対決!オオスズメバチ VS ミツバチ
故吉良さんのご指導で 蜜蜂を飼ってみました。今年もまた養蜂に挑戦したいと思っていたところ、なんと言うことか、吉良さんがこの5月に急逝されました。
エネルギッシュにして軽妙、そしてなんともいえない温もりのある氏の突然の訃報に私は声も出ませんでした。氏からもっと教わりたかった。心からご冥福をお祈り申し上げます。氏とはたったひと夏のはかない師弟関係となってしまいましたが、沢山の楽しい話を教えて頂きました。
そのひとつに、吉良さんが笑いながら話してくれた「ニホンミツバチの布団蒸殺法」という話があります。ミツバチの天敵は言うまでもなく、あのオオスズメバチです。歌舞伎町か池袋の裏町あたりでブイブイいわしてそうな見るからに危ない蜂です。あのオレンジ色と黒の趣味の悪いヤンキー風シャツ(警戒色といいますが)を着こみ、刺されると人間さえ危ない。
上の写真の中心でセイヨウミツバチが寄ってたかって闘っている巨大な蜂がこの自然界のギャング・オオスズメバチです。実は、この写真のフレームの外には、巣を守るために散ったミツバチ戦士の死骸が沢山散らばっています。
オオスズメバチにとってミツバチの巣ほど美味しい餌場はありません。オオスズメバチはミツバチの巣を発見すると、まず周囲の樹などにマークフェロモンという誘導物質をなすりつけます。
このマークフェロモンがプ~ンと揮発して、「オーイ、ここにオイシイ獲物がぎょうさんあるでぇ」(←なぜか河内弁がなじむ)と仲間を呼び集めるわけです。仲間が3匹あつまると、おもむろにミツバチの巣の襲撃にかかります。自然界でのミツバチの巣は樹の祠や草むらにありますから、当然ガードする門扉のようなものはありません(巣箱の場合はあります)。たちどころに巨大なオオスズメバチはガード役のミツバチを大きくて鋭い顎でかみ殺し、抵抗するミツバチを片端からかみ殺しながら巣の中に侵入していきます。
続々とオオスズメバチのターミネーター軍は数を増し、数十匹にも達するそうです。残念ながら、この時点で勝負はついてしまっています。わずか2時間で4万匹ものミツバチが全滅したこともあるといいます。圧倒的なパワーの差、なんとも凄まじい破壊力です。まるでターミネーターと人間の抵抗軍の戦いのようです。
こうしてミツバチを全滅させた後に、オオスズメバチたちはミツバチが営々と蓄えた蜂蜜や幼虫とサナギを根こそぎ自分たちの巣に持ち帰り、飲めや歌えの大宴会を開くのだそうです。まことにむかつく奴らです。
ではミツバチがなすすべがまったくないのかというと、そうでない例がひとつだけあります。ニホンミツバチは彼女たちしかない方法で凶悪なオオスズメバチから巣を守っていることが分かってきました。それが「ニホンミツバチの布団蒸し殺法」です。
(続く)
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