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2020年10月 1日 (木)

トランプ流討論会戦術とは

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トランプとバイデンのテレビ討論の第1回目が終わりました。
ウォールストリートジャーナルによれば「気の滅入るようなもの」だったそうで、「プロレスラーの方がトランプ、バイデン両氏よりも大統領にふさわしい」そうです(笑)。
ひどい言われようですが、こんなかんじだったそうです。

「エイブラハム・リンカーンとスティーブン・ダグラスとの討論のようなものは期待していなかったが、ワールド・レスリング・エンターテインメント(WWE)の試合のようなものにする必要はあっただろうか。この言い方はレスラーに対しても不当かもしれない。彼らの方が、29日夜に開かれた米大統領選の第1回候補者討論会のドナルド・トランプ大統領と民主党候補のジョー・バイデン前副大統領よりも大統領にふさわしい。
 討論会は、侮辱や頻繁な遮り、誇張、現在の米国政治のうその基準からも外れるようなあからさまなうそのオンパレードだった。恐らく数百万人の米国人が30分で見るのをやめてしまったのではないか。われわれも、これが仕事でなければ、やめていただろう」
(WSJ【社説】気が滅入るような両候補の討論会 9月30日)
https://jp.wsj.com/articles/SB12482633762737494654104587007383877795596

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WSJ

WSJによれば、トランプはいままでバイデンを直接やっつけるチャンスがなかったために、舌がもつれたというか、焦りすぎてアレもコレも詰め込みすぎたようです。
トランプが言いたかったことはどうやら、バイデンが左翼勢力と中国に操られているということだったようですが、いえなにWSJが嘆くような層に向けて、トランプは演技しておりません。
トランプの面白さというか、ハチャメチャなところは、初めからジャーナリストの不評など気にしていないことです。
そもそもCNNやNYTは歴然とした敵であり、よく言う道理がないからです。
彼が本気で相手にしているのは、こんなニューヨークやワシントンにいるインテリではなく、毎日汗のにじんだ金をにぎりしめて安酒場にビールを飲みに行くような連中なのです。

だから彼にとって大統領選挙討論会は、WSJがいみじくも言ったようにエンターティメント性溢れる「プロレス」なのです。
知っている人は知っているでしょうが、トランプは大統領をする前には、WWEにからんでいました。

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2007年に行われたWWEの最大の興行「バトル・オブ・ビリオネアズ」(10億ドル長者の戦い)と銘打たれた「髪切りマッチ」なんてものをやったことがありますが、双方とも代理のレスラーを立てて勝ったほうが敗者を丸坊主にできるという仰天のイベントであったようです。
勝ったトランプは、ほんとうにWWEオーナー兼CEOのビンス・マクマホンの髪をバリカンで丸坊主にしております(爆笑)。
まぁ後に少しは悪かったと思ったのか、大統領になった後に丸坊主にしたマクマホンの奥さんを閣僚人事で中小企業局長に抜擢したようです。

トランプはこれが持ち味です。いわばホワイトハウスでとぐろを巻いている朝青龍ことドルジみたいなもんです。
だから彼にリンカーンのような品位を期待するほうが間違いで、あえていえばそれでよいのです。
彼は東部のファッキング・エスタブリシュメントを叩き潰し、陽の当たらないラストベルトの労働者や、中西部のカウボーイ、農場主ら、今の世に乗り遅れた連中の世の中を作ると宣言したわけで、それなりに筋が通っています。

そんなトランプですから、本気で大統領選の討論会なんぞプロレスと考えている節があります。
ですから、相手が技を繰り出すとすかさず反則パンチを繰り出し、細かいファールを連発していらだたせて失言を引きだそうとしたようです。
ハーバートでディベートを習ったようなジャーナリスト諸氏には見る価値なしと言われたようですが、トランプは言った内容ではなく、いかにバイデンを叩きのめしたのかという印象こそが大事なのです。

「バイデン氏が民主党の左派にコントロールされているという主張以外、何を言いたかったのかがよく分からなかった。司会者のクリス・ウォレス氏が実績を強調できる経済などの問題について尋ねたときでさえも、トランプ氏は話題から逸(そ)れ、バイデン氏の攻撃に転じていた」(WSJ前掲)

だからトランプは宮家邦彦氏のような上品な外務省保守派に褒められでもしたら、青くなるでしょうね。今回の宮家氏の評はクソミソのようですから、よかったよかった。
とはいえせっかくコロナ前までは大成功していた経済政策の成功に、司会者から水を向けられたのですから素直に受ければよいものを、そんなことよりバイデンを殴ることに気がいってしまったようで、見ていたペンスなんかはアッチャーと思ったことでしょうね。
しかたがありませんよ、このワシントンの朝青龍は相手のウィークポイントを攻めることにしか興味がなかったし、それが彼の戦略というか「流儀」なんですから。

トランプの「戦略」はひとえにバイデンが隠している米国リベラルの正体を国民に見せつけることでした。
だから、バイデン最大の恥部であるハンター・バイデンの中国スキャンダルを言い立てました。

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米大統領に出馬したバイデン元副大統領の息子ロバート・ハンター

そもそもこのハンター・バイデンは、父親が期待していた長男を亡くした後に甘やかして育ててスポイルしてしまった人物のようです。
ハンターは海軍を薬物使用で追い出され(これはこれでリッパな汚点ですが)、その直後の2014年になんの資格も経験もないまま不正疑惑のあるウクライナのガス会社役員となっています。
当時父親はオバマ政権の副大統領でした。
ウクライナで最大月5万ドル(約530万円)の報酬を得ています。

「米議会上院は23日にまとめた報告書で、オバマ前政権の頃にバイデン前副大統領の息子が不正疑惑のあるウクライナ企業幹部を務めたことについて「利益相反の疑いがある」と指摘した。トランプ大統領がバイデン氏に対する追及を強めそうだ。
国土安全保障・政府問題委員会と財政委員会が共同で報告書をまとめた。ともに与党・共和党が委員長職を握る。報告書は政治色が強く、11月の大統領選の世論調査でリードするバイデン氏に打撃を与える狙いがあるとの見方が多い。
報告書によるとバイデン氏の息子ハンター氏は2014年、ウクライナのガス企業ブリスマの幹部に就いた。ブリスマは検察の捜査を避けるために裏金を使った疑いが出るなど不正疑惑があった。米外交官は同僚に送ったメールで「ウクライナの腐敗撲滅を推進する全ての米政府関係者にとってハンター氏の存在はとても困ったものだ」と嘆いた。
報告書は「オバマ政権はハンター氏の地位が問題であり、ウクライナ政策の効率的な実行を妨害していると認識していた」と主張。「オバマ政権の関係者が明白な警告を無視した」と断じた。一方でトランプ氏はバイデン氏がウクライナの検察官の解任を画策した疑いがあると主張していたが報告書では触れられていない」(日経2020年9月20日)

バイデンとハンターは不正疑惑を一貫して否定しており、今回の討論会でも「証拠がない」と主張しています。
また、ハンターの中国での活動も、バイデン氏の副大統領の任期と重なっています。
中国やウクライナにしてみれば、副大統領の息子と近い関係を築こうとし、多額の裏金を渡したり、なんらかの利益供与をしたことは不思議ではありません。
とうぜんウクライナや中国といった怪しげな国々がそれをタダで寄越すはずもないわけで、米国政府の政策になんらかの影響を期待してのことであったと思われます。

これらの触ってほしくないことを突っ込まれたりするとバイデンは地金を見せ始めて、リベラル左翼特有の言い方でトランプを罵り返し始めたようです。

「バイデン氏も大して変わりがなく、同じくらい相手の発言を遮っていた。また、人々を結束させたいと言う発言とは裏腹に、悪態だらけだった。トランプ氏を「人種差別主義者」や「愚か者」と呼び、「お前は黙れ」と口にしていた。また、トランプ氏と同じくらいのペースでうそを並べ立てた」(WSJ前掲)

「人種差別主義者」というような言い方は、今のブラックライブマター(BLM)の人たちが好んで多用する表現で、この言葉がバイデンの口から出た瞬間、トランプ支持層は飲み屋で仲間の方を叩きながら、ほら見たことか、これがバイデンって奴だよ、ファッキン、ボーシットと思ったことでしょう。

というわけで、トランプは例によってハチャメチャでしたが、支持層にはグッドジョブと言われるでしょうし、バイデンもスタッフとシナリオを沢山作って丸暗記したかいあって、民主党候補者討論会のような痴呆症疑惑をもたれることは避けられたようです。

こうして第1回は終わりましたが、WSJは実は討論会で決める奴は少ないんだよね、なんて白けたことを書いております。

「調査では討論会に大きく左右されることはないと答えた有権者が70%を上回った。討論会の内容に全く左右されないと答えた有権者も44%に達し、2000年以降では最多となっている」(WSJ9月20日)

なんだ、ならばなおさら、どんな政策を討論会で主張したのかではなく、トランプは人種差別主義者だと印象づけたいバイデン、BLMや中国の手先をホワイトハウスに送り込んでいいのかと叫ぶトランプの、まさに「プロレス」で終わってしまったのはむべなるかなです。

トランプは、この大統領選で民主党系の州が郵便投票をすることは不正の温床だと批判しています。バイデン陣営が自らに有利を操作をする疑いがあるというのです。
鈴置氏によれば、実際に韓国の前回の選挙で郵便投票が実施されましたが、統計学的にありえない同一数字が何度も登場したり、操作の疑いが濃厚だという指摘もあります。

「統計的な疑惑は韓国メディアがすでに指摘していましたが、ニューシャム大佐は票を計算する機械などが操作されたとの技術的な疑惑にも言及しました。それらにはファーウェイ(華為技術)の部品が使われているとされ、中国が遠隔操作しうる、と言うのです。 ニューシャム大佐は「この機械が白票も未来統合党への投票も『共に民主党』への投票に数えているビデオが存在する」とまで書きました。以下です。ただ、その画像は示していません」
(鈴置高史新潮デジタル 9月29日)

このようなことは米国でも起こり得ることで、中国がITを使って遠隔で選挙介入をする可能性があります。
それに備えて、トランプは、勝とうが負けようが必ず連邦最高裁にまで持ち込まれて裁判となることを見越しています。
そのために最高裁判事のリベラル派の欠員として保守派を送りこんだようです。

 

 

 

2020年9月30日 (水)

馬鹿が作り、詐欺師が儲け、国民が負担する、再エネ

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再エネについては今回でいちおう終了します。やりだすときりがありません。
この分野は数年前に諸外国の事例まで含めて私としては徹底的に論じ尽くしたという気分があるので、そらちをご覧になりたい方はカテゴリーの「原発を真面目に終わらせる」をお読み下さい。

本質的にはなんの変化もありませんが、再エネはあいかわらず「地球温暖化二酸化炭素主犯説」によって甘やかされたボンボンのようになっています。
カン首相がトチ狂って始めたことを、優秀な官僚諸君らが尻ぬぐいしてなんとか一人前になるような手だてをつくしているようです。

そもそも再エネは元々「気まぐれエネルギー」ですので、その時の気象条件によって左右されます。
風が吹けば電気を作りすぎ、止まればまったく発電しません。気持ちよく晴れればジャンジャン発電しても、曇ればピタリと止まります。
これは再エネである以上逃れられないいわば宿命で、こればかりはなんともなりません。
だから再エネは、産業革命が起きて石油が主なベースロード電源となると、こんな不安定な電源は忘れ去られていったわけです。

それをCO2ノーという掛け声で無理矢理に押し入れから取り出して、なにか目新しい画期的エネルギー源であるかのような衣を着せたわけです。
日本においては民主党政権が、それまでの自民党のエネルギー政策を全否定する目的で政治的に利用したことから始まりました。
福島事故以降、安直に原発を止めてしまい、その勢いで化石燃料発電にもストップをかけ、いっそ全エネルギーをクリーンな再エネーにしてしまえば「安全・安心」だと言う人が大量に出現しました。
多くはリベラル左派でしたので、
カン首相は自分の応援団が異常な盛り上がりを見てハタと膝を打ったみたいです。
こりゃ使える。オレの誰がみても失敗した原発事故収拾から眼を逸らせられるし、ここで原発ゼロを掲げたら、オレってカッコ良すぎ、支持率急上昇まちがいなしってわけです。

