風土と畜産について考えてみた 第3回 ヨーロッパはもともと寒い?
前回の表を見て、私はため息が出ました。欧州各国の中で最も一戸あたり農用地が少ないドイツでさえ、その6割しか畑(耕地)に回していないのです。イギリスに至っては36.8%にすぎません(*現在はもっと耕地の割合が大きくなっているはずです)。残りの農用地の大部分は麦を主として牧草などを栽培しています。
そう言えば、ドイツに温泉療法の留学した女性から話を聞いたことがありました。彼女の言うには。
「森の国ドイツなんてウソよ、あ、はは(豪快に笑う)。グリム童話に出てくるような深い森なんかとっくに皆んな切っちゃってもう一部しか残ってないの。確かに都市の中の公園や街路樹は立派だけれど、私たち日本人が考えるような里山の森なんかぜんぜんないわよ。あるのはどこまでもダラダラと続く牧草地だけ。初めは絵葉書みたいでキレイだけど、単調なのですぐ飽きちゃうのよね」
下の写真がドイツの農村風景です。 うちのカミさんも同じようなことをイギリス旅行で感じたと言っていました。彼女はイギリスを鉄道で旅行したのですが、車窓から見える風景は、低い起伏の丘に続く牧草地、羊、たま~に畑と村が点々ってかんじだったそうです。
私もさすがにわか百姓も25年めともなれば、「もしその土地で農業生産をするとしたら」って百姓根性で風景を自動的に見てしまいます。すまんこって。
で、批評的に上の写真の風景を見ることにします。まぁ、キレイちゃあキレイですが、牧畜をするには向いているでしょうが、「奇跡の穀物・コメ」を作ることは無理だと思われます。その理由は温度が低そうで、降雨量もたぶん乾燥気味だからです。これはこの写真が撮られた9月中旬に雑草ひとつない風景であることで分かります。
雑草というのはその土地を見るとてもいい目安です。雑草が生えるほど豊かなのか、雑草も生えぬほど瘦せているのか。これはその土地が温かいのか、寒いのか、はたまた湿潤なのか乾燥しているのかを見るいい指標です。
時は9月、この写真を撮られたドイツは夏の終わりとはいえまだ夏が力を持っている季節のはずです。しかし、雑草はまったくみえません。まことスッキリと牧草のみが低く生えているだけです。
このドイツの9月の農地の風景は、私たち日本の10月下旬か、11月の初めのようです。このようなヨーロッパの寒さがどんな農業を生み出したのか、次回考えます。
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コメント
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わかりやすいです。風景を見る目。そうか!
投稿: ぶんぶんこ | 2008年12月 3日 (水) 08時34分