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2009年5月26日 (火)

隔離か共存か 第1回 「地球最古の先住者」の復讐が始まった

_edited                                    大きな不安が世界を静かに包み始めています。事態は未だ深刻ではありません。まだ凪の水面のように静かに波立っているだけです。

それはなにもなく終わるのかもしれないし、嵐になるのかもしれない、ただ、私たちは水面の下の動きを注視しなければなりません。

一連の感染症と、その総決算とでも言うべき今回の新型インフルエンザには大きな特徴が2つあります。

ひとつは、人の「食」に直接むすびつく家畜が原因であることです。今回の豚由来の新型インフルエンザ、BSE、コイヘルペス、トリインフルエンザ、豚コレラ、ニバウイルス脳症などがあてはまります。今ひとつは、「人獣共通感染症」だということです。これは人間と動物(鳥も含む)が共にかかる感染症のことです。

Img_0002東大の山内一也名誉教授(ウイルス学)の説明では、これには2種類あってもともと人が体内にもっていたものが動物に移るもの(人由来感染症)と、自然宿主である鳥や動物の体内にいたものが人に移るもの(動物由来感染症)があり、去年からひんぱんに出る感染症はこの後者、動物由来感染症にあたるのだそうです。

SARSは元来中国の広州ハクビシンを自然宿主としていたものが、なんらかの理由で、たぶん食用にした悪食のためだと言われていますが、人に感染したものだと思われます。また、エボラウイルスはザイールの猿を自然宿主にしていたものが、人に感染したものです。HIV(エイズ)もアフリカの森に潜むレトロウイルスが原因と思われています。そして、トリインフルエンザは、自然界の鳥類は大部分発症しませんが、家禽、つまり飼われた鶏、アヒルなどは発病しました。豚は鳥類とヒト共通のウイルスの宿主ですが、ブタインフルによって豚の自然界の親類であるイノシシが死ぬということは考えにくいことです。

これらのことを考えると、背後にひとつの「流れ」が見えてくるのではないでしょうか。

国立国際医療センター研究所の切替照雄研究部長はこう言います。「病原体は基本的には宿主を選んで生存しています。そして宿主どおしでも、動物は森に住むもの、人は人里に住むものと明確に分かれていたのです。ところが乱開発や土地開発で今までなかった接触がおきて、新しい病原体を生む原因となってしまったのです」。

感染症を引き起こすウイルスは地球最古の生物です。それは実に40億年前から地球上で生き抜いてきた原初的な「生命体」なのです。

より正確にいえば福島伸一氏が言うように、ウイルスは細胞膜も外形ももたないタンパク質とRNA遺伝子のみの「生物と無生物の間」の存在です。

このようなウイルスを、ある生物学の研究者は、「古き先住者」と呼ぶほどです。彼らは自分自身では生きられず、必ず他の生物の細胞内に寄生して生きる性格をもっています。「古き先住者」を侮ってはいけない。いや、侮ってきたからこそ、今の事態があるのではないでしょうか。

ウイルスは通常、自然界では無害なまま静かに自然宿主と共存しています。エボラウイルスも森の猿の体内にある段階では発症しなかったし、トリインフルエンザも自然界では発症できないが、なぜか鶏舎では発症する、SARSは自然界のハクビシンは発症しないが、人には感染する、これはなぜなのか人間は立ち止まって、胸に手を当てなければならないでしょう。

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