ありがとうございます。1周年を迎えました! そして新型インフルのことなど
途中、入院による中断の時期などもありご心配をおかけしましたが、今や私の重要な毎日の励みとなっております。ご支援頂きました皆さま、特にメンドーだ、メンドーだと逃げ回る私に強くブログ作成を勧めていただいた野生のトキ様には厚く御礼申し上げます。
さて、新型インフルが神戸を中心にしておそろしい拡大の仕方をしております。インフルに関して私は特別な想いがあります。かつて私はトリインフルを3年間に渡って追跡してきました。これは茨城が殺処分560万羽という未曾有のトリインフルの被害を受けたことによります。これはイセフーァームという巨大企業の醜悪な犯罪でした。以来私は、このブログの前身である「グラウンドゼロ」というメールマガジンを作り、農水省に陳情するなどのたったひとりの戦いを続けました。しかし3年間にも及ぶ追跡で精根尽き果て、矢折れ、刀尽きるようにして、これ以上の追及を断念したのが、2007年12月の暮れも押し迫った頃のことでした。
*旧記事「茨城トリインフル戦争」4回連載
以来、私にとってインフルエンザは決して追及を忘れてはならない仇敵のような存在となりました。そして今回の新型インフルの世界的大流行と上陸、感染拡大です。
私はこれまでこのブログでは静観をしていました。しかし、大きく感染拡大してしまった今、記事をアップすることにしました。
今回の新型インフルはH1N1と呼ばれています。これはウイルスの「株」のタイプ名称です。H1からH16まであります。
次に来るN1はそのウイルスの感染力が強いか弱いかの度合いを示しています。N1が一番高く、これもN1からN9まであります。ですからH1N1は、H1というインフルエンザ・ウイルス株の仲間で、N1つまり一番感染力が強いということになります。毒性そのものではないことにご注意下さい。
ところで、通常、トリ型やブタ型のインフルエンザはヒトに感染することはありえません。
それはなぜでしょうか?実はこれがウイルスの面白さです。
インフルエンザ・ウイルスは原則として、ひとつの自然宿主しか持てません。ヒトならヒト、トリならトリ、ブタならブタ(*ただし豚は鳥類とヒトの両方の宿主)だけです。ウイルスはひとつの鍵孔に一つの鍵というほど、宿主とする対象の生物種は限定されています。これを「種の壁」といいます。この「種の壁」という自然界の掟を超えてしまったのが新型インフルです。
次に、インフルの原因であるウイルスとはなんだということがあまり知られていないようです。TVや新聞を見ても触れていないようなので、ここでおさらいをします。
ウイルスは地球最古の「存在」のひとつです。「存在」と言ったのは、生物でもなく無生物でもないからです。バクテリア、プランクトンや微生物はれっきとした生物です。しかし、さらに微小なウイルスは無生物なのです。しかし、だからといって鉱物などとも違う、地球でウイルスしかありえない特殊な形態をもっています。
最大の特徴は、ウイルスが自分の固有の細胞の姿を持たないことです。タンパク質と核酸しかなく、本来自分の姿であるはずの細胞膜すら有していません。自らのコピーを量産させる8本のRNAリボ核酸を遺伝子として、タンパク質(RNAポリメラーゼ)の中にあるという奇怪な形状をしています。
そして自己増殖はできません。ウイルスは宿主の気管支に侵入し、宿主のDNAに干渉して、自分を大量にコピーさせるという方法で繁殖していきます。これが感染の拡大です。
そしてもうひとつのウイルスの特徴は、固有の外殻がないために変異するスピードが驚異的に速いということにあります。A型と思ったらAの変種株、あっと思ったらB型となっているような変幻を見せます。これはウイルスが自分独自の姿形を持たない強みによります。
もしこれが通常の生物ならば、とても怖いでしょうね。映画のCGよろしく犬から虎に、虎から豹に、はたまた鼠にと変異するのですから。しかし、彼らウイルス一族にとってそれがあたりまえなの姿なのです。
長くなりました。ウイルスのおさらいはここまでにして、この変異性の強さというウイルスの特徴をキイワードにして、次回でもう少し踏み込んだ新型インフルの「眼の前にある危機」に踏み込んで考えてみましょう。
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■写真上 何の花だ?わかったらえらい。ブルーセージ、はずれ。正解、コンフリーです。
■写真中段 これもわかりにくいでしょう。でも豆科特有の花です。今が旬のさやえんどう?はずれ。正解カラスのエンドウです。
■写真下段 角度を変えて正面から見たコンフリーの花房です。
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おめでとうございま~す♪
これからも同じブログ仲間としてよろしくお願いいたします♪
投稿: ゆっきんママ | 2009年5月22日 (金) 20時56分
お祝いの言上が遅くなりました。あらためまして1周年おめでとうございます。農作業の合間にとは、とても思えない迫力満点のアップに「なんだこれは」と日々圧倒されております。最初のころは開くたびに写真が入れ替わっていたり、レイアウトが変更されていたりしておりました。なんと落ち着かない、あっ、いや、そのうちこだわりにこだわった「いかにも」という個性豊かなブログができてまいりました。家と同じように手作りをされようとしたことが後で理解できました。ハブさんが出てきたり、機動隊の盾に手がつぶされる場面が出てきたり、あぁあぁと指の間から拝見しておりました。最近は(いや前からかな)、画像にもこだわりに磨きがかかり、美しいグリーン、花、実り、生き物も楽しませてもらっています、あ、そうそう、頼みもしないのに“つれあい様”まで。学術っぽいところはさすがその道のカリスマと聞き及ぶだけのところがあります、後日、検証を加えられたのち、集大系(出版?)されたらいかがでしょうか。貴重な経験、知見と考えます。これからもいろいろおしえてください、ご意見拝見させてください。ご経験や農業のことはいつかわかりたいと考えています。意見が違うことは当然あることで、それはそれで追いかけたり逃げたりしましょう。農作業とお料理にもお励みください。直売所づくり、大学での講演などにもはばひろく御活躍ください。
投稿: 余情 半 | 2009年5月27日 (水) 01時18分