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2009年7月13日 (月)

2009年7月5日、ウルムチで何が起きたのか?  自国民に銃を向けた中国政府

_edited_2イスラム圏を旅していると、金属装飾好きの私やカミさんは、旅の終わりにはまるで金物屋と化してしまいます。空港でキンタンに反応してビービー鳴るし、カスタマーでは何これ?と聞かれるし、第一重いしね。

カミさんなど、直径80㎝はあろうかという錫(ピューター)の大きなお盆を抱えてモロッコから帰ってきたことがありました。到着ロビーからまるでローマ時代の楯のような巨大なお盆を引っ提げて出てきた時には、さすが私も驚きましした。なんでも、タジンというクスクス料理を盛るそうです。

イスラムの彫刻は、偶像が宗教的に禁止されているために、細緻な発展を遂げました。一般庶民が使う上の写真のような銅製の薬罐でも凝った文様が彫り込まれています。これはウルムチの隣街であるカシュガルの職人街で買ったものです。

店の奥で、オ ヤジがトンカンと薬罐を叩き出し、小学生くらいの伜が店番をしていました。数十個の薬罐や鍋がシルクロードの風にガランゴロンと鳴り、金物好きな私を飽きさせません。いつかまた行くと心に決めながら行きそびれているうちに、こんな悲惨な事件が起きてしまいました。

M965787月5日のウルムチで、正確に何が起きたのかは未だ闇の中です。

当局の公式発表すら時間を経過するごとに死傷者数が鰻登りしています。世界ウイグル会議は、死者を1千人から3千人と伝えています。当局の発表とは桁が違います。

また、現地ではようやく行方不明者の登録が開始されました。この行方不明者だけで膨大な数になると思われます。

このウルムチの悲劇は、国際調査団が入らない限り真相が明らかにされることはないでしょう。しかし、中国政府がそのようなものを受け入れる可能性がゼロである以上、亡くなった多くの人々は恨みを呑んで葬られることになるのでしょうか。

しかし外国メディアの取材でおぼろげな状況は分かってきつつあります。朝日新聞の7月12日のウェブから引用します。

以下引用

「デモは平穏に始まった」…ウイグル騒乱、そのとき何が 

 【ウルムチ=奥寺淳、西村大輔】中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチ市内で起きた大規模な騒乱から12日で1週間になる。当局の発表だけでは事実関係はわからない。何が現場で起きていたのか。騒ぎが拡大した経緯を、目撃証言からたどった。 ウイグル族のデモは北京時間の5日午後6時ごろ、市中心部の人民広場近くで始まった。非公式の現地時間で午後4時ごろにあたる。同日昼、「合法的に政府に抗議しよう」という携帯メールが出回っていた。「平和的だった」とウイグル族は口をそろえ、漢族の飲食店員(31)も「暴力をふるう様子はなかった」と証言する。

 だが警官らが立ちはだかり、一部が衝突。多くは大通りの解放南路を南下し、付近のウイグル族が次々と合流。規模が膨らみ、制御がきかなくなっていった。

 衣料品店員(27)は午後8時ごろ、解放南路でデモ隊と出くわした。すでにれんがや棒を持っていた。ほかの市民とともに隊列に加わり、「自由が欲しい」「ウイグル族よ団結しろ」と叫んだ。デモ隊は治安部隊に前後を囲まれ、石を投げて抵抗した。

 M27941前方の治安部隊が空に向かって警告射撃を始め、その後、水平に撃ち始めた。タタタタと銃声がし、50人ぐらいが倒れた。下半身を狙っているように見えた。銃弾が脇腹に命中し、苦しむ女性がいた。「帰れ、解散しろ、早く行け」と治安部隊が叫ぶ。

ウイグル族のある男子高校生は、解放南路の交差点で三方から治安部隊がデモ隊を囲み、発砲するのを見た。路地や団地の中庭などに逃げ込むデモ参加者を治安部隊は発砲しながら追い、拘束した。

発砲を目撃したウイグル族住民の男性(45)は「午後9時すぎ 、大勢の警察が遺体を引きずって片づけていた」と証言する。

 ウイグル語ウェブサイト「祖国ウイグル」の情報によれば、5日、ウイグル族と警察の衝突は市内4カ所で起きた。ウイグル族居住地区の山西巷では17人が警察の車にひかれて死亡したという。

 ウイグル族の男性会社員が怒りを込めて話した。「民衆を銃弾でねじ伏せた点では天安門事件と同じだ」     (朝日新聞7月12日3時5分)

