「倫理戦」は間接的核抑止力です

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核廃絶というのは大変に時間がかかるものです。 

いくら私たちが「核なき世界を」と訴えても、即効性を期待してはいけません。 

私は、ほんとうに「核なき世界」が実現するのは、今世紀中には無理だと考えているほどです。 

がっかりしないで、逆にこう考えたらいかがでしょうか。

その間日本は外交カードとして、「核廃絶提唱国」というプラチナカードをずっと握っていられる、と。

核廃絶提唱国を核攻撃するなんてなかなかできないことですから、間接的核抑止力にもなります。

実効性があるかどうかなど聞かないで下さいね。

米国の核戦力すら、ほんとうに抑止力になっているのか、それはある核戦略専門家が自嘲的に言ったように、「撃たれていないからあるのだ」としかいいようのない心理的なものなのですから。

Photo_7北京の天安門から軍事パレードの開始にあたり拍手を送る(右から)中国の習近平国家主席、プーチン露大統領、韓国の朴槿恵大統領。左端は国連の潘基文事務総長(ロイター)

確かにコメントにもあったように、日本が「倫理戦としての核廃絶」を提唱した場合、東アジアの3カ国がアレルギー反応を起こすのは目に見えています。 

どうぞかまいませんから、オバマの広島訪問時のように、「戦争加害者のくせしやがって、被害者ヅラすんな」と叫んで下さい。

ツラ当てのように、大軍事演習のひとつもしてください。弾道ミサイルを日本海に打ち込むのもいいでしょう。 

まったく日本は困りませんから。 

道義的正当性がこちらにあるのが明らかな以上、そのようなことをやればやるほど、世界から孤立して浮き上がるのはあなた方3カ国であって、私たちではないのです。

そんな愚行は人類共通の理想に対する抵抗であって、私たちは<核廃絶推進国vs核推進派国家>という分類をしてあげればいいのです。 

韓国のようにどちらにつかずで、戦略原潜が欲しいなんて馬鹿を言い出した国に対しては、優しくこう言ってあげましょう。 

「ねぇ、そんなこといつまでも言っていると、人類の敵になっちゃいますよ。核武装なんか止めて、共に核なき世界を目指しましょう」 

かの3カ国が反対することなどは想定内であって、こういっちゃナンですが、「核なき世界」の理想に敵対するのが誰か自ら明示してくれたようなもので、むしろありがたいくらいです。 

これは今まで私たちの国が戦後一貫してやられてきた<ファシズム軍国主義vs民主主義国家>というカテゴライズをそのまま応用しただけのものです。 

彼らが頑迷に反日にしがみつき、その結果、核を手放さなければ包囲網の首がグイグイ締まっていくだけです。 

私たちにとって、彼らの国際的孤立は即ちわか国の国益ですから、むしろ金正恩氏のように「東京を火の海してやる」ていどことを年中言ってほしいものです。 

私は核なき世界を理想としますが、夢想はしません。

敵対する国とやり合いする手段は、なにも軍事力だけではありません。

軍事的手段はあくまでも、多くの選択肢のひとつにすぎず、それが失敗した場合に被る被害はソフトな手段よりはるかに大きいのです。

それよりもひとつの理想を掲げて、「倫理戦」によって国際的に包囲していくことのほうがより効果的ではないでしょうか。

これもひとつの「核抑止力」なのです。こんなに長いテーマになるとは思ってもいませんでした。

少々くたびれてきました。今週いっぱいでいったん終了とします。

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核廃絶の提唱は単なるムード的平和主義ではなく、「倫理戦」です

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昨夜、旧友と痛飲したために脳味噌が氷結状態ですので、ご勘弁を。

う~ん、いつもは冷静な常連さんなのに、そんなに私の言っていることが分かりにくいですかねぇ。

ひとことでいえば、核兵器保有というのは、核兵器廃絶を訴えるほうが、保有するよりはるかに政治的・軍事的にメリットが大きいのです。

核兵器はきわめて「政治的兵器」な兵器です。はっきり言ってしまえば、「使えない兵器」の最たるものです。

なぜなら、使えば相互確証破壊が機能してしまうからです。

Madhttp://www.ftense.com/2015/02/game-theory-in-greec...

