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2009年4月23日 (木)

「減反・この日本農業の宿痾その3」のコメントに答えて その1 タリフラインの解説と、私のブログのモットーなど

_edited 先日の「減反・この日本農業の宿痾その3」にコメントを頂戴しました。ありがとうございます。

「減反・この日本農業の宿痾その3  転作にかかった税金、7兆円!」http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-c80d.html#comment-36277275

[引用開始)

>日本の農産物への関税が12パーセントそこそこってのは、タリフラインベースの話で、実際に消費者が実際に負担している金額とはあまり関係無いよ。
其々の家庭の食習慣とも絡むので一概に言えないけど、とにかく、主食(米と小麦)への関税が高過ぎるのは何とかしないとダメだね。
それと‥コンニャクとか、エンドウ豆とか、ピーナッツとか、あの高関税は何?
「特定の農家の為です」て言っているようなものだけど‥

[引用終了]

この投稿者の方は、WTO交渉のことをよくご存じだと思います。しかし大部分の人には「タリフライン」ってなんのこっちゃと思いますので、ブログ管理者がコメントの解説をするのも、考えてみれば妙な話ですが、少しだけしておきましょう。タリフラインとは「関税品目」のことです。

WTOドーハラウンドでは、カンカンガクガクの交渉が煮詰まってきています。ひとつのポイントは、「重要品目数」を巡ってです。なぜ、ここがツバ競り合いの203高地となるかといいますとね、重要品目数こそが関税削減幅の緩和される品目だからです。要するに、各国はここにゼェタイに関税をかけちゃるという品目を入れ込んでくるというわけです。まぁ当然ですな。私はコメ関税段階的廃止論者ですが、日本ならなんといっても米でしょう。

それはともかく、現在すったもんだの末にこの重要品目は、6~8%というところまできています。問題はこの6~8%の分母です。ここでタリフライン(関税品目)という聞いたこともない用語がでてくるわけです。

タリフライン、つまり関税品目を分母にしろというのがおおむね先進諸国の意見です。それに対して、「有税品目」にしろというのがいわゆる発展途上国や新興工業諸国のG20なわけです。中心はインドやブラジルなどですね。

この対立があって前回のWTOの交渉テーブルは流れてしまいました。なぜなのでしょうか?非常にカッタルイ話ですがもうしばらく我慢を。「有税品目」というのには、関税ゼロ品目も含まれているからです。なら、なんで「有税品目」って言うのかって?私に聞くなつうの(笑)!

_edited_2 日本からすれば、ゼロ関税も多く含んだ有税品目を分母にされたら、タリフライン(関税品目)ベースより同じ重要品目(*関税をかけられる品目のことね)で約20%(106品目対80品目)も不利となるからです。

これは先進諸国にしてみれば、「え、今まで頑張って関税ゼロにしている努力がまったく無視されているんじゃねぇか!」と泣きと怒りが入るわけです。これに関しては、EUなども日本と同意見で、まぁたぶん交渉テーブルで、「おいこるらぁ、そんならまた高関税かけて泣かすぞぉ!」とフランス語訛りの河内弁で内心叫んだことでありましょう(←まったくの想像)。

というわけで、WTOバーハラウンドは新興工業諸国、途上国、先進国の三つ巴の争いまではらんでしまってなかなか妥結しないんでありますな。これはあながちわが国のせいじゃありませんから、農水省、JA共に内心はスキップを踏んで「よかったぁ~、日本が袋叩きに合わなくって。これで日本のコメ問題が延命できた♪」と思っていることでありましょう。

しゃもない話ですが、このような海外情勢で、またもやコメの高関税とメダルの表裏関係の減反政策は延命してしまいました。コメント様氏には、こっちにも突っ込んでほしかったんですが、例によって今さらの「日本の農産物は高関税」というパターンで終始してしまって、やや物足りない。これについては次回ということで。

さて以上、コメント氏様の「タリフライン」にまつわる解説をいたしました。コメント様の用語解説で丸々一回終わってしまいました。コメント氏様はコメント側という立場ですから理解しますが、国際貿易の交渉用語というのは、ポンっと蹴り込まれても、大部分の一般ピープルには哀しくやわからないんですよね。

そうだ、いい機会ですから私のブログのモットーを掲示しておきましょう。専門用語と専門用語にまつわる横文字はできるだけ使いません。Img_0042 かといって普通に使用されている横文字をゼンゼン使わないとなると、たとえばブログとは「電網内個人日記」みたいな帝国陸軍調になりますからね。

で、使う場合には、クソ丁寧に解説を加える努力をします。専門用語と横文字というのは、ある意味「隠語」でしてね。仲間内の符丁みたいなもんなのです。学者でたまに、絶対に専門外の人がわかりっこない用語を羅列した本を書いている場合がありますが、私は嫌いだな。

市民、つまり普通に働いて飯食って、泣いたり笑ったりしながら子供を養っているような生活している人に理解できないような用語は、単なるインテリのペダンチズム(衒学趣味)、自己満足に過ぎないからです。

専門家がその専門用語を市民にかみ砕く中で、かえって新たな論理の展開が見えようものなのに、それを避けて学者にとって手っとり早い専門用語を使うというのは、知的エリートにありがちな思考停止現象だと思うのです。

これは、私たち農業者もそうです。心しなければなりません。やろうと思えば、「畜産のアニマルウェルフェア」とか、「オーガニックプロダクツにおけるキャリーオーバー」みたいにゾロゾロ出てくる、出てくる。われながらいやだ。外国の受け売り丸出し。先に翻訳して発表したほうがカッコイイのかって。

という理由で、私の住む世界の外に住む丁寧に人達に接していきたいと思います。ま、だから私のブログが冗長になるのです。なにぶんかようなわけですから、ひとつお許しを。

さて、今日は長くなりました。かんじんのコメント氏へのお答えは次回にということで今日は終いと致します。

私のブログ記事のモットーに関しては、かつても掲載しました。よろしかったらご覧ください。

■農業を、自分の国の「言の葉」で語ろう

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