米、この奇跡の穀物 その1 稲の花が咲きました!
上の写真をご覧下さい。これが稲の花です。昨日撮ってきたのです。もう少し前には満開でした。田んぼに稲の白い花が咲き乱れる・・・というほど華やかではありませんが、小さくとも可憐で繊細な花をつけるのです。
その前の時期に行ってみると、そうですね7月の初めくらいかな、稲の瑞々しい茎をカミソリで切ってみると、中には次に展張する葉がクルクルと巻き込んで準備されているのが見えます。そして8月、一斉に田は水を干し上げて、ラストストレッチである籾の中にデンプンを蓄え始めました!今、まさにこの時期です。
ここから極端な高温、例えば連日40度を超えるような温度はダメですが、夏らしい気温がないと美味しいふっくらとしたお米にはなりません。米ができるまでの積算温度表というのもあるくらいで、田植えから稲刈りまでの毎日の温度を積算して何百度という目安があります。
また日照時間の積算数値もあります。気温があってもお天道様がないと米は光合成によるデンプン化ができなくなります。カラっと晴れて夏らしい気温がお米は大好きなのです。
ご承知だと思いますが、米はあらゆる穀物の中で最大の単位当たり収穫量を誇っています。10アール(1反・300坪)あたり平均480㌔~500㌔(8俵~9俵)は収穫可能です(有機栽培だと420キロくらい)。飼料用米だと600キロという馬鹿げた量がとれるそうです(うまくないけど)。
この米の豊かな収量に対して、一方の雄である小麦の平均収量はは、300㌔/10a程度ですから6割ていどにすぎません。まして他の雑穀類、キビ、ヒエ、ソバなどはとうてい米の収量の足元にも及びません。この収量の豊穣が、米作文化地域の豊かさそのものでした。わが国の「瑞穂の国」(みずほ)という雅名は、この米の豊穣への感謝の現れです。
それになんといっても美味い!あらゆる料理に合います。ジャポニカ種はジャポニカ種の日本料理に、インデカ種はパラパラした食感を生かしてタイ料理やインド料理にと、ほぼ万能でしょう。これほど相手を嫌わない食味の穀物は米を除いてはない思われます。日本のコシヒカリが欧米のグルメをうならせていることは皆さんもご存じでしょう。
しかも、麦と違って粉化する必要がありません。これスゴイことなんですよ。ヨーロッパ文明と日本文明の差がここから発生したという説もあるくらいです。麦は脱穀した後に、いったんミルにかけて粉(小麦粉)にしなければ食べられません。米のように脱穀して炊けばそのままで食べられるというわけではないですよ、気の毒!
麦は収量が少ない上に、粉挽屋に持っていって挽いてもらって小麦粉にしてから、初めてパンになるというひと手間がかかります。農家は自分の家ですべての食べるまでの工程を出来ないのです。おまけにパンを各々の家で焼くにはかつては大きな石窯が必要で、ヨーロッパは16世紀くらいまで、村共同のパン窯で週に1回くらい村の女衆総出で焼いていました。
また、米は低温暗所で玄米のまま保管すれば、一年でも二年でも保管可能です。縄文時代の炭化した米が残っていたほど保存性がいいのです。これは玄米が炊いた後でもびっくりするほど痛まないのをみればお分かりかと思います。戦国時代も、あるいはまた大戦当時も日本の兵は俵を担いで転戦していたようです。日本人と米は切っても切り離せない関係だったのです。
(この稿続く)
写真は、私の村の昨日の水田風景。
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輝いてるね!花。
投稿: ぶんぶんこ | 2008年8月 5日 (火) 18時26分