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2009年2月15日 (日)

「合鴨ばんざい」という刺激的な本を読み始めました

_edited 古野隆雄さんの「合鴨ばんざい」を読んでいます。
すさまじく面白い!今まで、ちゃんとアイガモ農法を知らなかったことを後悔しているほどです。

ひょっとして、日本の稲作の革命であることは当然としても、日本農業や畜産の革命ですらないのかと思います。

というのは、今、私のいる畜産業界では、飼料用米が先進的なトレンドです。アンテナが高い畜産家ほどこの飼料米にハマります。確かに反収量が10俵(10㌃当たり600㌔)を楽に超えるといいます。数字的にはスゴイ。普通の飯用はせいぜい8俵だから、2割増ですね。たぶんもっと伸びシロはあるでしょう。

しかし私は、はっきり言って、飼料用米の発想そのものが間違っていると思います。それは日本の米作農家の心理を無視して、強引に畜産に合わせようという気がしてならないからです。
まず、現実の問題として、米農家は飼料米をやらないと思います。自分のところの米の価値を落してしまう、という農民の心理的な抵抗感がすさまじく強力だからです。これまで、たくさんの矛盾を持ちながらも「うまい米を作る」のがテーマだった日本農民に、「うまくなくてもいいから大量に出来る米を作れ」というほうがどだい無理なのです。皮肉にも、日本全国でもっとも市場価格が低いと揶揄されているわが茨城コシヒカリの産地だからよけいに分かります。

たぶん飼料米を作ることによって、その地域の米全体の市場価格全体が下落してしまうでしょう。まずくて大量にできる米を作っているような地域の米に、市場が高い価格をつける道理はありません。ただでさえ、国内米市場での競合が激しい最中、飼料米は行政が農水省の助成がらみで後押ししているから出来ているだけで、実際に「民営化」されたとしたら、とても続きはしません。

それは現実の農家が動かないからです。これは致命的です。そして米農家だけではなく、それを依頼したはずの畜産農家すらも、この金融危機以降の飼料価格の一服感で、「そこまでしてやる必要もないべ」となりかかっています。

飼料用米の作付け計画の策定⇒作付け⇒栽培管理⇒収穫⇒収穫物の分配⇒支払いの清算⇒次年度の計画の策定・・・という工程は畜産農家が暇に任せて出来ることではとうていないのです。単年度ならともかく、畜産農家にはそれらを持続的に今後続ける管理能力はないと思います。

またなにより、_edited_2米作り農民の心理的な抵抗感を甘く見ないほうがいいと思います。これはほとんど日本農民のDNAの中にインプットされているようなことなのですから。

以上のような理由で、私はまず、飼料用米は普及しないと思っています。減反の水田を飼料作物に替えていくことが日本の畜産の変革につながるとも思えません。

確かにそれは一理ありますが、ただ飼料用を作ってほしいというだけでは、日本畜産の矛盾を米作りが弱っていることにつけこんで(というと表現は悪いですが)、転移しているようなだけですから。

古野さんのこの本の中に示唆されている雲南の輪牧体形、水耕⇒収穫後の田⇒里山(放棄地)という展開は示唆に富みます。う~ん、面白い!これならうちの村でも展開が可能なのではないかと思います。

従来の放牧はどうしても畜産が主体ですが、これに水耕は当然として、ひょっとして畑作や麦作などともコラボできるかもしれない。というのは、あくまでも主体はその地域の風土に合った「農業」であって畜産でも稲作でも、畑作でもないからです。

畜産のエサのためになんとかしろ、ではどうにもなりません。米作のためになんとかしろでもダメかもしれません。それをうまく風土と地形の中でつなぐ要素が大事なのだと思います。

その可能性の一つが「アイガモ」かもしれません。

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コメント

一度飼料穀物の輸入を禁止(大幅に制限)してみるのもいい手かもしれませんね。
で、肉類の輸入は完全自由化すると‥
「国産」畜産品の正体がよく分るでしょう。

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