民主党日米FTAマニフェスト・呆れたことに党内論議なしで出ていた!
私が知り得た限りでは初めて全国紙に民主党FTAマニフェストがらみの記事が出ました。大変に興味深いので引用いたします。
[引用開始]
マニフェスト無視
都市部以外の候補者にとって、農業団体・関係者の票や支援がのどから手が出るほど欲しい。だが、特定業界・団体依存の体質と選挙手法は、党内からも「民主党が批判してきた自民党とどう違うのか」(中堅議員)との声が漏れる。
自民党と農業票を奪い合い、自治労、日教組などの支援を受ける。政官業の癒着を断ち切るとの民主党の目標と矛盾しないのか。混乱が予想される「締結」に踏み込んだのはなぜか。
「党内の農水専門家に相談せず、マニフェスト検討準備委員会がポーンと出してしまった。『外交』の項目に日米FTAを入れるなんて愚の骨頂だ」
ある幹部は、党内の根回しがろくにないまま発表されたと打ち明ける。マニフェストは、検討委(委員長・直嶋正行政調会長)のメンバー8人で実質1カ月半ほど練られたが、農政通の国会議員はいなかった。
JA全中との“手打ち式”が行われる前日の7月30日。「次の内閣」の元農水相である篠原孝は、長野県小布施町の飲食店で、遊説に訪れた代表、鳩山由紀夫と昼食をともにした。
「日米FTAの問題で自民党側は大喜びだ」
篠原は、「締結」の盛り込みにかみついた後、日本農業がどれほどの痛手を被るか、こんこんと説いた。
「コメのような重要な作物は、簡単に(輸入の)道を開かせない」
鳩山は昼食後の松本市での遊説では、マニフェストを無視するように、あっけらかんと訴えていた。(産経新聞 8月8日http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090807/elc0908071742005-n3.htm)
[引用終了]
一読し、ため息がでてきます。かくも大きな政策が農業関係専門家も交えないたった8人の検討委員会で、わずか1カ月半で決められていたという拙速ぶりです。
今までさんざん批判しましたが、篠原孝氏はちゃんと鳩山「首相」に直談判をしてくれたようです。まだ彼なら話が嚙むのです。しかし、かんじんの鳩山「首相」はこの日米FTAを「促進」するということがなにを意味するのかすら、哀しくやさっぱり意味がわかっていなかったようです。噂にたがわぬ友愛宇宙人ぶりです。この人の背後にいるのが、「名前を言ってはいけないあの人」なのですから、なんとも言えない脱力感に襲われます。
全農はこう主張します。「米国が米、麦、豚肉、牛肉などの関税撤廃を求めてくることは必至だ」、「米国が日本に関税撤廃を求めて来るようになれば、EPA交渉中の豪、中、アジア太平洋諸国にも波及し、日本農業は壊滅する」(「日本農業新聞」8/8*本日のアップした画像参照・クリックすると大きくなります)。
全農の危機感は非常によく理解できます。全農の危機感は、単にこのマニフェストの非常識さにあるのではなく、それをあろうことか「外交」に入れてしまい、批判の嵐に会うと一転して「締結」でいけないのなら「促進」だ、促進するが「農産品は除外する」、とほとんど出来の悪い中学生のようなことを言いだす「政権党」のクォリティにあるでしょう。
このようなことがまったくの密室で、しかも短期間に決められてしまう民主党の政策決定のあり方に重大な疑問符がつきました。
■ 写真 「名前を言ってはいけないあの人」像。いしいひさいち「問題外論」より。あまりよく似ているので引用させていただきました。ありがとうございます。
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コメント
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「名前を言ってはいけないあの人」は違うようですよ(笑)
この党の出鱈目さ加減がよーくわかります。
★小沢氏、日米FTAで持論強調「農協、ためにする議論」
「輸入品は国内産より安いだろうが、良質のものも選択できる。市場価格が生産費を下回れば不足分は支払う。消費者にも生産者にもいい」 民主党の小沢一郎代表代行は8日、農業の戸別所得補償制度の導入を前提に、農産物も含む日米自由貿易協定(FTA)締結を目指すべきだとの考えを改めて強調した。鹿児島県肝付町で、かつてともに自民党田中派に属した故二階堂進・元自民党副総裁の墓参後に記者団に語った。
民主党は前日、農業関係者の反発を受けてマニフェストにあった「締結」の表現を弱めたばかりだが、小沢氏は構わず持論を展開。「農協がわいわい言っているケースもあ
るそうだが、ためにする議論だ」と述べ、民主党批判で自民党と歩調を合わせる農協を牽制(けんせい)した。
■ソース(朝日新聞)(本田修一)
http://www.asahi.com/politics/update/0808/TKY200908080134.html
投稿: | 2009年8月 9日 (日) 08時36分