誰も聞いていなかった!農家戸別所得補償の代わりに土地改良事業半減!
昨日、全国有機農業協議会は、農水省に舟山政務官を訪れて、有機農業モデルタウン事業の復活を申し入れました。さて、どうなりますでしょうか。
また、昨日の民主党の政府への申し入れでは、なんと農家個別補償制度を削減しない代わりに、土地改良事業をバサッとぶった切るという荒技を仕掛けてきました。
当然のこととして改良事業は複数年ですし、現在途中の事業も多々あるわけですから、もう知らないっと。私たちが関わっている有機モデルタウンはしょせん、1事業に対して年間400万ていどの農業予算としては鼻くそのようなものですが、土地改良事業はケタが違う。約5000億円規模です。まさに農水補助事業の中核とも言えるものです。これを半分にしちゃおうというのだから、たぶんこれに関わって来た関係者は真っ青なはずです。
農業者だけでなく、営農団体、JA、受託組合、受注土木企業まで広範に巻き込んできます。簡単に「半減」と言うは易くですが、実際どうするつもりなんでしょうか。私はあまりの規模と影響の大きさにかえってうまく感想をいえないほどです。
わが農政の師である笹山先生が「朝三暮四」という中国の諺を引いていらっしゃいました。言い得て妙なので、ちょっとご紹介しましょう。
「もともと、この戸別所得補償の話は、農家にとっての、朝三暮四の話。中国、宋の狙公が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやると言うと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと、たいそう喜んだという、なんではなかったんだろうか、ということである」
(2009/08/26「笹山ブログ)http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=1107
朝、農家に補助金というトチの実を朝三つ、夕方に四つやろうと言ったが、農家が少ねぇべぇと怒ったので、朝四つ、夕方に三つやろうと言うと喜んだ、と。ジャンジャン♩
まったくやんなるねぇ、民主党さん、何考えてるのよ。農家所得個別補償をやるとガオっと吠えて農家層から票をトロール漁していったのは、いったい何年前の話でしたか。わずか3カ月前ですぜ。
政権の蓋を開けてみりゃ、公約の自給率50%、CO2削減25%達成なんてどこの星の話かです。かんじん要の農家所得補償なんて、実は前石破農水大臣のシミュレーション2のパクリじゃないか、さっさと自前のビジョンを出せ!と「日本農業新聞」の社説にまで怒られている始末です。
そして今回の土地改良事業の半減。農家所得補償はマニフェストどおりするよ安心してね、しかし、土地改良事業、耕作放棄地対策、有機農業支援は、この戸別補償金をひねり出すために切るよ、ということです。とうぜんこんなことはキレイゴトでしかないマニフェストには一行も書いてありません。
まさに朝三暮四。民主党の農業マニフェストは、フェロモン・トラップだったということのようです。
民主党は、いったいなにをやりたいのでしょうか?もはや、農業者は怒るというより、民主党政権を精神分析の対象に考え始めています。さて、明日の村の忘年会で何が話されるんでしょうか。
■地球温暖化については次回から掲載します。ご了承下さい。
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まったくもー、嫌になっちゃいますねー。一回やらせてみるかって、やらせて貰ってんだから、もっとまともにやれって民主党。こちとらは、猿ではないのだから朝三暮四では騙されないぞー。
濱田さんも、政治的なことばかり、書きたくもないのに問題が向こうから津波のように押し寄せてくるので、大変ですね。まあー、しばらく、言いたいことをどんどん言いましょう。物言わぬは、腹膨るるわざなりと言いますからね。
投稿: 葦原微風 | 2009年12月18日 (金) 16時01分