ジョンレノンという怪物がかつていた
殺されて勝手に伝説となってしまったという困った男だ。
昔、彼は私のアイコンだった。
彼が「マザ~♪」と叫べば、私も「おかぁちゃん~♪」と唄い、彼が「イマージンノーカントリー♪」とやれば、私もパラレルで唄った。
とうとう女房までヨーコという名の女性をもらってしまった(名前はほんとうだが、ウソ)。
最近、なんじゃらの記念とかで、特に年末になるとやたら彼の声を街頭で聞く。アホのジョッキーが「ジョンの曲ってどれもすごいですね」などと言っていやがる。
とんでもない、彼の遺作となってしまった「ダブルファンタジー」なんぞ、全部といっていいくらい駄作だ。
私はあのアルバムを編集して、まずあのバカ女のキンキンする声をチョン切り、そのあと「ウーマン」だとかを切っていったら、あまり残らなんだ。「スターティングオーバー」でさえまぁまぁかな。
私がやたらビートルズ時代のジョンを褒める(というより崇める)わりに、ソロ時代の彼を低く見るのには理由がある。
なにより曲想がつまらない。平板で、政治的で、時として政治的ラジカルの宣伝と化している。例えば、「クロス ジ ニバース」や「リボリューション」にあった傷つきやすい青年の迷いやためらい、逡巡や内向、屈折がない。
あるのは単純化された、手垢のついたストレートの宣伝だ。その時代でしか意味を持たない政治的音楽。「パワーツーザピープル」なんか、CMで使われる始末だ。この曲はブラックパンサー党っていうとってもコワイ、超ラジカルな黒人武装運動にオマージュした曲なんだぜ。
だから「もっとみんなにパワーを」なんて訳してはいけない。レーニン(知ってる?知らなくてもいい)が言う「すべての権力を人民に!」とガチガチに訳すのが正しい。
ジョンという類まれな1世紀にひとりいるかどうかという音楽家が作ったが故に、それでも「音楽」として成立している。しかしなんの見通しもなく、「イマジン」と唄い、自らを「ドリーマー」と自称する彼に私は同情を禁じ得ない。
(続く)
■写真はジョンのリトグラフ。たぶんこっち方面でも飯が食えた。
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