ちなみに、この原発事故のドタバタの時に官房長官をやっていて、「直ちに人体に影響がでない」というまるで後障害が出るかのような発信をしたのが、今の立憲の枝野氏であります。
この男のこのひとことで、福島・茨城は風評被害の地獄に突き落とされましたっけね。ああ、思い出すだに腹が煮えくり返る。

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脳みそが軽いカン氏は、専門家や官僚の意見などには目もくれず、独断で全原発の「検査停止」を「お願い」(根拠法がありませんから)したために、それから10年近く立とうというのにいまだ日本の原発は半身不随から抜け出していません。

そのうえカン氏は全原発を止めて日本のベースロード電源の3割を奪っただけでは飽き足らず、再エネを代替エネルギーとするという素人以外思いつかない「革命的」方針を、「アタシを辞めさせたかったら再エネ法を飲みなさい」と、自分の辞任と引き換えに押しつけて去って行きました
結果、将来を展望した制度設計があってやったわけではないので、そりゃあ目があてられないことになりましたですよ。

重度のドイツコンプレックスのカン氏がやったのは、ドイツ式FIT(全量・固定価格買い取り制度)というモノズゴイ制度で、本場でも失敗しています。
このようにFITはカン氏の政治的思惑で生まれたのですが、カネの臭いがあるところ必ず登場する
孫正義氏という怪人がこれに飛びつきました。
彼は当時、ソフトバンクという携帯業の顔だけ出していましたが、本業はM&Aの買収屋です。

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そして「盟友」の孫氏が言うがままに、カン氏は世界一高い買い取り価格を設定しまい、
当初はなんと40~42円/kWhを20年間固定で全量買い取りますっていうんですから、そりゃやりたい奴が殺到するわな。

こんな馬鹿げた投機的価格をつければ持続可能エネルギーどころか、持続不可能エネルギーに堕するのは目に見えると、私は初めから指摘していましたが、そのとおりとなってしまいました。
FITは詐欺師とヤマ師の巣窟と化し、発電枠だけとって無許可転売する輩、その枠を買い占めるチャイナ、そして太陽光パネルは中国製に支配されるというハチャメチャなことになりました。

「国が普及を進めてきた再生可能エネルギー業界に2月14日、ついに経済産業省の“メス”が入った。再生エネルギーで発電した電気を電力会社に一定価格で買い取ることを義務づけた固定価格買取制度(FIT)の認定を受けたにもかかわらず、運転を始めていない太陽光発電約670件について、認定取り消しを検討すると発表したのだ。前代未聞の事態の背景には、「いくらでもズルができる」と業界関係者が明かす制度の致命的な甘さがあった。
実は国が認定した設備容量は2249万キロだったが、実際に運転を開始したのは382.7万キロワットで、2割にも満たないことが経産省の調査で判明。しかも、認定から1年以上たっても土地・設備を確保していない業者が全体の3割に上っていることも分かった。」
(産経2014年3月8日) )

呆れてモノが言えません。国が支援している枠に対して、実際に運転を開始しているのはたった2割!悲惨というより、もはやお笑いです。

こんな詐欺師の楽園と化した再エネ業界を、ひたすら税金と消費者負担に頼る再エネ賦課金で乗り切ろうとしたために、年間実に2兆円ものカネが流出し、しかもその多くは中国へと流れていきました。

再エネ賦課金とは、案外知られていないのですが、まるで税金かNHKのように黙って国民全員が再エネに協力を強いられています。

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資源エネ庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

しかもこの再エネ賦課金は、毎年、それまでの買い取り価格が上乗されるために、累積して増えていくという仕組みになっていきます。

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北電

賦課金が増える理由は、電力会社が再生可能エネルギーを買取る量が増えているからなのですが、2017年度は総額2兆7045億円と毎年4,000億程増えます。
したがって、2016年には2.3兆円の負担だったものが 、 このままいくと2030年にはなんと4兆円になるという試算がされています。
このようにFITは、逆スライドで毎年重い負担となるというトンデモ制度なのです。

そこでみかねた経産省は2014年にFIT制度の見直しをします。

①太陽光による電力の価格を大幅に下げ、地熱などを相対的に優遇する。
②地熱発電による電力を優先的に買い取らせる。
③大規模太陽光発電につき、FIT適用のための認定を一時停止する。
④太陽光発電への新規参入や発電施設の新増設の凍結。
⑤買取価格に入札制度を導入する。
⑥電力会社が再生可能エネルギーによる電力を受け入れなくてもよい期間を30日からさらに延長する。

 大幅に買い取り価格を下げるといっていますが、それでも当時はまだ37円ていどでしたから、焼け石に水です。
特にプレハブ住宅のようにあっという間にできてしまう太陽光には新規参入を制限するなんて言い出しました。
 

2017年当時、経産省資源エネルギー庁の再エネに関する検討委員会で、次の4つの課題が上げられています。
(2017年12月18日資源エネルギー庁で「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」)

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資源エネルギー庁


①依然として日本の再エネの発電コストは欧州の二倍で国際的に高い水準にある。
②既存系統と再エネ立地ポテンシャルの不一致により「再エネ電源を作りたくとも系統の空き容量が存在せず繋げない」という系統制約の問題が顕在化している。
③太陽光発電および風力発電という変動再エネの導入が拡大したことにより、系統全体の調整力が不足してきている。
④長期安定発電の開発を支える環境が未成熟な他、洋上風力等の新たな電源は立地制約が厳しく、結果として再エネ電源の開発が太陽光発電に偏っている。
宇佐美典也『今後の再エネの普及を左右する「日本版コネクト&マネージ」の行方』より抜粋

①は、日本の再エネはFIT制度で世界一高い水準に高止まりしたままだということです。
現在は15%だが、これでも既に年間2兆円の国民負担をさせているが、目標ドイツ並の24%にするためには更に後1兆円の国民負担が必要だということのようです。
おいおい、冗談も顔だけにしろよ。国民の負担で誰を設けさせているんだ、と言いたくもなります。

②再エネを作っても送電網の系統の空き容量がないのではどうしようもありませんが、これは送電会社の系統接続がネックとなっているということのようです。電力ネットワークの再編が必要だと、委員会は指摘しています。
しかしこんな「異物」のために、それでなくても電力自由化の余波で弱体化している送電網にこれ以上の負担を要求するのは、ちょっと。

③気まぐれエネルギーが大幅に増えたために、系統全体の調整力が不足してきている、としています。
これについて、将来は蓄電池の導入で調整力を増すとしていますが、それがか電力のさらなる高コストにつながることはきのう触れました。

④簡単・安価な太陽光にのみ参入者が殺到したために、他の洋上風力や地熱などに新規参入が見られないというアンバランスな現象が生まれたようですが、これも当然のことです。
ものごとは安易な法に殺到するのですよ。
だからFITが蟻の大群に群がられるケーキのようになってしまったのです。

いまもさらに再エネ買い取り制度の手直しを図って行くようですが、どうなりますことやら。
とまれ、初めのボタンをかけ間違ったら、最後までボタンは合いません。

たとえば、太陽光はメガソーラの浮島発電所の発電実績は1年稼働して、柏崎刈羽原発1号機のわずか15時間分ていどでしかありません。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-cf07.html

再エネにとうていベースロード電源の資格などないことは明白です。
その明らかな真実に目を背けて、竹馬を履かせているのですから、しょーもない。
そんなことは、とっくにドイツの先駆例で既にあきらかなのにもかかわらず、脱原発=再エネという誤った政治的思惑から開始してしまいまったうえに、ムチャクチャなFITで後世につけ払いを残してしまったのですから、タチが悪すぎます。

失敗して当然、というか、失敗するなら制度全体を白紙にすべきです。
といっても20年間固定買い取り制度ですから、いったいどうするつもりなんでしょう。
枝野さんーん、どうするんだーい。「自然エネルギー立国」するんだったら、その敷地の地下を少し掘れば汚物がしこたまでてきますよ。

このように、馬鹿が作り、詐欺師が儲け、国民が負担するというのが「自然エネルギー立国」の実態です。

 

 

2020年9月29日 (火)

再エネは工業国のベースロード電源たる基本的条件を持っていません

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お断りしておくべきだったかもしれませんが、私は、再生可能エネルギーに対して頭から否定的だというわけではありません。
いやむしろ好きなくらいです。
私は、FIT(全量・固定価格買い取り制度)が影も形もなく、発電パネルが小型自動車並の価格だった頃の設置者でしたした。
今でも「太陽光発電所」という名称を与えられ、積算メーターが上り始めた時の感動は覚えています。
都市に住んでいた頃には「裏庭市民エネルギー」の実践者でしたし、台風にならないと回らないという台風警告器のような風車を作ったものです。
ですから、再エネとのつきあいはかれこれ30年以上になります。

いまでも自然エネルギーが、それぞれの地域の中でその特性を活かして無理なく動いている風景を見ると嬉しくなります。
だからこそ、再エネが工業国家の基幹エネルギーになるなんていう馬鹿げた夢を見てほしくはありません。
国が取り組んでいまや10年弱ですから、もう突き放して言ってやったほうがいいでしょうが、再エネはあくまでも補完的なエネルギー源でしかなく、恒常的なベース電源たりえません。
そうしようとすると、かえって再エネの良さが失われ、矛盾が極大化してしまいます。

仮に蓄電装置が進化しても本質的にはなにも変わりません。
自然エネ派の皆さんは蓄電器の進化に妙に思い入れがあるみたいですが、それはパッタリと発電しない時期があったり、狂ったように発電しっぱなしという気まぐれ電源の再エネの尻ぬぐいをしていた火力発電所の負荷が、多少減るていどのことです。
つまり(仮に各個の再エネ電源に蓄電器を配布できたとしてですが)、それでやっと人並みの電源に一歩近づいたていどのことでしかありません。

ただし蓄電装置なんぞを再エネの必須条件にしようもんなら、後述しますが、あまりに高価なために、電力料金を引き上げてしまいます。
再エネ発電の新規参入者は、あくまでも発電したらしただけ全量買ってもらえるという甘ったれた条件があるから異業種参入がひきもきらないのであって、蓄電器が参入条件となるとパタっと減ることでしょう。
となると撤退も増えるでしょうから、案外ちょうどいいバランスとなるかもしれません。

もし枝野さんが言うように100%再エネとした場合の試算を、GEPRフェロー諸葛宗男氏がしていますので、ご参考までに。 

「日射が少ない11月から3月までは発電量が需要を下回るため、需要電力を賄う電力は蓄電池からの放電に頼らざるを得ない。したがって、再エネだけで需要を賄う場合、図1に示す通り、年間需要電力量の17.5%に相当する容量の蓄電池が必要となる。日本の全国の年間電力需要を9,808億kWh[注2]とすれば、蓄電池はその17.5%、1,716億kWhの容量が必要となる。蓄電池の価格を政府の2020年目標価格9万円/kWh[注3]とすれば、蓄電池の購入価格は1,716億kWh×9万円/kWh=1.54×1016円となる。1.54億円の1億倍の膨大な額である」 (GEPRフェロー諸葛宗男 2019年06月19日 下グラフ2枚も同じ)

1億円の1億倍ってひょっとして1京円でしたっけ。
もう天文学的支出で日本国潰す気なら「自然エネルギー立国」やってみてよ、あたしゃ亡命します、という世界です。

その理由は、根本的には再エネが気まぐれなエネルギーであることです。これは電源としては致命的な欠陥です。
火力は秒単位で出力を調整することが可能で、その時の需給二合わせて増減をくりかえしています。
しかし風力発電ときたら、発電可能なのは風が吹いたときだけ、太陽光が発電するのはお天道様が照っているときだけ、です。
風が吹かねば羽根は回りませんし、曇りゃあ太陽光パネルはただの板です。

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一見いつも同じていどの風が吹いていそうな風力すらも旬があります。

ところで再生可能エネルギーは、そのお天気任せの気ままな性格が禍してか、9電力会社が仕切る系統送電網には嫌われっぱなしでした。
そきため再エネは、たびたび電力会社から接続紀拒否されています。これはあながち電力会社のエゴというだけではなく、下図のような発電量の大きなブレがあったからです。

 

