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2019年2月23日 (土)

真に県民に問われていることは、「普天間飛行場を移設することに賛成か、反対か」です

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県民投票が明日に迫っています。既に投票された方もおられるでしょうが、投票に行くことを強くお勧めします。 

県民投票の性格が移設反対派の政治的パーフォーマンスであるために、投票を拒否する方もいるでしょうが、ちょっと待って下さい。 

棄権という行為は、デニー県政によって「反対」と見なされるからです。

デニー県政は「棄権」や「どちらでもない」といったあいまいな答え方をすれば、必ず都合よく 解釈します。 

棄権は「どちらでもない」と同等に使われます。

たとえば「賛成とどちらでもないを合わせれば〇〇%だ。これでデニー県政の移転反対路線は信任された」という具合にです。 

もしあなたがデニー知事の移設反対路線がおかしいと思われたのなら、ためらわず「賛成」に入れて下さい。 

移設先が辺野古であることは、とりあえず関係ありません。 

今、あなたに問われているのは「移設に賛成か反対か」であって、その方法論や移転先ではないからです。 

そもそも、県民投票自体がデニー県政が仕掛けた巧妙な「罠」です。 

本来、県民の「民意」を問うと言うのならば、「普天間飛行場の移設に賛成ですか、反対ですか」を問うのが順番です。

移設問題の発端は、住宅地の真ん中にある普天間飛行場を移転するということから始まっています。

ならば、これを移転することが最優先課題であって、県民の安全な生活を保証するのが県の責務のはずです。それに反対するのは筋が通りません。

これではまるで、普天間飛行場にそのまま居てくれというのと同じです。

だから地元の宜野湾市は県民投票に非協力的だったのです。

この普天間飛行場の危険性を問わずに、どうして移設先の賛成、反対を問うのでしょう?

移設に反対してしまったら、普天間飛行場が半永久的に今のまま固定化されるのはあたりまえではありませんか。

これをデニー県政の詐術といわずして、いったいなにを詐術と呼ぶのか。

繰り返します。

今問われているのは移設先ではありません。そのようにデニー県政は設問をすり替えていますが、あなたの心の中て読み替えて下さい。

真に県民に問われていることは、「普天間飛行場を移設することに賛成か、反対か」です。

答えはひとつしかないはずです。

2019年2月22日 (金)

ブレグジットの後に来るものとは

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まずはひとことこのブログのタイトルとなっている「農と島のありんくりん」についてご説明しておきます。 

このブログは来訪されている方はご承知のように、いわゆる農業ブログではありません。 

かつては濃厚にそうでした。 

始めたのは

先日のホンダの「イギリスが出ていく」ではなく「イギリスから出て行く」という別の意味でのブレグジットは、ヨーロッパ全体に衝撃を走らせたようです。

ホンダ英国工場閉鎖発表翌日のBBCニュースは、これをトップに置きました。 

もちろん、BBCはこれが単純にブレグジットのためだとは書いていません。

「企業が大きな決断を下すとき、その理由がひとつしかないということは、滅多にない。
ホンダが2022年に英イングランド・ウィルトシャー州スウィンドンの生産工場を閉鎖するという報道に、多くの人はすぐさまブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)のせいだと槍玉に上げるだろう。しかし、閉鎖の原因は他にもある。
2月1日に施行された日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)では、EUは2027年までに日本車の輸入関税(現在は10%)を撤廃する。
つまり、日本企業がEU域内に製造拠点を置かなくてはならない根拠が薄れているのだ。実際、ホンダは欧州のどこかに拠点を移すのではなく、欧州市場向けの生産を日本に戻す計画だ」(BBCニュース2月19日)

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-47288102

この指摘は日本のメディアもしていますし、昨日記事にもしましたが、当事国としての英国国営メディアが言うとなるとやや趣が違います。 

今英国は、EUとの交渉期限切れの崖っぷちであって、ハードブレグジット(合意なき離脱)となると、英国のみならず、世界経済にあたかる影響は甚大だからです。 

EUが日欧EPAを急いだのは、背景に英国のブレグジット交渉期限切れが迫っていたからです。 

Plt1807170037p1署名式における安倍首、EUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長https://www.sankei.com/world/news/180717/wor180717...

安倍氏が日程的にヨーロッパに行けないとなると、なんとEU大統領と欧州委員長のほうからわざわざ日本にまでやってくる熱の入れようでした。 

昨日も説明したように、ブレグジットすれば、同国を製造拠点として無関税で大陸のEU加盟国に自社製品を輸出してきた企業は大打撃を受けます。 

なにせ英国に工場を置く唯一の理由は、特に英国が好きだからではなく、EUに無関税で輸出できることだったからです。したがってこの特典がなければ逃げていきます。

Photo_2https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190220-OYT1T50...

それはホンダのみならず、英国への初乗りだった日産にも及びつつあります。日産はエクストレイルの英国生産を終了してしまいました。

日本企業のみならず、英国が誇る唯一の家電メーカーのダイソンすら、工場はとっくに中国、本社さえ国外移転するというのですから、この非国民と時代錯誤なことを言いたくなります。

「イギリスから投資を引き揚げるのはホンダだけではない。2月には日産が、英サンダーランド工場での「エクストレイル」の次期モデル製造を撤回。ソニーとパナソニックも、欧州本部をイギリスからEU域内に移した」BBC前掲)

これはかねがね指摘されていましたが、その悪夢が現実のものとして 英国国民の眼前に忽然と姿を現したことになります。 

ひょっとしてこれは外国企業の一斉撤退に結びつくのではないか、そうなれば外国資本のキャピタルフライト(資本逃避)となるかもしれない、そうなったらパニックだ・・・、これが英国人の恐怖です。 

逆に言えば、EU中枢は日欧EPAを急ぐことで、いかにEU離脱が高いものにつくのか英国はもとより、加盟国全体に教えたかったのです。 

さて英国がブレグジットした最大の理由は、とりもなおさず移民問題でした。 

EUはヒト・モノ・カネ・サービスの自由な往来を原則としています。 

特にヒトの自由な往来はシェンゲン協定によっ て認められた、EUの根幹理念です。 

このヒトの自由な移動によって、英国には大量の移民が流入しました。 

Photo日経 https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM20HA2_R20C1...

 

 英国の移民の総人口全体に占める率は13.0%で、EUでも上位に位置します。

Img_be426991206d254768aed85ede3000dhttps://diamond.jp/articles/-/93863?page=5

ロンドンに行けばわかりますが、非白人が半分以上占めているようで、現実に市民の5割は外国人だといわれているようです。

これはかつての大英帝国の名残だけではなく、近年のEUによる外国人労働者移入です。

というのは外国人家庭は、元来の英国人家庭より幸か不幸か子沢山です。4人、5人は珍しくありません。

かくして英国で生まれた新生児の名前のトップは、モハンマドということですから、おいおいです。

かくして先進国病である少子化は、移民家庭の人口の自然増によって治癒してしまったことになります。

ただし10人以上にひとりが外国人という社会を作ってしまったことで、元々の英国人は今や先住民といわれかねない冗談のようなことになりつつあります。

どちらがいいのやらと彼岸の火事のようなことを言えなくなった、改正入管法以後の我が国ですが。

それはさておき、国民投票でブレグジット支持に強い支持を与えたのは、このような外国人人口比率が高い大都市を抱える地域であったことは象徴的です。

英国からの分離傾向にあるスコットランドやアイルランドは、ブレグジットに反対しました。

この現象は仮に独立しても、直接にEU加盟が可能だと踏んでいるからです。

これらの移民労働者は、新規雇用が英国にあることと、手厚い社会保障を目指して流入したわけですから、今回のブレグジットによって外国資本が逃避していくことに連れて国外に流出していくことになるかもしれません。

あるいは、家族は社会保障や教育を目当てに定着し、父親と息子が出稼ぎにEUへ行くようなことになるかもしれません。

その動向は今後を見ねば分かりませんが、仮にブレグジットしたとしても既に13%もの「外国人があたりまえにいる社会」を作り上げてしまった以上、その解決にはならないということにです。

