民主党日米FTA締結マニフェストの続報! 農村はテンヤワンヤ
昨日の民主党「新政権」のチュド~ン!の爆弾政策の発表から一夜明けました。
あいもかわらず、地上波、全国紙はだんまりを決め込んでいます。多分なにが問題なのかわかっていないのではないのでしょうか。
民主党のマニフェスト全文は以下です。 http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf
末尾にそれは地味に、7の外交の(51)にちんまりと日米地位協定の見直しに並んで出てきます。日本農業を沈没させかねない政策をこんな文末にちょこんと出してくるなどとニクイですねぇ、くはは。
などとのどかに笑っている場合ではないので、昨日午後に面識のある民主党候補者の事務所に電話してみました。候補者当人は奔走中で、秘書が出てきましたが、「いや、まったく状況が分からないんです。こちらも農業新聞を読んで知ったばかりなもんで。先生もそれで朝から大変で、ともかく自由化なんか絶対にありえない話で、中央に聞いてみないと・・・そのあの、ともかく、ゼッタイにありえませんから、ご安心を」、だそうです。
なにがご安心を、だつうの。届いたばかりの「日本農業新聞」(7/29)は、一面から怒り心頭です。一面、2面、社説、怒りの一色です。今までの民主党に秋波を送っていたかのような紙面作りから、一夜でガラリと様変わりしました。
2面には、前のシャドーキャビネット農相の篠原孝議員のこんな談話が載っていました。「日米FTAなどありえない話だ。(略)現場を混乱させるもので、党としての正式の説明が必要だ」とのことです。しかし、篠原さん、あなたは民主党の農政の頭脳と自負なさっていたはずでしょう。民主党農水族の隠れもしないリーダーのはずです。「新政権」の農水大臣の呼び声も上がる方です。それが自分の党のマニフェストを、「ありえない」なんて言ってしまっては、他の農村部の候補者が何をか況んや、じゃないでしょうか。篠原さんのような枢要な農業議員も知らないところで、このマニフェストが出来てしまったとでも言うのでしょうか。
そしてそもそも、篠原氏が提唱してきた農業直接支払い制度、今は名を変えて農家戸別所得補償制度とは、関税で輸入農産物をブロックするではなく、それで発生するであろう農民の所得の損害を直接支払いで補塡していこうというのが本来の主旨だったはずです。直接支払い制度はどこからどう見ても、今の農業の衰退の現状に対しての政策というより、WTOやFTA締結を見越しての政策だったわけで(*これについては氏は否定)、それを選挙前だからといって持論を引っ込めるのでしょうか
つまり、「ありえない」どころか、そもそも農家所得補償制度それ自体が、農業の全面輸入自由化があって成立するものだということを篠原氏はよくご存じなはでず。なぜなら、それが氏が熟知しているEU域内自由化がなされた時に、欧州各国が取った政策だったからです。
私は篠原議員と永田町の議員事務所で対談したこともあり、氏からわたされた膨大な資料も読んでいますので、私のこの理解で間違いないと思いますが、いかがですか、篠原さん?
民主党は明解にこう言うべきでしょう。「民主党が政権を取ったら、輸入農産物を全面自由化をする。そのために出た所得の損害は農家所得補償制度で救済する」と。
ただし、その場合の損害はたった1.4兆円などという定額給付金にも満たない金額ではありえるわけもなく、その数百倍となることでしょうが。
今、民主党の農村候補者はパニックのようです。「農業新聞」は今日の社説で、かつて小沢民主党の時代に「農産物全面自由化」を打ち出したことをやっと思い出したようです。そして地の記事でも「日米FTA締結について、充分な説明ができるかが、農村票の行方にも大きく影響がでそうだ」と結んでいます。
まぁ、そのとおりでしょう。現在、まったくデレビ、新聞で報じられていませんが、この数日で農村部にはくまなく知れ渡り、農民は不安を募らせることでしょう。民主党は前回の参院選で1人区、つまりは農村票の雪崩的な民主党への流れで大勝したことを忘れてしまったのでしょうか。
ほぼ確実だった「民主党新政権」の行方は、この「ありえない」民主党の農業マニフェストにより農村部に関してはまたもや不透明とあいなりました。
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