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2008年8月26日 (火)

皆んな百姓になれ!実践的就農マニュアル 第5回 必ず良い仲介者を立てよ 

Img_0012 昨日は化蘇沼稲荷神社での祭礼でした。なかなか由緒ある神社で、正一位なんですよ。村人の自慢です。

この祭礼の特色はなんといっても奉納相撲!村の力自慢の大人から、少年まで白まわし(フンドシではないぞ)で相撲を取ります。その前には相撲甚句。相撲甚句の倶楽部もあるのです。

上の写真の裃姿は、氏子の役員さんです。これは地区(字)での回り持ちとなります。地区ごとに分かれて、弁当(にぎり飯にタクワンと質素)とお神酒の券を配られて、芸能や巫女舞、奉納相撲に一日興じます。こういう村中集まった祭礼に来ると、一種独特の雰囲気で、やはり四半世紀も村にいても自分はまれ人だなと少々寂しくはありますが。

さて、昨日の続きです。私の人生3大失敗のひとつをお話していました(3ツじゃ済まないだろう。10大失敗、いや20大失敗だろうの声あり、うるせぇつうの)。簡単に言えば、入植農地を2人で分割して買って、おまけによせばいいのに、地権者名義と、支払った額が大きく異なるという禍根の不平等条約を結んでしまったことでした。そして、仲介者に白タクが地権者から指定されていたことです。今日はこのことをお話しましょう。

Img_0007 土地を買う時に、なぜ私が行政、JA、あるいは地元不動産屋を絡ませたほうがいいと言う理由は、このような第三者が立ち会うことによって、私が被ったような非常識な条件で売買がなされることがなくなるからです。

実践マニュアル的に言えば、農地は地権者と相対で買うことは極力避けましょう。不動産仲介手数料3%を支払ってでも、正規の資格をもった不動産取引の資格を有する仲介者か、地元の行政、JAに必ず立ち会ってもらいましょう。これは重要なことですからよく聞いて下さい。

相対取引(*あいたいとりひき・地権者と買う側が仲介者なく直接に売買取引をすること)だと、えてして地権者が圧倒的に有利な立場になります。こちらの欲しいという気持がよ~く見透かされているからです。すると、向こうは恥知らずなまでに、自分の有利な条件を言ってきます。

Img_0018たとえば、仲介者を自分の息のかかった者に指名します。そして価格や条件などは丸呑みにさせられて、後から悔しい思いをすることになります。

仲介者は審判ではなく、売り手側で、時には審判自らがこちらのゴールに球を蹴りこんでくることすらやらかします。村の排他性がいかんなく発揮されるのはこういう時です。村に入りたいという私たちは、それに対しても卑屈にニコニコしていなければならなかったのが、当時です。今はだいぶ違ってきてはいますが。

多少、参考までに彼らのやり口を教えておきましょうか。相対取引をしてしまった場合、地権者は税金対策として「裏契」(裏契約)を言ってくる場合が多々あります。通常はありえないことですが、今でも日本の農村ではまかり通っています。こちらが仮に100万円で1反を買ったとしても、契約書や領収書には60万円で切ってくれとぬけぬけと言ってくるわけです。土地売買の税金対策です。私の場合、7掛けでやらされました。言うまでもなく、こんなことは堂々たるリッパな脱税行為ですゾ。

Img_0029 また、通常は地目の境界は地権者側が公図をI明示せねばならないのですが、村では国調標識杭がない場合が圧倒的です。これがないと地目の確定ができず、事実上売買はできません。ところが、売るほうは懐手しています。「お前のほうがやれや」ということを平気で仲介者が言ってきます。かくして、買う私の側のほうが、多額の金と時間を費やして測量士を雇い、周辺の地権者にお百度を踏んで、お酒を持っていって境界を確定してもらわねばなりませんでした。

ちなみに村の土地標識は大部分いいかげんで、公図にあっても実際はなかったりするがあたりまえです。そうなると公図と照らしあわせることが出来ないので、確定しているかなり遠方の他の人の土地の標識から、測量を出さねばなりません。その人にお百度をして頼み、次の標識の人にも頼み、森を抜け谷津を抜け、そしてようやく測量ができたのです。1カ月かかり、しこたま料金をとられ、境界は全面的に相手の言い分を呑み・・・。ゲホっ、よ~やったよ。私の後に続く皆さん、こんなことはやってはいけないからね。これは地権者が明示するものだからね。境界があいまいな土地などは買ってはダメだからね!

Img_0022 今考えるとありえないような一方的な不利益を口を開けられて流し込まれた感があります。

そしてそれだけではなく、この白タク仲介者は、私たち新規就農者同士の不平等条約をよく知っておきながら、それを放置しました。

白タクは仕事に責任を持ちません。売って金を欲しいだけの欲の皮がペキンダックよろしくパリパリの人達だったからです。しっかりとした仲介者なら、後の紛争の種は抜いておくものですが、そのようなことには無頓着でしょう。

皆さん、土地は多額の金銭のやりとりをともないます。私の場合ですら1400万円もの資金を土地代金だけで支払いました。実際は、それだけで足りず、農場建設費、母屋建設費などで、ぬぁ~んと2000万円超を借りることになりました。途中で借増しをして最終的にはその倍ちかくになったのです。えへん、若い衆、ちっとは借金王の私を尊敬するように(無理か)。

全額返済はつい去年のことでした。カミさんと抱き合って喜びました。あ~、これで普通の生活ができる、と。今でも農林公庫と国民金融公庫からの完済通知は事務所の額の中に入れて恭しく飾ってあります。われながら実に健気だと思いますImg_0027 (グスっ、いい話だろ)。

まぁ、現代日本で百姓になるほど贅沢はないと私が何度も言い続けているのは、その精神的な豊かさだけではなく、家が一軒、ときには2軒建つていどの資金が必要だということにもあります。

例えば2千万円あれば、ちょっとした都市でのスモールビジネスが充分に可能です。農業はすぐに収益は見込めませんが、都市での起業ならはるかに早い時期に回収が見込めるはずです。 農業とはそのような気長な、じっくり地表から芽が出るのを待つような「仕事」なのです。

もしあなたが就農しても、あなたが理想として思い描いた「農場」ができるまで最低で10年。子供が継いで30年、そして孫があるていど完成して60年、ときには100年。そんな時間尺の仕事だと思って下さい。

逆に言えば、先祖代々の土地もあり、農家を継ぐというだけで新築の家や車を親から買ってもらえるような農業後継者とは、スタートからして私たち新規就農者の迫力は違うのですよ!

私たちは初代だと心すること。初代の重みは楽しいこと、苦いこと、酸っぱいことに満ちています。私は現代日本で開拓者の名にふさわしいのは、われらが新規就農者だと思っています。いかに多くの失敗をしたとしても、これは私の人生の誇りです。

写真は、化蘇沼稲荷神社の祭礼。上段は羽織袴の氏子さん。次は祭礼に近づいてきました。向こうではにぎやかな声や歌が聞こえてきました。次は相撲甚句。甚句倶楽部があります。次は奉納相撲の皆さん。まわしが凛々しい。そして御手洗(違っていたらごめん)。最後は奉納幟。幟の裾には奉納者の名前が記してあります。幟は、この祭礼への寄付があった人が立てられます。

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コメント

大受けしているこのマニュアル!。
読んで一緒に喜怒哀楽してるらしい。

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