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2009年8月

ぜんぜんつまらなかった衆院選挙              肝心なことがなにひとつ議論されていない!

Img_0010 選挙が終わりました。なんともうるさい割りに、白茶けたような選挙戦でした。

わが茨城2区はすさまじいデッドヒートがあったようです。かの額賀福志郎さんに猛追していた民主党新人候補が、とうとうわずか2400票の僅差を征して勝ってしまったのです。「なんだって額賀さんが、たかだか大洋村の村長あがりのルーキーに負けたぁぁぁ~!」という声にならない悲鳴が、昨夜わが地方に拡がったことでしょう。

まぁそれでも、額賀さんは、とりあえず北関東比例代表1位で救われたものの、「保守王国」茨城で選挙区で守った議席はただひとつ。この地に25年お世話になっているよそ者から見ても、信じられないような風景です。

全国でも同じように自民党にとって惨憺たる状況のようです。JA準機関紙「日本農業新聞」(8月31日)によれば、自民党農林族は大物からバタバタと切り倒されていきました。全国農業者農政連盟(農政連)といういわばJA農協の政治部門みたいな組織があるのですが、これがまったく機能しなかったようです。

_edited 自民党農林部族のボスを束ねてきた谷津義男総合農政調査会長、落選。西川公也農業基本政策委員長、落選。赤城徳彦元農水大臣(あのバンソコーの方)、落選。これで伝統ある自民党農水族はほぼ壊滅状態でしょう。石破さんは残りましたが。

一方民主党は、筒井信隆氏、篠原孝氏、以下略で全員当選。なんか書き写すだけで疲れそう。ま、農水省にとってこの人達があらたな農水族となるわけです。9割が新人議員です。海千山千の農水官僚とどこまでやりあえるでしょうか。

「日本農業新聞」によれば、選挙区で自民党候補に入れた人が、比例区では32%の人が逆に民主党に入れているという投票行動だそうです。つまり、「選挙区の自民党候補はおらが地域の代表で義理もあるだから、今までどおり入れるっぺが、比例は別だぺ」ということですな。また農村の若い層が、民主党に投票する傾向が強かったようです。

なんか腰がヘナヘナ~となってきますなぁ。いえ、民主党が308で、自民が119議席だったなんざどうでもよろしい。私は実は自民100切れだと思っていたので、正直言って、踏ん張って俵に足を残したじゃないか、てくらいです。こんなこと言っているのは私くらいかな。マスコミは夏祭とカーニバルがいっぺんにやってきたような狂騒状態ですから。

私は今回の衆院選の報道のあり方に多きな疑問を持ちました。そのことについてもう少し続けます。

■本稿は後半部分を昨夜アップしましたが、長過ぎるので分割して、次の記事にいたしました。ご了承下さい。

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稲刈り前に、台風なんか来るんじゃねぇ!

Img_0008_2 台風が近づいています。いやな時期に来たものです。

田んぼは、もう早い所では稲刈りを始めています。この稲刈り寸前の台風というのは、下手をすれば,せっかく実った穂が倒れて床土に着いてしまい、そこから芽が出てきます。

こうなると、直ちに引き起こさないとやばい。そこから芽が出てしまいます。麦芽ならぬ米芽はシャレになりません。そこから、せっかくこの天候不順(←仲間のお百姓が言うに、冷夏というほどではなかってので、ま、いいかなと)の夏に健気にも蓄えたでんぷん質がどんどんと失われていくことになります。

そうなると一所懸命に倒伏稲を引き起こしても、まったくうまくない米となってしまいます。これがつらい。収量はともかく(いいわきゃない)、照りもなければ、美味さの芯がない味の新米となってしまいます。

_edited_3 実は一度やりました。就農して何年めだったか、まだルーキーだった私の田んぼは、田植えがなんせ田んぼづくりから入っていたために6月の中旬、いや下旬といったほうがいいような時期に入ってしまいました。

回りの田んぼの苗が、完全に活着して初期除草なんてやっている時に、悠然と(内心はあせあせです)田植えをやっているのは、けっこう鉄仮面の私でも恥ずかしいものです。

完全にこの地方の農事暦には一カ月半分ズレていますから、とうぜんのこととしてシッポの稲刈りの方は9月の下旬にズレ込みました。これまた、こっ恥ずかしいものです。回りの田んぼがすっかり稲刈りを終えたスケスケの田んぼなのに、この私の田んぼは未だ熟さぬ穂がわさわさと風になびいておるのです。

私の田んぼの師匠などは、毎日のように田んぼに来ては、穂を取って成熟具合を見ると、「おいこらお前、オレに恥をかかせるつもりか。もう台風くっぞ゙!」などとプレッシャーをかけるし、お師匠様、むごいでございます!もう半ベソ。

あ、今の穂を取って見るというのは、師匠に教えて頂いた収量予測調査の基本なのです。一本の稲の茎が地中で何本に分結し、そこから発生した穂にいくつの籾が成っていて、更に籾の中にしっかりとでんぷん質が蓄えられているか、これを師匠はしっかりと見ているわけです。

そのくせに、師匠は刈り取っていいとは言わず、ああ暦は流れる水車、輪廻転生の理あり(←なんのことだ)。で、来ました、台風。タハハです。私は、自慢じゃありませんが、いややっぱり自慢か、台風に関しては相当に動じません。沖縄でダテに百姓修業やってませんから。

しかし天よ泣け!こともあろうに年にたった一回の稲の収穫間際に襲来の台風が来たのです。これで倒伏すれば、今までの努力はパーとなります。

_edited_4師匠の読みは、マーフィの法則のようにピッタリと的中し、台風が来ました。前日の夜半から猛烈な暴風雨。当時私が住んでいた鶏小屋がきしむほどです。近くで樹がズズンと倒れる音すらします。

私は鶏小屋住居の中で、ひとりタオルの鉢巻きをして、茶碗酒をグビグビと飲みながら大嵐に耐えたのでした。ただ 途中で寝てしまったのは、天が私の潔い心根に微笑まれたからに違いありません。

翌朝、爆撃にあったような田んぼを見ました。泣く?泣かねぇよ。やること一杯あるもん。カミさんとふたりで、田んぼの両側から倒れた稲をエンヤコラとロープで引っぱり上げて、それでも半分の稲しか救えなんだ。

半分はそのまま穂から芽が出てまるで米のモヤシ。

■写真上 珍しくも撮らせていただいたアカネ一族。たぶんナツアカネだと思います。アキアカネ(いわゆる赤とんぼ)はもっと鮮烈な紅です。トンボの品種はとても難しいのです。幼体と成体、雄と雌がまったく違ったりするのはあたりまえです。

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NIPPON発bento、キュート!

_edited ニコニコ動画によると、日本のお弁当が海外で驚きと崇拝の的になっているそうです(「産経新聞」8月27日)。

あ、はは、なんかちょっと嬉しい。たとえばこんな風。

「bento(弁当のことですよ)に憧れる。あの箱には夢と料理が入っている」(オランダ)、「いろんな料理がちょっと入っていて、とってもキュート!」(アメリカ)、「bentoを日本の女の子に作ってもらうのは最高の栄誉です。」(フランス)、てな具合。

海外の諸君、そうであろう、そうであろうとも。日本のbentoは世界に冠たる食のエッセンス、もはやゲイジュツにの域に達していますからね(←私がエバる筋あいではないが)。ブログ仲間のゆっきんママさんの子供相手の食育教室で、前に弁当をやっていたのには感動しました。どの子の弁当も美術的といえるような繊細さ。食材で絵を描くという伝統は、私たち日本人にはなんということもないですが、外国人にはぶったまげることらしいですね。

ついでに外国の諸君らはこんなことにもびっくらこいていました。「itadakimasu」、そう、いただきますです。これを彼ら初めは宗教的な習慣だと思ってたみたい。いちおう日本人はブッディストに分類されるので(国民全部が無宗教という分類は世界にはない)、仏教関係の祈りかなにかと思っていたらしいのですが、ちと違うわけです。

_edited_2 「食べる前は命への、食べた後は作ってくれた人への感謝と懺悔の言葉だ。彼ら日本人はそれを大事にする」(フランス)。ちょっとハズしている気もするが、まぁいいでしょう。躾けのいい利発な男の子だった私など、授業中の早弁の際にも、小さな声で必ず「いただきま~す」とつぶやいていたものです。う~ん、いい話だ。

さて皆さん、外国の弁当ってみたことありますか。前になにかでアメリカの高校生のラッチボックスを見たことがありましたが、どうみてもボソボソのパンにピーナッツバターか、ジャムが塗ったくってあるだけで、それにバナナかリンゴがゴロンと一個。ナプキンが一枚。ジャムの代わりにゆで卵、ソーセージか、ハムの時もあるそうで、これをばコーラで胃に送り込むというわけですな。

そしてこの「バンブーブレッド」(上の引用挿絵の漫画です)を見たアメリカの高校生、「あのアニメキャラはなんて素晴らしい高校生活を送っているんだ。銃持ち込みのボディチェックなんかないんたろうな」。なによ、ないって!(爆笑)あの鈴蘭男子高等学校(わかります?)ですらないよ。

フランス人はさすがにはるかにマシで、なにやらのパテや、シチューのようなものが密封容器に入って付いていました。それとカンパーニュブレッドが半分。子供ですからワインということはないでしょうが、紙パックのミルクでも飲むのかな。

うちの国民は世界的に見てもハンパじゃない食いしん坊民族なのであります。かつてある戦争の頃、アメリカ海兵隊がとある中東の国に駐屯しておったそうです。そこを慰問に行ったアメリカの大富豪、兵隊さんに「なにか不満はないか」と聞いたのですね。すると、メシに文句を言う奴はマリンじゃねぇなんて言っていた彼らも、毎日のメシのあまりのひどさになにかうまいものを食べたいと。

_edited_edited これを聞いた大富豪、さっそく国に帰り、チャーター便でアメリカの味を送り届けたそうです。なんだと思います。マックバーガー!飛行機一杯に満載したマックバーガー!オーマイガッド!ミーの胸のほうが焼けそう。

そういえば、那覇の街にハンバーガー屋がズラリと並んだ一角があるのですが、そこでで米兵の皆さんが吸いよせられる店はただひとつ、マクドナルド。モスなどには目もくれません。そのうち、彼らにキンピラバーガーという和食の傑作を無理やりにでも食べさせたいもんです。

そういえばイタリア人は、アフリカで負け戦をしている時も、弾はいらないがジェラートを供給してもらわないと戦わなかったとか、ほんまかいな。フランス人は、インドシナのジャングルの中にまでジープ用ジェリ缶というガソリン入れにワインを詰めて持ち込んでいたそうです。イギリス人は、イラク戦争の時にはサウジアラビアの基地に、シャンプーのボトルに入れたスコッチを大量に隠匿し、毎夜「シャンプー」で酒盛りをやっていたとか。

だんだん脱線しちゃいましたが、強引にしめてしまいましょう。食は文化なのですよ。ひとつの民族が、その風土で生き続けてきた証のようなものです。だから、そこの国でいちばんよく採れて、しかも美味しい食材がその国の命の源なのです。

グローバリロムの奇怪さは、このような食の大前提を一切無視して、単なる金に換算して売り買いすることです。自分の国で食べるわけでもない小麦を、自国消費の3倍も作りまくり、それにものすごい輸出補助金を乗せて世界に売りさばく、買わないとなんくせをつけてスゴむ。なんかおかしくはありませんか。

自分の国の米を食べたいというほうがおかしくて、他国の米を食べるのが世界経済のルールだという。どちらが変なのでしょう。なにか鏡の国に迷い込んだアリスにでもなった気分です。

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グローバリズムの洪水の前で その5           農と食の危機は深ければ深いほど

_edited_5 初めの自問に戻りましょう。

日本農業の悲劇とはなにか。それは日本農業が自らの手によってその累積した矛盾をときほぐせないことです。自民党農政は確かに愚かではありましたが、土着的でした。自民党の愚劣さは百も挙げることが可能ですが、その泥臭い矛盾は日本農業の苦悩する姿そのものでもありました。ま、褒めてやればですが(笑)。

旧来の農業や農村の基盤そのものである農民を生かそうとすれば、農民の過半数が兼業化している以上、農業が産業部門としてなりたたず、それどころか「自由貿易体制という国益の障害となっている」(「同友会提言」)わけです。

かといって農民や農地を強引に整理大型化しようとすれば、自由経済社会の基本である私所有権とぶつかってしまい、農村の崩壊現象を招きかねない社会問題と化すおそれすらあります。水田の改良工事が、多くの反対や怨嗟を浴びながらとりあえず出来たのは、水系によって生産を握られている稲作の特殊性があったからです。一般にはそう簡単にいきません。

耕作放棄地の一般への情報開示ですらされていないのです。こんな状態下での農地の集約化は、伝聞と貸す話の持ち込み、あるいは競売物件といった有様です。

昨今、よくいわれる農業のトレンド用語に「所有権と耕作権の分離」という考えがありますが、それをするためには強力で透明性をもった行政権力が中に立つ必要があります。それなくして、農民の利害代表者であるJA農協の合意を得るのは至難です。

JA農協にとって、自分を迂回する農産物の集散をする団体が大きく成長することは、自分たちの一元的な農業におけるパワーの源泉の衰弱を意味してしまうからです。ですからとうぜんのこととして、「所有権と耕作権の分離」によって成り立つ農業法人には本能的に警戒感を持っています。

このような日本農業の自縄自縛、言い換えれば自己解決能力の欠落を尻目にして、黒船よろしくWTOやFTAというカタカナの津波が、黒い壁のように水平線に現れているのが見える時代となってしまいました。

農業の危機は食の危機です。そしてその危機が深ければ深いほど、解決は簡単ではありません。もし簡単で明快な答えを、今の日本農業に出す者がいたら眉にツバをつけて下さい。

