続々々 農地法改正 10年遅かった輸血手術
戦後すぐの昭和27年(1952年)に制定された農地法は、小規模農家(小農)の権利を保護する目的で作られたそうです。戦前の地主制度の復活を許さないという強い意志がこの法律には込められています。時代的な意味はあったといえるでしょう。
確かにその時代に農業に新規に参入しようという物好きな人や企業などは考えられもしなかったのは確かです。なにせ国民の6割が農民で、不況だといえば故郷に帰って百姓でもするかという時代です。
それが半世紀の間に大きく状況が変化していく中で、かんじんの守るべき小農は老化と兼業化が進み、街へと働きにでていくパートタイム農家に変身してしまいました。後継者も極小の状況があたりまえになってしまいました。農業は今の形のままではもう5年後には自動的に消滅してしまいます。
ここまで追い込まれて初めて農水省は重い腰を上げたのでした。なるほど、現実には農地法を軸に作られた法律がまるで迷宮のように入り組んでいて、これらをひとつひとつを改訂することが至難だったと農水省関係者は言っているようです。また、農地法を扱う責任部署が、地域行政なのか、農業委員会なのかといったいかにも日本的な地域行政の曖昧さも指摘されています。
しかし、そのようなことを勘案しても笑うべき農水省の因循姑息ぶりです。農家の高齢化問題などは、突然生じた問題ではなかったはずです。小学生が考えても、10年前に2010年代には農家平均年齢が60歳を超えるということなど分りきっていたはずです。ならば、農家平均年齢が50歳を超えないまでに、その対策を考えておくべきが農水省の仕事のはずではなかったのでしょうか。
(続く)
■関連旧記事
なぜ、日本農業は大規模化できなかったのか?4回シリーズ
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_4dc5.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_049b.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_a70f.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2008/06/post_5a59.html
■参考
*農地法改正反対アピールhttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-05-12/2009051205_01_1.html
■「ありんくりん」は読みたいんだけど、なんせ長くってねぇ~という野生のトキ様などのご意見をお聞きします。すまんこって。いちおう農業系オピニオンプログなもんでどうしても長くなっちゃうんです。そこで、できるだけ読みやすくするために、本来は同じタイトルで書いたものも、今回ていどの長さで切って文載することにしようかと思っております。すると今度はシリーズ回数が増えることになりますが、ごかんべんを。
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