相互確証破壊とは、政治的に非常に極端な状況を意味します。

自国の破滅を担保にして、相手国をもまた壊滅させるという考え方ですから。

ですから、まともな国は使えませんでした。

かの中国ですら、日本に核攻撃をすればどんな結果になるのか、わかっているふしがあります。

ですから、彼らが対日攻撃として使用するのは通常型の巡航ミサイルや、これもまた通常弾頭の中距離弾道弾による飽和攻撃だと推測されています。

巡航ミサイルの長剣10、東海10、弾道ミサイルの東風21が旧満州地域や、山東省、江蘇省などから一斉に発射されます。

わずか数十分でその数は500発から600発以上に達し、迎撃すべき自衛隊のPAC-3は36基です。

この攻撃を防御できる国は世界にありません。米国ですら不可能です。

ほぼ9割が日本の政治中枢、基地、石油ターミナル、原発などに着弾し、日本は瞬時で壊滅します。

日本を壊滅させるためには、核兵器など持ち出す必要はないのです。

もう一回繰り返します。核兵器は実際には使えない兵器にすぎません。

いまや有体に言えば、その研究・設置・運営、そして劣化する核弾頭の更新のために膨大な出費を迫られているような「もてあます兵器」なのです。

日本に対して使われる可能性がかぎりなくゼロな以上、核兵器を対抗的に持つ必要もまたありません。

2009年にオバマが核兵器廃絶を説いたのは、核保有国が本音では、核兵器の巨額な負担から逃れたいからです。

米国は軍事的には使用できず、かといって今や外交カードとしても使えない核兵器などは、なくてもいいと思っています。

全面核戦争を背景にした冷戦期と異なり、現代は核軍縮の可能性が現実性を帯びた外交テーマとなっているのです。

この世界の潮流を見誤らないで下さい。

世界を導く指針を提起することによって国際政治において、相手国より優位なヘゲモニー(主導権)を取る手段は、昔から使われた外交手法でした。

これを国際関係論では「倫理戦」と呼んでいます。

日本は、かつての大戦においては「民主主義を防衛する戦い」とプロパガンダされ、昨今は「鯨を食う野蛮人」と非難を受けました。

この捕鯨問題が米国の日本バッシング戦略の一環として行われたために、わが国は国際世論の袋叩きにあったのは記憶に新しいことです。

また、中韓からは執拗に「南京大虐殺」、あるいは「従軍慰安婦」などで「倫理戦」を仕掛けられて敗走を重ねてきました。

残念ですが、どうやら日本にはこの「倫理戦」の発想そのものが欠落しているのです。

なぜ、日本がこの「核廃絶」という、被曝国であり、非核保有国の日本だけが大声で主張できるテーマを使わないのか、不思議なほどです。

この「倫理戦」はきれいごとではなく、外交的にアグレッシッブな手法なのです。

同じく私が、わが国を「平和国家」として規定するもまた、戦後左翼のようなムード的平和主義で言っているのではなく、「倫理戦」を強化するブースターとして述べているのです。

核兵器を持つことは、今や政治的にはむろん、軍事的にもメリットではなく、デメリットであり、ウィークポイントと化しています。

Photohttp://www.bbc.com/japanese/36396490

わが国の首相は、ひょっとしてそれをわかっていて米国やロシア、中国に「倫理戦」を仕掛けたのかと、オバマ広島訪問時に感じました。

首相の内心はわかりませんが、そうならば大変に素晴らしい外交です。

米国の「核の傘」に入っている日本が、そんなことを言う倫理的資格があるのかという声もありますが、ならばノルウェーはいかがでしょうか。

ノルウェーはノーベル平和賞を与える資格をもつ国として国際社会で「平和国家」として認識されていますが、かの国はNATOの原加盟国です。

言い換えれば、米国の「核の傘」に入っています。

とまれこんな時期に、核廃絶ではなく、核武装の道を選ぶのは正反対に走っているとしか私には思えません。

お断り 改題しました。

 

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核兵器保有は国家的自殺行為だ


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核兵器について、私の意見を短くまとめておきます。 

私は核武装という手段は、最後の最後、外交的・軍事的オプションがすべて消滅した後にするべきものだと思っています。 

核武装はどこからどう見ても9条の交戦権に抵触しますので、改憲を前提としますが、これについては今回はふれません。

ただ、核武装を視野に入れた改憲を試みるなら、改憲派が国民投票において勝てる見込みは限りなくゼロとなるでしょうが。

また改憲した後に、核武装を政府が提起した場合、国民の多くはだまされたと思うことでしょう。

さて、現状でもわが国は「準核武装国家」だと認識されています。 

先日、技術的に不可能だという理由をゴマンとあげましたが、実は日本が国家プロジェクトとして遂行するなら、ほぼすべてクリアできてしまうからです。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-9519.html 

プルトニウムの兵器級への転用も不可能ではありませんし、運搬手段としてふさわしい固形燃料ロケットは既に保有しています。 

再突入技術も不十分ですが、有しています。

核実験場は、無人島の地下実験でやれなくもありません。(やらしてくれる自治体があればの話ですが) 

発射プラットホームの潜水艦も、1、2発搭載するていどなら、セイルの拡張でなんとか凌げます。 

しかし何度も強調しますが、その選択をするのは唯一、日米安保という安全保障の土台そのものを喪失した場合に限ります。 

いったんそれを放棄した以上独立国家として、中国、北朝鮮は当然のこととして、米国、ロシアまで含めた相互確証破壊を構築せねばならないからです。 

これは「平和国家」という、日本人が70数年にわたって築いてきた政治資産を投げ捨てるだけではなく、わが国がどの国とも同盟を結ばない外交的に孤立した立場になることを意味します。

これはとりもなおさず、戦前への回帰です。 

また見逃されがちなのは、この核武装プロセスには大きな落とし穴があることです。 

核戦力を開発するまでの短くて3年、常識的に見れば5年。さらに実戦配備するまでに同じだけの期間の間、わが国は米国の「核の傘」という核抑止力を失ってしまいます。 

つまり長く見て約10年間、日本は中国・北朝鮮の核に対して丸腰状態となるわけです。 

また、米国とは同盟解消した結果、敵性国家と認識されるでしょう。 

その場合、米国の軍事技術に依存しているわが国の通常兵器の維持・運用・調達が破綻します。 

早期警戒管制機、ペトリオット、イージスなど、自衛隊装備の大部分は米国技術に依存しています。

日米関係が悪化した場合、部品の交換すらままならなくなります。

しかもその時期には、日中の軍事バランスは、2020年を境にして逆転すると見られています。 

日中の通常兵器での拮抗関係が逆転し、通常兵器の運用も不安定となり、その上核抑止力まで失ってしまっては、国家としての自殺行為です。 

そしてNPTを脱退することによる国連の非難決議が具体化すれば、経済制裁を覚悟せねばなりません。

ウランの輸入にも待ったがかけられるでしょうから、その場合、原発は稼働できなくなります。

その結果、わが国の経済はとめどなく失速していくことになります。 

核武装がそこまでのリスクをかけてするべきこととは、到底私には思えません。

今の「寸止め核武装」状態で、核武装について様々な意見を出し合っていくことだけで、充分に「核抑止もどき」となります。

日本に対して核攻撃を仕掛けてくる可能性がある国は中国と北朝鮮でしょうが、それについては通常兵器による抑止を考えたほうが現実的です。

それについては稿を改めます。

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日本的「あいまいさ」と日米同盟

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よく冗談半分で思うのですが、このブログは、いわば「ひとり新聞社」です。

