エンザロ村のかまど ケニアのお母さんの悩み
では、このカマドが出来る前まで、どんなことをエンザロ村の主婦はしていたのでしょうか。
主婦は地面に大きな石を3ツ並べて、その上に鍋を乗せて料理をしていました。
みるからに大変そうです。キャンプファイヤーならともかく、毎日のことです。このやり方は考えてみるまでもなくこんな大変さがあります。
まず腰に来そうです。中腰を長い時間続けていると、この絵のウガリ作りなど、トウモロコシの粉を練っているだけで腰痛になりそうです。
次に熱が無駄になっています。石の間からどんどん火が漏れているでしょう。これではせっかく苦労して集めた薪が無駄になってしまいます。
そして危ない。キャンプをやった人なら分かるでしょうが、裸火にうっかり子供が近づいて火傷をしかねません。また安定が悪いのでなにかの拍子に触ってしまい鍋ごとひっくり返りそうです。
お母さんにとって一番の悩みは、お湯を沸騰点まで沸かせなかったことでした。70度以上に沸騰させないと病原菌は死にません。しかし、沢山の料理を作った後に、またお湯を沸かすということはとても重労働で、お母さんたちには分かっていても出来なかったのでした。
お湯を沸かすという、私たち日本人からみれば簡単なことが、ケニアのお母さんにとっては大変なことだったのです。そのために細菌が入った汚れた水を飲んで乳幼児が沢山亡くなっていました。
水を汲む上流で家畜の糞尿が流れ込んだり、川上の村で病気が出たりすれば、その汚染された水をいやでも飲まねばなりませんでした。そのことによる感染病がいつもつきまとっていたのです。その犠牲になるのは、いつも抵抗力の弱い乳幼児や子供たちでした。
このケニアのお母さんたちの悩みを解決したのが、このエンザロ・ジコ、つまり「エンザロ村のかまど」だったのです。
(続く)
■すべての画像は「エンザロ村のかまど」さくまゆみこ 沢田としき(福音館)によります。ありがとうございました。
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