• 20250119-145554
  • 20250119-142345
  • 20250119-142345_20250119150101
  • 20250119-150249
  • 20250119-152051
  • 20250117-013132
  • 20250117-015927
  • As20241225001545_comm
  • 20250115-143858
  • 20250113-081014

« 新型インフルエンザ、次の危機・強毒化とタミフル耐性・そのシミュレーション | トップページ | 隔離か共存か 第1回 「地球最古の先住者」の復讐が始まった »

2009年5月24日 (日)

新型インフル・マスクに対する大きな誤解

_edited_2  世の中、右を向いても左を向いてもマスクだらけです。 マスクは完全に売り切れで、本来必要な妊婦などの免疫力が弱まっている人達への提供さえままならない状況だそうです。社会全体が不安神経症になっています。

私たち茨城の養鶏に関わった者たちは3年前のトリインフルの巨大発生という事件で、たぶんイヤってほどインフルという感染症を身をもって知ってしまいました。わが農場のわずか3キロ先まで接近したのですから。

ですから、今の世の中のマスク依存症はどこかおかしい。この写真はわが家にある家畜保険衛生所から配布されたN95サージカルマスクです。まぁ、こんなものが配布されるのですから、茨城がいかに凄まじいインフルの嵐の渦中にあったのかご想像下さい。おかげさまで、うちには大量の在庫があります。

ええっとですね、サージカルとは「手術用」という意味です。通常「マスク」というのはフルフェースマスク、あの防毒マスクのように顔面全体を覆うものを指します。これに対してサージカルマスクは、手術用、あるいは軽度の感染危険性しかない場所での使用を前提に作られています。ちなみにこのN95というマスクが、世界で最も強力なウイルス用マスクで、防疫関係者はすべてこれを着けているはずです。

ついでに言うと、これに白い防護衣(これを着るとサウナスーツのようにクソ暑い!)、薄手のゴム手袋(イグザミネーショッ・グローブ)、ゴーグル、白ゴム長靴一式で完全防備の出来上がりとなります。うちいちおうこれ一式あります。こんなもんが一式ある民間人なんて、そうそういませんぜ!これを一式着用して、首からIDらしきものをぶら下げて「あー、どいてどいて消毒しますから」とかなんとか言いながら乗り込んだら、私、まるっきりそちらの筋の役所の人に化けられますよ。_edited_3

さて、マスクの話ですが、結論から言ってしまいましょう。日本人は大きな誤解をしています。マスクはインフル患者が着けるものであって、そうでない人が予防的に着けるものではないのです。

ですから、猫もしゃくしもマスクを着けて通勤している日本社会の姿をテレビで見た欧米の防疫関係者は、ウソかマコトかこう思ったそうです。

「どひゃ~、日本ではこんなに新型インフル患者がいるのであるか!しかも何で皆、元気そうに通勤しているのであるか?日本人は阪神大震災の時にも、瓦礫を乗り越えて通勤してたであるからして、きっとタミフルを飲みながら、解熱剤を打ちながらでも会社に行くのであるか。おお、なんという驚くべきワーカホリック国民であるか!オー、ピティフル、オーマイガッド!」

マスクを着けることによってインフルを予防することはあまり期待しないほうがいいのです。確かに至近距離でインフル患者がゴホンと大きなくしゃみをすれば、数メートルに渡ってウイルスをたっぷり持った唾液や鼻水がミスト(霧)状になって飛散しますから、病院の臨床などのような濃厚な接触状況では着ける意味もあるかもしれません。

しかし、WHO、アメリカのCDC(疾病センター)は揃って、「マスク着用によるインフルエンザ予防の医学的な根拠はない」とまで断言しています。患者か、あるいはインフルで入院した患者の臨床でマスクは使うものなのです。これを受けてか受けないでか、先日の厚労省の会見では従来どおり手洗い、うがいの励行は言われたものの、マスクについては一言の言及もありませんでした。

_edited_4 それともうひとつ。患者数何人という発表も無意味です。日本はそれでなくても、判定キットやDNAから判定するPCR検査設備が、市町村レベルまであるという世界でも希有な検査大国なわけです。

検査大国日本が、レベルが違う諸国と比べるほうがおかしい。日本人特有の几帳面さもほどほどにしたほうがいいと思います。

日本でその気になってPCR検査(遺伝子検査)の国民皆検査でもしようもんなら(そんな予算も暇もないでしょうが)数千人のオーダーでクロ判定が出てしまうかもしれません。中国で日本と同じ検査を実施したら億のケタでクロ判定が出るんじゃないかというのが防疫関係者の内輪のジョークだそうです。

ですから、こんな数字を公表すること自体、徒に国民の不安を煽り、それでなくとも大きく落ち込んでいる経済社会活動を更に低下させることにつながります。また、日本を国際社会に世界3位の感染拡大国だと誤発信しています。

今、国がやるべきことは、すでに破綻している水際阻止や、「一人の患者も国内で出さない」ことではなく、「いかに広がりを抑えるか」です。このためには今の無駄な「検疫」を止め、持てるすべての防疫能力を国内患者の拡大阻止に注ぐべきです

現職の厚労省防疫官である木村盛世さんは、ご自身のHPで、政府の対応をおおむねこう批判しています。現職技官という立場も嚙みしめて、傾聴に値する意見です。

■木村盛世オフィシャル・ウェッブサイト

http://www.kimuramoriyo.com/25-swine_influenza/

[以下引用]

そして最も重要なのは、隔離、学校閉鎖、集会の禁止などはインフルエンザの広がりを抑えるには無効なだけでなく、経済活動に大きな影響を与えるということです。

 (1)咳を伴う熱があれば職場や学校に行かない、(2)咳をするときには口を押さえる、(3)重症になるまでは医療機関を受診しない、ことを政府の広報を通して徹底させることがこれからの広がりの程度を左右する事項です。

 薬は家族や友人にもらってきてもらえるよう、重症な患者が受診できるよう、「発熱外来」と「プレハブ陰圧室」の整備にお金と人をつぎ込むことです。

[引用終了]

私も現段階での新型インフルは季節性のインフルとなんら変わらない、むしろそれより毒性が低いものだとかんがえています。今、こんな初期の段階でパニくってしまい、経済や社会のマヒでも引き起こしたら、これから万が一にも起こり得る可能性のある強毒化、タミフル耐性の出現の時にどうするというのでしょうか。

今は慎重に感染のレベルと拡大状況を見極める時です。マスクを買いあさるような不安神経症に陥らず、国民ができる最低限のことをするしかありません。うがい、手洗い、バランスのいい食事、簡単で素朴ですが、結局まっとうな家庭生活を送ること、これが最大の新型インフルへの防御なのです

■写真最下段は芽吹いたミントの葉。パンっと手のひらで叩いてお茶に煎れたりします。もう少し暑くなれば、大量に摘んで大きなグラスに入れて、グチグチャに上から潰してラム酒とライム、砂糖、氷を入れれば、これでキューバ名物のモヒートの出来上がり。

« 新型インフルエンザ、次の危機・強毒化とタミフル耐性・そのシミュレーション | トップページ | 隔離か共存か 第1回 「地球最古の先住者」の復讐が始まった »

トリインフルエンザ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新型インフル・マスクに対する大きな誤解:

« 新型インフルエンザ、次の危機・強毒化とタミフル耐性・そのシミュレーション | トップページ | 隔離か共存か 第1回 「地球最古の先住者」の復讐が始まった »