うちの市にも有機農業推進協議会が出来たけど・・・第3回 農水省モデルタウン事業の魅力と危険性
さて、このような疑問がむくむくと胸中に湧く中で、代表呼びかけ人のIさんの冒頭挨拶がありました。
この中で、Iさんは「この申請が農水省に受理されることを確信しています」と述べました。これで納得しました。ああそうなのか、やっぱりアレなのか、と。
「アレ」とは、農水省の有機農業モデルタウン助成事業のことです。農水省は一昨年に、有機農業推進法を受けて、独自の有機農業支援策を出しました。これが、モデルタウン事業というもので、総額が5億円、各地の応募対象地に対して毎年約400万円を5年間(*09年度申請だと4年間)に渡って交付します。つまりこの申請に通れば、一地域で約1600万円にも登る助成が受けられることになります。
実は、私はこの農水省モデルタウン事業を、当初の段階から知っていました。茨城県有機農業推進フォーラムの代表として農水省の説明会に直接出向いたからです。そしてそれを持ち帰って、県フォーラムの役員会でも何度となく討議されてきたものだからです。
県推進フォーラムは、このモデルタウン事業の魅力とその危険性を考え抜きました。確かに魅力的ではあります。今まで一切の国の支援なき荒野で孤軍を強いられてきた有機農業にとって、頼もしい支援であることは間違いありません。国の意気込みも評価します。
また行政と協同することが義務づけられているために、今まで有機農業に後ろ向きだった地域の自治体行政を巻き込んで地域有機農業運動を進めることの意味は、とても大きいと思われます。
またその支援方法も、従来型助成の堆肥舎やトラクターなどの箱ものを対象にした政策ではなく、広く地域の有機農業を拡げていくためのすそ野作りを目的にしていることも好感が持てました。
しかし、農水省は複雑な有機農業の実態をまったく理解していませんでした。農水省は、従来の慣行農法のようにJAが取り仕切ることを無意識にイメージしていたに違いありません。
今までの日本ではJAと行政は一体化して、地域農業を指導管理してきました。ですから、このモデルタウン事業構想はこの従来のやり方の踏襲だったと思われます。しかし残念なことに、この認識は現状の有機農業が生きてきた地域の実情と大きくかけ離れていたのです。
それについては次回ということで。
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