つまりと、片方を解決しようとすれば片方が成り立たず、その双方を立てようとすれば政策があいまいになってしまい、政策たりえずなのです。まるで堅くねじれあってしまった糸玉のようです。

かくして、なまじ農村に長年根を張ってきた自民党にはそれをときほぐせないままに手をこまねき、とうとうその本質において都市型政党である民主党に政権の席を譲ってしまいました。

民主党議員に農村部を熟知する政治家は希です。民主党農水族トップの筒井、篠原、山田三氏はいずれも官僚出身で、農業にも農村にも縁がない人達です。彼らはまさに街の人から見た視線で、農業や農村を見ています。

いや待って下さい。ただひとり農村部を熟知し、農民を動かす勘どころを知り尽くし、日本の政界における随一の農政の政策家がいたことを危うく失念するところでした。それは小沢一郎氏、その人です。

_edited_4この政界髄一の農政の政策家が唱えていたことは第1に、農業市場の自由化を好む、好まないといった国内レベルの問題としてとらえず、もはや避けられないものとして認識することでした。

そして第2に、WTO体制やFTA締結が不可避であるならば、国内農業の活性化のために財界型農業再編を断行せねばなりません。

減反の緩和、農地法の改正により土地流動化を促し、異業種参入、大型化のための基盤整備、そしてゆくゆくは外国資本の農業市場参入、GM品種の導入まで展望に組み込んでいるはずです。

第3に、それらの新農政の障害となる小農には社会保障的な痛み止めを打って余命をまっとうしてもらう。それが農家所得補償制度です。FTA締結まで最短で5年。そしてセンシティブ農産物であるコメの移行期間が10~15年、とすれば直接所得補償の期間は最大で20年間。今平均で60歳の農家が、80歳。いわば掛け金なしの農業年金、はっきり言えば手切れ金、慰謝料だと思え、それで日本農業の抜本的構造改革が出来たら御の字だろう、と彼は言いたいのでしょう。

最後に4番め。小沢民主党はJA農協が衰退し、解体の道に進む政策を打つでしょう。まずジャブとして2009indexで農協を批判し、JA農協=農政連の自民党支持を揺さぶりました。次いで来るのは、本格的な「農協民営化」です。農協は民間だろうなんて言わないで下さいね。あれは半官半民の農水省系列の公社みたいなもんですから。

そしてなにより、日米FTAを締結をめざす財界型農業改革を断行していく時の最大の障害が、間違いなくJA農協だからです。またJAの抱え持つ巨額のJA系金融も魅力なはずです。誰にとってですかって?もちろん米国にとってですよ。郵政民営化の真実の標的が簡保であったように、その巨額の預金資産の自由化は米国にとって垂涎なはずです。

これが、今まで自民党すら言い出せなかったどぎついまでの本音です。自民党は片足を保守王国とまでいわれた農村に置いている故に農政すべてが中途半端でした。これぞ、民主党でなければ出来ない「改革」ではないでしょうか。

この20年間を使って、彼からすれば日本の宿痾である日本農業の大再編をする絵を描きたいと思っているはずです。それが彼の考える「普通の国」であり、そのための権力の源泉である議席数を手に入れ、一新会(小沢派)は100名を超え、既に民主党中枢は、小沢、鳩山、渡部、羽田、石井と経政会出身で占められています。この民主党政権は、長期政権として日本に君臨することでしょう。

・・・来るべきグローバリズムの洪水という災厄を日本農業にもたらすのは、小沢一郎というただひとりの人物から発しています。そして今や彼は権力の中心に坐ってしまいました。こともあろうに、日本農業にとってもっとも危険な人物が。

先ほど私は、日本の農と食の病は深く、簡単な答えを持って来る者には眉にツバをつけて下さいと言いました。その簡単な回答を持って小沢氏はやってきます。それが日米FTA締結のための日本農民の安楽死と、財界型農業再編です。

小沢氏は「安心しろ、FTAを締結しても農民の再生産は所得補償で守る」と言いました。なるほど彼は嘘は言っていません。ただし老いたわが日本の農民が生きているあと20年間限りは、ですが。

次回はメキシコのソールフードのトウモロコシに必ず行きます!

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グローバリズムの洪水の前に その4           日本農業はなぜ大型化が進まないのか

_edited 目先の衆院選と来るべき民主党政権をにらみながら、グローバリズムを考えるという展開になってきました。私としてはヒジョーに楽しい展開ですが、大部分の方にとってはもういい加減で止めたらというところでしょうか。

うちのカミさんなどその最先鋒で、「またぁ~、FTAなのぉ、パス!」と抜かしおった(涙)。そう言うのはわかるんですが、いちどどこかでしっかりとグローバリズムを整理して石棺にでも封じてしまわないと、日本農業そのものまでメルトダウンしてしまいまうと私は思っています。

日本の農業、農村問題の大きな悲劇はどこにあると思われますか?歴史的には、米軍政下(*ちなみに、軍事占領下で当該国の憲法や社会構造を改造することは国際法違反ですが)の農地開放に端を発する、小規模農家(小農)を量産した脆弱性にもあります。

しかし、そんな昔のことを今さらネチネチ言ってもしかたがない。よく農業現場を知らない人達、特にエコノミストや経済人と称する者どもが、「大規模に集約化すればいい。諸外国は皆そうしている。大型機械化は必須ではないか」てなことをしたり顔で言い散らしていますが、なにをいいやがる。それが農業現場で簡単じゃないから進まないのでしょう。

_edited_2 農業が生産基盤の集約化や法人化を避けて通れないことなどは、言われなくとも10数年前から私たちのグループは理解して、進んできました。しかし、せいぜいが直営農場で15ヘクタール止まり、それに契約農家15所帯を加えて50ヘクタールに届くか届かないかでした。有機農業では、これが限界だと思います。

なぜ、集約化が進まないのでしょうか。理由は簡単です。北海道などを除いて、農地があまりに細分化された所有形態になっているからです。地主がうじゃうじゃいて、しかも大部分兼業農家ときています。兼業には本業の町の仕事で安定した賃金があるので、あえてめんどくさい集約化に同意するはずもない。わざわざ先祖伝来の土地(といっても、たかだか終戦直後に法外な安値で得たケースが大部分ですが)を手放さねばならない等価交換に応じる積極的な理由がないじゃないですか。

たとえば、最も機械化による合理的な生産方式が定着しているはずの米作でも集約化や法人化は行き止まっています。町の人にはこの理由が分かりにくいようです。

では、集約化をして法人化したいとします。ラッキーにも土地を貸してもいいという農家もいる、田畑もあるとしましょう。しかし、大体うまくいかない。アッチコッチに田畑があるために、農業機械を搬送する手間がかかり過ぎるからです。貸してくれる農地に移動して30分、ここでトラクターでうなって1時間、トラックにそれを乗せる手間て15分、別の田畑に移動するのに30分、うなって1時間、トラックに乗せるのにまた15分、自分の家まで昼飯を食いに帰ってまた30分、これで午前の作業終了。これじゃあ仕事にならん(苦笑)。

_edited_3 では、集約化された唯一の農地である水田の土地改良区を貸してくれといえば、そこで36%という途方もない減反をこなさねばなりません。借りた農地の4割を使うなと!こんな馬鹿げた国が世界にあるのでしょうか、お聞きしたいものです。

大型トラクターならば、その能力が発揮できれば1時間で1ヘクタールを耕耘することなど楽勝です。それが土地が細分化されていて、離れているためにその能力の10分の1すら発揮できないわけです。

いかに米軍さんがやってくれた農地開放とやらが、禍根として日本農業の経営体質を弱体化させたのかわかっていただけましたでしょうか。ブシュさんあなた、「日本の民主化政策は大成功だった。イラクもそのようにする」ですと!大笑い。そんなマヌケなことを言っているから、ドツボにはまってしまったのですよ。自業自得。

それはさておき、まさに北斗の拳の十年殺しです。よくやってくれたよ、アメちゃん!半世紀後に、あなた方の目論見どおり、日本農業と食は日米FTAであんたの国の食の植民地入りだ。

兼業農家を完全に農地から引き離すことは事実上不可能にちかいことです。彼らもやりたくなくて農業をしていないわけではないし、育った村には愛着があります。また、この小農を組織基盤とするJAや、自民党農水族(農村部選出議員)の力は根強いものがあります。

しかし、従来の兼業農家と化してしまった小農を保護していく小農保護政策は、このまま行けば国際競争力うんぬんの前に、農家の平均寿命が来てしまいました。

一方、大型化、法人化は、農水省の4品目横断政策が圧倒的に農家の不評を買って前回の参院選で自民大敗の一因となったように、不可能とはいいませんが私たちのグループが辿ったように平坦な道ではないでしょう。

もう少しこの稿を続けます。メキシコのトウモロコシに行き着けません。どうしていつもこうなのか!

■写真 アルゼンチン・ブエノスアイレスのボカ地区の風物。実に南米的な色彩の豊かさですね。

■本稿は、次回分まで含めて一本でいったんアップしましたが、長文なために分割しました。

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グローバリズムの洪水の前に その3         メキシコ農民は10年間で160万人減ってしまった       

_edited昨日の千葉県君津市の記者会見において、民主党最高実力者の小沢一郎氏は、「日米FTAを締結する方針に変わりはない。農家は理解してくれている。どのような状況になっても、生産者が再生産できる戸別農家補償制度を作る。批判は既得権者のためにするものだ。相手にする必要はない」(産経新聞8月26日)」と改めて強調しました。

まぁ、彼は本気でグローバリズムをやる気ですね。米国に追随したアフガンへの軍事も含む直接関与政策、それと一対になったような経済グローバリズム政策への道が、この4年間に踏みしだかれていくのでしょう。ことに来年の参院選で安定多数を取れば、こうるさい社民党、国民新党などとの連立を解消できますから、そこからが小沢流グローバル主義の本番といったところでしょうか。

しかしそれにしても、それが近未来なのに、なぜか妙に白茶けた過去のような気分がするのはなぜでしょう。

_edited_2 NAFTAがアメリカ、カナダ、メキシコの3カ国で締結されて15年になります。メキシコは米国の輸入シェアの第2位に躍り上がりました。ただし、輸出品目は電機機械、自動車部品などで、確かにメードインメキシコには違いがありませんが、しかしなんのことはない多くは米国企業の出先の企業にすぎません。

一見米国との市場統合で繁栄に向かうかに見えたメキシコのGDPはといえば、ほとんど増加をしていないのです。雇用すら伸びていません。では輸入のほうに目を転ずれば、想像どおり米国産農産物の輸入量が2倍となりました。

これにはトリックがあるのです。米国産は輸出に際して過大な輸出補助金をつけることで悪名が高いからです。メキシコの実に30倍(!)もの補助金の竹馬を履かせています。WTOの交渉の席上でも、言いたいことははっきり言うEUにコテンパンに批判されている輸出補助金制度です。

このような米国が主導しているはずの自由貿易体制を崩しかねない巨額の国家補助金による他国への洪水的農産物輸出が、米国の国際戦略であることはいうまでもないことでしょう。

2003年初頭から、米国産農産物の大部分の関税が撤廃されてしまいました。これはFTAでいうところの「移行措置」(例外措置)と呼ばれる協定で、重要でない農産物から徐々に関税を撤廃していくという取り決めです。

_edited_3 それによって豚肉、ジャガイモ、コメなどが雪崩を売ってメキシコ国内に流入し、市場のシェアを制圧してしまいました。豚肉生産はこれにより5%減少しました。メキシコは豚肉の純輸入国で2000年には276万tを輸入しています。米国が圧倒的に多く87%を占めます。

こんな米国産農産物と競争を強要されているメキシコ農民が哀れです。実際この洪水に流されるようにして1991年から2000年までの約10年間の間に、実に農業人口は160万人も減少してしまいました。また洪水に流されまいと必死に土にしがみつくようにして生きる農民の27%にあたる220万人の農民は、無収入の生活に突き落とされています。

一方メキシコは豚肉の輸出もしており、この輸出先のトップはなんとわが国で95%を占めています。ただしこれにも例によってウラがあって、対日輸出をする会社の90%はメキシコにある米国資本の会社で、ロスアンジェルス港から出荷されているそうです。ちなみに日本におけるメキシコ産の豚肉のシェアは第4位です。1位米国、2位デンマーク、3位カナダとなります。

この大量に米国産豚肉を輸入しながら、一方で輸出をするといったメキシコのアンバランスな輸出入の構造を見ると、このように言えると思います。NAFTAは、米国産農産物輸入の洪水の堰を切って落とし、メキシコ産のタグを付けた米国資本の農産物輸出のみを増やした、と。

では、かんじんのメキシコの人々のソールフードであるトルティーヤの原料であるトウモロコシは、NAFTAでどうなっていったのでしょうか。長くなりますので、これについては次回ということで。

■写真は、南米3大カーニバルのひとつがあるオルーロの町。

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グローバリズムの洪水の前に その2           日本の現状、メキシコ、そしてキューバ

_edited_4このシリーズを書きながら考えが少しずつ変わってきました。

書き始めた当初は、民主党の「とうとう出たか、日米FTA締結!」という真夏のお化けを見たような恐怖の感情でした。自民党も似たようなことを口走りますが、日本の政党がここまでハッキリと、FTA、しかも日米FTAという世界第1位と2位の経済圏の統合というグロバリゼーションの極を言い出したのはこれが初めてだったからです。

とうとうこの日が来たか、というのが私の正直な感慨でした。しかもこれを言い出した政党に国民は一週間後320議席以上という異常な議席数を与えようとしています。しかも、この日米FTAの主導者である暗黒卿は100議席以上の党内派閥を得るとみられています。かくして小沢派の政治的影響力は、予想される最大野党自民党衆院の議席総数すら上回るウルトラ級のものとなるわけです。

これはなにを意味するのでしょうか?私は、グローバリズム推進派が日本政界で初めて最大派閥となることだと考えています。今まで経済界が常に言い続けてきた「日本農業は、自由貿易体制という国益の敵である」というグローバリズム路線に、大きく道が切り拓かれたと認識しています。

