々書かせて頂いた沖縄県・翁長知事の馬鹿げた訴訟合戦とその法廷戦術についての解説は非常に分かり辛かったと反省しきりでして、お恥ずかしい限り。 

本書では特段の法律知識がない場合でも、とてもわかりやすく時系列的に要点も簡潔にまとまっていて、もう私の多量の手持ちの資料も捨ててもいいかなと思いました。

ここで詳細は書けませんがご興味ある方はここをじっくり読まれる事で、その表出される言葉や行動とは裏腹に翁長氏がいかに愚劣なハッタリ屋か、司法制度を目的外利用し、果たして日本の司法そのものを汚し、いかに日本中に「沖縄の品位」を貶める所業を行ったか良くご理解頂けるものと思います。

あわせて、それならなぜ翁長氏はそういう愚劣な行動をとったのか? それを県民はやや容認しているように見えるのは何故なのか? と、考える所からこそ沖縄理解の端緒が開かれても然るべきだと考えます。

沖縄の為に何をしてくれるのか?
 

 
 「お前はいったい沖縄の為に何をしてくれると言うのか?」、「いやなら米軍基地をすべて本土に持って帰れ!」等々。
 

このような言葉を当の県民から投げつけられたら、あなたならどうしますか?

答えを発する以前の問題として、そういう問いを臆面もなく投げつける事の出来る相手の傲岸にして恥知らずな人間性をまず疑うでしょうし、そのような異常にたじろぎ、ひるんで、かかわり合いになりたくないゆえに、黙してこれを遠ざけるようにするでしょう。
 

 
しかし、本土のリベラル系の知識人はじめマスコミ関係者や、自分勝手な正義を標榜する人たち、似非反差別者たちやネットスラングでいう「意識高い系」は違います。
 

彼らは狭小で偏頗な民主主義理解しか持たず出来ず、かつ浅薄で一面的な歴史理解ゆえ、機会主義的で自己拡大欲求を満たす事の出来る「お手軽な道具」として沖縄問題をあつかい、あるいは「長いものには巻かれろ」精神から深く考えもせずに、このような言質に簡単に迎合してしまうのであって、迎合しないまでも「一理ある」と簡単に考えてしまうのです。 

まことに「軽い正義」であるとしか言いようがありません。 

彼らは、そのほとんどが自己の利益のためにする目的なのであって、ニーチェが言う「同情する事によって至福を覚えるような、哀れみ深い人たち」でもあるのです。

こうした言葉を投げかけられるのは沖縄に多少の疑義を言う知識人達の宿命のようなもので、いわば「踏み絵」だし、被害者ヅラした人間が行う「被害者優位の論法」に立ったある種のマウンティング行為でもあります。

著者(篠原氏)もそうした洗礼を受けた例外ではありませんでした。
 

問題は、このような薄汚い言葉を実際に吐くのは運動家相当の人達とまず相場は決まっておりますが、言葉にせずとも「本土に何かをしてもらうのは当然だ」と、漠然と考える県民がまだ多くある事なのだと思うのです。

著者はそうした場面に遭遇するたびに考え、結果として「沖縄の心」とは都度公式に説明されるような「平和を愛する心」などでは決してなく、「愛されたい心」こそ「沖縄の心」なのだと確信するに至ります。
 

これもまた仮象の姿であり、「外連」の一節です。 

                                           (続く)
 





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日曜写真館 メコンデルタにようこそ

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日本学術会議 「9.1報告」の画期的意義

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日本における最も権威ある学術団体である日本学術会議が、福島第1原発事故の子供に対する影響について「9.1報告」を公表しました。 

今なお、反原発運動家、自主避難者、そして朝日、毎日、東京などのメディアを中心として、「フクシマはチェルノブイリだった」とか「甲状腺ガンが激増した」という風聞が後を断ちません。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/post-b4b4.html 

「特定の集団の不安が孤立化、先鋭化してきている」(「9.1報告」)傾向は今なお続いています。

どうしたことかこの人たちは、特定秘密法、安保法制、共謀罪、モリカケ、そして今の北朝鮮との対話派と完全にダブってしまっています。

それはさておき、このような悪質なプロパガンダは、復興を目指す福島県民に対して深刻な影響を与えました。

「9・1報告」はこう記述しています。

「ソーシャルメディアを介して、チェルノブイリ原発事故の再来とか、チェルノブイリや福島で観察されたものとして、動植物の奇形に関するさまざまな流言飛語レベルの情報が発信・拡散され、「次世代への影響」に関する不安を増幅する悪影響をもたらした。実際に、県民健康調査や長崎大学が川内村で実施したアンケート調査では、回答者の約半分が「次世代への影響の可能性が高い」と答えている。
また平成25(2013)年1月に福島県相馬市の医師が市内の全中学校で放射線の講義を行い、その後アンケート調査を行った結果、女子生徒の約4割が「結婚の際、不利益な扱いを受ける」と回答した。」

相馬市の女子生徒たちがアンケートの4割に、「将来結婚で差別される」と答えたことに愕然とさせられます。

反原発運動家たちは、福島の住民に甲状腺ガンのような次世代への影響がでると主張しました。

それが嵩じると、某女性作家のように「フクシマには子供を行かせない」と叫んだり、某女性歌人のように沖縄まで自主避難してしまったり、果ては某漫画原作者のように「フクシマから逃げることが勇気だ」などと声高に主張するあり様です。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-8fd9.html

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おそらくそのような言説は、あなたもどこかで聞いたことがあるはずです。

実はこのような流説に対して、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)やIAEA(国際原子力機関)、WHO(世界保健機関)などの関連国際機関や、福島県立医科大学などが緻密な報告書を出して全面否定しています。

科学界や医学界では、発見された甲状腺がんが、原発事故に伴う放射線被曝によるものではないということは既に結論づけられています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-0ca3.html 

しかし、科学的客観報告の積み上げが整った6年後の現在も、原発事故当時の煽り報道は訂正記事を載せられないまま、あたかも「真実」のように流布されています。 

このような状況に対して、最終的決着をつける意味でも、今回の日本学術会議の「9.1報告」は画期的な意義があります。

報告書は長文なために、一部を抜粋して掲載いたしました。ぜひ原文にあたられることをお勧めします。 

■福島民友新聞【9月7日付社説】放射線と復興/不安にこたえる情報発信を 2017年09月07日 08時32分
http://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20170907-202074.php
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日本学術会議・臨床医学委員会放射線防護・リスクマネジメント分科会 

            子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題(抜粋)
               -現在の科学的知見を福島で生かすためにー