その意味でも、私はブレグジットは早まった選択だったと思います。離脱自体は誤っていないとは思いますが、まだいくらでもやりようはありました。

キャメロンのバカが国民投票などしたから地獄の釜の蓋を開けてまったのです。

と言っても、既に引き返せませんが。

 

 

 


 

2019年2月21日 (木)

ハードブレグジットの足音に脱出する日本企業

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ハードブレグジットの足音が近づいています。

このまま推移すれば、2月26日まで協議を続ける方針を示した英国政府が2月26日まで協議を議会と継続するという期限が過ぎ、3月29日のEUとの交渉期限切れとなってしまうというまったくみっともない結末が見えてきます。

英国にとって気の毒なことに、離脱協定案の修正をめぐる EU との協議はまとまることはないでしょう。

ここでEUが譲れば、押せば妥協するという悪しき前例を作ることになるからです。 

今、EU離脱の火の粉は、ご本尊のドイツ、フランスまでに広がっており、ここで弱みは一切見せないというのがEU中枢の堅い意志のようです。 

EU の堅い壁に当たって跳ね返ったボールは今英国側にあるのですが、英国には二つの選択肢しかありません。 

ハードブレグジット、つまり合意なき離脱か、メイ首相が示している現行の協定案を受諾するかのいずれかです。 

では、二度目のちゃぶ台返しで、離脱自体を止めるというのはどうでしょうか。 

現実には、国民投票のやり直しを求めるということになりますが、メイ首相は拒んでいます。 

メイを解任できればそれもありえるでしょうか、再任された以上このては使えません。

2018121400305592zaifxf0001viewhttps://m.finance.yahoo.co.jp/news/detail/20181214

メイが再任されたのは、彼女に代わってどうやっても叩かれることになる火中の栗をどの政党も政治家も拾わないからです。

英国は共通通貨のユーロには参加していないのですから、他のEU諸国とは違って独自の金融緩和政策をとる景気対策が可能です。

ならば焦ってブレグジットでこんな醜態をさらすくらいなら、移民問題などの不満な点はEU内部にとどまって変革したほうが上策だったような気がます。

国民投票などという愚かなポビュリズムをしたツケです。

前回沖縄の県民投票の時にも書きましたが、後先考えずにこんな国の運命を分けるような大事なことを、国民直接投票で決めてしまうからです。

直接投票の最大の欠陥は、その投票時の感情で左右されることです。

間接投票のように「政党」というショクアブソーバーがない分だけ、結果が良く言えば鋭敏、悪くいえば過剰に反応します。

いままでの沖縄の選挙で、選挙前に不思議と発生した米兵の犯罪ひとつで、空気ががらりと変わったことを思い出して下さい。

冷静に考えて一票を投じるのではなく、「お仕置きをしてやる」という気分で投票を決めてしまいがちです。

そしてその結果に、長い期間拘束されることになります。翁長知事を作った空気はデニー氏に受け継がれ、実に最長18年間にも及ぶことになりまた。

直接投票はセーフティネットなしで空中ブランコをするようなものなのです。 

沖縄県民の皆さん、英国のブレグジットを他山の石としてください。県民投票は棄権をしないで賛成に一票入れに行きましょう。 

Brexitmaphttp://www.newsdigest.de/newsde/component/content/...

さて話を戻します。英国に展開していた外国企業は一斉に離脱を開始しました。 

「英国が出て行く」ではなく「英国から出て行く」という意味でのブレグジットは既に始まっています。

1387300https://m.finance.yahoo.co.jp/news/detail/20181214

まずホンダが英国の工場を閉鎖すると発表しました。

「自動車大手のホンダは2021年中にイギリス南部にある工場での自動車の生産を終了する方針を正式に発表しました。世界的な自動車の生産体制の見直しの一環だとしています。
発表によりますと、ホンダは2021年中にイギリスの南部、スウィンドンにある工場での生産を終了し、閉鎖する方針を決め労働組合との協議を始めました」(NHK2019年2月19日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190219/k10011820311000.html

元々ホンダは欧州市場は弱いためということもありますが、他の企業にまで同じ動きがでています。やや長いですが、各社の動向をご紹介しておきます。

「イギリスのEU離脱が迫る中、日本の自動車メーカーや電機メーカーの間では生産体制などを見直す動きが広がっています。
このうち日産自動車は今月イギリスで計画していたSUV=多目的スポーツ車の生産を撤回すると発表しました。
また、トヨタ自動車では、イギリスの工場に部品の在庫が生産の4時間分しかなたいめ、離脱による混乱で部品の納入に遅れが出れば工場の操業が停止するおそれがあるということです。
一方、電機メーカーのうち、ソニーはヨーロッパ事業を統括するイギリスの現地法人を通じて、日本やアジアの工場から輸入したテレビやカメラなどの製品をEU域内に輸出しています。(略)
また、パナソニックも、ヨーロッパでの本社機能をイギリスに置いていましたが、去年10月、機能の一部をオランダの拠点に移すなど、生産体制などを見直す動きが広がっています」(NHK前掲)

ブレグジットに関しては、自動車業界、電気業界の思惑は完全に一致しています。 

離脱の場合のEUとの間での部品や完成品の輸出入の条件変更はありえない、ということです。 

そりゃそうです。今まで無税でEU域内に輸出できたから英国に工場を置いたのであって、関税障壁が復活すれば、英国に投資する意味はなくなります。 

業界団体の調査によれば2015年には25億ポンドあった投資額は、2018年上半期には5億8900万ポンドへと激減しています。 

ブレグジットが決まる前から各社はシナリオを作っていたと思われ、静々と英国から出ていくというコースに入ります。 

これは日本社だけにかぎらず、他の欧米企業も同じ思惑であると考えられます。

現実には静々というわけにはいきません。大混乱となるでしょう。

これは英国とEU全域に広がる部品のサプライチェーンまでも再編せねばならなくなったからです。 

「英国で生産される自動車のおよそ半数が輸出されていました。自動車部品のサプライチェーンは欧州の自由貿易地域に広範にまたがっており、英国がEUに加盟しており輸出入の障壁がないことを前提とした生産が行われていました。
しかし、もはやそうした前提が成り立たなくなるのです。部品の供給が遅滞すれば、組み立てのラインそのものを止めなければならなくなってしまう」(エコノミスト2月19日)
 

たとえば、エコノミストは英国を代表するローバーMiniaを例にとっています。

「Miniの車を引き合いに出せば、一日に1000台のMiniを生産するオックスフォード工場では、一台当たり4000から5000の部品を使って完成するために、一日に400万個の部品を入荷しているのです。
それ自体ロジスティクスとしては難しいオペレーションだといいますが、この部品のうち5分の3がドーバー海峡を渡ってくるのです。部品はトラックで運ばれて生産ラインに直接荷下ろしされており、その順番までもが効率的に定められている。その流れが乱されれば、今の生産効率は到底維持できないわけです」(エコノミスト前掲)

日産の部品の85%は英国外ですし、他のすべての自動車会社は英国内外の(それも英国外のほうが多いのですが)サプライチェーンを遅滞なく回転させるために精密なプログラムを組んでいますが、これが根本的に破壊されてしまったことになります。

エコノミストは「多少の混乱では済まない」と書いていますが、そうだと思います。

悪いことには、この春は新車の販売開始にあたっていて、最悪のハードブレグジットの始まりとなることは必至でしょう。

ただし、日本にとって唯一の慰めとなるのは、日欧EPA ( 日欧経済連携協定)」がこの2月に発効していることです。

この日欧EPAによって、従来日本からヨーロッパに向かう自動車関税にかけられていた10%関税は、段階的に引き下げられて8年目には無税となります。

Photohttp://www.blossoms-japan.com/entry/2017/07/07/175...

