ウルムチの悲劇
この世は不条理で満ちていると思うときがあります。またもや、中国で少数民族であるウイグル族の「暴動」がおき、少なくとも中国政府当局の公表した数字では、死者140人以上、負傷者828人にのぼります。
また、ウイグル世界会議が、ウルムチ現地からの情報として伝えるところでは、死者は500人を超え、1000人という驚くべき数に登っているとも言います。
7月5日に起きたウイグル民族の「暴動」は、初めは非暴力的な平和デモであったことは明らかです。これはyoutubeにアップされた動画や、左の市民撮影の映像からも確認することができます。いたって平穏な市民デモであり、一般の国ならば、まったく問題のない合法的な抗議デモであることが確認できるでしょう。
■http://www.youtube.com/watch?v=T24eO8AnG2k&feature=related
しかし、この平和的なウイグル族のデモに対して、武装警察(武警・治安用準軍隊)と、特別警察(特警)が進路を阻み、強制排除に乗り出しました(写真下・市民撮影)。なぜ自動小銃と装甲.車で武装する武警が、このように早い時期に投入できたのかといえば、それはウイグル族の住む新疆ウイグル自治区、あるいはチベット自治区には、常に大量の武警と軍隊が常駐しているからです。
そして武警とウイグル民衆とが衝突し、その一部が暴徒化し漢族の市民を襲撃し、バスや警察車両を焼き払ったという映像や報道が繰り返しなされました。それはこの数日の新聞、テレビでご覧になったと思います。
ところが不思議なことには、この暴徒化するデモやバス焼き討ちの映像は新華社と国営CCTVの官製報道のもので、市民撮影の映像にはないのです。(上の写真は市民が携帯で撮影したもの・下の炎上するバスは新華社の発表)
これも通常の民主的国家ではありえないことです。もし、日本で150人もの死者を出すような騒乱が起きたのなら、ありとあらゆる膨大な映像と情報が飛び交うことでしょう。
ところがこの警察国家というのもおこがましい中国においては、少数民族がデモをすると同時に、インターネットと外部への電話が切断されます。このウイグル「暴動」も、その発生と同時に遮断されました。
試みに、現在の中国がいかなる一党独裁の全体主義国家なのかは、Yahooチャイナを検索されるとわかるでしょう。「六・四」、「天安門事件」を検索してみて下さい。出て来ないはずです。すべてがフィルタリングというインターネット統制に引っかかってしまうからです。
それどころか、中国国内でそれを検索すれば、したアドレスまで逆探知され、その時からあなたは常に、公安警察の監視下におかれることでしょう。
しかし、それをくぐり抜けるようにして、市民が撮影した映像や情報がTwitterなどを通して秘かに外国に伝えられました。あまりにむごいので、アップはいたしませんが、この中には虐殺されたウイグル市民の遺体の映像もあります。
いったいなにが7月5日、ウルムチで起きたのでしょうか。手に入る資料で見ていきたいと思います。
(続く)
■最初の写真 私が96年8月に、今回の事件の起きたウルムチで買ったウイグル族の銅製のポット。イスラム独特の微細な彫刻がなされています。
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