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これは九州電力長島風力発電所の一日の発電量推移ですが赤線が発電量、青線が風速です。ご覧のとおり、一日でも細かな出力の上下動を繰り返し、青線の風速が落ちるとてきめんに出力が落ちるのが分かります。 
いいときは昼前後の時間帯で4万キロワットと定格出力の80%程度を発電していますが朝夕はがた落ちです。まさに風任せ。 

もう一枚のグラフはベタ凪の一日の発電量です。たぶんプロペラはピクリともしなかったとみえて発電ゼロです。

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このふたつのグラフでわかることは、風力発電は定格出力の0%から80%まで変化してそのつど電圧と周波数の変動がある間欠性電源だということです。このような電源を系統電源に組み込むためには手段は三つしかありません。 

一番目は、風力発電に蓄電器を取り付けて一定の余剰電力が生まれたら蓄えておくことです。
余剰電力を貯めて、発電が少ない時に送電し平準化して送電できるようにします。
 
この蓄電方式は、後述しますが、飛躍的進歩しているとはいえコストがかかりすぎてペイしません。
そのうち安価で優秀なバッテリーが出来るようになるまで実用化にはなりそうもないのが現状です。
 

二番目は、現行の方法でバックアップの発電所を常に待機させている方法です。
風車が止まったら代わりにその分を肩代わりして発電し、風車がブンブン回り始めたら止めるという具合です。
 
これに対応できるのは、出力の上げ下げが自在にできる電源は火力発電所しかありません。
ですから皮肉にも、ドイツでは再生可能エネルギーが伸びれば伸びるほど火力発電のバックアップで伸びて、今や約半分の電源は化石燃料、特に石炭火力が占めることになって大気汚染が心配されるようなってしまいました。

三番目は、ある地域の天候がダメなら、別の地域で補完できるような素早い電力融通ができるスマートグリッドです。
ただしこれらスマートグリッドや超伝導送電線、あるいは蓄電装置などの新技術は高コストを覚悟せざるをえず、いっそうの電力料金気値上げをまねくことでしょう。 

また4月から9月までは必要な需要に追いつきませんから、せっせと蓄電器から放出し続けねばなりません。

「風力発電は図3に示す通り4月から9月まで風況が悪く発電量が需要を下回り、需要電力を賄うのは蓄電池の放電に頼らざるを得ない。風力発電だけで需要を賄おうとすれば、需要電力量の13.1%の蓄電池が必要となる。太陽光の場合と同様、需要電力を9,808億kWhとし、蓄電池の単価を9万円/kWhとすれば、まず、蓄電池容量は
9,808億kWh×13.1%=1,285億kWh
となり、その建設費は、1,285億kWh×9万円/kWh=1.15×1016円となる。1.15億円の1億倍の膨大な額である」(諸葛前掲) 

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安定している再エネは水力と地熱だけですが、設置場所が限定されるうえに、いまや双方ともに新規の建設は地元の反対にあって不可能となっています。
おっと立憲さんは脱ダム宣言とやらで、もっとも安定した水力は仲間に入れてやらんのでしたっけね。

ではなにが原発の代替エネルギーになるのでしょうかそれは「エネルギーの価値尺度」を見ていかねばなりません。
ガス・コンバインドサイクルなどの技術的進歩は、この価値尺度の一部でしかありません。 
よく素人が技術的ブレークスルーに接すると、すぐこれこそが次世代の救世主と思ってしまうものですが、シェールガスや、メタンハイドレートのような新たなジャンルが誕生したのでなければ、その影響はこの価値尺度の枠の中で判定されるべきです。
そうしないと、新たな技術やエネルギー源が誕生するたびに宣伝文句に踊らされるはめになります。 

さて、このエネルギー価値尺度で世界的にもっとも有名なのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)のテルツァキアン教授によるエネルギーの価値を判定する9の基準というリストです。

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学者の言うことですから、やたら小難しい用語で書かれていますが、要は「安全・安心・安定」ということです。
これはエネルギー源の利用価値を計るもので、「産出/投入比率」と合わせて使われているものです。 (欄外資料2参照)
※関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-3.html 


●テルツァキアンの判定項目
汎用性      ・・・どんな用途にでも利用可能
量的柔軟性   ・・・微細にでも巨大にでも調整可能
貯蔵性・運搬性 ・・・自在に移動することが可能
ユビキタス性  ・・・時期と場所を選ばない
エネルギー量  ・・・面積・体積・重量当たりのエネルギー量
出力密度     ・・・時間当たりのエネルギー量
出力安定性   ・・・エネルギー出力の安定性
環境負荷    ・・・CO2や窒素酸化物・硫黄酸化物などの排出量
供給安全保障 ・・・産出地の政治的安定性
 

石油や天然ガスはごらんのように〇ばかりで、政治的状況による供給安定性にだけ×がつきます。
一方
再生可能エネルギーは、脱原発のシンボルのように扱われたために実力以上に人気が高いエネルギー源ですが、ことごとくエネルギーの持つべき要件を持っておらず、いいのは環境負荷と政治的リスクです。 
ですから、再エネはその本来電源が持つべき条件がないにもかかわらず、経済外的要因で押し込まれている「政治的エネルギー」です。

そこであきらめきれない自然エネ派は、蓄電器をつけたら万々歳、ブレークスルーだという幻想を振りまいているようですが、気の毒ですがそれは電力コストの上昇とトレードオフの関係だということを忘れています。

「太陽光と風力の発電単価はMETIによれば、太陽光(メガ)は24.2円/kWh、風力は21.1円/kWhである。蓄電池寿命は約10年とされているが、ここではその2倍の20年使えるとする。
蓄電池コストに約1京円を投じ、これを年間発電量約1兆kWhの20年分20兆kWhで割ると、500円/kWhとなる。これに上述の再エネ発電単価を加えると、太陽光が524.2円/kWh、風力が521.1円/kWhとなる」(諸葛前掲)

太陽光、風力、共に500円/kWhという目の玉が飛び出す電力価格となります。

聞くところでは、「再エネ大国」ドイツでは既に、電源別の小売りが始まっているそうです。
意識高い系でものすごく高いが全部自然エネルギーで気分がいいという方には500円/kWhの電源を選んで頂き、少しでも安いほうがいいに決まっているゾというプアマンには火力中心・原子力多め・再エネ賦課金拒否の電源を選んで貰えれば平等ではないでしょうか。

いずれにしても、電気料金を高くしすぎると、ドイツのように製造業の海外逃避が始まりますのでお気をつけ下さい。

 

2020年9月28日 (月)

立憲はいつまで「自然エネルギー立国」なんていうお菓子ばかり食べているのだ

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立憲がまたぞろ「自然エネルギー立国」だそうです。

「立憲民主党の枝野幸男代表は23日、日本外国特派員協会で記者会見し、自身が唱える「自然エネルギー立国」の実現により脱原発を達成したいと意欲を示した。「原子力を発電に使わないという方向を、できるだけ早く実現する。自然エネルギー分野を成長させて、国内(需要)の100%に近づける」と述べた。
 自然エネルギーはコストや安定供給といった課題を抱えるが「供給量や価格は、時間の問題で解決できる」と断言。技術を発展させ、世界に売り込む考えも示した。使用済み核燃料の処分や廃炉、立地地域の雇用など脱原発の課題を挙げ「正面から向き合い、解決へ努力したい」と強調した」
(秋田魁新法

いつまで同じこと言ってんでしょうか。原発ゼロと再生可能エネルギーのワンセットです。
福島事故後の数年間ならまだしも、いまでもこんなことが争点になっていると思う神経が理解できません。
先週なんどか記事にしようとは思いましたが、もう論じ尽くしたテーマなので延びきったラーメンのように食欲がでませんでした。
しかしまぁ、まったく素通りというわけにもいかないので、やっておきますか。

論点はいくつかあります。
枝野氏は再生可能エネルギー(再エネ)という表現が一般化する前の「自然エネルギー」に表現を替えましたが、言っていることは一緒です。
というかゼンゼン進化しないね、このヒトたち。
いやいっそう定向進化しちゃって、なんだって「国内(電力需要の)100%にする」ですって(笑)。ぶ、はは。100%無理。
いまでも風力、太陽光、地熱など合わせても8%に満たないのに、どこをどうしたら100%になるんだつうの。
北海沿岸の風力発電から長距離送電網を作って、森林伐採しまくってまで「自然エネルギー」を増やしたメルケルのドイツですら、せいぜい2割台です。

Fig11

2018年(暦年)の国内の自然エネルギー電力の割合(速報) | ISEP 環境 ...isep.or.jp

脱原発に熱心で、民主党政権時代にはグリーンニューディールなんて言っていた米国も、早々と壁にぶち当たって、いまや原子力を増やそうとしています。

「クリントン政権の発足当初は、核不拡散を最優先課題とし、エネルギーについては原子力を重視せず「再生エネルギーを重視」するものであり、前ブッシュ政権時代と比べて原子力開発予算は劇的に削減され、重要プロジェクトは次々と中止に追い込まれた。
逆に、政権の2期目では、原子力に対する政権の取り組みが徐々に変わり、地球温暖化防止、輸入石油への依存などの現実から、「原子力をエネルギー源選択のオプションとして残す」方向へと政策は変わってきた。
また既存の原子力発電所定期検査のサイクルの長期化、出力増加等により発電量を増大させるとともに「原子力2010」計画により新規原子力発電所建設を目指し、補助金、規制改革など民間の取組を支援している。
国内の石油、ガス価格高騰、大規模停電等の問題解析のため、2001年5月「国家エネルギー政策」を発表し、これを受けて上下両院で包括エネルギー法案の審議が開始された。審議は難航したが、2005円4月下院を通過した。同6月上院を通過し、上下両院協議会に入り、合意を得た後、8月8日に大統領が署名し成立した」
主要国のエネルギー政策目標 (01-09-01-01) - ATOMICA -

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今どき世界ひろしといえど、原発ゼロにして再エネを100%に近づける、なんてイっちゃったことを言っているのは枝野さんのところくらいです。
そもそも「自然エネルギー」で唯一モノになるのは水力くらいでしたが、脱ダムやっちゃったのは民主党政権でしたっけね。

「自然エネルギー立国」なんて、イメージだけでしゃべっているからこうなるのです。
本来、政策化するためにはテーマを切り分けて、目的をはっきりとさせねばなりません。
地球気象変動を止めたい、そのために地球温暖化ガスの二酸化炭素を削減するか、その温暖化ガスの原因となる化石燃料を削減するために再エネを増やしていくのか、はたまた放射能ゼロ、別の言い方で原発ゼロなのか、です。
このヒトたちの脳味噌の中ではきっと、地球温暖化阻止→火力発電削減→原発ゼロ→再エネなんて公式が並んでいるのでしょうね。

実はこれらの事柄は、なにも考えないとスッと矛盾なく繋がるようですが、実は矛盾した要件です。
というのは、地球温暖化の主な原因が二酸化炭素かどうかはとりあえず置くとして(私は懐疑論者ですが)、現実にCO2削減をしようと思うと、もっとも手っとり早いのが、原子力を増やすことだからです。

原子力はなんせ二酸化炭酸ガスや硫黄酸化物をまったく排出しない「クリーン」なエネルギーだからで、ただCO2削減が目的ならば、化石燃料発電(火力)をさっさと止めて、原子力に一本化するのが近道です。
ただし、3.11の福島事故のように事故が起きた場合、その規模と影響の時間尺の長さは巨大で、他のエネルギー源のそれとは比較になりません。

また原発が未完成な技術体系なことは確かです。
いま新世代原発の登場によって福島事故のような全電源停止状況でも炉心冷却可能なタイプが生まれてきてはいますが、むしろハード以外の耐用年数制限の問題、高濃度廃棄物の最終処分のあり方、核廃棄物と原発稼働数との関係(総枠規制)、あるいは核リサイクル施設の存続といった未解決な問題が山積しています。
これらの諸問題は、いくら新世代原発がステーションブラックアウトであっても炉心冷却出来るようになったといえどもつきまとう以上、原発は「今なくては困るが、そこそこに」というのが私の考えです。
私はその意味で、少なくともGE型のような旧世代原発から段階的に削減していくしかないと考えています。

