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2009年2月18日 (水)

村上春樹氏のエルサレム講演全文と和訳

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■私が今まで読んだ日本人のスピーチの最高峰である。この文章に感動しないなら自分の感性を疑ったほうがいい。

■ことに「僕は、立ちはだかる壁とそれにぶつかって割れる卵となら、その壁がどれほど正当でまた卵がどんなに誤っていようとも、卵の側に立つ」というくだりには、私は不覚にも目頭が熱くなった。

■彼はエルサレム賞をこの状況で受賞することで、パレスチナ支援グループからも批判を受けている。言論が保障されているイスラエルで今さらという批判もある。しかし、彼が受賞を受諾する理由はこのスピーチの中に完璧に、しかもこれ以上はない文学的な表現で言い尽くされている。文学の無力が言われて久しい。しかし、私はその力を信じたくなった。私はこのような同胞を持てたことを誇りに思う。

■以下エルサレム賞受賞講演和訳全文http://ahodory.blog124.fc2.com/blog-entry-201.html

別の和訳http://maturiyaitto.blog90.fc2.com/blog-entry-139.html

僕は小説家として - あるいは嘘の紡ぎ屋として、エルサレムにやって来た。政治家や外交官も嘘をつくけれど(すみません大統領)、小説家のそれは違う。

小説家の嘘は告訴されないし、またその嘘は大きければ大きいほど、賞賛も大きくなる。彼らの嘘と小説家のそれとの違いは、それが真実を明らかにするところ - 全体の中から掴み取るのが難しい真実をフィクションの世界で紡ぎ出すところ、にある。だが、小説家はまず、自分たちの嘘を明らかにするところから始めなければならない。

今日は真実を話そう。そんな日は1年のうちほとんどないことだけれど。
この賞を受けるのかどうか、僕はガザでの戦闘のことで忠告を受けた。それで自分にこう問うた:イスラエルを訪れるのは適切なことか?それは一方の立場を支持することにはならないか?

僕はいくらか考え、来ることに決心した。僕も多くの小説家と同じように、人に言われたこととは反対に行動しやすい。自分の目で見て、手に触れたものしか信じないような小説家にとって、沈黙するよりは来てみること、来て話すことのほうが自然なことなのだ。そして僕は、立ちはだかる壁とそれにぶつかって割れる卵となら、その壁がどれほど正当でまた卵がどんなに誤っていようとも、卵の側に立つ。

僕たちはみな、割れやすい殻の中にかけがえのない魂を持ち、それぞれに高い壁に立ち向かっている卵なのだ。その壁とは、人としてそぐわないはずのことに人々を強制させる「システム」のことである。
僕が小説を書いている唯一の理由は、人が持つ最も尊い神性を描き出すことにある。僕たちを巻き込む「システム」に対して、その神性のかけがえのなさで満たすことだ。- そのために僕は人生を書き、愛を書き、人々に笑いと涙を差し出す。

誰もが立ちはだかる壁に対し望みを持てない:それは高すぎて、暗すぎて、冷たすぎる、僕たちはそんな割れやすい卵なのだ。だから暖かみや強さを得るために、心を繋ぎあわせなければならない。僕たちは自分たちの「システム」にコントロールされてはならない。それを作り出したのは僕達自身に他ならないのだから。

僕の本を読んでくれたイスラエルのみなさんに感謝しています。この場が何かの意義をもつことができればと思う。僕がここにいる理由とともに。

■以下英文全文http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/26ca7359e6d2d15ba74bcdf9989bee56

So I have come to Jerusalem. I have a come as a novelist, that is - a spinner of lies.

Novelists aren't the only ones who tell lies - politicians do (sorry, Mr. President) - and diplomats, too. But something distinguishes the novelists from the others. We aren't prosecuted for our lies: we are praised. And the bigger the lie, the more praise we get.

The difference between our lies and their lies is that our lies help bring out the truth. It's hard to grasp the truth in its entirety - so we transfer it to the fictional realm. But first, we have to clarify where the truth lies within ourselves.

Today, I will tell the truth. There are only a few days a year when I do not engage in telling lies. Today is one of them.

When I was asked to accept this award, I was warned from coming here because of the fighting in Gaza. I asked myself: Is visiting Israel the proper thing to do? Will I be supporting one side?

I gave it some thought. And I decided to come. Like most novelists, I like to do exactly the opposite of what I'm told. It's in my nature as a novelist. Novelists can't trust anything they haven't seen with their own eyes or touched with their own hands. So I chose to see. I chose to speak here rather than say nothing.
So here is what I have come to say.

If there is a hard, high wall and an egg that breaks against it, no matter how right the wall or how wrong the egg, I will stand on the side of the egg.

Why? Because each of us is an egg, a unique soul enclosed in a fragile egg. Each of us is confronting a high wall. The high wall is the system which forces us to do the things we would not ordinarily see fit to do as individuals.

I have only one purpose in writing novels, that is to draw out the unique divinity of the individual. To gratify uniqueness. To keep the system from tangling us. So - I write stories of life, love. Make people laugh and cry.

We are all human beings, individuals, fragile eggs. We have no hope against the wall: it's too high, too dark, too cold. To fight the wall, we must join our souls together for warmth, strength. We must not let the system control us - create who we are. It is we who created the system.

I am grateful to you, Israelis, for reading my books. I hope we are sharing something meaningful. You are the biggest reason why I am here.

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コメント

私もこのニュースに接して感動を覚えました。決して気負ってはいない村上さんの非常に勇気あるスピーチ。村上文学がイスラエルの人々の心に届いたように、このメッセージがどうか彼らの心に届いてほしいと願います。

私もこのニュースに接して感動を覚えました。決して気負ってはいない村上さんの非常に勇気あるスピーチ。村上文学がイスラエルの人々の心に届いたように、このメッセージがどうか彼らの心に届いてほしいと願います。

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