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2008年8月 8日 (金)

日本農業が自由化されれば価格が下がるのか?その1 完全自由化などというものはない

Img_0082 実は、今日はコメの最終回を書く予定でしたが、66ss様から、「日本の野菜は高いのか?第2回 ジャパン・スペック」(7月31日)に対して投稿を頂いたので急遽変更をいたしました。コメント、ありがとうございます。

(引用開始)
煩雑な流通経路に関しては、輸入される農産物も同じでしょう。
何しろ、同じ店頭に並んでいるのですから。
それも含めて、競争です。それでも、国産の方が高いなら、それはやはり生産者の効率の問題ではないでしょうか?「俺のせいじゃない!」と叫ぶのは自由ですが、それでは何にもならない気がします。
もし、「自分達の方が正しい」と信じるなら、完全に自由化してみてはどうでしょう?結果は、市場が出してくれると思いますよ。

(引用終了)

66ss様のご意見は、毎回刺激的な内容でインスパイアーされることしきりです。私はこのブログを「自分たちのほうが正しい」と信じて押しつけているつもりはさらさらありません。むしろ一種の農業を語り合う談話室のようなものだと思っていますので゛反論、対論大歓迎です。とてもよく勉強をなさっている方だとお見受けしますので、またコメントくださいね、お待ちしています!

Img_0029 ではまた、このご意見を反論ということでなく、考えてみましょう。まず66ss様ほどの方ならば、今ちょうど終了したばかりのWTOドーハラウンドの状況はご承知のことと思います。最後はアメリカと新興工業国の中印の対立という構図になってしまって、日本の要求であった重要品目の関税が、日本側要求の10~15%は一蹴され、4%で落ち着きそうな状況が紛れてしまいました。

ま、ドーハラウンドは全面敗北です。かろうじて、コメ、ムギ、乳製品などを守ったってところでしょうか。実のところ、66ss様には腹立たしいでしょうが、JAを中心によかった~っという安堵感が流れているのは事実です。

さてここで、66ss様の誤解を解いておかねばなりません。私は日本農業開放否定論者ではありません。むしろどちらかと言えば、「世界の時流の流れの中でいつまでも関税障壁をやっている場合じゃないだろう」という考え方です。ですから、66ss様の「ならば関税自由化してみたら、結論がでるのでは」というご意見には半分賛成です。

Img_0031_2 ただ、「完全自由化」などということが、いわばありえない空論だと私は考えています。国内の農業という自国の基盤的部門を軽々に「完全」自由化して喜ぶ国は、かの米国 まで 含めて皆無ですから。

米国は輸出補助金という悪名高い反則技を繰り出し、一方、EU諸国は関税外的障壁の常連さんです。遺伝子組み換え農産物の輸入拒否は、農業の理念的な問題であると同時に、関税「外」的障壁の一部でした。米国産の農産物を入れないということにかけては、EUは日本の人後に落ちません。いや、はるかにタフなネゴシエイターでしょう。

そもそもが、EUという地域国家間連合体は、米国の津波のような農産物輸出に対するブロックとして生まれました。安全保障だけなら既にNATOがありますでしょう。あえてEUを屋上屋をして作らねばならない動機の最大のものは、農業でした。

EC時代から、小はマーマレードから、大は牛肉、ワインまで恐ろしいほどの時間をかけて基準、規格をすり合わせて今のEUがあります。ですから、その手練手管において、欧州ほど手強い国家群はないでしょう。

Img_0049 さて66ss様、現代の世界ではあなたの仰せの「完全自由化」という概念自体が、ありえない空論なのです。他国に対しては「自由化」という鉾を使い、自国の楯としては関税「外」障壁を使い分けているのが世界の国々なのです。しょせん農産物の市場自由化といっても、WTOで開けてしまっても、防ぐ手段はゴマンとあるわけです。

もし仮に、かの中国が欧州に雪崩的な農産物輸出をして、欧州農業を圧迫したとした場合、EUは日本のように関税という方法を使わずに、たとえばその安全性と環境破壊問題を楯にして輸入禁止措置とするかもしれません。自国民の安全性の保護から見て当然の措置です。あるいは中国農民の悲惨な状況を「飢餓輸出のためのダンピング行為」だと指弾するでしょう。欧州人ならぜったいそうします。農産物に人権問題をからませるくらい平気の平左です。

つまり、「農産物市場は開放していますよ。原則はいささかも変えていません。しかし、こんな危険で非人道的な農産物は、自国民の保護と人権上の観点から改善が見られるまで輸入禁止としますよ」という便法です。

お分かりになりましたでしょうか。農産物交渉はジュネーブだけでは決まらないのです。よしんば完全自由化となってしまっても、やりようはいくらでもあります。

では、次回は、現実の農産物市場の自由化をした場合の具体的シミュレーションをしてみたいと思います。

写真は、ポールで作ったカボチャ。底が白くなりません。カボチャと干しているたまねぎの情景。中段はソーメンカボチャ。下段は自慢の堆肥。

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コメント


いやー、このブログは本当にすごいな。
写真もいい。

できましたら、新規就農の最初からのアドバイス。
それから、田畑の栽培のポイント(品目別)
などのテキストをお願いします。

これから、農業をやる人に。

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