稲刈り前に、台風なんか来るんじゃねぇ!
田んぼは、もう早い所では稲刈りを始めています。この稲刈り寸前の台風というのは、下手をすれば,せっかく実った穂が倒れて床土に着いてしまい、そこから芽が出てきます。
こうなると、直ちに引き起こさないとやばい。そこから芽が出てしまいます。麦芽ならぬ米芽はシャレになりません。そこから、せっかくこの天候不順(←仲間のお百姓が言うに、冷夏というほどではなかってので、ま、いいかなと)の夏に健気にも蓄えたでんぷん質がどんどんと失われていくことになります。
そうなると一所懸命に倒伏稲を引き起こしても、まったくうまくない米となってしまいます。これがつらい。収量はともかく(いいわきゃない)、照りもなければ、美味さの芯がない味の新米となってしまいます。
実は一度やりました。就農して何年めだったか、まだルーキーだった私の田んぼは、田植えがなんせ田んぼづくりから入っていたために6月の中旬、いや下旬といったほうがいいような時期に入ってしまいました。
回りの田んぼの苗が、完全に活着して初期除草なんてやっている時に、悠然と(内心はあせあせです)田植えをやっているのは、けっこう鉄仮面の私でも恥ずかしいものです。
完全にこの地方の農事暦には一カ月半分ズレていますから、とうぜんのこととしてシッポの稲刈りの方は9月の下旬にズレ込みました。これまた、こっ恥ずかしいものです。回りの田んぼがすっかり稲刈りを終えたスケスケの田んぼなのに、この私の田んぼは未だ熟さぬ穂がわさわさと風になびいておるのです。
私の田んぼの師匠などは、毎日のように田んぼに来ては、穂を取って成熟具合を見ると、「おいこらお前、オレに恥をかかせるつもりか。もう台風くっぞ゙!」などとプレッシャーをかけるし、お師匠様、むごいでございます!もう半ベソ。
あ、今の穂を取って見るというのは、師匠に教えて頂いた収量予測調査の基本なのです。一本の稲の茎が地中で何本に分結し、そこから発生した穂にいくつの籾が成っていて、更に籾の中にしっかりとでんぷん質が蓄えられているか、これを師匠はしっかりと見ているわけです。
そのくせに、師匠は刈り取っていいとは言わず、ああ暦は流れる水車、輪廻転生の理あり(←なんのことだ)。で、来ました、台風。タハハです。私は、自慢じゃありませんが、いややっぱり自慢か、台風に関しては相当に動じません。沖縄でダテに百姓修業やってませんから。
しかし天よ泣け!こともあろうに年にたった一回の稲の収穫間際に襲来の台風が来たのです。これで倒伏すれば、今までの努力はパーとなります。
師匠の読みは、マーフィの法則のようにピッタリと的中し、台風が来ました。前日の夜半から猛烈な暴風雨。当時私が住んでいた鶏小屋がきしむほどです。近くで樹がズズンと倒れる音すらします。
私は鶏小屋住居の中で、ひとりタオルの鉢巻きをして、茶碗酒をグビグビと飲みながら大嵐に耐えたのでした。ただ 途中で寝てしまったのは、天が私の潔い心根に微笑まれたからに違いありません。
翌朝、爆撃にあったような田んぼを見ました。泣く?泣かねぇよ。やること一杯あるもん。カミさんとふたりで、田んぼの両側から倒れた稲をエンヤコラとロープで引っぱり上げて、それでも半分の稲しか救えなんだ。
半分はそのまま穂から芽が出てまるで米のモヤシ。
■写真上 珍しくも撮らせていただいたアカネ一族。たぶんナツアカネだと思います。アキアカネ(いわゆる赤とんぼ)はもっと鮮烈な紅です。トンボの品種はとても難しいのです。幼体と成体、雄と雌がまったく違ったりするのはあたりまえです。
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