内部告発は2度あった
お菓子屋さん、地方で堅い商いをしてきた和菓子関係が大被害を受けている。餅取り粉のデンプンのためだ。高名なそーめんの一社も、イオンのにぎり飯も引っかかった。またもや給食にも出た。しかも長期で使用していたらしい。まさに眼を覆う事態だ。かつてのBSEを上回る非常事態だと思っていいだろう。
バカなことを言う者も出てきた。メタミドホスなどの有害化学物質を食べても、致死量になるまでには大量に長期に渡って摂取しなければならないので大丈夫だそうだ。こういうことを言う手合いは必ず出てくると思った。太田前大臣もそのてを官僚から耳打ちされていたのだろう。
このテの考えの人は、日本国民がいかに日常的に多くの化学物質を多種多様に摂取しているのかを見ていない。単独致死量でのみで判断している。では、先日アップしたようなポストハーベスト残留農薬入りカップ麵を毎日食べ、同じくパンを食べ、その他化学物質の塊のような加工肉をとり、残留農薬が数種類付着している野菜も食べ、そしてその上にこの毒米を食べたらどうなるのか考えてみたら分かるだろう。その「恐怖の積算」の上で国民は家庭を営み、子供を育てているのだ。単独致死量でものを言うのは、国民生活を知らない眼くらまし、すりかえの論理である。
さて、農水省の出先機関はふたつ関わっている。ひとつは、三笠の本社がある近畿農政局大阪農政事務所、いまひとつは倉庫がある福岡農政事務所だ。たぶん大阪農政事務所だと思われるが、ここに三笠フーズの内部告発があった。一回めは昨年の1月に手紙によるもの、そして2回目は今年の8月だ。なぜ、この勇気あるつ告発者は2回も告発するハメになったのだろうか?ここに農水省の体質が浮き彫りになる。
まず初回の去年の1月。福岡農政事務所は告発を受けて立ち入り調査をしたらしい。ところがスカである。たぶん事前通告をして出かけ(爆笑)、既にすり替えられた米袋を抜き取って、出された二重帳簿を点検し、納品伝票も見なかったのであろう。見たとしても相手方との照合はしていない。
告発者も事務所の隅で注視していたのだろうが、この人の勇気は通じなかった。あたりまえのようにして、何も変わったことはないと結論づけられたのだから。
次におかしいと感じた者が、大阪農政事務所にいた。三笠の異常なミニマムアクセス米(今、転換したら「悪セス」と出ました、ぶはは、賢いわがPC! )の買いつけに疑問をもったのだ。そして昨年の秋から計3回「相当量の在庫があるはずなのに、どうして買い増しをするのか。農水省は関心をもっている。購入を差し控えるように」というような内容の電話を三笠にしているのだ。
以後このような農水省の警告は、都合3回あり、今年の4月、6月にも同じ内容で「警告」をしている。しかし、これに対して三笠は、冬木社長直々の命令で堂々と買い増しを続けた。昨年9月に1.5t、今年1月に36.5t、5月に0.3t、そして8月に1t。農水省の「警告」などカエルのツラに小便だったわけだ。そしてこの間に三笠は農政事務所を接待し、自民党にも金を配るのを忘れていない。
そして業を煮やした告発者は2度めの告発に踏み切ったのが今年の8月。多分1回目の告発から4度目の買い増しを見て絶望的な気持にかられたのだろうと思う。
見えて来ませんか、このような構図が。三笠のような悪質業者と「毒米ころがし」による巨額の悪銭稼ぎ。無気力で無力な農政事務所。そして自分の経歴に傷が着くことのみを恐れることなかれ官僚。それを見透かしている悪徳業者。そしてこの双方の癒着構造。あるいは利害共同体。
ここのどこにも国民はいない。ここのどこにもまっとうな精神は存在しない。農水省は300数十社の加工業者の名を公表するのなら、これに関わった大阪農政局、福岡農政局の当該役人の名、そして本省の担当の名を公表せよ!
それが道理ではないか。民は悪行をすれば罰せられる。しかし、官は罰せられもしない。民は汚染米をつかまされれば、名を公表され倒産の危機に立つ。しかし官は「農水省」という巨大官庁の無名性の中でぬくぬくと何事もなかったかのように生き延びていく。
このようなことを「葉が沈み、石が浮く」というのである。思わず、歯しりが出る。
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