社主・編集局長・論説主幹、全部私です。わ、はは。

このところ論説副主幹が多く生まれてきたので、ほんとうに嬉しいかぎりです。

さて、つい先日ある知人からも、「きみのところはいつから防衛ブログになったの」と言われてしまいました。

まったくそのとおりで、その危惧を実は私がいちばん感じています。 

尖閣問題に関心があっても、米国の世界戦略なんてものに関心ある人は、百人のうち1人いるかいないかです。

だだっ広い話をいつまでつづけるんだという声が聞こえて来そうです。

今日はなぜ、私がこのテーマにこだわっているかについて、少しお話することにします。 

日本人で直接中国の脅威に面しているはずの人たちは、沖縄県民です。

毎日のように県の水域に大量の中国海上民兵を乗せた漁船と海警が侵入しています。

下の中国通信社の発信した写真をみると、いつの時期か不明ですが、漁船群は漁が目的ではなく、統率された「軍隊」のようです。

また後方には海警の艦艇が控えて、指揮しているのが誰かよくわかります。

今回海保は、海警の船舶から自称「漁船」に乗り移っている要員を撮影しています。

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間違ってコラージュした画像をアップしてしましたので、差し替えました。ふゆみさん、ありがとう。


これに対して、ヤバイと思う危機感を覚えない人はいないでしょう。 

ここまでは県民の8割は共通だと思います。 

あとの2割は「あるものを見ない」人たちだけです。 

目の前に空飛ぶ円盤が降りてきても、それは「あってはならないから見えない」のです。 

信じがたいことですが、イデオロギーの色眼鏡とはそれほどまでに強力なものなのです。 

この人たちにとって、「敵はあくまでも米軍であって、中国の脅威はない」のです。

沖縄地元2紙がこの希少な類型に属するのが、沖縄県民の不幸ですが、今回は触れません。

さてここからです。

この8割の「あるものはある」のだから見えている人たちも、その内実は多様に分かれます。

ある人は自衛隊を出して海上警備行動で打ち払えと言い、ある人は外交的な厳しい対応が必要だと言い、またある人は核武装しろと言います。 

すべてが正しく、すべてが少しずつ間違っています。 

核武装は現時点では、思考実験の範疇を抜けません。

ただし、独自核武装についての議論は、それ自体が抑止効果を持つので、大いにするべきです。

外交的交渉を厳しくするのは当然ですが、それだけではなんともなりません。

いくど強く抗議しても、カエルの面にションベンだからです。

一番リアリティがあるのは、自衛隊の海上警備行動の発令です。

では、いまの状況で自衛隊は出すべきでしょうか?

自衛隊は中国の不法な公船や武装漁船を排除する能力をもっていますから、「出せ」というのも理解できますが、今はその段階ではありません。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-961f.html 

いま、自衛隊を出せば、それは中国の思う壺だからです。 

日本が「紛争地に先に軍隊を出した」という印象は、国際社会に強く刻印されるからです。 

中国が狙っている絵図は、日本を挑発し、日本自らにエスカレーションの階段を登らせて、彼らの軍事力行使の妥当性に道を拓くことです。 

日本人からすれば、尖閣は固有の領土であって「紛争地」でもなく、さらにいえば自衛隊は専守防衛のための存在なのだ、という思いがあります。 

両方とも国内向けの言い分です。国際社会では通用しません。 

そもそも「専守」などという言葉は英語にもフランス語にもない、日本だけでしか通用しない特殊用語にすぎないからです。

そして残念ですが、尖閣はいまや「紛争地」なのです。 

一点の揺るぎもない固有の領土であって、「紛争地」ではないという公式見解は、もう止めたほうがいいと私は思います。

その原則主義を貫くと、「中国さん、なんなら国際仲介裁判所に出ますか」という外交的選択肢を、自ら奪う結果になってしまっています。 

そして自衛隊は、憲法がどうであろうと、ドメテスィック(国内的)な憲法など知るはずもない諸外国にとって紛うことなき「軍隊」にしか見えません。

それも世界最優秀な。

あいにく国際社会は、自衛隊の偏った能力を知りませんし、彼らが「警察的軍隊」であるとは思いもしないでしょう。

米国民の9割9分すら知らないのです。

いや尖閣は日本が中国から強奪したのだ、というのが米国知識人の一般的な認識なのです。

今や日本人好みの<あいまい>語でごまかし切れる時期ではなくなったことを、他ならぬ日本人自身が、特に沖縄県民は当事者として知るべき時です。

軍隊をこの「紛争地」水域に投入すべきかどうか、そのためにはどのような法的措置が必要か、国際社会にどう説明をするべきか、どのような装備が必要なのかなど明確に考えるべき時なのです。

今はその時期でなくとも、この赤い奔流が止まらなければやがて遅かれ早かれその時期は到来します。

しかし残念ですが、日本人はまたもやわが民族特有の<あいまいさ>に逃げ込もうとしています。 

沖縄県民の一部にいたっては、宮古・石垣が取られるまで気がつかないようです。

尖閣の次は先島なのはわかりきっているのに。

そして当然のこととして、その<あいまいさ>がもたらす結果について、冷厳に見ようとしていません。 

この<あいまいさ>の根幹には、日米同盟があります。 

冷戦期に作られた日米同盟は、明確に敵が設定できるうちは極めて有効な装置でした。 

旧ソ連は共産主義国家群を率いた明確な「敵」の盟主として想定されました。

そしてこの期間は、実に半世紀という長期間に及びました。

この間、わが国民を支配したのが、「なんとなく 米国に守られている」という<あいまい>な意識でした。

「全基地撤去」を叫ぶ反基地運動家ですら、心のどこかでは「基地はこのままずっとある」ということを無意識に前提にしています。

では、冷戦が終わった後に勃興した中国はどうでしょうか? 

敵ですか、友人ですか? 