なんのことはない日本から直接にEUに輸出しても、段階的に低くなり7年後には無税となるのです。

ならばブレグジットなどない(あたりまえだ)日本国内製造のほうがいいじゃありませんか。

とまれこのハードブレグジットによって、無関税を求めて欧州に出ていた日本企業にとって、英国のみならずEU域内に工場を展開させる意味はブレグジットで消滅したといえます。

日本企業にとって、勝手知ったる母国の地にこのような形で舞い戻ってくるとは夢にもおもわなかったでしょう。

これを期に、企業城下町と悪口を叩かれながら作ってきた、企業と国内の中小サプライチェーンのありがたさをかみしめることです。

今、英国がこの雪崩をうって出て行こうとする外国企業に歯止めをかけるには、ブレグジットの返上しかありませんが、ここまで状況が進んでしまえば、そうとうに難しいでしょう。

ブレグジットは、出て行かれる側にも出ていく側にも高いものにつきそうです。

ただし、国内で作ることの重さを国際企業が再認識することが出来れば、唯一の光明となるかもしれません。

 

2019年2月20日 (水)

原油の海に浮かぶ浮草社会主義国ベネズエラの終焉

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遅まきながら、日本政府もベネズエラのグアイド国会議長の反政府側の支援を決定したようです。

「混乱が続く南米のベネズエラで、暫定大統領への就任を宣言したグアイド国会議長率いる反政府側は、14日、アメリカの首都ワシントンで、各国の関係者を招いて会議を開き協力を呼びかけました。参加した日本政府の担当者は、「ベネズエラ国民の声が反映された国造りを支援していきたい」と語りました。(略)
今回の会議に参加した日本の相川一俊駐米特命全権公使は、NHKの取材に対して「ベネズエラの人道的状況を懸念している。国民の声が反映された国造りを支援していきたい」と述べ、日本としても支えていく姿勢を示しました。(NHK 2019年2月15日)

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190215/k10011815711000.html

K10011815711_1902150745_1902150746_NHK2月15日 

一方、故チャベスの後継政権であるマドゥロ大統領は、同じニューヨークで気勢をあげています。 

「ニューヨークの国連本部では、ベネズエラのアレアサ外相が、10数か国の国連大使らとともに声明を読み上げ、アメリカに対抗していく姿勢をアピールしました。
アレアサ外相は14日午前、ロシアやシリア、北朝鮮など16か国の国連大使や幹部らとともに記者会見を開きました」(NHK前掲)
 

マドゥロ政権の国際総決起集会に集まった面々を見て、思わず失笑してしまいました。 

方や米国とヨーロッパ諸国、そして日本。これはさもありなん自由主義諸国です。 

方や北朝鮮、中国、ロシア、そしてアサドが支配するシリアときていますから、分かりやすい。 まともな国がひとつもない(苦笑)。

これらの国々の共通項は、極端な独裁体制と人権弾圧です。 

願いましては、ウィグルで収容所列島を作り続ける中国、反政府ジャーナリストや反体制人士は暗殺してしまうロシア、自国民に毒ガスを撒くような国民の大量虐殺を繰り返すアサド政権、説明不要のひとり独裁国家・北朝鮮までが顔を出しているのはご愛嬌です。 

北朝鮮やアサド政権に支援される政権というだけで、もう説明する手間が省けるというものです。 

実に分かりやすい色分けですが、この両派以外に、カナダのように「米国は介入するな」という非干渉派も少数ですが存在します。 

さて今のベネズエラはインフレ率が年100万%(おいおい)というハイパーインフレに達し、全人口の61%が極端に貧困な生活を強いられています。

国民の89%は家族が生活できる賃金をもらえず、既に人口の1割の260万人が国外に脱出しています。

2014年末に220億ドル相当あったとされる外貨準備は、2017年8月時点で100億ドル以下まで減少し、ベネズエラはデフォールト寸前です。

ベネズエラ市民の4分の3以上が貧困ライン以下の生活を余儀なくされている。商店の棚から商品が姿を消し、スーパーマーケットには、コメなどの基本物資を求めて、行列ができるようになった」
(フォーリン・アフェアーズ・リポート2016年10月号)

「ベネズエラが、政治的、経済的な危機に直面しています。IMFによると、2017年のインフレ率は平均で720%、2018年は2,000%超という破滅的な数字になると見られています。マドゥーロ政権の支持率は就任時の50%から20%に低下、国内では食料や医薬品といった必要物資が著しく不足し、海外への脱出者が多数発生していると報じられています」
(マネークリップ『原油に翻弄されるベネズエラ~デフォルト危機と今後の展望~』2017年9月15日)

「5月22日にはさらに、医師たちがカラカスでデモ行進し、保健省に対する抗議行動を実施した。アントニエタ・カポラレ保健相は5月半ば、2016年に妊婦死亡率が66%上昇したと発表した後で解任されている。
抗議行動に参加した医師たちの手には、「病気になるな。薬は無いぞ」と書かれたプラカードが握られていた。ベネズエラは石油大国でありながら、食料だけでなく医薬品も極度に不足しており、患者たちは必要な薬や包帯などを自力で調達せざるを得ない状態だ」(ニューズウィーク2017年5月27日)
『ベネズエラほぼ内戦状態 政府保管庫には大量の武器』
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/05/post-7655.php

この発端を作った男が、このウゴ・チャベスです。
ウゴ・チャベス - Wikipedia
 

Photoウゴ・チャベス スプートニクhttps://jp.sputniknews.com/life/201611223036456

 この暑苦しそうな男は就任すると、それまで中南米の優等生と言われていた自由主義政策を廃止てしまい、反米・社会主義路線政策を実行に移しました。 

チャベスがやったのは、全土の急進的な社会主義化でした。 

農民の農地は国が接収し、外貨収入源の石油プラントはベネズエラ国営石油会社(PDVSA)の下に国有化し、電気・ガス・水道の公共インフラも国有化してしまいます。 

そして貧困層の支持をえるために徹底したバラマキ政策を行います。 

普通こういう急進的社会主義政策をとった場合、大きな反発が農民から出ます。 

農民こそが最も社会主義と相いれない天敵の階層であることは、古今東西の社会主義の歴史が証明しています。 

国はただ同然で食糧を国民に供給したいので農民に対して、国が定めた低い額で国に食糧を供出することを命じます。 

販売の自由が奪われているわけですから怒りが溜まって当然でしょうか、そもそも農地自体が自分のものでなくなっているために従わざるをえないわけです。

私なら死んでもこんな「社会主義農民」になるのはマッピラですから、殺されるか投獄されていたことでしょうね。

そしてもうひとつは民族資本です。

チャベス前には多くの民間企業が活発に活動していましたが、その多くが国有化されました。

特に石油生産には、資金と技術を持つ有力な外資が経営していたのですが、これが国有化のために国外へと撤退した結果、原油生産効率は大幅に低下しました。

原油生産量はチャベス就任前に比べて、実に4割以上減少したと言われています。

また、かろうじて生産される原油も精製が出来ずに低い品質で輸出せざるをえない状況です。 

このチャベス社会主義政権には国内で強い抵抗があり、対外的にも米国の目の敵にされていました。

しかしそれでもなお、世界の左翼たちから「21世紀の新しい社会主義」と偶像視されたのは、この原油輸出があったからです。 

安かろう悪かろう少なかろうの三重苦を背負っていても、痩せても枯れても世界有数の産油国の強みで、この原油を売った金を貧困層にせっせとバラまきゃ、これは強い。

これで、なんとか国内の不満を押さえ込んだのですが、そうは問屋が下ろしませんでした。

輸出収益の95%以上を石油と天然ガスに依存するという、ロシアも真っ青の原油一本足打法は、原油の国際市場価格の変動にもろに左右されます。

Img_fbee3a90ea97a15ec97b3bc71a85b78マネークリップ https://media.monex.co.jp/articles/-/7933

2002年から始まる原油価格の高騰は、チャベス政権にとって願ってもない追い風となりました。

それは幸運にもチャベスが生きているあいだ吹き続け、世界でエネルギーを爆買いしていた中国はこれに目をつけて630億ドルの融資を行います。

中国はこういうえげつないエネルギー漁りと、米国の裏庭に自分の息のかかる国を作る心づもりでした。

アメリカシンクタンク「ランド研究所」は近日発表した報告書で、中国共産党政権が海外展開するうえで重要な拠点となりうる11の国家を主軸国家(pivotal state)としてピックアップした。(略)
ベネズエラはその豊富な石油資源のため中国共産党から目を付けられている。中国はベネズエラに対し多くの投資を行い、軍需品と融資を与えた。ベネズエラは石油を輸出して得たオイルマネーで返済の大部分をまかなっている」(大紀元2018年10月29日)
https://news.nicovideo.jp/watch/nw4102955

