非暴力の抵抗は恐らく人間が取りうる抗議、抵抗の方法として最も恐ろしく、それゆえに、最も他者の心を打つものだと思います。
ガンジーの塩の行進は、ただ歩いていたのではなかった。彼をあそこでイギリス官憲が捕縛したり、ましてや密かに殺したりすればインド全土の民衆が立ち上がるというものすごい戦いでした。彼のやや前のめりになって歩くその小柄な姿はイギリス官憲には巨人に見えたことでしょう。
なぜなら、彼の後ろには数億の怒れる民がいたのですから。
悲惨に眼をつぶらないこと、不条理に黙さぬこと、許せぬことには許せぬと言うこと、結果、弾圧を覚悟すること、その前に身を投げ出すことを厭わぬこと、己の苦役が時に他者を感動させることを知ること。
・・・そしてそれを必ずしも自身の行為の共感を期待しないこと。
この季節になると思い出します。1972年の夏の事でした。僕は神奈川県の相模補給しょうゲート前で1カ月間過ごしました。
ちょうど二十歳の頃です。
当時、日本はベトナム戦争の後方基地でした。毎日のように僕たちの頭上を傷ついた米艦載機が飛び、日本の航空機修理工場は米軍機で一杯でした。相模補給しょうは米軍の戦車や装甲車を修理するためのもので、そこにも泥だらけで、破損した軍用車両が日々大量に運び込まれていました。
つまり、この神奈川は、沖縄と並んで米軍の軍事行動を直接支える重要な拠点だったわけです。
言い換えれば、ベトナムの人々を殺戮する戦争機械の重要な末端、後方基地だったのです。
当時僕は暴力的な闘争がとことん嫌になっていました。壊して、破壊して、仲間同士傷つけあってなにか新しいものが生まれるとは思えなかった。
かといってただのデモや学習会だけではなく、今、ここで目の前を戦争機械が人をひき潰して進んで行く時に、もっと直接に「実際に止めること」をしたかったのです。「戦車を止めろ!」という声が誰ともなく発せられ、ほんとうに多くの若者があの基地の前に集まりました。当時20歳の僕もその中にいました。
各々ゲート前の桜の並木道にテントを張り、自炊をし、討論をし、デモをし、ビラを切り、汚い立て看板を作り、銭湯に行き、夜ともなれば居酒屋で現地の人と激論をしておごってもらったりもしました。
土曜の夕方ともなれば、それこそ縁日の人出で(実際テキヤさんも来てました)、「おいガクセー、そのビラ寄越しな。なに書いてあるんだ、教えろぉ!」というトビの親方とも友達になり、親方を納得させることができるとカンパをもらえました。いや、それどころか、親方はぼくたちの汚いチラシを30枚くらい取ると、「おいこら、読め」と来る人に自分でも手渡したんですからありがたい。
街全体が、トビの親方風に言えば、「ベトナムの野郎はよくやってる。ニッポンは負けたが、あいつらは死ぬ気でやってる。アメリカは許せねぇ。俺らができることはこの若い衆を応援することだろうが!」という気持に満ちていました。水をもらいに小さな商店の裏にいくと、おばぁちゃんがにこにこ笑って「ご苦労様です」とアイスクリームを手渡してくれるようなかんじです。
それが、1972年の真夏の相模原でした。
写真はボリビアのウユニ塩湖。白く見えるのは岩塩。地平線まで真っ白な岩塩が続き、蒼穹と世界を二分割している。下は、この季節(3月)特有の塩湖の中の川。この時期にしかみられない。
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