                                            2017年9月1日
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h170901.pdf 

P15 「3) 福島原発事故による子どもの健康影響に関する社会の認識
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は、福島原発事故による公衆の被ばく線量とリスクの評価を行い、甲状腺がんについては、最も高い被ばくを受けたと推定される子どもの集団については理論上リスクが増加する可能性があるが、それ以外の影響(先天性異常や遺伝性影響、小児甲状腺がん以外のがん)に関しては、有意な増加は見られないだろうと予測している。」
 

「① 次世代への影響に関する社会の受け止め方
胎児影響は、福島原発事故による健康影響の有無がデータにより実証されている唯一の例である。福島原発事故に起因し得ると考えられる胚や胎児の吸収線量は、胎児影響の発生のしきい値よりはるかに低いことから、事故当初から日本産科婦人科学会等が「胎児への影響は心配ない」と言うメッセージを発信した。
これはチェルノブイリ事故直後、ギリシャなど欧州の国々で相当数の中絶が行われたことによる。福島原発事故から一年後には、福島県の県民健康調査の結果が取りまとめられ、
福島県の妊婦の流産や中絶は福島第1原発事故の前後で増減していないことが確認された。
そして死産、早産、低出生時体重及び先天性異常の発生率に事故の影響が見られないことが証明された。
専門家間では組織反応(確定的影響)である「胎児影響」と生殖細胞の確率的影響である「遺伝性影響 (経世代影響)」は区別して考えられており、「胎児影響」に関しては、上記のような実証的結果を得て、科学的には決着がついたと認識されている。」
 

P16 「福島原発事故後、主にはソーシャルメディアを介して、チェルノブイリ原発事故の再来とか、チェルノブイリや福島で観察されたものとして、動植物の奇形に関するさまざまな流言飛語レベルの情報が発信・拡散され、「次世代への影響」に関する不安を増幅する悪影響をもたらした。実際に、県民健康調査や長崎大学が川内村で実施したアンケート調査では、回答者の約半分が「次世代への影響の可能性が高い」と答えている
また平成25(2013)年1月に福島県相馬市の医師が市内の全中学校で放射線の講義を行い、その後アンケート調査を行った結果、女子生徒の約4割が「結婚の際、不利益な扱いを受ける」と回答した。
こうした回答の割合は時間経過や継続的な授業の実施により下がる傾向が見られている。もし全国でこうした誤認が浸透しているのであれば、誤った先入観や偏見を正す必要があり、次世代への影響の調査や、正しい情報発信を継続して行う必要性がある
と考えられる。」 

P16 (福島で甲状腺ガンが増加したという風聞に対して)
我が国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い小児甲状腺がんが発見されている]。
これは一方が健常児の全数調査(悉皆調査)、他方は病気の徴候が出現して診断を受けたがん登録という異なる方法でのそれぞれ異なる結果であり、本来比較されるべき数字ではない。」
 

P17 「平成28(2016)年12月末日までに185人が甲状腺がんの「悪性ないし悪性疑い」と判定され、このうち146人が手術を受けたという数値が発表されている。
こうした数値の解釈をめぐりさまざまな意見が報道され、そのたびに社会の不安を増幅した。福島県県民健康調査検討委員会は、中間とりまとめにおいて、これまでに発見された甲状腺がんについては、被ばく線量がチェルノブイリ事故と比べて総じて小さいこと、被ばくからがん発見までの期間が概ね1年から4年と短いこと、事故当時5歳以下からの発見はないこと、地域別の発見率に大きな差がないことから、放射線の影響とは考えにくいと評価した。」
 

P18「③ 放射性セシウムと発がんに関する社会の受け止め方
ア 外部被ばく由来
「事故由来の放射性セシウムによる被ばく量で言うと、内部被ばくに比べ外部被ばくの方がはるかに大きい。」
「子どもの被ばくを心配し、転居を選択した自主避難者の中には、経済的不安や家族内の問題(家庭内別居や意見の不一致)、転居先のコミュニティへの不適応と言った問題(例:避難先でのいじめ)を抱えている場合もある。こうしたデメリット因子は、健康影響への懸念の度合いと同様、個人、地域、事故後の経過時間による差が大きく、一概に子どもの外部被ばくとのトレードオフを議論することは難しい。」
 

P19 「イ 内部被ばく由来
「実際に流通する食品を収集して行うマーケットバスケット調査や一般家庭で調理された食事を収集して行う陰膳調査の結果を見る限り、食品中の放射性セシウムから人が受ける放射線量は、現行基準値の設定根拠である1mSvの1%以下であり、極めて低いことが明らかとなっている。
こうしたことから、現在行われている学校給食の検査には、被ばく低減の効果はほとんどないと言える。」
 

P19 「④ 福島原発事故による子どもの健康リスクの相対値
ア チェルノブイリ事故との比較
「ベラルーシ、ウクライナの避難者のうち14歳以下に限って言うと、99%以上が50mSv以上の被ばくを受けた。」
 

「福島原発事故では、甲状腺等価線量が高くなる可能性がある地域で小児甲状腺簡易測定調査が行われ、その結果、50mSv以上の被ばくと推定されたのは、検査した子どもの0.2%であった。」 

P19~20 「イ 日常生活における被ばく線量やリスクとの比較
「福島県の県民健康調査によると、事故から4か月の間に受けた外部被ばく線量の中央値は0.6mSv(県全体)、ホールボディカウンターによる内部被ばく検査では被験者の99.9%が預託実効線量1mSv未満であった。これらは、日本人が1年間に自然界から受ける外部被ばく線量の平均値(0.63mSv)や経口摂取による内部被ばく線量(0.99mSv)に比較的近い。」
 

「また国立がん研究センターによると、高塩分食品や野菜不足と言った食習慣や非喫煙女性の受動喫煙は、100mSvの被ばくと同程度の発がんリスクを持つとある。従って、5年間で100mSvの追加被ばくによって算定される生涯がん死亡リスクの0.5%の増加を、疫学研究により検証するのは難しい。」 

P23「3 提言に向けた課題の整理
「一方、福島原発事故による追加被ばくに関しては、科学的事実が蓄積され、実際の被ばく線量が明らかにされつつあるものの、子どもへの健康影響に関する不安がなかなか解消されない。
そこで、被ばく低減効果の大小にかかわらず、社会から強く要望があった場合は、防護方策を強化する方向で対応してきた。
その結果、社会全体に関して言えば、健康不安は鎮静化の方向に向かっているが、その分、自主避難者、大規模な甲状腺超音波検査で甲状腺がんが見つかった子どもや家族など、特定の集団の不安が孤立化、先鋭化してきている
また放射線防護の原則に従うと、容認されうると判断される程度の検出限度以下の放射線リスクが、必ずしも被災者にとって理解・容認されてはいない現状も明らかになってきた。」
 

以下、諸提言については報告書をご覧下さい。

 

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北朝鮮に時間と金を与えてはなりません

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先日9月20日、国連総会における安倍首相の演説は、優れたものでした。 

全文はこちらからご覧になれます。
平成29年9月20日 第72回国連総会における安倍内閣総理大臣一般 ...