_edited_2 しかし、FTAと言ってもその実態は日本では余り知られていません。農業者ですら大部分は「ふ~ん、ところでなんだそのアルファベットは。そたらことより目先の補助金、いやさ直接に所得補塡までしてくれる気のきいた政策なんだから、この際しっかり貰っておけばいかっぺさ」ということです。これが哀しい村の現実です。

つまり、日本の農業の現実の中にどっぷり漬かってしまっては見えるものも見えなくなるのです。私は政権交代自体には大賛成ですし、別に、民主党批判をしたいわけでもなく、まして村の選挙のあり方がどうのと言い出すつもりもありません。私は政治には嫌悪感すらもっている人間ですから。ただ、この日本の「現実」に浸っていると何も見えなくなるのです。

そこで、私はあえて逆上って考えることにしました。グローバリズムとはナンダ?ということを、まっすぐに農業者として見つめてみたいのです。抽象的になら学者にでも言えます。慶応の金子勝さんや山本純一さんの本はいくつか読みましたが、大変に教えられる反面、靴の上から水虫をかくという気分になりました。農業者って世界で一番せこくて、自分の利害にうるさく、しぶとい人種なんですよ。都市のリベラルインテリは「第3世界の闘う民衆」みたいになると無意識に美化してしまうんだなぁ。

てな、学者へチャチャを入れて入れていてもラチがあかないので、まずはFTAの本場とでもいうべきメキシコを調査し、その中でFTAがどんな農業に対する影響を与えたのか知りたいと思いました。FTA抵抗の一方の極とでもいうべきサパティスタも取り上げます。

_edited_3そしてそれに留まらず、できればもうひとつの中南米であるキューバ農業や国づくりのあり方を対比してみていきたいと思うようになりました。

抵抗だけしていても何事も変わらないというのが、自称リアリストの私の信条だからです。このキューバも礼賛されることが多いので、できるだけ農業政策や環境政策に踏み込んで見ていければと思っています。

実は結論を先に言ってしまえば、キューバはやっぱりすごいっす。社会主義と農業が水と油、コミュニズムは農業の天敵と常日頃思っている「保守反動」の私ですらたまげています。社会主義がどーした、こーしたという次元で見ていては、キューバは理解できないですね。社会主義農業は、ソ連、中国、東欧、北朝鮮、ベトナム、すべて例外なく正視に耐えないような失敗をしてきましたが、なぜキューバのみが成功したのか興味が尽きません。

日本の有機農業に何が根本的に欠けているのか、それが有機農業を包む社会総体を作る想像力だということが、キューバを知るとよく分かりますよ。これについては、メキシコの現状が陰惨なので、先にこっちからお話したいくらいですが、まぁ織りまぜながらということで。

え~、てなことを全部やり始めるとたぶんこのブログは、「農と中南米のありんくりん」と名前を変えねばならなくなりそうなので、テーゲー(*沖縄語でテキトー)に断続しながらやることにします。

今日はいつるも増してひっちらかった内容でごめんなさい。

■写真はボリビアの街角です。メキシコやキューバの写真もあるはずなのですがデジタルではないので、ちょっとアップするのに手間がかかっています。まぁそのうち。

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グローバリズムの洪水の前に その1          中南米文化圏の食・トルティーヤとフリフォーレス

_edited メキシコ人はなにを主食にしているのか知っていますか?いや、メキシコといっても昔は大きな中米共和国のようなものがあったそうです。

しかし、シモン・ボリーバルの手によってスペインから独立した後に、お定まりの内紛にあって分解していきます。また、メキシコはリオグランデ河以北をアメリカによって分捕られてしまって、独立した時よりだいぶ小さな国になってしまいました。

しかし、大きな中南米文化圏とでもいうべきものは今でもしぶとく生きています。まず食べ物をみてみましょう。中南米は共通した食べ物がふたつあります。ひとつはトルティーヤといってトウモロコシの全粒粉を練って、焼いて作ったお焼きです。これにトマトとタマネギのサルサソースと具をくるんで食べます。

_edited_2 そうそう、アメリカに渡ってタコスという名になっちゃいましたが、そちらのほうが有名かな。わが沖縄では、米兵が持ち込んだタコスをライスに乗せるという荒技でタコライスというチャンプルーなものをデッチ上げてしまいました。これも流行中だそうです。わしゃ好かんがの。

さてこのトルティーアは全粒粉でなので、完熟のトウモロコシ粒を使います。未完熟だとでないと挽けませんものね。この完熟するということが大事なのです。完熟であることで、初めて栄養素がバランスを備えたものになります。また全粒であることで胚芽まで食べることができます。つまり完全食なのです。

日本で前に食べたタコスは、ふざけたことに小麦粉でした。(←食べ物のこととなるとすぐにイカル)ひでぇな、これをトルティーアとは言いたくない。トルティーアは、完熟したトウモロコシの種子に託された次の世代への生命から作られるから意味があるのです(←日本人のくせにうるさいな)。

インディオ(あるいはインディヘナ)はこのトウモロコシの原種を、たぶん数百種類持っているといわれています。実際持って帰ったトウモロコシの種だけで黒、黄色、白、ムラサキ、赤と色とりどり、大きさも日本のような大きなものは少なく、大部分はこぶりなものでした。甘味はほとんどありません。この原種を巡って、NAFTAがらみで米国とひと騒動あるゆですがそれは別な機会に。

現地の人はこのトウモロコシの茎の根元にインゲン豆の種を蒔きます。するとインゲン豆はトウモロコシの茎を支柱にしてクルスルと大きくなっていくそうです。混植農法ですね。

このインゲン豆もまた、干して乾燥させ茹でてフリフォーレスという食べ物になります。ウズラ豆の塩煮みたいな味です。これも中南米文化圏共通の食です。

_edited_3 食べ物はその地から離れて存在しえません。トウモロコシも日本で食べるような未完熟なまま食べてしまったら、確かに水々しいでしょうが栄養的には遥かに完熟した種子にはかないません。たぶん風土病も多い高温多湿な地で生きる人は、病気に罹ってしまったと思います。

農業とはつまるところ、風土でできる食を末永く食べ続けるための人の知恵の鎖の環のようなものです。私たち日本人が瑞穂の民、稲作民族であるために、千年の時を積み重ねてきたように、中米文化圏の人々はトウモロコシといんげん豆に命を託し、育て守ってきたのです。

食べることとは文化です。文化は本来売り買いできなかったものです。地域市場の中でやりとりされ、やがて国内市場流通をしていきました。しかし、安易に国境を超えて、異文化の土地に「ただの商品」として流されていくものではなかったはずでした。

私がWTOやFTOに感じるいかがわしさの根っこはここにあります。

■写真 ボリビアのラパスのメルカド(市場)。日曜市の風景です。インディオの女性がたくさん働いています。中南米はアルゼンチンを除いて、多くの国でインディオ、あるいはそれと白人の混血であるメスティーソが大部分を占めます。あまり笑わず憂鬱そうな表情が気になりますが。

手前のドンゴロスに入ったのはジャガイモ。これも、トマト、トウモロコシに並ぶ中南米が原産地の食料です。実に多種多様なジャガイモがあります。

■写真下 グアテマラのティカルで買ったカルナバル(カーニバル)のジャガーのお面。これを被って乱舞するわけですが、迫力ですよ。

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政党マニフェストの裏側にある財界の本音とは       経済同友会の提言を見る

Img_0002葦原微風様、ご注文了解いた しました。NAFTAはなかなか資料が少なくて困っております。ひとつ面白いことには、出てくる資料がことごとく経済同友会「農業の将来を拓く構造改革の促進」(2004年3月以下「同友会提言」と略)に見られるような財界ペースの内容だということです。

まず冒頭からこのように「同友会提言」は言います。では、財界の本音をお聞きください。なかなかのものですよ(笑)。

わが国は、WTO交渉や、近年積極的に推進しているFTA交渉においても、農業問題が障害となり、主導権をにぎれずにいる

わが国が持続的な経済発展を遂げていくためにも自由貿易体制を積極的に推進していかねばならない。農業改革の遅れにより、国益を損ないグローバル社会において孤立することがあってはならない

「農業はグローバリゼーションの障害」!実にクリアな立場です。いっそすがすがしいほどです。民主党のように日米FTA締結をマニフェストに載せたと思ったら、農業界の猛反発でたちどころに「促進」と言い換え、「農業分野の自由化はしない」などという世迷いごとを抜かしているのとは、まったく別次元です。これが財界の本音です。

また「VOICE」9月号には、伊藤忠商事会長丹羽宇一郎氏が「農業は強い産業になる」という実に興味深い対談を載せています。この丹羽氏の対談記事の内容は、実は04年「同友会提言」にも盛り込まれている内容で、要するに農業市場の全面開放を前提として、財界が考える「農業構造改革」を進めよという内容です。これについてはそのうちコメントを致したいと思います。

_edited_2 今とりあえず押さえておかねばならないことは、日本経済界の中枢の意志は明瞭に「グローバリゼーションは国益であり、その障害となっているのは農業である」としていることです。

ですから、民主党がマニフェストでFTA交渉から農業市場自由化を除外しようとしまいと、なんの拘束力もなく、農業市場自由化を前提としないFTA交渉などそもそもありえないのです。

発展途上国を対象とするそれと異なり、米国、EU、オーストラリア、中国を相手にしたFTA交渉において、最重要交渉議題こそが農業市場問題であり、移行期間や、セーフガードなどの多少の避難措置は交渉議題となりえても、農業を交渉の外に外しては、FTA交渉自体が開始できません。そのようなことは経産省官僚出身であり、かつイオン財閥の御曹司の岡田克也氏が知らないはずもないでないですか。

グローバリゼーションとは、農業市場の全面開放を前提としてしかありえないことを知らねばなりません。言い換えれば、グローバリゼーションは財界流の日本農業の構造改革を通じてしか向かえない道なのです。

次回あたりからメキシコにひとっ飛びしましょう。

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Before the Flood  洪水の前に

_edited NAFTAのことを少し考えてみたいと思っています。

あ~、われながらなんてシブイというか、硬いなぁ。受けないだろうな、やれやれと嘆息。

名前からしてナフタリンみたいにプンプン匂いますが、これを考えるきっかけとなったのはやはり民主党の新農政でした。

もっとも新しい読売新聞や週刊現代の調査では、民主300超え、自民ひょっとすると100以下ということになるようです。農村部でも民主の圧勝は変わらないようです。昨日書いた豚屋さんの話でも、豚屋さん「もう閉めるぺか」とため息をついて、そして「いや民主になれば、苦しい状況も変わるかも」と話は続くわけです。

もはや民主が何を政策に掲げているのかなどということは関心すらなく、ともかく「新しい選択肢が増えた」(産経新聞」8月22日)という閉塞からの脱出感といったところが、農村の正直な声なのでしょう。まぁ、このまま自民党農政が続けば、農家は生かさずの殺さず生殺しのまま先の見えない未来が続くだけですからね。ならば、「新しい選択肢」のほうがちっとはいっかぺということです。それ以上でも以下でもありません。それほどまでに農村部はくたびれて光明が見えないのです。

Img_0195 私は、来月からくる民主党の圧倒的多数政権下で何が行われるのか、しっかりと目を見開いて見届けたいと思います。

ひとつには農家所得補償制度がどのように行われるのか、第2に農協に対してどのような政策が取られるのか、第3に、減反に対して選択制を謳った民主党がどのようにそれを実施するのか、それによる米価の下落と一番めの農家所得補償はどうつながるのか、日米FTA促進政策がどのように進められるのか、そして有機農業や地域農業に対して国策としてなにを具体的政策として肉付けできるのか、などです。

私は農家です。農家と名乗るのもおこがましいと思いながらも25年間やってきた新規就農者です。ですから、同業者を横から冷やかに見ている部分もあります。同時に地団駄踏みたくなるような気分に襲われる時も多々ありました。今は後者の気分です。

今後必ず来るであろうグロバリゼーションの津波に、どのような立場で私たち農業者が対応するのかを今からじっくりと考えておかねばなりません。そのための下準備として15年めともなるNAFTAとはなんだったのか、メキシコでなにが起きたのか、サパティスタは何を叫んでいるのかを知っておきたいと思ったわけです。

■表題のBefore the Flood は、ボブディランの記念碑的なライブアルバムから頂戴しました。

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FTA「先進国」メキシコの惨状                メキシコ産豚肉の侵攻と日本養豚業のピンチ

_edited_2 先日、友人が来訪し顔見知りの豚屋さんの話になりました。

いや、ひでぇもんですよ、トン価が下がり止まらないんです。原価をきるところまで行っているのに、今までのようなセーフガードがかからないんで、もう市場はメキシコ産と米国産の豚肉に制圧されてしまいました。

ほんとうは量販店も新型インフル(別名豚インフル)がらみでメキシコ産は輸入したくないんですが、大手の豚肉流通の日ハムなんかが買いに回ってしまったので、とてつもない安値で日本に入ってきています。

豚肉が原価割れなのに、エサ代がジリジリ上がってきています。去年のすさまじい狂乱高騰が世界同時金融危機で納まったかとおもったら、また行き場のないマネーが餌を買い始めたらしいんです。

ともかくこちら日本の畜産業は、去年の狂乱高騰の飼料高で゛今までの蓄えを吐き出してしまって、去年度が大赤字こいてた直後からのこの豚価格の暴落です。往復パンチで、このまま続けると、積もり積もった赤字がもっと膨らむということで、ここいらで閉めるかなどと話会っています。

Img_0007 豚屋さん業界というのは、不思議な業界でしてね。永久不況業種のような顔をしているくせに、なぜか何年に一回の高値で救われてなんとかやってきています。また、卵より大規模化が進んでいないので、まだ豚農家はボチボチ生き延びています。うちの村にも、卵屋は私のような平飼でやっている異端児が残るだけですが、豚屋さんはそれなりの数、生き延びています。実にしぶとい仲間たちです。

