NAFTAの近過去と日本の近未来 第2回 民主党政権新農水大臣のご紹介・ アメリカとのFTA締結が、メキシコの穀物生産を破壊した
鳩山政権の農相は筒井信隆氏で決まりそうですね。氏は今朝の「日本農業新聞」で1面インタビューに答えています。
話はもっぱら農家の注目の的である農家所得直接補償制度です。2010年度からまずコメで試すとのことです。
さて、この筒井信隆氏は弁護士上がりで、社会党の役員時代に東京佐川急便から多額の賄賂を貰っていたことが発覚して役員を辞任せざるを得なくなった経歴を持ちます。
また国会議員でありながら昭和天皇の大葬は欠席し、金日成の葬儀には参加をするという面白いバランス感覚を備えていられるようです。これからもご想像いただけるように、旧社会党特有の朝鮮総連との関係は深いものがあり、筒井氏も在日外国人参政権議員連盟の立ち上げからの有力メンバーです。
社会党が潰れて横路さんの引きで民主党に入ったのですが、農業団体との関係はほぼゼロですが、朝鮮総連との関係は非常に深い人ですので、農水大臣より在日外国人参政権法特任大臣でも出来た暁には、そちらになられたほうがふさわしかったのではないかと思う次第です。
今まではキムジョンイルさんの誕生祝賀式典には必ず出席していたようですが、次回は国務大臣の肩書で出られるのでしょうか。
もうひとつ筒井氏の武勇伝が伝えられています。それは小沢一郎氏が代表の折、西松巨額賄賂疑惑で党内で弱々しい追及の火の手が立ちそうになりました。
追及のリーダー格だった元代表の前原誠司氏に対して、この筒井氏と、これも同じ民主党農水族の篠原孝氏(小沢派=一新会所属)両名が「民主党から出ていくのは小沢先生じゃなくて、お前のほうだぁ!」という動きを起こしました。まことに見事な小沢氏の忠犬ぶりです。
しかし、それにしても民主党政権の農水大臣に擬せられるご両人がそろってFTA締結の首謀者である小沢氏のハチ公というのも、ちょっと分かりやす過ぎる構図です。
今日のインタビューでも、「日米FTAは、食糧自給率の向上や、国内農業・農村の振興を損なわないでする」とのFTAのイロハも知らないご発言でした。まぁ、できるものならやってみて下さい。
あ、しかし考えようによっては、今までの自民党農水族のようのように農民出身ではないだけ、農業に対して利害や愛着もなさそうですので、ドライにズバズバと農業をメッタ斬りにできそうだというので小沢幹事長(だそうですね)に買われたのかもしれませんが。
筒井氏のご紹介が長くなりすぎました。では、NAFTAによって引き起こされたメキシコ農業の近過去をみるとしましょう。
特徴的なことは、確かにアメリカ市場向けのトマトなどには伸びが見られましたが、すべての穀物生産が大きく減少してしまったことです。メキシコ人にとってトウモロコシに次いで重要な穀物だった小麦は、トウモロコシより一足先の10年め2003年1月から関税が撤廃されました。(下図参照・農民連「メキシコ農業の実情」より参考のために引用)
特に小麦は非常にメキシコ農業が強い穀物で、最盛時には440万tを収穫して、自給率は130%にも達していました。それが関税が撤廃されたわずか翌年の2004年には、なんと240万tに半減し、自給率は4割を切ってしまいました。
その原因は簡単です。米国からの輸入量が激増したからです。NAFTA締結前の1985年にはわずか8万トンだったアメリカ産輸入小麦は、2004年には372万トンと実に41倍もの増加をしています。
つまり、メキシコにおいてのピーク時の小麦生産にほぼ匹敵する量が、米国から洪水のように流入てしまったことになります。これで、メキシコの穀物自給が出来たら、そちらのほうが奇跡です。
このようにFTA、特に米国とのそれは、米国が異常に大きな輸出補助金をかけてまで食糧を国際戦略の道具としてしているために、相手国の農業に致命的な打撃を与えることがおわかりになりましたでしょうか。
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コメント
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>国会議員でありながら昭和天皇の大葬は欠席し、
>金日成の葬儀には参加
その件ですが
確かに横路グループの多くがそのようにしました。
ただ、彼は199年初当選ですので
昭和天皇大葬時には国会議員ではなかったはずです。
投稿: 根津 | 2012年11月19日 (月) 17時28分
訂正
×199年
○1990年
投稿: 根津 | 2012年11月19日 (月) 17時29分