トリインフルエンザの謎 第3回 トリ型トリインフルエンザとはなんだろう?
Ⅰ まずひとつめはトリ型トリインフルエンザです(通常は「トリ型」といういいかたはしませんが)。
Ⅱ もうひとつはヒト型インフルエンザです。去年流行ったようなインフルエンザですね。
Ⅲ 今ひとつが「新型インフルエンザ」というまったく未知の新型です。これは後の回で詳しくご説明しますが、トリ型インフルエンザが、なんらかの哺乳類(たとえば豚など)を介して人間に移り、発症させると考えられています。そしてそこから人同士の感染に拡大していくと思われています。これを「人獣共通感染症」とも呼びます。
この新型インフルエンザがパンデミック(感染の爆発的拡大)を起こした場合、最悪はかつてのスペイン風邪に匹敵するのではないかという危機がささやかれています。
新型インフルエンザに入る前、元祖インフルエンザであるトリ型インフルエンザのトリインフルエンザをお話ししていきましょう。まだるっこいようですが、トリインフルエンザの性格の中にインフルエンザの謎の多くが含まれているからです。しばしおつきあいを。
トリインフルエンザの故郷というとおかしいですが、世界におおよそ二つあるとされています。ひとつは中国青海省の青海湖、そしてロシアのバイカル湖です。このふたつの湖から飛び立つ無数の渡り鳥の移動によってトリインフル・ウイルスが世界にバラまかれていきました。
この渡り鳥のルートは東西ルートはありません。渡り鳥は地磁気に沿って自分のルートを知りますので、地軸の北から南への感染ルートが主です。そこからいくつかの派生ルートが生れて、今やの感染を見ると、アジア全域、ロシア全域、アフリカの一部、そして欧州を覆っています。南北アメリカには感染はありません。
もっともひどい被害を受けたのは東南アジアと中国で、世界保健機関の統計によると、東南アジア各国で11月までに鳥インフルエンザで62人が死亡しています。また、アジアでは2003年後半以降、133人が高病原性鳥インフルエンザに感染し、68人が死亡しています。(*高病原性とは「感染力が強く病気の原因となりうる感染症」という意味です。H5型とH7亜種が法定伝染病として指定されています)
ここで100人を超えるトリインフルエンザから感染しての人の死亡については次回に詳しくみます。その前に、トリインフルエンザの特徴をもう少し考えてみることにします。
トリインフルエンザのたぶん最大の特徴は渡り鳥の水鳥がウイルスの運び役となっていることではないでしょうか。水鳥がウイルスを保菌した状態で飛来し、水際の野鳥に感染させます。そして更に野鳥が家禽(かきん・家畜で飼われている鶏やアイガモ、アヒルなど)に感染させて感染を拡大していきます。
わが農場のこの無粋な赤っぽい網は、防鳥ネットといって野鳥と家禽との接触を防ぐためのものです。家畜保健衛生所の強い指導がなされています。特に私の住む地域は霞ヶ浦、北浦という大きな湖にはさまれた地帯で、渡り鳥も多い地域ですので、厳重なトリインフル対策がなされています。うちの農場は尽きに一回の査察を受けるモニタリング指定農場です。
ところで面白いことは、トリインフルエンザは野生の鳥では、保菌していたとしても発症しないのです。
しかし、家禽は発症します。原因はよく分かりません。野生の鳥のほうが強健であるのか、あるいは家禽の飼育密度が野生とは比較にならないためか、家禽は罹っても野鳥はただ保菌しているだけという不思議なことが起きています。
また、トリインフルエンザに罹った家禽を移動したりすることで感染が拡大していきます。欧州への感染拡大は渡り鳥の移動では説明できないために、家禽の移動によるものだという見方もあります。人が長期間感染した鶏と触ったりするなどの接触(濃厚接触といいます)することで人にも感染することがわかってきました。
ちなみに、一昨年茨城を震撼させたトリインフルエンザ事件は、H5N2型の違法ワクチンが原因です。結局逃げきりましたが、それを不法使用し、地域全体に大きな打撃を与えたのはイセ・ファームと愛鶏園です。
■本記事は自動アップされています。次回は少し時間をいただいて、11月5日か6日にアップいたします。
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