この答えに簡単に答えられる人は、あんがい少ないはずです。

中国との経済的相互依存関係が、旧ソ連とは比較にならないほど生じたからです。

Photohttp://news.mynavi.jp/articles/2015/09/16/niwachina/

民主党政権が任命した伊藤忠出身の丹羽宇一郎元在中国大使など、「日本は中国経済圏に入るべきだ。属国として生き残ればいい。それが日本が幸福かつ安全に生きる道だ」(※)と公言していたほどです。※ソース 深田祐介のインタビューによる。

ちなみに丹羽氏を任命したのは:鳩山由紀夫首相でした。

それはともかく、おそらく財界のかなりの部分が、同意見だったはずです。 

そしてもうひとつは、米国の目を覆うばかりの弱体化です。 

21世紀初頭、このふたつの現象が同時に起きました。 

そこから生まれたのが、日本国民の日米同盟へのあいまいな不信感と、それと裏腹の中国に対する融和的な空気です。 

米国がほんとうは何を考えているのか分からない、ほんとうにいざとなったら日米安保は発動しされるのだろうか、この疑問は保守、左翼問わずに引っかかっている問いだったはずです。

中国は、こんなに経済関係がしっかり出来上がっているのに攻めてくるはずがない、と無意識に多くの国民が思うようになりました。

Photo_2http://gigazine.net/news/20160208-naha-dragon-pillar/

ある県の知事などに至っては、中国マネー欲しさに3億円も一括交付金をかけて龍柱を作って媚びるあさましさでした。 

ちなみに龍は中国皇帝のシンボルで、宗主国への恋慕の情をあからさまにしています。

マーライオン効果を狙ったようですが、残念ながら中国人観光客にすら相手にされていないようです(苦笑)。

中国という奇妙な国が、政治と経済がまったく別の論理で動いていることを知ろうはもしませんでした。

そしてこの間、日米安保についての議論は、昨年解凍されるまで凍結したままだったのです。

去年の安保法案は、日本人の安全保障意識がいかに国際状況からズレまくっているのかを満天下にさらしました。

保守派の多くはその議論の前提であるはずの日米同盟が、実はあいまいだということに気がついていませんでした。

ほんとうに尖閣や先島に中国が侵攻した場合、第3海兵遠征軍が出動するのかどうかという肝心要なことを、米国相手に詰めきっていなかったことがバレてしまいました。

沖縄海兵隊が、宮古に侵攻されるのを傍観しているようなら、そんな安保条約は紙くずだというのに。

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一方、左翼は笑うべきことに、日米同盟があって初めて9条が成立している事実すら知らなかったようです。

彼らのメーンスローガンである「安保粉砕・全基地撤去」を本気で実行すれば、「平和憲法」が成り立たないことをがわかっていなかったようです。

驚くべき幼稚さです。9条は日米安保が作り、維持したというのに。

半世紀も口先で「平和」を唱えさえすれば平和が到来する、という宗教じみた信念でやってきたからです。

私たちは、米国が何を考えて日米同盟という歴史上最長にして堅牢といわれる<同盟>を築いたのか、思いを致すべきでした。

彼ら米国人の意志を知り、米国がどこに向かおうとしているのか、ほんとうに日本の「友人」なのか、あり続ける意志があるのか、知るべき時です。

それがわからないと、米国が尖閣、いや宮古、石垣にまで手を伸ばした時に、在沖海兵隊が私たちの<友人>でありえるのかどうか、予測がつかないのです。

結論めいたことは言いません。

私もわからないからです。一緒に考えていきませんか。 

関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-0178.html

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日曜写真館 嵐のあとの空と水田

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岩代太郎さんのバイオリン組曲『無言歌』をお持ちなら、流してご覧ください。

「無言」とは言葉を必要としないという意味です。

自然と向き合う生活をしていると、台風の脅威と、その後にくる静かな朝、輝く太陽との境目に陶然とすることがあります。

時系列に沿って差し替えました。

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北朝鮮潜水艦発射弾道ミサイル実験を実施 誰にとって一番脅威なのか?

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来週になるとのびたラーメン状態になりそうなので、こちらから先にいきます。 

北朝鮮が潜水艦発射型ミサイル(SLBM)らしきものを実験しました。これを伝える朝鮮日報です。

「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は24日に実施した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験について、「成功中の成功、勝利中の勝利」と述べた。朝鮮中央通信が25日、伝えた。
 金委員長は発射実験を参観し、「きょう発射した弾道弾の実験結果を通じ、われわれが核攻撃能力を完璧に保有した軍事大国入りを果たしたことが証明された」と発言した。
 韓国軍合同参謀本部によると、北朝鮮は24日午前5時半ごろ、東部の咸鏡南道・新浦付近の海上から潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)1発を発射した。東海を500キロ飛行し、日本の防空識別圏を80キロほど入った海上に落下したもようだ。」(連合8月26日)

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上の写真は失敗した7月のものですが、今回は成功したようです。

発射されたミサイルは潜水艦発射弾道ミサイル『北極星』(KN11)で、撃った潜水艦は新浦級(2000トン級)だとみられています。
 

「デイリーNK」によれば、これはロシアから北朝鮮に「くず鉄」名目で輸出されたくず鉄潜水艦をコピーしたものです。
http://dailynk.jp/archives/30868

中国はくず鉄再生空母を作り、昔の舎弟は舎弟で、くず鉄再生潜水艦からミサイルをぶっ放すというのもなかなか渋い光景ではあります。 

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このくず鉄再生潜水艦の元はロシアのゴルフ級潜水艦で、リバースエンジニアリングして、セイルを大きくして日本の発射筒を備えつけました。
北極星1号 - Wikipedia

この輸出に関わったのは、杉並区の東園商事という在日韓国人経営の小さな商社のようです。 

当然ココム違反ですが、経済産業省から差し止めが来る前に出してしまったそうです、司直の捜査が待たれます。 

ちなみに、日本国内にはこのような北朝鮮が絡んだ商社は無数にあって、総連によって北朝鮮へ向けて秘かに核爆弾製造装置が輸出されていたのは公然の秘密です。 

それはさておき、北朝鮮は「相互確証破壊」の最後のステップである、潜水艦発射弾道ミサイルの保有に足をかけたようです。 

もちろん完成してはいませんが、北朝鮮は国際社会がなんと言おうと、このペースで実験を続けるでしょうから、数年後にはコンパクトながらほぼ完全な「相互確証破壊」を手に入れることになります。 