その何度も修羅場を潜ってきた豚屋さんが危機というのですから並大抵ではありません。日本の養豚を容赦なく侵略しているのがメキシコ産というのですから、私は心穏やかではありません。

メキシコは、今大流行の兆しを見せ始めた新型インフル発生源の国であると同時に、あのFTAの「先進国」だからです。

米穀とメキシコはもう13年も前にFTAを締結して、世界で初めての二国間自由貿易協定という関係になりました。その結果が13年たって出始めました。FTAを米国と結ぶと、いかなることが起きるのかを、あからさまなまでにこの北米自由貿易協定(NAFTA・ナフタ)は物語っています。

                                      (続く)

■写真 母屋の日除けに植えたきゅうりですが、今やテレビ線まで絡みつき、絶好調。下は同じく日除けのゴーヤの花。 

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エンザロ村のかまど                      ひとつのカマドからほぐれていく難問の糸玉

_edited スワヒリ語でエンザロ・ジコ、エンザロ型かまどはものすごい勢いでケニアに拡がっていきました。今や数年前の調査(2007年1月産経新聞の調査)でなんと10万所帯です。それどころか、国境を超えてマリやニジェール、ブルキナファソ、ルアンダ、タンザニアでも作られ始めているそうです。

岸田さんがJICAに所属する栄養学者だったためもあり、JICAのプロジェクトによって、今度は大陸を超えて中南米のメキシコ、ボリビアにも伝えられました。

このエンザロ村のかまどは、主婦にとって大きな意味をもっていました。なにせ薪の使用量がわずか4分の1になっちゃうんです!これは大きい。私も入植した当座は薪ストーブと薪の風呂でしたので実感が分かります。毎日煮炊きに必要な薪を集めるというのは、かなり時間をくう仕事です。林に入って落ちた枝を拾ったり、私たちの場合はソッペといって製材屑をもらってきました。

そしてこれを鉈で割って使える長さに揃えるんですが、ズーンと腰に来ます。一年に何回かのキャンプならともかく、毎日の仕事ともなると、正直言ってプロパンガスに変わった時にはホッとしたもんです。

Photo 農村のお年寄りの女性になぜ腰が曲がっている方が多いのでしょう。もちろん農作業で中腰を強制されるということが最大の理由ですが、それだけではなく煮炊きやお風呂に使う薪作りにもあったようです。

この薪の使用量が4分の1になるということが、どれほどケニアの女性にとってすごいことだったのかご想像下さい。そしてこれは、人口増加による村周辺の森の乱伐にも歯止めをかけました。

今までアフリカの砂漠化の原因のひとつにあげられていたのは、絶え間のない人口増加、家畜の増加、それによる森の乱伐でした。これをくい止めるのに、ただ人々に「砂漠化をくい止めよう」などとのたまうてみても無駄です。なんせ皆、生活かかってますから、子供多いですから、食い物足りないですから。

_edited_2 子供が多いことのひとつは、哀しいことですが乳幼児死亡率が高いため多くの子供を出産してしまうことにありました。仮に10人の乳幼児のうち3人しか育たなかったとしたら、どうします。その分多く生んでしまうかもしれません。

実際、エンザロ村でも、ジコが普及する前には7人のうち1人が乳幼児の頃に亡くなっていたのです。それがこの5年間で、135人の赤子が生れ、わずか1名の死亡しか出ませんでした。

また、子供が多いために教育が満足に受けさせられず、少年期から厳しい労働が課せられてしまいます。ありとあらゆるアジア、アフリカに蔓延する忌まわしい少年労働は、決して宿命ではありません。

子供を適正な数にするためには、乳幼児死亡率を下げることがまず大事だったのです。このエンザロ村でも今まで家畜の糞尿で汚染されていたり、上流で感染症が起きている水を飲ませざるをえなかったために多くの乳幼児が死亡していたのでした。それがこのエンザロ・ジコによって、いつでも子供に煮沸した湯ざましを与えられるようになって、幼児死亡率が激減しました。すごいことです。ほんとうにうれしいことです。多くのお母さんの涙に終わる日がやって来たのです。

_edited_3 そして今では、薪取りや裸火で大変な思いをしていた女性が、その分の時間で畑を作ったり、家族の世話にかけたりすることが出来るようになりました。エンザロ村では実際、このジコが普及して農業生産も伸びていったといいます。それに連れて女性の地位も向上しました。

このようにしてたったひとつの日本の農村から持ち込まれた「顔のある技術」は、ひとつずつこじれた糸玉をほぐすようにしてアフリカの難しい問題を解決していっています。

第3世界援助には多くの解決方法があると思います。私ならばやはり有機農業や平飼養鶏を役立てたいし、ある人は樹を植えることから始めたいと思うかもしれません。木工や織物を教えたい人もいるでしょう。小規模の魚の養殖と村の糞尿処理を結びつけた循環システムを実験している人もいます。

そしてその時に大事なことのすべては、このエンザロ村の体験の中に詰まっていると私は思うのです。

□ 挿絵は「エンザロ村のかまど」さくまゆみ 沢田としき(福音館)から引用いたしました。このバナナを村人から贈られているのが岸田袈裟子さんです。かまどの写真はウイキペディアから引用いたしました。ありがとうございました。

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エンザロ村のかまど  顔のある技術

_edited_3 江戸時代は日本農業にとって大いなる蓄積の時代でした。各地で農書と呼ばれる農業技術書が編まれました。「百姓伝記」や会津農書などが、民間の力で津々浦々に作られ、伝承されていきました。

これらの日本人の誇るべき遺産は農文協の農書シリーズで読むことができます。驚くほどきめ細かな自然や作物、そして人への観察で満ちあふれています。世界の中で、農家が自らの観察や計測、そこから編み出された技術について書き残し、膨大な技術書の山脈を作り上げたというのは希有の例ではなかったのかと思います。

農書を読んで感じることは、人格と技術を切り離して考えていないということです。技術は技術であって、それが一人歩きするということはまったく視野の外にありました。ごくあたりまえのようにして、農を営む「人」と、「自然」、そして「技術」はひとつのものとしてありました。私はこれを「顔をもった技術」と呼びたいと思います。

_edited_2 たとえば、農書の中の重要な一項目には治水が含まれています。平時には、豊かな流れから水を田に導き入れ、、水車で精米し、川舟で集散地まで運ぶ。大水の時には、荒れ狂う川の流れをどのようにして受けとめて被害を出さないようにするのか、急流と共に生きてきた日本人にとって死活の問題でした。

この川と共に生きる日本人の有り様は、富山和子さんの名著「川は生きている」に詳しく書かれています。あ、一度この本のコメンタールを作ろうとして挫折してましたね。

甲斐の国の農書などには、様々な溢れ出る川のエネルギーを逃がす方法が述べられています。霞堤は左図(「川は生きている」富山和子より)のように、一度に大水を受けとめるのではなく、幾つか斜めの堤防で分散して受け流して付近の水田に導くように出来ています。

これは上流で高い堤を作ってしまうと、下流で大水のエネルギーがそのまま増大したまま溢れ出してしまい、被害をいっそう大きくしてしまう教訓によっています。

つまり、真正面から自然と争うのではなく、受け流すことを大事に考える知恵です。また、自分の地域だけを守れればいいと考えるのではなく、川とその流域をひとつの生きもののようにとらえて、それを利用し、暴れれば受け流し、時には戯れて生活する「顔を持った技術」です。

人類は20世紀において科学技術を制御することに失敗しかかってきました。それは戦争や自然破壊の惨状をみれば明らかなことです。21世紀初頭は、それからの修復と再生の時代です。この時期必要なものは、人の顔を持った技術の確かさではないでしょうか。

エンザロ村のかまどは、日本でいったん昭和30年代になくなった農村のかまどが、時と所を変えてケニアの農村でしっかりと生き返り、根を張って人の役に立っていく物語なのです。

■写真 霞ヶ浦の朝5時頃の風景。

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エンザロ村のかまど  自分で作ってみよう

Photo エンザロ・ジコ、エンザロ村のかまどを前に村人が自慢大会をしています。

ある人は焚き火がおちないようにちいさな台をつくりつけました。ある人は、ジコの横に調理台もつけてしまいました。まるでシステムキッチンみたいですね。薬草を煎じて子供の皮膚病が治ったと喜んでいます。

素朴な質問ですが、なぜ、こんな改良ができてしまうんでしょうか?それは実は大変重要なことなのです。このジコ、かまどは自分たちで作っているからです。なーんだと思われるかもしれませんが、ここが大事。

_edited このプロジェクトは、日本人が初めの一基めは作ってみせますが、2番めからは手を出しません。実は日本人が現地の人をスタッフにしてつくっちゃったほうか早いのです。しかし、急がば回れではありませんが、そんなことをしてしまったら、このジコはどんな仕組みになっているのか、どうやって作るのかがエンザロ村の人に理解できないでしょう。

岸田袈裟子さんたちは、そのためにジコ作りのためのの講習会から始めました。村の学校の教室で、村人を集めて黒板に図を書き、丁寧に教えていきます。そして村の人皆んなの協力で、作りはじめたのです。老いも若きも、男も女も土を練り、レンガを積んでカマドを作り上げていきました。

自分たちで作ってみる、こうすることでほんとうに自分のものにすることができます。やってみないとカマドの仕組みがわかりません。やってみてどうして火が無駄にならないのか、どうしてカマドがこの高さなのかが理解できたのです。

また作り方を皆んなで勉強することで、一部の人がその知識を独占してしまうことを防げます。一人の人だけに伝授してしまうと、教える方は気楽なのですが、その人だけのものになっててまって、その人が他の村人に教えない場合、技術が途切れたり、ひどい時にはいさかいの種になったりする場合すらありました。

こうすることで、日本の農村で生れた竈ははじめてエンザロ・ジコとなってケニアの地に根付いたのでした。

■ 挿絵は今回のシリーズで取り上げさせて頂きました「エンザロ村のかまど」(福音館)から引用いたしました。ありがとうございました。素晴らしい本です。手にとってお読みいただくことをお勧めします。

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朝焼けと郵便受け

_edited 暑中お見舞い申し上げます。

一昨日、泊まり掛けで大地を守る会の皆さんが遊びにいらっしゃって、とても楽しい一時をもつことができました。

気持のいい、涼しい夕べだったので、表に収穫コンテナを置いて、その上に昔の木の扉をテーブル代わりに乗せての一杯が二杯、三杯、以下略。全員が酩酊、意識不明者多数という、楽しくもすごい宴をやらかしました。

_edited_2

さて、今朝5時の朝焼けです。禍々しいまでの美しさです。刻一刻と様相を変えて、さながら天体ショーのようでした。お盆でこちらに帰省された街住まいの人かち、何人かこれがみれたかな。

_edited_3

これはうちの新聞受けです。白い花に彩られて綺麗でしょう。実はなんのこたぁない、カラスウリです。今、カラスウリが満開。特に夜ともなると、怪しげな白いレースの裳裾を拡げて月下の舞踏をしております。

このカラスウリ、満開になって一晩で散る花だそうです。

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自民党と民主党に問いたいこと

Photo 葦原微風様、コメントありがとうございます。ええ~、もちろんエンザロ村はまだこの後に3回は続く予定でおりますので、ご安心ください。まずは今まで日本の農業が作り出してきた様々な治水風土を豊かにする技術、言ってみれば「顔が見える技術」とでもいうべき土着の技術が、新たに時と場所を超えてアフリカやアジアで再生するのではないかという夢が゛この エンザロ村プロジェクトにはこめられていました。このことをもう少し堀りさげたいと思います。

が、しかし!その前に農業関係で初めての大規模な反FTA集会が行われました。コメント様(ハンドルネームをつけて下さいね)からも情報を提供いただきましたように、他の分野はいざ知らず、こと農業だけは非常に緊迫した情勢となって参りました。先にこの問題を書きます。

(以下引用]

Jpg_edited 日米FTA阻止で国民集会/民主の公約修正も懸念止まず(8月12日)
3000人が結集し、日米FTA阻止を訴えた
 
 JAグループをはじめとする農林水産業団体などは12日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂で、日本と米国との自由貿易協定(FTA)断固阻止を訴える国民集会を開いた。農業者を中心に第一次産業従事者ら約3000人が結集。日米FTAは「わが国の食と農林漁業を支える人々の暮らし、地域経済にも壊滅的な打撃を与える」として、「国民運動として日米FTA断固阻止に向けて運動していく」とする大会宣言を採択した。

  JA全中の茂木守会長は、食料需給の世界的な逼迫(ひっぱく)の中で日米FTAは、国内の食料生産の壊滅につながるとの懸念を示し、「日本の国民、消費者全体の問題だ」と強調。その上で、民主党が衆院選のマニフェスト(政権公約)で、日米FTAの「締結」を「交渉を促進」に修正したことについて「日米の文字が残っている限り、重大な懸念を払拭(ふっしょく)できない」と批判した。

  消費者代表者や学識者の連帯のあいさつ、農林水産業の代表者らの決意表明なども行い、それぞれが強い懸念を表明した。(「日本農業新聞」8月13日)
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/tinyd/index.php?id=325#090812

自民党と民主党の最後の党首討論は、私たち農民の一番聞きたいことがまったく出て来ないという間が抜けたものでした。麻生首相は、FTA問題を切り込んで民主党鳩山氏に明確な政策からの排除を迫るべきでした。今のように「締結という文言を促進に書き替えました、これでご納得頂けましたね。FTAは4年以内に締結しますよ、しかし農産物は自由化しませんからご安心を」などというといわんばっかりのふざけきった民主党の言い分を満天下に引きずり出して問いただすべきでした。なぜ、ひとことも触れないのか、麻生首相!あなたには腰抜けという言葉を差し上げたい。

Photo_2 この問いかけは単に狭く選挙がどうのという問題ではなく、資本グローバリズムを選択するのか、それとも小泉改革で無残に破壊された農業と地域経済を再生していくのかにまでつながる極めて本質的な政治進路の選択のはずでした。

