民主党「無血市民革命」始まる!? 都市住民の皆さん、農家の所得を補塡する覚悟はおありですか?
植草一秀さんは、この民主党政権奪取を見て、「無血市民革命」だと叫びました。冤罪まがいの事件で不遇を囲っていたのは同情していましたが、なんとまぁ「革命」ですか。
植草さん、革命にはゼロサムゲームはないのです。「無血」などはありえないおとぎ話にすぎません。必ず誰かが犠牲になるものなのです。それを分かって使っているのでしょうか。
民主党が約束した高速道路無料化、こども手当て、農家所得保障などの一説14兆もの巨額大風呂敷政策の財源の具体的捻出方法が、ほんとうに問われる時期になりました。
今年は既定の助成金を廃止するなどして捻出するつもりなようですが、次年度からは恒常的な財源確保が必要です。今までは「高い農産物」(私はそうは思いませんが)という形で、消費者が負担していたわけですが、これから「国が支出する」、つまりは税金で都市の市民が、農家の所得を補塡することになるわけです。都市の皆さん、その覚悟はおありですね。
今年は農業関係では、農地集積加速基金などを凍結すると発表しました。つまりは農地集積にブレーキをかけるということはですね。
日本で財界やエコノミストの皆さんが、なにかにつけての日本農業へのお叱りの「大型化がなぜ出来んのか」は、農地が集積化にはほど遠く、農地の合理的なゾーニングができていないからです。 そこで、とうぜんこれではマズイというのは農水省もわかっていて、集積の障壁になっていた農地法3条の改正という重い腰を上げて、農地法の改正に着手しました。これは農地を「耕作者」、要するに農民だけができるのではなく、異業種の法人にもできるようにしようという法改正でした(厳密にいえばそう単純ではない法改正のですが)。 しかし、すったもんだあって法改正は出来たものの、しかし法改正だけでは現実は変わりません。現実には貸してくれる農地はあちらこちらにばらけているわけです。で、地権者が集積化に熱心になるために、集積に応じてくれた地権者には多少のお礼をすんべい、となったのです。まぁ、エコ車減税みたいなやる気をそそる政策ですな。 これを、権力を握った民主党新政権はダメと急に言い出しました。表向きの理由は、基金の運営団体が「天下り」だからだそうです。もうひとつの理由は「緊急性がない」とのことです。 もう既に基金の助成金は基金団体に支給されているのに、突如フリーズだそうです。ちょっと驚きました。補助金とは無縁な私でも、ここまでするかというかんじです。合法的に支出が審査され、決定されて、振り込んだ金を全額返却しろということになるわけですよ。財務省も目を白黒しているでしょう。たぶん裁判を起こす団体も出てくるでしょう。 まさに革命政権的手法です。今までの自民党政権時に決定されたことは、すべて見直す、自民党時代の約束も見直す、出してしまった助成金も民主党の意にそぐわねば返却させる。まさに「無血革命」!このような手法を取り続けるのなら、とうぶんは大混乱でしょうね。
農地の集積化基金の問題云々というより、権力を笠に着て恣意的なことをすると、私たち農民に思われないほうが、新政権にとっても賢明なことなのではないでしょうか。自民党政策を否定するならするで、その理由を透明化して、国民に知らせる努力が必要です。
それがないと、ほんとうに冗談ではなく「革命」だということになってしまいますから。国民が望んだのは、閉塞感からの「変化」であって、「革命」ではないはずです。そこのところを勘違いしないで下さい。
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コメント
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こんにちは、リンです。先日は丁寧なメールをありがとうございました。さて、今度はこんなニュースが飛び込んで来ました。そちらのお仕事には影響が出そうですか?
補正予算:交付済み基金 「回収」に地方側の反発必至
http://mainichi.jp/select/today/news/20090905k0000m010113000c.html
投稿: リン | 2009年9月 6日 (日) 18時55分