「冷戦が終わって二十有余年、我々は、この間、どこの独裁者に、ここまで放恣にさせたでしょう。北朝鮮にだけは、我々は、結果として、許してしまった。
それは我々の、目の前の現実です。」(前掲)

首相の演説は一点に集約されるでしょう。 

「北の独裁者に時間を金を与えた」ことこそがこの危機的状況を生んだ原因である以上、彼らに猶予を与えるなということ、それに尽きます。 

そして演説において、時系列で「対話」の努力がいかに破壊されてきたのかを丹念に説明しています。 

いい機会ですから、いまなお「対話」を叫ぶ皆さんのために、首相が国連演説で言及した「対話」の歴史を時系列に沿って整理して見ておきましょう。

Kedo_2http://www.sankei.com/world/news/160928/wor1609280...

●北朝鮮の核開発と国際社会の「対話」の歴史 

1994年10月 北朝鮮のIAEA(国際原子力機関)の査察体制からの脱却宣言をうけての米朝枠組み合意

Photo北朝鮮北東部の琴湖KEDO)が進めていた軽水炉建設プロジェクト(2002年8月7日撮影)AFP 

1995年3月 核開発計画放棄の代償として軽水炉2基を作るKEDO(朝鮮半島エネルギー開発機構)創設。北朝鮮のエネルギー不足を支援するために年間50万トンの重油を供与
KEDO創設国・米、日、韓
同参加国 EU、NZ、豪州、カナダ、インドネシア、チリ、アルゼンチン、ポーランド、チェコ、ウズベキスタン
 

・1995年~2002年までKEDOを窓口として原油の支援が継続される
日本はKEDOに無利息資金の10億ドルの貸与を約束し、4億ドルを実行
 

・2002年3月 北、ウラン濃縮のための核開発関連施設の開発やめず、IAEA査察官を追放 

2003年8月 日米韓中露+北による六者会合始まる 

Photo_2第5回六者会合第3セッションで握手する六者の首席代表(2007年2月13日、北京 共同) 

2005年 六者合意に達し、北朝鮮は全ての核兵器製造・既存の核計画を放棄すること、NPT(核兵器の不拡散に関する条約への復帰、IAEAの保障措置への復帰を約束 

2005年2月 北朝鮮、既に核保有国と宣言 

2006年5月 KEDO廃止正式決定  

2006年10月 第1回核実験実施 

2007年2月 再び六者合意 IAEAの査察団、寧辺(ヨンビョン)にある核関連施設の閉鎖を確認し、その見返りとして、北朝鮮は、重油を受け取る

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2007年外務省・外交青書http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2007/html/h2/h2_06.html

2009年 北朝鮮、二度と参加しないとして六者会合から脱退
弾道ミサイル実験頻発
 

以上の経過を見れば、いかに北朝鮮との口先の合意が破られ続けたのか、国際社会の善意が裏切られてきたのかわかるでしょう。

まさに首相が言うように、「対話とは、北朝鮮にとって、我々を欺き、時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった」わけです。 

北朝鮮が現在行っている弾道ミサイル実験と核実験は、技術的に未完成の部分を補う段階に達しています。 

したがって、いままでのように記念日に合わせた政治的モニュメントではなく、実戦配備を前提にした最後の追い込みです。 

この正恩のタイムテーブルを無効にするためには、もはやこれ以上の時間と金を与えてはならないということです。

それが北朝鮮に騙され続けた私たちの苦い教訓です。

これだけ北朝鮮の「やめます詐欺」にあいながら、今も対話を唱える人たちは、もはや正恩が核武装を完成させるとなにかの得になる利害関係者だと思われても致し仕方ないでしょうね。

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朝鮮半島核危機 最悪のシナリオに備えよう

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昨日リンクした、エドワード・ルトワックの「外交カード無きいま、北朝鮮にどう対処すべきか」をお読みになりましたでしょうか。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170916-00004156-bunshun-pol  

なんとも滅入る内容で、ルトワックは「米国打つ手はもはやない。日本は北の核が容認された世界に対処しろ」というもので、訳者の奥山真司氏もラジオで「救いのないこと言うなぁ」といった意味のことを漏らされていました。 

私は長年のルトワックの読者でしたので、今回の彼の見立てはすこぶる陰鬱ですが、もっともありえるシナリオであると感じました。 

ただし、何度となく私は書いてきましたが、北の核武装を米国が容認した瞬間、日米同盟に対する日本側からの懐疑が噴出し、その流れは押しとどめることができなくなるだろう、と思っています。

なぜなら、それは、米国の日本に対する外交的裏切りであって、それのみならず、米国の核の傘が無法者国家の核武装を認めてしまった破れ傘であったということの証明になってしまうからです。
 

日米同盟における日本の立場は、NATOに於けるドイツの位置と似た部分があります。 

NATOは西ヨーロッパ自由主義国が集団安保体制を共有して、旧ソ連の侵攻に備えるという建前の裏に、二度と金輪際ドイツを暴発させないという暗黙の掟がありました。 

日米同盟も、日本との同盟によって列島を米国の戦略的拠点として提供すると同時に、在日米軍が「瓶の蓋」となって日本の再度の暴発を防ぐという意味も付与されていました。 

米国が日本に核を渡さずに核の傘を信用しろと繰り返すのは、核を持った日本が、米国の国際戦略のまま動くとは限らないモンスターに成長する可能性が、ごくわずかですが残るからです。 

このように核兵器というカードは、ただ保有するだけで巨大な脅威となりえるのです。 

いかなるテロリスト国家でさえも核さえ持てば万能で、やりたい放題できるのだという21世紀の新たな神話を、正恩は今、作り出そうとしているわけです。 

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この北朝鮮に振り回されている国際情勢を興味津々で眺めている国際テロリストたちは、「核保有とはこんなにオールマイティのカードだったのか。早く北朝鮮から買わねばならンな」としっかり学習したことでしょう。