しかし福島事故以前は約3割のベース電源であったために、直ちに「原発ゼロ」といっただけではなんの問題解決にもなりません。
しっかりとその3割のエネルギーの穴を埋める代替エネルギーをがなくてはなりません。
それをまったく考えずにやったのが民主党政権で、それをまたぞろ性懲りもなく押し入れから取り出したのが立憲です。
小泉環境大臣のパパは有名な反原発運動家ですが(総理大臣だったって噂がありますが、ほんとかしら)、
翁はこう言っています。

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「今こそ原発をゼロにするという方針を政府・自民党が出せば一気に雰囲気は盛り上がる。そうすると、官民共同で世界に例のない、原発に依存しない、自然を資源にした循環型社会をつくる夢に向かって、この国は結束できる 」
(ハフィントンポスト 2013年10月2日
 

まるでマックのセットメニューです。
ところが、実はここれら微妙に絡んではいるものの、相互に矛盾していて、本来なんの関係もないそれぞれ別途に検証せねばならないテーマなのです。  

さて再エネは、もっとも古典的なエネルギー源として古くからありました。
中世にはほぼ今の原型を完成させていますが、産業革命で大部分はすたれつつも、地域にしぶとくしがみついて生き抜いてきました。  
それが改めて再注目されたのは、1979年のスリーマイル島事故以後の脱原発運動の盛り上がりからです。 
この中で再エネ(当時の言い方では「市民エネルギー」)は、その言葉のニュアンスどおり市民が、「裏庭で自分の家のエネルギーくらいは作ってみせる。その分原発はいらないんだ」というはなはだ牧歌的なものでした。  

自然エネルギーのイデオローグであった飯田哲也氏の初期の本には、1986年のチェルノブイリ原発事故以後のスウェーデンで、同じような地域で市民が知恵と金を出し合って風車を建てていくエネルギー・デモクラシーの様子が描かれています。  
世界中で市民が日曜大工で怪しげな「エネルギー発生装置」を作ったり、市民ファンドで風車を回していたのです。 

このような牧歌的な再エネは、今では「神代の時代」の昔語りにすぎません。
なぜなら、今や脱原発運動は、裏庭どころか再生可能エネルギーを社会全体の代替エネルギーと位置づけてしまったからです。  
この本来は、地域の生活や生産に密着した「裏庭エネルギー」だったものが、一躍世界上位の工業国家の代替エネルギーなどという身分不相応の位置を与えられれば、そりゃ失敗して当然です。

発電規模のケタが違う再エネを「飛躍」させようとすれば、必ず別の矛盾を引き起こします。 
それは反原発運動の意識の延長で国家規模の、しかも世界で屈指の工業技術国の代替エネルギーを再エネに据えてしまったドイツの経験が物語っています。  
ドイツではいくら優遇策であるFIT(全量・固定価格買い上げ制度)に厖大な金をつぎ込んでも再エネは07年時点で最大で16%にしか伸びませんでした。 (下図参照) 

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熊谷徹氏による

ちなみにその内訳は、風力発電が4割、バイオマスが3割、水力が2割、太陽光が1割未満です。  
驚かされるのは、太陽光は再エネの代表選手のように思われているものの、実は全エネルギー源の0.2~0.4%(2010年現在)にすぎないことです。
 一方、ドイツは原発を暫時停止(完全停止していません)することによって、低品質の硫黄酸化物の多い国内石炭火力発電が49%にも増えてしまいました。 
ですから、
皮肉なことには脱原発政策によって化石燃料シフトが起きてしまったのです。 これによってドイツの炭酸ガス排出量は一挙に増えていきます。 

実はわが国もまったく一緒でした。わが国はある意味ドイツより過激な「全原発停止検査」ということを初めてしまったからです。
なんの法的根拠もなく、ただのカン氏の「お願い」で、全原発ストップですから呆れたもんです。
結果がこれです。火力発電一色となりまなした。
皮肉にも原発ゼロにすると火力発電が増えてしまい、したがって炭酸ガス排出量が増加するというトレードオフの関係がはっきりしてしまったのです。

Photo_2

2013年度のエネルギー源別の発電電力量の割合http://www.japanfs.org/ja/news/archives/news_id035081.html

2018年度の実績値 → 2030年度の計画値
原子力 6% → 20-22%
石炭 31% → 26%
LNG 38% → 27%
石油 7% →  3%
再エネ 17% → 22-24%(*再エネは水力を含む)
出所:
・ 2018年度エネルギー需給実績(速報値)
・ 第5次エネルギー基本計画(2018年7月発表)

化石燃料を主体とした発電を続ける限り、わが国は二酸化炭素を削減することは不可能です。
原発を止め、9割弱を化石燃料に依存している現状では、パリ協定目標を達成することは不可能です。
つまり、エコ政策を突き進もうとして二酸化炭素ガス削減するためには原発を一定割合で組み込まねばならず、組み込んだら今度は反原発派から「危ない原発反対」とやられるという二律背反になってしまうわけです。
枝野氏にどうやったら原発を止めたままで、CO2削減できるのかお聞きしたいものです。

特に2008年からの2年間の二酸化炭素の排出量の増加は危険視されています。脱原発よって環境が確実に悪化したのです。  
2009年の国連気象変動サミットにおいて、鳩山元首相が国際公約してしまった1990年比で2020年までに25%温室効果ガスを削減するという目標年になってしまいましたが、原子力発電なくしてどのようにするのかはまったく不透明です。
(*CO2削減率問題については過去ログをご覧ください。)
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-a3c7.html 

下図を見ると、1997年の京都議定書以降も、CO2は増加の歯止めがかかっていないのが現状です。
京都議定書 - Wikipedia

 

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Warming_chart01化石燃料などからのCO2排出量と大気中のCO2濃度の変化出典:電気事業連合会「原子力・エネルギー」図面集2010http://www.jnfl.co.jp/recruit/energy/warming.html

このように京都議定書は失敗し、パリ協定もまた実行が疑問視されていることは確かです。
それ以前の1990年に8%削減という政府目標を立てた時ですら、そのために原発を9基増設し、当時60%台だった稼働率を一挙に81%にまで引き上げ、太陽光も20倍にする、と試算されていました。 

また、2009年時点で、政府は電力に占める原子力の割合を当時の30%から2030年には50%にまで引き上げる計画を立てていました。 
とうぜんのこととして、それらの計画は3.11以後、完全に白紙になりました。 
ここで、ではどうやったら原子力なしでCO2削減ができるのか、という問題に直面せねばならなくなったわけです。 

このように簡単に「原発ゼロ」と言って済ませられる問題ではないというのがお判りいただけたでしょうか。
原発問題というのは、放射能リスクばかり強調されがちですが、むしろエネルギー問題だと私は思っています。
原発のリスクをなくすということは、別なリスクを取ることでもあります。その新たなリスクの大小が、代替エネルギーを選ぶ基準となります。  

問題のあり方を切り分けられず、トータルに代替エネルギーを見られない連中だけが、いまだに「自然エネルギー立国」なんて脳みそが日焼けしたことを感覚的に言っているにすぎません。
枝野さん、いつまでも「グリーン立国」なんてお菓子ばかり食べていないで、真正面からエネルギー問題を見たらいかがでしょうか。

長くなりましたので明日に続けます。

 

 

 

2020年9月27日 (日)

日曜写真館 パステルの朝

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太陽が登る前のエネルギーに満ちた時間が好きです。

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モネみたいなものを撮りたいといつも思っていますが、ほど遠いですね。

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夜明け前がエネルギーの充填なら、日の出は放出です。だから美しくも怖い。

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2020年9月26日 (土)

地球温暖化を利用する中国

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最後の最後になるまでわかりませんが、日本にも大きな影響を与える米国大統領選挙は、バイデンが首ひとつ優勢のようです。
私としてはペンスかポンペオが大統領候補だったら、どれだけ安心かとは思いますが、ま、しゃーない。
彼らは優れた保守政治家ですが、トランプほどまでの破壊力はなかったのは確かですしね。

とまれ、前回のようなドンデン返しもあるんでなんともいえませんが、現時点ではバイデンが勝つことを考慮に入れて考えておかねばなりません。
米国の民主主義社会の土台は法と秩序だ、いくらなんでもBLMはやりすぎだと思えばトランプに入れるでしょうし、米国分裂の責任はトランプ野郎だという米メディアを信じてバイデンに入れるかもしれません。
いずれにしても、この米国の黒人と白人の人種対立には普遍性はありません。
米国固有の歴史のゆがみから生まれたもので、私たち外国人にはどうしようもありませんから、BLMでもなんでも気が済むまでやってくれ、という気分です。

さて、バイデンが大統領になったら、ということで少し考えてみましょう。
いいニュースと悪いニュースがあります。
いいほうからいきますか。米国の対中政策には大きな変化はないと、おおよその米国ウォッチャーは見ています。

「バイデン政権の対中外交も、トランプ政権の対中政策同様強硬なものになるであろう、という推測をする者もいる。現在アメリカでは、超党派で中国についての見方が厳しくなっている。とくに今回の新型肺炎の問題では、中国の隠ぺい体質が党派を超えて強く批判されている。
 トランプ政権の対中政策はその強硬姿勢で目立っているが、最近制定された中国関連の法案は、ほとんどが超党派で、すなわち民主党が多数党となっている下院も同調し、多数の民主党議員の賛成のもとに可決されていることは事実であり、議論の前提として確認しておく必要がある」(『バイデン政権」の外交を考える』久保文明東京大学大学院法学政治学研究科教授)

下院で多数派を握っている民主党も、香港問題などではトランプの尻を叩きまくっているくらいで、対中問題が今や「自由と人権」領域に入ってしまった以上、ここから後退することは、民主党の自殺行為です。
懸念材料としては、あの二大国主義者のスーザンライスが、今度は国務長官で帰ってくる可能性か噂されていることです。
この人物はオバマの安全保障特別補佐官時代に、「中国が提案した大国間関係」という新しいモデルを円滑に運用すべく模索中である」なんておっとろしいことを述べたことがありますので、要警戒です。

オバマが「アジア回帰」と口ではいいながら、まったく動かなかったのは、このライスが反対し続けたためです。
バイデンが彼女を入閣させた場合、いくら大統領が強硬なことを言っても、ライスが骨抜きにしてしまうでしょう。

「アシュトン・カーターはオバマ政権の最後にして4人目の国防長官であるが、前任者同様、自分の以前のボスに厳しい言葉を浴びせている。すなわち、彼は南シナ海での航行の自由作戦の着手について何度もホワイトハウスに打診しながら、そのたびにオバマ大統領とライス補佐官に拒否されたことを、批判的に語っている。それはようやく2015年終わりに実行に移された。
人権や通商でいくら強い態度を示しても、最終的かつ本質的には力の論理に依拠した言動でないと、中国に対しては迫力を持たないであろう」(石井前掲)

いずれにしても米国の大統領制特有の前政権否定はやります。
トランプのプラス面、マイナス面を先日の記事で箇条書きしたことがあります。
関連記事『「バイデン政権」の外交を考える』
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2020/07/post-2bb890.html

・トランプ外交のプラス面
①中国に厳しい態度を取り続け、自由主義陣営の結束を呼びかけた。
②安倍氏と良好な関係を保ち、友好関係を作った。
③北朝鮮と非核化交渉を現実化させた。
④パリ協定から離脱した。

・トランプ外交のマイナス面
①反同盟的態度が目立ち、従来の同盟関係を破壊するような言動が目立った。
②日米同盟についても金銭勘定で量るような根本的な認識に疑問がつく言動が目立った。
③衝動的、かつ感情的な言動が日常的になされた結果、トランプ劇場に世界は振り回された。
④国連などの国際機関と敵対した。

さてトランプ外交のプラス面として、前記事にパリ協定からの離脱を追加しました。
というのは、北京が今練っている「バイデンの傾向と対策」のトップに出てくるのがこの地球温暖化による米国のたらし込みだからです。

これに警告を鳴らすウォールストリートジャーナル(9月23日)『【オピニオン】中国に譲歩しても温暖化は止まらず「バイデン大統領」は対中姿勢の緩和を求められるだろう』はこう述べています。
https://jp.wsj.com/articles/SB11022691738936953480704586646601828746470

「米国でバイデン大統領が誕生した場合に備えて、中国政府の政策立案者たちは自分たちの選択肢を見極めている。その中で、最も関心が高いと思われるテーマの一つが気候変動だ。
民主党大統領候補のジョー・バイデン氏は気候変動のペースを遅らせるという目標を米国の外交政策の中心に据えると繰り返し発言している。民主党の政策綱領によれば、米国はパリ協定に復帰し、地球の気温の上昇を産業革命前の水準からセ氏で1.5度に抑えるための対策を立法化するよう各国に求めるという」(WSJ9月23日)

