地方はほんとうにへばっているのです 小泉改革の轍を踏みそうな民主党
昨日お伝えした土地集積促進事業や、農機械リース事業の凍結などを受けて各地の知事がそれはできないという意思表示をし始めました。
今のところ栃木県、大分県、長野県、新潟県などですが、たぶんもっと増えていくことでしょう。
葦原微風様、お気遣い痛み入ります。今回、中身もさることながら、私たち地方に住む者にとってカチンっと来るのは、民主党の地方を犠牲にして平気なやり方なんですよ。自民党と何も変わっちゃいない。いや、それどころか農村に根っこがないぶん、もっと悪くなった気さえします。
別に民主党、自民党という党派の問題ではないのです。というのは、都会ではどうか知りませんが、地方に来てみれば小泉元首相の評判はボトムです。私が知る限り、ウチのカミさんを除いてよく言う人は少ないわけです。
え、なぜ、ウチのカミさんがですか?まことに連れ合いとしてナンですが、髪形やしゃべり方がカッコウがいいじゃんってことに尽きるようで・・・彼女ミーハーなんです、はい。今、ときならぬ「花より男子」にハマっております。私もつきあって全36巻を読んでしまうはめに(笑)。これが案外おもしろい。特に若き日の私をモデルにしたような花沢類がいい味だしてます。作者の神尾さんはどこで私の若き日の写真を手に入れたのでしょうか、謎です。
いや、そんなことはどうでもいい。小泉さんがやった三位一体政策、つまりなんでしたっけね、国庫支出の削減、地方交付金の削減、地方への財源の委譲でしたか。なにか一見地方に財源が来て、地方分権の日が来るのかという錯覚に襲われましたが、ご承知のように、地方に交付されていた補助金、交付金はおおよそ47兆円もがカットされました。
そして本来あるはずの地方への財源委譲は、現実にはわずか3兆円にすぎなかったわけです。これで地方が疲弊しないというほうがおかしい。
地方企業の背骨は、土木と農業です。公共事業が大幅にカットされてしまえば、土建業の親方も常時働く衆を雇っていけないわけです。その従業員も、要するに農家です。ところが、地方農業の衰弱ぶりも、デフレ下の価格競争で叩かれて、この数年ひどいときています。豚屋は首吊り寸前です。
となると、もはや地方には逃げ場がないことになります。思い切って東京まで働きに行って、大怪我をしてもろくな補償もなかったなんて話が伝わってきます。
隣街の商工会青年部のボスのNさんと話てみると、もう百里基地とイセファームという巨大養鶏場だけしか産業がなくなっちゃったんじゃないかなんて情けないことを言います。町の中心部の商店街はいわゆるシャッター通りです。彼らはそれでも百里基地の民間共用化で頑張ってきて、そろそろ開港の日が目前です。
自慢じゃありませんが、うちの村なんぞ村の一角にあった食料品店は軒並み閉店に追い込まれて、オジィやオバァは買い物に行く場所すらない。巨大ショッピングモールはあるのですが、あまりに広くて、どこになにがあるのかすら分からず、老人にはもはや珍獣ハンターのようだと言っていました。
第一、そこまで行く足がない。それでも農村はいまでも大家族ですから、なんとかかんとかやっていますが、なまじ地方中心都市の近郊のご老人などは買い物難民なんだよとは、水戸近郊の勝田で「協同館なかよし」をやっている女性リーダーの言葉でした。
かてて加えて、郵政民営化で4分社化された余波がもろに来ました。今までは郵貯、簡保、郵便が一緒の「郵便屋さん」がやってくれましたから、ひとりの郵便屋さんで皆やってくれていました。
郵便を配達のついでに簡保の集金をしたり、葉書があると家の門に印をつけたりしていました。これがもうできなくなってしまいました。だって、郵便屋さんではなくなって、単なる「会社」になってしまったからです。
かつての郵便屋さんが申し訳なさそうにバァ様に言ったそうです。「もうできねぇんだ。ごめんよ。同じ会社じゃなくなったんだ。許してくれろ」と。それでも、封書の切手が手元になかったので、現金80円を預かって持っていってくれたそうです。郵政改革は、こんな村の共同体の良さをまるで壊疽のように破壊していったのです。
その上、トドメを刺すようにして、余生の唯一の金銭面での頼りの年金記録がメチャクチャ(←私の年金記録もなんと6年間も欠落しているのが発見!)ときた上に、後期医療制度と称する年金天引きの老齢者医療制度が出来るに至って、地方は堪忍袋の緒を切らしたのです。
こうして田舎に住む人達の手や足を少しずつもいで来たのが、小泉改革でした。かつて安倍さんの時の参院選ポスターに「更に改革を!」みたいなフレーズを見つけた時に、村の仲間がケッという顔をしたことを今でも思い出します。
竹中平蔵さんという笑いながら人を殺すことが出来そうな冷血漢が、「今、景気がよくならないのは、構造改革が進んでいないからだ。もっと改革を進めるべきだ」と言うのを聞いた時には、さすがの農耕牛のように温厚だと言われている私も切れましたね。
そたらこと言うなら、この地方さ来て、俺らの現状さ見ろ!ヌカガ、若い時のようにこまめに地域さ回ってジジババの話さ聞け!大臣椅子でふんぞりかえっていたから恥かいたんだ!
・・・自民党が大敗するのは、村から見ていても必然でした。民主党が地方でも勝利したのは、このような不満のマグマがしっかりとこの4年間に溜まるに溜まっていたからです。それをしっかりと聞かないで、小泉改革という暴政を総括しないままで、またもや地方を犠牲にするような施策をすれば、どうなるのか、いうまでもないことでしょう、民主党さん。しっかりとあなた方の所業を見ていますからね。
■葦原微風様。いいネーミングですね。日本の国土で養える自給的人口とでもいうのかな、その計算をしてみましょう。ちょっとお時間下さいね。実は、今自給率計算をいろいろとしていて、それと関わりがあるのかどうなのか。
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コメント
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ネーミングを褒めていただきありがとうございます。私は小泉改革には当初から反対しておりました。郵政民営化は小泉の持論だったらしいですが、する必要はないと言っても、周りの誰も賛同してくれませんでした。小泉改革こそ日本を活性化させるなどと学歴の高い人でも興奮していました。グローバリズムの波に乗って貧富の差を広げ、格差のどこが悪いなどと嘯く人間についていくなんて、なんと馬鹿な国民なのだろう。民主党がよいのではない。自民党が悪かったのです。特に最後の麻生。あれがどうしょうもなかった。地方の活性化こそ日本の生き残る道なのだが、だれもその実現に向けて努力していない。民主党にその気があるとは思えない。本当に、買い物をすることも出来ないところが出来てきているという事態は憂慮すべきことです。なんとかしなくてはねー。
投稿: 葦原微風 | 2009年9月10日 (木) 08時27分