正恩はとんでもないことを、世界に発信したのです。そして売る気もムンムンです。

いままでさんざんぱら、中東には武器、化学兵器、弾道ミサイルを売ってきたのですからね。

この核爆弾だって、初めから輸出商品として作ってきている下心もあるのですよ。

かくして核兵器は世界に分散していき、遠からずブラックマーケットを通じて、テロリストの手に落ちることでしょう。 

テロリストにとって、国家と違って核抑止という概念に拘束される必要はないわけですから、弾道ミサイルなどという高級品を持つ必要はありません。 

たとえばISがトラックに核爆弾を積んで、どの国のどこの都市にも自由に核爆弾を持ち込み、都市ごと壊滅させることも充分に可能なのです。

いや、都市を狙わなくとも、無人島で核爆発を起こしてみせるだけで、世界はテロリストの要求に屈するでしょう。

対岸の火だとばかりに懐手していたヨーロッパも、やっと遅まきながら、この核の拡散という危機に気がつき始めたようです。

ところがメルケルときたら、同盟国でありながらトランプの国連演説を批判しているから困ったものです。

「メルケル首相はドイチェ・ヴェレ放送に対し、「こうした警告には賛同できない」とし、「いかなる軍事行動も完全に不適切であると考えており、ドイツは外交的な解決を主張する」と述べた。
そのうえで「北朝鮮問題に対しては制裁措置の実施が正しい対処法で、それ以外のすべては誤った手法となる」と語った。」(ロイター9月21日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170921-00000004-reut-kr 

困った朝日オバさんだ。シリア難民の欧州流入は、そもそもあなたの偽善が引き起しのでしょうが。

北朝鮮問題において「話し合い」を延々と30年間続けてきた結果が、今の核保有だということをメルケルも見てきたはずです。

軍事的圧力と外交的制裁が一体のものだというのは、国際政治の自明の理であって、なにをいまさらです。

要は、大好きな中国にすり寄りたいのでしょうが、いいかげんにしていただきたいものです。ベルリンが核テロにあってから、ああ、あの時に・・・、などと騒がないように。

このようにシナリオをいくつか描いた上で、最悪の事態に備えるべき時期に入りつつあります。 

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そしてもう一点、指摘しておきます。 

おそらく韓国は、米国から核保有の承認を取り付けるでしょう。今の情勢ならば、米国は韓国の核保有は、有効な核抑止だと認識する可能性があるからです。 

今回、韓国という国の存在のために、北朝鮮に対する軍事オプションは事実上封じられた形になっています。 

ルトワックはこう書いています。

「アメリカの統合参謀本部も、在韓米軍も、太平洋軍司令部も、軍事的なオプションを何も提示しておらず、目の前の問題とは関係のない「韓国を守る」ことしか宣言していない。
 もちろんこの理由は、ソウル周辺が北朝鮮の(非核)ロケットや砲撃に弱いからだ。この事実は韓国を麻痺させているわけだが、同時に米軍の指揮系統にもそれ以上の非合理的な問題をおこしている。」(前掲)

かつてルトワックは、韓国政府に対してこのような忠告をしたそうです。

 
「韓国政府は、1975年から78年の危機の後も、政府機能や企業のソウル以外への分散化について何も行動を起こしていない。
韓国政府は、攻撃にさらされる危険が高い地域があるにもかかわらず、そこに対する防御策を講じていない。
韓国政府は、技術的にも可能であった対空兵器等の購入を拒否している。」(同上)

韓国は、北の境界線上に展開するロケット砲群が、ソウルに突きつけられた刃であることを知りつつ、段階的に中部の安全地帯へと首都移転することをしませんでした。

そのくせ、韓国政府は1994年にクリントンが核施設へのピンポイント爆撃を決意したと知ると、 泣きついてやめてくれるように懇願したそうです。

Photo_2             金泳三

当時韓国大統領だった金泳三は、こう回想しています。

「私がビル・クリントン米大統領の(1994年)北朝鮮寧辺(ニョンビョン)核施設爆撃計画を阻止していなければ、今ごろ韓半島は非核化されていたはずだが…」。
  金泳三(キム・ヨンサム)元大統領が08年に当時のバーシュボウ駐韓米国大使に会い、このように打ち明けたという米国務省の外交公電が内務告発サイト「ウィキリークス」を通して公開された。」(中央日報 2011年9月6日)http://japanese.joins.com/article/532/143532.html
 

金泳三自身が悔恨の念をもって追憶するように、この時韓国が決断すれば、今の解決不能となった北の核武装は停められていたのです。 

そしてそれ以降、首都を中部に移転する努力をしたならば、いくつもの解決オプションが残っていたはずです。

すなわち北朝鮮の核武装の影の立役者は、韓国なのです。 

ムン・ジェインは今回もまた、そっくりなことを繰り返すでしょう。 

いやそれどころか北朝鮮にこの時期に800万ドルの支援を送るそうですから、呆れてものが言えません。

そして米国が韓国の核保有を承認した場合、北朝鮮よりも遥かに自制心なく日本を標的にしたがる国は残念ながらこの国しかいないのです。

その場合、日本は中国、北朝鮮、韓国の核の脅威の下で生存することになります。

 

 

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解散は狭い幅での選択だったようだ

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解散についてもう少し続けます。 

選挙の「大義」がないとか、はたまた「モリカケ隠し」の党利党略だとかメディアは言っていますが、まったく関係ありません。 

モリカケのうち、モリは当事者の理事長夫妻が詐欺師であったことがバレるわ、詐欺で捕まるわで完全終了。 

カケは朝日が社運をかけたにしては、この間、新事実は2か月以上でてきません。おそらくもう種切れです。 

よしんば出てきても、首相の関与と直接結びつくものはもはや出ようがありません。 

つまりは、モリカケはジ・エンドなのです。

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ついでに言えば、党利があるのはあたりまえ。いちばん、都合のいい時期に首相が持つ最大の武器である解散権を行使するのもあたりまえ。

野党第1党が、自壊しかかっている今を狙うのはしごく当然です。 

「政治空白」といっている連中が、いままでさんざんモリカケ祭で政治空白を作ってきた野党なのですから、いまさらナニ言ってんだか。 

そもそもどの時期にやっても総選挙が「政治空白」を生むのは、これまたあたりまえのことで、今、取り立てて騒ぐのもヘンを話です。 

ワイドショーが面白おかしく解説するように、国内政局が解散の決定的動機ではありえないのです。

アホンダラさんも言っていましたが、解散のテーマはほぼ唯一です。対北朝鮮抑止力の強化、それ以外に考えられません。 

Photo_2http://toyokeizai.net/articles/-/189175

それは米国との関わりでみるとはっきりします。今、首相は国連総会に出席するため、米国に向かっていますが、ここで日米首脳会談が開かれる予定です。 

トランプと話す内容は、北朝鮮情勢の膝詰めの調整のはずです。

それ次第で解散を最終決定するわけで、あんがい総選挙をしないということもないわけではありません。 

つまり、あまりありえない選択肢ですが、トランプが9月末から10月にかけて軍事オプションを取ると秘かに首相に告げた場合、選挙どころではなくなるからです。

解散はあくまで、今のうちにやっておかないと、やる時がなくなるという狭い幅での決断だったはずです。 

たぶんモリカケ騒動もなく、北朝鮮が狂ったような核軍拡に走らねば、首相は改憲だけに的を絞った政局運営が可能でした。 

つまり現在の衆議院の任期いっぱいあと1年2か月を使い切るか、あるいは、今年の春に衆参同時選挙をやってしまうということも念頭にあったと思われます。 

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その思惑を根底から崩したのは、世界の誰もが予測し得なかった北朝鮮の急テンポの核軍拡でした。 