WSJは、地球温暖化という本来は中国の最大のネックを逆手にとって、米国の譲歩を引き出したいと考えているとしています。

「中国政府の政府関係者の目標は、バイデン政権内部で議論させることだろう。つまり地球を救うために対中強硬派を抑えるよう、積極的な気候変動対策を求める人々が大統領を説得することである。
気候変動と戦う人々はこう言うだろう。気候変動の鍵は中国政府にある、米国が貿易に関して中国に嫌がらせをしたり、中国企業に制裁を科したり、台湾に武器を持たせたり、中国の近隣諸国に反中同盟を構築するよう求めたりしても、地球の気温を下げることに協力するよう中国を説得することはできない――」(WSJ前掲)

おもわず、やるねぇと感嘆してしまうほどの見事な瀬戸際戦略です。
つくづく平壌の、潰れるぞ、潰れるぞ、潰れんかったらミサイル撃つぞ、核つくったるぞ、イヤならカネくれ、食糧よこせ、おんどりゃ妥協せんかい、という金王朝のお家芸を思い出します。北の師匠が中国なのがよくわかります。
自分の国の野放図な工業化のツケである地球温暖化ガスを、さぁ減らしたいんだったらオレに譲歩しろや、なにが対中包囲網や、ケッ、というわけで、まるでヤクザ屋さんの言い分です。
実際に、中国は飛び抜けて二酸化炭素排出量でトップを走り続け、減る様子も見えません。6yoof5co

2015年のCOP21の時の中国のCOP21代表団は、こう述べたことがあります。 


「【パリ時事】パリ郊外で開催中の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、中国政府代表団の蘇偉副団長が5日、時事通信などの取材に応じた。2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組みに関し、途上国グループに所属する立場から「歴史的責任に基づき、(各国が取り組む対策に)差をつけることが必要だ」と強調。過去に温室効果ガスを大量に排出してきた先進国が、より重い責任を負うべきだと改めて主張した。
 気候変動枠組み条約には、先進国の責任をより重くみる「共通だが差異ある責任」原則が明記されている。
これについて、蘇氏は「根本的な原則だ」と指摘。温室ガス削減や資金支援といった新枠組みの重要な論点で、この原則を反映させる必要があるとの認識を示した」(時事2015年12月5日)
 

わ、はは、まともな神経を持っていたら言えるこっちゃありませんなぁ。
中国はこういう自国にとって不利なことになるといきなり「発展途上国」となって、先進国と差をつけた取り組みが必要だ、なんて言い出します。
どこに核ミサイルを持ちたい放題持って、太平洋を二分割したいと空母作って周辺国を脅しまくっている「途上国」があんだって。ああいかん素で応えてしまった(笑)。

中国は、このコロナのパンデミックでいきなり空気がキレイになったそうですが、それもそのはずこういった状況でした。
この大気汚染は、昨日今日に始まったものではなく、2013年頃から隠しきれないものとなっていました。


「環境省によると、10日夜から北京市を中心に中国東部で大気汚染が発生、14日まで主要都市で汚染が確認された。同市内の濃度は多い時には大気1立方メートルあたり約500マイクロ・グラムで日本国内の基準(1日平均35マイクロ・グラム以下)の十数倍にあたる。」(読売新聞2013年1月30日)  

この分厚い雲の下はこうなっています。 

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この写真は2013年冬の真昼に撮影されたものですが、夕暮れではなく昼間です、念のため。 
撮影した共同の特派員は、10数メートル先も見えないと書いています。 

 

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この分厚いスモッグが晴れるのは、オリンピックと、抗日70周年なんじゃら軍事パレードの時、そして今回のコロナの時だけです。
北京周辺の工場を止めたり、車の乗り入れ規制をするからです。
大気汚染の主原因は硫酸塩エアロゾルで、エアロゾルとは大気を浮遊する微小粉塵のことで、工場や自動車などから排出される二酸化硫黄が、大気中で化合・吸着した微小化されたものです。
この硫酸塩エアロゾルは、普通の風邪引きマスクていどは簡単に透過して、気管支、肺にまで達しあらゆる気管支系の病気の原因となります。


「専門家によると、霧には多くの有害物質のほか病原菌も付着。気管支炎やのどの炎症、結膜炎などのほか、お年寄りや疾患を抱えた人だと高血圧や脳疾患を誘発する危険があると指摘した。」(ロイター)

マスクでブロックする気なら、N95仕様のマスクが必要です。 
この有害ガスの「濃霧」は、北は長春、瀋陽、珠江デルタ、東は済南、西は西安まで、中国の広域に広がっています。  
この汚染地域は、中国の7分の1に相当する130万平方キロと日本の3倍という途方もない面積に達します。
大げさな表現ではなく、まさに地球環境史上空前絶後の汚染規模だと言えます。
下の写真は2013年冬にNASA が撮影したもので、もはや地上はみえないほどです。金星か、ここは。
 

Photo_6

ちなみに、この硫酸塩エアロゾルは、黄砂に乗って日本列島西部に流れて、喘息の原因となっています。Photo_9
※http://www-cfors.nies.go.jp/~cfors/index-j.html

話を戻します。
とまれこういう国ですから地球温暖化ガスなんて削減する気はいささかもありません。
むしろボンボン出しまくって、むしろこれをネタにして米国の妥協を引き出せないか、とねじれて発想します。
実はさもありなんですが、バイデン率いる民主党は環境問題が飯より好きなのです。
いや、単に好きというより環境利権に深く足を取られているというべきでしょうか。
米国民主党のスポンサーには、環境マフィアの有象無象がひしめいています。

彼らは外見は環境運動家のような顔を繕っていますが、その内実は環境利権、たとえば排出量枠のバイヤーだったり、それに投資する投資銀行だったりします。
共和党政権がパリ協定から離脱できたのは、この環境利権を持っていなかったからです。
そもそもこの地球温暖化説に火をつけたのが『不都合な真実』で、温暖化の宣教師となったアル・ゴア副大統領でしたから歴史的にも筋金入りです。

そして民主党は、オバマ政権に典型的なように、地球気候変動問題で中国に妥協を迫りたいあまり、中国の術中にはまってしまいました。
冒頭の石井氏はこう述べています。

「とりわけ民主党が共和党と著しく異なるのは、地球温暖化問題がもつ政治的重みである。中国は2014年11月に北京で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議において、気候変動問題に関する米中協力宣言を発して、この問題での協力姿勢を初めて鮮明にした。ここに至る道のりではオバマ政権からの働きかけも重要であった。ある意味で「中国に協力させた」オバマ大統領の功績は、地球温暖化問題を深刻視する民主党の熱心な支持基盤にとって、まさに画期的な重要性をもつものであった。
その後、2015年12月パリで開催された第21回 UNFCCC締約国会議(COP21)におけるパリ協定交渉で米中は指導的役割を果たし、さらに2016年9月のG20会議における米中首脳会談にて、米中のパリ協定の批准ならびに締結を発表した」(石井前掲)

つまりオバマとその副大統領だったバイデンにとって、中国と気象変動の米中協力宣言はレジェンドであり、不可侵だったにもかかわらず、不動産屋のトランプが一蹴しやがった、許せない、元に戻してやる、と考えているわけです。
となるとバイデンが恐れるのは、中国を刺激しすぎて、オバマのレガシーだった地球温暖化の米中協力宣言まで廃棄してしまうことです。

「同年11月4日、パリ協定は発効した。逆に、オバマ政権からすると、アメリカが南シナ海やウイグルの問題などで強く中国を批判し過ぎ、中国が地球温暖化問題での前向きの姿勢を撤回してしまえば、一大事となる」(石井前掲)

おそらく中国はバイデンに対して、表向きは今までと変わらぬ硬直した「戦狼」姿勢を見せながら、舞台裏では民主党政権に対して使えるカードの一つとしてこの地球温暖化を持ち出して妥協を迫ると見られます。

 

 

2020年9月25日 (金)

中国と台湾、いずれが国際的「国家」の条件を満たしているのか?

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いきなり秋になりました。このところ季節のグラデーションに余裕がないようで、いきなり夏、いきなり秋という感じですので、次はいきなり冬になってしまうのかもしれません。う~ん、身体が追いつかん。

さて、今、9月15日からニューヨークで第75回国連総会が開幕しています。
台湾は出席すら拒まれています。
中国から強硬な抵抗にあっているからで、今回世界でもっとも最初に新型コロナに打ち勝ち、経済再生にもっとも成功している台湾からの報告を国際社会は聞くことが出来ないでいます。
世界で共有化されるべき成功事例は、中国ではなく台湾であるにもかかわらず、この不合理がまかり通っています。
中国は初発の発生国でありながら、いまだに国際調査団すら受け入れていませんから、武漢のどこでなにが起きたのか、中国政府の恣意的な大本営発表に頼るしかないわけです。
トランプの「チャイナウィルス」という表現が気に食わないなら、調査させるべきです。

今回の新型コロナ禍の下で開かれた国連総会は、台湾の招聘、中国へのクエスチョンタイムに当てるべきでした。
代わってトランプがガサツにワーワーとやってくれましたが、言っていることは、新型コロナのパンデミック化をめぐっての中国の責任追及です。
内容的には正しいのですから、もっと上品にやってくれんか。

中国に対する非難の高まりと比例するように台湾を国際社会に復帰させよ、という声が高まっています。
世界にもっとも迷惑をかかけた国が常任理事国の地位にあぐらをかき、もっとも成功した国が国扱いすらされていないという不条理に、やっと国際社会は気がつき始めたようです。

台湾もこの国際的地位の急上昇という機を逃さず外交攻勢にでています。
チェコの上院議長率いる大訪問団は、中国の激しい非難を押し切って訪台しました。
今まで中国の札束で頬を張られるようしてアジア・アフリカ、南太平洋諸国が台湾と団交してきましたが、台湾も負けじと南太平洋にはグアム、アフリカにはソマリランド、ヨーロッパにはフランス・プロバンスに新しい在外公館(台北経済文化弁事処)を開設しています。
また各国のメディアに、台湾要人の主張を送り、産経には呉釗燮外交部長、毎日には謝長廷・台北駐日経済文化代表処長(大使)が寄稿し、いずれも台湾の国連復帰の必要性を訴えました。

このような台湾の外交攻勢は、米国と歩調を合わせたせたものとなっています。
トランプ政権は台湾承認に向けて確実に歩みを進めています。
ケリー・クラフト国連大使は、9月16日、駐ニューヨークの台湾代表所長(台北経済文化弁事文化事処処分長)の李光章長と、食事を共にしました。

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毎日 米国連大使、台湾の「領事」と会談 - 毎日新聞  

「クラフト米国連大使と駐ニューヨーク台北経済文化弁事処(領事館に相当)の李光章処長が、ニューヨーク市内のレストランで昼食を共にし、会談した。米国務省高官の台湾訪問に合わせて米台接近の姿勢を強調、中国をけん制するための行動とみられる。台湾は中国の国連加盟を受け1971年に国連を脱退している。
両氏は16日、ニューヨーク・マンハッタンのレストランで会談した。7月に着任した李氏の招待にクラフト氏が応じる形で実現した。米国内で活動する台湾在外代表部の関係者が米当局者と接触する際は、偶然の遭遇を装ったりゴルフ場など外部の目に触れない場で会談したりするのが通例だ。台湾外交部(外務省)は「両氏が、さまざまな懸案事項について意見交換する機会を持ったことを歓迎する」と表明した。
クラフト氏はAP通信に「国連のホスト国として李氏を歓迎した。台湾が国連により関与できる方策について協議した」と述べた。台湾との関係強化はトランプ政権の方針だと説明。「台湾が国連加盟できていないのは残念なこと。米国が中国に立ち向かわなければ、どの国ができるのか」とも語った」(毎日9月9日)

「台湾は国連に参加できるようになるべきであり(中国が加盟を阻止しているのは)恥だ」(AP)