これを堂々と選挙戦の争点にできたのならば、自民党にも万分の一の勝機があったかもしれません。しかし、自民党のこの歯切れの悪さは、今の過大な議席数が、ほかならぬその小泉改革-郵政選挙の結果からもたらされたというアイロニーから自由でないことです。

もはや出来ない相談でしょうが、麻生氏が万にひとつの勝機を摑めるとすれば、たぶん氏の本心であったはずの小泉改革に対する批判と疑念を、明確に国民に語り、その次の小泉なき小泉改革である、民主党「農業改革」に反対の立場を分かりやすく説くことしかありませんでした。それができるようならば、半月後に来る民主鳩山内閣がやるであろう資本グローバリズムに対して有効な対抗軸を作り得たかもしれません。つまりは、麻生自民は、小泉自民を否定することでしか生き延びられなかったのです。

民主党に対しても問いたい。小手先のマニフェスト文言を書き替えるという姑息な対応ではなく、なぜこのような異常なマニフェストが密室で、しかも短期間に生れて、関係議員にすら計られないままノーチェックで発表されたのか、未だ最高実力者である小沢一郎氏が「マニフェストを書き替える必要はない」と発言し続けているのはなぜか、岡田氏が言う「4年以内に日米FTAを締結する」ということはいかなる意味なのかを明瞭に農民に、いや日本国民に説明すべきです。

そして民主党は政治方針から日米FTA締結促進を完全に廃棄し、そのような重大な過てる方針がいかにして生れたのかを第三者も交えて検証して、国民に明らかにすべきです。

ゼーゼー、本日ちょっとテンション上げすぎましたぁ。すまんこって。

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オキナワ・スバとチルダイ

_edited 私が沖縄で住んでいた名護の山の中から、東海岸沿いに那覇に行くと、ヒルギ(マングローブ)の生い茂った川口があって、その近くに亀スバという小さな店がありました。

看板に「スバ」と沖縄語の発音のまんま書いてあるのがしぶいっしょ。

この表音一致というのは沖縄ではよくあります。そうですな、「アイスクリンあります」なんて貼り紙がしてあったりします。初めはなんだこりゃですが、アイスクリームの米語の発音のまんま表記したんです。「ムリンコ」はマリンコー、海兵隊ですね。いちばんすごいのが、「コーヒーシャープ」。これはなんだと思います。コーヒーはいいですよね、シャープは別に電気会社シャープとは関係ない。ショップの米語読みです。ヒージャーミー(山羊の青い目ん玉。転じてアメリカさんのこと)の発音をそのまま書いちゃったんですな。

_edited_2 スバはソバのこと。沖縄語は母音のOがUになるので、スバになっちゃうというわけです。オキナワだとウチナワ、語尾のワが伸びてウチナーです。「ワッターシマ、ウチナー」なんて言い方をします。ま、訳さないでもわかりますよね。ただこのシマは島の意味もありますが、村くらいの語感です。沖縄県全域というより、もっと狭い自分の住んでるとこくらいのニュアンスです。

左の写真はわが愛しのかどやさんです。なんちゅうこともないただの大衆食堂ですが、ここのナカミイリチーが美味い。ナカミは中身、豚のモツのイリチー(炒めもの)です。

オキナワの人のモツの処理はそれはそれは天才的なものがあって、まずヤマトゥ(本土)のように味もそっけもないゴムパッキングのようになったモツなどぜったいに食べません。食堂のアンマー(お母さん)が、生もつを丁寧に小麦粉で洗って、塩でもみ慈しむように下処理したものを茹でます。それも茹ですぎたらパーで、あのモツのキョトキョトした食感が命です。こんな下処理をしたモツを一気に野菜と炒めてガッガッと食べる。ウマッサヌー!

私は山の中から西海岸に出て名護の町に行くと、このかどやさんでナカミイリチーとスバの小のセットを頼みました。ひと仕事終えての昼下がりの食堂で、畳の間に上がりこみ、くしゃくしゃの沖縄タイムスを読みながら、ボーっとRBCラジオの民謡放送に耳を傾け、なぜか沖縄の大衆食堂のテーブルにサービスで置いてあるアイスコーヒー(クリーム、砂糖が全部入っていて、沖縄にしか売っていない珍品)の粉に水を入れてぐびぐび飲む・・・あ~これがオキナワン・チルダイのだいご味。

チルダイのだいご味といっても、輝く海岸をワーと走る青春などというかんじじゃなくて、あんまり暑いので、ボ~としていましょうかねぇ、外はまぶしいねぇ、観光客は異様に元気だねぇー、三線の爪弾きを聞きながらちょっと昼寝でもしますか、くらいなかんじかな。強いて訳せばかったるいでしょうが、ちょっと違う。

でも、オリオンは飲まないよ、暑くなるから。サキはやっぱり日が暮れてから。ああ、チルダイ、チルダイ。

 

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民主党農政はグローバリズムへの危険な道            グローバリズムの祭壇の生贄に捧げられる日本農業

_edited_2  メールマガジン「オルタ」様の求めに応じて書きました原稿です。このブログの読者にはどこかで読んだ文章だとは思いますが、まとめて掲載致します。

[以下メルマガ原稿]

極めて危険な民主党農業政策・日米FTA締結促進政策にみられるグローバリズムへの傾斜

民主党農業マニフェストについて考えます。現在の状況に大きな変化はみられず、このメルマガが出されて半月後には、私たちは民主党政権の誕生を確実に見ることになるでしょう。その前夜です。

私は腐敗した自民党にいささかの未練も、同情もありません。政権は交代されるべきです。

自民党の農政は現行の農政の延長上からまったく自由になりません。それが善くも悪しくも、政権党というものです。いまさら新味もなにもない。とうの昔に賞味期限切れ。ただ反面、矛盾だらけの現実を踏まえてはいますので、堅実ではあります。まぁ、取り柄はそれだけです。

問題は何によって、どのように変化するのか、です。

結論から言いましょう。民主党の農業政策は今まで日本農業の政策の中で、たぶん一度も陽の目を見なかった農業全面自由化路線に踏み込もうとしています。

_edited_3 これは日本農業にとって根底的な方向転換、いや瀕死の床にある日本農業の頭上に最後の一撃となって打ち下ろされるハンマーです。民主党岡田氏が「4年以内に日米FTAを締結する」と言い切りましたから、そこから多少の段階を踏んで、日本農業は早くて5年以内、長くとも7、8年以内には、ほぼ壊滅状態に追い込まれることでしょう。この民主党農業政策は、絶対に選びとってはならない資本グローバリズムの前に日本農業を差し出すことにほかなりません。

さて、このマニフェストが出た時、民主党のマニフェストは単なる農村へのバラマキ政策のように見えました。バラマキに対する財源論で終始するかに思われました。戸別農家所得補償と言っても「生産目標達成農家」にしかやらないのだから、減反死守の自民党と一緒に見えます。子供手当てのような「生活を守る」政策と同次元で見られたのです。しかしそうではなかったのです。

なんとマニフェスト最後に「外交」欄にひっそりと入っていたのが、この超弩級の仕掛け爆弾、日米FTA締結促進だったのです。誰しもが夢想だにしなかった政策です。さすがの減反反対、がんじがらめの農業に対する規制を廃止しろ、兼業農家重視から専業や法人農家にスタンスの重心を移せ、と年中言っているこの私ですら絶句しました。しかしあまりにも意表を突かれたために、戸別農家所得補償とFTA政策のふたつがうまく頭の中でくっつかなかったというのが、私の本音です。

そもそも民主党はそのように分かりやすくマニフェストを書いていません。戸別所得補償はあたかも生活防衛の福祉政策のように、そして一方のFTAは外交にと、意図的にわかりにくく偽装されて混入されています。

_edited_4 所得補償で、前回の参院選に民主党に大きな追い風を送った農村部でも、さすがこのFTAには大きな動揺が走りました。わが村でN賀氏という自民党大物に猛追していた民主党新人の事務所には連日電話が鳴りっぱなしだったといいます。かんじんの民主党農村部候補者ですら、いや驚くべきことには、「次の内閣」元農水大臣だった篠原孝氏も、民主党農水族の大物山田正彦氏すらこの日米FTA締結促進などという政策は事前にまったく相談されていなかったことが後に判明します。

なんと民主党マニフェストは、このような日本農業の面運を左右する重大な内容をもちながら、一切の党内議論も省略し、専門委員を入れぬ密室で、わずか8名が1カ月半で即席に作り上げたものだと、後に分かります。日本農業の命運は、このようにしてあっと言う間に素人の密談で決定されてしまったのです。

とうぜんのことながら、選挙直前に農業を潰すと公言するに等しい民主党マニフェストに、日本農業の総本山であるJA全農は猛反発しました。記者会見の矢面に立った菅氏は「FTAは締結ではなく、促進、農業自由化は考えていない」という1カ月後に政権党になるとは思えない支離滅裂な言い訳をしました。同様な声明も発表されました。JA全農中枢との接触が計られ、手打ちもあったという情報もあります。これはindex2009政策集の中で、あからさまな農協敵視し、解体を目論むような文言が入っていたためもありますが。

しかし多くの農民にとって、このような民主党の言説のブレはかえって不信を呼びました。なぜなら、日米FTAにおいて農産物自由化を除外しての交渉など絶対にありえないのは常識の範疇だからです。

米を筆頭に麦、大豆、豚肉、牛肉、乳製品などの完全自由化を前提としないFTA交渉などあり得ません。そもそもFTA自体が完全なる無条件の市場開放を前提とする相互の国家間の市場統合、地域グローバリズムなのです。そしてこの日米FTA交渉によって日豪、日中そしてアジア太平洋地域での同様のFTA交渉へと波及していくことでしょう。

つまりは、WTOドーハラウンド交渉が未だ継続されている中で、守ろうとしている日本農業の城壁の門戸を内側から破るが如き行いだからです。はっきり言えば、わが瑞穂の民を敵に回す政策を民主党は選び取ったと、多くの農民は感じたのです。

_edited_5 一方このような動揺を尻目に、民主党最高実力者である小沢氏はまったくブレていません。氏は日米FTA締結マニフェストを修正するなどとは一言も言っていない。他の幹部の自由化撤回発言を全部否定しています。小沢氏は岡山市での記者会見で、こう述べています。

「たとえ安い輸入品が入ってきても戸別農家所得補償が農家を守る。消費者にとって海外の安いものを選択できる。安全安心の国産も選択できる。消費者、生産者双方にいい政策である」(「日本農業新聞8月11日2面)

これで分かりました。戸別農家所得補償と日米FTA締結促進政策はメダルの表裏の如き一対の政策だということが!

なぜ小沢氏がブレないのか。理由は簡単です。あのFTA政策はほかならぬ彼が発案したものだからです。

小沢氏の農業政策は能弁な学者が代弁してくれます。池田信夫氏、ブログ界の帝王、そして隠れもしないハイエクとフリードマンを師と仰ぐ新自由主義経済学派の論客です。

[以下引用]

民主党が日米FTAについてマニフェストを修正する方針を決めたことに対して、小沢一郎が異議を唱えた。農業所得補償は「農産物の貿易自由化が進んでも、市場価格が生産費を下回る状況なら不足分は支払うという制度。消費者にとってもいいし、生産者も安心して再生産できる」という彼の議論は、経済学的にも正しい。(中略)

彼がFTAで日米の経済関係を緊密化するために農業所得補償を提案したのは、日本の政治家には珍しい戦略的な政策である。それは農業補助金を中間搾取してきた農協を通さないで戸別補償することによって、自民党の最大の集票基盤である農協を破壊するという点でも、自民党を知り尽くした小沢氏らしい

[引用終了・下線引用者]

池田信夫 blog http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo

Img_0008_2 小沢氏の農業政策は、ひとことで言えば「改革派」農業路線です。いわば小泉-竹中改革の農業バージョンと言っていいでしょう。

小沢氏は、自民党農水族のように農業政策を国内政策=内政と位置づけません。

小沢氏は日本農業がいくら七転八倒しようとも国際市場からの開放圧力に抗せないと達観しています。点滴を受けながら延命しているような日本農業ならば、そのような脆弱な農業市場をいっそうのこと開放してしまえばよいと考えたのです。そして滅びる者は必然的に滅びる、食えないというのなら補償金代わりの農家戸別所得補償という名の見舞金をやる、ということです。

彼の考えでは、この農業市場開放により消費者は大きな利得を得ることが出来ます。その理由は、 農業市場開放によって消費者はより安い農産物を手に入れることができるという経済的メリットが手に入るからです。

また、とうぜん米国産の輸入農産物や加工品が雪崩をうって流入しますから、先進国の消費者にふさわしい選択拡大のメリットが生じます。

仮に安くてまずいアメリカンアップルがイヤならば、高くて安全な国産ブランドを買えばいい、なにも小沢氏は日本農業を止めろとは言っていないのですから。ただ、安全で美味しい農産物はお金がかかることを認識しないといけないよと言っているだけなのです。ただし日本のリンゴが生き残っていればの話ですが。 納税者にとってもいいことずくめです。理由はわずか数兆円の財源支出と相殺されるだけの食費に関する支出減が見込まれます。

ウォールマート=セイユーのような一円でも安くのスーパー量販店にはアメリカンアップルが山積みされるでしょう。米国産牛肉、豚肉は今の4割安に、コメは約半値に・・・。日本農業が無に等しくなった新世界!農業なき田園、稲穂なき農村の新世界、この素晴らしき新世界!
ですからもちろんのこと、日米FTAを農産物市場開放抜きで進めようなどという児戯に等しいことなど氏が考えているはずもありません。なぜなら、FTAが無条件にすべての商品の関税自由化を意味する(*各種の条件は設定可能ですが)ことなど氏はとっくに承知の上だからです。

このことによって、日本は従来のWTO体制、すなわち自由貿易グローバリズムの障害的存在から、一挙に国際社会の中で賞賛される立場に変身できると考えていると思われます。これぞかつては、湾岸戦争時には時の海部首相などそっちのけで45億$という巨額の資金を米国にポンッと出し、また今回もアフガンのISAFに出兵しようという意志を隠さない小沢氏の「国際協調」路線です。

Img_0003 このような小沢氏だからこそ、弱体日本農業をグローバリズムの祭壇の生贄に捧げて恬として恥じないのです。大の虫を活かすに、小の虫を斬る、そしてすべて金で解決する、日本農業なき日本の自然風土がどのように荒廃しようと単なる環境問題として処理する、これが小沢流農業政策の本質です。

民主党は、かつての郵政選挙のように地滑り的な大勝利を手にすることでしょう。衆参での絶対多数、そして民主党内でたぶん100名を超える旧田中派のような大派閥に成長した小沢派によって、日本農業市場の完全自由化、その最大の障害となるJA農協の解体・株式会社化、農林中央金庫というメガ金融機関のJAからの分離、外資の農業市場への参入などという新自由主義的「改革路線」に突き進むことと思われます。これが、第2の郵政改革である農業改革です。

そしてかつての小泉改革に優るとも劣らない傷跡を日本社会に、いや日本の自然環境にも刻みつけることでしょう。日本人はとりかえしのつかない選択を、「一回変えてみよう」という浮かれた空気の中で決断しつつあります。

                                       (了)

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民主党FTA締結促進政策のメリットとは?               暗黒卿吠える!