朝鮮半島情勢はパンパンに膨らんだ風船のような状態になっています。一発のミサイルがグアムにむけて発射された瞬間、戦争が始まります。 

あるいは海上臨検において、なんらかの武力衝突が起きた場合も同じです。 

佐藤優氏は「旗国が北朝鮮である以上、臨検は受け入れるはずがない」と言っていましたが、氏は今や北朝鮮の密輸商船団はジャマイカやパナマの国旗を翻して跋扈していることを知らないのでしょうか。 

そして正恩はこの危険な賭けをやめようとはしません。今後も自らミサイル開発と核開発を断念することはないはずです。 

一方、米国はこのまま状況が推移すれば、核容認で手打ちをするしかなくなります。 

米国NSC(国家安全保障会議)のメンバーだったエドワード・ルトワックは、こう述べています。
「外交カード無きいま、北朝鮮にどう対抗すべきか」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170916-00004156-bunshun-pol 

「最悪のシナリオは、北朝鮮を核保有国として認め、金正恩が思いついた時に、いつでも韓国と日本を脅せるようになることを受け入れることだ。
 さらに、北朝鮮はイランに対して行ったように、核兵器や弾道ミサイルの部品などをいつでも海外の国々に売却できるようになる。
 これは私がいう「降伏」の一つの形態だ。われわれは核武装して周辺国を脅すことのできる北朝鮮を受け入れて、その脅威の下で生き延びるしかないのだ」

このような凱歌を正恩に上げさせたならば、ルトワックが言うようにそれは端的に米国の外交敗北であり、世界盟主の地位を明け渡すに等しいということです。 

つまりは、この秋以降さらに情勢が煮詰まることはありえても、緊張が緩むことはありえないはずです。 

また、トランプが11月に訪日を予定していると伝えられますが、常識的に見れば、ここまで軍事的オプションはないと首相が判断したのかもしれません。 

ということになれば、可能な限り早く解散を打つとなると、予算審議が始まる前で、しかもトランプが来日する前までということに絞られます。 

というわけで、補欠選挙の日程である10月22日の一択だけが残ったというわけです。

 

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総理解散を決意 ちょうどいい節目です

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総理が解散を決意したそうです。多少驚きましたが、まぁ、妥当ではないでしょうか。 

「大義がない」とか野党やメディアは言っているようです。

朝日新聞社説(9月18日)です。

「小学校の名誉校長に首相の妻昭恵氏が就いていた森友学園の問題。首相の友人が理事長を務める加計学園の問題……。
 臨時国会で野党は、これらの疑惑を引き続きただす構えだ。冒頭解散に踏み切れば首相としては当面、野党の追及を逃れることができるが、国民が求める真相究明はさらに遠のく。そうなれば「森友・加計隠し解散」と言われても仕方がない。」

朝日によれば、大義なき「森友・加計隠し解散」だそうです。

倒閣一歩手前まで追い込んだと思って早めのシャンパンを抜いていた朝日の歯ぎしりがモロに伝わってくるような社説ですね。

では、なんなんでしょう、その「大義」とは?

ちなみに大義とは、辞書で引くと、「人間が行うべき大切な道義のこと」、または「重要な意義のこと」だそうです。

それをメディア・野党は「政権がやりたいこと」ていどで解釈しています。

逆ではないですか。

政権にとって「大義」とは、今まで政権がこだわってきた政策の「重要な意義」のはずです。

したがって「大義を問う」とは、政権にとって「これからなにをするか」といった政策目標ではなく、その施策の結果、すなわち「これまでなにをしてきたのか」について、その成否を問うことでなければなりません。

「これからなにをするか」が大義なら、かつての民主党の始まりのように総花的なあれもタダにします、皆んなにお金を配ります、といったような無責任なことを、いくらでも言えるからです。

そのようなものは「大義」とは言えません。

一方、現政権にとって「重要な意義」とは、政権奪取後の口先三寸ではなく実績しかないはずです。

私はそれが「節目」にあたって国民の信を問うという意味ならば、「大義」は大いにあると思います。

ちょうど国民の声を聞くいい節目じゃないですか。 

まずは、メディア-野党連合が、首相を退陣寸前までに追い詰めたと喝采を叫んだモリカケ事件についての国民の判断を仰ぐ節目にあたります。

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私は一貫して、モリカケは問題ですらない、人工的に作られた蜃気楼のようなものだと書いて来ました。 

首相の斡旋疑惑、あるいは便宜供与なら延々と春からやってきたんですから何か動かぬ証拠でもあるのかと思いきや、ただの蜃気楼でしたという幕切れに国民の多くは気がついてしまいました。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/snsn.html

加計などは、6万円の冷蔵庫がワインセラーだからどーのとか、建設費が高いの安いのがどーたらと、とっくに首相から離れて宇宙空間にさまよい出てしまいました。 

森友に至っては、虚言癖のある詐欺容疑者夫婦の言うことを真に受けて首相夫人に100万円を献金したからどーのと、もうどうでもいいようなことで国会を空費させてきました。 

そして今や、もはや撃ちたくても弾がなしです。

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さて、このモリカケ騒動の背後にどのような状況が進んでいたのでしょうか。それを思い出して下さい。 

北朝鮮が弾道ミサイルを撃ち続け、核実験を強行していた、まさにその時にこんなくだらないことで国会を空転させていたのは、一体どこの誰だったのでしょうか。

Photo_2http://www.asahi.com/articles/ASK5K552DK5KUTIL01X....

