富山和子「川は生きている」を読む 第3回 森と雨の国日本
皆さんは、わが国の国土 を外国人から聞かれたら、なんと答えますか?政治や経済、社会ではありませんよ、念のため。
世界で最先端の工業技術立国かな?コンクリートで覆われた国?あるいは、海岸線がやたらと長い海洋国家?そして温帯域で最大の島?
解答はいくつもあるでしょうし、育った地方でも答えは分散してしまうかもしれません。私など海岸に近い地域でしたので海洋国家と言われると、なるほどと頷いてしまいます。
色々な見方があるでしょうが、あんがい忘れられていることがひとつありましか。な~んだ?
富山さんは、それを美しく短い表現にしました。それがシリーズ2回の表題である「水と森林の国、それは稲の国」がそれです。この表現が秀抜なのは、単に「水の国」でもなく、「森の国」でもなく、それは「稲の国」だという流れを表現しているからです。これがわが国の自然生態系の仕組み、エコ・システムなのです。
いや、それにしてもいい言葉だなぁ。「水と森林の国」かぁ。まるでフィンランドか、スウェーデンみたいだなぁ。太古のグループ・サウンドを歌いたくなります。「♪森と泉に囲まれた、ブルブル、ブル~シャトウ~」。ああ、ほとんどの人は知らんよね、この歌。ブルーコメッツっていうんですが。ま、いいか。
バカを言ってないで先に進めましょう。そこで調べてみました。日本の森林率(*国土に対する森林の占める割合)は、いかに!
残念ながら僅差でフィンランドには負けました。しかし、スウェーデンには勝ち、銀メダル。すべての先進諸国の中では圧倒的に高ポイントです。森の国でハイジがスキップしているようなスイスなんて3割ですよ。「暗きバイエルンの森」のドイツは、これも3割ていど。イエローストーン公園があるアメリカも同じ。わが国は他の諸国の倍以上の森林率をゼイタクにも有していると考えていいでしょう。
ウエールズ人のCWニコルさんが日本に帰化した理由を知っていますか。それは日本が母国のケルトの森と酷似していたからだそうです。彼はケルト族の宗教と神道を同じく森林宗教と考えています。
では、この広大な森林に降り注ぐ雨の量を見てみましょう。富山さんのお作りになったグラフです。
グラフのいちばん上の▲がついた線がわが国です。日本は6月と9月をピークにして行くところ無敵の多雨の国だと分かりますね。こんなに雨が降る国って日本くらいじゃないのかな。
今回をまとめれば、世界でトップクラスの雨が降り、が故に森林率も高い。
ではこの雨がどのように川を流れて行くのか、次回に先生の本で学んでいきましょう。
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