形式はオフィシャルディナーではなくプライベートランチですから、米政府招待の公式行事ではなく米国高官が台湾外交官と昼飯をとったという体裁にしてあります。
しかし、いままで台湾代表と米国政府高官の会話は、ゴルフ場で「偶然に」で出会ったことに較べて、大きな進展です。
そしてその内容までがAPで報じられ、これは事実上の米政府による台湾の国連招致の意志だと受け取られています。

さて、わが中国の怒るまいことか。

「クラフト大使と李光章処長のプライベートランチについて米国メディアが報じた裏側では、中国の駐国連副代表の耿爽随が米国の駐国連代表団に厳正なる抗議を申し入れていた。
耿爽副代表は「この午餐会は“一中原則”に違反しているし、中米間の三つの共同コミュニケの規定および国連大会第2758号決議に違反する」として、中国側は「強烈な不満」と「断固とした反対」を表明した」(福島香織の中国趣聞 NO.170)

まさにキャンキャン遠吠えするといった風情ですが、ここで中国がいう「一中原則」なるものを米国が認めているかといえば、微妙です。
あくまでも、米中国交回復時の取り決めは、米国は中国がひとつであるという中国側言い分を「聞き置いた」(テイクノート)したとだけあります。
つまり、中国さんがそういってるのは聞いたというニュアンスで、米国は台湾との関係まで立ち切ったわけではありません。
台湾関係法がその担保です。

これは中国との国交はするが、台湾とも切れたわけではない、いつでも元の状況に戻れるのだ、いざという時には台湾を軍事的にも守るという米国の意志です。
ただし、歴代の米大統領が腰が引けていたのは、このガラス細工のような台湾の地位が、無茶をすると一気に崩れかねないと危惧したからです。
だからあえて微妙にしてあることを、中国がキャンキャンうるさくいえばいうほど、米国の台湾国際社会復帰への意志を強める結果となっていきます。

中国をめぐる国際状況はこの間大きく変化しました。
習の「戦狼」路線は、周辺国すべてと軍事的摩擦を引き起し、インド・太平洋を不安定にさせる元凶都なっています。
国際社会がどこかでこの「戦狼」路線を止めねば、世界大戦の可能性すら出てきました。

この危機感から米国は台湾の国際的地位見直しを進めようとしています。

「米国務省は17~19日の日程で、李登輝元総統の告別式参列のためクラック次官を派遣している。中国軍が18日から台湾海峡付近で演習を開始したことについて、ポンペオ米国務長官は同日、訪問先のガイアナで「我々が葬儀に代表団を送ったら、中国は怒りの軍事行動で対抗してきた」と批判した。
 一方、米下院のティファニー議員(共和党)は16日、台湾を中国の一部とする中国側の原則を米政府として尊重する「一つの中国政策」を撤廃し台湾との外交関係回復を促す決議案を提出した。台湾の国際機関参加の支持や自由貿易協定締結も政府に求めている」(毎日前掲)

さて、現状を客観的に見れば、国連復帰は厳しいのが実情です。
微妙な国際的地位の国が国連に加盟する場合の前例に、パレスチナがあります。
2011年にパレスチナは国連加盟申請をしましたが、イスラエルと米国の反対で拒否されましたが、翌年には「非加盟オブザーバー国家会員」という正式な加盟資格を与えて今にいたっています。

この方法が使えるかといえば、残念ながら難しいだろうというのが、台湾の識者の声です。

「台湾政治大学の鄭樹范名誉教授はラジオフリーアジアに対して、「中華人民共和国が存在する限り、台湾はいかなる方式であっても国連に加盟することは無理であり、いかなる幻想も抱けない」、という。
「我々はパレスチナモデルでも、不可能であると思う。中国が崩壊しない限り。台湾が多くの同情を得ているのは間違いないが、はっきり言って、今の習近平はそういうことに耳を貸さない。今の台湾を相手にしていないのだ。馬英九は現在、総統に返り咲きたいようだが、それも習近平も相手にしていない。」
国際法の専門家の古挙倫・ホフストラ大学教授は「台湾とパレスチナは全く比較できない。重要なのは中国の台湾の国連参与に対する態度で、米国が国連にパレスチナ問題の処理をあっせんしたときと比べると、抵抗は圧倒的に強い」という」(福島前掲)

ただし、望みはあります。

「国連憲章の第二章の第四条規定では、平和を愛する国家は「国連憲章」に記載されている義務を受け入れ、国連がその義務を履行できる能力や意思があると認めた場合、国連の会員国となりうる、総会を経て安全理事会の推薦をもってその決議を行う、という」(福島前掲)

では、この国連憲章第2章4条の「平和を愛する国家」という定義に、中国と台湾のいずれが合致しているか、考えてみるまでもないことです。
「国家」を定義する場合、よく引き合いに出されるのが1933年の
モンテビデオ条約(国家の権利及び義務に関する条約)です。
ここには有名な国家である4要件が記されています。

①持続的に住民が存在すること。
②一定の領土を持つこと。
③実効統治している政府があること。
④他国との関係を取り結ぶ能力。

この国家たりえる4要件のすべてを台湾は持っています。

さらに新しい国家要件として、1991年12月にソ連圏が崩壊したことにともなって多数の国家群が生まれたことに対応して、EUが定めた東欧及びソ連邦における新国家の承認の指針に関する宣言」があります。
この「EU宣言」は更に踏み込んで現代的な判断を下しています。

①法の支配、民主主義、人権に関して国連憲章及びヘルシンキ最終議定書等を尊重すること。
人種的民族的グループ及び少数民族の権利を保障すること。
既存の国境の不可侵を尊重すること。
関連軍備規制約束を受け入れること。
国家承認及び地域的紛争に関する全ての問題を合意によって解決すること。

つまり、人権、少数民族の権利の尊重、国境の不可侵、軍備縮小、紛争の平和的解決を、EUは亜多々良志井国家要件として定めたことになります。
笑えることには、中国は①から⑤まで全部ダメです。
人権などないに等しく、普通選挙すらただの一回も開かれたことがない国であり、少数民族はホロコーストまがいの強制収容所に送られ、南シナ海のような武装侵略行為を公然となし、軍縮はおろか世界最大の軍拡国であり、国際司法裁判所の裁定ですら「紙くず」と言って憚らない国が中国です。

いったいどちらが「国家」たる要件を満たしているのか、国際社会はよくかんがかるべきでしょう。

 

※タイトルを変更しました。いつもすいません。

 

2020年9月24日 (木)

菅首相と沖縄

民主党のエネルギー政策について書かねばならぬと思いつつ、あまりにダメなので、書く気を失ってしまいました。
なにが「自然エネルギー立国」ですか。
結論はとうに出ているし、今、かつての民主党時代の遺物である全原発停止とFIT(全量固定価格買い上げ制度)なんてイカレポンチのもんに苦吟しているじゃないですか。

民主党の最悪なのは、我が身を振り返らないということです。ずっと野党だったのならまだ許せます。
うちはいい政策プランあんだけど、実現するチャンスなかったしなと愚痴を言う権利はありますし、それを国民に訴えて最後のチャンスを我が党に、なんていうこともできるでしょう。

ただオンリー民主党だけは違う。ただの野党でございます、なんて顔はさせません。
理由はいいですよね、この立憲民主は、かつての民主党残党が看板をスゲ替えたものにすぎないからです。
再結集するならするで、今まで唱えてきた政策をひとつひとつ検証してくれればまだ納得がつきますが、しない。
もう当人たちもかつてなんという政党を作ったのかも忘れるほどローリングストーンしながら、その理由をころりと都合よく忘れている。

だから、いつあるかわかりませんが総選挙で負けりゃ、また元のバラバラになるのは目に見えています。
看板を書き換えれば、民主政権の夢をこんどは立憲でかなえてくださいね、と国民が眼を輝かせてくれるなんて思っていたら、そりゃバカだよ(苦笑)。

民主党だけは3年半者の間、思う存分政策を実現できました。おかげさんで、国民は言葉も通じない異星人支配に苦しみました。
その後障害にいまでも苦しんでいます。
それはかつての「自然エネルギー立国」の失敗による負担だけにとどまらず、安全保障ではハト首相が「国外・最低でも県外」なんてやったために、日米同盟が根底から揺らぎました。

なぜって、普天間移設問題とはただ基地をアッチからコッチに移すってことではなく、今、中国に対峙している米国の前線基地の機能をそのまま、より安全な場所に移設しようというたぶん世界唯一の試みだったからです。
橋龍の親切心というか、ラムズフェルドにも「世界で一番危険な基地」(言っていないという話ですが)と言われたり、沖大にヘリが墜落したりで、軽く考えて移設を約束してしまったことに端を発します。
今になるとよけいなことをと思います。やるならなるで、公約する前に下調べの小委員会でも作ってからやればよいものを、いきなりぶちあげればこうなります。

しょせんポマードの思いつきですが、その後30年以上にわたって日本政府と沖縄県の頭痛の種になります。
移設候補の選定は難航に難航を重ね、そのために実に17年に渡ってあーでもない、こーでもないというやりとりが米国との間であった結果、現行案に落ち着きました。
日米両政府-地元沖縄県-地元自治体の4者が合意しなければならないという、まるで惑星直列のような離れ業をせねばならなかったわけです。

そしてこともあろうに、関係者が泣きながら積み木をひとつひとつ積み重ねて築いた奇跡の惑星直列は、民主党政権が誕生すると同時に砕け散りました。
交渉経過をなにも知らないハトが宇宙から飛んできて、一瞬でチャブ台返しすりゃ、それは米国は冗談もほどほどにしろと思ってあたりまえです。
これは日米両政府合意からの一方的離脱だからです。
同盟関係でしてはならないことは、合意の不履行ですからとうぜんですな。
簡単に言ったことを反故にする奴に、自分の背中を預けられますか。同盟とはそれほどまでにシビアなもんなのです。

しかもハト首相はノーテンキにもこの後の日米会議で得意な英語を使って「トラストミー」とやっちゃいました。
オバマも戸惑いながら、「じゃあ信じるよ」と返したようですが、ハト氏は意味が判って使っていません。

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この時ハト氏が使った"Trust Me"は一般的に、「「自分は約束を守る人間だから、日米合意を遵守する」という風に解釈されます。
欧米の契約遵守思考からすれば、とうぜんそう受け取ります。オバマもそう受け取って「オーケー」と言ったわけですが、これが違うんだな、ハト氏の言った意味とは。
ハト氏は実に日本的にも、「ボクにみんな任せてよ」と言って理解を得られたと勘違いしました。

彼がもう少しまともな脳みそを持っていれば、日米合意を守るか守らないかという筋道の議論の中で、「自分に任せろ」と言われれば混乱を収拾して元の軌道に乗せると言ったと気がつくでしょう。
オバマにしてみれば、相手国首相は選挙用の国内向け発言でああ言ったが、最終的には日米合意を守ってくれると「トラスト」しちゃったのです。
選挙の時にはできもしないことを言うのは東西同じですから。

しかし、違いました。軌道修正どころか、ハト氏は勘違いしたまま勘違いの方角に向けて全力疾走してしまったのです
口蹄疫で宮崎件畜産が壊滅しようと無関係、他の懸案をぜんぶ放り捨てて、東奔西走。
そして徳之島にまで行った挙げ句は全島反対に合って袋小路へ。
そりゃそうです。伊達や酔狂で17年間やって北分けてはありませから、安全保障の素人に代替がたった1年で見つかる道理がありませんもんね。
そしてもうどこにも行きようがない袋小路に自分で自分を追い込んで、初めてハト氏は仲井真氏に頭を下げたのですが、その時言った言葉が奮っています。

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宮古毎日

「鳩山首相は「すべてを県外にというのは現実問題として難しい」と普天間の全面的な県外移設を断念することを伝え、県内移設への理解を求めた。また国外移設については「日米の同盟関係、近隣諸国との関係を考えた時、抑止力という観点から難しく、現実には不可能だ」と明言した上で「沖縄の皆さま方にも、またご負担をお願いしなければならない」と述べ陳謝した」(宮古毎日2010年5月10日)
http://www.miyakomainichi.com/2010/05/245/

