飼料米の難しさ
先日のブログ記事を読んだ友人に、「ハマちゃんは飼料米は反対なんだね」と言われてしまいました。
う~、ちゃうねん、そう言われそうな中身だったから仕方がないが、飼料米そのものにはどちらかと言えば賛成です。あ、こう言う書き方がいかんのか(反省)。じゃあ条件付きで推進、あ、これも同じか(いっそう泥沼へと)。
飼料米についてはだいぶ前から関心をもってきました。なにより日本の風土に合っています。ですからそれを作るにふさわしい諸条件が完備しているのが大きいですね。
たとえば、生産基盤たる田んぼは既にあるか、再生すればいい(現実には、てな簡単なもんじゃないですが)、作る技術は文句なく世界一、品種だって飼料用好適米が既に東京農大によって作られています。なんと反17俵だそうです!
ではなにが私にためらわせているのでしょうか?農水省や大学研究者が、去年の飼料の大高騰を受けて突如として、この飼料米に飛び乗って来たからって言うのもあります。私は生まれながらのツムジ曲がりのヘソ曲がりで、人生をしくじってきた男です(←えばることか)。このように東京方向から風がビュービューと吹くと、なぜかすねたくなる(ガキか)。なに言ってやがんでぇ、自分の都合ばかりで話を進めやがって、カ~ペッ!と啖呵のひとつも切りたくなるのだから、我ながら困ったお人ですが、このような流行りを私は原則として信じていません。やがて状況次第でいくらでも風向きが変わるからです。
それと前回にも書きましたが、今までの米作りの真逆である「まずくてもいいから大量に作れ。それを家畜の餌にする」というのもヒトをなめた話です。私は畜産家ですが、人には誇りつうものがあろうが。今まで日本人は二千年以上の長きにわたって米を作って来ましたが、古米をドブロクにすることはあれ、家畜の餌にくれたことはなかったはずです。これは文化論になりますが、アメリカがトウモロコシを燃やして車を動かすに似た人の傲慢さをチラホラと感じてしまうのです。
そして今ひとつは、推進派のわが同業者に、本気にやっ気があんのけぇ(言葉尻をあげてね。茨城弁になっから)ということをお聞ききしたいのですよ。助成金つきの実験だから少しやるのはいいでしょう。華々しく都市の消費者にプレゼンできます。新しい飼料用米を使った商品ラインのひとつもできるでしょう。
しかし、3年くらいの間に、本格的な飼料米の生産計画-生産者の確保-栽培管理-文書管理・保管-収穫後の清算事務等を作くらにゃならん。結構たいへんですぜ。打ち上がるのは補助金と取引先の熱気でできますか、その後ホンモノになるのは。
実際に飼料米が根付くためには、自分の農場の穀物のせめて3分の1くらいの量は飼料米に置き換える展望というのか、その根性ががないとダメだと思います。その自信がないのならもう少し熟考したほうがいいのではと思います。もう既に始めちゃったわが同業者は意識の感度が高い人達、皮肉ではなく日本畜産業の舳先のような人達ばかりなので、余計なことかとは思いますが(←ここでいじけるな、ハマタヌ!)、3年たてば飼料米の助成金も立ち消えとなるかもしれません。助成金が消えてからこそ飼料自給、その手段としての飼料米のホンモノってもんじゃありませんか!
では、ちょっと試算してみましょう。
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