現在の試射では500㎞ですが、今回は角度を高くしたために射程を制限しています。 

本来の角度なら1000㎞以上に射程を延ばすことが可能です。 

いまでも、北朝鮮の核ミサイル実験が、米国を交渉テーブルに引き出すことが目的だという人がいて驚きますが、もちろん間違いです。 

このていどの飛距離では、米本国はおろかグアムすら狙えませんから、米国の脅威にはなりえません。 

飛距離が足りない場合は、目標に接近するために太平洋に出て目標に接近するしかありません。 

かつてのソ連戦略原潜や、今の中国戦略原潜が、なにかといえば太平洋に進出したがるのはミサイルの射程が不足しているからです。 

もちろん、こんなクズ鉄潜水艦から作ったような代物で、宮古海峡を通過することは不可能ですから、北朝鮮はこの虎の子のミサイル発射潜水艦を、常に浅い北朝鮮本土周辺の水域に潜らせておきます。 

となると、このミサイルが狙える目標は、二つしかありません。 

いうまでもなく、日本と中国です。 

日本にとっては、いまさらいうまでもない脅威です。 

発射された咸鏡南道・新浦野市を確認します。新浦は日本の対岸に当たります。 

日本本土の九州、関西、関東圏全域までが射程に入ります。 

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 一方、中国にとっては首筋に刃物を当てられたような気分になったはずです。 

というのは、中国にとってはこれで北京が、北朝鮮の核ミサイルの射程にすっぽり納まってしまったからです。 

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仮に中国が北朝鮮を核で脅迫しようとしても、正恩はニヤリと笑ってこう言うでしょう。 

「習同志、撃ってみたら。けどボク、まじに報復しちゃうからね」 

これが、この間にふれてきた「相互確証破壊」というやつです。 

この関係に入ると、名称どおり「相互」に「確証」をもって相手国を「破壊」できるわけですから、ある種の「対等」な関係になってしまいます。 

「なにが対等だ。100年早い」と、習さんはさぞかし荒れたことでしょう。 

逆にいえば、国際関係においての「対等」とは、核による相互確証破壊をもちあっている関係のことだとも言えるのです。

もちろんまだ潜水艦発射ミサイルの技術は完全ではありませんから、それが完成するまで北朝鮮はミサイルにアホンダラ1号さんのコメントにもありました、核のゴミを詰めたダーティボムを取り付けるだけで、立派な「相互確証破壊」が成立します。 

こんな恥ずかしいものなど先進国は使いませんが、かの国なら別です。 

最初の一発は絶対に阻止できませんから、ミサイル迎撃技術が完成していない中国は、確実に最初の一撃を首都に浴びることになります。 

また、事前に潜水艦を発見して沈めてしまいたいと考えても、中国海軍には対潜水艦作戦の能力が欠落しています。 

かくて、今後中国は北朝鮮のせびられるがままに食料や燃料を供給することになるでしょう。

 

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私たち日本の眼前にある3ツの選択肢

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日本が「独立」してみたらどうか、というのは実に魅力的なテーマです。

もちろん外形的には、日本は立派な主権国家として独立しています。

いや、はずです。

日本に今まで強力なリーダーシップを持った政治家が出ずに、政権党は利権とポストの配分が仕事だと思っていました。

なぜなら、国際戦略などそもそも考えても仕方がなかったからです。

戦後、日本はいかに政治力がなくても、米国の出す方針に付き従っていけば済んだのです。

ですから、日本の政治に求められるのは米国の意図を読むということだけで充分だったと言ってよかったわけです。

したがって、国家を真実統治しているのは、政治家ではなく官僚層でした。

こんな中で外国と正面きって渡り合える政治家が出たら、そのほうが不思議です。

防衛力は西側有数といいながら、単独で動くように設計されていません。

掃海能力、対潜水艦作戦、航空機迎撃能力は、世界でもトップクラスに入りますが、他国攻撃力はないに等しく、長距離戦力投射能力に至っては皆無、長期戦に持ちこたえる継戦能力もゼロです。

トライアスロンでいえば、水泳だけはめちゃくちゃに速いが、ほかはさっぱりという選手のようなものです。

それは米軍がすべて担ってきたから、考えずに済んだのです。

このような偏った形の「軍隊」は、世界でも類例を見ません。

語弊がありますがあえて言えば、自衛隊は「従属国型軍隊」、「従属国」という言葉が勘にさわるのなら、「補完型軍隊」と呼んでもいいかもしれません。

さて、この米国の世界覇権が大きくほころびようとしているのは、敏感な日本人なら誰しも感じているはずです。

米国は今や焼きのまわった大国になってしまいました。

日本は好むと好まざるとにかかわらず、衰退していく米国に頼りきるのではなく、「独立」していかねばならないかもしれません。

では、米国の世界戦略とはどんなものなのでしょうか。そこから知っていきましょう。

4ツの類型があります。

①オフショア・バランシング。

オフショア(沖合)から船にでも乗って地域の様子をうかがいつつ、間接的にコントロールするやり方です。

これが戦前から一貫した米国の理想モデルです。

冷戦期にはヨーロッパではNATO、アジアでは日本がその相方の役割を務めました。

日本の属国根性とでもいうべき体質は、この時代に根を張ったものです。

しかし米国自身も現実には、なかなか意のままにいかずジグザグします。

②完全支配(プライマシー)

これは米国が自分の力が溢れていると、錯覚した時にやらかす戦略です。

直接に紛争地に乗り込み、軍事的・政治的に完全な支配下に置こうとします。

ブッシュ・ジュニアの頃のネオコンが大好きだった政策でしたが、実際に湾岸戦争・イラク戦争、アフガンとやった結果、米国はボロボロになりました。

そこで出てきたのが、選んで介入しようというやり方です。

③選択的関与(セレクティブ、エンゲージメント)

