人の手を離れた竹の反乱 その2 耕作放棄地は竹藪だらけという実態
竹は、今やかならずしも歓迎されない存在に転落してしまいました。資材は工業製品に変わり、タケノコすら中国からの輸入品が通年出回るようになりました。かくして人の手を離れた竹は暴走を始めます。下の写真をご覧ください。これはわが地域の耕作放棄地の調査の折りに撮影したものですが、畑の向こうには竹林が見えますね。
そこの地主さんに聞くと、あそこは元は傾斜地の畑だったそうで、使い勝手が悪いのでほったらかしにしておいたところ、みるみるうちに竹に侵攻されてしまったそうです。このような畑は随所に見られます。今回の耕作放棄地調査でも明らかになりましたが、放棄地の大部分は今や竹(特にマダケ)と、シノダケで覆われています。
森林が切り開かれて太陽光が地上まで充分に差し込むようになった土地に、真っ先に竹やシノが群落化していきます。本来は照葉樹に遷移していく初期の段階なのでしょうが、人の手が入らないために竹群落ばかりがはびこる結果となってしまいました。
左写真の右上を見て下さい。木の下に一面に笹竹が見えます。これが今言った通称シノダケ、学名アズマネザサです。竹亜科の中でも笹に属する植物です。これもたちが悪い。関東では猛威をふるっています。
わが農場も初期の頃はごたぶんにもれず、こやつとの戦いで苦戦を強いられて、それでなくても狭いわが農場がシノダケでぐんぐん狭まるという苦境に追い込まれたことがありました。
作りかけの母屋などシノダケに覆われて、どこが作業現場か分からないことすらあったのですからシャレになりません。夏の間暑さにめげて作業をしなかったらシノダケに覆われて、土台などはたちまち藪の中のアンコール遺跡のように。角形UFOの着陸跡などと言われるとほほの始末。
もう地上部を刈る、スコップで根をほじるといった手作業ではどうにもならず、最後はブルドーザーを借りて来て地下十数㎝まで削って、バリバリと根絶させねばなりませんでした。こうなるともう土木作業です。
それでも尚、残ったシノダケの根の残党からひょこひょこと芽が出て来るのですからしぶとい。まぁ、そのていどならかっとばせばいいのですが。と、まぁこのように竹と人間は、勝ったり負けたり、はたまた利用したりして暮らしているわけです。
しかし、考えてみれば本来は「闘う」必要などなかったのです。大いにヒトにとっても利用価値があったフレンドリー・プラントの竹を、モンスタープラントに変えてしまったのは他ならぬ私たちヒトなのですから。農業の衰退はこのようなところにも顔を出しているようです。
■写真はヒルガオの花粉採取に余念がない在来種のニホンミツバチ。仕事中にふと目にしてカメラを向けましたが、あまりに没頭していてまったく人など知らぬ気。いいのか、まるっきり無防備だぜ。
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コメント
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初めまして。
竹薮の場所はどこへんですか?沖縄本島北部ですか?
投稿: 桃 | 2013年3月 1日 (金) 22時56分