なぜ、トリイフルエンザは東西に拡大したのか 第2回
では、前回の疑問である地軸方向と直角の方角(東西方向)にはどうやって感染が拡がるのだろうか、という疑問がここで出てきました。
これを解く鍵は、意外なことにアメリカにありました。アメリカの西ナイルウイルスは初めニューヨークで発生し、2年後にロスアンジェルスで出ました。これは蚊が媒介し、渡り鳥に感染させ、それが拡散したと思われています。しかし、東のNYから西のロスにどうやって?しかも2年もたってから・・・。この疑問にアメリカの防疫関係者は頭を抱えました。
実は、この「2年」というのがミソで、なぜ2年なのかということに留意下さい。なぜかと言うと、もし航空機などに乗ったヒトが持ち込んだのなら、逆に2年というタイムラグは大きすぎるのです。むしろ瞬時に西海岸に感染が伝播していなければならないわけでしょう。2年などという速度は逆にゆっくり過ぎて、何らかの自然と生物が媒介したとしか思えない速度なのです。
となると、感染拡大は渡り鳥を疑うのが定石です。しかし、南北のアメリカ大陸を地軸方向で飛来する鳥はいても、東西ルートで飛来することはまずありえない。ここで、アメリカの防疫関係者と鳥類学者は頭を抱えてしまったんですね。
この謎が近年になってようやく解けました。それによってトリインフルエンザなどの感染症がどのように世界に拡散していくのかの一端がつかめたのです。
(続く・次回完結)
写真は、春の農場風景。 若葉の中にヤマザクラが一本。写真を300ピクセルに拡大しました。いかがですか?
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