全面的関与ではなく、選んだ地域にピンポイントで介入するという方法です。

いまのイラク、アフガンなどがこれに入りますが、これすら米国にとって大変な負担になっているのは、ご承知のとおりです。

②③の流れの中で、米国は財政的にも重荷を作っただけではなく、「世界の警官」としての威信を喪失しました。

独仏が中東戦争に参戦を拒絶したように、かつてのように米国が「やるぞ」といえば、自由主義陣営がつき従う構図は瓦解してしまいました。

そこでちらつくのが、次のスタンド・アローン志向です。

④孤立主義(アイソレーショニズム)

読んで字のごとしです。すべての地域から米軍を撤退させ、自国が危なくなった時以外海外に米軍を展開することはしません。

太平洋では米国はグアムまで撤退し、陸では南北大陸の中に引きこもろうとします。

この流れを押さえた上で、中国に対しての米国の戦略を照応させてみましょう。

米国にとって、中国が自分で国内に引きこもって、文化大革命という内戦を繰り広げていた1970年代までは、中国に対して深く考える必要はありませんでした。

勝手に内ゲバに興じているのでから、①のオフョア・バランシングで充分だったからです。

熱い戦争になった朝鮮戦争すら、③の選択的関与で充分でした。

そして近年における中国の台頭です。

この時期は悪いことには、米国が中東戦争の傷から立ち直れずにいた時期で、しかも中国の台頭のきっかけは、自らの経済的失敗によるリーマショックに起因しています。

自信を喪失しかけ、しかも三流経済国だと思っていた中国にリーマンショックの尻ぬぐいまでしてもらうというダブルパンチに、米国の自尊心はいたく傷ついたはずです。

この時期に米国は、危うく中国を「盟友」にしかけてしまいました。

それが、第1期オバマ政権で強い影響力をもったズビグネフ・ブレンジンスキーの提唱したG2戦略でした。

G2とはガーバメント2、つまり2大国である米中で太平洋を仕切っていこうとする戦略です。

日本の位置はただ基地を提供している「従属国」にすぎず、すべての国際案件は頭越しに米中によって談合されることになりました。

ブレジンスキーはこう述べています。

「中国を自由主義経済圏に取り込んでしまえば、いずれ内部から民主化に向かうだろう」

この政策に基づいて、米国は中国に対して、積極的に経済的協力関係を結びました。

平たく言えば、13億のマーケット欲しさに甘い顔をし続けたわてです。

ブレジンスキーは経済発展の結果生じた数億人規模の中間層が民主化に向かうと考えていました。

そしてこの民主主義を渇望する中間層によって、中国を民主国家に変えていけると思っていたようです。

結果はご承知の通りです。

中国は、ダイヤつきスマホを操りながらBMWに乗る超富裕層と、ゴミ溜をあさる貧民層に二分解しました。

対外的には、清国版図の奪還を目指した中華帝国再興の熱狂が始まりました。

これがいま、私たちが毎日うんざりするほど見せつけられている「中国がいる風景」です。

米国は、上半身が共産主義、下半身が国家資本主義というキメラ怪獣を作り上げてしまったのです。

ここで出てきた新たな構図を確認しましょう。

それは、中国の台頭、米国の衰退です。

具体的には、中国の海洋軍事進出と米国のアジアからのフェードです。

まさに歴史の分岐点に、いま私たちは立たされています。

冒頭の問いに戻ります。

このような状況で日本はどうするべきなのでしょうか。

選択肢は三つです。

第1に、米国との同盟を継続したままでいけばよいとする考えです。

第2に、今やアジアの新たな覇者となろうとしている中国の経済圏に加わり、政治的にも中国の属国となればいいとする考えです。

第3に、独立を志向する、という考えです。

さて、私たち日本はどう生きていけばよいのでしょうか。

次回に続けます。

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日本の反核運動に「適当な支援を与える」とした中国人民解放軍内部文書

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昨日の中国の学者の見解は、既に中国軍部と政権中枢の共通認識となっているようです。 

昨年10月に、国連総会において中国の軍縮大使が日本の核武装論を強く非難したことは、なぜか日本ではあまり報道されませんでした。 

正直な話、日本人にとっては集団的自衛権という国際常識ですら国論を二分したのに、改憲手続きを踏んですら困難な独自核武装など夢のまた夢だからです。 

ただし、中国はそう思っていないようです。 

ジャーナリスト相馬勝氏は中国人民解放軍の内部文書である「国防参考」に、同様の記載があることを確認しています。

その内部文書には、「日本の核武装に警戒せよ」と題して、楊教授以上に警戒を募らせています。

「日本では原子力発電の稼働によって、核兵器を作る原料のプルトニウムやウランを豊富に保有している。
同時に、核兵器を持たない国のなかでは唯一、ウランの濃縮や使用済み燃料の再処理によるプルトニウムの製造技術といった、核兵器に転用可能な核原料を製造する一連の技術も保有する。」(相馬勝氏「SAPIO」2016年9月 以下同じ)

そして「国防参考」は、こう結論づけます。

「それゆえ、日本は2000発の核爆弾を製造できる。しかも短期間で。」

ならば中国はどう対応するのでしょうか。内部文書はこう述べています。

「ひとつは国連の場などにおいて、日本の核武装に強く反対せねばならない。」

これが、昨年10月の国連総会での中国代表の、日本批判なことは明白です。

次に日本国内の反核運動に着目します。

「日本国内では反核の立場と発言力は一定社会的基盤を築いている。民間の反核組織に適当な支援を与えねばならない。」

これは中国がもっとも嫌っているはずの内政干渉ですが、他国に対してはかまわないようです。

これを読む限り、中国は既に日本の反原発運動・反核運動・反基地運動などに「適当な支援」を与えていると見るべきでしょう。

中国が、沖縄などの反基地運動や、本土の反原発・反核運動に「適当な支援」を与えているであろうという観測はかねがねありましたが、それを認める中国側文書が確認されたのはこれが最初です。

