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2008年6月25日 (水)

日本農業に対する質問に答えて その2

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Q5 現在のコメの価格についてどう思いますか?

日本の農業はつまるところコメであり、それはエコシステムの保全という役割をもっています。日本の農産物にはいわば環境保全コストが乗っていることを忘れないで下さい。

仮に、この環境保全コストによって国内産のコメが多少高くなったとしても、あなたの子供、孫へ渡すべき日本の水と土の安全というかけがえのないものとは比べようがないのではないのではないかと思います。

Q6 米価の下落や高齢化などで農家が減っていることについてどう思いますか?

ある統計では、この先の5年で山間部の集落は半分以下になるといいます。

私の地域でもいくつかの農業団体が自然消滅の危機を迎えています。なにか事件があって団体が消滅するのではなく、跡継ぎがいない、自分も年金受給の歳になった、無理はしたくない、身体が動かない、かぁちゃんが寝込んだ、畑や田んぼを荒らしたくないだけでやっている・・・。

高齢化問題は、今そこにある危機です。もうまったなしです。しかし、それがゆっくりと何年もかけて進行するために、多くの国民の眼にとまりません。国民がわかった時は、農業が再度起き上がれない時なのかもしれません。

新規就農者への支援を急ぐべきです。特に山間部への新規就農には支援を惜しんではなりません。平野部と違って、高齢者問題とは山間部ではそのまま集落の消滅につながるからです。

Q7 政府は、農業の生産性を高めるため、一定規模以上の農家だけに補助金を出す政策を打ち出しました。このことについてどう思いますか?

土地の所有権と耕作権の分離は今後とも、好むと好まざるとに関わらず進むでしょう。これは否定できない流れです。修正が行われている4品目横断政策も、出し方と、今までの農政への不信のために農民から総スカン状態です。農政の出し方が拙劣だったために、集合化、共同化、集落営農という、それ自体は正しい部分もある政策全体が否定されかねない状況です。

私見ですが、これは民主党の愚劣極まる、ばらまき以外なにものでもない所得補塡政策よりはるかに現実的ではあります。

現在は、農業生産のあらたなやり方の模索期間です。異業種との乗合、農業の法人化、消費者との提携による共同農場、観光まで視野に入れた総合的な地域おこしなどなどの実験が、既に一部では始まっています。この芽を潰してはなりません。

また、同時におじぃちゃん、おばぁちゃんの小農経営が成り立つ方途も考えて行く必要があります。

さて、前提として、農村と都市の交流がない国は自国の農業に冷淡です。そのような「農業に冷淡」な国民に食の見直しを言っても意味がありません。

わが国は農村と街を交流していく立体的な流れを政策的に作っていませんでした。EU諸国はかなり早い段階から、農村と街との行き来を支援する方針を建てていました。交流拠点やグリンツーリズム、そしてそれらの広報などに対して援助を与えてきました。

反対に、これらの政策支援が希薄なところで、ほとんどが民間が自腹を切って進めてきたのがわが国です。

「食卓を見直す」には、素地がいります。いわば離陸のための滑走のような期間が要ります。突然、頭だけで決心して、テレビを見てヤバイと思ったりすることはあるとは思いますが、続きません。

自分の食が作られる農村に行ってみて、多少の汗も流し、農村の夜の深さと秋の虫のコンサートを聞き、農民と語り合う、そしてゆっくりと自分の「農」になじんでいく。

それがあって自分の食卓から輸入農産物を減らしていこうという気になるのではありませんか。

食と農を近づけることをしましょう。これは農業政策とは違って迂遠な道で、10年以上かかるでしょうが、その中で育った子供や奥さんは農と自分の生活をひとつにし始めています、自分の言葉で、なによりも自分の身体と食卓を通して。

NHK「日本のこれから」昨年10月放映に対するアンケート回答より編集。

写真は 朝日の登ろうとする里山と水田の風景。

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コメント

そうそう。

まことに然り。

多分、サッカー見て応援するのと、サッカーをするのでは、まるで違うね。

農は、もはやすることを仕掛けるべきだね。

実は日本って、先進国でも最も多く農民の居る国の一つなんだけどね。
農民一人当たりの農地面積が、アメリカは勿論、ヨーロッパと比較しても十数分の一だってから、農民が半減しても本来なら何も困らないはず。
‥大規模農業が、欧米人にできて、日本人にはなぜできないのか、そこを考えるべきだな。

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