引用終了

各種の報道を整理してみるとこのようになります。

①7月5日の午後6時頃。広東省韶関市で起きた漢族のウイグル族殺人事件に抗議して、非暴力的なデモが自然発生した。

②この平和的なデモに対して、武装警察が阻止線を張り、鎮圧した。ウイグル族関係の情報ではこの時、不審な者が多数現れて、バスに放火を始めてデモを混乱させたと証言している。このような挑発者が平和的なデモ紛れ込んで、暴徒化させる手段は、一昨年のチベット「暴動」時にも使われた。

この段階で新疆の外部とのインターネット、電話回線は切断された。

③午後7時半頃、これに抗議して市内のウイグル族が集まり始め、「ウイグルに自由を!」と叫ぶ3千人から4千人規模の大きな抗議行動に発展した。民衆の一部は武装警官に対して投石で抵抗した。また、興奮したウイグル族による漢族襲撃もあった(この事実は世界ウイグル会議も確認している)。

124743636505216209827午後7時半から8時頃。人民政府は武装警察に対して無差別発砲を許可した。最高責任者の胡錦濤は不在だったが、中央政府の命令なくして、自国民への発砲が許可されるとは思えない。

⑤武装警察の 自動小銃による発砲は、病院に搬送された遺体や負傷者の多くが、ウイグル族と漢族を問わず、頭や胸に被弾していることから、無差別発砲だったと思われる。この無差別発砲により、ウイグル族、漢族双方に千名を超える膨大な死傷者を出すこととなった。このような膨大な死傷者は、ウイグル族「暴徒」による投石では説明しきれず、組織的な虐殺行為、ジェノサイドがあったことを物語っている。

ウイグル人の居住区である天山区の通りでは、戦争が終わったばかりの惨状で、大勢の死傷者と死体が路上に横たわっている。

⑥この事件による逮捕者は1,434人。一晩の逮捕者としては異常に多い数字である。当夜集まったウイグル民衆が3千人規模と見られるので、うち千人以上が死傷し、1,500人が逮捕拘束されたことになる。つまり、集まったウイグル族民衆で無傷で家に帰れた者はごく少数だったということになる。

124743729285116211949現場にいたウイグル人高校生の証言によれば、武装警察により、解放南路の交差点で三方向から包囲され、三方から射撃を受けたという。これは警察活動ではなく、むしろ軍事的な制圧行動と呼べる。

ロイターの記者はグランバザールの横にある中国銀行の窓に弾痕を発見した(左上写真)。この弾痕は、弾丸が水平方向から発射されており、窓が頭の位置であることから頭部を狙い打った連続射撃であることを証拠立てている。

翌6日に、意外なことに政府当局は外国メディアに取材を許可したが(*チベット「暴動」では封鎖期間が長期に渡った)、当局者に率いられた取材ツアーであり、中国政府の公式見解(ウイグル族暴徒の漢族への襲撃事件)と異なる報道は禁止された。それを無視した外国メディアが多数拘束された。その中には日本人記者もいる。そのような当局の隠蔽工作にもかかわらず、家族の安否を心配するウイグル女性が、外国メディアに必死の訴えをし、真相が徐々に明らかになった。

124700948270416232593⑧7日。漢族による組織的な暴力デモがあった。漢族は公然と武器を所持し、わが者顔にウイグル族の商店や居住区を襲撃した。この時、武装警察はまったく黙認し、制止すらしなかった。これは外国メディアの眼前で行われたために、多くの証言と写真の証拠がある。

⑨現在、治安は平常に戻ったとされているが、ウイグル族に対する事後逮捕が大規模に続けられている。また、密告が奨励され、両民族の間には決して埋めることの出来ない亀裂が刻まれた。

⑩国際的人権団体アムネスティ・インターナショナルは7月6日に声明文を発表し、この抗議行動で亡くなった人々に対して、「透明かつ独立な調査が必要である」と指摘した上で、逮捕されたウイグル人の釈放を求めた。

東トルキスタンのイスラム教モスクが閉鎖された。現在に至るも現地のインターネットと海外電話通信は切断されている。

残念ながら、わが国も含めて各国の反応は鈍い。

(続く)

■写真2番/8日ウルムチ市内に進駐する武装警察軍。撮影者AFP■写真3番/屋上より携帯で撮られたジェノサイド。撮影者不明。■写真4番/ウイグル族老人に自動小銃を向ける武警。「武装警察」を名乗っているが、実体は迷彩服を着用し、自動小銃と装甲車で武装した軍隊。撮影者共同通信■写真5番/市内中心部の中国銀行の窓の弾痕。人の頭位置に連続射撃されている。撮影者ロイター。■写真6番/武装警察の横を堂々と武装して通る漢族。撮影者ロイター。

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