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2009年2月13日 (金)

続 野菜は甘くて、柔らかくて、白ければいいのでしょうか? 農産物の美味しさとは

Img_0002 昨日、アイガモ農法で米を作っているイキのいい農家の方とお話をしました。このところ、私が頭にひっかかっている「うまさと甘さはちがうのではないか」ということを話すると、彼もそうそうとうなづきます。

私は米などの持つ美味しさを「甘い」という人はさすがにいないと思いますが、米のうまさを考えると分かりやすいのではないでしょうか。米の、特にふくよかで水分をたっぷり含んだ艶やかな新米は、確かに「甘い」とも表現できます。しかし、それだけでしょうか。複雑なうま味があって、ほのかな甘味が引き立つのです。

農産物の味は、このように変化するといわれています。うま味⇒甘味⇒苦み⇒えぐみ。この順で美味さが減っていきます。まずは、うま味という一番複雑なものが消えると、ただ甘味のみが表面に出てきます。そしてもっと粗悪な農産物になるとその甘味も消え失せ、ただ苦み、といってもゴーヤのような本来の苦みではない嫌な味の苦みが舌に残り、さらには最悪な農産物ともなると硝酸態チッソ特有の化学物質じみたえぐみだけとなります。こうなるともう食べないほうが無難かも。

ですから、農産物においてはまず大事なのは、農産物の「うま味」を知ることです。確かにうま味自体が何んであるのかを定義するのは難しいですね。というのは、皆さんもご承知のようにうま味という概念自体が日本独特のものだからです。

外国にはうま味自体を表す表現はないそうです。この日本独特のうま味を科学的に解きあかす中で、昆布などの中に含まれていたアミノ酸の一種であるグルタミン酸ナトリウムなどが発見されたのは有名な逸話です。農産物のうま味はこのグルタミン酸系うま味とは異なった、大地の豊穣から伝達されたものです。

大地の豊穣とは、おおきく三っつあると思います。ひとつImg_0004 は土壌の美味しさそのものから来ています。土壌の成分中の複雑なミネラル分、例えば鉄分、マグネシウムなどが、植物中に取り込まれていったものが味に反映された結果です。

次に水の美味しさです。どんなに土壌が美味しさの成分を多く持っていたとしても、水がダメだとやはりうまくないのです。それは、植物の身体がほとんど水分によって作られていることから容易にお分かりになるでしょう。里山の森が雨水を濾過して、たっぷりとミネラル分を含んだ水が美味しさの鍵です。

そして最後が太陽の恵です。太陽による光合成なくしては植物は成長ができません。土中にある養分を、植物は光合成によって硝酸態チッソに変換して、デンプンとして葉や実に蓄え込みます。この蓄えられたでんぷん質こそが農産物のうま味の本体です。つまり、でんぷん質のうま味を芯にして、それに多くのミネラル分が複雑な陰影を加えて野菜や米のうま味ができあがると私は思っています。

昔から日本人は、美味いということをまるでとろけるように「甘い」と表現したのかもしれません。未だ甘味が人工的にふんだんに食卓に上がっていなかった昔、人は甘いという表現を、美味いことの代名詞がわりに使ってきたのではないでしょうか。甘露とかの表現がそうですね。

それが、今に至るも「美味い」と、「甘い」の混同につながり、更には「食のオコチャマ化」と引き換えに、その香り、そのさわやかさ、ほのかな酸味、そしてわずかな苦み、つまりは野菜の本来の味が忘れ去られていったと思われます。

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