チャベスはこんな融資を受けても苦にもしませんでした。なんせ全額現物で返済可能だったからです。

ただし、ベネズエラに貸し込んだ中国は、今や貸し倒れの危機にあります。

というのは、米国がベネズエラ国営石油会社ペトロレオス・デ・ベネズエラに対し、禁輸措置をとりました。

「ティラーソン米国務長官は4日、訪問先のアルゼンチンで記者会見し、政治混乱が続く南米ベネズエラに対し石油製品の禁輸を検討していると発言した。野党勢力の弾圧や不公正な選挙の強行で独裁化を進める同国のマドゥロ大統領をけん制する狙い」
(日経2018年2月8日)

これによって中国はカネも返ってこないわ、現物の原油も手に入らないことになります。

それはさておき、いっけん順風満帆に見えたチャベス政権は、彼の死後一気にナイアガラ瀑布よろしく転げ落ちることになります。

2014年の国際石油市場の暴落が発生し、ベネズエラ社会主義政権の一本足打法のたった一本の脚である原油輸出が急落することなります。

この時には、ラッキーにもこの元凶であったチャベスは、ガンで亡くなっていました。

チャベスはさんざん自分のガンを米国の陰謀だと吹いていましたが、ともかくまぁ自分が作った世界が地獄に落ちていくのを見ないで住んでよかったではありませんか。

このチャベスのガン治療はキューバで行われ、ベネズエラのキューバ化はいっそう侵攻することになります。

チャベス亡き後、これを継承したニコラス・マドゥロは、原油価格低迷を一層の社会主義化で乗り切ろうとします。
ニコラス・マドゥロ - Wikipedia

2ハフィントンポスト
https://www.huffingtonpost.jp/2016/07/25/economic-chaos-in-venezuela_n_11190370.html

この男の社会主義化とは、秘密警察政治のことでした。数知れない市民が暗殺部隊によって虐殺されました。

しかし、肝心のバラマキの財布の底が抜けて貨幣が100万%に達しデフォールト寸前の経済では処置なしです。

マドゥロが正気ならば行き過ぎた社会主義化を止め、国有化した石油会社を元の外国資本の運営に戻し、さらに米国とよりを戻せば、多少の救いはあるかもしれません。

「政策転換を契機に市場開放が進めば、外資を含む民間企業の再参入により、原油生産量の回復、さらには増産も期待できます。また、石油以外の外貨獲得手段を強化することも可能です。
ベネズエラはボーキサイト、鉄鉱石、ニッケル、金といった鉱物資源にも恵まれています。エンジェル・フォールを有するカナイマ国立公園という世界遺産もあり、観光資源もあります。政策転換によって米国など今まで関係が悪化していた国との関係が改善すれば、様々な投資や需要を取り込めるでしょう」
(マネークリップ前掲)

しかし、仮にマドゥロにその気があったとしても(ないでしょうが)、中国とロシアがバックについて、ベネズエラを国際政治の駒としてしまった以上、もう後戻りはできません。

日米はグアイドを暫定大統領を支持しましたが、まだ力量は未知数です。

軍部の出方にもよりますが、今後もベネズエラの動乱は続くものと思われます。

とまれ、まともな革命運動をしたわけでもなく、汗水流さないで原油という地べたから湧くものだけで国を社会主義に導こうという太い根性で、成功するはずがないではありませんか。

このような原油に浮かぶような国を、「21世紀の新しい社会主義」と礼賛していた人たちの顔が見たいものです。

 

 

2019年2月19日 (火)

漂流国家・韓国

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結論からいいましょう。日韓関係において怒ったほうが負けです。 

今は拳を振り上げる時期ではなく、拳を準備しつつ冷静に相手国を観察する時期です。 

というのは、韓国には日本と「今」戦う意志がないことです。 

今の状況に目新しいことはありません。すべてがかねてからの反日政策が皺寄せされたものです。 

たとえば私たち日本国民にとって許しがたいと思わせた「徴用工」裁判は、2012年の下級審が出した再戻し判決に沿ったものでした。 

「10月30日に出された元徴用工らに対する最高裁の判決は、6年以上も前の2012年5月、同じ最高裁が下級審の判決を差し戻し、再び上告されてきたものである。
 どこの国においても、最高裁が自ら差し戻し、下級審がその最高裁の差し戻し判決の趣旨に従って出し直した判決を、最高裁がもう一度覆すことは考えにくい。
事実、今回の判決の趣旨は基本的に2012年の差し戻し判決に沿ったもので、その論旨が新しいわけではない」
(木村幹神戸大教授2018年11月28日)
https://ironna.jp/article/11300?p=1 

Soc1808150006m1https://www.zakzak.co.jp/soc/news/180815/soc180815

「徴用工」裁判においてムンが入れた最高裁判事は、皮肉にも日韓請求権協定で個人請求権は消滅したという少数異見を出した2人の判事のひとりでした。 

請求権協定を廃棄する判決を出した判事は1名を除いては、イ政権とパク政権という保守政権が任命した人物でした。

また反日に関しては、このふたりの保守派大統領のほうがよほど熱心でした。 

ムンは対日政策に関してはどうでもよいのです。喧嘩を売られっぱなしの私たちにはふざけるなといいたくなりますが、当人たちはそうだとしかいいようがありません。 

少なくとも、かつての政権のように竹島上陸などといった反日外交で支持率を高める気などはないとはいえます。 

逆に言えば、韓国民は反日政策によって大統領支持を強めているわけではないということになります。 

それは支持率の推移を見ればお分かりになるでしょう。「徴用工」判決が反映されている10月末から11月の支持率は変化はありません。 

安定して下がっていますが、その理由も分かっています。最低賃金上昇政策による経済政策の失敗です。

とくに若年労働者の深刻な失業は、ムンの支持層である「ろうそくデモ」世代であっただけに、大きな打撃を政権に与えました。

Gpm0kwc韓国リアルメーター

このように見ると、ムンには反日政策をする動機そのものが意外にも希薄だといえるでしょう。
 

木村氏はこう述べます。

「そしてそのことは、文在寅をはじめとする韓国の今日の政治家にとって、対日強硬政策を取り関係を悪化させることで得られる利益がほとんどないことを意味している」(木村前掲)

では、この間の韓国海軍のならず者国家まがいの軍事挑発はどのように考えたらいいのでしょうか。

ひとことで言えば、無統制なのです。自分のとった行動が何を意味するのか理解できす、対日軍事攻撃を準備しているかに見えるのは、ただのアノミー現象の現れです。

アノミーとは「社会の規範が弛緩・崩壊することなどによる、無規範状態や無規則状態を示す」無制御状態を指します。
アノミー - Wikipedia

もし仮に韓国海軍が意図的に日本を軍事挑発する気だったとしたらなら、あのような見苦しいデタラメを日替わりでだすことはしないでしょう。

あれは初めに軽く再発防止に務めるていど言っておけば済んだことを全否定したために、整合性のある対応が不能になってしまったから起きました。

これは意志強固に「日本を火の海にしてやる」と叫ぶ北朝鮮より遥かに稚拙です。

これと同じことは、慰安婦合意の廃棄の韓国側の対応においても現れています。

「慰安婦関連の財団の解散も同様だ。仮に徴用工判決への対処として何らかの政治的妥協を日本との間で模索するなら、先に締結した慰安婦合意を無にするかのような行動を行うのはマイナスにしかならない。
 加えて11月5日には、韓国外交部はわざわざ「慰安婦合意には法的効力がない」という公式解釈まで示している。
先に結んだ国際的合意の法的効力を一方的に否定する相手と、歴史認識にかかわる重要な合意を新たに結ぶことは難しい。これだけ見ると韓国政府はわざわざ日本との妥協の道を閉ざしているようにしか見えない」(木村前掲)

「徴用工」判決に基づく新日鉄住金の財産差し押さえは実行段階直前となっているにもかかわらず、韓国政府はなにひとつ対応をとらないまま放置している始末です。

ここにも韓国を覆うアノミー現象が見られます。韓国には対日か移行の青写真はありません。

「結局、韓国では何が起こっているのか。その答えは彼らには確固たる対日政策がなく、政権内での十分な調整もされていない、ということである」(木村前掲)

