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2009年10月15日 (木)

食料自給率というわかったような、わからないような数字

_edited 国内食料自給率という、わかったようなわからない概念があります。40%を切ったということが大きく取り上げられて以来、農業といえば自給率と木霊が帰ってくるといったあんばいです。

ちょっと面白い共同通信の記事があります。少し前のものですが、ちょうどこの自給率が喧伝されはじめたあたりの記事ですので、みてみましょう。

13年ぶりに40%割れ  食料自給率

農水省は10日、2006年度の食料自給率が供給熱量(カロリー)ベースで

39%となり、13年ぶりに40%を下回った、と発表した。天候不順で果実
などの国内生産量が減ったほか、コメの1人当たりの消費量が減ったこ
とが影響した。

1965年度には70%を超えていた自給率だが、食生活の欧米化に伴い年々
低下。98年度から05年度まで8年連続で40%で推移した。政府は15年度
までに自給率を45%に上げるという目標を掲げているものの、目に見え
る効果が出ておらず、戦略の抜本的な見直しが必要となりそうだ。


日照不足や夏場の異常気象の影響を受けたのは、主に砂糖やイモ類、果
実など。糖度が落ちたり生産量が減ったりしたことなどがカロリーベー
スの自給率を押し下げた。


コメは1人当たりの消費量が61キロと、前年度の61・4キロに比べ0・4キロ
減った。作況が不作だったことからせんべいなどに使われる国産の低価
格米の供給が減り、輸入米の増加につながった。
2007/08/10 23:00  【共同通信】


ね、面白いでしょう。なにがって?私はかねがね自給率の低下といわれることに感覚的な違和感がありました。
日常、農家としてこの国の食糧事情に接していて、野菜、米という主要な食品に関しては、少なくとも消費者がマーケットで買う農産品は、一部を除き過半は国産であると思います。
また、魚は大量に輸入しているといえど、日本漁船団の活躍もあって、過半数は国産だと思います。畜産は私の専門分野ですが、飼料という舞台裏というか竹馬構造を度外視すれば国産率は高いといえます。
これは同業の仲間と話してみてもそうで、「4割ってこたぁねぇぺよ。ありゃパンなんかのを入れた数字だべ 」というのが実感です。
しかし、なんでかくも低いのか?その理由がこの記事を読むと分かります。つまりは40%という衝撃的な数字はカロリーベースなんだってさ。
だから食糧の自給とあんまり関係のない砂糖(!)や果物の糖度(二度びっくり)などの数字が食糧自給率に影響を与えるというわけです。どっしぇ~~!(^▽^)

ちなみに、食料自給率にはいくとおりもの算出方法があって、以下の種類があるそうです。

●品目別自給率

小麦や米など、個別の品目別の自給率のこと。算出にあたっては、品目の重量を使用する。

国内の生産量(重量ベース)÷国内の消費量(重量ベース)

●総合食料自給率

個別の品目ごとではなく、一国の総合的な自給率。以下の二種類がある

●カロリーベース

国民1人1日当たりの国内生産カロリー÷国民1人1日当たりの消費カロリー

●金額ベース

生産額=価格×生産量で個別の品目の生産額を算出し、足し上げて一国の食料生産額を求める
国内の食料総生産額÷国内で消費する食料の総生産額
日本の農水省は総合食糧自給率したがっているのがわかります。したがって計算方法で相当に数値がことなってしまうわけです。このことは農水省も理解しているようです。
(農林水産省 
食料自給率とはhttp://www.kanbou.maff.go.jp/www/jikyuuritsu/011.html
例えば、金額ベースだと69%で、約7割は自給していることになります。これで公表される数字39%との著しい実感との差異がわかります。
ちなみに各県の食糧自給率をみると、各都道府県のカロリーベースの食料自給率では、100%を超える都道府県は北海道と青森県、岩手県、秋田県、山形県のみである。北海道は192%と全国一の値を誇ります。一方、一番低い東京都は、約1%となるそうです。
ではこれを踏まえて、もう少し考えてみましょう。
(続く)

資料 主要国の食料自給率

主要国の食料自給率(カロリーベース)
国名196519701975198019851990199520002002
オーストラリア199 206 230 212 242 233 261 280 230
カナダ152 109 143 156 176 187 163 161 120
フランス109 104 117 131 135 142 131 132 130
ドイツ66 68 73 76 85 93 88 96 91
イタリア88 79 83 80 77 72 77 73 71
オランダ69 65 72 72 73 78 72 70 67
スペイン96 93 98 102 95 96 73 96 90
スウェーデン90 81 99 94 98 113 79 89 87
スイス48 46 53 55 60 62 59 61 54
英国45 46 48 65 72 75 76 74 74
アメリカ117 112 146 151 142 129 129 125 119
日本73 60 54 53 53 48 43 40 40

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日本の農業問題」カテゴリの記事

コメント

濱田様
食料自給率について調べてくれてありがとう。続きを楽しみにしています。分かったような分からないような話なのですね。

食糧自給率の低下は、家畜飼料の自給率等の低下が影響しているのではと思っています。
昭和30年代に小中学生の私が家の農業を手伝っていた頃は、稲作の裏作に麦や菜種を殆どの農家がつくっていて、家畜の飼料に一部が使われていました。また、パン食より殆どが米麦食だったと理解しています。
現在は、稲の裏作に麦や菜種を当時のようにはつくっていません。家畜飼料は殆ど安い輸入穀物に依存しているのではと思っています。
またご存じの通り、米麦食からパン食に日本の食生活は変化してきている状況ですし、更に、魚よりも、安い輸入穀物等に依存している肉・卵を多く摂取するように食生活が変化してきていると理解しています。
更に、安い、肉・魚介類・野菜の輸入も増えてきているように理解しています。
このような状況からカロリーベースの食糧自給率は低下してきていると理解しています。
カロリーベースの自給率が食糧自給率の指標として適切で、金額ベースにすると、輸入される穀物始め肉・魚介類・野菜は日本で自給している食糧より極端に安いので金額ベースの食糧自給率では高いというのはまやかしになっていると、私は理解しています。
食糧自給率はカロリーベースの食糧自給率が指標としては適切と私は思っています。

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