そして最後にこうしめくくっています。

「(日本の核武装に対して)軍内の各部署では訓練を強化し、有効な反撃を加えるられるように日頃から備えておかねばならない。」

これは間接的ながら、中国が軍事的にもさらに強い圧迫を日本に加えるという意思表明だと受け止められています。

勘違いだとしても、これがわが国の「核武装準備」を見る中国の眼だということを、私たち日本人は知っておくべきでしょう。

日本が結果として取ってしまった「寸止め核武装」という状態が、私たちの想像の範囲を越えて、わが国を「準核武装国」に押し上げてしまったということは、皮肉です。 

と、ここまでが起承転結の枕でしたが、体調がさえないために本日はここまでで失礼します。

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日本は核兵器を開発できるか?その技術的難点とは

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核武装テーマについて続けていますが、沢山のご意見ありがとうございました。 

今日は技術的なことを中心にお話します。 

日本は技術先進国だから、核武装は簡単だという俗論がありますが、そう簡単ではありません。 

管直人氏は川内原発の宣伝カーの上で、こんなアジ演説をしていました。

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「原子炉はもともと核兵器製造に使うプルトニウムを作るために開発されたものだ。そして70年前にプルトニウム型原爆が長崎に落とされたのだ。
私はプルトニウムと人類は共存出来ないと考えている。そうしたプルトニウムを新たに生み出すこと自体が人類を危険に晒すことだ。原発がプルトニウムを作ったんです」

 この人の無知蒙昧ぶりにはかねがね驚かされますが、軍事用原子炉と商業用原子炉が炉の構造自体からして違っていることを知らないようです。 

従って作られるプルトニウムも種類が違います。 

核兵器に使用できるプルトニウムは、純度90%台後半の高濃度Pu239だけです。  

一方、民生用原発から出るプルトニウムはPu240で、これはそのままでは軍事転用はできません。  

では、この軍事用プルトニウムを、日本はどれだけ保有しているでしょうか。

世界の核分裂性物質の量 - 核情報によれば、日本はゼロです。 

念のためにお断りしますが、民生用Pu240からまったく核爆弾が製造できないわけではありません。 

2005年5月の国連におけるノーベル賞受賞者らによる声明によればhttp://kakujoho.net/npt/ucs_npt.html 

「テロリストも、民生用のプルトニウムを使って強力な核兵器─少なくともTNT火薬換算で1000トン(1キロトン)の破壊力を持つもの─を作ることができる。」

広島級の約3分の1ていどの破壊力を持つ核爆弾は、民生用プルトニウムからも製造できます。

これをネタ元にして、反原発・反核論者たちは、「日本がプルトニウム備蓄して核爆弾を作る気だ」と主張しています。
http://kawasakiakira.at.webry.info/201507/article_14.html

ナンセンスです。それは「できる」というだけで、軍事的合理性を考えない妄論です。

日本が核武装をする場合、製造するのは戦術核ではなく、戦略核ないしは準戦略核です。

戦略核を作らねば、相手国の核兵器に対しての抑止力にはならないからです。

日本が本気で核抑止力を持つならば、日本に核兵器を照準している中国と北朝鮮の心臓部を一撃で壊滅させねばなりません。

そのためには、たとえば米軍が運用しているMk85核爆弾は約8メガトンですから、その程度の破壊力が必要となります。

メガトンとは核爆弾の爆発力の単位で、TNT火薬換算で100万トンのことです。

ですから1キロトン級原爆などのようなテロリストの凶器をいくら作っても、軍事用には無価値なのです。

またPu240は不純物が多く、不発の確率が非常に高いために、こんなもので軍用核爆弾を製造する国はありません。

反原発・反核論者たちは、日本人がスーツケースに不発かもしれない手製原爆を入れて、平壌や北京に持ち込むとでも思っているのでしょうか(失笑)。 

では次に仮になんとかして核爆弾を作ったとします。

しかしまだ高いハードルがあります。それが核実験です。

核実験をしないと、スペックどおりの性能がでるのか、不具合がないか検証できません。

考えるまでもなく、日本国内に核実験場などができる場所はありませんし、外国が貸してくれるはずもありません。

そこで出てきたのが、コンピータ・シミュレーションで、なんとかできるのではないかという説が他ならぬ中国のメディアから出てきました。

中国城市安全研究所副所長の楊承軍教授の説です。http://news.searchina.net/id/1584694?page=1

コンピュータ・シミュレーション核実験とは、臨界前核実験のことで、実際の核爆発を伴わずにバーチャルにやってしまおうということで、既に核保有国は実用化しています。

楊氏によれば、日本はアブナイ潜在的核保有国で、すぐに中国を抜くぞと脅かしています。

①日本には世界最大のヘリカル型核融合実験装置があるなど、核融合技術で世界一流。
②核爆発実験をしなくても高性能のスーパーコンピュータによるシミュレーションで核兵器を作る能力がある。
③日本はミサイル搭載用の核弾頭を開発する能力もあり、極めて短期間のうちに、「世界第3位の核兵器保有国」になれる。
④日本が核兵器を保有した場合、西太平洋地区、とくにわが国の安全に対する重大な脅威となる。

●核弾頭保有数(2014年現在)
・1位ロシア・・・8000発
・2位米国 ・・・7315発
・3位フランス・・・300発
・4位中国  ・・・250発
・5位英国  ・・・225発

つまり、楊氏は日本は中国を越える核兵器の保有が短期間で可能だと言いたいようです。

①はほんとうです。日本の核融合技術は水爆の技術とダブりますが、後述するように原爆と同じ技術的ネックを抱えています。

④の、日本が核兵器の核兵器の運搬手段を保有しているというのも事実です。

かつてはH2型ロケットしかなく、軍用ミサイルには不適格でした。

ペイロード(搭載量)は大きいのですが、なにぶん液体燃料ですので発射まで時間がかかりすぎるのです。

とろとろと発射台で燃料を詰めていたら、返り討ちにあってしまいます。

軍用の核ミサイルはすべて固体燃料です。

ところが、これが日本には存在します。

2年前、日本独自技術で作り上げた固体燃料ロケット「イプシロン」です。これは素晴らしいロケットです。
イプシロンロケット - JAXA|宇宙航空研究開発機構

Photohttp://www.isas.jaxa.jp/j/column/epsilon/05.shtml

このイプシロンは、人工知能を有しており、自ら数万パーツの部品の不具合をチェックし、LAN(ローカルエリアネットワーク)で自己診断してしまいます。

これは世界最初の技術で、すごいぞ、JAXA!

