自家製小麦のシュークリーム
米は、入植してすぐに田んぼを借りて作っていました。しかし最悪ここが借りられなくなっても、自分の敷地内で何とか主食を自給したくて、穀物に至るわけです。
いざとなったら陸稲で1反歩作れば、1年分は何とかなるかとも考えましたが、近所の百姓に聞くと「陸稲はうまくねえよ」。じゃあそれは最後の手段にするとして、今は別のものを作ろうと考えました。「小麦ならうどんにもなるし、パンも作れる。何ならおやきを食べたっていいんだし」。そこで日本有機農業研究会の知人に無理を言って分けてもらった、“朝日”という品種(栽培は少し難しいけれど、無農薬でよく育つ)を播きました。
またもや栽培はうまくいったんです、これも。その頃の私たちの合言葉は、「播かねば生えぬ、何物も。出来ぬは人の蒔かぬなりけり」。真理です。皆様、心するように。
まったく人の手柄はほとんどないというのが実感でした。で、またまた大豊作。刈りとって、乾かして、脱穀してできたのが、30kg4袋。ここからがまた大変というのも、そばと同じパターンです。でも今回はソバと違ってカラがないのが救い。そのまま挽いてしまえばOKということはわかったので、挽く道具を探しました。初めは、近所の農家の庭先に転がっていたのをもらってきた石臼。直径30cm、厚さ20cmほどの円盤状の石を二つ重ねたものです。
上の穴から少しずつ小麦を入れて、木の棒を差した取っ手を持ち、ごろごろ回すと粉が出てくるという、大変牧歌的なシロモノ。ごろごろごろごろ。でも、やたらと時間がかかります。何せ、30分間休まず回し続けてできるのが、たった100gほど。とにかく疲れる、そして根性がいるのです。朝食用のホットケーキにと思っても間に合うはずもありません。たまたまその時期に滞在していた、内気な青年が、おしゃべりしながら3時間ほど挽いてできたのが石臼小麦300gでした。
これで終わりかというととんでもない話でして、これから粗目メッシュ、中目メシュ、細目メッシュでふるって、ふるってふるいまくり、ようやく出来上がりです。これでフスマが分離され、分量は250㌘くらいに目減りします。粗目だけでもいいのですが、たっとフスマが入って色はもはやモカ茶いろです。これで作ったお焼きはなかなかです。
中古喫茶店用コーヒーミルを経てようやく隣町の農機具屋で、本当に小麦の挽けるミルに出合いました。店の主人に電話で尋ねると、「ああ、ちょうど古いミルがあるからタダであげるよ」。喜びいさんでもらいに行くと、「ミルはタダだが、モーターは新品だから3万円」と言われ、はたしてこれは安いのかと悩みながらも購入し、ここでようやく文明の曙となったわけです。何と長い道のり!
これでできたのが、全粒粉。茶色のツブがいかにも健康によさそうだし、おいしそうです。記念すべき自家製小麦粉クッキングの初まりは、クッキーでした。おいしくて、香ばしくて、クッキーにはぴったり。お次はシュークリーム、これは絶品でした!自家製卵と隣の牧場からもらった搾りたて牛乳のクリームに、自家製小麦の全粒粉のシュー。いやあ、おいしかった!
写真は、当時から使っている石臼。中はラブラドリーレトリバーもどきの兄弟。いまやこの5倍に成長しなんでも食べる大食いへ。犬柄よし。見かけはコワイが、まったく番犬にはならない人なつこさ。次は現在の凛々しき姿(でもねぇか))。名前はタローです。お見知りおきを。
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コメント
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こんばんは♪
クッキーとシュークリームの美味しそうだこと!
どんな有名店のよりも♪
投稿: ゆっきんママ | 2008年7月10日 (木) 22時14分