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お帰りなさいと農は待っていてくれる

_edited_4このところ、私のまわりで農業に飛び込む人が激増している。

自分が創業した有機農産物流通のエライさんを退職して北軽井沢で百姓をやるという今井さん。

どうせ市民農園ていどだろうとタカをくくっていたらギッチョン、ドンっと本格的な面積で、そのために西村先生について研修もどきもするそうだ。あいかわらず勉強が好きな人ではある。

顔は「つのだひろ」(知っていますか?あのメリージェーンだよ)のようだが、根はすこぶるつきの繊細な男で、しかもポップだ。若い頃は若松孝二監督の助監督などやっていたそうである。

有機農業界随一の文化人といえばまず彼であろう。文学はあたりまえ、映画を語り始めると、実に長い、詳しい。だから飲んだ時には、彼に映画の話は振らないことにしている。私が新作のハリウッド映画でわ~い、わ~いといっている時にこの男は、それはそれは渋いスペイン映画なんぞをこまめに見ているのである。

とうぜんのこととして理論派で、やったこともないくせに(やーい)有機農業はなんでも知っていて、現役農業者だということだけが唯一の看板の私の先生でもあった。しかし、同じ農業者になっちまえば、こっちのもんよ、と手ぐすねを引いて待っている。

奥さまはお菓子づくりの名手なので、そのために工房も併設するという。私と一緒で、まったくカミさんには頭が上がらないのが親近感を呼ぶ。この数年、彼の優しい神経がズタズタになることばかりだった。 どうせもうかりっこない農業をやるに違いないのだから、ぜひ奥方ともども農のハンモックでゆったりしてほしい。

そうかと言えば、同じ有機流通界に居たこれまた友人の松岡さんも昨年末に帰農してしまった。彼とはもはや腐れ縁といってもいい仲だ。町に住んでいた28の歳からなんやかんやでつきあってきた。美味い酒も泥水も飲んだ。偶然だが、茨城で再会した。

重度障害者の子供と生きて、とうとう帰農という長年の夢をかなえてしまった。まったくたいしたものである。脱帽。ところが、帰農したやいなや、あろうことか自宅が火災になるという悲劇に見舞われてしまったが、タフな男なので乗り越えたようだ。「つくば“風”農場」という素敵な名の農場を興して、今は夏作の準備におおわらわの時期だろう。

山が好きで、多忙の中でも週末には必ず山に登っていた男だ。昆虫と熱帯魚、そして野の花が大好きな少年のような奴だ。特に、悔しいが野草の名が詳しい。歩きながら、路傍の花の名をふと口にしたりする。うちのカミさんとカルトクイズQ野草版でもやったらいい勝負なのではないだろうか。

しかし、野草名はともかく、いちおう本職ヅラしている私より畑に詳しいのは可愛げがなさ過ぎるではないか(くそぉ~)。これから週末アウトドアーズマンから、フルタイム・アウトドアーズマンだ。農の暮らしと土を楽しんでほしい。

_edited_5 そして、これまた、またまた有機流通界で私の担当をしていた和知さんも、帰農するといって、ほんとうに会社を辞めてしまった。ふわーとした可憐な女性で、見たところ農業という野蛮な異世界に来るという雰囲気ではない。

しかし、人は見かけによらないもので、学校は北海道の畜産大学で羊や牛の面倒を見てきた。私など農業の専門教育なんぞとはまったくの無縁だったので、うらやましい。私も漫画「もやしもん」の影響で、農業大学に入りたい。

ついでに暴露すると、彼女の趣味は和太鼓である。あの筋肉系和楽なのだ。ズンドコズンドコ、あの撥を叩く。たよやかな外見にだまされてはいけないと思う今日この頃である(なにしみじみしてんだ)。

で、和知さんはかの有機農業流通の輝く名門「大地を守る会」(←出荷先なのでヨイショ)に数十倍の難関を突破して入社したのに、あっさりと未練なく辞めちゃったのだ。まったく酔狂である。若者なべてお平らに公務員指向のこのご時世の若い人とも思えない。

そのまま会社にいれば、給料もよく有機農業をサポートできるというカッコいいポジションから、軽々とピョンと農業へ飛んでしまったのである。こうなったら私の好きなタイプの酔狂というべきだろう。親御さんはたぶん反対したと思う。しかしあの軽やかさはなんだ。彼女を見ていると、酔って狂わなければ農業になど来れないなどというのは、私たちオールド世代のたわごとなのかと思えてくる。

まぁこのような人たちは、就農というより「帰農」という昨今はやらない言葉のほうがより似合う。「帰農」なんて言葉、昨今の農ギャルのボキャブラリーには単語登録されてないだろう。

しかし同時に、農業をひとつの就職先と思うのは新たな流れだ。否定しようもない流れだ。農業の魅力は今やかつての農的暮らしにのみなくなってきているのは事実だ。ビジネスチャンスと思って来る人もいるだろう。都会の職業に疲れて来る人もいるだろう。色々な人が、雑多な思いで今一挙に農業に流れ込んでこようとしている。

お帰りなさいと農は待っていてくれる。どんな人でも、どんな過去があろうとも、何が目的であろうとも。

私の出来る範囲でアドバイスをしていこうと思う。できるだけ実践的に、雑誌記事のようにきれいごとばかりではなく。リアルに、泥臭く。それが、今農業に入ろうとしている人が鼻垂れだった、あるいは生れてすらいなかった時に農業という異界に入ってしまった私の義務なのかもしれない。

■上の写真は私たち夫婦の最初の家。あの優雅なカーブがヤマギシ式鶏舎の特徴である。この空き部屋を改造して、暮らし始めた。2年も住んでしまった。

■したの写真は手作りの第一世代の私の鶏舎でニンジンの間引き菜をやるカミさん。巨大ホークでうんとこしょ。腰にきます。

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はじめまして。
株式会社とれいすの工藤と申します。

弊社は、ITで農業やを活性化させて、日本を元気に笑顔に、
ということをミッションとしている会社です。

弊社が運営しているVeGieeというサイトに農家ユーザとして登録していただき、
日々の活動を発信していただきたいと思いコメントさせていただきました。
※URLを本文に記載すると、コメントが拒否される可能性があったため、
urlの項目のところに入力させていただきました。

VeGieeは、農業や食に関する情報を集めて、「農」「食」に関するコミュニケーションをたくさん生み出して、
農業や食を盛り上げていこうというサイトです。

① 農や食関する情報を収集できる。
こだわりレストラン、直売所、農&食イベント・ツアーなど、農や食に関する様々な情報を見ることができます。

② 農や食に関する情報を発信できる。
上記のコンテンツは、ユーザの皆様に投稿、編集していただくことができるので、サイトをみんなでつくっていくことができます。
また、登録いただいた農家、食プロ(飲食関係の仕事をしている方、資格をお持ちの方)ユーザの方には、ブログなどを公開していただくことで情報を発信していただけるようになっています。
こうすることで、食材にこだわっている飲食店の方と、その食材を育てている農家さんの間のコミュニケーションが生まれやすくなります。

※ 登録時にブログのURLを入力していただければ、いままでどおりココログの方でブログを更新していただくだけで、自動で弊社のサイトに投稿される仕組みになっているので、二重で更新する手間は発生しません。


突然かつ長文でのお願いになってしまい申し訳ありません。
まずは、VeGieeを一度覗いてみていただけないでしょうか。
不明点などあれば、メールをいただければ対応させていただきます。

以上、よろしくお願いいたします。

投稿: 株式会社とれいす 工藤 | 2009年5月20日 (水) 23時20分

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受信: 2009年5月21日 (木) 00時45分

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