おいおい、ハト氏は仲井真氏の前で「抑止力を学んだ」と言ったんですって。
あんた、そんなイロハのイも知らないで移設問題をこじらせたのか(絶句)。
いやしくも一国の首相が地方自治体知事に「ボク、ヨクシリョクってなんにも知らなかったから国外、少なくとも県外なんて言っちゃったんですけど、わかったんでヘノコに戻りますから」なんて言うか、フツー(力なく笑う)。
電車の運転を知らない坊やが、運転席に乗り込み、断線転覆させたあげく言った台詞が、「ボク運転知らなかったんだもん」ですから。

仲井真知事と自民県連は、このウスラのために巻き起こされた県民の「国外・県外」の期待によって、持説だった辺野古容認論を撤回せざるをえなくなっていたのです。
それをこのウスラが撤回したからといって簡単に元に戻るわけにもいかず、後に元の容認論に戻したときにはそのために政治生命を断たれかけたのですから、罪が深い。

日米同盟はボロボロ。沖縄県の政治は大混乱。
この日米同盟の亀裂によって、民主党が政権にいる間、米国は一切の重要な情報を日本に手渡さなくなったと言われています。
まぁハト氏はそんなこと知ったこっちゃないでしょうが、いかに当人に認知能力が欠落していたとしても、立憲にはかつての政権党の後継としてしっかりと思い出していただかねばなりません。

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日経

さて菅首相は、安倍政権が政権奪還した直後の最初の日米会談を見ています。その時の情景が残っています。

「首相が沖縄の基地負担軽減にのめり込んだきっかけは、第2次安倍晋三政権発足直後の平成25年2月に行われた初の日米首脳会談だった。米側はこの場で3つの要求を行ったが、そのうちの1つが米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に向けた日本政府による県に対しての埋め立て申請書提出だった。
米政府は申請書の提出をわざわざ重要課題に位置付けた。首相は報告を聞き、日米関係が民主党政権時代にいかに傷ついたかを痛感。以降、辺野古移設実現に邁進(まいしん)し、25年12月には埋め立て承認を取り付けた」(産経9月23日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/65fb3b53c05916315774cf8af69d578aed881589

このように米国は安倍氏が登場するとまっ先に日本に要求したことは、この普天間移設に関する県への埋立申請書提出でした。
米政府は、安倍政権が口約束ではなく本気で移設に取り組むのか、文書で見せろ、と言っているわけです。
逆にいえば、いかにそれまでの3年半の間、米国が日本を信じていなかったのかがわかります。

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産経

普天間移設問題はただの国内問題ではなく国際問題だということを自覚した安倍氏は、政権ナンバー2の菅官房長官を張りつきの特使として翁長氏に派遣します。
その時の菅氏のエピソードが伝わっています。
菅氏は酒は飲めず、カラオケも苦手という政治家らしからぬ人柄でしたが、いまにいたるもただ一回カラオケマイクを握ったのが、翁長氏との一回こっきりだったようです。

「26年11月の知事選で辺野古移設反対を掲げた翁長雄志(おなが・たけし)前知事が当選しても首相は執念を見せた。28年10月に米軍北部訓練場(同県東村など)約4千ヘクタールの返還にめどが立ったと伝え、この時は翁長氏も「歓迎する」と評価した。翁長氏にカラオケに誘われると、苦手なマイクを握り「さざんかの宿」を歌った。官房長官時代にカラオケを歌ったのはこの時だけだったと首相は周囲に明かしている」(産経前掲)

菅氏は必ず沖縄と大事な折衝をするときにはお土産を持っていきますが、翁長知事誕生の時の顔合わせで持っていった時の「お土産」は北部訓練場の広大な米軍用地の返還のめどがついたということでした。
リンク論、当たり前です、そんなこと。

そして翁長氏からカラオケに誘われると、生まれて始めて「さざんかの宿」を歌ったそうです。
このふたりは法政出身で同時期にキャンパスにいたはずですが、たぶん気が合ったのではないでしょうか。

そしてそれ以後も、菅氏は沖縄県の基地負担軽減を地道にこつこつとやり続けます。
全基地撤去なんて大言壮語は簡単ですが、ひとつひとつ細かい事務を詰めていき日米交渉の指揮を取ったのがこの人物でした。

従来から沖縄利権を握っていた旧竹下派は、普天間移設問題でもっいとも深入りした派閥でしたが、見返りに沖縄利権を漁ったと言われています。
旧竹下派の小澤氏など、宜野座に豪華な別荘を構えています。

菅氏はといえば、沖縄現地からいぶかしがられるほど潔癖にそれを拒否します。

「辺野古移設の陣頭指揮を執った首相は、移設反対派から敵視される一方、辺野古移設を容認する政財界関係者からも「菅さんは不思議な人だ」と評される。  沖縄財界関係者は「沖縄問題に取り組む政治家は利権や政治資金で見返りを求める人がほとんどだが、菅さんにはそれがない」と漏らす。首相をよく知る人物によると、沖縄県内の関係者から後援会設立を持ちかけられたことが過去10回ほどあったが、首相は断り続けたという。」(産経前掲)

こういう利権に転ばない人が沖縄が、新たに自分の後継の沖縄担当で選んだのが、河野太郎氏でした。
楽しみな人事です。

 

 

 

2020年9月23日 (水)

デジタル化を遅らせたのは旧民主党じゃなかったっけ

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立憲の枝野氏は菅政権のデジタル革命に対抗して自然エネルギー立国だそうです。

首相との対決姿勢も強調。新政権が掲げるデジタル化の推進について「世界的に遅れているところを追い付こうという話だ」と皮肉った」(時事前掲)

再生可能エネルギーについてはだいぶ書いてきましたので、明日にします。
そもそも次元が違うデジタル革命とエネルギー政策を同次元で並列していること自体がヘンですが、ご当人も「(デジタル化)が世界的に遅れていることに追いつこうとすることだ」なんて、意味不明。
追いついちゃいかんのですか、遅れたままがいい、これは面白いこと言うなぁ(笑)。

そう、立憲はデジタル化を進めちゃいかんと思っているのですよね。
思い出していただきたいのですが、この枝野氏が官房長官をやっていた民主党政権が誕生したきっかけは、「消えた年金」事件でした。
当時の日本はデフレの真っ最中で、成長がストップした状態でした。
株価は下落し続け、失業者は巷に溢れました。こんなイライラした世間の空気の中で突如炸裂したのが、この「消えた年金」爆弾だったわけです。

民主党は国民年金などの公的年金保険料の納付記録漏れが大量にあることを国会で追及し、長妻氏などは「ミスター年金」なんて称号を奉られて時のヒーローとなっていたほどです。

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消えた年金を追及する長妻議員

なんとその記入漏れはハンパではなく5千万件。
これだけの数の国民の納付が、納付者を特定できなくなったのですから、国民はデフレの怒りを年金消失に向けて、政権を民主党に与えてしまったのです。
当時の民主党の選挙チラシが残っていますが、消えた年金一色。民主党が政権をとれば年金は安全・安心だと主張しました。

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民主党選挙チラシ 年金を受け取りたい人は民主党 | 民主党の政策

ところが、この「消えた年印」の全貌が徐々に明らかになってきます。
1997年に公的年金加入者に「基礎年金番号」を割り振って、コンピューターで一元化管理する計画ができました。
いまでいう「デジタル革命」です。
ところが、社会保険庁は典型的な自治労支配の職場だったから、たいへんなことになりました。 

彼ら社保庁自治労が言うことには、「コンピューター化は人員削減のための合理化攻撃だ」「人員が減らされて労働強化となる」と騒ぎ始めて、彼らが当局と団交して結ばせたのが、「1日の入力タッチは5千回まで」とか「45分働いたら15分休憩」などという覚書です。
スゴイね、私も零細企業の労組書記長やったことがありますが、民間でこんな労働協定はありえないですよ。

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上図はクリックすると大きくなります。

45分仕事したら15分休みだなんてペースで働いたら、丸々1日2時間も休憩がとれるというわけです。
昼食休憩1時間と合わせると、1日3時間仕事しないで賃金が貰える愚か者の楽園、それが当時の社保庁だったようです。
まぁ、5千タッチで入力止めるようでは、民間企業はそんな労働者は初めから雇いませんしね。
赤い貴族が支配した職場だったからできたことなのです。
自治労組合員でも真面目に働いている人のほうが大多数でしょうが、社保庁のような腐敗した職場のためにいまだに国民からは大きな誤解を受けているのは気の毒なことです。

後に「厚生労働白書」(2010年版)では、この社保庁について、個人情報の漏洩、不正な監修料の受け取り、不適切事務、無許可専従などの服務規程違反を暴露しています。
また2007年6月、総務省はこの年金記録問題発生の経緯、原因や責任の所在等について年金記録問題検証委員会で行政監査しています。
その中にはこのような記述があります。

「社会保険庁職員の多数派労働組合である自治労国費評議会(現・全国社会保険職員労働組合)が、昭和50年代(1975-1984年)前半のオンライン化計画などについて、人員削減につながるものであり、労務強化および中央集権化に反対との理由から強く抵抗をし、自分たちの労働環境維持のために偏りすぎた当局と職員団体の間で多数の覚書、確認事項等を結び、平成17年(2005年)の廃止まで存在していた。
また本庁から地方へ通達をする際に、そのような労働組合と事前協議をしなければならない慣習が存在した。こうした職員団体が業務運営に大きな影響を与え、ひいては、年金記録の適切な管理を阻害した一因
がある」

監査委員会は、この「消えた年金」の原因が他ならぬ社保庁労組による腐敗した職場慣行にあると指摘しているわけです。
そしてこの白書が言う「不適切事務」というのが、「消えた年金」の直接の原因です。
社保庁のお役人たちは、45分働いて15分休みながら、一に5千回しかキイボードに触らずにだらけきった仕事をし続けた当然の結果として、5千万件もの入力ミスをやらかしたのです。

政府はこれを知って2007年2月に社会保険庁改革関連法案を提出しましたが、これに社保庁自治労は「え、オレら職場で働かなきゃいけないのか。労働強化だ」とばかりに猛反発し、こともあろうにやったのが、5千万件もの消えた年金があるぞ、という「内部告発」でした。
こういうのを内部告発と呼んでいいものか迷うところです。
内部告発は、内部の腐敗を社会に訴えることで改革しようとするものですが、他ならぬ自分たち自身が5千万件の年金記録消失という損失を国民に与えているのですから、なんのこたぁない自作自演にすぎません。
しかもこれをお仲間の民主党ルートにリークしてしまい、それに例によってメディアが悪乗りしたものですから政権が揺らぐスキャンダルへと発展してしまいました。 

こんなものは正しく「官僚の自爆テロ」と呼んでやるべきでしょう。
後に出てくる、文科省前川元事務次官による、職務上知り得た文書を意図的に漏洩することで政権攻撃をする官僚自爆テロの原型です。
いまでも官僚は懲りるどころか、自分に有利な世論を作ろうと、記者たちに都合のいい情報をちょい出しして誘導しています。

結果はご承知のとおり、この社保庁自治労から情報をもらった民主党はここぞとばかりに下の民主党チラシのように「自民の下で年金が奪われる」と政権を追及し、自民党政権は崩壊しました。
政権の座についた鳩山氏は、これが「政権交代の原動力になった」と述べています。

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このようにデジタル化に強硬に反対し続け、消えた年金を作ったのは民主党支持労組の大所の自治労。そしてそこから情報をリークされて政権をちゃっかり得たのが旧民主党だったわけです。
結局この自爆テロの結果、民主党政権が誕生したたのはいいのですが、自爆テロリストらを待ち受けていた運命は悲惨で、世論の怒りを受けて社保庁は解体されて年金機構に改組され、その時に自治労からも多くの再就職拒否者が出ました。

年金にかぎらず、住基ネットやマイナンバーなどの遅れの原因を作ってきたのは、「国民総背番号制で監視社会となる」「首切り合理化反対」などと叫んで反対運動をしてきた立憲のお仲間たちのせいではなかったのでしょうか。
それを口をぬぐって、抵抗し続けた張本人らにいまさら「デジタル化が遅れている」なんて言われても困りますね。


 

※写真を差し替えました。ちょっとジャングル。

2020年9月22日 (火)

立憲民主、全野党共闘に邁進するんだそうです

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立憲民主は全野党共闘をやるようです。もうひとつの公約めいたことは「自然エネルギー立国」だそうですが、明日に回します。
いずれもそんなもんやったらどうなるか知りませんよ。

