民主党FTA締結促進政策のメリットとは? 暗黒卿吠える!
先週から民主党農業マニフェストについてつらつらと考えております。
え、なぜ自民党のほうもやらないかって。だって自民党のは現行の農政そのものでしょう。私の学生時代の裏返して履いていたパンツのようなもんで、いまさら新味もなにもありませんやね。とうの昔に賞味期限切れ。ただ反面、ホコトンだらけの現実を踏まえてはいますんで、堅実ではあります。ま、取り柄はそれだけです。
それにひきかえ、日本政界の暗黒卿は実に明解にご託宣を獅子咆哮します。ん?なになに民主党のマニフェストは支離滅裂だ?戸別農家所得補償って「生産目標達成農家」にしかやらないのだから、減反死守の自民党と一緒じゃないかって?え、日米FTA締結促進すりゃ日本農業は潰れて、それで自給率100%なんかできるわきゃないって?
ちっちっ、わかっていませんね。まるで1週間前の頭の悪い私のようだ。字面だけで民主党マニフェストを解釈するから理解できないのです。民主党のハトオカンが何を言おうと、一切無視して下さい。どうせ選挙前の票ほしさのその場しのぎにすぎないからです。第一、暗黒卿は聞いてやしません。いいですか、暗黒卿は日米FTA締結マニフェストを修正するなどとは一言も言っていない。全部否定しています。(*コメント様、ありがとうございます。ユーチューブでも映像がアップされたようですhttp://www.youtube.com/watch?v=xEsYc4oM2Fo)
暗黒卿は男は黙って陰謀をめぐらす性格の暗いお方なので、能弁な学者に聞くとホイホイと卿の考えを代弁してくれます。(*昨日の記事参照)
暗黒卿の農業政策は、ひとことで言えば「改革派」農業路線です。小泉-竹中改革の農業バージョンです。
え、なんですかまた。暗黒卿と小泉氏は政敵だっただろうって。いやそれは同じことを先にやられて、卿が地団駄踏んで悔しがっていただけです。近親憎悪、あるいは陰と陽。だって、卿にとっての「マインカンプ」(わが闘争)である『普通の国』に書かれていたことを、コイズミが剽窃したくらいに卿は思っているんですぜ。
それはさておき、自民党守旧派のようにチマチマと農業政策を国内政策=内政と位置づけません。卿は大胆にも国際市場と直結して見ているのです。
暗黒卿は日本農業がいくら七転八倒しようとも国際市場からの開放圧力に抗せないと達観してます。点滴を受けながら延命しているようならば、そのような脆弱な農業市場をいっそうのこと開放してしまえばよいと卿は考えたのです。そしてくたばる者は必然的にくたばる、くたばりそうなら補償金代わりのゼニをやる、とまぁこういうことです。
ですからもちろんのこと、日米FTAを農産物市場開放抜きで進めようなどという児戯に等しいことなど暗黒卿はお考えになっているはずもありません。なぜなら、FTAが無条件にすべての商品の関税自由化を意味する(*各種の条件は設定可能ですが)ことなど暗黒卿は知り抜いているからです。
WTOのほうがまだ色々と手練手管がありってもんですから。WTO促進を吹っ飛ばして、いきなり、農産物市場自由化の本丸である日米FTA締結まで踏み込んだ暗黒卿の強い意志を私たちは知らねばなりません。
そのことによって日本はWTO、すなわち自由貿易の敵から、一挙に国際社会の中で賞賛される立場に変身できると暗黒卿はお考えなのでした。これぞかつては、湾岸戦争時には時の海部首相などそっちのけで45億$という巨額の資金を米国にポンッと出し、また今回もアフガンのISAFに出兵しようかという、卿の国際協調精神の発露です。まさに、おお「友愛」ではありませんか!
この農業市場開放により消費者は大きな利得を得ることが出来ます。その理由は、
また、とうぜん輸入農産物や加工品が雪崩をうって流入しますから、先進国の消費者にふさわしい選択拡大のメリットが生じるという素晴らしさです。仮に安くてまずいアメリカンアップルがイヤならば、高くて安全な国産ブランドを買えばいいだけです。なにも暗黒卿は日本農業を止めろとは言っていないのですから。ただ、安全で美味しい農産物はお金がかかることを認識しないといけないよと言っているだけなのです。ま、日本のリンゴが生き残っていればの話ですがね。
そして、納税者にとってもいいことずくめです。理由はわずか数兆円の財源支出と相殺されるだけの食費に関する支出減が見込まれます。
以上、暗黒卿の頭の中を解説いたしました。
■ いしいひさいち「問題外論」から懲りずに引用させていただきました。ありがとうございます。
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コメント
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久しく留守をしていましたので、やっと、ブログに追いつきました。FTA問題で、民主党は農村票をかなり失うことになりそうですが、果たしてどうなることでしょう。農業政策もそうですが、今の政治に必要なことは、世界全体の安全と発展を目指しつつ、自国の利益を守ることです。その基本的な方策をしっかりとした哲学を持って立てる指導者が欲しいものです。それと、それを選ぶ眼識を持った国民を育てること、これは、我々の責任でもあります。
投稿: 葦原微風 | 2009年8月11日 (火) 11時54分