「国会は朝鮮半島有事を論議しろ」という国民の声に対して、民進党は「モリカケ隠しだ」と言ってのけましたね。お忘れですか。 

ならば、いまさら民進党や共産党に、「解散の大義名分がない」とか「北朝鮮の脅威が強まっているとき政治空白をつくるべきではない」などといった聞いたようなことを言われたくはありません。

首相が北朝鮮問題を国際社会に訴えに行ったG20の時も、閉会中審査に出ないのは「加計隠しだ」などと言っていたのは誰でしたかね。

そしてこんどの臨時国会も、あいもかわらずモリカケを追及をするとか。出涸らしのお茶を絞って馬のションベンのようになってしまった「追及」をまだしたいようです。

おいおい、民進党さん、ならばここでひとつモリカケ問題と、朝鮮半島有事のどちらが国民にとって焦眉の課題なのか、国民に問うてみたらいかがでしょうか。

次の節目が経済です。アベノミクスの成功によって、経済は個人消費を除いて劇的に回復しました。

反安倍の立場をとるマル経学者の松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』からアベノミクスの成果をみていきましょう。(snsnさんの提供による)
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-34d9.html

アベノミクスの成果の政権発足時と現在の比較
日経平均株価 1万230円(2012/12/25) → 2万118円(2017/7/14)

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経常利益    48.5兆(2012年度) → 68.2兆(2015年度) 
有効求人倍率 0.8倍(2012/12)→ 1.49倍(2017/5) 

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失業率 4.5%(2012/1) → 3.0%(2017) 

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大卒就職率         65%(2012/4) → 70%(2015/4)
15歳〜64歳正社員比率 40%(2013/2) → 42%(2015/7)
名目雇用者報酬総額   245兆円(2012/10-12) → 255兆円(2015/4-6)
企業倒産件数        950件/(2013/1) → 742件/(2015/10)

Photo_2設備投資額    66兆円(2012/4-6) → 70兆円(2015/4-6)
対ドル為替レート 79円(2012年平均) → 119円(2017年平均) 

いまよく言われる青年層の「保守化」は、このような大学就職率・有効求人倍率の劇的改善によるものです。

Photohttp://www.sankei.com/smp/premium/news/170205/prm1...


ところがアベノミクスには最大の問題が眠っています。それは安倍氏の後継政治家がいないことてす。

もし仮に次期総裁に石破氏がなった場合、かつての増税・緊縮路線に復帰するでしょう。

民進党の経済政策はそのうち詳述したいですが、増税して景気回復だというようなトンデモです。

そもそもアベノミクスは欧米において、標準的なリベラルの経済政策でした。

メディアと野党は、アベ憎しの余りに、アベノミクスと真逆な増税・緊縮路線を選んでしまったというお粗末です。経済政策には政治の色がないのに愚かなことを。

かくして野党の経済政策は、米国における共和党最右翼のティーパーティと瓜二つというていたらくです。

日本の経済政策の悲劇(というか喜劇)は、保守がリベラル経済政策で景気と雇用を重視し、自称リベラルが増税と財政再建を叫ぶ財政右翼だというネジレにあります。

つまり安倍政権がここで終了し、野党に政権交替した場合、増税・緊縮路線に復帰する結果となり、日本の景気回復は永遠にないことになります。

その意味で、ちょうど様々な経済指標が出揃ったいま、アベノミクスをこのまま継続するのか、止めて増税・緊縮に戻るのかを国民に問うべきです。

三番目に、改憲です。長くなりそうですからひとことでいえば、自衛隊の存在を憲法に加えることに反対なら、要は自衛隊を認めたくないわけですから、どうぞ自衛隊解体・安保廃棄が党是である共産党にお入れ下さい。

四番目に、朝鮮半島有事です。これも長くなりそうなので、ひとことで言えば、現下の国難級危機において、まさに今、安倍氏にとって代わるべき指導者がいるか否かの選択です。

米のトランプ、露のプーチン、中の習といった超大国とガップリ四つでネゴシエーションできる政治家が、もし日本に彼以外いるなら、ぜひ教えて下さい。その人こそポスト安倍の最適任者ですから。

安倍氏を辞めさせて、民進党が言うように安保法制や特定秘密法などを、この有事前夜の状況で廃止したいのならば、どうぞ野党に投票して下さい。

というわけで、朝鮮半島危機なのに選挙なのかと言う台詞は、少なくともモリカケに興じていたようなメディア・野党にだけは言われたくはありません。

最後に野党が言っている「政治的空白」ですが、モリカケ追及に精をだすような国会ならばあってもなくても一緒です。

第一、弾道ミサイルは10分以内に着弾するのですから、国会が「空白」であろうとなかろうと、政府の危機管理体制がしっかりしていればいいだけのことです。

国会ができるのは、防衛出動に対しての20日以内の事後承認だけです。http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i2311000.html

様々なことを考える、いい節目の選挙になりそうです。

 

 

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国連安保理閣僚会合の裏で

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最後の外交的努力が続けられているようです。 

私が「最後の」としたのはあくまでも外交的手段としてです。この安保理閣僚会議が不調に終わると、後はほとんど米国の一国的な制裁強化しかなす術がなくなることになります。

■北朝鮮核問題 国連安保理の閣僚会合 21日に開催で調整 | NHKニュース (9月18日)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170917/k10011142811000.html

「国連の外交筋によりますと、アメリカの要請に基づいて、この期間中の今月21日午後(日本時間22日午前)に北朝鮮とイランをめぐる核不拡散をテーマにした安保理の閣僚会合を開催する方向で調整しているということです。
会合には日本の河野外務大臣やアメリカのティラーソン国務長官、それに中国の王毅外相やロシアのラブロフ外相らの出席が見込まれています。
安保理では今月3日の北朝鮮による6度目の核実験を受けて、11日に北朝鮮への原油の輸出は過去1年分を上限に認めるものの、ガソリンや重油などの輸出を半分以下に制限する新たな制裁決議を全会一致で採択しました。
しかし、北朝鮮への対応では圧力の強化を主張する日本やアメリカと対話の重視を主張する中国やロシアの立場は異なり、国連大使よりハイレベルの閣僚会合を開催することで、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決の糸口を見いだせるのか注目されます」

Photo_24月28日 安保理閣僚会合で発言するティラーソン国務長官http://www.asahi.com/articles/ASK4X4S0XK4XUHBI018.html

いうまでもなく焦点は、前回の国連安保理制裁決議に中露をより強固な包囲網に取り込むために取り逃がした原油の完全禁輸です。 

米国は国際世論を作るために、実質的制裁を海上臨検などに絞って、譲った形になりました。 

ようやく知られてきた事実ですが、国連制裁はザルでした。要は、加盟国が国連決議に罰則規定がないことをいいことにして、馬耳東風と聞き流しているからで、その傾向はアジアやアフリカで酷いといわれています。

たとえば、つい先だって中国は北朝鮮の石炭の輸入を止めたと言われていました。しかし、止まっていません。 

北朝鮮は中国向け石炭を、自国船舶にパナマ国旗やジャマイカ国旗で偽装して積み出し、西ではなく反対の東のウラジオストクへ向い、そこで一泊した後に、出港地をウラジオストックに偽装して、中国に陸揚げしていました。 