レーダー照射事件と同じ流れです。

つまり意志を持って反日に突き進むのではなく、習慣的に反日をしていたら抜き差しならないことになってしまい、かといって引き返すことは面子がつぶれるからしたくはなく、その場しのぎで凌いでいる、というのが韓国の姿です。

では、日本は馬鹿だねで済ましてよいかといえば、そうではありません。

逆に、このような無統制で、かつ自分のやっていることの意味も理解していないような相手に対しては、警戒度を上げる必要があります。

なぜなら悪漢とは交渉可能ですし、やりそうなことは読めますが、自分が何をやっているのかさえ分かっていないような相手とは予測も効かず、交渉もできないからです。

私たちはつい自分の視点や好みで状況を観察してしまいがちになります。

たとえば、安倍氏嫌いは「なにもかも安倍が悪いんだ」と言い、韓国嫌いは「なにもかも韓国が悪い。報復の時期だ」というようにです。

だからこそ、その自分の見方さえ突き放して眺める必要があります。特に相手が韓国のような漂流国家が相手ならいっそうそうではないでしょうか。

 

 

 

2019年2月18日 (月)

県は県民投票をするならば、正しい情報を与えるべきです

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県民投票の期日前投票がはじまったようです。さぞかし今週はにぎやかになることでしょう。 

ところで住民投票と言っても、実は3種類あります。 

まず1番目に、国会が特定の自治体に適用する特別法を制定しようとする場合、憲第95条によって「(その自治体の)住民の投票で過半数の同意を得なければ、国会は制定することができない」とされている場合です。 

2番目は、議会の解散、首長のリコールに市町村有権者の3分の1の署名が集まった場合、地方自治法で住民投票で賛否を問わねばなりません。 

以上ふたつの住民投票には、法的拘束力があり、結果に従わねばなりません。 

では今回の普天間飛行場の移転に関する県民投票は、この前二者の範疇なのでしょうか。 

いいえ違います。沖縄県民投票には、法的拘束力はありません。 

今回の沖縄県の県民投票は県条例に基づくもので、それに対して総務省は「結果に従う義務を定めた法律は存在せず、法的拘束力はない」と説明しているようです。 

「法的拘束力」について押えておきましょう。

「法的拘束力は国会または行政の処分・運用、裁判所判決・決定、民事上の合意、国家間の合意について、正式な法律慣習法を含む)上の効果が義務となるかどうかを評価するときに使用される概念」
法的拘束力 - Wikipedia

なぜ、法的拘束力という概念が住民投票で大事なのかといえば、それはこのような理由です。

「個々の概念に於いて法的拘束力の及ぶ範囲は確立されており、その範囲を曖昧にすることはあらゆる分野に混乱をもたらすことになる」(前掲)

従う義務があるかないのかを明らかにしないで、住民投票をした場合、結果について誰がどのように責任をとるのかわからなくなります。

たぶん、県はこのへんをあいまいにしたまま、投票結果に国が従う義務があるかの如き主張をすると思われますが、そのようなものはありません。 

今回の場合、法的拘束力がないと所轄官庁である総務省が言明する以上、国はその結果がいかなるものであれ従う義務はありません。 

実際に既にあらかじめ菅官房長官は、「県民投票の結果には縛られない」と明言しています。 

それはそうでしょう。県と反対派 はありとあらゆる因縁をつけていますが、軟弱地盤であろうとなかろうと、予定外のコストがかさもうとかさむまいと、パイルを大幅に増やして地盤づくりをしてでも工事は継続するはずです。

それは国はこの問題で、もう一歩も引けないからです。 

移設問題は元来基地縮小政策の副産物にすぎません。

たかだかという言い方をすると語弊がありますが、安保の核心的テーマでもないものを、闘争目標に飢えていた左翼陣営が抜きさしならないイデオロギー対立にまでエスカレートさせてしまったものです。

したがって、好むと好むと好まざるとにかかわらず、もはや沖縄県だけの問題ではないのです。

ここで国が安易な譲歩をすれば、国家の安全保障政策に直接響いてくる悪しき前例となりかねません。 

仮にここで国が県の言うがままに移転を白紙化した場合、今後、地元自治体の意向こそが最上位にくることになります。

結果、国内では防衛関係施設の建設や新型機の配置に支障がでることになります。 

もちろん県民投票の結果を「尊重する」と政府は言うでしょうが、それは「聞き置いた」という意味以上でも以下でもありません。

では県は、どれだけ丁寧にこの県民投票の意味や、移設に関する情報を県民に与えてきたのでしょうか。

投票の怖さは、その時の空気に支配されることです。それでも間接投票は政党を選ぶことで、その振り幅をなくそうとしています。

政党内にはさまざまな意見がありますから、政党内の議論の積み上げの中で極端な意見はふるい落されて通らないからです。

しかし、直接投票はそうはいきません。感情がそのまま現れてしまいます。

たとえば英国は本音を言えば、ブレグジットの国民投票をせねばよかったとホゾかんでいるはずです。

これほどまでに難問が待ち構えているとは、国民投票を決めた当のキャメロンはもちろん、ブレグジットに一票を入れた人も含めて、誰も予想しなかったからです。

ですから直接投票は、間接投票というセーフティネットがないぶんだけ、一般の選挙より慎重に事柄を説明したうえで、その意味と限界をわかりやすく説くべきなのです。

県民投票はまるで「民意」が国の方針を変えられるような幻想をもたせるような言い方に終始しています。

だとすれば、まったく罪作りなことです。 

さて、この県民投票がただの「アンケート」ならば、県は県民投票条例を執行する中立的役割を果たすために、客観的な情報を与えるのが大前提です。 

Aad1569137537ad5a3d7e85eb856909ehttps://ryukyushimpo.jp/news/entry-872699.html

今年2月7日夜、那覇市の沖縄タイムスホールで行われた沖縄県主催の「県民投票フォーラム」で講演とパネルディスカッションに参加した小川和久氏は、このように述べています。

「そこで、相も変わらず続いている「情報格差」を目の当たりにしたのです。(略)
沖縄県における「情報格差」は東京との「距離」の面と「イデオロギー」の面から生じているように感じました。(略)
「イデオロギーが関わってくると客観的な議論が不可能なほど、バイアスがかかることになります。
さらに、人間には同じ考え方の者だけが群れる性質があり、自分たちの耳に心地よい話、都合のよい情報だけを共有し、固まる傾向が生まれます。
そこで沖縄の基地問題ですが、ここで述べてきたような「情報格差」の結果、県内の議論が問題解決を遅らせているように思われてなりません」
(小川和久(『NEWSを疑え!』第747号2019年2月14日号)
 

これは私が常々感じていることです。沖縄は一定の価値判断が入った情報だけが報じられ、それにそぐわない情報は意識的に切り捨てられます。 

たとえば、私がなんどとなく書いてきましたが、普天間基地の移設こそが、本来問われるべきことの最初に来なければなりません。 

そのうえで、移設する先が県外にあるのかないのか、その理由を客観的に教えねばなりません。 

小川氏は名指しこそしていませんが、同席した前泊博盛氏の言動に驚いたようです。 

前泊氏は、沖縄において軍事分野の有識者と目されている人で、よく地元紙に登場しますが、このパネルディスカッションでもあいかわらず周回遅れのことを言っています。

「長崎県佐世保を拠点とする強襲揚陸艦を沖縄に回航して海兵隊地上部隊を乗船させなければ、朝鮮半島での上陸作戦は不可能。それを考えると、海兵隊地上部隊の基地と演習場は佐世保に近い長崎県内に置くのが合理的で、飛行場も海上自衛隊大村基地や佐賀空港を使うべきだ」(小川前掲)

この長崎移設説は、本土の専門家の間ではとうに否定されて相手にされていませんが、沖縄ではあたかも軍事に精通した有識者の意見として奉られているようです。 

この前泊氏の謬見は、米軍の海兵隊の有事における動きを、不勉強なのかイデオロギーによるものか、恣意的に解釈していることから生じています。 

そもそも沖縄海兵隊は、速度がのろい強襲揚陸艦に乗って朝鮮半島に移動することはありえません。

民間機をチャーターした旅客機で直接に朝鮮半島の集合場所に飛びます。 

そんなことをしたら、有事で一国も早く朝鮮半島の現場に駆けつけねばならないにもかかわらず、一回長崎まで飛んで、更に強襲揚陸艦に乗り込み、それでトロトロと現場に向かうという手間暇をかけねばならなくなります。 