「野党共闘に関しては、先の首相指名選挙で共産、国民民主、社民各党などが自身に投票したことに触れ、「幅広くできるだけ多くの皆さんと協力したい」と語った。
 衆院の小選挙区289のうち、立憲の候補者にめどが立っているのは200程度にとどまる。集会後、枝野氏は記者団に対し、次期衆院選では定数465の過半数に当たる233の小選挙区について「できれば立憲あるいは非常に近い仲間で擁立したい」との考えを示した」
(時事前掲)

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立憲民主党の枝野代表「デジタル化は後ろ向き」批判、本当は何を言った

自民党も立憲がこんな方角にふっ飛んでいる限り、枕を高くして解散ができようというものです。
もっとも野党のこんなていたらくを見ると、逆に菅さんは選挙はじっくり仕事を進めるだけ進めてから解散でも遅くはない、いっそオリンピック後だ、なんて考えているという節さえあるようです。
まぁどちらでもいいのですが、、枝野氏は全野党共闘だけが生き延びる唯一の手段だと勘違いしているようで、困ったもんです。
いえ、困っているのは私ではなく、立憲の大スポンサーであらせられる「連合」の神津会長です。

連合は、共産党まで入れた全野党共闘に真っ正面から反対で、再三再四、立憲に共産党排除を求めてきましたが、ゼンヤトーで脳みそが硬化してしまった枝野氏は聞く耳を持ちませんでした。

「連合は共産党を含む野党共闘には与(くみ)しない」――。
連合は9月17日の中央執行委員会で正式決定した「次期衆院選に向けた基本方針」に、こう明記し、旧立憲民主と旧国民民主の合流新党「立憲民主党」に対して、共産党との関係見直しを迫った」(FACTA オンライン9月18日)

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あまりメディアは報じませんでしたが、共産党が枝野氏に入れたというのは驚天動地とまではいわないが、けっこう画期的なことなのです。
上の写真の赤旗記事でも言っているように、共産党が他党に首班指名選挙で一票いれるというのは22年ぶりのことだそうです。
ありがたく思え、という小池さんの一念が行間に籠もっています。

今回、国民の玉木氏グループを除いて150人くらいは集まったようですが、ただの頭数にすぎないことは、安全保障政策や改憲といった重要案件でテンデンバラバラなことをみれば分かります。
かつての民主党政権は、政権を取るまで真剣に方針をすりあわせたことがなかったという嘘みたいな理由で身動きがとれなくなり、したがって政権を失うと、元通りにバラバラに分裂してディアスポラの荒野へと旅立っていってしまいました。
しかし、総選挙ともなると喉元過ぎればなんとやらで、失われた「民主党」の母なる地へと帰還し、再び祖国「民主党」を再興するのだ、そうです。
やれやれ。何回同じことをやったら気が済むのやら。

と、立憲をユダヤ民族の放浪にたとえてみましたが、大きく違うのは「失われた政権」を奪還するために、今回はゼンゼン違う異民族の共産党を連れてきてしまったことです。
イタリア版「オリーブの木」は、たしかに政党の枠をとっ払って巨大与党に挑戦するために構想されたものです。
しかしこの時に本家がやったのは、既存の政党とは別に選挙の届け出をする受け皿政党を作って、そこに各野党の政治家が個人参加したらどうか、というものでした。

実はいつでもどこの国でも、野党共闘をしようとすると必ず障害になるのは、共産党という革命党の存在です。
だってまるで異質。まるで異邦人。
そもそも日本共産党の使命は共産主義革命を日本で実現することなのです。
そのために他の社会民主主義政党とは違って、基本は民主主義を否定する集中制をとっていますから、党首選挙は行われずに17年ズッと志位ひとり独裁なんてことを平気でやってのけます。
分派なんて許さず、横の党内議論は原則禁止ですから、党内民主主義ゼロ。
下々の党員は上が決めたことを赤旗で知って、それを忠実に実行するだけの手足にすぎません。
このへんを極端にしたのが北朝鮮の主体思想です。
政策的には、自民党がやっていることは、パブロフの犬よろしく全部条件反射で反対。なにがなんでもダメ。妥協なし。

たとえば辺野古移設なら、他の候補地を探すのもダメ、既存の基地内に移設するのもダメ。
だって「いかなる移設も反対・新基地阻止」だからで、これでは解決しようがないじゃありませんか。
しかし闘争を続けることが、革命党の生きる道ですから、一回共産党に主導権を握られた紛争は、はてしもない泥沼に首まで浸ることになります。
そりゃ共産党は一生闘争をやれるので満足でしょうが、現実的にこれで政権運営なんかできるはずもありません。

今回、共産党が狙っているのは、選挙運動を通じて野党連合の主導権を掌握してしまうことです。


「立憲民主党は7つの選挙区、国民民主党は6つの選挙区、共産党は1つの選挙区で公認候補を擁立する方針で、残りの18の選挙区では、野党側の候補者が無所属での立候補を予定している。
与党側を利することになる「共倒れ」を避け、「野党勢力の最大化」を図るのが狙いだ」(NHK政治マガジン2019年7月3日)

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NHK

これらの野党候補統一区において共産党の組織票は大きなウェイトを占めます。
なぜなら共産党は関西都市部、高知県を中心にして強い支持基盤があり、全国にまんべんなく支部を構えています。

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共産党の勢力分布を初公開・市区町村別に比例得票率を地図化(2017年 ...

「共産党は高知県と京都府が代表的な地盤です。第41回衆院選では京都3区で寺前巌氏、高知1区で山原健二郎氏と、小選挙区での当選者を輩出していました。また、長野県や沖縄県でも得票率が高い自治体が多く見られますね。中選挙区時代は大阪や東京でも多くの議席を有しており、都市部で強い傾向もうかがえます。広く組織を持っているだけあって、全国的に隙のない票の取り方です」(上グラフと同じ)

つまり共産党は、全国どの地域においても一定数の支持層が存在し、彼らは立憲支持層とは違って浮気はしない鉄板の支持層だということです。
ですから共産党の指示どおり忠実に統一候補に入れるし、逆に一回入れるなという指示が飛んだ場合、共産党は一瞬にして敵に変わるわけです。
票読みが出来る代わりに、共産党の意志に反すれば敵に変わるということですから、さぁ大変だ。

これって労働組合以外に鉄板の支持層を持たない立憲の候補者の大部分にとって、そうとうにコワイことなのです。
立憲は哀しいことに、労組だけが頼りになる組織票です。
事務所も労組事務所に置かせてもらい、運動員も労組専従、選挙資金も労組持ち、こんな候補者は立憲に掃いて捨てるほどいます。
まぁ、こういう体質ですから、合流新党に行く行かないは、彼ら議員が決めるのではなく、労組が決めてしまうのです。
よく立憲は市民の力で、なんて言っていますが、実際は労組の意志ですべて運んでしまうようです。

そんな彼らにとって、共産党の組織票ほど心強いものはないはずですが、ここでとんでもないことが起きました。
立憲の最大ノスポンサーであった「連合」が、共産党を全野党共闘に入れたことに激怒したからです。

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排除”の悪夢ふたたび 連合・神津会長による玉木イジメで露呈した合流

神津会長はいたくお怒りのご様子です。

「連合は共産党を含む野党共闘には与(くみ)しない」――。
連合は9月17日の中央執行委員会で正式決定した「次期衆院選に向けた基本方針」に、こう明記し、旧立憲民主と旧国民民主の合流新党「立憲民主党」に対して、共産党との関係見直しを迫った。
紆余曲折を経た合流協議の過程で、連合の神津里季生会長が最も重視したのは「合流新党と共産党の距離感」(連合幹部)だった。神津連合は自公政権に対峙する「大きな塊」をつくるため、攻めの布石を打ち続ける構えだ」(FACTA2020年9月18日)

国民民主の玉木代表に神津会長が迫っていたたとはただひとつ。合流はしても共産党排除を貫徹しろ、でした。
「連合は1989年の設立以前から、共産党系労組と激しく対立してきた経緯があり、8月末に旧立憲民主・旧国民民主両党との間で合意した共有理念にも「左右の全体主義の排除」というキーワードが盛り込まれていた。ところが、排除の対象である「左右の全体主義」とは「何を指すのかわからない」との批判を受け、17日に決定した基本方針には「共産党を含む野党共闘には与(くみ)しない」と書き込むことになった。「共産党の排除」こそが共有理念と、明示したに等しい」(FACTA前掲)
「左右の全体主義」とは右はよくわかりませんが、左は共産党を指すことは明らかです。
ところがこの約束が反故にされました。
「新」立憲の党首である枝野氏が、共産党に首班指名要請をしてしまったからです。
共産党から頭を下げて野党共闘に入れて欲しいと言ったのではなく、立憲から土下座して要請してしまったのですから、仮に政権交代なんぞしてしまったら共産党を閣内に入れることになるのでしょうな。バカですか。
でも大丈夫、立憲の支持率は下図のようなかんじで、長期低迷ですから、まちがっても政権交代してしまう可能性などゼロだ、くらいは自分でも判っているでしょうからね。
Sijiritsuyomiuri
読売
長妻さんなんか、せめて3分の1くらいはとりたいなんて言ってましたが、支持率が10%を超えたのは去年の参院選直後の一瞬だけ。
しかしその支持率は長続きせず、その翌月からは7%、2か月後の9月には5%、以降は5~7%あたりでうろうすして、いまは5%き大台も切って直近の調査ではとうとう4%となってしまいました。
こんな状態では、政権など望みようもなく、したがって共産党を閣内に入れる入れないなんて、机上の空論にすぎないのです。 
とまれそこで連合は産業別労働組合の組織内議員9名、つまり身内には「新」立憲に行くことはまかりならぬと命じたわけです。
「今回の合流協議では連合傘下の民間企業系の産業別労働組合(産別)のうち、旧国民民主を支援してきた6産別(UAゼンセン、自動車総連、電機連合、JAM、電力総連、基幹労連)が合流新党には加わらず、このうち電力総連と電機連合の出身議員4人が新たに結成された国民民主党に参加した。
この間、6産別首脳は神津氏や相原康伸事務局長と水面下で会談を重ねたが、「現場で選挙活動を担う組合員の共産党アレルギーが根強い」(産別幹部)ことを理由に、組織内議員の合流に慎重姿勢を貫き、連合との溝を深めた」(FACTA前掲)

ややっこしことに、連合総体は新立憲を支援する事にしながら、その傘下の産業別組合という旧民社党系は新国民を支持するという二重仕立て。
立憲も新と旧、国民も新と旧に別れ、そのうえ連合は分裂選挙なんですから、そりゃ産経ならずとも「不透明」なのはあたりまえです。

「連合総体は立民の支援を決めたが、傘下の産業別労働組合の一部は旧国民の議員らが結成した新「国民民主党」を支援しており、これまでのような支援を受けられるか不透明な部分も残る」(産経9月22日)

そもそも連合は、左翼政治闘争に奔走する総評左派とデカップリングするために作ったようなものです。
共産党を追い出し、旧社会党系と民社党系労組と中立系で作ったのが連合でした。
それをなにを今さら、ここになって大嫌いな共産党と手を組まにゃならんのか、これが連合の声です。
ここで合流を認めてしまっては、連合は共産党と選挙戦で手を組まねばならず、それは労組の現場に大きな混乱をもたらすと考えたのでしょう。
いみじくもかつて前原氏が言ってのけたように、「共産党と手を組むとシロアリに浸食されたようになる」というわけです。

このように親方連合から見離された「新」立憲の候補たちは、今までのように連合系労組の組織力・資金力をアテにならなくなりました。
唯一選挙区で組織力をもつのは共産党である以上、彼らは共産党に身も世もなくすがりつくことでしょう。
そりゃ今回の選挙で立憲に風が吹くなんてまったく考えられない以上、そうするしかないでしょうね。

共産党からすれば、昔ながらの「反ファッショ人民戦線戦術」のリバイバルです。
これからは目先の欲に飛びついてしまった立憲に対して、イヤなら選挙協力なんか考えなおそうかな、などと言いながらキリキリ舞いさせていくことでしょう。

菅さんは選挙のプロ中のプロですから、こんな野党連合の内実は完全にお見通しでしょうな。
選挙を引き延ばしてしまえば、せっかく無理して作ったガラス細工の全野党共闘にヒビが入ると読んでいるのかもしれません。

 

 

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