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2008年6月10日 (火)

JAS有機認証の後先の風景 その2

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私はJAS有機認証は、大型化、単作化、集約化の方向に有機農業も梶を切った大きなきっかけになったと思っています。  

 いくつかの有機農業の農法が、事実上不可能になりました。たとえば、混植(コンパニオンプランツ)は難しくなりました。これは、ナス(ナス科)の株間にネギ(ユリ科)を植えることでナスの病気を防ぐ、などといった栽培方法ですが、非常に有効な防除だけではなく、相互の作物を収穫できるという賢明な手段でした。

 あるいは混植だけではなく、2畝、3畝という小規模で作り、ナス科の横の畝にはユリ科、ユリ科の横にはセリ科といった農法も消えていきました。作型自体を1反歩単位に集約せねばならないからです。

 別にJAS有機認証の基準には1反歩にしろ、などとは一行も書かれていませんが、あの煩雑極まる文書体系を1畝、2畝単位で記録することは、まず不可能です。

  また、ひとつの作物が、そうですね、仮にセロリ(セリ科)がやられて、その後のリカバリーにニラ(ユリ科)を植えようとなると、まったくもう一種類の圃場台帳、作付け台帳、資材台帳・・・と言ったフルセットが必要となります。 

 第一、入り組んだ圃場が多く、複雑な地形で農業をしている日本の農家がいちいちその作型を記録していくのは困難なことです。ここは10㌔四方がトウモロコシといったイリノイでもなければ、100キロ四方が小麦のオーストラリアでもないのです。

 本来、そのような大型圃場にこそふさわしいのが有機認証のシステムだったのです。それを100キロ四方トウモロコシ単作と、せいぜいが1~1.5町歩の農地にとっかひっかえ40品目以上を作ってきた日本とを同一の文書体系で規定する発想そのものがおかしいと思います。

 かくて、日本の有機農業もまた、慣行農法に歩調を合わせるようにして大型化、単作化、集約化の方向になし崩しに向かっていくことになりました。
 今、JAS有機を取得した有機農家では、トマトだったらトマトだけ、ほうれんそうならほうれんそうだけと言った単作の道がつけられています。かつてのような、あたかも野草のお花畑のようだった、日本型有機栽培は消滅するか、JAS有機の外に世界を求めています。

 有機栽培の農家の集まりに行くと、昔のように、農法に口角泡を飛ばす人は減り、土壌資材と農薬の使途のみがやたら詳しい人が増えたのも哀しい風景です。土壌資材はともかく、農薬の使途が一体農業となんの本質的な関係があるのでしょうか?

 かくして、JAS有機認証は、当初、これに夢を託した人を裏切り、国内の有機農業をがんじがらめにし、一方外国産農産物の輸入に大きく道を開くこととなったのです。

写真は、キューバで買ったキビ刈り労働者の麦わら帽子と、ペットボトルの中はボリビアのウユニ塩湖の塩。

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コメント

JAS有機認証について、これほどしっかりやってなお、キチンとした批判はほかに無い。

問題は、ノンケミカルで考えると、慣行栽培だらけの環境で、孤立した有機農家がいかに大変か骨身にしみて最近感じるようになった。

水もそうだ。隣接田んぼは、こちらの水が少しでもしみ出ると怒るが、あちらの除草剤入りの水がセメントの畦のひび割れから流れても文句言えない。

ヒエやコナギの種を気にするくせに、防除農薬の飛散は一向気にかけない。

こっちは、楽しんでいるからいいが、これが生活かかると戦争だな。これは。

認証を超える、食べるの生産への旅。要は、買う人が分かればいい。どうするか。

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