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2009年9月28日 (月)

私がグローバリズムと戦おうと思ったわけ その5    支援がないのに、取り締まりだけあり、とは

_edited_5 葦原微風様、余情半様、ゆっきんママ様、コメントをありがとうございます。有機JASについては、ほとんど話題にすら登らなかったために、国民の大部分は知らないままに通りすぎているというのが実態ではないかと思います。
なぜでしょうか?

その大きな理由は農水省の不作為です。不作為・・・本来すべきことを知りながら作為的にしないこと、まさに有機農業に対する彼らの農政には、この言葉がもっとも適しています。

農水省は、JAS有機を施行するにあたっての幾度とない説明会の席で、この法律を作らねばならない理由を、コーデックス(WTO傘下の国際食品規格委員会)の外圧と、有機農産物の表示法がないために似非「有機」の跋扈状態をあげています。つまり、一方で「黒船が来るよ。もう浦賀の港の外で大砲を撃っているよ」と脅しながら、一方で「あなたたちもニセモノにはお困りでしょう」と宥めるというわけです。

_edited_2 この「脅しと宥め」のカードを巧妙に繰り出す中で、私たちが自ら有機JASを率先して取得するように追い込んでいった、ややブラックに言えば、そういったところです。
われながら、歯ぎしりをしたくなるような愚かさです。

政治力というものに疎い私たち有機農業者を手玉に取ることなど、しぶといJAや自民党農水族と,年中わたりあったり、野合したりしている農水省官僚にとってはまるっきりの楽勝であったと思います。 反骨精神と浪漫だけは人一倍あり、理屈っぽく、ナイーブ(←褒め言葉ではない!)、情報力も貧弱。政界への人脈、笑えるくらい、なし。資金力は聞かなくても、ゼロ。従って、政治力、ダメダメ。ああ、私の性格そのもののよう。まさにこれが、われらが「業界」のいいところでもあり、ダメなところでもあります。 私たちがJA農協のように巨大な利害集団であり、関係議員もわんさかいる票田であったのなら、議員先生のひとりも出てきてもう少しまともな有機JAS法が出来たのでしょうが、有機農業関係の議員など、今に至るもツルネイ・マルティ氏ひとりしかいないという寂しさが、わが「業界」(てなもんか)の実力なのです。

2005年に有機農業推進法が全会一致で採決されただろうって?いえいえ、あれはマルティさんの孤立した力業と、中島紀一先生など有識者のご尽力があったればのことで、有機農業の生産者の力とはかならずしも言えません。われらが同業者は、自らの支援法にすらまったく大同団結できないことを満天下に示してしまったのではないでしょうか。


まして農水省などの発意ではまったくありません。彼ら官僚は国会で通過した後に、上部から「今後有機農業が日本で可能かどうかなどという議論はしなくていい。推進法が出来た以上、この方向でやれ!」と一喝されて、渋々重い神輿が上がったのだと聞いたことがあります。

まぁそれはともかく、有機農業推進法は、むしろ国会での「全会一致」などということ自体、国会議員諸公にはどっちでもいい、痛くもかゆくもない「総論賛成、各論なし」の法律だったということです。
実体を作るには、各地での有機農業者の自覚を待たねばならない、そのような融通無下というか、ファジーな法律だったのです。

_edited_4 EUなどでも有機農業推進法に似た法律は多くあります。それも10年以上前に作られて、現実に有機農業を国策化すらしています。EUの有機農業認証制度や直接支払い制は、このような流れの枠組みの中で登場する諸政策なのです。
どういうことかといえば、直接支払いや支援法などを作るためには、その対象を絞り込む必要があります。どこまでを「有機農産物」と呼ぶのか、その基準が必要となるわけです。
だからそのために、有機認証制度が必要だったのです。

大事なことですからもう一回繰り返しますね。 有機農業を支援するための制度作り(制度設計)をするためには、どこまでが有機栽培であるのかの線引きが要ります。それを基準として明示せねば、支援する「範囲」が明示できないからです。
だから、本物の有機農産物と似非有機を厳しく区別する必要が出て、有機生産基準と、それがほんとうの有機農産物であることを立証する認証システムが生れたのです。それが本来の有機認証制度のあり方だったのです。つまり支援政策=育てると、基準を作る=取り締まる、という一見相反する概念は同じ政策哲学から生れていたのです。

一方わが国農政には、有機農業に対しての「哲学」自体がありません。ですから、初めから有機農業を支援する意志などさらさらないし、ただひたすら外圧に屈して私たちを生贄を差し出しただけでした。これがJAS有機認証という歪んだ法律が出来た誕生の秘密でした。
本来あるべきだった有機農業に対しての政府の支援政策はおろか、自分たち官僚が外圧に屈した結果生れたはずの有機JASに対してすら政府広報もまったくせず、痛みすら感じなかったのです。重箱の隅をつつくような表示義務違反を取り締まるだけが、農水省の有機農業政策でした。ですから、JAS有機の所轄は、表示法担当部局であって、有機農業部局ではありません。いやそもそも、あれだけの巨大な官庁の中に、有機農業担当部局など、いまだもって存在しないのが農水省です。こんな彼らに、これから来る本格的なグローバリズムと闘争ができるのでしょうか。

ただですら経営体力があるとはいえない零細な有機農業者や団体に対して、この10年間で行われた支援はまったくのゼロ!そして、有機認証の重圧の上に、覆いかぶさるようにして厚労省管轄のポジティブリスト制度までもが発足するに至っては、気分として「どうして有機農業ばかりいじめ抜くのか」といったところです。これで日本の有機農業が成長したらほんとうに奇跡です。

これを農政の不作為と呼ばずして、他になんと呼べばいいのでしょうか。そしてこの不作為を許したのは、苦々しいことには、ほかならぬ私たち自身でした。無知と無力は罪です。

(続く)

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