« ただいま! | トップページ | 有機トマトの秘密 第2回 トマトの水への執念・それが生命力 »

有機トマトの秘密 第1回 次代につなぐ実、子供という顔を持つ希望

Img_0095 皆様、温かいコメントをありがとうございます!もうなんて言っていいのか。心の底から温まりました。ブログというものはこうして皆さんという旅の仲間とテクテクと歩いていくものなのだとかんじました。

ところで、今、わが農場には17歳の少年が寄宿しています。もうかれこれ1カ月間にはなりますか。

大変に面白い・・・なんて言ったらいいのかな・・・ユニークさにストレンジ風味を数滴垂らしてみましたってな個性の少年です。

日常の動きは、「オズの魔法使い」に出てくるブリキ人形みたいなかんじですが、それでいて見るべきものは、しっかりと見ているのです。時々驚くような観察眼を発揮してくれます。頭の良さと、日常の動きのちぐはぐさが同時に彼の中に宿っているようです。

さて、彼はそれはそれは良くお食べになられます。今日の昼食など焼き飯の超大盛りを軽く平らげ、その上に昨日のカレーの残りを楽々と一杯。食事制限がかかっている私も、ダイエット中のツレアイも、「見ているだけでお腹一杯」状態です。それも同年代の子と違ってかき込む風でもなく、草地に放した山羊のように淡々と同じ速度で悠然と40分、ときには1時間(!)かけて平らげていきます。ウエップ、胸が焼けるぜ。

Img_0026_edited_edited さて、彼の喰いっぷりをみていたら、なぜか、有機栽培のトマトのことが頭に浮かんできました。トマトは私が就農した20数年前には有機ではムリと言われていた作物でした。

ある者は、外国文献を手にイオン転換をどうたらするために、トマトの茎に銅線を差し、微弱な電流を流してみたり(涙)、EM菌がいいと聞けば高価な微生物を散布し(悲鳴)、なんとかという品種は強壮だというので必死になって取り寄せて栽培してみたり(汗)、まぁありとあらゆるトライ&エラーを百種類以上やった挙げ句、ようやく十数年めにして成功。なんだったと思います、成功の秘密は?

トマトの秘密その壱。絶対にトマトを雨に当てないこと。土ボコリがパフパフと足元から出るようなくらい乾燥した舎内で生育させるのです。今まで石油製品の使用拒否と志高く露地栽培に挑戦していたために、トマトの原産が南米のアンデス高地の山肌であることを失念していたのです。

アンデスの高地の降雨量は年間数㎜、その徹底した乾燥こそがトマト嬢の快適な環境だったのです。雨がビチャビチャな日本の露地など、トマト嬢にとって拷問的環境だったんでしょうな。ごめんよぉ、トマトぉ、こんな簡単なことに気がつかなかったって、オレがいけなかった!殴ってくれ!(トマト嬢が殴れないから、安心して言っている)

トマトの秘密その弐。地味が瘦せた土地のほうがトマト嬢は好き。なんせ生れが雲の上のアンデス高地ですから、日当たりはいいのが好きなのは当然として、多少石のあるような、肥沃でない土地のほうが向いているのです。そう考えると、日本農民の本能とでもいうべき、多肥料などもってのほかだったわけです。

Img_0020_edited_edited まさにコロンブスの卵、眼からウロコ。こんな単純な真実に到達するまで十数年かかっていたのです。しみじみしますなぁ。

この瘦せた土地が好きな作物はトマトだけではありません。実は、サツマイモやカボチャやソバ、アワ、ヒエなどの雑穀類も似た好みをもっていますし、果樹ではぶどうがそうです。

ぶどうが山梨でうまく出来るのは、山がちの瘦せた土地(怒るな、山梨県人の諸君)のほうがぶどうに向いているからです。゛

面白いもので、茨城の肥沃な平地作ったぶどうと山梨のそれを比べてみると、香りもコクも山梨産のほうがはるかに芳醇なのです。同じように栗も、栗園で栽培されたものより、そこらの裏山で勝手になっている山栗のほうがずっと甘くて美味しいのですから参ります。

そう言えば、ヨーロッパの葡萄酒も、わざわざ肥沃な土地を選ばす、石まじりの瘦せた土地を選ぶのだとか。たぶん作物はギリギリの条件でこそ自分の生命力を取り出そうとするのでしょう。逆にいえば、そのような条件に追い込まれないと、作物は自分の隠れた生命力、生き残る力を開化できないともいえます。

イモは肥沃な土地で育つとツルや茎のみが徒に育ついわゆる「ツルボケ」現象を起こします。全ての地味の滋養が成長栄養のみに費消されてしまい、かんじんな実に届かないからだと言われています。しかし、こうも考えられます。

イモは自らの成長を抑制され、自らの限界を知った時にわずかに得た土からの滋養をその次の世代に渡そうとして実を着けるのだといいます。擬人化することが正しいのか迷いますが、自分の個としての限界にさらされて、それを骨身で知る状況に置かれて初めて子を育てる真の資格が手に入るのかもしれません。

絶望と希望。正確にいえば、「正しく自分に絶望」する勇気と希望とでも言うのでしょうか。次の世代に自分の持てる滋養すべてを手渡そうとする涙ぐましい意志とでも呼ぶのでしょうか。子供という顔を持つ希望を育てようとする愛情という深い意志。

子供というのは色々な意味で刺激的な存在です。私は子供がいない人生を送ってきました。ですから、「正しく自分に絶望」できなかったともいえます。今回の病気や子供を預かるといった体験から、子育てをする人々の気持のほんの一端にずきませんが、それを感じる幸せを得ることができそうです。

いや、人生って面白いものです。

|

« ただいま! | トップページ | 有機トマトの秘密 第2回 トマトの水への執念・それが生命力 »

農業ほどおもしろいものはない」カテゴリの記事

コメント

読むど~!

で、メールなくしてしまったので、要件なしで結構ですのでEメールくださいcoldsweats01

投稿: 余情 半 | 2008年11月21日 (金) 18時12分

お帰りなさい。
お元気そうでほっとしました。
今日のお話も面白いです。
一気に読みました。
その17歳君、幸せ者ですね。

投稿: たクこ | 2008年11月21日 (金) 18時15分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/515571/43181515

この記事へのトラックバック一覧です: 有機トマトの秘密 第1回 次代につなぐ実、子供という顔を持つ希望:

« ただいま! | トップページ | 有機トマトの秘密 第2回 トマトの水への執念・それが生命力 »