続 飼料米の難しさ 税金投入が前提なら、日本畜産の矛盾解決にはならない
去年の秋の大根の収穫風景です。今はガランとした畑で、春一番のカラ風を待っています。
私の生きる行方(ナメガタ⇒○ナメカタ⇒×)地方を東西に伸びる「開拓道路」という分かりやすい通称の県道があります。まっすぐに伸びたいかにも、いかにも計画されたような道なのですが、今は幹線になっていますが、実は大きな農道でした。
この道の周辺が平らで、ここをナメガタ台地のテッペンとして左右に褶曲の多い里山が拡がっています。去年から今年にかけてこの里山の利用状況と耕作放棄地がどのように実態として拡がっているのかを調査しました。今、とりまとめていますからそのうち機会があればご報告します。
さて、お退屈様かもしれませんが飼料用米についてもう少し続けます。左の記事はやや古いものですが、この飼料用米の取り組みを報じた日本農業新聞です。
読む限りチャチャを入れる余地のない素晴らしい取り組みのように思えますし、事実私の知り合い達が多く関わっているので、ひじょうにやりにくい。
しかし、な~んか引っかかるのだよな。喉にトゲが引っかかったような気分とでも言うのかしら。
私自身、一昨年から飼料用米には関心を持って調べたり、知り合いの米農家と話をしてきました。
その米作りの友人との座談時ネックとなったのは、やはり価格です。飼料用と食用米では天と地の差があります。これをこの常盤村養鶏農協は、街の産地作り助成金(農水省交付)と村独自の財源で「手厚い補塡」をしたのだそうです。「食用米と10㌃あたり6万円の価格差を補塡した」というのですから、う~ん、なんともかとも・・・・(沈黙モード)。
というのは、街の方にはなかなかわからないかもしれませんが、コメってどのていど儲かるとお思いでしょうか?平均して1.5ヘクタール(1.5町歩)として、おおよそ収量が130俵(7800㌔)です。それを売って、資材費をさっ引くと大体150万~140万円ていどのもの。つまり10アール(1反)の売り上げは15万~14万円なのですよ。飼料用米で価格補塡で6万円もつけてもらったら誰でもやるよな、こりゃ。通常の粗利の4割ていどは何もしないでも行政が出してくれると言うのですから!
ならば一俵3千円(通常茨城コシヒカリで13000円見当が相場)で、養鶏場が買い叩いても、失礼、買い上げても、その収量の多さもあいまってなんとか行くという算盤です。
では、この行政の実質4割もの価格補塡がはずれたらどうしましょう?ここなのです、農家経営的にみた場合の、飼料用米のネックの最大の問題点は!
私はフツーのサラリーマンでしたし、カミさんは東京下町の旋盤工の娘でした。ですから共に、オカミが4割も原料代金をロハで持ってくれるなどという超甘ったるい世界には未だなじめません。
この農業の世界は私が人生でもっとも長き時間を過ごした場所ですし、終の住処となることでしょう。この村に骨を埋めることもとうに覚悟しています。である私にして、今でも馴染めない、いや馴染みたくないのがこの税金をダブダブ使わせて平気であるという精神です。このような補助金漬け体質がどれだけ日本農業の自立を蝕んで来たのか、日本農民の根性を腐らせて来たのか・・・私はそれを見すぎてしまいました。
今、喰えないというならいい、しかるべき救援策を政府に要求するべきだ。しかし今、寒空の下で凍えようという労働者が生れようとしているその時に、「日本畜産の自立と改革」を旗印に掲げている私たちが税金補塡を前提とした展望しか持ち得ないではシャレにならないじゃないですか。それは私たちの理想とは真逆な方向ではないですか。
税金投入がなくとも、廻っていく仕組みを作るのが大切なはずです。初めの3年間は仕方がないとしても、それ以降は税金補塡ゼロという計画構想がなければならないと思います。
この新聞記事を読む限り、補助金補塡が終わってしまったら、この計画はポシャルでしょう。では永久に、日本の畜産に税金で補塡して「自立してもらう」のでしょうか。それはそれでいいでしょう。それはいままでさんざん日本農業が街の人たちに揶揄され、他産業から白眼視されてきたままの構造ですから。ただし、そのようなことを、私は「日本畜産の自立」とは呼びたくありません。
このブログ記事は、私の日本農業におけるいわば同じ志をもった人達への一定の批判をともなっています。もし、この記事がお目に止まったのなら、忌憚のない議論をしていきたいと思います。
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