わが村の選挙風景
当地はあの自民党の総裁候補にも擬せられたことのある額賀福志郎さんの地盤です。それに対しての民主党新人候補、当初は勝負にならないと思われていたようです。ところがこのところ、酒を飲んでの村内の集まりなどでは、「1万票まで迫った」という噂まで流れる始末。誰しもがひょっとしたらと考えないわけがありません。ひょっとするとさすがの額賀王国も終焉の時かという観測もささやかれる始末です。
なんせ前回の参院選でわが選挙区では、自民党と民主党がまったく同数の票を取るという前代未聞の椿事を演じました。
理由は、もちろん年金不安もありましたが、自民党の4品目横断政策という専業農家と農業法人へ絞った補助金政策が、小規模農家や兼業農家層を中心として「お国は俺らを切り捨てるんだべか」という疑惑になったことです。そして参院選の気楽さも手伝って、「自民党はお仕置きよ!」となりました。
参院選はしょせん地元とはたいした繫がりがありません。しかし衆院選はダイレクトに地元の利害と直結します。今までやれ高速道路をわが村に引けとか、インターもここに置けとか、橋をもう一本霞ヶ浦に架けろとか、県の複合団地の使途とかといった地元利害の勧進元が大変化するわけですよね。
もっと言えば、衆議院議員がどこの地区出身かでも大いに違いが出るようです。町村合併した後でも旧隣町では頼みずらいですし、ましてや隣の市ともなれば、まぁお察し下され。
このような地区の利害を調整し、代弁する縦の筋があり、それとは別に県会議員や市会議員の誰それは誰の筋だ、その筋の後援会の地区の幹事は誰それだ、JAや改良区のとりまとめは、消防団は、組内は、講(*村の互助組織)は・・・といった村隅々にまで張りめぐらされた人脈も生きています。それらが当落、明暗を分けることでそれに連なる筋の人々まで大変化してしまうわけです。
とまれ、現職は在任期間が長い。そして偉くなるに連れて地元の不在期間が長くなるという宿命があります。すると、今まで現職の筋に牛耳られていたと思っていた反現職派は面白くなかった積年のうっぷんを、対抗馬の民主党の候補者に託そうとします。負けじと、現職派も自分の筋をキッチリ固め、切り崩しにかかります。
こうなると正直に言って、民主党が何をマニフェストに乗せようがほとんどの人は気にしていません。ここで政治的なパワーの変化があり、そのことによって出来た新たなパワーの構図の中に、どうやって関わるかが大事なわけです。いや、実に泥臭い。しかしその見極めに失敗すると、あと最低4年間は中央へのパイプを干されて干上がるということになります。
村会議員選挙などでは浮動票は皆無に等しいですが(一桁まで確実に読めるそうです)、国会議員選挙には多少の浮動票があり得るから面白いと言えば、面白い。選挙の玄人を自認するある地区後援会長さんによれば、今回の選挙では有権者数の大体2割くらいだという話です。
私のような無役のヒラ村民には関係ありませんが、それなりに責任あるポストに坐っている人には気がもめる1カ月間となります。さてさて、かく言う浮動票の私、どうしたらいいんでしょう。
■写真 月見草と青空。ヨウシュヤマゴボウの実。
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