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2008年8月 9日 (土)

日本農業が自由化されれば価格が下がるのか? その2 日本の関税外障壁とは

Img_0014 ここで、日本の農産物輸入市場の特徴を考えてみましょう。

まず第1に極東の島国だという地理的な条件があります。

ここをあんがい見落とす人が多いのですが、日本市場に農産物を運ぶとなると、欧州域内や北米大陸と違って、鉄道やトラックという安価大量輸送機関を使えないのです。農産輸出国である欧州からはるかに遠く、米国や豪州からさえも太平洋やインド洋をはるばるまたいでこねばなりません。これは生鮮農産物の輸出にとって致命的です。

日本の農産物市場の大部分を占める日配品市場が事実上ダメということになるからです。あえてやろうとすれば、航空機か船舶しかないのですから。しかし、たとえばほうれんそうや大根をサーチャージをガッポリ取られてまで日配チルド空輸して、しかも輸出検疫料まで払うとすると、ビジネスとして合いますかね?

では、船舶はといえばのんびりしすぎて、穀物や常温で長期保管できる品物以外には間尺に合いません。となると一部の農産品を除いて、日本市場を狙えるのは東アジア域内諸国ということに限定されてきます。中国については別途一回を使ってお話しますが、韓国、台湾はその絶対的な耕地面積の狭さから、パブリカなどの高付加価値農産物しか狙えないでしょう。あえてタイ、ベトナムまで範囲を拡げてもいいですが、鶏肉や海老などのように冷凍が効かない農産物は同列に扱えません。

Img_0009 たぶん66ss様の脳裏には、ひと頃の輸入農産物の雪崩的制圧の光景があるのかと思います。あれはまさに私たち日本の農業者にとって「華寇」そのものでした。

農産物市場が完全開放されれば、あのような超安価な農産物が日本の農産物を駆逐すると思われているのだと思います。よく考えて頂きたいのですが、あの時の主力は中国産農産物でした。その時の輸入農産物の超安価のイメージがまだ残っているのだと思います。

しかし、あのような飢餓輸出まがいのダンピング的な価格で来られて耐えられる先進国はどこもありません。血の気の多いフランスやイタリアで同じふるまいを中国がしたら、冗談ではなくほんとうに農民暴動がおきますよ。特にフランスは実際米国農産物に抗議して、マクドナルドをぶっ壊したお国柄ですからね。

そうなったら第1回で述べた防御措置をEUは発動することにためらいはないでしょう。それほどまでに世界的に見て、異常な安値だったのです。あれをスタンダードにしてはいけません。しかし、今はその内部の矛盾から中国産農産物は一時の勢いを完全に失っています。それについては次回にお話しましょう。

第2に、日本人の爛熟(らんじゅく)したといいますか、異常にウルサイ味覚と視覚です。これは「ジャパンスペック」(7月31日)の記事で書きましたのでお読みください。

Img_0006 確かにゴマをピンセットでより分けるようなことを課すジャパンスペックは私は日本農業の悪しき風習の金メダルだと思っていますが、皮肉なことに見方を変えれば、日本の農産物市場を「守っている」ことは確かなのです。禍福はあざなえる縄の如しです。

第3に、日本の農産物が質的にも高水準にあることです。これには品目によって多少のデコボコがありますが、かなりの作目では確実に世界最高品質です。特にコメ、果物、一部の野菜などでは、これまた文句なく金メダル級です。他国の追随を許しません。

つまりは良くも悪しくも、日本の食品市場は世界に冠たる成熟しきって、今や腐り始めているような高度爛熟市場なのです。この特異に成熟してしまった日本の農産物市場こそが、日本の関税「外」的障壁そのものなのです。

ですから諸外国で、この日本独特の三つの大きな関税「外」的な障壁をよじ登ってまで襲来する国はそうそういないと私は見ています。そこまでしてやる経済的なメリットが少ないですから。

写真は、私の母屋の台所の窓際。こうして撮るとほんとうは雑然としているのに不思議と綺麗ですね。次は霞ヶ浦の早朝風景。

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