_edited_edited 先週から民主党農業マニフェストについてつらつらと考えております。

え、なぜ自民党のほうもやらないかって。だって自民党のは現行の農政そのものでしょう。私の学生時代の裏返して履いていたパンツのようなもんで、いまさら新味もなにもありませんやね。とうの昔に賞味期限切れ。ただ反面、ホコトンだらけの現実を踏まえてはいますんで、堅実ではあります。ま、取り柄はそれだけです。

それにひきかえ、日本政界の暗黒卿は実に明解にご託宣を獅子咆哮します。ん?なになに民主党のマニフェストは支離滅裂だ?戸別農家所得補償って「生産目標達成農家」にしかやらないのだから、減反死守の自民党と一緒じゃないかって?え、日米FTA締結促進すりゃ日本農業は潰れて、それで自給率100%なんかできるわきゃないって?

ちっちっ、わかっていませんね。まるで1週間前の頭の悪い私のようだ。字面だけで民主党マニフェストを解釈するから理解できないのです。民主党のハトオカンが何を言おうと、一切無視して下さい。どうせ選挙前の票ほしさのその場しのぎにすぎないからです。第一、暗黒卿は聞いてやしません。いいですか、暗黒卿は日米FTA締結マニフェストを修正するなどとは一言も言っていない。全部否定しています。(*コメント様、ありがとうございます。ユーチューブでも映像がアップされたようですhttp://www.youtube.com/watch?v=xEsYc4oM2Fo

_edited_3暗黒卿は男は黙って陰謀をめぐらす性格の暗いお方なので、能弁な学者に聞くとホイホイと卿の考えを代弁してくれます。(*昨日の記事参照)

暗黒卿の農業政策は、ひとことで言えば「改革派」農業路線です。小泉-竹中改革の農業バージョンです。

え、なんですかまた。暗黒卿と小泉氏は政敵だっただろうって。いやそれは同じことを先にやられて、卿が地団駄踏んで悔しがっていただけです。近親憎悪、あるいは陰と陽。だって、卿にとっての「マインカンプ」(わが闘争)である『普通の国』に書かれていたことを、コイズミが剽窃したくらいに卿は思っているんですぜ。

それはさておき、自民党守旧派のようにチマチマと農業政策を国内政策=内政と位置づけません。卿は大胆にも国際市場と直結して見ているのです。

暗黒卿は日本農業がいくら七転八倒しようとも国際市場からの開放圧力に抗せないと達観してます。点滴を受けながら延命しているようならば、そのような脆弱な農業市場をいっそうのこと開放してしまえばよいと卿は考えたのです。そしてくたばる者は必然的にくたばる、くたばりそうなら補償金代わりのゼニをやる、とまぁこういうことです。

Img_0007_edited ですからもちろんのこと、日米FTAを農産物市場開放抜きで進めようなどという児戯に等しいことなど暗黒卿はお考えになっているはずもありません。なぜなら、FTAが無条件にすべての商品の関税自由化を意味する(*各種の条件は設定可能ですが)ことなど暗黒卿は知り抜いているからです。

WTOのほうがまだ色々と手練手管がありってもんですから。WTO促進を吹っ飛ばして、いきなり、農産物市場自由化の本丸である日米FTA締結まで踏み込んだ暗黒卿の強い意志を私たちは知らねばなりません。

そのことによって日本はWTO、すなわち自由貿易の敵から、一挙に国際社会の中で賞賛される立場に変身できると暗黒卿はお考えなのでした。これぞかつては、湾岸戦争時には時の海部首相などそっちのけで45億$という巨額の資金を米国にポンッと出し、また今回もアフガンのISAFに出兵しようかという、卿の国際協調精神の発露です。まさに、おお「友愛」ではありませんか!

この農業市場開放により消費者は大きな利得を得ることが出来ます。その理由は、 農業市場開放によって消費者はより安い農産物を手に入れることができるという経済的メリットが手に入ります。

また、とうぜん輸入農産物や加工品が雪崩をうって流入しますから、先進国の消費者にふさわしい選択拡大のメリットが生じるという素晴らしさです。仮に安くてまずいアメリカンアップルがイヤならば、高くて安全な国産ブランドを買えばいいだけです。なにも暗黒卿は日本農業を止めろとは言っていないのですから。ただ、安全で美味しい農産物はお金がかかることを認識しないといけないよと言っているだけなのです。ま、日本のリンゴが生き残っていればの話ですがね。

そして納税者にとってもいいことずくめです。理由はわずか数兆円の財源支出と相殺されるだけの食費に関する支出減が見込まれます。

以上、暗黒卿の頭の中を解説いたしました。

■ いしいひさいち「問題外論」から懲りずに引用させていただきました。ありがとうございます。

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民主党日米FTA促進マニフェストの理論的根拠は 新自由主義経済だった!

_edited 1945年8月9日午前11時02分、長崎市に投下された米軍の核兵器により75000名もの老若男女の同胞が殺戮されました。心から哀悼を捧げます。私たち日本人は、この事実を永遠に忘れません。

さて、2名の方からコメントをいただきました。ありがとうございます。

ご紹介頂きました朝日新聞記事は非常に重要だと思われますので転載いたします。

[以下引用]

小沢氏、日米FTAで持論強調「農協、ためにする議論」

 「輸入品は国内産より安いだろうが、良質のものも選択できる。市場価格が生産費を下回れば不足分は支払う。消費者にも生産者にもいい」 民主党の小沢一郎代表代行は8日、農業の戸別所得補償制度の導入を前提に、農産物も含む日米自由貿易協定(FTA)締結を目指すべきだとの考えを改めて強調した。鹿児島県肝付町で、かつてともに自民党田中派に属した故二階堂進・元自民党副総裁の墓参後に記者団に語った。

 民主党は前日、農業関係者の反発を受けてマニフェストにあった「締結」の表現を弱めたばかりだが、小沢氏は構わず持論を展開。「農協がわいわい言っているケースもあるそうだが、ためにする議論だ」と述べ、民主党批判で自民党と歩調を合わせる農協を牽制(けんせい)した。

朝日新聞8月8日(本田修一)
http://www.asahi.com/politics/update/0808/TKY200908080134.html

また、この小沢発言を援護する記事、マクロ経済学者池田信夫氏の高名なブログ「池田信夫ブログ」の本日8月9日の記事もでておりますので、同時に転載いたします。

[以下引用]

民主党が日米FTAについてマニフェストを修正する方針を決めたことに対して、小沢一郎が異議を唱えた。農業所得補償は「農産物の貿易自由化が進んでも、市場価格が生産費を下回る状況なら不足分は支払うという制度。消費者にとってもいいし、生産者も安心して再生産できる」という彼の議論は、経済学的にも正しい。これをマンキューの教科書の図をウェブで借りて説明しよう。

(中略)

小沢氏の主張は、きわめて初等的な経済学で証明できるのだ。彼がFTAで日米の経済関係を緊密化するために農業所得補償を提案したのは、日本の政治家には珍しい戦略的な政策である。それは農業補助金を中間搾取してきた農協を通さないで戸別補償することによって、自民党の最大の集票基盤である農協を破壊するという点でも、自民党を知り尽くした小沢氏らしい


また、池田信夫ブログ8月6日のブログ記事にもこうあります。


民主党が日米FTAをマニフェストからはずす方針だという。私は、農業所得補償は子供手当のような単純なバラマキではなく、農業補助金が「農協補助金」になって自民党の政治資金に化けている現状を改め、FTAで農産物市場の開放を進める移行措置として所得を補償する(民主党には珍しい)戦略的な政策だと理解していた。

ところが鳩山由紀夫の「コメをはじめとする重要作物に対し『関税を引き下げられたらたまらない』という農家の思いも強くあると思う。より分かりやすく直していくことが必要かなと思っている」という発言には、こうした戦略がまったく感じられない(これを立案した小沢一郎氏には戦略があったのかもしれないが)。こうなると専業・兼業農家に無差別にばらまく所得補償は、松岡利勝のぶんどったウルグアイ・ラウンドの6兆円と同じだ。

[引用終了・下線引用者]

池田信夫 blog http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo

_edited_4 さてコメント様のご紹介の「朝日新聞」(8/8)記事にありますように「名前を言ってはいけないあの人」は、まったくこのFTA締結方針を変えていないようです。失礼ながら、やや嬉しい。そうでなくちゃ!

このあたりが鳩のばらまき型ポビュリズムとおおいに異なる日本政界に屹立する暗黒卿です。そうなのです、これであの農業マニニフェストが「あの人」の意志によって貫かれていることがよ~く分かりました。

ただ「あの人」は、国内根回しはおろか、てめえの党内の根回しもやらないので、農林族の篠原さんや山田さんが目を白黒したわけです。「あの人」の理論は非常に明解です。ただし彼は、党内ですらこのていたらくですから、国民に分かりやすく説明をするということを一切しません。「バカヤロー」とわめくだけです。やれやれ。

では、「あの人」の農業に関する理論はどこから来ているのでしょうか?それはなんとマクロ経済学です。これは新自由主義経済学派の池田信夫氏、あるいは竹中平蔵氏などの政策提言と酷似しているからです。「あの人」が、一時代を作った『普通の国』はとうに忘れ去られてしまいましたが、彼は今に至るも、隠れもない新自由主義者だったのです。いや、小泉-竹中両改革に先行すること10余年以前ですから「元祖新自由主義」の栄光は「あの人」にこそ捧げられるべきであったでしょう。

そして「あの人」が、政策決定の中枢にいる民主党とは、分配型福祉政党ではなく、真逆の小泉-竹中の流れを汲む、新自由主義経済の党なのです。ま、ご承知のとおり党内はバラバラですが、今回のもっとも枢要なマニフェストですらわずか一握りの人間が、密室で1カ月半で書き上げて、党内討議を経ることなく発表されて、選挙戦となるというていたらくですから、結局最も権力と金の配分に近い最大派閥の「あの人」たちグループが、政策を推し進めていくわけです。

それはさておき、それがどのような政策内容なのかを次回に検証します。

(続く)

■写真下 「名前を言ってはいけないあの人」、別名は「日本政界の暗黒卿」。いしいひさいち「問題外論」より。しかし、いしいさんの漫画はおもしろい!ありがとうございました。

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民主党日米FTAマニフェスト・呆れたことに党内論議なしで出ていた!

_edited_3私が知り得た限りでは初めて全国紙に民主党FTAマニフェストがらみの記事が出ました。大変に興味深いので引用いたします。

[引用開始]

マニフェスト無視

 都市部以外の候補者にとって、農業団体・関係者の票や支援がのどから手が出るほど欲しい。だが、特定業界・団体依存の体質と選挙手法は、党内からも「民主党が批判してきた自民党とどう違うのか」(中堅議員)との声が漏れる。

 自民党と農業票を奪い合い、自治労、日教組などの支援を受ける。政官業の癒着を断ち切るとの民主党の目標と矛盾しないのか。混乱が予想される「締結」に踏み込んだのはなぜか。

 「党内の農水専門家に相談せず、マニフェスト検討準備委員会がポーンと出してしまった。『外交』の項目に日米FTAを入れるなんて愚の骨頂だ」

 ある幹部は、党内の根回しがろくにないまま発表されたと打ち明ける。マニフェストは、検討委(委員長・直嶋正行政調会長)のメンバー8人で実質1カ月半ほど練られたが、農政通の国会議員はいなかった。

 JA全中との“手打ち式”が行われる前日の7月30日。「次の内閣」の元農水相である篠原孝は、長野県小布施町の飲食店で、遊説に訪れた代表、鳩山由紀夫と昼食をともにした。

 「日米FTAの問題で自民党側は大喜びだ」

 篠原は、「締結」の盛り込みにかみついた後、日本農業がどれほどの痛手を被るか、こんこんと説いた。

 「コメのような重要な作物は、簡単に(輸入の)道を開かせない」

 鳩山は昼食後の松本市での遊説では、マニフェストを無視するように、あっけらかんと訴えていた。(産経新聞 8月8日http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090807/elc0908071742005-n3.htm

[引用終了]

_edited_4 一読し、ため息がでてきます。かくも大きな政策が農業関係専門家も交えないたった8人の検討委員会で、わずか1カ月半で決められていたという拙速ぶりです。