現実には、有事において沖縄海兵隊はこのように動きます。

「朝鮮半島有事に海兵隊が動く場合、沖縄の海兵隊地上部隊はCRAFのチャーター機で韓国に直行します。
そして、上陸作戦を行う場合は佐世保から釜山に直行した揚陸艦や米本国から合流してくる揚陸艦艇に乗船するのです。海兵隊地上部隊が、そのまま韓国駐留の米陸軍第2師団と合流して地上戦闘に投入される場合もあります」(小川前掲)

ここに登場するCRAFとは「民間予備航空隊のことで、アメリカ合衆国の予備軍事制度の一。有事において、民間航空会社の機材を活用し、 空輸兵力の一助となる」空輸力のことです。
民間予備航空隊 - Wikipedia 

あるいはオスプレイで直接にピンポイントで作戦現場に向かいます。そのために沖縄海兵隊には航空機部隊が付属しているのです。

したがって陸上部隊は短時間で航空基地に到着し、移動できねばなりません。

これが民主党政権時に出た徳之島案が、米国に拒否された理由です。

あくまでも駐屯地と航空基地はワンセットでなければならないと、海兵隊は任務を遂行できないのです。

小川氏はこう結んでいます。

「しかし、沖縄の有識者の無知と誤解に基づく説明を聞くと、沖縄県民は普天間基地の代替施設は沖縄県内ではなくてもよい、と信じ込んでしまうのです。
これでは、米軍基地問題の解決について地に足のついた議論はできません」(小川前掲)

まことにそのとおりです。

 

 

 

 

 

2019年2月17日 (日)

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2019年2月16日 (土)

独自核武装はやってやれなくはないが、そう簡単なことではない

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昨日のコメントを読むと独自核武装についての意見があったので、あらためて核武装について考えてみましょう。 

私は、「やってやれなくはないが、そう簡単なことではない」と考えています。 

核武装するためには、国内世論の支持をうけねばなりませんし、NPT条約といった政治的問題もありますが、それについては今回は考慮からはずします。 

どうでもいいからではなく、逆にあまりにも大きすぎるテーマだからです。何回か扱ったテーマですが、技術的なことに絞って見ていこくことにします。 

さて、今の北の非核化を見ても、ひとことで核武装といってもいくつかの要素があることに気がついておられると思います。 

まず第1に、核爆弾を作れる核物質がなければ話になりません。

第2に、核弾頭が実際に想定どおりの性能かどうか証明するために核実験せねばなりません。

第3に、弾道ミサイルを発射する潜水艦が必要です。

ほかにも付随して、再突入や戦略原潜の保有など、いろいろたくさんの問題がありますが、今日は3ツだけを取り上げます。 

まず第1の核物質についてですが、「原発に詳しい」と事象していた管直人元首相は、かつて川内原発前の宣伝カーの上で、こんなアジ演説をしていました。

「原子炉はもともと核兵器製造に使うプルトニウムを作るために開発されたものだ。そして70年前にプルトニウム型原爆が長崎に落とされたのだ。
私はプルトニウムと人類は共存出来ないと考えている。そうしたプルトニウムを新たに生み出すこと自体が人類を危険に晒すことだ。原発がプルトニウムを作ったんです」

バッカじゃなかろか、この人は。この人は、軍事用原子炉と商業用原子炉が炉の構造自体からして違っていることを知らないようです。  

核兵器に使用できるプルトニウムは、純度90%台後半の高濃度Pu239だけです。

Puradioactiveplutoniumisotopepuradihttps://www.dreamstime.com/pu-radioactive-plutoniu...

一方、民生用原発から出るプルトニウムはPu240で、これはそのままでは軍事転用はできません。 

よく何発分のプルトニウムというガサツな言い方をメディアはしますが、商用プルトニウムと軍用プルトニウムは別物です。

この軍事用プルトニウムであるPu239を、日本は保有していません。 

世界の核分裂性物質の量 - 核情報によれば、日本の軍用プルトニウムの保有量は文字どおりゼロです。  

反原発・反核論者たちは、「日本がプルトニウム備蓄して核爆弾を作る気だ」と主張していますが、ナンセンスです。
http://kawasakiakira.at.webry.info/201507/article_14.html

それは「できる」というだけで、軍事的合理性を考えない妄論です。

日本が国策として核兵器を作るとなると、中国や北朝鮮の中距離核を抑止しうる同等のものが必要です。

そのためには、たとえば米軍が運用しているMk85核爆弾は約8メガトンですから、その程度の破壊力が必要となります。 

原発の副産物として作られるPu240は不純物が多く、不発の確率が非常に高いために、これを濃縮して軍用Pu239するためのプラントが必要です。

このプラントが日本にはありません。作ればいいのですが、そのためには立地確保から始めなければなりませんから、10年単位の時間が必要でしょう。

たかだかといってはナンですが、代替航空施設を作ろうとしている辺野古ですから、地元と20年間もめているのですから、推してしるべしです。

私は兵器級プルトニウムを作る濃縮プラントを作ることは、技術的にはそう難しくありませんが、政治的にはかぎりなく無理だと思っています。

核爆弾自体はちょっと優秀な理系大学生がクラブ活動で作れるていどの技術レベルですが、仮になんとかして核爆弾を作ったとしても、次の壁は本当に爆発するのか検証をせねばならないことです。

モノがモノだけに、作りましたでは終わらないのです。その威力や爆発特性などを実際に爆発実験せねばなりません。 

そこで第2の核実験の壁が立ちはだかります。 

核実験をしないと、予定されたスペックどおりの性能がでるのか、不具合がないか検証できません。 

考えるまでもなく、日本国内に核実験場などができる場所はありません。

日本は狭すぎるのです。それが広大な砂漠を持つ米露中との大きな違いです。

もちろん、フランスなどのように海外県でやるという暴挙はできませんし、外国が貸してくれるはずもありません。 

ひとつだけ抜け道があります。それはすべての実験を、スパコン上の仮想実験をすることで代替することです。

実際に、中国はそれを心配しているようです。
http://news.searchina.net/id/1584694?page=1 

コンピュータ・シミュレーション核実験とは、臨界前核実験のことで、実際の核爆発を伴わずにバーチャルにやってしまおうということで、既に核保有国は実用化しています。

技術的には可能です。ただし、核実験のコンピュータシミュレーションでやるとしても元種が要ります。

米国やフランスはスパコンで臨界前核実験をシミュレートする技術を持っていますが、それは既に実際の実験をして入力する諸元データーを持っているからです。

その実データーを得るためにフランスは、世界中の轟々たる批判を尻目にムルロワ環礁で核実験を強行したのです。

Bom00100564977ムルロワ環礁核実験https://www.jiji.com/jc/d2?p=bom001-00564977&d=011...

日本にはこの元種に当たる実データがありません。もちろん米国ですらこんな物騒なものを貸してくれるはずもありません。

ですから、日本に世界一のスパコン技術があろうとなかろうと、商用プルトニウムがあろうと難しいのです。

ただし、実験段階を飛ばして実戦配備という手もあることはありますが、そんな実際に爆発するかしないかわからないようなものは、大戦末期ならいざ知らず、現代では笑い物になるだけでのことです。

日本が作らねばならないのは、負けそうになってヤケッパチで作るものではなく、あくまでも「平時の抑止力」なのです。

第3に核弾頭の小型化や再突入技術をクリアしたとして、その運搬手段について考えてみましょう。

弾道ミサイルについては、日本は世界最高水準のものを既に持っています。だからすぐに独自核武装ができると思ったら大間違いです。

H2もイプシロンもそのままでは使えないのです。

というのは日本の国土は縦深が浅い国です。日本列島は前線から後方までの縦の線が極端に短いために、弾道ミサイル基地を隠しておくことが難しい地形です。

双方が核を保有している関係において相手方は、まずこちらの核報復能力を奪いにきます。

つまり敵が第1撃でねらう目標は核ミサイル基地ですが、これを地上で隠す場所は日本にはない以上、海に潜って水中から発射する水中発射弾道ミサイル(SLBM)を開発するしかありません。

その潜水艦は、深海深く沈潜し、静かに命令を待つ性格ですから、息が短く搭載能力に余裕がない通常動力型潜水艦は不適です。

したがって戦略原潜が必要です。

20101216165948戦略原潜http://d.hatena.ne.jp/masousizuka/20101216/1292486...