すると書類上は、ただのロシア・ウラジオストック出港のジャマイカ船籍の貨物船となってしまうわけです。 

このような迂回偽装工作はいままで盛大に行われていていて、フィナンシャルタイムズによれば、北朝鮮はそのために香港にトンネル会社を設立し、そこに所属する船舶は数百隻に登ると述べています。 

このような、北朝鮮のトンネル会社は様々な分野に張りめぐらされており、金融取引、原油、繊維はもとより、ミサイルや核弾頭の部品の調達にまで広く利用されてきました。 

中国は知っていたかって?もちろんです。そもそも海軍が密輸に手を染めているような国が、そんな北の手口を知らないほどウブなはずがありません。 

中国は表面的には制裁強化に渋々同調したような顔をして米国の譲歩を引き出し、実際はこのような船籍偽装や密輸ネットワークを放置して、たぶんあの国ですから、袖の下のひとつももらっていたのでしょう。 

だからいままで北朝鮮は、制裁など痛くもかゆくもない顔ができたのです。

ですから、米国国連大使のニッキー・ヘイリーが、とりあえず石油禁輸を譲っても、船舶臨検を先に合意に持ち込んだのです。 

そしてもうひとつは、このような尻抜けを可能にさせているのは、国際社会のぬるい態度があります。

日本国内にも、「悪いのは戦争屋のアベだ」といっている某大学教授がいるくらいですから、国際社会にいたってはもっと怒っていないのです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2017/09/post-ba2d.html 

ヨーロッパさえ危機感はゼロに等しく、対岸の火事のようにみていた有り様です。 

なぜでしょうか。理由は簡単。自分の国は北朝鮮の弾道ミサイルの射程外だからで、しかもそれなりの経済関係があるからです。 

ヨーロッパの繊維産業は北朝鮮を下請けにして、法外な安値で作らせていました。 

このようなことが、北朝鮮の独裁体制を延命させ、核実験や弾道ミサイル発射といった横車を押し続けてこられた原因のひとつとなっていました。 

これを停めるには、それらの国に「恥ずかしいことだ」という自覚を持ってもらわねばなりません。 

それが国際世論の形成ということの意味です。 

特に最大の関係国であり、金一族をここまで育ててきた中国には大いに恥じ入ってもらわねばなりません。 

これまたもちろん,中国は世界最強の鉄面皮国ですから、素直に「恥じ入る」タマではありません。

Photottp://jp.reuters.com/article/column-mnuchin-idJPK...ムニューシン財務長官

だからこそ、米国は独自制裁としてムニューシン財務長官に、金融制裁を命じたのです。

 ムニューシンはこう述べています。

「国連決議違反の場合、中国当局に経済制裁=米財務長官 ムニューシン米財務長官は12日、国連安全保障理事会が11日に採択した対北朝鮮追加制裁決議に従わなければ、当局による米金融システムや国際ドルシステムへのアクセスを禁止するなど対中経済制裁を強化すると発言した。
 長官は12日、CNBC放送局がニューヨーク市で主催した「デリバリング・アルファ・カンファレンス」に出席。長官は、11日に国連安保理で、中国とロシアを含む全会一致で採択された対北朝鮮制裁決議について「歴史的だ」と述べた。
 長官は「中国(当局)がこの制裁決議を遵守しなければ、われわれは中国に対して追加制裁を課し、米国および国際ドルシステムへの進出を禁じる」と述べた。
 中国当局は長年、北朝鮮の貿易を支えてきた。北朝鮮の対外貿易の9割は中国向けだ。
 米メディアは国連関係者の話として、国連の制裁措置で北朝鮮からの石炭など輸出を禁止したにもかかわらず、今年2~8月末まで、北朝鮮は中国などに約2億7000万ドル規模の石炭や鉄などを輸出したと伝えた。」(ロイター9月15日)https://jp.reuters.com/article/idJP00093300_20170915_01320170915
 

「中国が国連制裁を徹底的に履行しない場合、我々は中国を追加で制裁する。中国が国際ドル通貨システムに接近できないようにする」だそうです。スゴイですね。

中国を名指しの上に、「制裁を履行しないなら国際ドル通貨システムに関わらせない」というのですから。基軸通貨国でなくては言えないブラフです。

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その上に、さらに細かく下院外交委員長ロイスは9月12日に開かれた外交委公聴会で、中国の招商銀行、農業銀行、建設銀行、丹東銀行、大連銀行、交通銀行、錦州銀行などを名指しで制裁候補にリストアップしたと言っています。

これらはすべて中国の国営の大銀行です。

彼らがいままでのように、のほほんと北朝鮮、密輸貿易の決済に関与し、マネーロンダリングしてきた長年の代償を払っていただこうじゃないか、ということてす。

その代償とは、国際決済通貨のドルに「接近させない」、つまりはドル決済を一切認めないということです。

それが実施された場合、確実に中国の金融秩序は崩壊の危機に瀕します。名指しされた中国の各銀行は慌てて、対策を講じているようです。

「[上海 12日 ロイター] - 中国の4大国有銀行は、北朝鮮の新たな顧客への金融サービスの提供を停止した。支店の行員らが明らかにした。
中国建設銀行(CCB)の遼寧省にある支店で窓口業務を担当する行員は、同行が8月28日に「北朝鮮との業務を完全に禁止した」と語った。
また、中国工商銀行(ICBC)は7月16日以降、北朝鮮人とイラン人を対象に口座開設を停止しているという。顧客相談通話サービスに応答したスタッフが明らかにした。理由は説明せず、これ以上の質問にも回答しなかった。
中国銀行の行員によると、同行の遼寧省・丹東市にある支店は昨年末に北朝鮮の個人・企業の口座開設を停止した。既存口座については預金や引き出しができなくなっているという。
同じく丹東にある中国農業銀行の支店の行員によると、同行でも北朝鮮顧客の口座開設はできないという 」
http://jp.reuters.com/article/china-banks-northkorea-idJPKCN1BN0QS

これが、前回の国連制裁決議について、トランプが「これはただの小さな1歩に過ぎない」と述べた真意です。

米国は今回の国連安保理閣僚会合で、もう一回原油の全面禁輸を中露に提案し、従わなければ規定方針どおり中国への独自制裁に踏み切ることになります。

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日曜写真館 なぜか寂しげな彼岸花

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ほんとうに、毎日書いていて、我ながらほとほとうんざりしています。テーマを変えたいと思うと、核実験をされ、気を取り直しすと、こんどは列島越えのミサイル実験です。

かんべんしちくれぇ。セットミーフリーってかんじ。どなたも似た感情をこらえて生きているのでしょうね。

こういう時は彼岸花もなぜか寂しげに見えます。

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今こそ北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するべきです