今までさんざん批判しましたが、篠原孝氏はちゃんと鳩山「首相」に直談判をしてくれたようです。まだ彼なら話が嚙むのです。しかし、かんじんの鳩山「首相」はこの日米FTAを「促進」するということがなにを意味するのかすら、哀しくやさっぱり意味がわかっていなかったようです。噂にたがわぬ友愛宇宙人ぶりです。この人の背後にいるのが、「名前を言ってはいけないあの人」なのですから、なんとも言えない脱力感に襲われます。

全農はこう主張します。「米国が米、麦、豚肉、牛肉などの関税撤廃を求めてくることは必至だ」、「米国が日本に関税撤廃を求めて来るようになれば、EPA交渉中の豪、中、アジア太平洋諸国にも波及し、日本農業は壊滅する」(「日本農業新聞」8/8*本日のアップした画像参照・クリックすると大きくなります)。

全農の危機感は非常によく理解できます。全農の危機感は、単にこのマニフェストの非常識さにあるのではなく、それをあろうことか「外交」に入れてしまい、批判の嵐に会うと一転して「締結」でいけないのなら「促進」だ、促進するが「農産品は除外する」、とほとんど出来の悪い中学生のようなことを言いだす「政権党」のクォリティにあるでしょう。

このようなことがまったくの密室で、しかも短期間に決められてしまう民主党の政策決定のあり方に重大な疑問符がつきました。

■ 写真 「名前を言ってはいけないあの人」像。いしいひさいち「問題外論」より。あまりよく似ているので引用させていただきました。ありがとうございます。

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民主党日米FTA政策を報じない空気 論じない空気

_edited余情半さま、いつも温かく的確なコメントをありがとうございます。またトラックバックをいただきました「JAFTAインフルエンザ-アフガン-北朝鮮」様ありがとうございました。NAFTA(北米自由貿易協定)について貴重な資料も読ましていただきました。とても参考になりました。近々、果たして国際自由貿易と日本農業は共存できるのかというテーマで考えてみたいと思います。

*「JAFTAインフルエンザ-アフガン-北朝鮮」ブログ http://blog.goo.ne.jp/afghan_iraq_nk/e/30a958d7f387b670e23583b899124bba

さて、「ただの保守」様、コメントありがとうございました。2006年の民主党政策集に既にあることは、私もこの問題が起きてから検索した結果、初めて知りました。ご教示のほどありがとうございます。

Img_0018 しかし「ただの保守」様、今回の保守ブログ界で民主党日米FTAを取り上げたところがありましたでしょうか?この問題が起きてから、かなりの数のブログを検索しましたが、まさに保守の方々にとって誂えたような民主党批判のテーマであるにもかかわらず、短い扱いが少々あるていどで、ほとんどの保守系ブログはこのFTAテーマに沈黙しています。

と言いますか、そもそもこの問題の大きさを知らないのでしょう。「ただの保守」様のような方は極小であると思われます。「ただの保守」様、私のような所に「お前はこんなことも知らなかったのかい」と言うようなコメントをされるのではなく、有名保守系ブログに投稿をされて議論を興すことをお勧めします。

また一方、リベラル派の方々の多くも「政権交代」前夜というはしゃいだ空気の中で、仮に知り得ていても現時点で民主党を批判することは敵自民党に与することになるとでも思っているのか、見事に沈黙を守っているようです。

ですから、私のような一介の百姓のブログが、民主党マニフェスト・日米FTAで検索すればかなり上位のクリックランキングに入るという椿事となりました。かの中川秀直氏のブログより上位に来た時には、さすがにシェ~と魂消えましたが(笑)。

Img_0001_2 唯一異なるのは日本共産党と、その支持者の方々のブログです。今回、民主党の日米FTA「促進」政策に、ほとんど唯一まっとうな批判を加えたのは同党のみでした。

たぶん日本共産党は、この秋から始まる衆参で絶対多数の議席を握った民主党政権下で、「唯一のほんとうの野党」と成り得ることでしょう。私は同党の支持者ではありませんし、むしろ長年に渡る批判者ですらありました。同党を支持したのは実に中学3年以来です(苦笑)。しかし今回に限り、政権に媚びない背筋が伸びた姿勢に強く共感します。

もしかりに、民主党の中身が世情言われるように第2自民党であった場合、次々回の選挙ではその失望から本家自民党が再び勝利してしまうという笑えぬことになるわけです。このような事実上選択肢が2つに限定される小選挙区制のために、自民党批判の受け皿が民主党のみになるという現象には疑問を感じます。

そしてなにより、この重要な政策論議なき空気を作った張本人はマスメディアです。テレビ、ラジオ、全国紙はほぼ完全なスルー状態、わずかに短いベタ記事が載るていどで、大きく報じたところは皆無に等しいようです。私ですら、「日本農業新聞」を読んでいなければ知りませんでした。まさに民主党が大勝利するためには、民主党に不利なことはすべて封をするといわんばかりのマスメディアによる情報操作です。ノリピーがどうのとかくだらないことばかりやってねぇで、シャキっとせんかい!

このような空気の中で、日米FTA問題は民主党の「締結」から「促進」にという語句の修正と、言い訳にもならない「農産物自由化はしない」という苦し紛れの公約も、農村の静かな怒りを押し殺して通っていくのかもしれません。

マスメディアは、かの4年前の郵政選挙で自民党に大風を送り込んだ愚を、今回また繰り返そうとしているようです。

■写真 わが愛犬タロー。性格温順、食欲無比、見た目はコワイが、来訪者を疑ったことがないという非番犬タイプ。やっぱりレトリバーの雑種ですからね、しかたないか。真ん中の鼻のアップ写真は、真正面から撮ってやろうという親心に、大喜びで私の顔、というかカメラをなめたため、かようなものに。

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家保の検査風景

_editedまず、8月6日の広島に投下された原爆による22万1407人もの死亡者の霊に心から黙祷を捧げます。私たち日本人は米国が自ら核兵器を完全に廃絶する日まで、許してはなりません。

さて、うちの農場の検査風景です。

私の農場は家畜保健衛生所のモニター農場です。トリインフルエンザは毎月やって、サルモネラは自主的には毎月やっています。

また、年に2回ほどは家保による徹底したサルモネラ検査をしています。それはそれはテッテイしたもので、20~30カ所に登る鶏舎の床面、通路、とまり木、産卵箱など、「もう悪意でもあんのぉ」とボヤきたくなるほど事細かにサンプリングして検査をします。しかも家保の職員は皆、獣医さん。ごまかしはききませぬ。

にこにこと笑顔で、実に愛想よく、しかしさすがのプロ根性で採取していかれます。ありやたんした。というわけで、わが農場の清浄性は家保のお墨付き、鹿行家保ご推奨模範農場なのであります。

以上、番組の提供は世界に羽ばたく信頼の翼(←なんのこっちゃ)キジムナー農場でした。

昨夜の有機農業者の交流会の飲み過ぎによる脳みそ雷おこし状態により、短稿にて。あ、催しのほうは成功しましたんでご安心下さい。あ~、頭痛てぇ。

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なめがた有機農業30歳  青年期から壮年期へ

Img_0012 今日、何人が来るかな・・・、朝から私は心配でしかたがありません。

というのは、この行方地域で、たぶん最初の有機農業者の集まりがあるからです。有機農業者というわが同業者は横のつながりを持つことが苦手でした。

そもそもが、農業の異端という辺境のポジションからの出発でしたし、有機栽培など不可能だという農水省などの行政や、地元JAの完璧なる無視と偏見の空気の中でやってきた期間があまりに長かったのです。長い人で30有余年、この私ですら25年、もう後継者が出て来ないとしんどい年頃になってきています。ああ、俺も歳くったもんだ(ため息)。

そして私たちの同業者は、JAに出荷を頼みにいっては軽くあしらわれたり、はたまた農薬の空中散布を申し入れてJAや行政とすったもんだしたりと、決して自慢ではありませんが、地元とうまくいっているとは言い難いのも確かでした。

Img_0001 JAあたりからすればわけのわからないマイナーな連中、JAにいちいち逆らう奴らといった見方をされていたのかもしれません。しかし、まがいなりとも有機農業がグループを組んで30年間も続けられたのは、いくつかこの行方地域の特殊性とでもいうべき要素がありました。

それはひとつに、JAがこの地域では相対的存在だったことです。わずか農産物出荷の3割ていどのシェアしかもっていないのです。このような農業地帯は全国的にも希ではないでしょうか。米どころや、中山間地でのJAのシェア、言い換えれば支配率は巨大です。JAと異なる農法をやることすら不可能な地域すら存在します。特に出荷ルートが限られる山間部では、JA以外のルートを作ることは至難だといえます。よしんば有機農産物が作れたとしも、ひとりでトラックに乗せて往復3時間もかけて都市部の消費者に自分で届けねばなりません。

それに対して、この行方地域は関東で、いや日本でも最も古い有機農産物の産地のひとつでした。私がここに入植する前後から、大地を守る会やポラン広場系の反農薬八百屋、そして現在のパルシステムの流れとなる生協などが、この行方台地に来るようになっていました。規模は初めはショボかったものの、やがてこれらの流通団体が大きく成長するに連れて, 出荷量は飛躍的に伸びていきました。

_edited このように有機農産物流通と初期の頃から二人三脚のようにして成長してきたことは、この地域の有機農業経営を安定させる上で大きなプラスでした。しかしそれと同時に、流通による縦割り構造の壁がしっかりと根を張ってしまったのも事実です。

この壁は想像以上に厚いもので、私たちの地域の有機農業者は横にネットワークを作る必然がなくなってしまいかけていたのです。受発注、作付けなどの業務体系は当然のこととして、見学会、公開確認会、収穫祭などの各種の交流イベントも、各団体が勝手に自分たちだけでやってきたわけです。ですから、秋など同じ頃に幾つかの有機農業団体がてんでんばらばらに収穫祭をするという、考えてみれば奇妙な風景ももはや見慣れたものとなっていたのでした。

私が、この地域農業の次世代を考える「なめがた農園フロンティア構想」の委員に選ばれたことは、とても大きな収穫でした。この策定期間の1年の間に、私は今まで知り得なかった地域の特色ある農業者や、JAなめがたとすら出会えました。いずれも教えられること、刺激されることが満載でした。

そして率直に感じたことは、有機農業は「遅れている」という痛恨の念です。自分たち有機農法の先進性に安住する余り、地域の農業者と接してこなかったし、そもそもが自分たちの間ですら交流ひとつできていないのです。地域作りという視点が有機農業者には大きく欠落していたのです。

有機農業が孤独な探求者である時代はとうに終わっています。有機農業は孤立することを止め、大胆に地場の農業と関わりを持たねばならない時代になっているのです。

なめがたの有機農業30歳。青年期は終わり、社会に責任をもった壮年期にむかわねばならない時です。今宵の集まりがその第一歩でありますように。

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エンザロ村のかまど                               エンザロ村でゼニカネをばらまいているような民主党

Img_0004_2 「エンザロ村のかまど」は色々なことを教えています。

外国のことだと思わずに、我が身に置き換えてみるといいでしょう。私たち農家の場合、農業支援にあてはめてみます。

農業支援と書いただけで、われながらいまいましいのですが、しゃーない、これが現実だ。農業支援でもっともやってはいけない下策は、直接にゼニカネを農村にバラまくことです。

仮にエンザロ村に日本人が来て、お大尽にも直接ゼニカネをバラまいたら醜悪な光景が残るだけで、村はなにも豊かにならなかったでしょう。あるいは、よくあるODAのようにハイテク機械を置いていっただけだったら、数年後には故障してサビつくだけです。ゼニカネは下策、機械や施設の支援は中策、そして上策はこのエンザロ村のように、何が村に必要なのかをじっくり話あい、現地で取れる資材で、村人と共に作ることです。そのための組合のような仕組みも必要になるかもしれません。

さて、現場へのゼニカネのバラまきという下策、どこかで聞いたでしょう。そう、今の民主党のありがたい政策がまさにこれです。山田正彦民主党農魚再生本部長が今日の「日本農業新聞」二面でこう説明しています。「生産コストにつながる規模拡大、環境への配慮、品質に対応した加算がある」ので、単なるバラまきではないそうです。

Img_0009_2日米FTA「推進」マニフェストの時にも思いましたが、今の民主党はまるで夏休みの最終日にあわてて宿題を書いている小学生のようです。

今までのノンキな野党暮らしの間に真面目に考えていなかったのがすぐにバレてしまい、「野党」自民党から少し突っ込まれると「今の自給率を下げたのは自民党だろうが~!」と逆ギレしたり、「いや、締結ではなくて推進とインデックスには書いてある」と居直ったり、あげくに「農産物自由化を考えずにFTAを推進する」などともはや詭弁の域に達することを言ってみたりと、これが小学生の自由研究の宿題だったら、目も当てられません。

戸別農家所得補償制度が、環境、規模、品質に対して基準をもっているのはあたりまえすぎて、何を今さらです。こんなていどが加算算定の基準になるのなら、現行の自民党農政でもとっくにやっていることです。

環境保全型農業に対する補助などとっくにあります。あるいは作目によっても加算をするようですが、これも今の悪名高き4品目横断政策とどう違うのでしょうか?4品目横断が、政策誘導であったのならば、さしずめ戸別所得補償制度は老齢福祉か、社会福祉政策といったところでしょうか。いや、ありていに言ってしまえば、旧田中派流儀の票ほしさの実弾発射です。

私は民主党のツルネン・マルティさん(有機農業推進議員連盟事務局長)とお話した時に、「直接支払いを民主党がするのならば、有機農業や、有機に向かう転換期間中に対して目的を絞らないと、農業政策としてはボヤけますよ。また自然環境の保護再生事業に関わる環境直接支払いも必要です」と言ったはずでしたが、やはりこのようなものに成り果てました。換骨奪胎の極みです。なんの理念もありません。日本の風土と農業を心から愛しているツルネンさんの声は、党内では少数派のようです。

今までの自民党農政が機械や建物の助成にすぎない中策だったのならば、今回の民主党の農業マニフェストはまさに下策と言って良いでしょう。

■写真上はシジミチョウ、下は分かりますか?カラスウリの花のつぼみです。

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エンザロ村のかまど                            その土地にほんとうに必要なものとは?