これもやってやれないことはないでしょうが、未知の領域ですから10年単位で考えねばなりません。

同様な理由で、大型空母も同じです。大重量の航空機と搭載物を射出するために蒸気カタパルトが必須です。

この蒸気カタパルトを製造し運用する技術は米国しかもっていません。よしんば売ってもらえたとしても大量の電気が必要です。それをまかなえるのは原子炉しかありません。

ですから、大型空母は必然的に原子力空母となってしまいます。米国の12隻の空母が揃って原子力空母なのはこの理由からです。

日本でも米国のような空母を欲しがる人がいますが、原子力空母が持てるかどうかちょっと考えればわかりそうなものです。

日本が国策として独自核武装をするということは、単独の核爆弾を作ればいいということではなく、その実験方法、原子力潜水艦などとトータルに考えねばならない問題なのです。

このように考えてくると、昨日書いたように自民党国防部会が「検討を開始」することはできますし、それはそれで一定のブラフにはなりますが、実際には極めて困難である私は思います。

白けさせてすまないのですが、ひとり独裁国が発射する核ミサイルを防ぐためには、現実的にはMDイージス艦か、イージス・アショア、ないしはTHAADしかありません。

政治的には非核三原則という時代遅れの虚構から醒めて、「持ち込ませる」ことを真剣に政治日程に載せるべきです。

私は自主防衛力は強化するべきだと思っていますが、かくほど左様に 「戦後」が作った壁は厚く複雑なのです。

 

 

2019年2月15日 (金)

いやな予感ほど当たるもの

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なにやらマーフィの法則どおり、悪い予感ほど当たってしまいそうな展開になりそうです。

「ベトナムの首都ハノイで27、28両日に開かれる米朝首脳再会談に向けた実務協議で、米側が米朝2カ国間の不可侵宣言や平和宣言の採択を、北朝鮮に打診したことが14日までに分かった。複数の日米両政府関係者が明らかにした」(共同2月15日)

この共同の報道が事実だとすれば、この間私が書いていたとおり、米国は平和条約締結の合意をしそうな気配です。 

ただし別な報道では、米国は平和条約ではなく相互不可侵条約といっているようですから、細部は不明です。

米国と北朝鮮の交渉の争点は下に共同が手際よくまとめてくれていますから、参照してください。 

1549781900_20190206j04w560https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190214-00000171-kyodonews-int

 平和条約でも不可侵条約でもかまいませんが、私が危惧するのは、トランプが中距離核で手打ちをする可能性が出た、ということです。

先日、スタンフォード大学国際安全保障協力センター(CISC)の調査報告書の執筆者のひとりであるジークフリート・ヘッカー氏は、現況の北の核は増殖して続けていると分析しています。

「北朝鮮は米国との非核化交渉中も爆弾用燃料の生産を続けており、過去1年に核兵器を最大7個増やすのに十分な燃料を生産した可能性がある」(ロイター2月12日)
https://news.goo.ne.jp/article/reuters/world/reuters-20190212069.html

そしてヘッカー氏は北の核は増えているという分析を踏まえて、このように述べています。

「報告書は「北朝鮮は核弾頭を確信を持って米本土に到達させることはできない」としているが、ヘッカー氏は、北朝鮮の核兵器は日本や韓国にとっては真の脅威であるとの見方を示した」(ロイター前掲)

イヤーな気分になるのはこの「米国にとっては真の脅威にはならないが、韓国と日本にとっては脅威となろう」という部分です。

つまり北が長距離核さえ廃棄するなら、米国はこと足りてしまえるわけです。

韓国はムンが病的な北への盲従路線を突き進んでいますから、北の核の残存を脅威と感じるどころか内心は拍手さえ送っていることでしょう。

北の中距離核は、米国に向けて使うしかない単目的の長距離核と違って、多くの使い道があります。

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上の射程距離の図表をご覧ください。

北が日本に向けているミサイルの数は、2017年9月の米国防情報局の報告書によれば、1100基以上、内訳はスカッド800基、ノドン300基といったところですが、おそらくはそのうち60基の核弾頭を保有していると推定されています。

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この中距離核を放置した場合、日本の横須賀と東京が標的にされ、次いで中国の北方艦隊の根拠地の青島どころか首都すらも射程距離に入ってしまい、そのうえロシアの沿海州にあるロシア太平洋艦隊の母港ウラジオストクに対してもにらみが効くことになります。

さらに平和条約の締結まで進めば、先日来記事にしているように在韓米軍は段階的縮小か、撤退の方向に舵を切ることになりますから、朝鮮半島は軍事的真空地帯となります。

これを頭の軽い日本のメディアは「朝鮮半島の春」などと褒めそやすことでしょうが、現実には朝鮮半島にいったい誰が核の傘をさすのかという問題に直面するはずです。

すると選択肢は3ツです。

ひとつは、現行の米韓安保条約を、駐留ぬきに安保に改変することで核の傘だけの残すことですが、これだと「朝鮮半島の非核化」を主張する北の拒否に会うことでしょう。

第2には、中国です。この可能性はムン政権の中国傾斜の姿勢から高いと思われますが、意外にも北が反発するかもしれません。

北は韓国と異なり、鴨緑江を挟んで陸続きですから、常に中国の軍事的圧力と張り合ってきた歴史があります。

正恩の中国アレルギーは、昨今は抑えているようですが、ムンよりはるかに強いとみられています。

ただし現実的可能性が最も高いのは、この中国の核の傘に入ることであることに変わりありません。

それは端的に、朝鮮半島が南北共に中国の影響力圏に入ることと同義です。

第3には、南北共同で核を保有することです。

できるできないは別にして、南が戦略原潜を建造し、北が水中発射弾道ミサイル(SLBM)を提供するという方法です。

この南北共同核保有計画は、実はパククネの時代から密かに検討されていたようです。

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私はこのような高度な軍事技術は南北共に持っていないと考えていますが、やる気はあると思われます。

さて日本が導入予定のイージスアショアは、現在世界でもっとも進んだ弾道ミサイル防衛システムですが、北が数百発の通常弾頭のノドンに2割ていどの核弾頭を混ぜて飽和攻撃を仕掛けた場合、守りきることはできません。

この場合、日本が取り得る道は、理論的にはこれもまた3ツしかありません。

第1に、独自核の保有です。技術的にやってやれないことはありませんが、問題は世論です。きわめて世論の高いハードルが待ち構えているはずです。

安倍政権に改憲と核保有のふたつを通すことを望むのは、いくらなんでも荷が勝っています。

第2に、非核三原則を改訂して、米国に核を持ち込ませることです。おそらくこれがもっとも現実的なはずです。

米国はINF条約から離脱しましたから、地上発射型中距離核の保有も可能になりました。これは中国と北の中距離核に対して有効な抑止力となりえます。

これまた「持ち込ませない」原則を廃棄するとなると、野党とメディアは大騒ぎするのは必至です。

第3に、朝鮮半島、ないしは中国の核に屈伏して、彼らの言うがままに隷属することです。

そうなりたい方はご勝手に。私は死んでもイヤです。

というわけで、日本は早急に米国と中距離核について米国となんらかの交渉を持つ必要がでてきました。

わが国は米国に、ここで北の中距離核を認めてしまうことに断固として反対すべきです。

北に対してICBMにとどまらず、中距離核、SLBMの開発・保有も確実に放棄させる必要があります。

安倍氏はトランプがおかしな手打ちをしないように、日本はこの条件が達成されない場合に、独自核武装の検討を自民党防衛部会に命じざるをえないと通告すべきです。

 

 

2019年2月14日 (木)

