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2008年7月 5日 (土)

自給率について突っ込んでみよう その1 右手で課税、左手で補助金の怪

Img_0002  コメント様から、一昨日の私のエントリーについて「日本の畜産は輸入穀物を肉や卵に変えている産業だ」というご意見をいただきました。

 結論的には、まったく同感です。この問題を語り出すと、この所、農水省や低血圧の福田さんまでもがテンション高く叫んでいる「自給率の向上」という大テーマにもつながっていきます。もう少し先にとも思っていましたが、ぼちぼちやってみますか。まずはデーターを上げてみましょう。

■平成18年年度(2006年)自給率39%
果実:35%
大豆:25%
野菜:76%
魚介類:59%
砂糖類:32%
小麦:13%
油脂類:4%
畜産物:16%
コメ:94%
これがカロリーベースの算定による自給率39%の内訳です。ではこれを41年前と比較します。

■昭和40年度(1965年)自給率:73%
果実:86%
大豆:41%
野菜:100%
魚介類:110%
砂糖類:31%
小麦:28%
油脂類:33%
畜産物:47%
コメ:100%Img_0034

 少し説明をしましょう。2006年度の米が94%と、100%を切っているのは、ミニマムアクセスで低品質の輸入米を買って、市場に出さずに保管しているからです。

 よく福田さんが「米を食べて自給率を向上させよう」と言います。また農水省がマスコミを通じて国産自給だと、「3食はイモまたイモになりますよ」と言ったイメージをバラまきますが、いかがなものでしょうか。自給率向上は大いに結構です。私も諸手を上げて大賛成です。しかし、この政府の宣伝はある種のレトリック、いえ有体に言ってプロパガンダでしかありません。目的がよければ、虚偽を言ってもいいのか、という感じですね。

 まず米は自給率向上にはなんの関係もありません。自給率低下の主原因は穀物と油脂が国内自給率を引き下げていることです。この要因をハズして自給率を語るのはナンセンスです。当然穀物自給の問題は、国内畜産の宿痾である輸入穀物頼りの体質にもつながっていく大きな問題です。

 ではなぜ、この問題について政府は隠そうとするのでしょうか?隠すはオーバーにしても、少なくとも真正面から国民に説明をしていないことだけは確かです。これには理由があります。 

 小麦などの穀物の自給率ですが、28%とあります。これには裏があります。小麦には100%の補助金が与えられていての数字です。このことを大部分の消費者は知らないと思います。

 Img_0036 では、この国産穀物生産に対する補助金は、なにを財源にしているのかご存じでしょうか?「麦等輸入納付金」がこの財源です。昨今問題となった揮発油税が、道路財源になっているようなものだとお考え下さい。ではこの輸入交付金がかけられた結果、輸入小麦はどのような価格になったのかをみます。

 小麦輸入は、政府が買い上げて、民間に売り渡すという仕組みですが、農水省HPによれば、値上げ後の政府売り渡し価格は、69,120円/tです。実は国際相場が、3,7000円/tですので、実に2倍です。国際価格の2倍の小麦を国民は食べさせられているわけです。ではこの差額がどこに行くのかというと、その大部分は国産小麦への補助金に化けていたのです。

 国産小麦の相場は、43,000円/tですが、これに100%の補助金を乗せると、86,000円となり、国際相場の約2.5倍となります。つまり、輸入小麦を国際相場の2倍とすることで、その鞘を国産小麦の補助金に回すという方法を農水省はとっていたわけです。

 これで分かりました。農水省は片手で輸入穀物を高騰させる原因を作り、パンやうどん、ラーメンなどの諸物価高騰の原因を作り、同時に輸入穀物に頼る畜産製品の値上げの原因を作り出していました。そして、それをもう片方の手で、国産小麦などへの補助金に回すということで国内自給率の維持を計る方法をとっていたのです。そしてこのことを公表すると、国内自給率の向上が、現在の農水省のやり方では、皮肉にも国民生活への圧迫となりかねない構造となっていることが、国民にわかってしまうからです。

 ですから、現在の39%の自給率では、三食イモ、またイモになりますよ、という頭を傾げるような宣伝をして眼を逸らしているのです。

                                    本稿つづく

写真、上は山桜。中はわが農場の菜種の収穫風景。下は今、満開の石榴(ざくろ)の可憐な花。

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コメント

おはようございます♪
つい最近ですが・・・ブログを見つけ楽しく読ませていただいています。
確かに政府のやることには色々と裏があり、私のような単純で世間知らずの主婦にはわからないことだらけですが・・・
自給率向上という事についての私の考えは・・・
米を食べましょう=米を中心とした和食へ→自給率UPと理解しているのですが・・・
統計を見ていても戦後の食生活の欧米化と反比例するように自給率は下がっていますし、今年の3月にはミニマム米の在庫が130万トンとか・・・(フィリピンとかに回せるようになったみたいですが・・・)
年間の保管費用は確か1億円を超えていたような・・・
そして国内では、減反!減反!
人口も減っていくことだし、減反でもいいのかしら?って思ったりもするのですが(どうお考えですか?)
なるべく、減反はしないように、私は、お米を食べましょう!または、加工したものを使って、お米の消費をあげましょう!って思うのですが・・・いかがなものでしょうか?
あと、小麦粉の補助金に関しては・・・政府が生産者を保護するための措置。
なので、国際相場があがったのだから、民間への売り渡し価格が高くなり、値上げはいたし方ないと思っていました。
けれども、これほどの上乗せがあったとは・・・知りませんでした。
畜産製品の値上げに関しても、単純に飼料であるトウモロコシの国際価格の高騰&原油価格の高騰と思っていたのですが・・・


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