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再び北朝鮮が日本列島越えの弾道ミサイル発射をしました。 

現時点でわかっている事実関係から整理しておきます。 

撃った弾道ミサイルは、「火星12」という中距離弾道ミサイル(IRBM)です。 

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・発射地点・平壌市の順安付近
・午前6時57分発射。東向きに発射された。
・午前6時57分頃。日本列島の頭上を通過。
・午前7時00分。Jアラートを通達。
・午前7時06分。北海道から太平洋に抜ける。
・午前07時16分頃。襟裳岬沖2200kmの海に落下。

・飛翔距離・水平に約3700km
・最高到達高度は750~800km(ミニマムエナジー軌道)
・飛翔時間・約20分
 

飛行経路は以下です。 

Photo「海国防衛ジャーナル」様より引用させていただきました。感謝します。
http://blog.livedoor.jp/nonreal-pompandcircumstance/archives/50795311.html 

今回の弾道ミサイル発射は、国連安全保障理事会決議169517181874への明確な違反です。

メディアには、「北朝鮮は日米の圧力や米韓合同軍事で追い詰められて、やむなく撃ったんだ、本心は話しあいが欲しいだけなんだよぉ」という正恩の代弁者が多数出没しているようですが、2009年の国連安保理決議1874を読んでから言いなさい。

■外務省 国際連合安全保障理事会決議第1874号 抜粋 
(官報告示外務省第328号(平成21年6月19日発行))
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/anpori1874.html
「(国際連合憲章第7章の下の同憲章第41条に基づく措置)
2 北朝鮮に対し、いかなる核実験又は弾道ミサイル技術を使用した発射もこれ以上実施しないことを要求する。
3 北朝鮮が、弾道ミサイル計画に関連するすべての活動を停止し、かつ、この文脈において、ミサイル発射モラトリアムに係る既存の約束を再度確認することを決定する。
5 北朝鮮に対し、NPTからの脱退に関する発表を直ちに撤回することを要求する。
8 北朝鮮が、すべての核兵器及び既存の核計画を、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法で放棄し直ちに関連するすべての活動を停止すること。
NPTの下で締約国に課される義務及びIAEA保障措置協定(IAEA INFCIRC/403)に定める条件に厳格に従って行動すること、並びに、これらの要求に加え、透明性についての措置(IAEAが要求し、かつ、必要と認める個人、書類、設備及び施設へのアクセスを含む。)をIAEAに提供することを決定する。
29 北朝鮮に対し、すみやかに包括的核実験禁止条約に加盟するよう要請する。」

つまりここで国連安保理決議が北朝鮮に要求していることは、北朝鮮は国連加盟国である以上、以下の国連安保理の決議を遵守する義務があるということです。

①北朝鮮の核実験・弾道ミサイル実験の停止
②核実験・弾道ミサイル計画の廃棄
③NPTへの復帰
④IAEAによる核査察の受け入れ
⑤包括的核実験禁止条約(CTBT)への加盟

説明する必要はありませんが、これらすべての義務を履行せず、逆に加速させているのが、現在の北朝鮮です。 

北朝鮮は、北を擁護する人たちが言うように、米韓軍事演習や国際制裁に反発してまたもや撃ったのではなく、国連決議1695にあるように1993年から弾道ミサイル実験を繰り返し、度重なる警告を受けてきたいわば確信犯です。http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/n_korea/abd/un_k1695.html

これほどまでに国連決議から逸脱し続けるのなら、北朝鮮はかつての国際連盟から脱退した日本のように受難のキリストを気取って、国連から脱退し自滅することです。 

また、ほんとうにイヤになる反応ですが、「日本上空」を通過したという報道に対して、数百kmの大気圏外だから領空ではないとか、スレスレだからセーフだとか解説している者がいるようですが、そんなことは枝葉末節です。 

重要なことは、「お前の国を焦土としてやる」と宣言した国が、事前通告なしに日本に向けて弾道ミサイルを発射したこと、あまつさえ列島を超えたこと自体にあります。 

これはわが国の安全保障に対する重大な脅威であって、こんな無謀なことをする国は世界広しといえども北朝鮮だけです。 

諸外国ならこのような行為自体が宣戦布告、あるいは、戦争行為そのものだと解釈され、即時反撃の要件足り得ます。 

北朝鮮の肩を持って「話あい」を叫ぶのは勝手ですが、こういう国際秩序への挑戦と他国への武力による挑発と圧迫を許してしまうことが戦争に繋がるのです。

もし、「平和と話しあいを愛する」諸君らが、真に北朝鮮の友人ならば、このような愚かな暴走の先には戦争しかないのだと友情をこめて忠告することです。

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それはさておき、米国内には「予防攻撃」として核施設や弾道ミサイル基地を限定攻撃するというプランもあるようです。

米国の朝鮮半島問題の専門家である、ジョージワシントン大学教授・ラリー・ニキッシュ氏はこのように見ています。(正論5月号 古森義久氏論考抜粋)

ニキッシュ教授は、「米国の年来の北朝鮮への米軍のいかなる軍事攻撃も、北側の全面戦争への開始により韓国側に大惨事をもたらすため、現実的オプションにはなりえないとする大前提が崩れてきている」としています。

ただし現実には、相当に困難であることも確かです。

「●当面、もっとも現実的な軍事オプションとしては、北朝鮮の北西部の弾道ミサイル発射基地などへのミサイル攻撃、あるいは空爆による限定爆撃。
●核施設はは20~40箇所あると推測されるが、北朝鮮の核弾頭や核燃料の再処理・濃縮施設の位置が確認できていていない。」

撃ち損じが出た場合、わが国が核弾頭を搭載した弾道ミサイルの反撃をもらう可能性を否定できません。

Gbi米本土から発射される GBI(Ground-based Midcourse Defense:地上配備型ミッドコース防衛)

一方、宮家邦彦氏はこのように提言しています。宮家氏の意見はこのようなものです。

「●いまこそ米国は、北の弾道ミサイルを迎撃するという選択肢を改めて検討すべきだ。
●米国は、北朝鮮によるすべての弾道ミサイル発射を米国に対する直接敵脅威だき宣言する。
●迎撃は正統な自衛行為であり、仮に失敗しても米国の強い決意を示すことができる。
同案のポイントは、ミサイル迎撃が不力行使でありながら、自衛権行使の側面が強いため、北朝鮮が全面戦争に踏み切る可能性は低く、北の核兵器の抑止力を大幅に減殺する効果が期待できることだ」(産経オピニオン9月14日)

私は妥当な考えであると評価します。

米国に向けた弾道ミサイルであるために、一義的には米国が迎撃主体となりますが、わが国もイージス艦による探知などできる限りの協力をするべきでしょう。

それがわが国を守ることに繋がるからです。 

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