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私がグローバリズムと戦おうと思ったわけ その4   外国農産物に門戸を開けたら

_edited これまでのこのシリーズ3回をお読みになって、有機農業関係者が雁首を揃えてJAS有機に批判的だとお思いにならないでください。このことについては、微妙に意見が分かれている、というのが実際のところでしょう。

「有機農産物や食品の信頼を担保して、その市場拡大、発展に欠くことの出来ない法律・制度」、といったあたりが一般的な見解でしょう。

しかし、私は有機JASの大罪は、三つあると思っています。

まず一つめは、日本の農業の現場を無視した外国基準を丸呑みしたような直訳的あてはめが、日本の有機農業者の経験や蓄積といった農業「現場」を混乱させ、時には破壊すらしました。これはJAS有機の認定を捨てていく農家が増えていることでもわかります。

次に二つめには、有機農業推進法ができる2006年12月まで、実に5年間もかかったことです。これでは順番が逆です。「育てる前に規制した」ことにより、芽ばえかけた有機農業への参入の道を潰してしまいました。今やJAS有機を取得しようとする新規農家はほとんどいない有様です。
これら二点については別な回でくわしくお話します。

_edited そして三つめは、輸入有機農産物を激増させたことです
今日はこの三点めをお話します。

[以下引用]

有機農産物の生産の5倍が有機輸入農産物
―01年度の有機農産物生産・輸入実績―

 農水省は10月30日、01年度の有機農産物と有機農産物加工食品の格付実績(生産量と輸入量)を発表した。

 それによると、有機農産物の国内格付量(生産量)は3万3,700トンで、野菜が1万9,700トン、果樹が1,400トン、コメが7,800トン、麦が700トン、大豆が1,100トン、緑茶(荒茶)が900トン、その他農産物が2,100トン。

 国内生産量に占めるこの有機農産物の割合は約0.1%で、品目別には野菜が0.13%、果樹が0.04%、コメが0.09%、麦が0.08%、大豆が0.43%、緑茶が1.10%であった。

 これに対し、海外で有機認定されわが国に輸入された有機農産物は国内産の5倍の15万4,600トン。最も多いのは大豆で6万1,000トンで、次いでその他農産物(アーモンド、緑豆、紅茶など)が5万8,500トン、野菜が2万6,200トン、コメが2,672トンなどとなっている。

(2002/11/15「全国農業新聞」))[引用終了]

この数字はJAS有機を始めてわずか1年半しかたっていない極初期の数字であるにもかかわらず、一挙に堰を切ったような輸入がはじまったことを示しています。
野菜が国産有機が2万t弱である対して、輸入有機野菜は2万6千tと、軽く国産有機を上回ってしまいました。大豆などは比較にもなりません。国産が約1千tであることに対して、その60倍もの約6万tがなだれ込んできました。

_edited_2 今試しに、スーパーで「有機しょうゆ」と表示されている商品を買ってみましょう。手元にはたまたまキッコーマン「有機しょうゆ」がありますが、有機大豆はアメリカ産です。また認証団体はEcocert-QAIとありますが、これはアメリカとフランスの合弁会社です。なんのことはない、日本の醬油という伝統食の原料は、原料もアメリカ、認証団体もアメリカというわけです。国産は工場と有機JAS法だけだというわけです。

味噌や納豆などで「有機」と表示されているものの、特に国産有機と表示されていない限りほぼすべてが外国産です。また野菜ジュースなどの原料としても多くの果汁原料が輸入されており、国産はほとんどない状況でしょう。

輸入農産物は、1961年に6千億円だったものが、1998年に4兆円を超え、現在も増加し続けています。特に食品業務用としては圧倒的なシェアを有するようになりました。

この輸入農産物の新たな市場拡大の要求として、日本の有機農産物市場が狙われていたのです。そしてその目論見のために有機JASが外国の圧力によって「作らされた」というわけです。

私は自分の経験からも、農産物がいったんグローバリズムに門戸を開放するやいなや、たちまちにして輸入農産物に国内市場を洪水の如く制圧されると思っています。

(続く)

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コメント

濱田様
素晴らしい情報ありがとうございます。言われているようなこと、微風はまったく知りませんでした。おそらく、日本国民の99%は知らないのではないでしょうか。問題の根本は、何に対して、誰のために、何を目的に、どういう理想のもとに、誰と戦うのかということです。当面の課題はグローバリズムですが、戦いに勝利するには、味方を多くして、敵を絞り込むことが重要です。ブログで吼えるだけでは意味がないのです。濱田様の意図するところは何なのか。日本の農民の幸福なのか、日本国民の幸福なのか、あるいは、世界全体の人類の幸福なのか。また、現代の状況のなかで、農業の未来をどう構築し、どうすればいいのか、といった、大きな視点をもって、世界と戦ってもらいたいと思っています。もちろん、日本の農民のためだけの論理であっても、それは、決して間違いではないのです。日本の国民のためであれば、もっといい。ただ表明するとしないはともかく、自分の主張の根本は明瞭に意識されているべきです。そこのところは、今のところ微風には分かりません。これは、今後の世界がどうなるのか、あるいは、どうしようと思うのかといったことを主張しなければ、世界の人、日本の人が納得しないのではないかと、微風が思うから言うだけです。世の中は、いつも戦いの世界です。そこでは勝ことが、正義になるのです。というのが微風の見解。頑張ろう!!!!!。

投稿: 葦原微風 | 2009年9月27日 (日) 21時02分

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