この自己診断機能により発射人員はわずかで済み、大規模な発射基地は不要となりました。

その結果、打ち上げ費用は30億(目標値)という驚異的な費用圧縮に成功しています。

こんな素晴らしい夢を満載したロケットに、核爆弾を積むと言い出したらJAXAのロケット技術者は号泣するでしょうね。

日本のロケット技術者は世界で唯一、平和目的のみのロケットを作れるので、世界中の同業者からうらやましがられている存在だからです。

しかし、世界でもこれほどまでに潜水艦発射型核ミサイルに適したロケットは存在しないのも、悔しいですが事実です。

問題は、②のコンピュータ・シミュレーションで、実際の核実験に置き換えられるかどうかです。

この楊氏の説は半分がほんとうなので困るのですが、半分はほんとうです。

米国やフランスは既にはスパコンで臨界前核実験をシミュレートする技術が確立しています。

しかし、ではなぜかつてフランスが臨界前核実験の技術を持っていながら、世界の批判を尻目にしてムルロワ環礁で核実験を強行したのでしょうか。

それはコンピュータに入力する実データが必要だったからです。

実データは、現実に核爆弾がどのように作動し、どのような破壊力をもつのかは実験せねば得られません。

日本に実データがあるはずかありません。外国から提供を受けるしかないわけです。

米国がくるれはずもありません。

ですから、日本に世界一のスパコン技術があろうとなかろうと、元種がないのでは手も足もでません。

というわけで、考えにくい想定ですが、米国了承の下に核兵器を製造するならば、わが国は核兵器とその投射手段の基本技術だけは有しているから可能というわけです。

しかし、それだと米国からの自立と独自核抑止力獲得の目標ははかなく消えますね。

というわけで、問題は政治的な課題になっていきます。

それについては次回。

 

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平和国家2・0

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核兵器をめぐって何回か考えてきました。 

すると、結局ひとつのことに突き当たります。 

「日本は<平和国家>であることを止める意志を持てるのか?」という疑問です。 

世界の中で、「核廃絶」を唱える道義的資格を有するのはわが国のみです。 

忘れがちですが、日本は国際社会の中で、国際協調派のアイコンなのです。 

よくイラク復興に従事した自衛隊が、サマーワ・キャンプでオランダ軍によって一方的に守られていた、ということのみが話題になりますが、オランダ軍は自衛隊を驚嘆の眼で眺めていました。 

それは、紛争地において力による抑止だけではなく、地元の人々の要求をよく聞き、危険をおかして民生復興に励む自衛隊に、損害が1名も出なかったことです。 

それは、イラクにおいて軍用犬を連れて宗教施設に乱入するような米軍と対象的でした。 

イラクに派遣された多くの軍隊の中で、地元から帰らないでほしいという声を貰った唯一の外国軍は自衛隊のみです。 

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オランダ軍は自衛隊の地元から信頼されようと努力する姿勢に影響を受け、積極的に取り入れます。 

そして自衛隊から学んだオランダ軍は、多国籍軍においてもっとも少ない人的被害しか出しませんでした。 

これが私たち日本が誇る<平和国家>モデルです。 

先日もコメントで「米国は核を持ているのに、なぜ自分たちはもてないのか」というものがありましたが、現実にそのような核新興国が現れました。 

イランと北朝鮮です。

あるいは既に核を保有している、イスラエル、パキスタン、インドなどの国です。 

その時に、「いやアメリカに核を捨てさせるためには、核をこれ以上拡散してはいけないのだ」と諭すことができるのは、本来わが国だけしかいません。 

私たちの国は米国とは違ったアプローチをします。

それは「私たちはあなた方の国の発展に協力するから、その上で核不拡散を進めていきましょう」というやり方です。

もちろん、<核クラブ>と呼ばれる米露英仏中に対しては、厳しい核軍縮のロードマップを提案せねば片手落ちです。

ある段階で核をゼロにするために、今どうしたらいいのか、具体的に何から始めたらいいのかを計画せねばなりません。

もちろんいきなりゼロにするのは空論ですから、段階を踏まねばなりません。

信頼醸成から始めて、核兵器の情報開示などやるべきことは山積しています。

その時に、私たちにとっての「武器」は核兵器を持つことではなく、<平和国家2・0>を提起することです。

今までの引きこもり型の<平和国家>ではなく、核軍縮、核拡散について平和へのイニシャチブをとれる国になるべきです。

私は<平和国家>ブランドは捨ててはならないと思います。

ただし、それは丸腰で中国・北朝鮮の核に怯えることを意味しません。

と同時に、独自核武装もまた現状において不可能です。

私もいろいろと考えてみましたが、結論としては独自核武装すべきではありません。

その瞬間、日米同盟は瓦解し、悪い意味での「普通の国」に堕するからです。

もし独自核武装の手段を取るなら、それが成立する前提は唯一、日米同盟が崩壊していて、この手段しかないという最悪の状況です。

つまり、独自核武装とは最悪時緊急オプションなのです。

長くなりますので、その理由についての説明は別途にします。

現実の世界は、先日書いたように<核の均衡>で成立しています。

そして彼ら核保有国は、いわば千日手のように拮抗して膠着してしまっています。

これを解きほぐし核廃絶へのロードマップを作ることは、本来わが国が課せられた歴史的使命なのです。

その上で眼前の脅威を直視し、現実的な「適応」をどのようにしたらよいのか考えたいと思います。 

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