皆んな百姓になれ!実践的就農マニュアル第2回 就農三要素
いきなり秋風が立ちました。毎日のように雷雨で、なかなかすごい天候ショーが毎日見られます。
つんざく落雷、たちこめるオゾン臭、のしかかるような雨雲。
宮沢賢治が花巻農学校で、生徒にこう教えたそうです。うろ覚えですが、こんなことです。
「稲光はお稲荷さんの、シデだ。落雷が落ちた所はよく米ができるだろう。あれは高圧の電磁波のためなんだ。だから、古代の人はそれを知っていて落雷が落ちると豊作がくると手を合わせたんだ」収穫前の落雷は豊作の前兆、ほんとうかどうかわかりませんが、そうであるといいですね。
さて、就農(私たちの時代には帰農と言いましたが)の三要素+oneというものがあります。なんの勝手に私が作ったのですが、「農地、資金、技術、そしてもうひとつおまけに根性」です。こらこら、根性などといちばんほど遠い私が言うのを笑ってはいけない。先生だぞ、今回は。
これから何回かにわけてこのひとつひとつを、私の経験をまじえてお話していきます。「農地、資金、技術」と三つ並べましたが、なにを優先順位にするのかは、その人の状況によります。
たとえば、こういう並べ方もあるでしょう。資金がなければ、農地は取得できない、技術は農地の条件でつけていけばいい。資金を起点とした就農の方法ですね。非常に現実的です(ややつまんないけど)。
一方、こういうアプローチもあります。農地がたまたま手に入った。あるいは、貸して貰えそうだ。この農地は村内にあるので畑作しかできない。逆に周りが人家がないし、畜産にも理解がある。その農地の条件と大きさ、価格によって違いますが、農地を起点にすることも又可能でしょう。
では、技術はというと、これもまたありえます。私など研修期間中ひととおりの畑作全般(サトウキビまでやっちまったぁ)、米、牛、豚、鶏(山羊まで!)と習う中で、最終的には小規模農地での畜産を選びました。それもいちばん小資金と狭い農地で出来る平飼養鶏が私の生業となりました。資金に限界があったからです。また資金面だけではなく、生きものと毎日接して面倒をみるという仕事が私という人間の性にあっていたようです。ですから、私は小規模平飼養鶏ができる農地を中心にして探し回りました。
最後の+oneの根性ですが、これは前三者を支える自分の中の柱のようなものです。私の経験からいえば、就農失敗者の大部分はこの部分から崩れていっています。えてして思っていた夢と、現実が違いすぎ、借金がかさみ、旧弊な体質も残る農村で生きていけなくなったからです。この失敗のケーススタディはどこかでしたいと思っています。
というわけで、「農」はいかなる場所からも切り込めることはたしかです。次回は農地をどのようにして取得するのかから始めていきましょう。
(この稿続く)
写真は、野草界の花の女王であるカラスウリのレース状の花。下手な栽培種などかないません。これで終わりではないのです。まだレース部分が伸びていきます。どうしてこんな地味な野草にかくも華麗な花が咲くのか、天は不思議な采配をするようです。
中段はムラサキツユクサ。放射能を被曝すると変色することで有名になってしまいました。きっと不本意でしょうね。
次は、自生種のホオズキ。いまや満開。ぼんぼりが重いとみえてみな倒れてしまいます。草むらにホオズキが転げ回っている不思議な光景が見られます。
最下段はヘクソガズラ。ひどい名前ですが、この花をちぎってもむと臭いのです。なんとも愛嬌のある花を咲かせています。
私は野草の花が好きです。栽培種より可憐で清楚です。まるでバ゙レリーナのようなカラスウリも目が覚めるように美しいし、ボツンと咲いているヨメナの白菊のてらいのない美しさも心に染みます。
よく人は、この世は醜いと安易に言います。そうでしょうか。そのようなことはないと思います。足元を注意してみれば、野草が、眼を上げれば樹が精一杯に自らの美しさを誇っています。雲は瞬時に形を変えて万華鏡と化します。
どんな小さな、足で踏みつぶしてしまうような草ですら、十全に美しい。むしろ私は思います。どうして地上はかくも美しいのか、と。
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コメント
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こんにちは♪
今日、車の助手席から見た外の景色・・・
いつもと変わらない道路脇の草の中に・・・
あっ!あの花!
「クソ・・・クソ・・・クソ・・・・何だったかしら~!?」
そう♪
ヘクソガズラでした♪(今、確認)
こちらのブログを今朝見たお蔭で、何気なく通過していた道も、今日はこの花が目に飛び込んできました。
ありがとうございました!
カラスウリの花、女王の貫禄がありますね♪
投稿: ゆっきんママ | 2008年8月23日 (土) 17時25分
今朝帰国しました。滞在中は気分も体調もよかったのですが、昨日昼からお腹の調子が芳しくなくなり徹夜の空路になりました。それでややくたびれました。団長格のS理事長に久しぶりに再会しました。穏やかな方ですが、泥池にはいることを楽しむようなチャーミングな人です。インドネシアに出発の早朝、自宅にうっかり帽子を忘れて往きました。現地ではタオルを坊主頭に巻いて現れましたら、Sさんはこのブログ主様かと見間違えたそうです。「よくお知り合いなんでしょ?」とも。「げっ、げっ!?」でありました。
そして久方のブログを開いて、思わず・・・、でした。なんだ、これは!「おい、おい」でありますよ。お里の血筋は多分ご近所のようなので、Sさんのご指摘もさもありなんと思って見ているところです。なで肩にしてもう少し童顔にすれば、こういう感じでしょうか。
今週の「平飼いたまご」のちらし②の御婦人は奥方ではないかと、うちの妻殿が言うのですが・・・?
いやいや、理事のみなさんどなたも個性的で前向きでおじけず、たのしい交流ができました。こちらはさんざん、昔話とのろけ話を振り撒いてきましたが。みな食欲旺盛で食べ残しもほとんどなく豪快でありました。ちょっと太ったねというのが後半の共通のあいさつになりました。
投稿: 余情 半 | 2008年8月23日 (土) 21時59分