米朝韓三者は在韓米軍撤退へとベクトルしている

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韓国保守はいまパニックになっているようです。 

鈴置高史氏が『正論」3月号で、朝鮮日報の金大中顧問の論説を取り上げています。 

金大中は同姓同名ですが、かつて日本で殺されそうになった元大統領とは別人で、保守系の論客です。 

このような内容です。鈴置氏の和訳と要約を引用します。

「①ムンジェイン政権は「親北遠米」に進路を定めた。このまま行けば韓米関係は終わる。米国は少なくとも米軍を韓国から引き上げるだろう。
②反米デモが横行するし、防衛費分担に吝嗇な韓国に対して、トランプ大統領はもう恋々とすまい。それよりも北朝鮮との関係修復と核取引にさらなる「うまみ」を見いだすだろう」(朝鮮日報2019年1月1日)

韓国の保守派とっては、在韓米軍は米韓関係が安定的に続くための担保でした。 

4bk7e4eb2f7250a93j_800c4502016年のソウルにおけるTHAAD反対の反米デモ。異様に某県の反米デモに酷似している。http://parstoday.com/ja/news/world-i12553

いくら親北派が大規模な反米デモをしようと、たとえ北朝鮮が好きで好きでたまらない男が大統領になろうとも、在韓米軍がいるかぎり赤化統一は不可能です。

つまり在韓米軍は、そのプレゼンスによって赤化統一を防ぐ堤防のような役割を果たしていたともいえるわけです。 

キム顧問の憂鬱は根拠のないことではありません。 

在韓米軍は、米国が望んでいて駐留しているわけではありません。 

よく左派の人たちは米国の世界制覇のために朝鮮半島に軍事基地を置く必要があるから、無理無体で在韓米軍を押しつけているのだ、という人がいますが間違いです。 

韓国にはそのような戦略的価値はありません。 

日本の横須賀を中心とする在日米軍が、米軍全体におけるいわば「東本社」だとすれば、韓国の基地は北の再侵攻をくい止めるための出張場ていどの前方展開基地にすぎません。 

韓国には横須賀に匹敵する根拠地はひとつもなく、あるのは簡単に撤収可能な空軍基地だけです。 

それも在韓米軍の航空機が故障すると、すぐに日本に飛んで来て修繕するような最前線基地でしかありません。 

M1202040防衛省 http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2010

米陸軍第2師団はかつて38度線付近にワイヤートラップとして駐屯していましたが、いつのまにか中部に下がり、内実はアフガン、イラクに抽出されてスカスカです。 

つまり、在韓米軍は米政府がその気にさえなれば、短期間で撤収が可能な存在にすぎません。 

米国から見れば、北の再侵攻は考えにくい情勢であり、対中対露の関係はあるものの、あくまでも韓国がすがって出ていかないでくれ、と言うから残留しているだけのことです。 

2003年、米国防総省は、ノムヒョン(廬武鉉)政権ができたことをきっかけにして、かねてからあった在韓米軍の撤退の方針を固めました。 

ちなみにこのノムヒョンによって抜擢されて大統領室長として政権中枢に座ったのが現大統領のムン・ジェインでした。 

このムン・ジェインの学生時代からの愛読書にリ・ヨンヒ『転換時代の論理』という本があるそうです。 

この本でリ・ヨンヒはこう述べています。 

「米帝国主義は世界の民族の内紛につけ込んで軍隊を送り、覇権を維持している。」(鈴置『米韓同盟消滅』) 

この本をムンは2017年の大統領選挙の時に「国民が読むべき一冊」として推奨していますから、彼の精神的バックボーンなのでしょう。 

リ・ヨンヒは反米思想家で、ムンは自伝『ムン・ジェインの運命』でこう述べています。

「米国を無条件に引き止め、米国の主張は真実だと思う。それに反する勢力はとにかく叩くべき悪だときめつける。そんな我が社会の姿を(リ・ヨンヒが)丸裸にしたのだ」(鈴置 前掲)

現在の青瓦台大統領府は中枢組織である秘書室のメンバー31人のうち、政権ナンバー2のイム・ジョンソク以下実に6割の19人までもが過激な学生運動か反米運動の出身者で占められています。
関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2018/11/post-2.html 

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 右端がイム・ジョンソク大統領室長

「米帝によって分断されたわが民族の統一の一体化の回復にこそ、この政権の存在意義があるのだ」(鈴置前掲)

保守派にとって在韓米軍こそが安定した米韓関係の担保だとすれば、そっくりその正反対が彼ら親北派の目指すものとなります。 

つまり在韓米軍が存在するかぎり、分断された朝鮮民族の統一は不可能ということになります。 

ですから韓国政府中枢にとって、在韓米軍はなんとしてでも撤収させねばならない目の上のたんこぶなわけです。 

在韓米軍がいる意味は北の再侵攻に対する備えなのですから、その駐屯根拠を奪う必要があります。 

そのためには朝鮮戦争を正式に集結させることによって、駐留する理由をなくしてしまうことが前提です。 

5347860文正仁統一外交安全特別補佐官https://jp.sputniknews.com/opinion/201809175347884...

 それについてムンの軍師を務めるムン・ジョンイン(文正仁)統一外交安全特別補佐官は、米国外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』(2018年4月30日)でこう書いています。

「平和協定が締結されれば、在韓米軍の持続的な駐留を正当化しにくくなる」(鈴置前掲)

この認識と一対なのが、北の考えです。 

北は、トランプがシンガポール会談で在韓米軍に触れて「すぐにではないが、朝鮮半島の米軍兵士を故郷に返す」と言った発言をとらえて、朝鮮中央通信(2018年12月30日)でこう述べています。

「朝米交渉の足かせになっているのははなにか。それはまさに「朝鮮半島の非核化」に関する米国の誤った認識である。
6月12日の朝米会談共同声明には明らかに「朝鮮半島の非核化」と明示されており、,「北の非核化」との文言はどこにもない
・米国はいまからでも朝鮮半島の非核化という用語の意味を正確に認識せねばならず、特に地理の勉強すぐにとりかからねばならない。
朝鮮半島という言う時、我が共和国と同時に米国の核兵器を初めとする侵略兵器が展開されている南朝鮮地域を含む。
朝鮮半島非核化と言うときには、北と南の領域からすべての核威嚇要因を撤去すると正しく理解しなければならない。
・そう考えた時、朝鮮半島の非核化とは我々の核抑止力をなくする前に、「朝鮮に対する米国の核の脅威を完全に撤去すること」が正しい認識である」
(朝鮮中央通信2018年12月30日チョン・ヒョン論説 鈴置訳 太字引用者)

 読み違える余地もなく、あからさまなまでに明瞭な北の意志です。

北が言っていることはあくまでも相互非核化であって、単独非核化をする気などみじんもないということです。

逆に言えば、北に非核化を呑んだということは、米国がなんらかの「朝鮮半島非核化」に合意することをシンガポールで口にしたということになります。

鈴置氏によれば、今まではこんな北の挑発的発言に対して米国政府は直ちに「合法的な米韓同盟と非合法の北朝鮮の核を取引材料にしない」と一蹴したはずですが、今回はなんの反応もないということが、その憶測を裏付けています。

思えば、米朝首脳会談後の記者との質疑応答の中で、トランプは米国は北朝鮮との交渉中は米韓合同軍事演習を中止すると述べ、「そもそも米韓演習は「大変費用がかかるものであり、グアムから飛来する爆撃機も「長い時間がかかり高額だ」と述べました。

そもそも合同訓練をしないような軍事同盟はありえません。同盟は、常に共同で相互の軍隊を動かすことで有事に対応できるのであって、ただのハンコを押した文書ではないからです。

ですから、たとえ一的的にであれ共同訓練をしないという米国の方針は、韓国を同盟関係で見ないという意味にほかなりません。

そしてその半年後には、同盟堅持を主張していたマティスの事実上の解任がなされます。トランプは「在韓米軍撤退はない」と言っていますが、信じるに足りません。

このように見てくると、在韓米軍撤収を現実スケジュールに組み込んだ米国と、非核化をテコにして在韓米軍撤退を視野に入れた北朝鮮、そして在韓米軍を民族統一の最大の障害物と見る韓国政府、といった流れが見えてきます。

米朝韓三者の意志は、韓国保守派の気持とは裏腹に在韓米軍撤退へとベクトルしているようです。

 

 

«天皇はエンペラーでもキング゙でもなく、ましてや一神教のゴッドではない