_edited 「エンザロ村のかまど」という絵本を読んで、すごいなぁと関心したのは、このプロジェクトのリーダーの岸田袈裟子さんが、何十回もエンザロ村の人と話あいをもっていることです。

岸田さんはもう既に三〇年も前からケニアに入って、女性や子供の生活を改善するために働いてきました。ですから、なにがほんとうに必要なのか、しかも自分たちでつくれるものは何かが考え抜かれています。

たぶんこの「現地の人達と話し合う」という部分がこの本の大きなヘソです。なんだ、あたりまえじゃないかと思われるかもしれませんが、前に紹介した水力発電のケースはこの部分の失敗が尾を引いているのです。山間の村の子供たちに電気の灯を灯して上げたいという心温まる善意に、実は一番欠けていたのが、この「現地の人との話あい」の期間でした。

それはいたしかたがないところがあって、岸田さんはケニアに骨を埋めるような覚悟で暮らしている人です。それに対して電気を引いて上げようと思った人達は、日本に仕事をもっている人達でした。話あう時間も少なく、やはり善意の押しつけとなりかねない要素も初めからもっていたのかもしれません。

_edited_2 現地の人にとって、ほんとうに必要なものは何なのだろう。これは日本人が自分の頭だけで考えても出てきません。先進国の、たぶん世界でもっとも便利な国に住む人間の感性や価値尺度で計ってしまいかねないのです。それは例えば、「明るい」ということだったり、「清潔さ」だったりします。そしてその達成の手段も「電気」だったりします。

現地の人達にとって、電灯の明るさもうれしいものでしょうが、それ以上に必要なものはほかにも沢山あったと思います。

エンザロ村の場合、それがまず「水」でした。遠くの水汲み場から水を運ぶという所に日本人は眼が行きがちです。水道の水がそのまま飲めるという世界でも希有の国がわが国だからです。

実は、現地の人にとって一番大変な思いをしていたのが水の不潔さでした。上流で病気が流行ったり、家畜が奮をしたりしたりすると、下流の人たちも病気にかかってしまいました。病原菌の多い水による乳幼児の死亡率は非常に高かったのです。

_edited_3 左のエンザロ村のかまどの右の端を見て下さいな。小さな女の子がお湯を飲んでいるでしょう。このかまどは料理の煮炊きをするだけではなく、いつも端の火口(ほくち)でお湯が沸いているのです。特に新しい火を焚かなくとも、いったん沸騰させてしまえば、残り火だけで充分に温かいお湯が飲めるようになったのです。

汲んできた水を沸かす、たったこれだけのことで、赤ちゃんの死亡率が激減したのです。

また岸田さんは水汲み場も改良しました。水汲み場に簡単な浄水装置を作ったのです。装置というと、日本の浄水場のようにパイプが沢山張りめぐらされて、と思いがちですが、なんの単なるコンクリートの箱に小石や砂利、砂を段に重ねて入れただけのものです。実はこれは私もこの農場で自作したことがありました。来た当時はちょっと水に自信がなかったので試してみたのですが、ゆっくりとですが、濾過されるのが分かります。数千円でできるような装置です。

このような努力が実って、今のエンザロ村では赤ちゃんはほとんど死にません。それまで実に七人に一人死んでいた乳幼児が、この浄水装置とかまどができてからの五年間で、生れた赤ちゃんの135人のうちなくなったのはたった1人です!

子供のけがや病気が減ること、赤ちゃんが死なないこと、そうすれば笑顔の子供たちが村の中にたくさんいることになります。それこそが村の豊かさなのです。

(続く)

■ 写真上と中は水に浮かべた茄子の花と野草の花びら。上と中では動いているのが分かりますか。下「エンザロ村のかまど」(福音館)から引用いたしました。ありがとうございます。 

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エンザロ村のかまど 村に豊富にある原材料を用い、村人が自分で作れて、そして自分で修理できる

_edited ようやく、エンザロ村に戻ってきました。

私のブログも因果なもので、ミツバチを話始めるとウルムチのジェノサイド事件(*そのように呼んでもかまわないと思います。ラビアさんが来日されたご報告は後日いたします))が起き、これでははならじと気を取り直してエンザロ村のかまどをのどかに書いていると、今度は民主党が超大型バクダンである日米FTA「推進}などということを口走るというわけで、毎度の事ながら尻切れトンボ記事が増えて困ってしまいます。

さて、エンザロ村の支援活動がどうして成功したのかは、私のような入植組にはなんとなくわかります。ひとことで新規就農といっても、全部バッチリ揃えてトラクターはあるわ、家はあるわで農業に入ってくるという人もあれば、私たちのように空ッけつの身体ひとつで入ってくる者もいます(←ひがみだよぉ)。よく私たちが自嘲半分、自慢半分でいうところの「金なし、土地なし、技術なし、かといって帰りたくもなし」です。

土地は別にして、この「金なし、技術なし」というかつての私たちの生活は、第三世界援助を考えていく上で、理屈ではなくて肌で理解できる部分がありました。かつての農村に来たばかりの私たちは、農業機械とてなく、やっと共同で耕運機を買い、あげく深田でぶっ壊して仲違いをするという馬鹿なことをやっていました。

Img_0015_2 これと同じことが第三世界援助でもいえます。まず金が潤沢にないほうがいい。いえ、あるに越したことはないですが、ありすぎるとよからぬことを考えます。悪心芽ばえるということではなく、金があるとつい日本人は「いいモノ」を買ってしまうからです。

いいモノとはハイテクがぎっしり詰まった器材や器械類、施設のことです。水力発電の支援が失敗したのは、「いいモノ」だったからです。日本で使うようなデリケートな電子部品が使われており、それが故障すれば機能しなくなりました。ここが日本ではないことを、どこかで忘れていたのです。

日本人の欠点というとちょっと違う気もしますが、いわば特徴は、世界が皆日本と同じだとなんとなく思っている、ことです。そんなことが違うというのは、ザックひとつ肩に担いでこの国を出て、歩き回ってみればすぐにでもわかることです。人類皆兄姉、地球市民だなどと簡単に言われると、おいおいと言いたくなります。まずは相互の違いを肌で分かり、そこから出発せねば、よき理想すべて空語です。

それはさておき、援助したものがどうやって根付くかというその土地の尺度がない援助は必ず失敗するようです。たとえば、もし農業の感慨用エンジンが必要ならば、それが四気筒よりも、簡単な知識で分解できて修理がきく二気筒エンジンがより良いでしょう。それも現代の電子点火するものではなく、一時代前の村の農機具屋の倉庫でほこりをかぶっているようなローテクがいいと思います。

Img_0018 さらには、その村の外部から金を出してガソリンやオイルを買うのではなく、手や脚、家畜の力で動かせたり、川の水を使ったりして回せるような器材がグッドです。それなら壊れても、自分で修理できますらね。

電気で動くものなどは、私から見れば論外です。水力発電のケースは、電気を作るということがテーマになってしまったための失敗という側面もあります。電気などという「高級品」は、援助の段階のずっと後で出てくるもので、最初に持ち出すべきことではありません。

その土地でいくらでも豊富に採れるタダ同然の原材料を用いて、村人が自分の力で作れて、壊れても簡単に修理が出来るようなものがいいのです。

(また民主党が変なことを言い出さない限り続く)

■写真上から、カラスウリの葉。まるでアイビーみたいでしょう。アイビーは花が咲きませんが、カラスウリは美しい花と赤い実をつけます。中は月見草。開花前はこんな可憐なうすもも色です。下ですが、これは難題でした。正解はキンミズヒキです。

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わが村の選挙風景

 Img_0013              

当地はあの自民党の総裁候補にも擬せられたことのある額賀福志郎さんの地盤です。それに対しての民主党新人候補、当初は勝負にならないと思われていたようです。ところがこのところ、酒を飲んでの村内の集まりなどでは、「1万票まで迫った」という噂まで流れる始末。誰しもがひょっとしたらと考えないわけがありません。ひょっとするとさすがの額賀王国も終焉の時かという観測もささやかれる始末です。

なんせ前回の参院選でわが選挙区では、自民党と民主党がまったく同数の票を取るという前代未聞の椿事を演じました。

理由は、もちろん年金不安もありましたが、自民党の4品目横断政策という専業農家と農業法人へ絞った補助金政策が、小規模農家や兼業農家層を中心として「お国は俺らを切り捨てるんだべか」という疑惑になったことです。そして参院選の気楽さも手伝って、「自民党はお仕置きよ!」となりました。

参院選はしょせん地元とはたいした繫がりがありません。しかし衆院選はダイレクトに地元の利害と直結します。今までやれ高速道路をわが村に引けとか、インターもここに置けとか、橋をもう一本霞ヶ浦に架けろとか、県の複合団地の使途とかといった地元利害の勧進元が大変化するわけですよね。

もっと言えば、衆議院議員がどこの地区出身かでも大いに違いが出るようです。町村合併した後でも旧隣町では頼みずらいですし、ましてや隣の市ともなれば、まぁお察し下され。

このような地区の利害を調整し、代弁する縦の筋があり、それとは別に県会議員や市会議員の誰それは誰の筋だ、その筋の後援会の地区の幹事は誰それだ、JAや改良区のとりまとめは、消防団は、組内は、講(*村の互助組織)は・・・といった村隅々にまで張りめぐらされた人脈も生きています。それらが当落、明暗を分けることでそれに連なる筋の人々まで大変化してしまうわけです。

_edited_17とまれ、現職は在任期間が長い。そして偉くなるに連れて地元の不在期間が長くなるという宿命があります。すると、今まで現職の筋に牛耳られていたと思っていた反現職派は面白くなかった積年のうっぷんを、対抗馬の民主党の候補者に託そうとします。負けじと、現職派も自分の筋をキッチリ固め、切り崩しにかかります。

こうなると正直に言って、民主党が何をマニフェストに乗せようがほとんどの人は気にしていません。ここで政治的なパワーの変化があり、そのことによって出来た新たなパワーの構図の中に、どうやって関わるかが大事なわけです。いや、実に泥臭い。しかしその見極めに失敗すると、あと最低4年間は中央へのパイプを干されて干上がるということになります。

村会議員選挙などでは浮動票は皆無に等しいですが(一桁まで確実に読めるそうです)、国会議員選挙には多少の浮動票があり得るから面白いと言えば、面白い。選挙の玄人を自認するある地区後援会長さんによれば、今回の選挙では有権者数の大体2割くらいだという話です。

私のような無役のヒラ村民には関係ありませんが、それなりに責任あるポストに坐っている人には気がもめる1カ月間となります。さてさて、かく言う浮動票の私、どうしたらいいんでしょう。

■写真 月見草と青空。ヨウシュヤマゴボウの実。

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民主党FTAマニフェストの続報                    JAが民主党批判声明を出す

_edited_19 何人かの農業者の友人に、今回の民主党のあの大チョンボのことを聞いてみました。あ、「あの」大チョンボとはもちろん日米FTA推進というマニフェストのことです。

多少のトーンの違いはありますが、「俺には正直なんで今、民主党がこんな過激なことを言いだしのか分かんねぇ」というある人が言った気分に集約されるでしょう。また農村ではWTOのことは理解していても、日米FTAともなると正直なんのことだかわからないし、しかし新聞(ただ「新聞」といった場合「日本農業新聞」のこと)で見たので、大変だと分かったが、しかし民主も修正したんだべぇ、というところでしょうか。

まぁ私からすれば、「おいおい修正したって言ったって、締結を推進に書き替えただけだぞ」ですが、まぁ様子をみるべぇということになります。この様子見というのが、また好きなんだよなぁ。ただし、日本農業の総本山であるJAグループは民主党批判声明を出しました。

                 

日本農業新聞の1面記事にJAの民主党マニフェストに対する声明では、予想どうり、民主党には厳しい内容です。

Img_0013_4 わが地域はJAの農産物に対する占有率が3割という全国でも珍しい地域ですので、JAの支配力は限定されています。ですから浮動票もかなりあるのですが、他の地域、特に山間部を含む地域においてはJAの力は圧倒的です。JAをすっかり怒らせてしまった民主党、今後どのような展開となりますでしょうか。

日米FTA、断固阻止/JAグループが声明/民主党マニフェストに抗議
「日本農業新聞」09-07-31

 JA全中や全国農業者農政運動組織連盟などJAグループ全国組織は7月31日、民主党がマニフェスト(政権公約)で締結を明記した日本と米国の自由貿易協定(FTA)について、断固阻止を求める声明を発表した。食料自給率の向上を望む国民を裏切る公約として「断じて認められない」としている。
 
 声明では、原則関税撤廃を目指すFTAを米国と締結すれば、米国が「米や麦、豚肉、牛肉などの関税撤廃を求めてくることは必至」と指摘。関税撤廃となれば、「わが国農業・農村、ひいては地域経済社会にも壊滅的な影響を与える」と強い懸念を示した。
 
 また、米国とFTAを締結すれば、同党がマニフェストに盛り込んだ主要穀物の完全自給は「到底達成できるものではない」と指摘。世界貿易機関(WTO)交渉で「多様な農業の共存」の実現を求めてきたこれまでの努力も「無にするもの」と批判した。

http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=2910

実は、このマニフェストの農業コーナーにはもうひとつ地雷が仕掛けられていました。これはJAに対する民主党の全面的宣戦布告と受け取られかねない文言が入っていたからです。これについては別稿にいたしましょう。

ああ、エンザロ村もニホンミツバチの布団蒸しも遠ざかって行く~。でも、ぜったいに帰るぞォ!

■ 写真は今年の初めてのムクゲの花とカラスウリの咲き始めた花についたナナホシテントウムシ。  

* 本日の記事は、長文になったためと、テーマがやや異なるためにいったんアップしたものを分割して、後半部分の「村の選挙」を明日にアップいたしました。ごめんね。

 

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