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2009年11月17日 (火)

もういいかげん、国家に頼る農業は止めませんか

Img_0001_edited 各国の補助金を考えるという非常に地味なシリーズです。しかし、いつかきちんとやんなきゃなぁと思いつつ来てしまいました。

補助金というのは、農業の舞台裏なんですよ。楽屋裏。稲刈りとか、田植えとか(あれ、順番が逆か)みたいに、消費者の眼には触れない、はっきり言えば「見えません、見えません」というほのくらい部分です。

さて、これはあるところで見た最近の農業者の声です。まぁ読んでみて下さい。

私ら農家は今年の補助金はいくらかってことを最初に考えて作物を選んでる。集団化すれば貰う額が大きくなるなら集団化するし、飼料米をつくれば儲かるなら単純に飼料米を作りたいと思う。政策に踊らされる私らはバカだなぁと思っていたが、戸別所得補償はそれ以上に農家をバカにしてる政策としか思えない。
民主党の先生方や官僚は私らよりもっと頭がいいんだろうから、数十年先の農業を考えて私ら農家を導いてもらいたい。

私はこんな声を同業者から聞くとすると、立場的に言葉では「まぁまぁ、そう言わんできちっと農業に取り組もうよ」と言うでしょう。 

あるいは、長野市の民主党市会議員さんのコメントに「補助金を受けるのは農民の当然の権利」とまで言われた時には鼻白みました。

「趣味の農業」さんからも「農家は特権階級だ」と言われた時には、冗談じゃねぇぞと思いつつ、農家全体を見渡した場合、そうとも言い切れない自分がいました。 

しかし、正直に言えば打ちのめされます。家に帰ってから沖縄民謡を聞きながら、島酒のひとつでもクイっとやらなきゃ、私の精神の安定が損なわれる気分です。

私は帰農者という都会からふわふわと飛んで来たおかしな種です。変種だと自覚しています。それが有機農業と産直いう分野にたまたまラッキーに着地し、それしか食う方法を知らない不器用な奴だったので、、つい25年間もボヤボヤとやってきてしまいました。

何度か書いていますが、有機農業とは、幸か不幸か、国家から一顧だにされることのない「辺境」でした。日本国は徹底して私たち有機農業者に無関心だったのです。

ですから、私はビタ一文も自分の農業に補助金をもらったことはありません。きわめて珍しい農家なようです。これがあたりまえの農業経営だとだと思っていました。

私は水田農家が、こんな米価では食べられないと言うたびに、ホォーと思っていました。転作奨励金で麦を作って、毎年の補助金の額に左右される農家を見ると、正直にいえば不思議でした。

まして兼業農家のような農外所得がしっかりあって米の収入など余祿のような人たちまでもが、補助金をもっと寄越せと言うのは筋違いだ思っていました。

国は有機農業のことを、できもしない農業を趣味的にやっている馬鹿なやつらだと思っていたようです。
今でこそ数周遅れのトップランナーよろしく、農業は環境保全をしているだの、CO2排出がどうしたとか、6次産業を作れとか言っていますが、その萌芽であった私たちになんの関心も、一円の金の補助金も払わなかったのがわが日本国農水省です。


今に至るも1万3千人の農水省官僚で、有機農業担当はただの2人です。予算ははじめてたった5億ぽっちがつきました。ま、有機農業に対する国の関心など、しょせんこんなもんです。あ、いかん怨念になる(笑い)。

まぁ、冗談ではなく、私がこんな自民党農政に心底批判的だったのはお分かりいただけるかと思います。私に限らず、有機農業関係者はおしなべて自民農政に冷やかでした。
それはさておき、結果として、有機農業者には自然と補助金はまったく前提にしない、お国のごやっかいにはならない、自分の農業経営は自分でまかなう、コストは真剣に考える、といったあまりにも当然な「農家という普通の自営業」のスタイルが出来上がっていきました。
今の農家が食えないというなら、補助金があって生きていけるというなら、かつて無一文で農村に来た私たちが、今こうして私の家族が農業で生きているのはどうしてなんでしょうか?
補助金があったらではなく、むしろまったくなかったから出来たのではないですか。自分の働きと知恵と、家族がいたから、補助金は必要なかった、ただそれだけです。

もういいかげん、国家に頼る農業は止めませんか。そうでないと、頭を上げて国にもの言えなくなりますよ。


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